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待遇改善や正社員化により 非正規労働者の能力を活かそう

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待遇改善や正社員化により 非正規労働者の能力を活かそう
北海道委託事業
労務管理人材育成事業(非正規労働者正社員化等プロジェクト)委託業務
待遇改善や正社員化により
非正規労働者の能力を活かそう
はじめに(刊行にあたって)
少子高齢化の進展による人口減少は、今後、一層進展することが確
実視されており、それにともない労働力人口も大幅な減少が見込まれ
ています。一方、労働力人口が減少する中で、非正規労働者が増加し
ており、本道においては、雇用者全体に占める非正規労働者の割合が
全国よりも高い水準で推移しています。
こうした環境の中、今後も道内企業が持続的な経済成長を図るため
には、若者や女性の就業率を高め、積極的な社会参加を促すととも
に、働く人一人ひとりの潜在的な能力を引き出すことのできる職場環
境づくりが欠かせないものとなっています。
本年度、北海道では、非正規労働者の待遇改善や正社員化を促進す
ることで人材の確保・定着等を図ることが、企業の経営力を高める上
で重要との認識から、『労務管理人材育成事業(非正規労働者正社員
化等プロジェクト)』を実施しました。
本書『待遇改善や正社員化により非正規労働者の能力を活かそう』
は、その業務成果の一つとして、道内企業の皆様への情報提供を目的
に、非正規労働者の正社員化等の意義や効果、主な業種ごとの正社員
化等に向けた手法などについて、とりまとめを行ったものです。
中小企業の競争力の源泉は“人材”であり、雇用形態や性別等を問
わず従業員が活躍できる職場であることが企業の発展にもつながって
きます。そうした観点からも非正規労働者の待遇改善や正社員化に向
けた取組は重要なポイントとなってきます。
皆様に本書をご活用いただくことで、今後の職場環境づくりの一助
になれば幸いです。
平成26年12月
株式会社北海道二十一世紀総合研究所
2
目
次
はじめに
1.イントロダクション --------------------------------------- 1
■非正規労働者とは-----------------------------------------
1
■非正規労働者の現状---------------------------------------
1
2.非正規労働者の均衡待遇・正社員化の促進に向けて------------ 3
■道内企業を取り巻く雇用環境-------------------------------- 3
■非正規雇用の課題・問題点---------------------------------- 4
■非正規労働者の活用方策について---------------------------
5
■均衡待遇・正社員化の促進によるメリット-------------------
6
■正社員化に向けた取組の類型化-----------------------------
8
■均衡待遇・正社員化の促進に向けた課題---------------------
8
3.業種別の特徴と均衡待遇・正社員化に向けた取組方針--------- 10
■建設業におけるポイント整理------------------------------- 10
■製造業(ものづくり)におけるポイント整理----------------- 12
■卸売・小売業におけるポイント整理------------------------- 14
■サービス・宿泊業におけるポイント整理---------------------- 16
■介護・福祉におけるポイント整理--------------------------- 18
■業種別にみた均衡待遇・正社員化に向けた課題と取組方針----- 20
4.主な支援制度と相談窓口------------------------------------ 21
■関係法制度の法改正の動き---------------------------------- 21
■主な支援制度---------------------------------------------- 22
■主な相談窓口--------------------------------------------- 25
3
1.イントロダクション
■非正規労働者とは
非正規労働者とは、法令上の概念ではなく社会実態から生まれた表現であり、いわゆる「正
規雇用」以外の労働者の総称です。厚生労働省の「望ましい働き方ビジョン」の中では、下図
の①から③を満たす労働者を「正規雇用」として、それ以外を「非正規雇用」としています。
また、一般的に「非正規雇用」は、労働契約に期間の定めがある場合を「有期契約労働者」、
所定労働時間がフルタイムではない一部に限られている場合を「短時間労働者」
、雇用関係と
指揮命令関係が異なる間接雇用の場合を「派遣労働者」と分類されます。
【雇用形態に係る法制上の整理】
非正規雇用
正規雇用
①期間の定めがない(無期)
②フルタイム
③直接雇用
④勤続年数に応じた待遇
⑤勤務地・業務の限定なし
時間外労働あり
a 有期契約労働者
b 短時間労働者
c 派遣労働者
満
た
さ
な
い
場
合
「多様な正社員」
(勤務地、業務等が限定)
①~⑤を満たす場合⇒「典型的正規雇用」
■非正規労働者の現状
【増え続ける非正規労働者】
近年、全国的に非正規労働者は増加
傾向にあります。1985 年時点におい
て非正規労働者が労働者全体に占める
割合は約 16%となっていましたが、
2005 年には 30%を超えており、その
