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筋電を用いたロボットアームの操作
2015/02/16 筋電を用いた ロボットアームの操作 X11-011 入谷 勇也 背景 四肢に障がいがある人の自立を支援する ロボットアームが開発されている その中の1つにiArmがある IARMについて • オランダのイグザクトダイナミクス社製 • 電動車いすに装着可能 • 6箇所の間接を持つ6自由度 • アーム本体重量: 9 Kg • 入力装置・ケーブル: 0.9 Kg • グリッパーの最大握力:約2 Kgf • アームのリーチ:最大800 mm • 約1.5 kgの物を持ち上げることが可能 テクノツール ロボット事業部 アイアーム:http://www.ttools.co.jp/robot/arm.html IARMの操作方法 さまざまな 入力インタフェースがある中で, ◆キーパッド ◆ジョイスティック ★表面筋電図(sEMG)に着目 ~メリット~ ◎直感的な手の動作で操作可能 ◎運動時の姿勢・力の推測が可能 ◎筋が残存する限り利用可能 障がいのある人には 使いにくいし,操作方法を覚えられない! • sEMGを用いた 入力インタフェースがあれば... 過去の卒業研究 • ICA(Independent Component Analysis)を用いて6動作の識 別の研究と筋電計測用アー ムバンドの開発の研究 • SVM(surface ElectroMyoGram)を 用いて,9動作の識別とそれを用 いてiArmに介入・操作する研究 • 識別率がICAでは40~50%,SVMでは80~90% • 計測装置は電極と皮膚の接触不良など問題がある 杉本孝祐:ロボットアーム操作性向上のための筋電インタフェースの開発,2014年度卒業論文 , 真弓広之:アームバンド型筋電計測装置の開発と筋電を用いた手・腕の動作識別,2013年度卒業論文 研究の目的 ★iArmを直感的な動作で介入操作可能に… • ICAを用いて動作の分離を行う • SVMを用いて学習させ動作の識別を行う • アームバンド型計測装置の開発 ICA:Independent Component Analysis(独立成分分析) SVM:surface ElectroMyoGram(サポートベクターマシン) 6動作 • 各動作5 s間維持してもらう • 動作後5 s間中立位に戻す • 動作の手順 屈曲 ⇒ 背屈 ⇒ 開 ⇒ 閉 ⇒ 回内 ⇒ 回外 • 学習用データ10セットと評価用データ10セットの計測を行う • 中立状態と動作の指示は,液晶ディスプレイに文字と図で指示 予備検討:識別する手の動作 中立位 屈曲 背屈 手を開く 手を握る 回内 回外 実験:電極の配置 1ch:橈側手根屈筋 2ch :短橈側手根伸筋 3ch :総指伸筋 4ch :深指屈筋 5ch :尺側手根屈筋 6ch :上腕二頭筋 生波形 絶対値変換 移動平均 ICAにかけた データ その後の処理 • 分離できているデータを目視で確認し選出 • 分離できたデータの生波形のデータをつなぎ合わせる • 再度絶対値変換し,0.3s幅で0.1s刻みの移動平均をかけICAにかけ, 複合作用素(重み成分)を求める • 求めた重み成分を計測した学習用データの移動平均後の データにかけ,学習用のICデータを作製 • その後6つの動作の区間を1sずつ切り出し,1s区間内の平均値をとり, 平均値を閾値として閾値以上の区間の波形を動作区間としてラベル付け • そのデータをSVMで学習させる 評価結果 誤識別率 Label 0 屈曲 背屈 回内 回外 開く 閉じる 中立位 屈曲 100 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.9 背屈 0.0 100.0 0.0 0.0 0.0 0.0 1.4 判定(%) 回内 回外 0.0 0.0 0.0 0.0 99.8 0.0 0.0 98.2 0.0 0.0 0.0 8.2 0.5 1.1 開く 0.0 