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Page 1 京都大学 京都大学学術情報リポジトリ 紅
Title Author(s) Citation Issue Date URL 1882年ドイツ帝国職業=営業調査(2) 長屋, 政勝 經濟論叢 (2006), 177(1): 1-19 2006-01 https://doi.org/10.14989/66352 Right Type Textversion Departmental Bulletin Paper publisher Kyoto University 経済論叢 ( 京都大学)第177巻第1号,2006年 1月 1 8 8 2 年 ドイツ帝 国職業 =営業調査 (2) 長 屋 政 勝 Ⅰ I 1 8 8 2年職業 =営業調査 の成立 (承前 ) 2 調査方式 今 回の調査 では,先 の 「 規定」 第 2項 にそれが市 町村様式 ( ge me i nde we i s e ) による こ とが 明示 されている l)。 これ は調査実施 の責任 が各地 の市 町村 当局 に ある こ とを指 す。上述 したよ うに, その責任 の もとで調査委員会 ( 大 きな市町 村で は複数 の調査委員会) が構成 され, そ こに権 限が譲渡 される とされ, そ こ には市 町村構 成員 ととくに当該地 の営業 関係 に通 暁 した者が選 ばれるべ きとあ る。 そ して,市町村 当局 ない し調査委 員会 には実施 要綱 ともい うべ き 「 市 町村 当局 な らびに調査委員会へ の指示 ( Anwe i s unge n) 」が帝 国統計庁 か ら与 え ら れ,調査- の共通理解 と統一 的様式 の もとでの調査実施への周知徹底 が計 られ ている。 この指示 に よって調査方式 の特徴 をさ ぐってみ よ う。 市 町村 ( 調査委 員会) の任務 は まず 当該市町村 を適 当 な調査 区 に区分 けす る ことにある。 これ は 1調 査区 50世帯以 下 を基準 に,住民数 や場所 的特性 を勘案 し,調査用紙一式 の配布 と回収 がそれ ぞれ 1日内で完了可能 となる形 で地域 区分 を行 うことである。 小 市町村 や施設 ( 兵営,刑務所 ,病 院,等 々) の場合 には,それ をひ とつ の調査 区 とみ な して よい とされる。 この調査 区それぞれ に所在 し調査対象 となるべ き 1 )「 §2.調査 は市町村様式で実施 される.その直接の遂行 は市町村当局の責務 とな り,当軌 よそ の一貫 した責任のもとで, このための別の調査委員会 ( 比較的大 きな市町村 にあっては複数の調 Be uf r s s t a t i s t i kma c hde ra l l ge me i ne nBe uf r s z 畠hl ungvom 査委員会) を設立することがで きる」 ( 5.J uni1 8 8 2,St ai z s t i kde 3 .De ut s c he nRe z ' c hs ,N. F. ,Bd.2,1 8 8 4,S.1 6 4 . ) 2 (2 ) 第1 7 7巻 第 1号 世帯 と営業経営体 の事前の照査 は,それが調査漏れや重複調査 を避 け,事後 の 点検 や補完 ・訂正の拠所 とな り,調査結果の正確性 を左右する重大 な要因 とな る。従 い,市町村 ( 調査委員会) は住所録,営業 目録,商業 目録,税 冒緑, そ の他資料 を活用 してその確認 を済 ませてお く必要がある。 市町村 ( 調査委員会)の次の仕事 は 1調査区にひとりの調査員 を張 りつける ことである。 その選別では市町村当局 ない し調査委員会の内部の者,および他 の然 るべ き人物が指名 されることになるが,そ こでは市民の自由意志 にもとづ く調査-の参加が適切 とされている。 実際 には,調査員 に指名 されたのは当該 市 町村 の中下級行政職員の他 に,退職官吏や学校教 師,営業体職員,学生 で あった。市町村 ( 調査委員会) はかれ ら調査員 に事前 にその課題,調査区の特 敬,住民 の個人的ならびに営業上の関係 について説明 を行 う必要がある。 調査用紙の配布か ら回収 までの期 間を厳守するよう市町村 ( 調査委員会) は 監督 しなければならない。その上で,調査員個 々人か ら点検済み調査用紙 ( 調 査票 と営業調査紙) と管理 リス トを 6月1 2日までに受領 し,1 0日後の上位官庁 への提出期限 までの間に必要な点検,補完 ・訂正,釈明 を済 ませておかねばな らない。 最後 に,市町村票の作成がある。 これは統計庁か らの当該地で採 られた調査 方式 に対する質問や市町村独 自の家畜飼育や営業 に関する質問へ回答 し,調査 員か らの管理 リス トを集計する ことによって調査区 ごとの世帯数 ・住民数 ・他 に住居 を有 した一時滞在者数,農業 を営 んでいる世帯数 ・回収 された営業調査 紙数 を計上 し,責任者の署名が添 えられた 1枚の表式である。 この市町村票の作成が完了すれば,調査員か ら届 けられた調査用紙一式 と管 0 0 0 人以下) は 6月2 2日まで,それ以 理 リス トとまとめて,小市町村 ( 人口2, 外の市町村 の場合 には 7月 5日までに上位官庁 たる県庁 に一括送付することが 定め られている。 次 に,市町村 ( 調査委員会) の主導 の もとに実査 に当たる調査員であるが, その任務 は 「 調査員への指示」七 あるよ うに,い うまで もな く調査用紙の配布 1 882年 ドイツ帝国職業 =営業調査 (2) (3) 3 と回収である。 既述 のよ うに,調査用紙 としては書式 Ⅰの個人職業調査 と書式 Ⅲの農業経営調査 を含んだ仝 4ペ-ジにわたる調査票 ならびに裏表 1枚の営業 調査紙の 2様が用意 されている。 これには別途,被調査者 に対する調査書式に Anl e i t ung)」が添 えられている。 市町村 ( 調 関する 「 調査書式への記 入手引 ( 査委員会)か ら受 け取 ったこの用紙一式 は調査 員によって 6月 1日正午か ら 4 日正午 までの間に各世帯 に配布 されるが,その際,調査員は居住家屋,家屋内 世帯,単身者世帯,共同経営者や被雇用者, また蒸気徒や動力伝動 をもった営 業経営, あるいは通常 は住居 と して使用 されていない建物 に寝 泊 りしている 個 々人や世帯, これ らの どれをも見落 とす ことのないよう細心 の注意 を払 うべ Lとされ,調査員に調査漏れ防止 に配慮するよう促 している。 