後も、非正規労働者は緩やかではある
ものの、着実に増え続けており、2013
年時点には 36%を超えています。
出典:総務省「労働力調査(詳細集計)
」
なお、00 年以前は総務省「労働力調査(特別調査)
」
1
【若年層での増加が目立つ非正規労働者】
非正規雇用の労働者の占める割合
は、近年、すべての年齢層で上昇傾向に
あります。
特に 15~24 歳及び 25~34 歳の比
較的若い世代における増加幅が大きく
なっています。
一方、55~64 歳の世代では若い世代
を上回る増加がみられますが、これは
高年齢者雇用安定法の改正(2006 年)
にともない、非正規労働者として再雇
用されるケースが増えたためとみられ
ます。
出典:総務省「労働力調査(詳細集計)
」
(00 年以前は総務省「労働力調査(特別調査)」
)
【非正規労働者の賃金カーブは横ばい傾向】
雇用形態別の賃金(時給ベース)をみ
ると、正社員又は正職員の一般労働者
と比べて、そのほかの労働者の賃金が
低くなっていることが分かります。
特に、両者の差は年齢が上がるほど
大きくなっており、非正規労働者は年
齢が上がっても、賃金が大きく変わら
ない状況がうかがえます。
出典:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」(平成 25 年)
【非正規労働者が現在の就業形態を選んだ理由】
非正規労働者が現在の就業形態を選
んだ理由として、
「自分の都合の良い時
間に働けるから」
、
「家計の補助、学費等
を得たいから」を挙げる回答が多くみ
られます。
一方、1999 年の調査結果と比べる
と、
「正社員として働ける会社がなかっ
たから」を挙げる回答が増加している
ことが分かります。
出典:厚生労働省「就業形態の多様化に関する総合実態調査」
2
2.非正規労働者の均衡待遇・正社員化の促進に向けて
■道内企業を取り巻く雇用環境
【減少傾向にある労働力人口】
道内の人口は、1995 年をピークに微減傾向で推移しており、今後は本格的な人口減少局面
に入るとみられています。国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、今後有効な対策
が講じられない場合、2040 年の道内人口は 419 万人になると推計されており、2010 年か
らおよそ 130 万人の大幅な減少が見込まれています。特に、少子高齢化の進展にともない生
産年齢人口(15~64 歳)が 4 割近く減少し、生産年齢人口割合が 50%近くまで落ち込むと
みられています。
資料:国勢調査(総務省)
、日本の地域別将来推計人口(平成 25 年 3 月推計)
(国立社会保障・人口問題研究所)より作成
【道内における人材不足感の高まり】
道内における労働者の過不足状況
について、雇用人員判断 DI の推移
をみると、2012 年 6 月にマイナス
に転じて以降、落ち込みが続いてお
り、人材の不足感が強まっている傾
向にあります。
資料:企業短期経済観測調査結果(日本銀行札幌支店)より作成
注)DIは「過剰」-「不足」
3
■非正規雇用の課題・問題点
非正規雇用には、自分の都合に合わせて仕事の時間や期間を調整できるというメリットが
ある一方で、雇用が不安定、賃金が低い、能力開発機会が少ないなどのデメリットがありま
す。
また、企業にとっても、非正規雇用の労働者を雇うことで、需要や収益に合わせて雇用調
整を行いやすくなったり、人件費を始めとした経費を抑制できるなどのメリットがある一方
で、労働者の定着率が悪い、知識や技能を社内に蓄積しづらいなどのデメリットがあります。
非正規雇用は労使双方にとってのメリット、デメリットがある一方で、少なくとも現状に
おいては、若者を中心に、非正規雇用になるとその状態が長期にわたって続き、なかなか正
規雇用になることができないなど、雇用の安定と公正な処遇を巡って、一般的に以下のよう
な課題や問題点があるとされています。
【非正規雇用のメリット・デメリット】
メリット
デメリツト
・自分の都合に合わせて仕事の時間や期間を調整で
・期間の定めのある雇用契約となるため、身分が不
きる。
安定である。
・職務上の責任が軽い。
・退職金制度や社会保険に加入しないことが多い。
・間口が広いため、正社員よりも採用されやすい。
・正社員と比べて賃金が低いことに加えて、賞与が
・多くの企業で経験を積むことができる。
出ないことが多いため、収入が少なくなりがちで
あり、経済的自立が困難である。
・仕事の能力が上がっても昇給につながらないこと
が多い。
・補助的業務が中心になりがちで、教育訓練やスキ
労働者
ルアップを図る機会が与えられないことが多く、
職業キャリアの形成が十分に行われない。
・病気やけがで休んだ時や失業した時に各種保険制
度が適用されないことがあったり、きめ細かな求
職者支援制度が確立されていないなど、セーフテ
ィネットが十分に整備されていない面がある。
・労働条件の明示、残業割増賃金の支払いなど、労
働関係法令の適用が十分に進んでおらず、労働者
の声も届きにくい。
・需要や収益の変化にあわせて雇用を調整しやす
い。
企業
・定着率が悪い。
・知識や技能を社内に蓄積しづらい。
・賃金が低く、退職金や社会保険料を払わないこと
も多いため、人件費を抑制しやすい。
・製造業では熟練工、サービス業ではベテランが育
ちにくい。
・能力開発を前提としていないことが多いため、社
員教育にかかる費用を削減できる。
・正社員と比べて会社に対する忠誠心や責任感が低
い。
4
■非正規労働者の活用方策について
労働者の価値観や生活様式が多様化している昨今においては、仕事と家庭の両立(ワーク・
ライフ・バランス)の観点からも、労働者が自らの選択により多様な働き方を実現できる社
会は、望ましいものとして考えられています。
