...

IEEE 802.11n MIMO 変調解析

by user

on
Category: Documents
7

views

Report

Comments

Transcript

IEEE 802.11n MIMO 変調解析
Agilent
89600 ベクトル信号解析
ソフトウェア
オプション B7Z:
IEEE 802.11n MIMO 変調解析
Self-Guided Demonstration
目次
IEEE 802.11n の概要 ........................................................................................................... 3
MIMO 信号の送受信 ................................................................................................................. 4
チャネルとストリーム .............................................................................................................. 5
測定とトラブルシューティングの手順 ................................................................................... 6
セットアップ ............................................................................................................................. 7
スペクトラム/タイム・ドメイン測定 ................................................................................... 9
信号によるトリガ ............................................................................................................. 10
占有帯域幅とパワーの測定 ............................................................................................. 12
プリアンブルの測定 ......................................................................................................... 13
基本的なデジタル復調 ........................................................................................................... 14
新しい信号の読み込みとセットアップ .......................................................................... 14
コンスタレーション ......................................................................................................... 15
IQ パラメータ ................................................................................................................... 16
エラー・ベクトル振幅(時間/周波数)........................................................................ 17
高度なデジタル復調 ............................................................................................................... 19
クロス・チャネル測定 ..................................................................................................... 19
データ・バースト情報 ..................................................................................................... 20
HT 信号情報...................................................................................................................... 21
相互相関 ............................................................................................................................ 22
チャネル周波数応答 ......................................................................................................... 23
特定キャリアの復調 ......................................................................................................... 24
パイロット・トラッキング ............................................................................................. 26
まとめ .................................................................................................................................... 27
用語集 .................................................................................................................................... 28
参考文献 .................................................................................................................................. 29
