Comments
Description
Transcript
PDF形式:51KB
児 童 虐 待 防 止 110番 は じ め に 「神戸市児童虐待防止110番」(以下電話相談と略す)は、阪神淡路大震災をきっかけに平成7年4 月に開設された「神戸市こころの相談110番」をそのまま引き継ぐ形で平成12年4月に開設された。子 育てに関する不安や心配事の相談に応じることは、親子関係を良くする援助につながる。今日、児童虐 待が大きな社会問題となっており、その予防活動が急務であることから、電話相談を児童虐待防止事業 おーいよいこ に位置づけることとした。愛称は従来の電話相談と同じく「すこやかテレフォン 0 1 4 5 」とし、子育て に関する相談を受け付けるという点では変わりはない。なお、チラシにも神戸市の広報紙にもこの事業 は掲載され、児童虐待防止の意図を明らかにした広報を行っている。 1.相談の概要(表1・2) (1) 相 談 件 数 平成17年度の全受信件数は547件、そのうち問い合わせやいたずら電話を除いた実質相談は396件で あった。平成16年度と比べると若干減少しているが、一昨年と比べると50件増の結果となる。1ヶ月 の平均相談件数は、33件である。 相談者は、保護者を中心とする大人がほとんどであるが、児童本人からの電話が9件あった。 (2) 年代別・性別 年代については、これまでは3歳から就学前までの幼児に関する相談が最も多かったが、平成17 年度は、中学生の割合が最も多くなり、全体の24%となる。次いで、小学4∼6年生の21%、そして 3歳から就学前が18%となる。中学生、小学4∼6年生が多くなった理由としては、その年代の子供 を持つ保護者で、繰り返し架けてくるケースが増加したことによる。 性別については、男子の保護者からの相談の方が多かった。 2.相談に対する処遇について(表3) 1回だけのカウンセリング、助言・指導が68%を占める。匿名で、その場限りの関係ゆえに相談しや すいという長所をもった電話相談であるために、相談は1回で終わる場合が多いが、継続フォローが是 非必要と判断したときは、再度電話するよう助言している。ただその際、相談相手の電話番号は、聞か ないことにしているため、あくまでも相談者の自主性に任せている。平成17年度の特徴としては、繰り 返し架けてくるケースの増加があげられる。他の機関に紹介する場合の紹介先は、こども家庭センター、 他の児童相談所、福祉関係機関(神戸市立総合療育センター・区保健福祉部)、教育関係機関、病院、 保健所等である。 3.年代と主訴(表4) どの年代をとっても性格行動(躾等も含む)についての相談がもっとも多い。「何でもやることが遅 い」「宿題をしない」「親の言うことを聞かない」「反抗する」「友達と遊ばない」「早く自立させた いのに親にくっついて離れない」等、そういった行動をみているとついイライラして怒ってしまう。こ のような態度をとっていると虐待に繋がっていくのではないかと不安であるといった主訴が多い。 − 35 − また最近は発達の偏りについて母親の問題意識が高くなっており、インターネットで調べたら、学習 障害、ADHD、自閉症に当てはまりそうだがどうだろうかといった発達に関することや、関わり方につい ての相談が各年齢層で増加している。また、子どもの行動に関するものではなく、母親同士のつき合い や、近隣との関係の悩み、母親自身の精神的な悩みについての相談も増加している。 4.虐 待 関 係 (1) 虐 待 通 報 14件であった。虐待通報は、当こども家庭センターの家庭支援係につないでいる。なお、市外の場 合は管轄の児童相談所への通報を依頼している。 (2) 虐 待 相 談 「つい子どもを叩いてしまう」「子どもが可愛く思えない」「『あんたなんか産まなかったらよかっ た』と言ってしまった」など、子どもへの不適切な言動に悩み、このままではエスカレートしてしま うという不安を持っているケースを虐待相談として再掲した。件数としては26件である。これは明確 な訴えのあったケース数であって、他にも育児不安の相談のなかに同様の悩みを内にかかえたケース はかなりあると推測される。 5.虐待相談内容 子どもの発達過程で、養育のつまずきにとまどっている母親の姿が浮き彫りになってくる。多くの場 合、母親は一人で悪戦苦闘しており、周りから孤立しているように感じている。