しかしながら、現状においては、非正規雇用で多様な働き方を求めれば、雇用の安定と公
正な処遇が後退し、正規雇用で雇用の安定と公正な処遇を求めれば、働き方が拘束されるな
ど、多くの課題や問題点が散見されています。
また、
「正社員として働ける会社がなかった」などの消極的な理由から非正規雇用で働いて
いる労働者(不本意非正規就業者)も一定程度存在しており、中でも 25~34 歳の比較的若
い世代では 30%を超えるなど高い割合を占めていることも、非正規雇用が長期化しやすいと
いう現状からは課題の1つになっているといえます。
とりわけ今後の大幅な人口の減少が
見込まれる中、若者を中心に非正規雇
用で働く労働者の割合が高まっている
現状においては、持続的な経済成長や
社会保障制度の維持、調和と活力ある
社会の形成のためにも、若者が安定的
な雇用に就き、適切なキャリアを積む
ことができるようにすることが何より
も重要だと考えられています。
資料:厚生労働省「労働力調査(2013 年詳細結果)」より作成。
【望ましい働き方ビジョンについて】
平成 24 年 3 月に厚生労働省がとりまとめた「望ましい働き方ビジョン」では、正規雇用、
非正規雇用を取り巻く環境を踏まえて、
「雇用の安定の確保」
「公正な働き方の確保」
「労働者
による多様な働き方の自律的選択」の 3 つを基本的な考え方として、今後の雇用労働政策を
進めていくことが重要だとされています。
そのためには、非正規雇用の労働者に対して公正な処遇の確保、ステップアップのための
能力形成支援を行うとともに、
「多様な正社員」の導入などにより、正規雇用の労働者の働き方
を変えていくことで、正規雇用と非正規雇用の二極化を解消し、労働者がライフステージ等
に応じて、さまざまな働き方を主体的に選択できる体制を構築すべきと考えられています。
5
【正規雇用と非正規雇用の二極化解消のイメージ】
正規雇用
「典型的な正規雇用」
(雇用期間の定めがなく、働き方に限定もない)
公正な処遇の確保
ステップアップ
いわゆる「多様な正社員」
ステップアップ
(雇用期間の定めがないが、
労働時間・職種・勤務地など働き方に限定あり)
二極化を
解消
ステップアップ
「非正規雇用」(パート、派遣、契約社員等)
(大多数が雇用期間の定めがあり、労働時間・職種・勤務地など働き方に限定あり)
能力形成支援
出典:
「望ましい働き方ビジョン」
(厚生労働省)
【非正規雇用で働く労働者に対する基本姿勢】
正規雇用での労働を希望する場合
非正規雇用での労働を希望する場合
・正社員への転換支援
・「多様な正社員」の活用
・教育訓練の奨励
・均等・均衡待遇などの
公正な処遇の確保
■均衡待遇・正社員化の促進によるメリット
非正規労働者の正社員化や均等・均衡待遇を促進することは、企業にとっても経営力の強
化につながるなど、さまざまなメリットがあります。
【働くモチベーションの維持・向上】
非正規労働者は、頑張れば正社員になれるという目標が得られることで、働くことへのモ
チベーションが高まる効果があります。定期的に正社員登用の機会が与えられ、また、登用
されるために求められる知識やノウハウ、成果などの要件が明確であればあるほど、正社員
になるために何をすべきか、目標設定がより明確になります。
また、非正規労働者のモチベーションをより高めるため、正社員化に向けたスキルを段階
的に習得でき、その結果を待遇に反映する仕組みを導入するといった工夫を行っている企業
もみられます。
6
【質の高い人材の確保】
正社員登用制度は、新卒・中途による正社員採用と比べて、意欲や能力の高い人材を時間
をかけて見極めることができるというメリットがあります。また、社内の組織や業務の流れ
を理解している人材を確保できるため、採用リスクが軽減されるとともに、即戦力の人材と
なることが期待できます。
質の高い人材の確保は、提供するサービスの質の向上にもつながり、その結果、顧客満足
度や売上増に貢献している事例も多くみられます。
【従業員の定着率向上】
従業員の働くモチベーションが向上することで、職場の中で自分が期待され役立っている
という意識(自己効力感)を持つことになれば、会社への帰属意識の高まりなどにもつなが
り、その結果として、従業員の定着率がより高まるというメリットが出てくると考えられま
す。
また、働きがいのある会社として外部にも周知されることになれば、将来の採用活動がス
ムーズになるという効果も期待できます。
【社内全体の活性化】
正社員化等に向けた取組は、正社員登用を目指す非正規労働者だけではなく、既存の正社
員にも良い影響をもたらすことになります。例えば、正社員を目指す非正規労働者の頑張り
が、既存の正社員にも刺激を与え、お互いが切磋琢磨することで会社全体として活気が生ま
れている事例もみられます。
また、正社員が非正規労働者の OJT に積極的に関わることで、両者の間のコミュニケーシ
ョンが図られ、一体感が醸成されるというメリットもあります。特に若手の正社員が非正規
労働者の教育係を担当する場合は、若手社員本人の人材育成も図られるといったメリットが
あります。
【正社員化・均衡待遇に取り組むメリット】
働くモチベーションの
維持・向上
質の高い人材の確保
従業員の定着率向上
正社員になるという目標
が設定され、働く意欲が
向上。
意欲や能力の高い人材
の採用に寄与。質の高
い人材を確保できること
で売上増等に貢献。
従業員が自己効力感を
持つことで会社への帰
属意識が高まり、従業員
の定着率が向上。
社内全体の活性化
切磋琢磨する職場づくりや非正規労働者のOJTを通じた
正社員の人材育成に貢献。
7
■正社員化に向けた取組の類型化
非正規労働者を正社員に登用するパターンは、正社員への登用を前提としながら、非正規