関連カタログ .......................................................................................................................... 29
Web リソース ........................................................................................................................ 29
オーダ情報 .............................................................................................................................. 30
本書は、89600 シリーズ VSA ソフトウェアを使用して IEEE P802.11n 信号を
測定するためのガイドです。ここに記述されている内容の詳細は、ソフトウェ
アのメイン・ツールバー・メニューで Help ボタンをクリックすると表示され
るヘルプ・テキストに掲載されています。
2
IEEE 802.11n 規格は、IEEE 802.11a/g 規格の拡張です。最新のドラフトでは、
これらの規格(レガシー・モードと呼ばれる)に対する下位互換性が要求されて
います。これに加えてこの規格では、20 MHz 帯域幅のハイ・スループット
(HT)
モードと、オプションの 40 MHz 帯域幅の HT モードを規定しています。この
新しい HT モードを実現するために、IEEE 802.11n 規格では MIMO(マルチ入
力、マルチ出力)テクノロジーを実装しています。この規格はまた、OFDM(直
交周波数分割多重化)伝送方式を採用しています。
IEEE 802.11n の
概要
IEEE 802.11n 規格で実装される伝送モードには、レガシー・モード、ミックス
ド・モード、グリーン・フィールドの 3 つがあります。
●
●
●
レガシー・モードは、既存の IEEE 802.11a/g システムとの下位互換性を
維持するために用いられます。このモードで動作する場合は、デバイス
は SISO(シングル入力、シングル出力)伝送を使用し、IEEE 802.11a/g
と 100% の互換性を実現します。
ミックスド・モード動作は、レガシー伝送と HT 伝送を組み合わせたも
のです。このモードでは、デバイスは通信相手のシステムに応じてレガ
シー・パケットまたは HT MIMO パケットのいずれかを送信できます。
ミックスド・モード伝送は、レガシー・モードと同じプリアンブル・フォー
マットのセグメントで始まります。
グリーン・フィールド動作モードは、レガシー・プリアンブルを使用せず、
OFDM-MIMO システム内での通信に限って使用されます。この伝送モー
ドは現時点ではオプションですが、IEEE 802.11n のみの環境で動作して
いる場合にデータ・スループットが向上します。
図 1 に、各モードと、各フィールド・セクションの簡単な説明を示します。陰
影表示でないセクションはレガシー互換であり、陰影表示のセクションは
OFDM-MIMO 専用です。
●
●
●
レガシー・モード このモードでは、信号は従来のIEEE 802.11a/gフォーマットで伝送されます。
L-STF
L-LTF
L-SIG
レガシー・ショート・
トレーニング・フィールド
レガシー・ロング・
トレーニング・フィールド
レガシー信号
フィールド
データ
ミックスド・モード このモードでは、バーストの先頭にレガシー互換のプリアンブルがあり、
その後にHTプリアンブルとHTデータが続きます。
L-STF
L-LTF
L-SIG
HT-SIG
レガシー・ショート・
トレーニング・フィールド
レガシー・ロング・
トレーニング・フィールド
レガシー信号
フィールド
ハイ・スループット
信号フィールド
HT-STF
HT-LTF
ハイ・
スループット・
ショート・
トレーニング・
フィールド
ハイ・
スループット・
ロング・
トレーニング・
フィールド
データ
グリーン・フィールド このモードでは、レガシー互換のプリアンブルは使用されません。
HTプリアンブルの後にHTデータがあるだけです。これにより、バースト・プリアンブルがミックスド・モードの
プリアンブルより少し短くなるので、全データ伝送速度が多少向上します。
HT-LTF
L-STF
L-LTF
HT-SIG
レガシー・ショート・
トレーニング・フィールド
レガシー・ロング・
トレーニング・フィールド
ハイ・スループット
信号フィールド
ハイ・
スループット・
ロング・
トレーニング・
フィールド
データ
図 1. 各伝送モードのフィールド定義
3
MIMO 信号の送受信
下の図 2 に、IEEE 802.11n 信号のブロック図を示します。この例では、2 本の
送信アンテナと 2 本の受信アンテナがあるので、2×2 の MIMO 構成が用いら
れています。これは簡素化した図であり、各ブロックの機能を理解することに
重点が置かれています。
システムに入った信号は、第 1 ブロックを通過する間に、スクランブル/エン
コード/インタリーブされます。
その後、信号は解析されてデータ・ストリーム A とデータ・ストリーム B に
分けられます。各データ・ストリームはマルチプレクサを通り、そこで 2、4、
または 6 ビットのグループ(QPSK、16 QAM、または 64 QAM の 1 シンボル)
がデータ・サブキャリアに割り当てられます。
4 つのパイロット・サブキャリアは別々に加算されます。図 2 には 20 MHz の
レガシー・モードの 48 個のシンボル値が示されていて、それぞれがすべての
シンボル・インターバルの各データ・キャリアに対応します。キャリアの数は、
選択された動作モードに応じて異なります。データ・キャリアの数は、20
MHz HT を使用する場合は 52 個、40 MHz 帯域幅を使用する場合は 108 個に
増加します。
データが通る経路は、データ・キャリアの数とは無関係です。ただし、シンボ
ルが割り当てられた後は、対応する IQ 値またはコンスタレーション位置をマッ
パが割り当てます。コンスタレーション・ダイアグラムについては、
この後の「基
本的なデジタル復調」のセクションで詳しく説明します。
48個のキャリア
1と0
ペイロード・
ビット
コンスタ
レーション・
ダイアグラムの
アナライザ
I/Q値
I/Q
値
Tx 1
MUX
1:48
スクランブラ
エンコーダ
インタリーブ
マッパ
スト
リーム・
パーサ
IFFT
マッパ
ガード・
インター
バル
ストリーム
ガード・
インター
バル
チャネル
デマッパ
FFT
FFT
Tx 2
de-MUX
1:48
ストリーム・
コンバイナ
空間
デコーダ
タイミング
IFFT
ペイロード・
ビット
Rx 1
空間
エンコーダ
(オプション)
MUX
1:48
シンボル・
テーブルの
アナライザ
1と0
デマッパ
Rx 2
チャネル
デスクランブラ
デエンコーダ
デインタリーブ
de-MUX
1:48
ストリーム
図 2. IEEE 802.11n 信号のトランスミッタ/レシーバ・ダイアグラム
この時点で空間エンコードを実装することもできますが、MIMO 動作に必須で
はありません。空間エンコードの一般的なタイプの 1 つは、
(A + B)/(A − B)
方式で 2 つのデータ・ストリームを結合して送信ストリームを形成するタイプ
