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2010年度新卒新入社員向け小島社長メッセージ 皆さん、おはようござい

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2010年度新卒新入社員向け小島社長メッセージ 皆さん、おはようござい
2010年度新卒新入社員向け小島社長メッセージ
皆さん、おはようございます、社長の小島です。本日ここに、154名の新たな仲間をお
迎えできたことを、大変嬉しく思います。皆さんの入社を心から歓迎します。
【わが社を取り巻く環境について】
さて、皆さんにとって2010年は、これまでの学生生活に別れを告げ、社会人としての
キャリアをスタートさせる、いわば節目の年と言えるかと思います。さてわが社にとって
も、2010年は、2008年度/2009年度の2年間の中期経営計画「INNOVA
TION 2009」から新たな経営計画に移行する大きな転換の年であります。
私は、2004年の社長就任以来、過去6年間にわたり「INNOVATION」という
言葉を経営計画の名称とし、「新・産業イノベーター」というビジョンを掲げ、変革に取り
組んできました。
一昨年のリーマンショックの後、世界経済は各国政府による景気下支え策もあり、持ち直
しの様相を見せておりますが、力強い回復というところまでには至っておらず、今日を迎
えています。
その一方で、中国やインドなどは、私自身もつい先月行ってきましたが、底堅い成長を維
持し、様々な場面で存在感を高めており、これからはこうした新興国が世界経済を引っ張
る時代になるのではないかと感じています。
外部環境が時々刻々と変化する中、わが社のビジネスモデルもますます多様化してきてお
り、最近では、今まであまり接点がなかったお客様からも新しい地域や分野で一緒にビジ
ネスができないかといった声を掛けて頂く機会が増えてきました。まさに、変化する環境
下で、お取引先やお客様と共に新しいビジネスモデルを作り上げ、新産業の創生に寄与し
ていきたいという想いをこめた「新・産業イノベーター」としての存在に近づきつつある
手応えを感じています。このように、時代の変化に柔軟に対応し、新しい流れを創造して
いく開拓者精神は、三菱商事のDNAであり、新入社員の皆さんに是非とも受け継いで
頂きたいと考えています。
【心がけて欲しいこと】
今日は、社会人としての第一歩を踏み出される皆さんに、社長として、また社会人の先輩
として、入社にあたり心掛けて欲しいことを2点お話したいと思います。
まず、1点目は「4つのC」です。これは私が日頃から若手社員に伝えていることであり
ますが、「4つのC」とは、「Curiosity」、「Challenge」、「Commu
nication」、そして「Courtesy」を指します。
皆さんは、これから一連の研修を終えた後、それぞれの現場で担当業務を持つことになり
ますが、皆さんには一日も早くビジネスのプロフェッショナルに育ってほしいと思います。
その為に、まずは最初の「C」、「Curiosity」― 様々なことに好奇心と関心を持
つことを心掛けてください。今日から皆さんには、三菱商事パーソンとしての基礎をしっ
かりと身につけることに全力を注いで頂きますが、まずは、限られた範囲内での業務を通
じた基礎固めに励むことになるでしょう。その際、是非心がけて頂きたいのは、どんな業
務にたずさわる時にも、常にグローバルな視点で対面業界の川上から川下まで興味を持ち、
広い視野でビジネスの成長機会を追及していく姿勢を持つことです。
皆さんには、わが社の強みである、全世界に張り巡らされた拠点ネットワークや、あらゆ
る産業との接点、多様な人材などを存分に活用しながら、スケールの大きな発想で考える
癖を新入社員のうちから身につけ、成長する努力を続けていってほしいと考えています。
私自身、海外で仕事がしたくてわが社に入社しましたが、実は入社後の15年間は国内取
引を担当しました。当時の上司からは、
「新しいビジネスを作り出せ」と徹底的に指導され、
若いうちから、新たなビジネスチャンスを見つけるために、幅広く好奇心を持ち、大局的
な視点で仕事に取り組む姿勢を身につけました。この経験を通じて、担当する業務が何で
あれ、自分の取り組み次第でビジネスの可能性はいくらでも広がるということを身を持っ
て実感しました。その後、サウジアラビアで初めての駐在を経験しましたが、その際にも、
この国内時代に培った基本姿勢が大いに役立ちました。
また、自分の担当業務に留まらず、わが社の幅広いビジネスや、政治・経済・社会など様々
なテーマに関心を持ち、お客様が知りたがっている情報をタイムリーに提供することによ
り、信頼を築いていくことも三菱商事パーソンとしては、非常に大切なことであります。