労働者として採用し、一定期間、本人の能力や適性を見極めた上で、正社員に登用する「試
行雇用型」、一定の要件を満たした非正規労働者を対象として定期的に正社員に登用する「定
期登用型」
、適切な人材がいた場合に正社員に登用する「不定期登用型」の 3 つのパターンが
考えられます。
定期登用型は、半年あるいは 1 年ごとなど、定期的に非正規労働者に正社員になる機会を
提供するとともに、登用する要件も明確化していることが多いため、非正規労働者にとって
は正社員になるための目標が設定しやすく、仕事に対するモチベーションも高くなります。
一方、不定期登用型は、非正規労働者はいつ正社員になれるか分からず、また、登用され
るための要件が不明確な場合が多いため、仕事へのモチベーションは定期登用型に比べて低
くなることが想定されます。
【正社員化に向けた取組の類型】
概要
試行雇用型
定期登用型
不定期登用型
・採用時に非正規労働者として雇用し、正社員への登用を前提としな
がら、一定期間、本人の能力や適性を見極めた上で正社員に登用。
・一定期間就業し、要件を満たした非正規労働者を定期的に正社員に
登用。登用要件を明確にしている企業が多い。
・不定期ではあるが、一定期間就業した非正規労働者を正社員に登
用。はっきりとした登用要件のない企業が多い。
■均衡待遇・正社員化の促進に向けた課題
企業が正社員化や均等・均衡待遇に取り組む目的は、業種や対象となる非正規労働者の職
種・業務内容などによって異なりますが、取組を進めるに当たって、労務コストの上昇や正
社員を望む非正規労働者が少ないことが課題になってくることが想定されます。
【労務コストの上昇について】
正社員化や均等・均衡待遇を促進することは、賃金や福利厚生、人材教育にともなう労務
コストの増加につながる可能性があります。しかしながら、その一方で、質の高い人材の確
保、社内全体の活性化などに寄与するというメリットがあります。
また、従業員の定着率が向上するというメリットも踏まえると、取組を行わないことで従
業員の離職による新たな人材の採用・育成コストがかさむというデメリットが生じている可
能性も否定できません。こうしたマイナスの影響についてもしっかりと認識することが大切
です。
先進的に取り組んでいる企業では、単に制度を導入するだけではなく、非正規労働者に対
して、正社員と分け隔てなく能力開発の機会を提供したり、社員同士あるいは上司とのコミ
ュニケーションを図りやすい環境づくりにも配慮するなど、従業員の定着促進に向けて、さ
まざまなコストをかけつつ成果をあげています。
8
【女性の活力を活かした企業経営に向けて】
正社員化を促進しようとしても、特に女性従業員の場合は、責任が重くなることや、子育
てなどの家庭の事情から、パートやアルバイトでの勤務を希望することも多く、優秀な人材
であっても、その能力を活かしきれないことが課題となっています。
その一方で、将来の労働力人口の大幅な減少が見込まれる現在の状況下においては、女性
の社会参加を積極的に促し、女性の就業率を高めていくことが必要不可欠であると考えられ
ます。
女性社員を抱える企業においては、正社員の登用制度の導入や均衡待遇の促進だけではな
く、出産・育児休暇を取得しやすい社内風土やスムーズに現場復帰できるためのサポート体
制の充実を図ったり、短時間勤務や勤務地限定に対応した「限定正社員」を導入することで
女性が子育てなどをしながらでも働き続けることができるようにするなど、さまざまな側面
で「働きやすい職場環境づくり」が求められているといえます。
また、正社員に求められる職務や責任の範囲を明確にするなど、非正規労働者が正社員を
目指すか、そのまま非正規労働者のままでいるのかを検討できる判断材料をしっかりと情報
提供することも重要です。そうした点が不明確になってしまうと、正社員に登用された後、
実際の職務内容とのイメージギャップが原因で退職してしまう可能性もあります。
【効果的な制度導入に向けて】
非正規労働者の正社員化や均等・均衡待遇は、従業員の生活の安定に寄与するものとして、
制度の導入が期待されています。ただし、制度を導入したとしても、それが賃金の改善や雇
用安定を図るためのもので終わってしまっては、会社の経営面において、労務コストの上昇、
従業員の階層化をもたらすだけのものになってしまう可能性があります。
非正規労働者の正社員化や均等・均衡待遇に取り組む目的や享受したいメリットをきちん
と明確にして、その実現に向けた人材育成や人事評価などの仕組みを構築した上で、
「正社員
として戦力化」した人材を登用することが、企業経営力の強化につながっていくものと考え
られます。
【均衡待遇・正社員化の促進の課題と課題解決に向けた方針】
課題解決に向けた方針
課題
・労務コストの上昇
・質の高い人材の確保/定着率の向上/社内全体の活性化などに寄与するメリットを認識
・取組を行わないことで、従業員の離職による新たな人材の採用・育成コストがかさむという
デメリットが生じている可能性があることを認識
・将来の労働力人口の大幅な減少が見込まれるため、女性の社会参加を積極的に促し、
就業率を高めていくことが必要
・正社員を望む非正規
労働者が少ない
(特に女性従業員)
そのための
対策として
・女性が子育てなどをしながら働き続けることができる職場環境づくり
出産・育児休暇を取得しやすい社内風土/現場復帰に向けてのサポート体制の充実/
短時間勤務や勤務地限定に対応した「限定正社員」の導入など
・正社員を目指すのか、非正規労働者のままでいるのかを検討できる判断材料の提供
正社員に求められる職務や責任の範囲を明確化など
9
3.業種別の特徴と均衡待遇・正社員化に向けた取組方針
■建設業におけるポイント整理
1.現状・課題
北海道の建設業は、道内就業者の約 1 割が従事する主要産業の一つとなっています。1990