文字記入による 自己 申告 ( se l bs t a ngabe) を原則 とし,個人職業票 には世帯 主が,営業調査紙 には営業経営者が記入 し署名することになっている。 しか し, 場合 によっては調査 員が被調査者か らの口頭 申告 を替 って調査用紙へ記入する こともあ りえる とする。 記入済み調査用紙 は 6月 5日1 2時以降に回収 され,同 日夕刻 には終了する と される。 しか し,それが不可能 な場合 には 7日までの延期が認 め られている。 回収 に際 しては,調査員 によってその場で記入内容が点検 され,必要な補完や 修正が行 われなければならず, また個票 に署名があるか どうかが確 かめ られな ければならない。 個票の点検が終了すれば,最後 に管理 リス トの作成が仕事 として残 る。 これ は調査員各 自が用紙配布時 に担 当区内のすべ ての建物 をその家屋番号 と種類 ( 住宅,工場,倉庫,等 々) で区別 して とり挙 げ,そのおのおの に関 しその中 の世帯 ごとに世帯主の姓名 と職業 ・地位 を記載 した 1枚 の表式である。 調査用 紙の回収終了後,調査員は記入済み用紙の記載内容 にそ くして,各世帯の現住 者 ・一時不在者 ・一時滞在者の数 を記入 し, また農業経営調査票が関連するか, 営業調査紙が配布 され回収 されたか どうか, さらに調査 に際 して生 じた不測の 事態 ( 例,居住者が不在) につ き注記欄 に表記 しな くてはならない。調査員の 4 (4 ) 第1 77巻 第 1号 著名が入 った管理 リス トは先 の調査用紙一式 とともに 6月1 2日まで に市 町村 ( 調査委員会)-届 け られる。 被調査者 には既述 のよ うに 「 記入手引」 が手渡 されている。 それによれば職 業調査票 は 6月 5日 ( 水)の午前 中に記入 を済 ませ,正午 か ら始 まる回収 に備 えてお くべ きとされる。 調査票 に記入 されるべ き者 はまず その枠 Aで 6月 4日 か ら 5日にかけて世帯構成員 として居住 した者 ( ここには家族構成員のみなら ず身内や家 内奉公 人,下男 や女 中 も含 まれる),お よび例 えば客 としてそ こに 一時滞在 した者 とされ ( この場合 には,他所 での住居 ・寝所 の有無,有であれ ばその住所 を添 える),要す るに 6月 4日夜 か ら 5日にか けての世帯内現住人 口が載せ られる ことになる。 同 じ く枠 Bには世帯構成員であ りなが ら諸事情 の ため 4日夜 に不在であった者がいれば,その予想滞在地 と不在理 由 を添 えて記 載 される。 人口調査 とは異 なった職業調査 であるため,詳 しい申告 は1 4歳以上人口 と1 3 歳以下であ って も賃金のために就労 している人口に限定 され,1 3歳以下人口は 性別表示 を ともなって単 にその総数が表示 されるだけである。 世帯内 に農業経営 に従事 している者がいる場合 には,職業調査票の裏面 にあ る農業経営調査 にも申告 しなければならない。 この場合独立 自営農家 はい うに 及ばず,例 えば借地,用益権地,代理管理地, または奉公 人や労働者, また 日 雇労働者 などに賃金の一部 として貸出 され耕作 されている耕地 も対象 とな り,農 業の営 まれている一切の土地が その利用者 の もとで悉皆把接 される ことになる。 同 じ く,世帯構成員 に独立営業経営者がいれば, その者 には職業調査票 とは 別 に営業調査紙 ( -商工業調査紙) が渡 される。 ただ し, この場合,被雇用者 ではな く, その限 りでは自立 は している営業経営者であ って も,それが外部的 に知 られた営業制度の もとにはな く, また共同経営者 や被雇用者 をもたず,か つ営業用 の動力機 ももたない単独 の零細営業従事者 の場合 には ( 例,顧客の家 に出向いて仕事 をする縫工 人や洗濯女,洋服裁 断師や靴屋),今 回の商工業調 査 の対象か らは外 され,単 に職業調査票- の記入だけで済 む。後 に詳述す るよ 1 88 2年 ドイツ帝 国職業 -営業調査 (2) (5) 5 うに,あ くまで就業者 と営業手段 において営業体 としての一定規模 をもった部 分が対象 になっている。 「 手引」 には実 に細 かな記入要領が具体 的事例 をふんだんに含 んで示 されて いる2 ) 。 これ を通 じて個 々の調査項 目- の的確 な回答 は当然 の ことなが ら, と くに商工業調査 における営業体 の調査漏れ と重複調査 を極力 回避する ことへの 協力が被調査者 の側 にも要請 されているのである。 しか も,故意の虚偽 申告や 申告拒否 に村 しては3 0マルク以下の罰金が科せ られる とある。 以上 ,「指示」 と 「手 引」 か ら調査 方式 をみる限 り,今 回の調査 で は調査側 の地方当局 ( 市 町村 と調査委員会) と調査 員の役割 を明確 に規定 し,かつ被調 査者 にも申告要領 を きめ細 かに示す ことによって,実査段 階の混乱 と誤謬 を回 避 し可能 な限 り正確性 を保持 しよ うとしている。 この点でかつてみ られなかっ た憤重 な配慮が読 み取 れる。 Ⅰ Ⅰ Ⅰ職 業 調 査 1 個 人職 業調 査 今 回の1 882年調査 の メインとなる調査 が 「 個 人職業調査」 である。 これは全 4ペー ジの調査票 の 2-3ペー ジを とった ものであ り ( 調査票 の 1と 4ペー ジ には調査票番号,世帯住所,記入者署名,項 目説明があ り, さらに 4ペー ジの 下段 には農業経営調査票が載 っている), い うまで もな く仝就労 人口 をその就 業分野別,従業上の地位別 に調べ挙 げ分類 する ものである。 しか も,家内奉公 人や就業者 に扶養 されている家族 身内, さらに職業修養 中の者 や失業者,施設 収容者 をも同時 に計上する ことによって全 人口の社会経済構成の把接 を可能 に する統計 となっている。 2) 71年調査 の反省点 と して調査 の手引作成 の不十分 さが挙 げ られていた。