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第1学年 大きな数の指導を通して

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第1学年 大きな数の指導を通して
実践記録1
第1学年 大きな数の指導を通して
神戸市立西須磨小学校 川井 暢子
1.単元
15.100までのかず
2.単元目標
○100 までの数を 10 ずつまとめて数えるよさに気付き、身の回りから進んで 100 までの数を見つけよ
うとする。
○100 までの数を、
「10 がいくつと 1がいくつ」という見方からとらえることができる。10 を単位に
すると、1位数と同じように考えることができる。
○100 までの数を数字でかいたり数直線上に表したりするとともに、数の大小比較ができる。また、何
十の合成、分解ができる。
○十進位取り記数法の仕組みを理解し、100 までの数の表し方や意味がわかる。
3.指導にあたって
○本学級の子どもたちは、算数の学習の好きな子が多い。1・2学期の学習を通して、ブロック操作が
速く正確にできるようになってきた。1 対1対応を通して、1 から 20 までの数の認識はできるように
なってきた。10 をブロックで表すのに、5と5を合わせることでわかりやすく正確に捉えることがで
きるようになってきている。人前でブロック操作をすることや、絵や図をかいて発表することなどが
好きである。しかし、10 のまとまりも、一目見ただけでは「10」と答えられない子どももおり、10
のまとまりをブロックで表すのに、5までの数を数えている子どももいる。たし算やひき算のブロッ
ク操作や文章題の図や絵をかくことはほぼ全員が理解できてはいるが、時間がかかったり、定着して
いなかったりして十分な理解とまではいえないのが現状である。20 以上の数については、生活の中で
お金の計算をしたり、出席番号としての数字を見たりして 2 桁の数に触れる機会はあるが、意味をわ
かっていないまま口に出していることが多いと思われる。
○これまでに学習した、20 までの数では、2位数としての取り扱いをしていないが、本教材ではじめて
十進位取り記数法における2位数としてとらえさせる。10 がいくつとばらがいくつ、という十進法に
基づく考えから、十進位取り記数法の基礎を養い、第2学年での 4 位数や筆算の学習へとつながって
いくため、非常に大切な単元といえる。
指導の順序は次のとおりである。
①10 の集まりがいくつと1がいくつという数の構成と数詞を知る
②数の表し方と十の位、一の位について知り、その構成を理解する
③100 を知り、100 までの数の順序、系列、大小について知る
④すごろくゲームをし、数直線を知る
⑤10 を単位とする数の合成、分解をする
(10を単位にすることで、既習の1位数のときと同じように考えられる)
⑥身の回りで 100 までの数の数字を探す
○本単元は 100 までの数の概念を養うことをねらいとしている。そのために、メダルや数え棒などの具
体物を 10 ずつまとめて数えたり、数を見て数え棒で「10 の束○つとバラ△本」と並べたりする操作
的な算数的活動を重視していきたい。そのなかで 10 にまとめる必要性、十進法に基づいた数構成の
よさを、算数的活動で感じさせたい。
- 101 -
4.指導計画(全12時間)
第 1 次(3)
かずの
感心・意欲・態度・数学的な考え方
知識・理解・表現・処理
(育てる目標)
(指導する目標)
○数え棒やメダルの数え方を工夫し、10 ○大きい数の意味理解
の束を使って数える良さに気づく。
という数の構成と数え方を知る。
かぞえかた
第 2 次(2)
かずのかきかた
○10 の集まりがいくつと、1がいくつ
○十進位取り記数法にもとづいて、2 位 ○数の表し方と十の位、1 の位について
数の合成的な見方を育てる。
知り、その構成を理解する。
○十進位取り記数法にもとづく、2位数
の分解的な見方を育てる。
第 3 次(4)
100 までのかず
○100 までの数の数表を通して、数の構 ○100 を知り、100 までの数の順序、系
成や数え方、表し方を考える。
列、大小について理解する。
○数直線上の数の読み方を考える。
第 4 次(1)
すごろく
○すごろく遊びをしたり、数直線上の数 ○たのしくすごろくゲームをし、数直線
を読んだりして、この時間は 100 まで
を知る。
の数について、順序数や数系列の考え
方を育てる。
第 5 次(1)
○10を単位にして 1 位数と同じよう ○「何十」について、10 を単位とする
に考える。
第6次(1)
数の合成、分解ができる。
○身の回りで 100 までの数の色々な使 ○身の回りにある 100 までの数字に目
われ方を調べ、数字を使う良さに気づ
くことができる。
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をむけ、その意味を知る。
5.単元全体の流れ
第1時
○大きい数の意味理解。
○ブロックと数え棒の1対1対応の理解。
教師の発問と活動
子どもの反応と活動