年代後半からの公共工事の削減に伴う受注減は、道内建設業に大きな打撃を与え、就業者数
は大きく減少しました。その後、東日本大震災を経て、公共投資を中心とした建設需要が回
復を見せはじめ、近年は、有効求人倍率が上昇するなど、逆に人手不足感が強まっています。
このことは過去の人員削減と足元の需要増加というバランスの変化が大きく影響しています。
【非正規労働者の割合が高い女性雇用】
平成 24 年就業構造基本調査(総務省統計局)によると、北海道の建設業では雇用者(役員
を除く)に占める非正規労働者の割合が 25.4%となっており、他の産業より低い水準にあり
ます。これは、従業者数の 87%が男性であり、男性比率の高い産業であることが影響してい
るためとみられます。
一方、男女別に非正規労働者の割合をみると、男性で 22.6%となっているのに対して、女
性で 43.8%となっており、女性での割合が高くなっています。
【技能労働者の不足と若年層の確保・育成】
建設業における労働力は、若年層の割合が低く、他産業に比べて若年者の入職が少ないと
いわれています。今後、熟練技能を有する高年齢層の労働者が大量に離職することとなりま
すが、このまま若年者等の入職が進まなければ、全国的に技能労働者が不足することから、
道内の建設業界においても若年労働者の確保・育成が喫緊の課題となっています。
【季節労働者を含む臨時・日雇労働者への依存】
建設業には、受注生産、個別生産、屋外生産、移動生産といった生産活動面の特性がある
ほか、多くが請負契約であることから工事代金の支払時期や金額が多様であるなど、他の産
業とは違った経営の難しさがあります。また、競争によるダンピング受注などもあり、こう
した背景から臨時・日雇労働者への依存がみられ、不明確な雇用関係が指摘されることもあ
るなど、就業形態への影響が顕在化しています。とりわけ北海道の建設業においては、多数
の季節労働者を抱えており、人数としては年々減少しているものの、雇用の通年化という課
題もあります。
【下請構造がもたらす待遇面の格差】
厚生労働省の調べによれば、企業の従業者数規模が小さくなるほど、非正規雇用の割合が
高くなるとされています。この点から、数的には中小零細企業が多くを占め、重層的な下請
構造である建設業では、元請企業と下請企業とで非正規雇用の実態に差があると予想されま
す。実際に、中小零細企業においては、労働災害への対応不足、労働条件の改善・福利厚生へ
の対応不足、能力開発の機会不足などといった非正規労働者の雇用管理面の問題も散見され
ます。
10
2.課題解決に向けた取組事例
(1)契約社員の正社員登用
札幌市の電気工事会社では、正社員登用制度の規定を定めているわけではありませんが、
各部署の現場判断によって登用の稟議が出され、ここ数年は毎年、契約社員で優秀な人材を
正社員に転換しています。
今後も正社員登用を促進するため、キャリアアップ助成金の活用に向けて、労働組合の意
見を聞きながら「キャリアアップ計画」の作成を進めようと考えています。
(2)正社員登用による若年層のモチベーションアップ
札幌市の住宅メーカーでは、店舗数を増加させるため、店舗の責任者候補を育てる正社員
登用制度を導入しています。4 か月に 1 回、リーダーとの個別面談で本人の希望を聞き、リ
ーダーが評価、推薦し、適性検査を実施した上で登用しています。
登用された社員は、職務に対する責任感とモチベーションが上がっているとともに、職場
全体にも活気が生まれています。
(3)女性が働きやすい職場づくり
宮城県の中小総合建設会社では、建設業では珍しく、社内の全ての部署に女性を配置して
います。女性正社員の平均勤続年数も長く、非正規労働者の女性を正社員へ登用した実績も
あります。
また、仕事と家庭の両立(ワーク・ライフ・バランス)に関するチラシを作成したり、男女
問わず休暇を積極的に与えるなど、働きやすい職場環境づくりへの配慮を継続的に行ってい
ます。
(4)季節労働者の通年雇用化
札幌市の設備工事会社では、道内建設業の特徴でもある冬季の業務量の減少に対応するた
め、冬季にはアルバイト社員の契約を解除していましたが、優秀な人材確保と社員の生活安
定を目的に、現在は正社員登用を促進するとともに、冬季の業務量を増やすように事業拡大
に努めています。
同社では、正社員登用を促進したことで、社員の定着率が高まっているほか、正社員に登
用した従業員に対して、資格取得に係る費用補助制度を導入することで本人のスキルアップ
も促しています。
11
■製造業(ものづくり)におけるポイント整理
1.現状・課題
北海道の製造業は、道内就業者の約8%が従事しており、食品加工を中心とし、本道経済を
支える基幹産業の1つとなっています。グローバル化、空洞化、円高の進展、デフレの長期化、
リーマンショックなどといった厳しい経営環境のもとで、1990年代前半から工場数・就業者
数はともに減少してきましたが、近年の雇用人員 DI、有効求人倍率からは、建設業と同様に
人手不足の様相がみられています。
【非正規労働者の割合が高い女性および中高年雇用】
平成 24 年就業構造基本調査(総務省統計局)によると、北海道の製造業では雇用者(役員
を除く)に占める非正規労働者の割合が 40.9%となっており、全産業の割合とほぼ同じ水準
にあります。
建設業と同様に、女性の雇用において非正規労働者の割合が高く、男性が 22.2%であるの
に対して、女性で 68.1%となっています。また、50~64 歳の雇用者においても、非正規労
働者の割合が 53.8%と高くなっています。
【重要な戦力であるパートタイム労働者】
製造業の中でも、食品製造業は女性のパートタイム労働者が多い業種といえます。近年は、
生産ラインでの単純労働が若年層を中心に敬遠され、とりわけ地方部においては人手不足が