実際母子家庭や夫や祖 父母から育児の援助の少ない家庭であったり、再婚家庭で母親のストレスが高い家庭背景がある。親の 思い描いていた子ども像と実際の子育てとのズレに不満を持ち、焦り、いらだっている。その気持ちが 爆発し、子どもに攻撃を向けてしまった後、自責の念にかられ、落ち込んでしまう。 また、母親に精神疾患があったり、母親自身が虐待を受けてきたとか、ドメスティックバイオレンス があるなど養育者の問題が複雑になってきている。 <対応としては次のような援助を心掛けている> §「たたいてしまう」等の発言に対して、責めるような対応はしない。 §子どもの様子を聞きながら、子どもの気持ちを一緒に考えてみる。多くの母親はすでに気づいている ので、確認するような感じになる。 §子どもの成長過程を振り返る。成長過程について説明を少し加える。成長していることが判れば、少 し安心できる場合もある。 §話の内容から、親が出来ている良い対応の仕方を取り上げ、母親自身に再確認してもらう。 §子どもの年齢が高い(中・高校生ぐらい)場合は、親子は必ずしも性格・気持ち等が合うものではな い(合わないのがおかしいわけではない)という立場で対応することがある。合わないしんどさを受 け止めるようにする。 相談時間は、15分から60分位が多いが、60分以上かかる相談の割合が増加している。平均相談時間は 40分程度である。話をきいてもらうことで「ちょっと、楽になりました。少しずつやってみます。」な ど、終了時には、相談者の声の感じも落ち着き、柔らかくなる。「また何かありましたらどうぞ」と付 け加えて終了する。 − 36 − 表1 電話による相談の概況 平成17年度 (単位:件) 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 合計 備 全 受 信 件 数 44 49 1 日 平 均 件 数 2.2 2.6 57 54 2.6 2.7 48 43 35 2.1 2.1 1.8 36 37 55 1.9 2.9 2 41 48 547 2.2 2.2 2.2 況 42 29 38 33 29 19 29 30 36 25 38 377 児 童 本 人 1 1 2 1 1 1 0 0 1 0 1 0 9 そ 15 6 26 15 14 13 16 7 6 18 15 10 161 計 44 49 57 54 48 43 35 36 37 54 41 48 547 虐 待 通 報 1 1 3 2 0 3 0 0 2 2 0 0 14 一 般 相 談 30 42 35 40 36 30 19 29 31 38 27 39 396 問 合 わ せ等 4 2 2 3 0 1 3 0 3 4 0 0 22 N o i s e 9 4 17 9 12 9 13 7 1 11 14 9 115 計 44 49 57 54 48 43 35 36 37 55 41 48 547 男 1 0 3 3 1 0 0 0 0 1 0 3 12 女 0 3 0 1 4 0 0 2 2 2 2 0 16 小計 1 3 3 4 5 0 0 2 2 3 2 3 28 男 4 12 3 5 1 4 2 2 6 4 3 5 51 ∼ 女 就学前 小計 2 1 5 1 0 2 1 0 1 3 2 4 22 6 13 8 6 1 6 3 2 7 7 5 9 73 小学1 男 ∼ 女 3年生 小計 8 8 5 4 4 5 3 5 3 6 0 2 53 1 5 1 7 0 0 1 1 0 1 0 1 18 9 13 6 11 4 5 4 6 3 7 0 3 71 小学4 男 ∼ 女 6年生 小計 4 1 4 7 2 1 1 2 5 4 6 3 40 1 5 3 5 5 2 1 1 3 3 6 10 45 5 6 7 12 7 3 2 3 8 7 12 13 85 男 2 0 4 1 10 6 6 3 6 12 0 6 56 女 0 5 1 2 0 3 2 11 5 1 5 5 40 小計 2 5 5 3 10 9 8 14 11 13 5 11 96 男 2 1 2 2 7 6 1 2 0 1 3 0 27 女 2 0 1 0 0 0 1 0 0 0 0 0 4 小計 4 1 3 2 7 6 2 2 0 1 3 0 31 男 2 0 3 0 0 1 0 0 0 0 0 0 6 女 1 1 0 2 2 0 0 0 0 0 0 0 6 小計 3 1 3 2 2 1 0 0 0 0 0 0 12 男 23 22 24 22 25 23 13 14 20 28 12 19 245 女 7 20 11 18 11 7 6 15 11 10 15 20 151 小計 30 42 35 40 36 30 19 29 31 38 27 39 396 受 信 内 容 状 28 者 の 者 談 信 相 受 保 3 未 護 の 歳 満 3 歳 談 の 状 況 年 代 別 ・ 性 別 相 談 件 数 相 中学生 高校生 成 人 計 他 − 37 − 考 以下は、 受信内容 のうち「虐 待通報 」 「問合 わ せ」 及び 「 Noise 」 を除い た ものにつ いての 状 況である。 