※「大きいかず」と板書する。
T:今日から「大きい数」の勉強をします。
※黒板に大きな文字で「2」小さな文字で「5」とかく。
T:大きい数は、どちらでしょう。
C:「5」
T:「2」のほうが大きい数ではないですか。
C:ちがう。
大きく書きましたよ。
どうして「5」のほうが大きいのですか。
C:「5」のほうが多い。
T:そですね。「多い数」が、
「大きい数」ということですね。
T:では、ブロックを出しましょう。
※20個のブロックを出す。
T:ブロックで「26」をつくりましょう。
となりの人と協力してはいけません。一人で作りましょう。
※自力解決。→できない。
T:どうしてできないのですか。
C:ブロックが20しかない。
T:何とか工夫できませんか。考えましょう。
※ケースを使う。
T:うまくできましたね。ケース1つが「10」ということですね。
T:
「26」は、ケース2つとブロック6つで表すことができます。
※ケースの上に数え棒の絵の 10 のカードを重ねる。
※ブロックの上に数え棒を1本ずつ重ねる。
T:わかりますか。ケースの変わりに 10 のカードをブロックの変
C:(意見をいう。)
わりに棒を使います。これを数え棒といいます。
これから、ブロックのほかに数え棒を使っても考えていきま
す。数え棒の便利なところはどこか分かりますか。
C:10 のかたまりがつくれている。
T:大きい数をあつかうときには、10 のかたまりがあると便利で
すね。だから、大きい数を考えるときに使うと便利です。
T:では、数え棒を使って「大きいかず」をつくってみましょう。 ※数え棒を使って数を表す。
(いくつか例題を出す。)
T:では、今日のまとめをしましょう。
(子どもの言葉で、できれば各自でまとめさせたい。)
①「大きい」ということは、「多い」ということ。
②ケースが 10 のカード。ブロック1個が、数え棒1本。
③数え棒は、10 のかたまりが作れて便利。
《授業を終えて》
・多い数のことを大きい数という、言葉の定義をしたことで、子どもたちは算数でいう大きな数の意味を
理解することができた。初めは小さな文字であるため、2のほうが大きい数だという子どももいたが、
「ブロックで言うと」など半具体物を使うことで全員の思考をまとめることができた。
・ブロックのケースを 10 と見て、26 を作る活動では、10 の束をケース一つとブロック 16 こで 26 と作
っていたので、それはケース二つで 20 だということをもう少し強くおさえてもよかったのではないか
と思う。
- 103 -
・数え棒を使うことで、10 の束を簡単に示すことができるので、大きい数を表す時には数え棒のほうがブ
ロックよりも便利だと感じることができていた。
・ブロックと数え棒を黒板の上で重ねることにより、立体から棒へ思考が移動していくことができたと思
う。
・まとめは、この時間でわかったこと、便利と感じたことを個人でまとめてみた。ほとんどの子どもは数
え棒がかさばらず、便利であることを実感してまとめていた。また、大きい数と多い数が算数では同じ
であることも理解していた。
《子どものまとめ》
第2時
○数え棒を使って数をあらわす練習
《授業を終えて》
・10 の束を使うことが便利であることを前時で実感できているので、本時は 10 の束のカードを使って数
を表すことができていた。
・十の位と一の位に分けて数を見ることができている。
・10 の束と 10 の位が同じであることが理解でき、同じ位は集めて数え棒で数を表すことができていた。
・また、10 の束を並べるときも、ブロックで並べたときと同じように、一目見て分かる並べ方にできてい
た。
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第3時
○大きいかず(100)の量感を持たせる。
(準備) ・4人グループ
・メダル:1グループ200個程度
教師の発問と活動
・場所は、教室
子どもの反応と活動
T:今日は、メダルの数を数えます。
たくさんありますね。全部で、いくつあるでしょう。
これから数えていきますが、数えた後もぱっと見てすぐにいくつ
あるか分かるように並べていきましょう。
ここに、牛乳パックと画用紙があります。どう使ったらいいかよ
(自力解決)
く考えて使いましょう。
相談しながら、試行錯誤しながら
では、班の人と相談して、どうするか決めてから始めましょう。 並べていく。
T:机間指導
T:できましたか。どのグループが一番分かりやすいでしょう。みん
※みんな見て回る。
なで見て回って決めましょう。
T:どの班が一番分かりやすいですか。理由も説明しましょう。
C:(発表)
T:そうですね。「10」をひとまとまりにしてそろえておくと分かり
やすいですね。そして、「10」のまとまりをまた「10」そろえる
と分かりやすいですね。
○○○○○
○○○○○
・・・・・
○○○○○
○
・・・
○○○○○
268
こ
○○○○○
牛乳パックにメダルを 10 個いれ
牛乳パックを画用紙の上に並べる。
T:この画用紙1枚分が「100」です。
※透明のビニル袋に 100 個のメダルを入れ量感を持たせる。
T:2枚分入れると?