顕著になっています。食品製造業は北海道の基幹産業の 1 つでもあることから、非正規労働
者の待遇改善や働きやすい職場環境づくりが必要となります。
また、平成 27 年 4 月より改正パートタイム労働法が施行されることから、正社員との差
別的扱いを禁止する対象者の拡大など、パートタイム労働者の公正な待遇の確保が必要とな
ります。
【技術・技能の伝承に必要な若年層の確保・育成】
大学卒業者に対する大企業と中小企業の有効求人倍率には大きな差があり、中小ものづく
り企業では、人材を充分に確保できない状況にあります。ものづくり企業においては、技術・
技能の伝承に必要な若年層の確保・育成が重要な課題となっています。
その一方で、労働者派遣法が改正され、派遣可能な業種となった製造業においても非正規
労働者の比率が高まってきました。製造業はもともと正社員の比率が高く、離職率の低い業
種であり、長期的な視点のもとで人材育成が図られてきましたが、非正規労働者の増加によ
って、こうした慣行や考え方の衰退が懸念されます。
【生産工程の高度化・IT化の進展による職種の明確化】
正社員には高度な設計・開発業務や機器管理・オペレーション、非正規労働者には単純な
組立作業、梱包作業、事務作業などといった、正社員と非正規労働者の間に従事する職種の
差が明確になってきました。さらに、IT 化の進展により、同じ職場であっても、正社員と非
正規労働者とで習得する技術やノウハウの差が拡大しています。非正規労働者の正社員化・
キャリアアップを図るうえでは、能力開発の機会拡充や人材育成の充実が必要とされていま
す。
12
2.課題解決に向けた取組事例
(1)長期的な能力開発を見据えた幅広い施策推進
埼玉県の金属製品製造会社では、パート職員が約 3 割を占めており、パート職員の意識の
向上、定着率の向上を図るため、賞与の支給、OJT と Off-JT を連動させた計画的な教育訓練
の検討、長期的な能力開発を見据えた新人事考課制度の導入、自主性を尊重した正社員転換
制度の規定化のほか、正社員と同等の福利厚生の提供、QC 活動への参加促進に取り組んでい
ます。
正社員への転換者は、責任感が高まり、働きぶりが良くなっていることから、今後も双方
の条件が合えば正社員への転換を増やしたいと考えています。
(2)女性の活力を引き出す正社員化と均衡待遇
砂川市の化粧品製造会社では、女性社員が大半を占めている状況を受けて、会社で長く働
いてほしいとの思いから、本人の希望と努力次第でいつでも正社員に転換できる正社員登用
制度を導入しています。さらに、正社員でなくても責任者に昇格させるなど、正社員との均
衡待遇も図っています。
同社では、正社員化や均衡待遇を促進した結果、社内全体で積極的に会社経営に参加しよ
うとする社風が生まれ、業績向上につながるという効果がみられています。
(3)パートタイマーのさらなる戦力化
恵庭市の食品製造会社では、パート職員にも喜びややりがいを持って働いてもらえるよう
に、明確な人事考課に基づく評価・資格制度を導入しています。また、パート職員も参加で
きる研修プログラムを整備するとともに、クレームへの対応力育成や技能の幅を広げるため
の計画的ジョブローテーションを行うなど、正社員と同様の能力開発を実施しています。
そのほかにも、パート職員のための就業規則を制定し、福利厚生の充実を図るとともに、
パート職員の意見を汲み上げ、処遇や労働環境の改善に活かしています。職務等級制度と連
動した正社員転換制度も導入しており、これらの取組により、パート職員のモチベーション
が向上し、働きがいのある会社として他社との差別化が図られています。
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■卸売・小売業におけるポイント整理
1.現状・課題
小売業は顧客の中心が女性であるため、一般的に店舗における販売業務について女性従業
員の採用が多く、女性社員の能力発揮が進んでいるといわれています。
一方、販売業務においては正社員とパートタイマーに職務内容の差がほとんどみられない
ことから、正社員化や均衡待遇の促進、さらには仕事と家庭の両立支援の充実などにより、
非正規雇用者のモチベーション維持・向上を図り、女性の活力を活かしていくことが経営上
の重要な課題となります。
【女性が多く、非正規労働者の割合が高い業種】
平成 24 年就業構造基本調査(総務省統計局)
によると、北海道の卸売・小売業では雇用者(役
員を除く)に占める非正規労働者の割合が
54.2%となっており、他の産業よりも高くなっ
ています。
同調査によると、
「卸売業、小売業」の女性就
業者数は 19.5 万人と「医療、福祉」に次いで多
く、そのほかの業種を 10 万人以上も上回るな
ど、女性の多い職種であることが影響している
とみられます(図 1)。
【ポジティブ・アクションの観点から】
厚生労働省では、ポジティブ・アクション(企業における女性活躍推進の取組)を推進す
る観点から、職域、役職などで生じている男女労働者間の格差の実態把握・気づきを得るこ
とを目的に「業種別『見える化』支援ツール」を作成しています。
この支援ツールの活用事例によると、例えばスーパーマーケット業界には、店舗の販売員
から店舗の売場主任までは女性の登用が比較的進んできたものの、店長以上のクラスの管理
職層への登用が進んでいないことが課題として挙げられています。
管理職に占める女性比率が低いのは、そもそも正社員に占める女性比率が低いことが原因
の 1 つに挙げられており、正社員化や非正社員からのキャリアアップを検討することが重要
になってくると考えられます。
一方、女性社員が昇進を受け入れやすくする環境づくりも求められています。例えば、店
長職は、店舗での判断業務に加え、トラブルやクレームへの対応も求められ、時間的拘束が