私は、入社後間もない頃から、社内は勿論、社外に対しても積極的に勉強会を主催するな
どして、多くの人と人との繋がりを持つことを心掛けてきました。
私自身、自ら働きかけて構築した人脈に、思わぬ場面で助けられたり、チャンスをもらっ
たりした経験を数え切れないほどしてきています。
こうしたネットワークは、会社生活だけでなく、皆さんの人生そのものにとっても、かけ
がえのない財産になりますので、是非、アンテナを高く張り、あらゆる分野の事象に興味・
関心を持つことを心掛けて頂きたいと思います。
次に2つ目の「C」、「Challenge」ですが、これは文字通り、自ら挑戦する姿勢
を持ち続けてほしいということです。現在高収益を上げているわが社のプロジェクトは、
先輩達が大きな夢とチャレンジ精神を持って、知恵を絞り、努力を重ね、変革を続けてき
た成果です。今後も、わが社として変化に柔軟に対応するためには、変革し続けることが
不可欠ですが、従来のやり方やルールを変えるには、リスクを伴います。
そこで皆さんには、早いうちから「リスクを取って挑戦する姿勢」を身につけてほしいと
思っています。リスクを取らないことは簡単ですが、一つリスクを取ると、それに近いリ
スクは後で取れるようになる。
これを繰り返すうちに、将来的には、新たなビジネスモデルの提案というような大きな挑
戦が可能になると考えています。もちろん、リスクを取るには、そのリスクを徹底的に分
析し、失敗した場合は、フォローアップをし、しっかりそれを総括することが次の教訓に
もなるわけですが、皆さんには、若いうちからこうした経験をし、自分で主体的にものを
考え、アグレッシブに挑戦し続けることができる人材に育って頂きたいのです。
今皆さんは、様々な夢や希望を抱いてここにいらっしゃると思いますが、是非とも、その
夢や希望を実現させるんだという執着心を強く持って、全力でチャレンジしてください。
志高く、自ら主体的に機会を求める人であれば、持てる力を存分に発揮できるフィールド
がわが社には揃っています。
3つ目の「C」は「Communication」です。ここで言うコミュニケーション
とは、Face to Faceのコミュニケーションを指します。例えば、私は月1回の
ペースで世界各国を回っていますが、今世界で何が起きているのか、どのようなチャンス
が広がっているのかを知る為に、できる限りの方と実際会って自分の目で確かめ、直接人
に会って話を聞くことを今でも心掛けています。ナショナルスタッフを始め現地の社員と
も出来る限り会って話をするよう努めていますが、現地の様々な関係者から現場感のある
話を聞くと、メディアの報道やインターネットなどからは知ることのできない生の情報が
手に入り、より的確に世界情勢を把握できるのです。
私はよく「タテ・ヨココミュニケーション」という言葉を用いますが、タテとは「世代」、
ヨコとは「組織」のことを意味します。
まず、タテのコミュニケーションですが、今後もわが社が時代の流れに柔軟に対応してい
く為には、皆さんのような若い世代の感覚と、昔から受け継がれてきたわが社らしさを理
解している我々世代の感覚を融合させることが不可欠です。皆さんの多くは、これから先
輩や上司に比べ、より現場に近いところで仕事をすることになりますので、経験が浅いと
いうことに臆するのではなく、皆さんが持つ現場感をしっかりと主張し、世代を越えた議
論を闘わせてほしいと思います。
ヨコのコミュニケーションについては、社内の部門・グループの枠を越えたコミュニケー
ションは勿論、連結・グローバルベースでのコミュニケーションを密に図り、三菱商事グ
ループとしての総合力の向上につなげて頂きたいと考えています。先行き不透明な時代だ
からこそ、三菱商事グループ全体での情報共有が、新たなビジネスモデルを構築する為に
重要となります。あらゆるビジネスの現場からの情報をベースに、国や地域、業界の壁を
越え、議論することで、連携を深める努力をしてください。
また、お客様やパートナーとのコミュニケーションにおいては、「自ら動く」ということを
心掛けてください。私自身、国内商売の時代には、サプライヤーであるメーカーさんは勿
論のこと、とにかく足しげくお客様のところに通い、自分の対面している購買部門だけで
なく、現場の技術者を初め色々な部署の方々に直接会うことを努め、幅広く情報を集める
ことを心掛けていました。そうすることで知見が深まり、お客様の本当のニーズを理解す
ることができるのです。
ビジネスは現場が大事であります。現場に頻繁に足を運んで様々な人に会い、相手の立場
に立って考え、自ら積極的に情報を発信していくことを大切にしてください。Eメールや
携帯電話が当たり前の世の中ですが、いつの時代においても、わが社の基本は
「Face to Face」のコミュニケーションにあります。実際に人と会って話をし
なくては、コミュニケーションにはなりません。