です。その後、IFFT が計算され、ガード・インターバルが信号に追加され、
信号をアップコンバートして送信のために増幅されます。
4
チャネルとストリーム
MIMO のキー・ポイントは、トランスミッタとレシーバの信号経路が複数存在
することです。この経路ダイバーシティにより、レシーバで個々のデータ・ス
トリームを分離することができます。
受信側は送信側を鏡のように反転したものにほぼ一致しますが、トランスミッ
タおよびチャネルの測定は受信側で行われるので、これらの測定を行うために
いくつかの違いを明確にしておく必要があります。特に、チャネルとストリー
ムの違いは明確に理解する必要があります。
物理アンテナで行われる測定は、測定位置が送信アンテナでも受信アンテナで
も、チャネル測定と呼ばれます。受信アンテナで測定を行う場合は、信号は以
下の 2 つの組合わせです。
●
●
2 つのトランスミッタからの信号が RF チャネルで結合されたもの
空間エンコーダによる、任意の組合わせ、結合、処理
各レシーバでの信号は複数の信号とストリームが組み合わされたものなので、
以後の I/Q 測定を行うには信号処理が必要です。
チャネル測定が実行可能になるのは、図 2 で「コンスタレーション・ダイアグ
ラムのアナライザ I/Q 値」と示されている 2 つの独立したストリームに信号が
復元された後です。ストリームの復元には、空間デコードが必要です。これは、
RF チャネルでの伝送で信号に加えられた空間演算とトランスミッタでの空間
エンコード(オプション)とに対する補完的な処理です。
空間デコードでストリーム情報が復元されると、経路パラメータを計算して、
利得、遅延などのチャネル測定が可能になります。
空間デコーダから出力されるストリームは、コンスタレーション・ダイアグラ
ム上の位置に対応する I/Q 値で表されます。デマッパ・ブロックは、これらの
位置を各シンボルに対する各サブキャリアの 2、4、または 6 ビットのグループ
に復元します。
最後のステップでは、サブキャリアとストリームからのデータを結合し、デス
クランブル、デコード、デインタリーブして、送信されたペイロード・ビット
を再現します。図 2 はこのプロセスの基本的なダイアグラムを示し、チャネル
測定とストリーム測定の違いを理解するために役立ちます。
5
測定とトラブルシュー
ティングの手順
デジタル変調システムの測定とトラブルシューティングでは、デジタル変調/
測定用のツールをすぐに使用したいという誘惑に駆られます。しかし、通常は
測定手順に従う方が良い結果が得られます。この手順では、最初に基本的なス
ペクトラム測定を行い、次にベクトル(時間/周波数)測定を行ってから、基
本的なデジタル変調解析に進み、最後に高度な解析や規格に固有の解析を行い
ます。このデモ・ガイドでも、この手順を使用します。この手順が特に優れて
いる点は、重要な信号の問題を見逃す可能性が少ないことです。
ステップ 1:スペクトラム/タイム・ドメイン測定
この測定では、周波数/タイム・ドメインでの信号の基本的なパラメータが得
られ、ステップ 2 で正しい復調を行うための基礎となります。調査するパラメー
タとしては、中心周波数、帯域幅、シンボル・タイミング、パワー、スペクト
ラム特性などがあります。
ステップ 2:基本的なデジタル復調
この測定では、コンスタレーションの品質を評価します。コンスタレーション
の表示に加えて、EVM、I/Q オフセット、周波数誤差、シンボル・クロック誤
差などがあります。
ステップ 3:高度なデジタル復調
この測定では、EMV などの基本的な変調パラメータによって明らかにされた
問題の原因を調査します。パラメータには、エラー・ベクトル周波数、エラー・
ベクトル時間、パイロット位相誤差などの動的なパラメータが含まれます。
6
セットアップ
下の表 1 に、89600 VSA ソフトウェアを動作させるための最小限のハードウェ
ア構成を示します。
表 1. システム要件
PC
デスクトップ
ラップトップ
CPU
600 MHz の Pentium® または AMD-K6
(>2 GHz 推奨)
空きスロット(測定ハードウェア
を使用する場合にのみ必要)
PCI バス・スロット× 1
(× 2 を推奨)
RAM
> 600 MHz の Pentium® または
AMD-K6
CardBus タイプ II スロット× 1
(× 2 を推奨)
512 MB(1 GB を推奨)
512 MB(1 GB を推奨)
ビデオ RAM
4 MB(16 MB を推奨)
4 MB(16 MB を推奨)
ハード・ディスク領域
500 MB 使用可能
500 MB 使用可能
オペレーティング・システム
Microsoft®
Windows®
2000、SP2、
XP Professional
その他のドライブ
インタフェース・サポート
(測定ハードウェアを使用する場合
にのみ必要)
Microsoft®Windows®2000、SP2、
XP Professional
ソフトウェアのロード用の CD-ROM。
ライセンス転送には 3.5 インチのフロッ
ピー・ドライブ、ネットワーク・アクセス、
USB メモリのいずれかが必要。
ソフトウェアのロード用の
CD-ROM。ライセンス転送には 3.5
インチのフロッピー・ドライブ、
ネットワーク・アクセス、USB メ
モリのいずれかが必要。
LAN、USB、GPIB
LAN、USB、GPIB
下の表 2 に、このデモ・ガイドを使用するための 89600 VSA のソフトウェア
要件を示します。ソフトウェアのコピーをお持ちでない場合は、無料の試用版
が www.agilent.co.jp/find/89600 からダウンロードできます。
表 2. ソフトウェア要件
バージョン
オプション
-200
-300
-B7Z
89600 バージョン 7.01 以上(89601A、89601AN、89601N12)
(89601A、89601AN のみ)
基本ベクトル信号解析
ハードウェア・コネクティビティ
(測定ハードウェアを使用する場合にのみ必要)
IEEE 802.11n MIMO 変調解析
7
サンプル信号の読み込み
下の表 3 の手順は、このデモの最初の部分で使用する信号を読み込むためのも
のです。表示は図 3 のようになるはずです。これは 20 MHz、2×2 のミックスド・
モード信号です。
表 3. 記録されているサンプル信号の読み込み
手順
ツールバー・メニュー
File > Preset > Preset All
注記:Preset All を使用すると、保存されているユーザ・ステート情報がすべて
失われます。これを避けるには、Preset All を使用する前に現在のステートを保
ソフトウェアのプリセット
存してください。
File > Save > Setup をクリック
メニュー/ツールバー、表示の外観、ユーザ・カラー・マップも同様の方法で
保存できます。
デフォルト信号ディレクトリに移
動(C:\Program Files\
Agilent\89600VSA\Help\Signals)
File > Recall > Recall Recording
20 MHz MIMO 記録の選択
80211n-MCS15-20MHz-MM.sdf を選択
Open をクリック
測定の開始
図 3. 記録されている信号
8
をクリック(ツールバーの左側)
スペクトラム/
タイム・ドメイン測定