0.0 0.0 0.0 99.4 0.0 0.9 6動作の識別率が平均97%以上と向上 閉じる 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 89.6 0.5 中立位 0.0 0.0 0.2 0.0 0.6 2.2 95.2 12動作 • 各動作2 s間維持してもらう • 動作後2 s間中立位に戻す • 動作の手順 屈曲 ⇒ 背屈 ⇒ 屈曲と回外 ⇒ 屈曲と回内 ⇒ 背屈と回内 ⇒ 屈曲と二頭筋 ⇒ 背屈と回内と開 ⇒ 手の開く ⇒ 手の閉じる ⇒ 腕の回内 ⇒ 腕の回外 • 中立状態と動作の指示は,液晶ディスプレイに文字と図で指示 処理 • 分離した6動作で得た複合作用素を12動作に適用 • 12動作を分離させ,データを動作区間で切り出す • 教示した動作のラベル付け • ラベル付けした2動作をペアに • 線形SVMを用いて学習 • 66個のSVMの出力を動作ごとにカウント • 最も多い動作を識別結果として出力する インタフェースの開発 <手の動作とiArmの対応> 手首の屈曲(右)・背屈(左), 屈曲と回外(上)・回内(下), 背屈と回内(前), 回外と屈曲と二頭筋(後), 背屈と回内と開(停止), 手の開く(グリップ開)・閉じる(グリップ閉), 腕の回内(グリップ左回転)・ 回外(グリップ右回転), 中立位(動作しない)の計12動作 ( )内iArmの動作を表している IARMの操作・評価 • 手の動作をしてからiArmが動くまでにラグがあった • 瞬発的な動作より持続的な動作の方が反応する • 停止の動作は確実に止まる • 複合動作の識別を間違う アームバンド型計測装置の考案 • バンドのコンパクト化 ベルトを軽量化 • 電極の位置を調整可能に 電極部分がバンド上をスライド • 皮膚に密着可能に 時計を腕時計のベルト部の機能を参考に ★アームバンド型筋電計測装置を開発 ゲル電極生体電気生理計測用 GEL電極 • 長時間測定にも耐える優れた保水能 • 電極装着時良好な接触抵抗 • 高い導電性 13.2Ωcm • 皮膚に近い粘弾性 105.4kPa皮膚に近い弾力 • ソケット部分は用いない ゲル電極:インタークロス㈱ http://www.intercross.co.jp/Products/pg295.html ハイパーゲルシート • 超軟質のエラストマーで エネルギー吸収性に優れた素材 • 衝撃の90%以上を吸収し, 耐久性と強度を兼ね備えた素材 • 機器の防振,ダンパーなど衝撃吸収, 緩衝用に幅広く使用可能 • 軟質のため,気密性に優れている ㈱エクシールコーポレーション ハイパーゲルシート http://www.exseal.co.jp/products/suberidome/hyper_gel.html アームバンドの考案(電極部のみ) 1 20 30 中央部 接触部 44 26 46 6 5 外部 5 品名 硬度 ハイパーゲルシート(片面粘着シート) 70 9 50 Φ15×2 電極にはゲル電極を用いる 開発したアームバンド型計測装置の試験 • 計測データ 完成品 実験様子 おわりに... • 自作のアームバンド型計測装置を用いてsEMGの計測を可能にした • 直感的動作を用いてiArmを操作するインタフェースを実現した • 今後,他人の学習データで学習したモデルを適用し動作の判別を行えると, 電極を貼り付けるだけでインタフェースを利用できると期待される • iArm側のプログラムにも動作パターンを学習するシステムがあれば, 精度よく動くのではないかと考えられる. 以上 ご清聴ありがとうございました! 表面筋電図(SURFACE ELECTROMYOGRAM:SEMG) • 脳や脊髄で発生した運動指令により,筋線維上に発生する筋収 縮を誘発する電位変化が筋電位であり,これを記録・表示したも のが筋電図である.また,皮膚表面に取り付ける表面電極を用い て記録・計測したものを表面筋電図(SEMG)と呼ぶ • sEMGを用いるメリットとして,動作ごとに発生する電気信号のパ ターンを解析することで,動作の識別を行えることである.