C:200
T:3枚分では?・・・・・・・9枚分では?
C:300・・・・900
T:10 枚分では?
C:1000
T:すごいね。100 でこれくらいだったね。(動作化)
※動作化
1000 では、こんなになります。(動作化)
※まとめをかく。
T:では、今日のまとめをしましょう。
100 個について、1000 個について自分の思ったことをかきましょ
う。
(量感をとらえているか?)
《授業を終えて》
・メダルであったため、10 ずつの束にしてはいるが、牛乳パックに入れなくても重ねて 10 の束ができる
ため、メダルでなく転がる丸いものの方がよかった。
・10の束を 10 個つくって画用紙の上にのせたが、できればブロックの 10 の束を作る台のようなもので
あると子どもはもっとわかりやすかったのではないかと思う。
・グループ4人で活動をしたが、2人くらいの人数であれば、活動しやすかっただろう。また、グループ
によって、活動の進み具合に差があった。早くに出来上がったグループは牛乳パックに入っている数が
10 ずつ入っているかをもう一度確認し始めてしまった。そのため、自力解決が終わった時間にきちんと
形が出来上がっていないグループもあり、どの時間で自力解決を終わらせるかがポイントだと感じた。
- 105 -
・具体物を使って数えたため、量感を十分に養えた。百の位の数が上がるにつれて、子ども達は量が増え
ていくことを十分に理解していた。
・まとめを個人でしてみると 10 が集まって 100 ができており、100 が集まると○百になることをよく理
解しているまとめができていた。
第4時
○数のかきかたを理解する。
○十進位取り記数法に基づいた
・2位数の合成的な見方
・2位数の分解的な見方 を育てる。
教師の発問と活動
子どもの反応と活動
T:今日は、
「かずのかきかた」の勉強をします。
T:前の時間を思い出してみましょう。
1が、メダル1個でした。10 は?
C:牛乳パック
100 は?
C:画用紙
T:そうでしたね。その前の時間は、何を使ったかなあ?
C:数え棒
T:そうですね。数え棒1本が1。10 は?
C:10 のカード
T:そうでしたね。では、今言った事を書きます。
※ワークシート配布。
T:数え棒やメダルを「一の位」
牛乳パックや 10 のカードを「十の位」
画用紙や 100 のカードを「百の位」といいます。
プリントにかきましょう。
※「一の位」「十の位」「百の位」と
かく。
T:それでは、数を書いていきましょう。
十の位が「2」。どこに書けばいいでしょう。
C:十の位の下
そうですね。十の位の下に「2」と書きます。書きなさい。
次は、一の位が「6」
。もうどこに書けばいいかわかりますね。 C:一の位の下
書きなさい。
T:何と読みますか。
C:26
T:では、次です。十の位が「3」一の位が「0」
※「30」と書く。
T:何と読みますか。
C:30
T:次です。十が7つと1が5つでは?書きましょう。
C:75
T:十が6つでは?書きましょう。
C:60
T:「0」を書くのを忘れませんでしたか。
T:では、今度は、反対ですよ。「56」は、
十がいくつ?一がいくつ?
C:十が5つと一が6つ
T:そうですね。では、「90」は、
C:十が9つ
T:よくできました。もう少し練習します。
※練習問題をする。
T:もう枠がなくてもできますか?