測定とトラブルシューティングの最初のステップとして、スペクトラム/タイ
ム・ドメイン測定を復調の前に行います。すなわち、このセクションのすべて
の測定は、チャネルとストリームから得られる情報に基づいたチャネル測定で
す。下の表 4 に、デュアル・チャネル入力用にソフトウェアをセットアップす
る方法を示します。このセクションで説明する測定はすべてチャネル 1 に対す
るものです。なお、同じ測定をチャネル 2 にも使用できます。チャネル 2 に対
してこれらの測定を実行するには、トレース・タイトルをクリックし、Type
メニューから Channel 1 の代わりに Channel 2 を選択します。
表 4. チャネル測定のセットアップ
手順
ツールバー・メニュー
2 つのチャネルのセットアップ
Input > Channels > 2 Channels
Channel 1 を表示
Trace B のタイトル(B: Ch2 Spectrum)をダブルクリック
ダイアログ・ボックスの左側の Type メニューから Channel 1 を選択
ダイアログ・ボックスの右側の Data メニューから Main Time を選択
OK をクリック
9
信号に対するトリガ
図 4 は、表 5 の手順で得られるトリガの結果を示しています。トリガを使うこ
とで、信号に対して一貫した再現性のある測定ができます。図 4 の Trace B の
破線は、トリガが設定されているレベルを示しています。負のトリガ遅延によ
り、トリガ・イベント発生前の 1 μ s 分の信号を観察できます。ホールドオフ・
コントロールは、トリガ・イベントが発生した後で次のトリガ・イベントが発
生可能になるまでシステムが待つ時間を設定します。表示は図 4 のようになる
はずです。
表 5. トリガの設定
手順
ツールバー・メニュー
Playback Trigger ウィンドウを開く
Input > Playback Trigger。これにより、Input Properties ボックスが開き、Playback
Trigger タブが選択されます。この表の設定が終わるまでこのタブを開いておき
トリガ・タイプの選択
Type ドロップダウン・メニューから Magnitude を選択
トリガ・レベルの設定
Mag Level ボックスに 20 と入力し、ドロップダウン・メニューから mV を選択
スロープの設定
Slope ドロップダウン・メニューから Positive を選択
ます。
遅延の設定
Delay ボックスに− 1 と入力し、ドロップダウン・メニューから uSec を選択
ホールドオフ・スタイルの設定
Hold-Off Style ドロップダウン・メニューから Below Level を選択
ホールドオフの設定
Hold-Off ボックスに 2 と入力し、ドロップダウン・メニューから uSec を選択
トレース A のオートスケール
Trace A の任意の場所を右クリック
Y Auto Scale を選択
トレース B のオートスケール
Trace B の任意の場所を右クリック
Y Auto Scale を選択
入力プロパティを閉じる
Close をクリックして Playback Trigger の変更を完了
図 4. トリガした信号
10
図 4 の Trace B には、長さ 5 ms の全信号中の 12.75 μs だけが表示されています。
1 つのバースト全体を表示するには、表 6 の手順を使用します。この方法では、
FFT の周波数ポイント数が増えます。これにより、周波数スパンを維持しな
がら時間長が 127.325 μ s に増えます。
表 6. 周波数ポイントの増加
手順
ツールバー・メニュー
周波数ポイント数の増加
MeasSetup > ResBW。これにより、MeasSetup Properties ボックスが開きます。
Frequency Points ドロップダウン・メニューで 6401 を選択
トレース A のオートスケール
Trace A の任意の場所を右クリック
Y Auto Scale を選択
トレース B のオートスケール
Trace B の任意の場所を右クリック
Y Auto Scale を選択
MeasSetup Properties を閉じる
Close をクリック
図 5. 周波数ポイント数を増加させてデータ・バースト全体の表示
11
占有帯域幅とパワーの測定
占有帯域幅(OBW)測定は、OBW サマリ・テーブルと組み合わせることにより、
多くの有用な結果をすばやく正確に得られます。表 7 に示す方法により、
OBW と対応するテーブルを図 6 のように表示できます。Trace B のテーブル
では、占有帯域幅、バンド・パワー、パワー比などのいくつかの重要な測定を
一度に表示することができます。この信号の公称帯域幅は、信号全体を表示で
きるように 20 MHz ですが、実際の帯域幅は約 17.6 MHz で測定されています。
パワー比もリストされていますが、これはユーザが調整できます。Markers >
OBW をクリックすることにより、ボックス内の値を変更して、OBW パワーと
全パワーの比を表示できます。
表 7. OBW の測定
手順
ツールバー・メニュー
OBW トレースの表示
Trace A を右クリック
Show OBW を選択
OBW サマリ・テーブルの
アクティブ化
測定終了後に OBW 表示をクリア
図 6. OBW 測定とテーブル
12
Trace B のタイトル(B: Ch1 Main Time)をダブルクリック
ダイアログ・ボックスの左側の Type メニューから Marker を選択
ダイアログ・ボックスの右側の Data メニューから Obw Summary TrcA を選択
OK をクリック
Trace B のタイトル(B: TrcA OBW Summary Data)をダブルクリック
ダイアログ・ボックスの左側の Type メニューから Channel 1 を選択
ダイアログ・ボックスの右側の Data メニューから Main Time を選択
OK をクリック
Trace A を右クリック
Show OBW を選択解除
プリアンブルの測定
タイムゲーティッド・スペクトラム測定は、バースト信号、特に IEEE 802.11n
などの複雑なプリアンブルを持つものに対して有効です。表 8 に、ゲーティッド・
スペクトラムを使ってプリアンブルの各要素を調べる手順を示します。1 μs
の遅延はトリガ遅延と一致し、ゲートの位置を 1 つめのプリアンブル・シンボ
ルに合わせます。セットアップが完了すると、表示は図 7 のようになるはずです。
プリアンブルの長さは 4 μ s または 8 μ s であり、Ch1 Delay を 4 μs 単位で増
やすことにより、測定位置を他のプリアンブルに合わせることができます。例
えば、ハイ・スループット・ショート・トレーニング・フィールド(HT-STF)
は 29 μ s の遅延位置にあります。図 8 に、
この信号の各部分の境界を示します。
フィールドの各部分の一般的な概要は、本書の初めにある「IEEE 802.11n の概
要」を参照してください。
表 8. ゲーティッド・スペクトラム測定
手順
ツールバー・メニュー
タイム・スパンの設定
MeasSetup > Time
Main Time Length 入力ボックスに 50 と入力し、ドロップダウン・メニューから
uSec を選択
タイム・ゲーティングをオン
Gate の隣のボックスをクリック
タイム・ゲート・パラメータの
設定