「今後 の調査 において 比較可能な結果 を得 るためには,調査 に際 しての職業欄 の記 入への, また総括 に際 しての各職業 種 の配列へ の正確 な手引 が不可欠 な もの となる」 ( Di eVol ks z 云 hl ungi m De ut s c he nRe i c hevom 1 .De z e mbe r1 8 71 ,St .d.D.R. ,Bd.1 4,The i 12,1 87 5 ,S.ⅤⅠ .1 92.) 0 82年調査 はこの点 をふ まえ, 可能 な限 り具体例 を挙 げた入念 な手引が準備 された。 これは調査 や総括 に際 して多 くの誤謬 と混 乱 を回避す るに役立 った といわれる 。 第1 7 7巻 6 (6 ) 第 1号 これ は, 「 A.1 882年 6月 4日夜 か ら 5日にか けて世帯, それ に付 属 す る場 所 に居 住 す るすべ ての個 人の名簿 ( ve r z e i c hni s )」 ( 全2 0項) と 「 B.世帯 か 仝1 9 項) の 2枠 か ら構成 され た調査 票で あ る ( 附録 らの一時不在 者 の名簿」 ( 4歳以上 の世帯居住 者, また 1 3 Ⅰの 「 個 人職業調査書式」 を参照)。 ここには1 歳以下であ って も賃金の ため に就労 あるいは雇用 されている児童 に対 して, 申 告項 目 として初 め姓名 ・世帯主 との続柄 ・性 ・年齢 ・家族 関係 ・宗派 の人口調 査 と同 じ 7項 目が設定 されている。 これ は職業関係項 目 との クロス分類 のため の基礎枠 となる ものである。 その後 に職業調査本来 の調査項 目として調査票 に 5まで, さらに1 6の計 9項 目の申告 が課せ られている。 ある 8か ら1 「 職業, 身分 ,生業,営業,業務, あるい は生計 分 野 」 が欄 81 5全体 に ま たが る題 目で あ り,世帯構成員全員の職業 関係 の有無/有 の場合 のその内容 , な らびに農業経営 また商工業経営 との関 わ りが調べ られ る ことになる。 まず,欄 8で は世帯主 と世帯 内の職業従事者 それぞ れが ,「唯一 のあるい は 主 た る職業 活動 ・就業 ・収 入源 となって いる職業 。身分 ・生業分 野 ・生計 分 野」 を挙 げる もの となっている。 ここで はあ くまで も主職業 が問題 とされ,従 い主職業 を もたない者 や副次 的 な就業者 は この欄 に記 入す る必 要 はな く, それ には欄 1 2が用意 されている。 主職業 には下のよ うな記 入指示が ある。 例 えば, 農業部 門で は次 のよ うにな っている。 農場所有者 ・借地人 ・支配人 ・管理人,他の被雇用者や日雇労働者,下僕 ・下女, 等々が具体的職業であり就業身分である。さらに,就業 してはいないが同居家族身内 であれば,それを明記する。農業経営に附随する手工業的な作業の就業者 ( 例,鍛冶 屋や車大工など)は 「 農業における」をつけ加えなくてはならない。 また,商工業部 門 においての記入例 は以下 の よ うにな っている。 営業経営者 ・手工業者 ・工場主 ・商人 親方 ・職人 ・徒弟,工場労働者 ・鉱夫,班 張店員 ・帳簿掛 ・店員,その他の被雇用者,こういった職業や身分のもとにある者は 該当する手工業や製造,採鉱業,商業の個別分野を示す。水夫や漁夫の場合には 「 海 , , 上」 「 海岸」 「 内陸水路」を加えその就業場所を示す。 1 8 82 年 ドイツ帝国職業=営業調査 (2) (7) 7 さ らに, 以 下 の よ うな具体 的指 示 が続 く。 役員 ・職員 ・会計掛 ・書記 などはその職務 ・勤務 ・業務分野の種類 を挙げる ( ある いは個別省庁名や業務施設名 を記入する。欄 9にはその職分 を添 える)。現役軍人の 場合には 「 現役」 としてその階級 を挙げる。 日雇労働者や手労働者の場合には,主 としてかれらが就労 している営業 ・業務 ・作 業分野の種類 ( 例,農場や果樹園での作業,森林作業,鉄道作業,道路作業,港湾作 業,等 々, また家内作業において) を挙げる。 また, この層では主たる職業 をもたず さまざまな作業分野で様 々な仕事 に就いている者が多いが,その場合にはその うちの 主たるものを挙げる。 奉公人 ・下僕 ・女中といった層の場合には,その多 くが農業や他営業で, また家内 での奉公人 として就業 している。 こうした者が部分的に営業活動,部分的に家内労働 に従事することがある。その場合には,その双方が記 され,主たる仕事 は主職業 とし 2に記入 される。 て欄 8に,他の仕事が副業 として欄 1 収入ある職業 に就いていない世帯主や独身者,財産収入や利子 ・年金,社会扶助で 生活 している者 はその旨を明記する ( 例,終身年金生活者,公的扶助受給者)。退職 した役人 ・職員 ・士官の場合にもそれを付記する。 また,寡婦 にあっては現在の就業 があれば,あるいは他の収入源 ( 例,寡婦手当)があれば,それ らを挙げる。 設 定 され た質 問 は 「主 た る職 業分 野 の正確 な名称 」で あ り, こ こで は個 々人 の職 種 が 問 わ れ て い る 。 しか し,職 業 とい う概 念 が今 日の よ うに明確 に限定 さ れ て い な い 当時 にあ って, 生 業 や生計 , 身分 や就 業 とい った類 似 用 語 と併 記 さ れ, それ ら との か か わ りを申告 す る もの とな って い る 。 これ を通 じて, と もか くも個 々人 の生 活 の糧 を支 え る活動 を答 え させ よ う とす る意 図 が うか が え る。 だが, これ が厳 密 な意 味 で の職 種 区分 とは な って い な い こ とは, 見 本 で示 され た記 入例 か ら も看 取 で きる3 ' 。 す ぐ後 で述 べ る よ うに, これ は産 業 分 類 と職 業 分 類 が混 合 され て い た ため に起 こった結 果 で あ る。 欄 9は 「主 た る職 業 分 野 で の 地 位 」で あ り, 現 代 風 に い え ば 「従 業 上 の 地 3) 例えば,見本では 「8農業 ・9被雇用者 」 や 「8タバコ工場 ・9女工」といった記入例が示さ れているが, 8欄 には職種ではなく産業分野が挙げられている。 Ber uf s s t a t i s t i kma c hde r a Hge me i ne nBe r uf s z 去hl ungvom 5 .J uni1 8 82 ,a.a.0. ,S.1 6 6. 8 (8) 第1 7 7巻 第 1号 位」を問 うもの となっている。 