また, SEMGでは筋の強弱,腕(回内・回外)・指関節の角度を推測する ことが可能である 線形SVMについて • 2つのクラスAとBに属する データがあるとする Y マージン • これを2つに分離する クラスB • マージンを引く 最近傍のサンプル点までのユークリッド距離 (人が定規で測るような二点間の 「通常の」距離のこと) • SVMは,マージンを最大化するような識別 面を選択する • サポートベクタ 他クラスとの最近傍のサンプル点 サポートベクタのみにより,識別面を構成 クラスA X サポートベクタ 非線形SVM • イメージとして… すき焼きの肉の領域と それ以外の具材の領域を 分けるイメージ • 肉の領域に野菜が入ってきても 入ってきたものは仕方ないと考える 独立成分分析 ( INDEPENDENT COMPONENT ANALYSIS:ICA) • 独立成分分析とは,重なり合った複数の信号の中から特 定の信号を機械的に識別する方法の一つである. 独立成分分析(ICA)について • パーティ会場のように様々な音が重なり合った中でも周囲の雑音 に惑わされることなく会話ができる. • 人間は重なり合った複数の音の中から特定の音を選択的に識別 する能力を持っている. • これをカクテルパーティ効果と呼ぶ. • 独立成分分析はカクテルパーティ効果を工学的に実現する方法の 一つである. • 独立成分分析の顕著な特徴として原信号の独立性を仮定するだけ で,それ以外を未知の情報とすることである. • 独立成分分析は音声信号の分離,信号処理・画像処理の雑音除 去,通信分野の混線信号の分離などに使用されている 実験方法 • 生体アンプ(8ch多用途生体アンプ, BA1008,ニホンサンテック株式会社) • ディスポ―ザブル電極(エールローデ, SMP-300,積水化成品工業株式会社) • 生体アンプを用いて増幅 • AD変換器(NATIONAL INSTRUMENTS, NI USB-6211) • アンプの設定は,時定数0.03[s], センシティビティを50~200μV/0.5Vで増幅し計測 MYO(ワイヤレスなアームバンド型) • 去年(2014)の11/04に製品化 • アームサイズ:拡張可能な7.5の間13インチ(19〜34センチメートル)前腕周囲 • 重量:93g • 厚さ:0.45inch(約1.14cm) • 9軸のIMU センサと医療レベルの EMG(表面筋電位)センサ • ハプティック用にバイブレータ • 無線接続:Bluetooth • 対応:パソコン,スマートフォンなど MYOでできること • 自由自在に操作可能というわけにはいかない! • リラックス状態,ダブルタップ(親指と人差指 or 中指で2連続でタップ), グー,パー,内スワイプ(内側に腕を曲げた状態 ), 外スワイプ(外側に腕を曲げた状態)の 6 状態 • これに加えて、IMU センサによって回転が取れる形になります。 なぜ,ICAにつなげたデータを入れなおすのか? • 変動を考慮するため • 分離したデータの平均でもよい • 今回は,ICAにかけ直した なぜ 6動作の識別おこなったのか? • 操作に用いる12の動作は 分離させた6動作の複合 例えば... iArmを「上」に移動させたい時の操作は 腕の回外+手首の屈曲 の組み合わせ 10動作+回内・回外の計12動作 右の動作 (右移動) 左の動作 (左移動) 後ろの動作 (後ろ移動) ※( )内はアームの対応動作 上の動作 (上移動) 停止の動作 (停止) 前の動作 (前移動) 下の動作 (下移動) 開の動作 (グリップ開) 閉の動作 (グリップ閉) 中立位 (何もしない) 杉本孝祐:ロボットアーム操作性向上のための筋電インタフェースの開発,2014年度卒業論文 12動作の識別結果 うまく操作できない動作 • 回外・・・グリップが右回転 ⇒ 上に動く • 回外と屈曲と上腕二頭筋・・・後ろに動く ⇒ 上 or グリップ右回転 • 開・・・グリップが開く ⇒ 右に動く etc