MeasSetup > Time
Window Type ドロップダウン・メニューから Uniform を選択
Length フィールドに 4 と入力し、ドロップダウン・メニューから uSec を選択
Ch1 Delay フィールドに 1 と入力し、ドロップダウン・メニューから uSec を
選択
図 7. ゲーティッド・スペクトラム測定。ピンクのラインはゲート・マーカを示し、長さは 1 シンボル。
図 8. 20 MHz HT のミックスド・フォーマット信号のフィールド部分
13
基本的なデジタル復調
新しい信号の読み込みと
セットアップ
表 9 の手順は、IEEE 802.11n 信号の基本的な復調に必要なセットアップを示し
ています。読み込む信号は、2 × 2 MIMO、グリーン・フィールド・モードの
40 MHz の信号です。表示は図 9 のようになるはずです。表示されている各ト
レースの説明を以下に示します。
上の 2 つのトレースは、ストリーム 1 と 2 のコンスタレーション・ダイアグラ
ムです。パイロット・キャリアは青で示されています。信号は 40 MHz の帯域
なので、Q 軸(Y 軸)に沿って BPSK パイロットのセットがもう 1 つあります。
これにより、下の 20 MHz のパイロットを基準にして上の 20 MHz に 90°の
位相シフトが生じます。
左下の表示は、チャネル 1 のスペクトラム表示です。これは時間/スペクトラ
ム測定で調べたものです。
右下の表示は、チャネル 1 と 2 の OFDM エラー・サマリ・テーブルです。この
テーブルは、エラー・ベクトル振幅(EVM)などのチャネル固有の情報と、
クロス・パワーおよび同期相関などの MIMO 固有の測定を示し、2 つのチャネ
ルの平均も示しています。
表 9. 基本的な復調のセットアップ
手順
ツールバー・メニュー
ソフトウェアのプリセット
File > Preset > Preset All
デフォルト信号ディレクトリに移動
(C:\Program Files\Agilent\89600VSA\
Help\Signals)
40 MHz MIMO レコーディングの
選択
測定の開始
14
File > Recall > Recall Recording
80211n-MCS15-40MHz-GF.sdf を選択
Open をクリック
をクリック(ツールバーの左側)
表示設定の変更
Display > Layout > Grid 2x2
2 チャネルのセットアップ
Input > Channels > 2 Channels
復調タイプの選択
MeasSetup > Demodulator > Wireless Networking > 802.11n HT
復調器のセットアップ
MeasSetup > Demod Properties
Format タブをクリック
適切な規格を選択してプリセット
Standard のドロップダウン矢印をクリックして P802.11n HT 40 MHz を選択
Preset to Standard ボタンを押して 40 MHz を選択
図 9. 基本的なデジタル復調のセットアップ。2 つのパイロットが互いに 90°回転した位置に配置されていることに
注意。
コンスタレーション
コンスタレーション・ダイアグラムは、さまざまなシンボル・クロックにおけ
るキャリアの振幅と位相を示します。このダイアグラムは、レシーバが何を受
信しているかを表示し、EVM 測定はこのダイアグラムから計算されます。ア
ナライザは、コンスタレーション・ダイアグラムからの予測値を決定して、実
際の信号の振幅/位相誤差を計算します。図 9 のトレース A と C は、それぞれ
ストリーム 1 と 2 のコンスタレーション・ダイアグラムです。コンスタレーショ
ン・ダイアグラムの対象はストリームであり、チャネルではありません。これは、
I/Q 値が計算されるのが FFT の実行後だからです。ストリームとチャネルの
違いの詳細については、本書の初めにある「IEEE 802.11n の概要」を参照して
ください。
15
IQ パラメータ
各データ・ストリームに対して、さまざまな IQ パラメータを表示できます。
表 10 は、各測定値を表示する方法で、結果は図 10 のようになります。トレー
ス A と C はストリーム・データを示し、トレース D はアナライザが計算する
さまざまなチャネル値を示しています。トレース D の FreqErr、SymClkErr、
CPE は平均値だけです。周波数誤差とシンボル・クロック誤差では、すべての
チャネルがこれらの値に対して互いにロックされていると仮定されているの
で、平均値だけが計算されます。これらの測定の計算結果に違いが生じるとす
れば、システム内の雑音の結果なので、各チャネルの平均を計算することによ
り最良の測定結果が得られます。CPE 測定はストリーム・データから計算され、
表示されている平均チャネル測定は、2 つのデータ・ストリームを空間デコー
ドした結果から逆算したものです(図 2 参照)。
表 10. IQ パラメータの表示
手順
ツールバー・メニュー
トレース・データ・タイプの選択
トレース A のタイトル(A: Strm1 OFDM Meas)をダブルクリック
表示されるダイアログ・ボックスの左側にある Type メニューから Stream 1 を
選択
ダイアログ・ボックスの右側にある Data メニューから Syms/Errs を選択
OK をクリック
トレース・データ・タイプの選択
トレース C のタイトル(C: Strm2 OFDM Meas)をダブルクリック
表示されるダイアログ・ボックスの左側にある Type メニューから Stream 2 を
選択
ダイアログ・ボックスの右側にある Data メニューから Syms/Errs を選択
OK をクリック
図 10. IQ エラー・パラメータは表形式で表示されます(トレース D)。IQ 利得不平衡も表示されています。
16
エラー・ベクトル振幅
(時間/周波数)
Error Vector Time トレースは、信号の EVM の時間変化を示しています。時間
はシンボル時間で表され、バースト内のすべてのサブキャリアに対して、RMS
平均と各シンボルの個別の EVM が表示されます。表 11 にこの測定の実行方法、
図 11 に結果を示します。ソフトウェアは各サブキャリアの平均 EVM 測定も
表示します(平均値はデフォルトのカラーでは白で表示されますが、ここでは
紫で表示されています)。
表 11. エラー・ベクトル時間の表示
手順
ツールバー・メニュー
トレース・データ・タイプの選択
トレース B のタイトル(B: Ch1 Spectrum)をダブルクリック
表示されるダイアログ・ボックスの左側にある Type メニューから Stream 1 を
選択
ダイアログ・ボックスの右側にある Data メニューから Error Vector Time を選択
OK をクリック
図 11. エラー・ベクトル時間の結果。RMS 平均は紫で表示。
17
同様に、Error Vector Spectrum トレースには信号の EMV 対周波数が表示され
ます。周波数はサブキャリア番号で表され、バースト内のすべてのシンボルに
対して、RMS 平均と各サブキャリアの個別の EVM が表示されます。表 12 に
実行方法、図 12 に結果を示します。
表 12. エラー・ベクトル・スペクトラムの表示
手順
ツールバー・メニュー
