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堺市における道路事業のための用地取得状況その2(PDF:115KB)
10)市道平尾14号線(意見) 道路としては既に供用済みである。また、公図混乱地域により隣地との境界が 確定できず、地図訂正の後の買戻ししか出来ないため現在も堺市土地開発公社所 有となっている状況である。 本来道路であるのだから、堺市の道路台帳に記載され管理されるべきものであ る。しかし、所有権の移転が出来ないため、堺市土地開発公社所有の道路用地と なっている。 地図訂正にはかなりの時間を要するため、公図と地番が不一致の現状のままで の堺市への売却等を含め何らかの方法を検討すべきものと思われる。 11)市道大保菅池線(意見) 道路としては既に供用済みである。また、境界が確定しておらず、分筆が出来 ないため買戻せない状況である。 これも10)の用地と同じく、早急に堺市への売却方法等を検討すべきである。 − 90 − 12)市道平尾35号線 (意見) 道路としては既に供用済みである。この用地も10)と同じで、公図混乱地域に より隣地との境界が確定できず、地図訂正の後の買戻ししかできないため現在も 堺市土地開発公社所有となっている状況である。 地図訂正にはかなりの時間を要するため、公図と地番が不一致の現状のままで の堺市への売却等を含め何らかの方法を検討すべきものと思われる。平成19年度 包括外部監査でも同様に指摘されているものである。 − 91 − 13)市道東除左岸線(意見) 市道拡幅のために用地を取得したが、一部用地の買取が困難になり、また、拡 幅しなくても現在の交通量に対応できるため、市道の拡幅工事を中止することと なった。元の所有者に買い取ってもらおうと思ったが、地番と公図が一致せず、 境界確定のための時間を要した。最近境界が確定したため堺市が堺市土地開発公 社から買戻し、後に元の所有者に売却する予定である。 一応の対策は進んでいるようであるが、なるべく早急に処分を実行すべきであ る。 2.長期保有土地の問題点(意見) 堺市においては<表8−4>、<表8−5>に示すとおり10年超保有する土地で 堺市土地開発公社が保有するものを含め、約4億2,000万円存在する。これらの内、 約4,000万円は前述しているが道路としては完成、供用開始しているものの分筆でき ない等の理由により道路として道路台帳に記載できないため、堺市土地開発公社所 有として残っているものである。それ以外の約3億8,000万円は今後事業が行われ道 路となるものである。長期保有となるとその間の金利や維持管理業務に伴う経費等 余分な経費が発生する。 特に土地開発公社が取得したものの買取代金は、基本的に土地開発公社が取得資 金を借入金でまかなうため、金利を全額負担することとなる。 用地の取得時期は、権利者との交渉の進展を予測することは非常に難しいとは思 われるが、できる限り道路工事実施と期間が空かないようにし、また、余分な経費 の発生を抑制すべきであると考えられる。 − 92 − <表8−4> 道路用地保有期間別一覧表(堺市土地開発公社保有金額) 事業名 堺都市計画道路事業南花田鳳西町線 堺都市計画道路事業諏訪森神野線 市道浜寺諏訪森西40号線道路築造事業 堺都市計画道路事業新家日置荘線 堺都市計画道路事業草尾南野田線 市道西野44号線道路築造事業 市道草尾西野1号線事業 市道浜寺石津東浜寺諏訪森東3号線事業(錦浜寺南町線事業) − 93 − 南部大阪都市計画道路今池三国ヶ丘線事業 南部大阪都市計画道路広陵多治井線事業 西藤井寺線 大阪狭山線道路築造事業 市道石原14号線(延伸部)道路拡幅事業 一般国道310号線交差点改良事業 市道福田上之線道路改良事業 府道堺富田林線道路改良事業 南部大阪都市計画道路鳳上線 南海本線(堺市)連続立体交差事業及び都市計画道路事業 西藤井寺線 市道大保菅池線築造事業用地 市道東除左岸線築造事業用地 南部大阪都市計画道路八尾富田林線 市道平尾35号線築造事業用地 市道平尾14号線築造事業用地(代行用地) 合計 面積 286.98 2,810.63 66.14 559.30 2,077.34 886.17 2,669.13 1,683.37 579.04 162.28 124.01 4,721.67 52.10 275.14 246.46 102.74 1,077.68 228.78 164.23 458.20 110.41 2,425.00 682.00 501.06 22,949.86 (単位:円) 平成20年3月現在保有金額 5年未満 126,738,139 0 835,579,054 197,115,320 33,457,745 33,457,745 110,927,732 110,927,732 251,458,480 0 323,492,485 193,921,067 594,386,976 594,386,976 441,577,444 141,698,906 231,290,023 231,290,023 9,827,940 9,827,940 36,939,329 36,939,329 1,065,268,978 1,065,268,978 3,467,255 3,467,255 86,527,995 86,527,995 73,447,765 73,447,765 55,166,259 55,166,259 955,064,123 955,064,123 41,380,581 41,380,581 44,621,582 768,000 6,981,838 51,838 4,543,182 34,314 40,377,600 164,900 10,483,248 16,873 22,847,987 59,115 5年以上10年未満10年以上15年未満15年以上20年未満 472,147,306 金利 26,295,139 166,316,428 59,447,842 3,774,107 251,458,480 129,571,418 45,627,283 299,878,538 25,159,046 3,265,557 256,031 5,582 950,000 42,898,000 