実際 には, この欄 は前欄 8と密接 な関連 にあ り, パ ン屋職人」, また 「日雇農業労働者」 や 「タバ コ工場女 「パ ン屋親方」や 「 工」 とい った単一表記でその双方-の回答 を満 たす ことがある。 従い,欄 8の 記入だけか らはその職業での地位,当人の業務関係や労働 関係 ・雇用関係が不 明瞭 な場合 に, さらに欄 9-の申告が課せ られる ことになる。 そ こでは大 き く s e l bs t a ndi g)/否か を類別することが問題 と 分 けて,当人が 自立 しているか ( され, 自立 している場合 には,① 所有者 や企業家, または親方 や業務指導者 といった旧来の営業表で 「 業主」 とされていた層,①' 自宅 において 「 他 人の f i i rf r e mdeRe c hnunga r be i t e nd-af r ) いわゆる家 勘定のため就労 している」 ( ない非 自立層 内工業の従業者層, この 2つがある とされている。 他方,そ うで、 としては②管理人 ・監督 ・差配人 ・会計掛 ・店員 といった商工業での中間管理 職や専 門職, さらに ③ 商工業での被雇用者一般,手工業での職人 ・徒弟, ま た工場労働者 ・鉱夫,農業 などでの下僕 ・下女 といった広義の労働者階級 に分 けられる としている。 結局, ここでは,一方の所有者階層 と他方の無産者階層, この地位分類 について そ してその中間階層 とい う 3階層区分が施 されている ( は後 に再 び戻 る)。 欄1 0と1 1は各人が独立営業者 として経営 に当たっているか どうかを申告 させ るもの となっている。 この場合 の営業 は商工業 ・流通業 ・サー ヴィス業全般 に またがる広範 な業種 を含 む。かつての営業表が扱 っていた対象領域 をカヴァしている。 そこでは当人が先 の主職業 を, イ)経営者 として被雇用者や労働者 をかかえて遂行 しているか ( これに恒常的に就労 している家族身内や奉公人が いれば,それ をも含める), または共同所有者 を持 っているか, またロ)営業 1 879年以降)台帳 に登録 されている化 手段 として基礎的動力で動 く作業機や ( 学 ・精錬用蒸気確, また蒸気機関や蒸気船 の所有者であるかの 2点 を問い, こ れに対 して是 ・非で もって答 えることになっている。 これの双方,あるいは一 方 に是 と回答 した者 は営業経営者 とみな され,別途の営業 ( -商工業)調査紙 4と1 5にあ り,そ に対する申告が さらに要求 されることになる。 同 じ設問が欄 1 1 8 82年 ドイツ帝国職業 =営業調査 (2) (9) 9 こでは副業 であ りなが らも営業経営者 として就業 している場合が同 じよ うに調 べ られる。 欄1 2と1 3は個 々人の副業 を問 うもの となっている。 す なわち,主職業 をもた ないか, あるい は主職業 のか たわ ら主婦 や身内,年金 ・利子生活者,老 人, 等 々による,定期 的で はあ るが副業 と して, しか もそれが主 たる生計 源 とは なっていない就業が記入 される。 ここで多 いのは副業 と して農耕 に従事 してい る者, また世帯 の商工業経営 における本来的な被雇用者 ではな く補助 的業務 に 就労 している者 とされている。 職業 関連項 目の最後 に欄 1 6が あ り, そ こで は 「 以前 の職業」 として,( a)高 齢 ・傷害 ・疾病のため就労不能 とな り現役 を退 いた者であれば,その以前 の職 業 を記 入 し,( ら)また寡婦 であればその実 のかつての職業 を, さらに当人が以 前 に就労 していた場合 にはそれ をも記入することとなっている。 2 職業分頬 と地位 分類 職業分類 には1 8 7 5 年営業調査時 に用意 され,その後 にい くつかの修正 を容 れ た分類 コー ドが利用 された。 これ には無職者 ・無 申告者枠 ( F )を別 に して,以 下 の Aか ら Eまでの 5主要 部 門 ・2 3グルー プ ・1 4 5職種 が盛 り込 まれて い る ( 括弧内の数字 は職種数 を表す)。 A.農業,畜産業 と園芸業,林業,狩猟 と漁業 1 .農業,畜産業 と園芸業 (3) 2 .林業,狩猟 と漁業 (3) B.採鉱業 と精錬業,工業 と建築業 3 .採鉱業,精錬業,製塩業,泥炭採掘業 (5) C.商業 と運輸業 1 8 .商業 (8) 1 9 .保険業 (1) 2 0.運輸業 ( 1 0 ) 21.宿泊 と保養 (1) 4.土石業 (9) D.2 2 .家内奉公 と各種賃労働 ( 2) 5.金属加工業 ( l l ) E.2 3.軍務,宮廷勤務,公務 と教 6 .機械,道具,器具,装置 ( 8) 7 .化学工業 (6) 8.林業の副産物,発光体,脂肪,油, 会勤 務 い わ ゆ る 自由業 (7) F.2 4.無職者および無申告者 (8) 1 0 (1 0) 第1 7 7巻 第 1号 ワニス (5) 9 .繊維業 ( 1 3 ) 1 0.製紙業 と製皮業 (6) l l .木材 と木片 (9) 1 2 .食糧品と噂好品 ( 1 2 ) l l ) 1 3 .衣服 とクリーニング ( 1 4.建設業 ( 1 0 ) 1 5 .印刷業 (3) 1 6 .工芸 と工芸営業 (1) 1 7 .その他 (1) ここで,職業分類 はその前段 に産業部 門区分 と営業分類 をおいている。 産 業 部 門 とは, これ までの営業表 にあ った商工業 と運輸業 (BとC) に新 たに農業 や非営利部 門 ( A とD ・E) を加 え, さらに産業外 人口 ( F) を添 えて仝経 済 分野 を網羅 ・区分 した ものであ り,営業分類 とは営業表 の伝統 を受 け継 ぎ営業 経営 をその生産物 と経済活動 の独 自性 をもとにグループ分 け した ものである。 そ して,職業統計 が問題 とする個人の経済活動 をこの産業部 門な らびに営業 グ ルー プのいず れか に帰属 させ, それ を職業種 と して細 目分類 にか ける もの と なっている。 例 えば, B部 門 ・グループ 9にある 「 繊維業」で は,以下のよ う な1 3の経済活動が職種 として とり挙 げ られている ( 左端 の数字 はグループ内の 通 し番号)。 4 5 .織物用繊維調製 4 6 .紡績 ・麻扱 ・巻揚 ・糸巻 ・糸撚 ・詰綿製造 ( 家内経営 として) 47.