トレース・データ・タイプの選択
トレース B のタイトル(B: Strm1 OFDM Err Vect Time)をダブルクリック
表示されるダイアログ・ボックスの左側にある Type メニューから Stream 1 を
選択
ダイアログ・ボックスの右側にある Data メニューから Error Vector Spectrum を
選択
OK をクリック
図 12. エラー・ベクトル・スペクトラムの結果。RMS 平均は紫で表示。
18
高度なデジタル復調
クロス・チャネル測定
クロス・チャネルの結果には、2 つの物理チャネル間の相関、コヒーレンス、
その他の OFDM 測定を比較するためのベクトル/復調測定が表示されます。
これらの測定は MIMO システムにとって特に重要です。これらの測定の多く
は表形式で、MIMO のバースト特性に関する情報を提供するとともに、チャネ
ル自体に関する理解も得られます。以下にこれらの重要な測定の例を示します。
19
データ・バースト情報
表 13 に、OFDM バースト情報を調べる方法を示します。セットアップが終わ
ると、表示は図 13 のようになるはずです。前に調べた 20 MHz の信号がミッ
クスド・モードであるのに対して、この 40 MHz の信号はグリーン・フィール
ド・モードです。図 13 に示す測定は、使用するモードに応じて変化します。
各モードの個々のフィールドの詳しい説明については、本書の初めにある
「IEEE 802.11n の概要」を参照してください。アナライザは、プリアンブル、デー
タ変調、変調品質を自動的に検出し、HT 信号シンボルの CRC チェックの合
否を表示します。
表 13. OFDM バースト情報テーブルの表示
手順
ツールバー・メニュー
トレース・データ・タイプの選択
トレース A のタイトル(A: Strm1 OFDM Syms/Errs)をダブルクリック
表示されるダイアログ・ボックスの左側にある Type メニューから Cross Channel
を選択
ダイアログ・ボックスの右側にある Data メニューから OFDM Burst Info を選択
OK をクリック
表示設定の変更
Display > Layout > Single
正しいトレースの選択
Display > Active Trace > Trace A
図 13. OFDM バースト・データ情報。この表示は、グリーン・フィールド信号の各セクションの情報を示しています。
20
HT 信号情報
同様にして、OFDM HT 信号情報テーブルを表示し、表示されるデータを調べ
ることができます。表 14 にその方法を、図 14 にその結果を表示します。この
表では、HT 信号(HT-SIG)とレガシー信号(L-SIG)の両方を調べています。表
の各パラメータに関する具体的な情報は、Help テキストに記載されています。
表 14. OFDM HT 信号情報テーブルの表示
手順
ツールバー・メニュー
トレース・データ・タイプの選択
トレース A のタイトル(A: Strm1 OFDM Data Burst Info)をダブルクリック
表示されるダイアログ・ボックスの左側にある Type メニューから Cross Channel
を選択
ダイアログ・ボックスの右側にある Data メニューから OFDM HT-SIG Info を選択
OK をクリック
図 14. OFDM HT 信号情報。これはグリーン・フィールド信号なので、L-SIG パラメータのデータはありません。
21
相互相関
相互相関とは、2 チャネル信号の各経路間の遅延の測定です。信号が最もよく
一致する点でピークが発生し、信号経路間の遅延の指標となります。チャネル
1 と 2 の信号が相互に適切な時間内に到達することを保証するために、相互相
関測定の値は小さいことが求められます。送信の際のタイム・シフトを考慮す
るために、ガード・インターバルが挿入されています。しかし、遅延がガード・
インターバルを超えると、データを復元できない可能性があります。表 15 に
この測定のセットアップ方法、図 15 に結果を示します。
表 15. 相互相関測定
手順
ツールバー・メニュー
トレース・データ・タイプの選択
トレース A のタイトル(A: Strm1 OFDM HT-SIG Info)をダブルクリック
表示されるダイアログ・ボックスの左側にある Type メニューから Cross Channel
を選択
ダイアログ・ボックスの右側にある Data メニューから Cross Correl を選択
OK をクリック
トレース A のオートスケール
Trace A の任意の場所を右クリック
Y Auto Scale を選択
図 15. 相互相関測定。ピークはチャネル 1 と 2 の信号経路の遅延を示しています。
22
チャネル周波数応答
チャネル周波数応答は、各チャネルの各ストリームに対応し、2×2 の信号の場
合は、4 つのデータ・トレースがあります。チャネル 1 のストリーム 1、チャ
ネル 1 のストリーム 2、チャネル 2 のストリーム 1、チャネル 2 のストリーム 2
です。これらすべてを表示するには、表 16 の手順を行い、結果は図 16 のよう
になります。チャネル周波数応答は、イコライザの周波数応答の逆です。イコ
ライザの応答はプリアンブルの HT-LTF から推定され、受信信号を既知の値
と比較します。これを補正するイコライゼーションが、イコライザの周波数応
答となります。
表 16. チャネル周波数応答測定
手順
ツールバー・メニュー
表示設定の変更
Display > Layout > Grid 2x2
トレース A のチャネル周波数応答
のアクティブ化
トレース A のタイトル(A: Strm1 OFDM Cross Correlation)をダブルクリック
表示されるダイアログ・ボックスの左側にある Type メニューから Stream 1 を
選択
ダイアログ・ボックスの右側にある Data メニューから Ch1 Ch Frequency
Response を選択
OK をクリック
Trace A の任意の場所を右クリックし、Y Auto Scale を選択
トレース B のチャネル周波数応答
のアクティブ化
トレース B のタイトル(B: Strm2 OFDM Syms/Errs)をダブルクリック
表示されるダイアログ・ボックスの左側にある Type メニューから Stream 2 を
選択
ダイアログ・ボックスの右側にある Data メニューから Ch1 Ch Frequency
Response を選択
OK をクリック
Trace B の任意の場所を右クリックし、Y Auto Scale を選択
トレース C のチャネル周波数応答
のアクティブ化
トレース C のタイトル(C: Strm1 OFDM Err Vect Spectrum)をダブルクリック
表示されるダイアログ・ボックスの左側にある Type メニューから Stream 1 を
選択
ダイアログ・ボックスの右側にある Data メニューから Ch2 Ch Frequency
Response を選択
OK をクリック
Trace C の任意の場所を右クリックし、Y Auto Scale を選択
トレース D のチャネル周波数応答
のアクティブ化
トレース D のタイトル(D: Strm1 OFDM Error Summary)をダブルクリック
表示されるダイアログ・ボックスの左側にある Type メニューから Stream 2 を