長く、物理的および精神的な負担感が大きいこともあり、育児など家庭生活との両立が難し
いのが実態です。こうした環境を改善することも、女性管理職の比率を高める 1 つのポイン
トになるといわれています。
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2.課題解決に向けた取組事例
(1)正社員化の促進
道内のある卸売会社では、職場の上長がトレーナー役となり、本社から教育責任者が事業
所に出向き、非正規労働者を対象として、社内ルールや接客・マナーを重視した研修も実施
するなど OJT に力を入れています。
正社員の能力評価基準に照らして非正規労働者の能力を評価し、契約更新時の昇給に反映
させたり、正社員への登用を促進しており、社員のモチベーションの向上にもつながってい
ます。
(2)ステップアップの道筋の明確化
道外のある小売会社では、入社時に、正規社員・非正規労働者に関わらず、店舗事務のス
キル、経理処理、商品研修、コンプライアンス等の研修を実施しています。さらに、契約社員
に対しては、基幹的な契約社員とその他の契約社員に区分し、基幹的な契約社員への転換や、
基幹的な契約社員から正社員への転換を積極的に実施しています。
また、道外のある食品スーパーでは、パートの等級を 1 級と 2 級に分け、能力評価の結果
等に基づき昇級できる制度を導入しています。1 級保持者は、店主任、店次長、ナイトチーフ
等の役職まで昇進することができ、昇進後も筆記試験および面接により、契約社員や正社員
に転換できます。
このように、正社員登用制度の導入に加え、そのステップアップの道筋が明確であること
により、優秀な人材の確保や従業員として勤め続ける上での意欲向上につながっています。
(3)女性社員の意見収集を反映した制度の整備
帯広市の車両販売会社では、北海道が実施した「地域子育てあんしん職場づくり促進事業」
(平成 24 年度)を活用し、アドバイザーである社会保険労務士の指導の元、女性社員が長く
働くことができ、キャリアアップを図ることができる職場環境の整備に取り組みました。
仕事と子育ての両立ができるように、
「育児・介護休業法」に準拠した育児休業規程を整備
するとともに、女性がより働きやすい職場環境の整備に向けて、独身の女性社員を対象とし
たヒアリングにより把握できた意見・要望などを職場づくりに積極的に反映させています。
さらに、こうした「女性の働きやすい職場づくり」が会社の魅力につながり、新卒者を始め
とした若い人材の安定的な確保にもつながっています。
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■サービス・宿泊業におけるポイント整理
1.現状・課題
一般的に対人サービスを提供する業種や職種ほど、従業員のストレスが多く、離職率が高
いといわれています。新規学卒者の事業所規模別・産業別離職状況(厚生労働省)によると、
サービス・宿泊業の卒業後 3 年後の離職率(全国)は高校卒業者(平成 23 年 3 月卒)で
66.9%、大学卒業者(同)で 52.3%となっており、他の業種に比べて特に高くなっています。
正規雇用を希望しながら、非正規労働者として就職する若年層が多いことが想定されるた
め、正社員化や均衡待遇等により若年層の定着を促進することが喫緊の課題となっています。
【非正規労働者の割合が最も高い業種】
平成 24 年就業構造基本調査(総務省統計局)によると、北海道の宿泊業・飲食サービス業
の雇用者(役員を除く)に占める非正規労働者の割合は 73.8%となっており、全産業の中で
最も高くなっています。
これは、女性比率の高い産業であることが影響しており(従業者数の 67%が女性)
、女性
の雇用者についてみると非正規労働者の割合は 86.8%と非常に高くなっています。
【正社員と非正社員の職種の差がない】
サービス・宿泊業では、製造業や建設業あるいは医療・介護等のように、業務上、特定資格
を必ずしも必要としない業種が多いことから、正社員登用に係る基準を設定することに難し
い面があります。
また、職種上、正社員と非正社員との差が生じづらいことなどから、社員間に不公平間が
生じやすい特徴もあります。
【多種多様な職種が混在している】
対人サービスを提供する業種では、顧客との高いコミュニケーション能力が求められます。
また、ホテルでの現場業務が宿泊、レストラン、宴会の 3 つの部門に分かれているように、
業態によっては多種多様な職種が混在しているという特徴もあります。
このため、事業者には従業員の能力や向き・不向きなどを見極め、適正な職種に配置する
ことが求められます。
【長時間労働により就業環境が厳しい宿泊業】
宿泊業の場合、旅館・ホテルの休館日が少な
く、営業時間が長いという特徴から、従業員に
とって休暇が取得しづらい、あるいは長時間労
働になりがちだと言われています。
また、平成 25 年における月当たりの所定内
賃金(日本労働組合総連合会)は、全産業平均
と比較して低い水準となっています(図 2)
。
16
(図2)
2.課題解決に向けた取組事例
(1)労働時間の短縮
道外のあるホテルでは、長時間労働が起こる要因について、特定の従業員に業務が集中す
ることと考え、業務をローテーションさせることで業務量の平準化につなげています。
従業員が様々な業務を経験することで、現状の自分の担当業務以外でもサポートができる
ようになったほか、この取組を通じて、従業員間のコミュニケーションが活発になったこと
でチームワークが良くなり、より一層の業務効率化につながっています。
(2)役割と処遇の明確化
道外を中心にホテルやスポーツ施設等を展開している総合リゾート会社では、非正規労働