同上 ( 工場経営 として) 4 8 .織物 ( 令,家内経営 としての リボ ン織物) 49. 同上 ( 工場経営 として) 5 0. ゴム と毛 の編物 と織物 51.編物 と織物 ・靴下製造 ( 家内経常 として) 5 2 .同上 ( 工場経営 として) 5 3.釣針編物 ・刺繍 ・レース製造 ( 家内経営 として) 1 882年 ドイツ帝国職業 =営業調査 (2) 日 1) ll 5 4. 同上 ( 工場経営 として) 55.全種類の織物用繊維 ・撚糸 ・織物,および布地の漂白 ・染色 ・捺染と光沢仕上 56.線飾製造 57.綱製造 とロープ製造,さらに網 ・帆 ・袋などの製造 職業統計 にあ って はあ くまで も就業者個 々人の経 済的属性 としての職種 が問 題 となるはず である。 従 い,産業分類 や営業分類 とは別様 の分類基準 が準備 さ れねばな らない。 しか し,職業 自立 と職種分化 の未成熟 なこの段 階で は,細 目 分類 においで も個 人の職業 を前面 に出 した職種 区分 に まで は進 んでいない。今 回の調査 で は職業 を包摂 す る営業 を先行 させ, まず は旧来 の営業分類 の枠組 み を軸 にそれ を産業分類 に拡 げ,産業枠 の内 に個 々の職業 を配列 した ものが用意 されている。 従 い, ここで は営業分類 を産業分類 に拡大 し, そ こか ら分化 して きた もの と して職種 区分 が捉 え られている。 この点 で,職業分類 といいなが ら 職種 分類 には届 かず,営業分類 が核 となっている。 作成 当事者 も認 めている よ うに, この営業分類が ただひ とつの原則 によって貫 かれる ことはない。 これ に は製 品素材 別 ・労働 別, また使用 目的別区分が絡 み, これ まで もさまざ まな試 みが提示 されて きている。 た しか に,営業分類 こそ は これ までの ドイツ社会統 計 における営業表作 成 の長 い経験 をふ まえて獲得 された ものであ り, 関税 同盟 統計拡充委員 会, と くにその営業統計小委員会 は多 くの専 門家 の叡智 を結集 し 8 7 2年調査用 の営業経営分類 てそれ までの営業表 における分類 を整理統合 し,1 を作 成 していた。 この段 階で は営業 区分 が職業 区分 をカヴ ァ-する こ とがで き 2 年調査 で もその分類 を上 の B とCに活 か し, さらに これ まで営業表 か ら た。8 は外 されて きた農業部 門,採鉱 ・精錬 ・製塩 ・泥炭採掘業 グループ,非営利部 門,無職者層 を加 える ことによって産業分類 に膨 らませ, その上 でその中に全 職種 を包括 しよ うと した もので ある。 とはいえ,組織 としての営業 と個 人の属 性 と しての職業 とは別概念 である。 上 の分類 は この両者が分化 していない段 階 の産物 であ り,従 い職業分類 として未完成 な もので ある ことは否定 で きない4) 。 4) この点に関する鋭い批判は,R.Meerwart h,Ube rBe r ufundBe r uf s s e he ma ,Ze i t s c h7 ・ l ft/ 1 2 (1 2) 第1 7 7巻 第 1号 ,「主体的意味での職業」 と 「客体 的 この当時 は職業 には二義性 が もた され 意味での職業 」 が語 られていた。 前者 は生計 をまかなうための個 々人の特殊経 済活動,つ まり狭義 の職業,後者 はひとつの共通 目的のために統合 されたさま ざ まな経済活動の全体,つ まりは営業 ない し経営のことであ り, この二つが同 じ言葉 で表示 されていた5 ) 。小規模 の手工業生産が産業部 門 を支配 していた段 階にあってはこの両者 は統合 されている。 しか し,大規模 な工場生産が発展 す るにつれ職業 と営業 とは分離 してゆ き,-営業 ( 経営) 内にさまざ まな職業従 事者が協働することになる。 例 えば, ビール醸造工場では本来の醸造職の外 に 指物 や樽製造,運搬,会計 や販売 とい った業務 に携 わる者がかかわって くる 。 従い,営業か らみれば醸造業 とい う業種 であるが,職業面か らすればそ こには 異種 の職業が複数混在することになる。1 9世紀80年代 にはい まだ手工業や家内 工場が広範 に残存 していた とはいえ,職業 と営業 は区分 されるべ きであ り,職 業調査 には先の 「 主体的意味での職業」 を網羅する分類 コー ドが必要である 。 この二義性 を払拭で きず,営業分類 の枠 内で しか職業分類 を示 しえなか った と ころに,今回の職業調査 のもつ制約のひ とつが看取 されよう。 次 に問題 とされるのは先 に触 れた 「 業務 関係,労働 =,あるいは雇用関係」, つ まり職業あるいは業務上の地位分類である。 ここではまず,当該者の立場が a) として 自立 したものか/否 か, これが分類 の前提 におかれ,前者が業主 ( ら) と広義 の労働者層 ( C ) に 2分 さ とり出 され,非 自立層 が さらに中間層 ( れ,結局,次の 3区分が提示 される ことになる。 a.業主 :土地所有者,所有者,占有者,共同所有者 または共同占有者,借地人,永 借入,分益借地人,手工業親方,企業家,監督者,管理者,業務指導的管理人, \de sKbnz ' gl i c hP7 1 e uS S i s c he nSt at z ' s i t z ' s c he nLL l nde s amt s ,J g.5 4,1 91 4,S.3 71 ,によって提示 されてい る. この欠陥はその後の調査で も埋 め られず,第一次大戦後になって本格的な職業分類作成の試 a t e ,Di eBe r uf s s t at i s t i k,Di eSt at i s t i kL ' nDe ut s c hl andn ac hz ' hr e m みがみ られ ることになる.良.Pl s g.vonF.Bur gdbr f e r ,Bd.2,Be r l i n,1 9 4 0,S.6 5 5 . he ut i ge nSt and,hr 5 ) E.Mi s c hl e r ,Be r ufundBe us r s t a t i s t i k,Wb7 t e r b 〟c hde 7 -Vol ks wi r t 3 ・ c ha ft ,hr s g.Y onL.EI s t e r , Bd.1 ,1 8 9 8,S.3 4 5,F.Zahn,Be r ufundBe r us s t at i s t i k,Handwbr t e T ・ b uc hde rSt aat s wi s ∫ e n s c ha ft e n, 3.Au 鋸 Bd.2,1 9 09,S.7 939 4. 