枠がなくなると「0」を忘れないようにしましょう。
「2」とかけば、
「2」ですが「20」と書けば{20}ですね。
- 106 -
《授業を終えて》
・この授業の最後に「数は、0から9までの数字を使って場所によって意味を表します。場所によって「に」
になったり「にじゅう」になったりします。どこに「2」と書いてあるかわかるように「0」をつけま
す。「0」をつけないでもわかるときもあります。たとえば「26」です。」と、十進位取り記数法を 1
年生に分かるようにまとめてみた。
・数え棒で何度も練習を重ねたことにより、位が違えば書く場所も違うことが自然と身についていた。
・ワークシートを用いることで、どの場所に数を書き入れればよいのかがよく分かったようだ。また、書
くことがなければ、0を記入すればよいことも混乱することなく理解していた。
・ワークシートを用いて、数字を読む時に、指で押さえながら読ませると位をもっと意識できたのではな
いかと思う。
(ワークシート)
かずのかきかた
1年(
)くみ
なまえ(
)
がようし
牛乳パック
メダル
100 のカード
10 のカード
1本
百のくらい
十のくらい
一のくらい
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第5時
○十進位取り記数法に基づいて
・2位数の合成的な見方の練習(十が2つと一が3つで23)
・2位数の分解的な見方の練習(23は、十が2つと一が3つ)
第6時~第9時:100 までのかず
○100 までの数の大小や数系列や順序を理解する。すなわち、100 までの数を順序数や計量数として捉
えていくことである。
第6時:いくつあるか数える。計量数としてとらえる。
・具体物を使うことで、一層理解が深まると思われる。
第7時:1から 100 までを書く。順序数としてとらえる。
・100 まで方眼紙に書かせる。
・かくれた数をみつける方法は、順序数と計量数の両方で見つけさせる。
第8時:てんすうくらべ(ゲーム)
・10 がいくつと1がいくつという言い方に慣れさせ、徹底する。
・100 点をつくる。
・数の大小を考えるとき、39
と
3?は、どちらが、大きいという問題を出して考えさせる。
第9時:かずの大きいじゅんにならべる。
①100 までの数の数字カードをよく混ぜて裏返しておき、5 人の子どもたちに1枚ずつとらせて、黒
板に貼る。それを見て、各自が、大きい順にノートに書く。その後、答えあわせを黒板に貼ってあ
るカードでする。
②なぜそうなるかを考える。
・十の位を比べてその後一の位を比べたら分かる。(計量数)
・となえかたが、後になるほうが、大きな数になる。(順序数)
③その考え方を使って、練習問題をする。
(教科書の問題)
《授業を終えて》
・この小単元で、数を計量数として見る事が多かったため、計量数として数を見ることの方が順序数より、
簡単だったようだ。
・100 までの数の表を縦に見たり、横に見たりすることで、10 の位が増えるのか、1 の位が増えるのかが
分かってきていた。
第 10 時
○すごろく遊びをする。
・こまの進め方を「計量数」と「順序数」で見つける方法を子どもたちに見つけさせる。
- 108 -
第 11 時:10 がいくつ
○10 を単位にすると 1 位数と同じように考えられることを見つける。
T:30 円と 20 円でいくらですか。→C:50 円
T:30 円は、10 円が何枚?→C:3枚
T:20 円は、10 円が何枚?→C:2枚
T:だから 30 円と 20 円では、10 円が、何枚?→C:5枚
T:40 と 30 でいくらですか。→C:70
T:40 は、10 がいくつ?→C:4つ
T:30 は、10 がいくつ?→C:3つ
T:だから 40 と 30 では、10 が、いくつ?→C:7つ
T:何かきまりがありますね。わかりますか?
何十のたしざんは、どのように考えたらいいのでしょう。考えを発表しましょう。→C:(発表)
T:そうですね。
「10 を1と考えると、今までと同じように考えられるのですね。」
T:では、練習問題をしましょう。
「20 と 50 は、10 が 2 と 5 で7。10 が7だから 70」
T:反対もできますか。40 は 10 といくつですか。→C:30
T:どう考えたらいいのでしょう。
→C:40 は、10 が4、10 は、10 が1。だから4は、1と3。10 が3だから 30
T:わかりましたね。では、練習問題をしましょう。
《授業を終えて》
・10 をいくつという見方や、10 が○つという見方をすることが難しいようだ。そのため、十分に習熟をは
かるため練習時間が必要であることを感じた。
・(何十)+(何十)のたしざんは、わかりやすいようで、10 の位同士をたし合わせればよいことを理解して
いた。その計算を半具体物で表しながら説明をすれば、確実に理解できたのではないかと思う。
- 109 -
(ワークシート)
1から 100 まで
じゅんじょよく
1 年(
かきましょう。
)くみ なまえ(
)
6.単元の指導を終えて
・具体物や半具体物を用いて学習を進めたことで、数と位の関係がよく分かったのではないかと思う。
・10 を単位にして、1 位数と同じように考えるということは、なかなか難しいようで、何度か今後繰り
返す必要がある。
・この単元で育てる目標である、10 の束を使って数える良さに気づくことは達成できた。2位数の合成
的な見方や分解的な見方も達成できていたと思う。日常生活の中で 1000 までの数は身近にあり、自
然と使っていたが、数え棒を使うことでより確実に理解できたと考える。
・数え棒を使って、数の分解や合成をゲーム感覚でできた。両者の往復を抵抗なくできるように練習で
きた。
・100 までの数をかいて数表を完成させる活動を通して、数を多角的に見ることができていた。縦に見
たり、横に見たり、斜めに見たりすると、1 の位が増えているとか、10 の位が増えているなどのきま
りを多く発見することができていた。
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