選択
ダイアログ・ボックスの右側にある Data メニューから Ch2 Ch Frequency
Response を選択
OK をクリック
Trace D の任意の場所を右クリックし、Y Auto Scale を選択
23
図 16. チャネル周波数応答測定から、システムの各データ経路に必要な補正が得られます。
24
特定のキャリアの復調
測定やトラブルシューティングの作業では、特定のキャリアやシンボルだけを
復調すると効率的になる場合があります。表 17 の手順は、OFDM キャリアの
(116 個の中の)1 個と、バーストの(25 個の中の)10 個のシンボルだけを復
調するようにアナライザを設定します。図 17 にこの復調の結果を示します。
トレース A と C を見ると、データ・シンボルが異なる位置にあるので、ストリー
ム 1 とストリーム 2 が実際に独立していて異なるデータを伝送していることが
わかります。
表 17. キャリアとシンボルの数を減らす高度な復調
手順
ツールバー・メニュー
表示設定の変更
Display > Layout >Stacked 2
表示トレースの変更
Display > Active Trace > Active B
トレース・データ・タイプの選択
トレース A のタイトル(A: Ch1 Strm1 OFDM Eq Ch Freq Resp)をダブルクリック
表示されるボックスの左側にある Type メニューから Stream 1 を選択
ボックスの右側にある Data メニューから IQ Meas を選択
トレース・データ・タイプの選択
トレース B のタイトル(A: Ch2 Strm1 OFDM Eq Ch Freq Resp)をダブルクリック
表示されるボックスの左側にある Type メニューから Stream 2 を選択
ボックスの右側にある Data メニューから IQ Meas を選択
復調器の時間関連パラメータの選択
MeasSetup > Demod Properties
Time タブをクリック
測定シンボル数の設定
Measurement Interval ボックスに 10 と入力
復調器の高度なパラメータの設定
Advanced タブをクリック
キャリア数の設定
Subcarrier Select ボックスで Single Carrier をクリックし、入力領域に 2 と入力
Close をクリック
パラメータのリセット
MeasSetup > Demod Properties
Time タブをクリック
Measurement Interval ボックスに 60 と入力
Advanced タブをクリック
Subcarrier Select ボックスで All をクリック
Close をクリック
25
図 17. キャリアとシンボルの数を制限した高度な復調。ストリーム 1 と 2 の
データが異なることを確認できます。
26
パイロット・トラッキング
高度な復調では、いくつかの異なるパイロット・トラッキング・モードが使用
できます。これらのオプションは、測定したい対象に応じてオン/オフできま
す。デフォルトでは、位相トラッキングだけがオンになっています。表 18 に、
位相トラッキングをオフにする方法を示します。アナライザはコモン・パイロッ
ト・エラー(CPE)を測定し、位相トラッキングがオンになっていれば、検出さ
れた差を補正できます。位相トラッキングをオフにすると、信号が時々時計回
りと反時計回りにシフトするのがわかるはずです。図 18 は、データ・シンボ
ルが時計回りにシフトしているときに停止した表示です。位相トラッキングを
オンにした場合は、このエラーは補正され、シンボルはシフトがあってもそれ
ぞれの位置に留まります。この他にもいくつかのパイロット・トラッキング・
オプションをオン/オフでき、信号のトラブルシューティングに利用できます。
表 18. パイロット・トラッキング・パラメータの変更
手順
ツールバー・メニュー
復調器の高度なパラメータの選択
MeasSetup > Demod Properties
Advanced タブをクリック
パイロット位相トラッキングをオフ
Pilot Tracking ボックスで Track Phase のチェックを外す
すべての OFDM キャリアを測定する
ように設定
Subcarrier Select ボックスで All をクリック
Close をクリック
図 18. 位相トラッキングをオフにしたパイロット・トラッキング。位相トラッキ
ングがないと、シンボルは理想位置から少しシフトします。
27
まとめ
89600 VSA ソフトウェアにオプション B7Z IEEE 802.11n MIMO 変調解析を組
み合わせることにより、IEEE 802.11n 信号の測定とトラブルシューティングが
可能になります。基本的な信号捕捉やトリガから、基本的な時間/スペクトラ
ム測定、高度なデジタル復調による再現性のある測定の実現まで、89600 VSA
ソフトウェアはあらゆる測定ニーズに対応しています。
チャネルとストリームの両方の測定により、ベースバンドからレシーバまでの
信号のあらゆる部分を解明できます。一般的な測定に対する読みやすいテーブ
ルと、時間 / スペクトラム /IQ 測定などのビジュアル表示により、89600 VSA
ソフトウェアはあらゆるデザイン・エンジニアのための理想的な測定ツールに
なっています。
28
用語集
BPSK
CPE
CRC
EVM
FFT
HT
HT-LTF
HT-SIG
HT-STF
IFFT
L-LTF
L-SIG
L-STF
MIMO
OBW
OFDM
RF
SISO
Binary Phase-Shift Keying(バイナリ位相シフト・キーイング)
Common Pilot Error(コモン・パイロット・エラー)
Cyclic Redundancy Code(巡回冗長コード)
Error Vector Magnitude(エラー・ベクトル振幅)
Fast Fourier Transform(高速フーリエ変換)
High Throughput(ハイ・スループット)
HT Long Training Field(HT ロング・トレーニング・フィールド)
HT Signal Field(HT 信号フィールド)
HT Short Training Field(HT ショート・トレーニング・
フィールド)
Inverse FFT(逆 FFT)
non-HT (Legacy) Long Training Field(非 HT(レガシー)
ロング・トレーニング・フィールド)
non-HT (Legacy) Signal Field(非 HT(レガシー)信号
フィールド)
non - HT(Legacy)Short Training Field(非 HT(レガシー)
ショート・トレーニング・フィールド)
Multiple-Input, Multiple-Output(マルチ入力、マルチ出力)
Occupied Bandwidth(占有帯域幅)
Orthogonal Frequency Division Multiplexing
(直交周波数分割多重化方式)
Radio Frequency(無線周波数)
Single-Input, Single-Output(シングル入力、シングル出力)
29
参考文献
関連カタログ
IEEE P802.11n/D2.00, February 2007 Draft Standard
タイトル
カタログ・タイプ
カタログ番号