1 882年 ドイツ帝国職業 =営業調査 (2) (1 3) 1 3 農業 や商工業 での他 の各種指導者,他 人の勘定のため 自宅で就労 している者 b.上級管理職員お よび監督職員,会計職員 と事務職員 :業務指導的で はない管理者 と監督者,お よび業務指導的ではない他 の職員,学問的 ・技術的 な修養 や商人 と しての修養 を積 んだ管理職員や監督職員,業務代理人,支配人,会計掛,簿記掛, 出張店員や注文取,経営 に雇 われている計算掛 や書記 C.その他 の被雇用者 :すべての当該職業 の就業者 ( 令 , bには属 さない監督,職工 長,工夫長) 農業での下男 ・下女,羊飼 いや牧童, と くに 日雇農業労働者 採鉱業 での坑夫 や鉱 山労働者 手工業での職 人や徒弟,工場 での工場労働者 商業 での店員や女店員, 各種営業 における車力,下働 き,賃金労働者 と日雇労働者,奉公 人, 家長の職業 に従事 する家族就労者 (とくに農業 において) 農業での被雇用者 として園芸労働者や園丁, また鍛冶屋 や牽大工 などの手工業者 これは人口セ ンサ スで も採用 されて きた慣習的な 3区分 を踏襲 しなが らも, それによ り細かい規定 を盛 り込 んだもの となっている。 a.土地や工場の所有 者 ・経営者 ・業務主導者 ( 指導的管理者)/b.中間管理職 ・専 門職/C.被 雇用者 ・労働者 といった区分でみれば, これは当時の社会的階級構造 を大体の ところ反映 している といえる。 ただ し,手工業親方や家内工業主が aの業主層 に入 ってお り, これ らすべてが果た して実質的 な経営者層 といえるかは問題 の 多い ところであ り,厳密 な階級区分 とはな りえていない うらみは残 る。 この 3区分 は旧来の営業表の不明瞭 さを批判する中か らうみ出 された もので ある。1 861 年関税同盟営業表では手工業者表では親方/職人/徒弟,親方 また は店主/職人/徒弟,店主/職人/徒弟 といった区分が混在 し, また工場表で は経営者数の表示 はな く工場数が工場主数 に該 当する とされ,管理者 ・監督者 /労働者 とい う区分が採用 されていた。 しか し, この管理者の所属が経営主層 か被雇用者層かについては明確 な規定がなかった。 このように,就業者の階級 区分 とい う面では不十分 な表示 しか残 さなかった。 これは当時の営業表が直接 調査ではな く,既存 の税務記録 を資料源 に していたその制約か ら くるものであ 1 4 (1 4) 第1 7 7巻 第 1号 る。 しか し,実態的には旧体制の身分制度が崩壊 し,土地 と資本の所有 ・非所 有 を軸 に した新 たな階級関係が出現 しっ 、あった。 この ことはすでに少 なか ら ずの識者 の看取する ところであって,例 えば, プロイセ ンと関税同盟の営業問 題 に精通 していたフ ィーバー ンの分析 に拠 れば,すでに6 0 年代初めに,貴族 ・ 市民 。農民 とい うこれ までの社会構成 についての基本分割 は意味 を失 い, これ Ber uf s s t 畠nde) が事実 にそ くした区分基準 にな か らの市民社会で は職業身分 ( 上層階級」 に土地貴族 ・商工業や国務での指導 る とみている。 そ こでは,① 「 者層,② 「中間身分」 に営業者 ・商人 ・公務員,③ 「 庶民層あるいは労働者階 級」 に小市民 ・農夫 ・労働者が属する とされ, この( 彰が数量的には人口の主要 部分 を占め,その公正感 と秩序意識 にこそ ドイツ民族 の存続 と進歩が依拠 して い る とす る。 しか も,資 本 主 義 的経 済 発展 は② の 中 に工 場 で の営 業 身分 ( Ge we r bes t 畠nde) の分化 をもた ら し,一方 の工場主 と他方 の労働者 を対極 と しなが らも,その中間身分 として技術者 ・帳簿掛 ・出納掛 ・出張店員 ・監督者 といった層 の形成 と増大 をもた らす とみる6 ) 。 こうした人口の階級 3区分が統 計表示 に活 か されるには時間がかかるのがふつ うとはいえ,営業統計 を直接調 査 によって作成する段階 を迎 えては,旧態依然の分類基準 はもはや問題 にはな らない。 関税同盟統計拡充委員会の検討 はこうした階級区分 を受 け入れ, これが7 2 年 調査の構想で は多 くが手工業形態 にある小経営の場合 には,業務所有者/その 他, また工場 とよばれる比較的大経営の場合 には,業務所有者/支配人 ・監督 者 ・帳簿掛/ その他,に区分 されている。その他 とい うのは上述 した職人 ・徒 栄,被雇用者全般や労働者 を指す。82年調査 はこの後者の 3区分 を踏襲 し, さ らに詳 しくそれぞれの地位区分 を規定 したものである7 ) 。 6 ) G.V.Vi e ba hn,St at i s t z ' kde szol l v e r e i nt e nL L ndnb 7 1 dl i c he nDe ut s c hl and,Te l l2 ,Be r l i n,1 8 62 ,S. 3 0 2 ,3 22,Te i 13,Be r l i n,1 8 6 8,S.51 8. 7 ) ヘ ッセ は これ を業主/職員/労働者 の 3大 区分 とす る。A.He s s e ,Be r ufunds oz i a l eGl i e de r ,Jahr bi l c he rfi l rNat i on al bk on omi eandSt at t ' s t z ' k ,Bd.9 5 ,1 91 O,S.7 22 . ungi m De ut s c he nRe i c he ツ アー ンもこれ と同 じ区分 を採 る。 ただ し,本来 の社会階級 区分 には, さらに教養 と所有 =所得 関係 が加味 されねばならな く, これはあ くまで職業 における社会構成区分 に留 まる とみなす。 / 1 882年 ドイツ帝国職業=営業調査 (2) (1 5) 1 5 しか も,今 回は初 めて農業部 門が営業 に加 え られ た結果,農業経営 での入 り 組 んだ就業 関係 を くみ挙 げ, 下 のよ うなよ り複雑 な分類 が準備 され た。独 立 自 営 農民層 ( a) の 中 にあ って, さらに賃労働 者 を雇 い農場経営 者 と して活動 し a T) を別 に析 出 し, かつ農業 労働 の担 い手 を 3区分 した もの で あ て いる層 ( る。 aT. 自立 して農業経 営 を営 み, 同時 に農業 で の 日雇労働場 ( Tagel ohner ei ) を営 ん でいる者 cl .家族 身内 C 2. 下男 ・下女,その他 の被雇用者 C 3. 日雇労働者 と小屋番 さらに上 で みた よ うに, い まだ各地 に残存 している繊 維業 にみ られる家 内工 業形態 の営業 で はその業主 が産業部 門 Bにお いて, af r .他 人の勘定のため 自宅で就労す る営業経営者 とされ,業 主 層 の 中で特 別 に分 類計 上 され て い る。 上 で み た繊 維 業 中の4 6・ Hausbet ri eb) とあるの は これ を指 す。 関税 同盟 48・51・5 3項 に 「家 内経営 」 ( 統計拡充委 員会 の審議 にお いて も, この家 内工業 を どの よ うな標 識 で象 り出す か は大 きな問題 とされてい た 。 しか も, その多 くが問屋 制 下 の農村手工業 と し て営 まれ て い たが, そ れ を小 経 営 の場 合 に は 「 工 場 商 人 また は工 場 問屋 」と い った他 人勘定 の ためか, またかれ らか らの 「 原材料 や主 要道 具」 の提 供 が あ るか どうか, また比較 的大経営 の場合 には,逆 にその傘 下 にある独 立営業経営 者 の有無 , この二面 か ら調 べ よ うと した。今 回の調査 で はそれ らを一本化 して, rとい う質問項 目を設定 しその実態 を把握 しよ う とす るわ けで 仝経営 に対 し af \F.Za hn,Be r u鮎C heunds oz i a l eGl i e de r ungde sVol ke s ,Di eSt at z ' s t i kI nDe ut S C hl and,hr s g.von F. Zahn,Bd.1 ,Mi i nc he nu.Be r l i n,1 91 1 ,S.1 7,21 .また,ボルクトの分類では,これが 「 社会的 3階梯 ( st uf e ) 」とされ,業主/非指導的職員/被雇用者ならびに労働者に区分されている。R. V.d.Bor ht g ,Be T ・ u fge s e 仏c ha ji l i c heGl i e de 7 ・ un gundBe t r z ' e bz ' m De ut s c he nRe i c he ,Lei pz i g,1 91 0, S.3 94 0.いずれも,その区分された内容では同じである 。 第1 7 7巻 第 1号 1 6 (1 6) ある。 3 総 括 表 この調査結果 には次のよ うな 3つの総括 ( ニ概括)が予定 され,帝国統計 庁 によってその書式が用意 され,実際の作成 は各国政府 に委ね られ,その作業 に はそれぞれの国の統計 中央部署 ( -統計局)が当た り,かかった費用 は国家予 算の中か ら補償 されることになる。 ① 諸国家,大行政区, さらに人口数別の全土の 5地域区分 ( 1 8 80年調査 の 0万人以上 の大都市,1 0万-2万人の中都市, 2万 結果 に もとづ いた人口1 5, 000人の小都市,5, 0 002, 000人の農村都市,2, 000人未満の農村) にお ける職業 ・生業 ( 主職業 ならびに副業)別人口分布 ( ∋ 国家人口の性 ・年齢 ・家族関係 と主職業 との関連 ( 勤 国家人口の中の非健常者 と寡婦 この うち,① が今 回の職業調査 の主結果表 であ り, これは,以下 の分類 に よっで性別 を伴 った就業人口をまず主職業 ・副業別 に, さらに個別副業分野別 分類 を加 え,かつ地域区分 と職種 ・地位別区分 をとり入れて表示 しようとす る ものである。 主職業別 人口 就業者 副業 な し 副業 あ り ( 産業部門 Aか ら Eまでの区分 あ り) 主人の世帯 で家内奉仕 のための奉公 人 ( 含,個人サー ヴ ィス,除,農業 あるい は 商工業 での奉公) 一般 的 に就業 していないか,副次 的 にのみ就業 している世帯 身内 ( 1 4歳以上 /1 3 歳以下) 副業 を有 した者 の副業分野別分布 独立 して農業 を営 んでいる者 産業部 門A ・B ・Cにおける他 の業主 "産業部 門A ・B ・Cにおけるすべての被雇用者,労働者 と日雇労働者,産業分野 Dにおける就業者 1 8 8 2年 ドイツ帝国職業 =営業調査 (2) (1 7) 1 7 産業部 門 Eにおける就業者 無職 ない し職業 申告 な しの世帯主 と業主, さらに部 門 Fにおける施設収容者 家内奉公 のための奉公人 ( 含,個 人サー ヴ ィス) 副次 的 にのみ就業 している世帯 身内 この分類 コー ドは主職業別 人 口において総 人口の就業 ・不就業 関係 を捉 え, 就業者の職種分類 と, と くにその副就業 の実態 を詳細 に描 き出す こ とを目的 に している。 副就業 が まず は産業分類 ,つ いで地位分類 , この 2面 か ら捕捉 され ている ことにそれが現 れている。 この地域分類 は上述 のよ うに各国の大行政区 と住民数別 5地域 区分 である。 ② は就業 ・不就 業別 人 口 と性 別 ・年齢 別 (8区分), お よび家族 関係別 ( 莱 婚 者 と離 別者,既 婚者,寡婦) 区分 を ク ロス させ た表 で あ る。③ は高齢 ・傷 害 ・疾病 のため就業不能 となった者 の以前 の職種 と労働 ・雇用 関係 別 人口 を年 節 (7区分)・性 別 とクロス させ た もの, お よび現在 は寡婦 で ある者 を死亡 し た夫 の以前 の職種 と労働雇用 関係別 に, しか も就業 中か/不就業 あるいは副業 に就 いているかの区別 を加 え, その年齢別 (6区分)分布 を とった ものである。 これは冒頭 に述べ た今 回の調査 の背景 にあ った社会政策上 の基礎資料獲得 のた めの概括表 で ある。 以上 3様 の概括表作成 を遂行 した国家 は, その① を1 883年 4月 1日まで,② と③ を 6月 1日まで帝国統計庁へ発送すべ Lとされている。 