そして、最後の「C」、「Courtesy-謙虚さ」ですが、これは、今までの3つのC
の大前提となるものです。お客様やパートナーの信頼や協力を得るため、また現場に強く
なるためには、何と言っても皆さんの謙虚さが不可欠となります。皆さん一人ひとりが誠
実に、日常業務の中から生まれるどんな小さな疑問や課題もおろそかにせず、一つずつ確
実に解決すること、そして常に謙虚に対応することで初めて社内外の関係者やお客様から
信頼を集め、「彼・彼女の話を聞いてみたい、一緒に仕事をしてみたい」と思って頂けるよ
うな人材になれるのです。自分の方から一方的に主張するのでなく、常に相手の立場に立
って話すことが大切なのです。そして高い志と倫理観を持ち、わが社の社員として相応し
い言動を心掛けてください。
これまでお話した「4つのC」を兼ね備えていること、即ち、挑戦意欲に溢れ、優れた見
識を持ち、謙虚さを持った上で自ら積極的にコミュニケーションを取る人間には、お客様
やパートナーも信頼して抱えている悩みや問題を話してくれるものです。こうしたところ
に新たなビジネスの芽が生まれるチャンスがあることを是非とも覚えておいてください。
次に、2点目ですが、三菱商事の原点として忘れてはならない『三綱領』の精神を継承し
てもらいたい、ということであります。わが社の企業理念である三綱領は、皆さんも既に
ご存知のことと思いますが、「所期奉公」、「処事公明」、「立業貿易」の三つから成り立って
います。三綱領の精神とは、「所期奉公」― 事業を通じ、物心共に豊かな社会の実現に努
力すると同時に、かけがえのない地球環境の維持にも貢献する。「処事光明」― 公明正大
で品格のある行動を旨とし、活動の公開性・透明性を堅持する。
「立業貿易」― 全世界的・
宇宙的視野に立脚した事業展開を図る。
この「三綱領」は、三菱の四代目当主であり、旧三菱商事の初代会長でもある岩崎小彌太
が、1920年に、当時の金融危機に際し、会社の原点を示すものとして、当時の部長や
支店長に対して行った訓示を基に、1934年に制定されたものです。以来、わが社の中
で脈々と受け継がれ、社員一人ひとりが折に触れて思い起こす行動の拠り所となっていま
す。
私自身、これまで世界の多くの国や地域で様々なビジネスに携わってきましたが、困難や
問題に直面したときにはいつも「三綱領」の精神に立ち返り、「社会や人のためになる仕事
かどうか」あるいは「世の中の常識や社会規範に照らし合わせて問題がないか」を自らに
問いかけながら、判断を下してきました。
三綱領の精神は、わが社の組織風土や企業文化の礎ともいうべき存在であり、「三菱商事ら
しさ」そのものと言っても過言ではありません。昨今、「企業の社会的責任」や「コンプラ
イアンス」、そして「グローバルな事業活動」などが企業の価値や姿勢を測る重要な尺度に
なっていますが、わが社はそのはるか昔、会社の草創期からこうした考え方を経営理念と
して掲げて活動を行なってきた企業なのです。これからの三菱商事の歴史を紡いでゆく皆
さんにも、こうした会社の一員になったという自覚を持って、社会に貢献していって頂き
たいと思います。少しの気の緩みや意識の欠落が、三菱商事グループ全体への致命的な打
撃に繋がる可能性があるということは、常日頃より強く意識して下さい。
【励ましの言葉/新社長のご紹介】
以上、皆さんの社会人としての門出に当たり、心掛けて頂きたいことをお話ししました。
これから先、日々苦労の連続が皆さんを待ち受けていることでしょう。しかし、その中で、
直面する課題に一つひとつ真剣に対峙し、粘り強くそれを乗り越えていくことで、皆さん
は着実に成長することができるはずです。
尚、今年の定時株主総会日付で、私が社長を退き会長に就任し、社長には、今前に座って
いる小林副社長が就任する予定ですので、ここで皆さんにご紹介します。皆さんには、6
月から、この新しいリーダーのもと、一丸となってこれからの時代を進んでいって頂くこ
とになりますので、この場で顔と名前をしっかりと覚えて頂きたいと思います。
それでは、ここで小林副社長から一言ご挨拶を頂きます。小林副社長、宜しくお願いしま
す。
(小林副社長
起立一礼の後、一言ご挨拶)
さあ、今日から皆さんの社会人生活が始まります。初々しく目を輝かせる今の皆さんの顔
つきは、非常に頼もしく感じられます。先程お伝えした「4つのC ― Curiosit
y、Challenge、Communication、Courtesy」、そして「三
綱領の精神」を忘れずに、皆で三菱商事の未来を共に切り拓いて行こうではありませんか。
三菱商事パーソンとしてのスタートを祝し、皆さんの大いなる活躍を期待して、私の歓迎
の挨拶と致します。
気を引き締めて頑張って下さい。入社おめでとう!
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