6,930,000 4,508,868 39,924,125 10,466,375 288,575 5,405,853,740 3,830,983,034 1,153,349,899 − 93 − 20年以上 126,738,139 206,272 22,582,600 167,472,700 192,218,739 61,829,368 8,936,991 0 824,030 806,806 156,773 4,850,286 0 0 0 0 0 0 <表8−5> <表8−4>のうち10年超保有部分の金利負担 事 業 名 金 額 (単位:円) 平成20年3月末 現 在 金 利 1 南 部 大 阪 都市 計 画 道 路 事業 南 花田鳳西町 線 126,738,139 26,295,139 2 南部大阪都市計画道路事業諏訪森神野線 166,316,428 19,741,228 3 西 線 42,898,000 0 4 南部大阪都市計画道路八尾富田林線 39,924,125 0 5 市 線 22,582,600 0 6 市 線 6,930,000 0 7 市 線 10,466,375 0 8 市 線 4,508,868 0 藤 道 道 道 道 井 平 尾 大 平 寺 1 保 尾 東 除 4 菅 3 号 池 5 左 号 岸 3.用地取得金額の問題点 1)複数鑑定導入の検討(意見) 用地を取得する場合、その評価額は通常の場合、堺市不動産審査委員会によっ て審査され、それに基づき土地所有者と交渉の上、契約されるが、この堺市不動 産審査委員会に諮られる金額は、土地については金額が少額なものなど一定のも のを除き通常の場合不動産鑑定士の鑑定評価を入手する。堺市には不動産鑑定士 約50名が登録されており、その中から不動産鑑定士を選定し鑑定評価を入手する こととしている。不動産鑑定士の選定は事業が新規か継続か、地区への精通度合 い等を考慮して、1つの案件に関し1人の不動産鑑定士としている。しかしなが ら、特殊な土地や金額が多額に上る案件等、重要と思われる案件に関しては、や はり、複数鑑定評価を入手してより客観的な評価額を得た上で、最終的には堺市 不動産審査委員会が総合的に検討して取得金額を決定できるとするほうが望ま しいと思われる。 2)不動産鑑定士の選任方法について(意見) また、現行の不動産鑑定士の選定の方法では、継続事業の場合、既評価とのバ ランスに留意した評価結果が期待できる半面、特定の不動産鑑定士に依頼が集中 する可能性も残る。鑑定士選定のルールについても新規事業はもちろんのこと継 続事業でもあっても買収区域が広い、または事業期間が長期間にわたるような案 件に関しては不動産鑑定士を新たに選定する等発注の方法など検討の余地があ ると考える。 − 94 − 4.時点修正のあり方について 市の「堺市不動産審査委員会事務取扱要綱」においては、評定書の有効期限及び その時点修正のあり方について、以下の規定がある。 第9条(時点修正) 時点修正は、評定後3月を経過した後でなければ行わないものとする。 2 時点修正を行う場合は、地価公示価格又は大阪府基準地価格の対前年の変 動率、不動産鑑定士による意見等を参考に適正に求められた修正率を用いるもの とする。 第10条(評定書の有効期限) 評定書の有効期限は、その発行の日から1年とする。 第11条(再評価の制限) 同一物件の有効期限内の再評価は、第9条に規定する時点修正の場合を除いて は、原則としてこれを認めない。 これらについては、次の問題点があると考えられる。 1)時点修正の適用方法について(意見) 現在の時点修正は、評定書有効期限である1年以内に、その期限切れ直前に時 点修正をすることが通常であるが、今回の監査では、上記要綱における3ヶ月を 経過したものについて、案件によっては、臨時的に時点修正をした事例があった。 この時点修正のあり方については、事業の推進上止む得ない面もあったと考え られるものの、他の評価との公平性の観点から大きな問題がある。 今後、時点修正のあり方については、どのような場合に個別に適用するのか等、 評定書の有効期限との関係を含め、その運用ルールについての検討が必要である と考える。 2)時点修正の期間について(意見) 前記要綱にあるように、一度評定書が発行されてから、3ヶ月を経過した場合 には、時点修正による再評価を行うことができるが、現在の時点修正は、原則と して評定書有効期限である1年以内に、その期限切れ直前に時点修正をしている。 − 95 − これは、権利者(市民)の生活再建や生活設計等を考慮した場合、その前提とな る堺市の補償額について、一定の有効期限は必要であると考えられるためである。 しかしながら、1年以内であっても、大きく地価が変動する局面においては、 公平性の観点から、時点修正を行うべきであると考える。 3)時点修正の実施方法について(意見) 時点修正を行う際には、不動産鑑定士の鑑定評価を行う場合もあるが、多くは、 当初の評定価格に対して、堺市内全体の平均の公示価格もしくは基準地価格の変 動率を一律に適用して、算定されている。 しかしながら、公示価格もしくは基準地価格の変動率を一律に適用する方法で は、地域によって大きく変動率が異なる場合もあり、その場合には、それぞれの 買取用地の特性にあわせた評価が行われているとはいいがたい。 例えば、区や適切なブロック別の変動率を計算してそれを適用するか、買取用 地の近隣の公示価格もしくは基準地価格の変動率を使用する等、費用及び既評価 とのバランスなどを考慮しながら、より適切な評価のあり方について、検討すべ きである。 また、2回目(すなわち当初評価から約2年経過した際)に時点修正を行うと きには、原則として再度鑑定評価を行っているとのことであるが、今回の監査に おいて、2回目でありながら、鑑定評価ではなく、上記変動率を使用したものが あった。 これについて、市は、価格の妥当性については、不動産鑑定士に確認して行っ ており、不動産鑑定を行った場合と金額の差異は無いとしているものの、2年と いう期間の長さ及び上記変動率のもつ問題点を考慮すると、評価の適切性を高め る観点から、費用はかかるものの、原則どおり再度鑑定評価を行うべきであった と考える。 − 96 −