表2 主訴:児童本人分 平成17年度 年代・性別 小学1∼ 3 年 生 小学4∼ 6 年 生 いじめ 友人関係 異 性 学 業 進 路 その他の 学校関係 性 格 身体など 家 庭 その他 合 計 男 0 女 0 計 男 0 女 計 1 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 男 中 学 生 女 計 計 表3 0 0 0 0 男 女 高 校 生 (単位:件) 0 1 1 0 0 0 備 考 0 0 1 1 0 0 1 1 0 2 1 1 1 3 2 2 0 4 1 1 計 0 0 0 1 0 0 0 2 2 0 5 男 0 0 0 0 0 0 0 3 3 0 6 女 計 1 1 0 0 0 0 1 1 0 0 0 0 1 1 0 3 0 3 0 0 3 9 相談に対する助言・指導等処遇の状況 平成17年度 処 遇 別 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 合計 備考 助 言・指 導(1 回で終 了) 特 別 相 談 員 助言指導継続 再 電 話 の 勧 (単位:件) 23 25 27 25 16 13 19 25 23 21 29 268 5 13 5 5 5 5 5 10 4 9 3 8 77 2 3 4 1 2 2 1 2 19 8 5 9 6 6 11 4 10 96 2 2 助 言 奨 注1 訪 問 指 導 の み で 終 了 児 相 電話相談から引継 フォロー 訪問指導後引継 小 他機関紹 介 22 計 2 7 13 7 1 1 2 1 福 祉 関 係 機 関 教 育 関 係 機 関 1 関 1 医 療 他 の 児 機 童 相 小 情 提 合 1 供 の 2 1 10 2 7 1 所 計 報 そ 談 2 10 3 3 3 3 3 2 2 3 3 40 36 30 0 0 0 2 2 0 2 19 13 他 計 30 42 35 19 注1:経過観察後に再度電話するよう助言したもの等である。 − 38 − 29 31 38 27 39 396 第4 主 訴(年代別・性別) 平成17年度 養 3 歳 未 満 3歳∼ 就学前 小学1∼ 3年生 − 39 − 小学4∼ 6年生 中 高 学 校 生 生 人 計 発 達 保 健 性 格 被 害 非 行 性 育 成 そ の 他 合 (再 掲)(表4−1) 計 虐待相談 不 登 校 男 2 1 1 7 1 12 1 女 1 1 1 10 3 16 1 計 3 2 2 17 0 0 4 28 2 男 5 4 1 28 1 1 11 51 4 女 7 2 10 1 1 1 22 7 計 12 6 1 38 2 2 12 73 11 男 5 4 1 31 4 2 6 53 4 女 2 3 1 7 4 1 18 2 計 7 7 2 38 8 0 0 2 7 71 6 男 6 4 4 15 3 1 1 2 4 40 6 女 2 13 17 3 1 1 8 45 計 8 17 4 32 6 2 2 2 12 85 男 1 2 1 29 16 6 56 11 19 5 40 6 35 11 96 0 2 27 1 1 1 4 1 3 31 1 6 2 6 女 1 5 5 1 3 1 39 男 1 1 1 14 0 0 0 0 1 10 計 女 計 成 護 (単位:件) 1 0 3 5 2 1 1 1 男 3 女 4 14 0 5 5 2 6 0 0 0 0 17 1 0 計 0 0 7 0 2 0 0 0 3 12 0 0 男 20 16 12 124 10 5 6 21 31 245 16 11 女 12 20 6 54 13 3 1 21 21 151 10 6 計 32 36 18 178 23 8 7 42 52 396 26 17