89600 シリーズ・ベクトル信号解析ソフトウェア
Technical Overview
5989-1679JAJP
89600 Series Vector Signal Analysis
89601A/89601AN/89601N12
Data Sheet
5989-1786EN
89600S Vector Signal Analyzer
CD
5980-1989E
無線 LAN 製品の RF テスト
Application Note
5988-3762JA
MIMO 無線 LAN 物理層の測定
Application Note
5989-3443JAJP
89600 シリーズ・ベクトル信号解析ソフトウェア用
Data Sheet
5989-1753JAJP
ハードウェア・プラットフォーム
Web リソース
30
89600 Series Vector Signal Analyzers, VXI
Configuration Guide
5989-9350E
89607A 無線 LAN テスト・スイート・ソフトウェア
Technical Overview
5988-9574JAJP
詳細については下記を参照してください。
www.agilent.co.jp/find/89600
www.agilent.co.jp/find/MIMO
オーダ情報
89601A
ベクトル信号解析ソフトウェア、1 年間のソフトウェア・アップデート・サービス
付き
さらに 1 年間延長するには 89601A-024 をご注文ください。
オプション
89601A-200
89601A-300
89601A-AYA
89601A-B7N
89601A-B7T
89601A-B7U
89601A-B7W
89601A-B7X
89601A-B7R
89601A-B7S
89601A-B7Y
89601A-B7Z
89601A-BHA
89601A-BHB
89601A-BHC
89601A-105
89601A-106
オプション 200 と 300 は必須です。
基本ベクトル信号解析ソフトウェア
ハードウェア・コネクティビティ
フレキシブル変調解析
3G 変調解析バンドル
cdma2000®/1xEV-DV 変調解析
W-CDMA/HSDPA 変調解析
1xEV-DO 変調解析
TD-SCDMA 変調解析
WLAN 変調解析
IEEE 802.16-2004 OFDM 変調解析
IEEE 802.16 OFDMA 変調解析
IEEE 802.11n 変調解析
TETRA 変調解析/テスト
マルチバンド OFDM 超広帯域変調解析
RFID 変調解析
EEsof/ADS へのダイナミック・リンク
The MathWorks Simulink Model-Based Design へのダイナミック・リンク
89601AN
ベクトル信号解析ソフトウェア(1 台のサーバ用のフローティング・ライセンス)
オプション
注記:各サーバに対して 1 つのオプションを複数注文できます。オプション 200
と 300 は必須です。すべてのユーザがオプション 200 と 300 を持つ必要があるので、
他のオプションの最大数量はオプション 200 と 300 の数量を超えることはできま
せん。複数のサーバを使用する場合は、追加の 89601AN を注文してください。ソ
フトウェア・アップデート・サービスについては、89601ASN を注文してください。
89601AN-200
89601AN-300
89601AN-AYA
89601AN-B7N
89601AN-B7T
89601AN-B7U
89601AN-B7W
89601AN-B7X
89601AN-B7R
89601AN-B7S
89601AN-B7Y
89601AN-B7Z
89601AN-BHA
89601AN-BHB
89601AN-BHC
89601AN-105
89601AN-106
基本ベクトル信号解析ソフトウェア
ハードウェア・コネクティビティ
フレキシブル変調解析
3G 変調解析バンドル
cdma2000®/1xEV-DV 変調解析
W-CDMA/HSDPA 変調解析
1xEV-DO 変調解析
TD-SCDMA 変調解析
WLAN 変調解析
IEEE 802.16-2004 OFDM 変調解析
IEEE 802.16 OFDMA 変調解析
IEEE 802.11n 変調解析
TETRA 変調解析/テスト
マルチバンド OFDM 超広帯域変調解析
RFID 変調解析
EEsof/ADS へのダイナミック・リンク
The MathWorks Simulink Model-Based Design へのダイナミック・リンク
31
89601N12
ベクトル信号解析ソフトウェア、1 台のサーバ用の 12 ヶ月期間限定パッケージ・
フローティング・ライセンス。1 年間のソフトウェア・アップデート・サービス
付き。
オプション
89601N12-801
必須。各サーバに対して複数の 801 オプションを注文できます。複数のサーバを
使用する場合は、追加の 89601N12 を注文してください。
12 ヶ月のフローティング・ライセンス・ソフトウェア・パッケージ、VSA ソフト
ウェア・オプション -200、-300、-105、-106、-AYA、-B7N、-B7R、-B7S、-B7Y、
-B7Z、-BHA、-BHB、-BHC を含む。
89601AS
追加のソフトウェア・アップデート・サービス
注記
最小 12 ヶ月、最大で 24 ヶ月です。1 年間が標準で提供されています。モデル
89601AS は、アップグレードのみで使用できます。注文時には、必要な月数を選
択して、必要な期間に対応するオプション 89601AS-0xx(xx は 12 ∼ 24)を注文
してください。
実際の製品およびオプションの詳細については、www.agilent.co.jp/find/89600
で "Software Update Subscription Service" をクリックしてください。
アジレント・テクノロジー株式会社
本社〒 192-8510 東京都八王子市高倉町 9-1
計測お客様窓口
受付時間 9:00-19:00(土・日・祭日を除く)
FAX、E-mail、Web は 24 時間受け付けています。
TEL ■■ 0120-421-345
(042-656-7832)
FAX ■■ 0120-421-678
(042-656-7840)
Email
www.agilent.co.jp
●
89601ASN
1 台のサーバ用のソフトウェア・アップデート・サービス(フローティング・ラ
イセンス)
注記
最小 12 ヶ月、最大で 24 ヶ月です。注文時には、必要な月数を選択して、必要
な期間に対応するオプション 89601ASN-0xx(xx は 12 ∼ 24)を注文してください。
オプション数量は、サーバ上のオプション 200 の数に対応するように選択してく
ださい。各サーバごとに別の 89601ASN を注文してください。
[email protected]
電子計測ホームページ
記載事項は変更になる場合があります。
ご発注の際はご確認ください。
Copyright 2008
アジレント・テクノロジー株式会社
実際の製品およびオプションの詳細については、www.agilent.co.jp/find/89600
で "Software Update Subscription Service" をクリックしてください。
January 23, 2008
5989-7267JAJP
0000-00DEP
Fly UP