ただ し, これ を実 際 に自国の責任 において作成 した国家 はプロイセ ンやバ イエ ル ン, またザ クセ ンや ヴユルテ ンベ ル ク,バーデ ンやヘ ッセ ンとい った1 0国 に限 られ,他 の1 6国 はそれ を帝 国統計庁 に委託 している。 また,① の詳細化 として,④ 「 / ト行政区 ご との主職業別 人 口」が作成 されて いる。 これ は 9月 1日まで に作成 ・送付 されるべ しとな っている。 この小行政 区 とはプロイセ ンの場合 の郡であ り,各国のそれに相 当す る中位 の行政管区の ) 0 こ とである8 8 ) 1 8 8 2 年職業調査の結果 は 『ドイツ帝国統計』 ( 新 シリーズ)で以下のように公刊 されている。/ 1 8 (1 8) 第1 7 7巻 第 1号 さらに,上の 4つの総括表 とは別 にひとつの重要 なクロス表が後 日帝国統計 庁 か ら作成 ・公表 されている。 この職業調査 によって職業構成面か らみた ドイ ツ国民の構造的特徴 を把握することが可能 となる。 す なわち,職業調査項 目の 就業分野 ( =職種区分) と職業上地位分類 をクロスさせることで,全国民の階 級構成が概括可能 になる とい うことである。1882年職業調査 は全国民 を対象 に した 「 職業区分 と職業地位」表 を作成することによって,いわば階級構成表 と いえるもの を提示 している ( 附録 Ⅱの 「 職業区分 と職業地位」 を参照 )9)0 上 の主結果表① をベースに して, この表 は まず表頭 に ① 職業就業者,( a 家内奉公人,③ 世帯 身内 ( 非就業か副業従事者) の欄 を設定 し,すべ てを職 l .林 業帰属者 として とり挙 げ,表側 には A I.農業 ・畜産業 ・園芸業, A I 業 ・狩猟 ・漁業, B.工業 ( 含,採鉱業 ・建設業), C.商業 ・運輸業 ( 含, 旅館業 ・飲食業), D.賃労働 と家内奉公, E I.軍務 と軍政, E Ⅲ.国家 ・ 自治体 ・教会勤務 といわゆる自由業, F I.無職者 と無 申告者, FⅢ.職業準 備 と修業 中の者 および施設収容者, この 6部 門区分 を設 け, そのおのおので 該 当す る職業地位 区分 ( 上記 の a,b,Cの一般 的 区分, これ に農業 における aT,cl ,C 2,C 3, さ らに繊 維 業 で の a f rの地位 区分 が加 わ る) を取 り入 れ, 4, 522万人強の国民 ひとりひ とりを該当する桝 目に配置で きる図式 を用意 して いる。 これによって,全国民が就業者か非就業者で分 けられ,後者 はさらに就業者 の家族身内 ・世帯内奉公人か,修業者 ・無職者 ・施設収容者かに区分 けられ, 職業 との関連 において国民全体 の悉皆把接が遂行 されることになる。 もちろん, 人口セ ンサス結果 によって もかかる構成表作成 は可能である。 職種 と地位分類 が設定 されているか らである。 しか し,職業調査 によれば,国民の営業活動 の \① は,Be uf r s s t a t i s t i kde rSt a a t e nundgr bL S e r e nVe r wa l t ungs be z i r kema c hde ra l l ge me i ne nBe .d.D. R. ,N. F. ,Bd.4,1884,②,③,④は,Beruf s s t a t i s t i k r uf s z 盆 hl ungvom 5 .J uni1 88 2,Si .i D.R. ,N. F. ,Bd.2 ,1 88 4,として出 na c hde ral l ge me i ne nBe r uf s z Ahl ungvom 5.J uni1 8 8 2,St .a D.R. ,N. F. , 版されている。さらに別に15大都市それぞれとそれら全体の職業別人口が,St Bd.3 ,1 8 84 ,に掲載されている。 9) st at i s t i s c he s. I ahr b uc hfi l rdosDe ut s c heRe i c h,J g.6,1 885 ,S.4-5. 1 88 2年 ドイツ帝 国職業 =営業調査 (2) (1 9) 1 9 拡充期が対象になっている,地位分類 において人口セ ンサスよ りよ り細かな区 分設定がなされている。 こうした点ではるかに充実 した階級構成表が獲得可能 となる。 これはセ ンサ ス としての職業調査 を もって初めて可能 となる もので あった。 この点を指 して,例 えば, リュ-メリンはこの構成表の意義を 「 就業 には多様 な相違 とその亜種や形態が あ るが,それ らにそ くして仝社 会構成 ( di ege s a mmt eGl i e de r ungde rGe s e l l s c ha f t ) が表示 された」 もの として高 く 評価す る。 人口の職業調査 は官庁統計 の最大の難問であ り,その解決は長い間 882年調査 は少なか らずの調査漏れを含んでい の切なる願望であったが, この1 , るにせ よ, これ までの最 も合理的かつ最上の成果であるとし 「 完全性 におい て,またおそ らくは信頼性 において もどのようなヨーロッパ諸大国の職業調査 といえども ドイツの職業調査 には較べ ようもない」,さらに 「 社会的職業構成 と生業構成について,いかに多 くの これまで知 られていなか った開示 と,いか に価値多 き開示 とが職業統計 に負 うているか とい う点が十分 に示された」 と称 賛 している1 0 ) 0 た しかに,国民の社会経済構成-階級構成表の作成は職業面か らす る国民の 社会経済的属性の全容 を把握 した ものであ り,一面で統計が社会構成体の基底 に届いた証 とみなす ことがで き,別面か らすれば国家当局による国民諸階級 ・ 階層の実勢掌握が成立 した ともいえ, こうした点で画期的な意義を もつ と考え られよう。 1 0 ) G.Rt i me l i n,Di eBe v61 ke r ungs l e hr e ,Handb uc h de rPol i t i s c he n Oe k onomi e ,hr s g.von G. i bi nge n,1 88 6,S.93 23 3 ,9 3 8. Sc h6nbe r g,2.AUK,Bd.2,Ti