者の役割と処遇を一致させるため、役割・処遇と雇用形態を1つの枠組みの中で体系化する
ことで、その内容を明確にしました。
これにより、正社員と同様の幅広い業務を任される非正規労働者については、正社員と同
等の賃金・処遇(ただし、退職制度は適用外)が適用されることになり、正社員と同等の仕
事・役割を与えられても待遇が低いという課題が解消されました。また、本人が希望し、勤
務期間、評価成績などの要件を満たせば、有期契約から無期契約に転換できる制度もあわせ
て導入しており、こうした取組が非正規労働者のモチベーションアップに寄与しています。
(3)正社員化の促進
北見市のホテルでは、フロント業務について、正社員と非正社員で業務内容が大きく異な
らないことから、従業員間で不公平感が生じていたため、契約社員を対象とした正社員登用
制度を導入しました。このホテルでは、制度の導入により、社員のモチベーションや責任感
が向上するなどの成果が上がっています。
また、正社員登用制度を導入した小樽市のホテルでは、賃金アップや仕事の幅が広がるこ
とで従業員のモチベーションが向上したうえ、身近な社員が正社員に登用されるのをみて、
さらにモチベーションが高まるなど、社内全体の従業員の士気の高まりにつながっている事
例もみられます。
(4)キャリアマップの活用
厚生労働省では、企業における人材育成への活用などを目的に、ものづくりからサービス
業まで幅広い業種を対象とした職業能力評価基準を作成しています(平成 26 年 5 月時点で
52 業種)。この職業能力評価基準を基に、企業が人材育成に取り組む際に利用できるツール
として「キャリアマップ」を作成しており、代表的な職種における能力開発の標準的な道筋
が示されています。
道外のあるホテルでは、この「キャリアマップ」を活用した人材育成に取り組んでおり、
非正規労働者に対して、さらなるキャリアアップを図るために必要な経験や知識を段階的に
明確化しています。
さらに、この「キャリアマップ」に基づき職業能力を評価する仕組みと正社員登用制度を
連動させることで非正規労働者の目標設定やモチベーション向上にも寄与しています。
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■介護・福祉におけるポイント整理
1.現状・課題
介護分野に特化した全国調査(平成 25 年度介護労働実態調査:公益財団法人 介護労働安
定センター)によると、介護職の 80.8%が女性となっており、女性の割合の高い職種となっ
ています。一方、平成 26 年 10 月時点の道内の職種別の求人賃金(北海道労働局)をみると、
全職業で 168,679 円となっているのに対して、
「ホームヘルパー、ケアワーカー」は 146,440
円となっています。
収入確保のためには、
「休みたくても休めない」という状況なども踏まえ、安定した雇用環
境のためにも、非正規労働者の正社員化や均衡待遇が特に必要な職種であると考えられます。
【非正規雇用労働者の割合は平均をやや上回る程度】
平成 25 年度介護労働実態調査によると、介護職の非正規労働者の割合は全体で 46.4%と
なっています。これは、平成 24 年の就業構造基本調査(総務省統計局)で示される北海道全
体での雇用者(役員を除く)に占める非正規労働者の割合(42.8%)をやや上回っています。
【非正規雇用労働者で高い離職率・採用率】
平成 25 年度介護労働実態調査から、1 年間
の離職率についてみると、非正規職員の離職率
が高くなっています。また、採用率も非正規労
働者が高く、採用が多い一方で離職が多い、人
の出入りの多い業種であることがうかがえま
す(図 3)。
【人手不足や低賃金など厳しい就業環境】
平成 25 年度介護労働実態調査によると、
労働者における労働条件等の不満については、
「人手が足りない」
、
「仕事内容のわりに賃金が
低い」、
「有給休暇がとりにくい」などがあげら
れています(図 4)。特に非正規労働者は、
84.1%が時間給で働いており、正規労働者と
比べて賃金が低い状況がうかがえます。
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2.課題解決に向けた取組事例
(1)未経験者を支援する制度と連動した正社員化の促進
芦別市の社会福祉法人では、従業員の定着促進を図るため、介護福祉士の資格取得者を対
象とした、正社員登用制度を導入しています。また、慢性的な人手不足にある介護業界の現
状を受けて、未経験者の中途採用にも積極的に取り組んでいます。中途採用者に対しては、
担当ごとに先輩職員がマンツーマンで指導にあたる「チューター制度」を導入するとともに、
資格取得費用についても支援を行うなど、人材育成にも力を入れており、未経験者にとって
は、非常に心強い制度となっています。
(2)正社員登用制度の見直し
札幌市の社会福祉法人では、介護福祉士などの有資格者の増加と定着率の向上を目的に、
正社員登用制度を導入していましたが、登用試験を受験したほとんどの従業員が正職員にな
れる制度であったため、正職員間で意識や能力に差が生じることが課題となっていました。
そのため、試験対象者・内容、合格基準などについて見直しを図り、正職員としての適正
化を進めました。その結果、介護職員のキャリアパスへの取組が進められ、職場全体のモチ
ベーション向上につながるようになりました。
(3)両立支援の充実
千歳市のある会社では、非正規労働者が増えたことで組織体制の維持に課題が生じたため、
正社員を増やすことを目的に、介護資格の取得を条件とした正社員登用制度を導入していま
す。
また、職員に女性が多い業界の特徴を踏まえて、仕事と家庭の両立支援にも力を入れてい
ます。変形労働時間制を導入することで、従業員個々の状況を考慮したシフト体制が組める
ようになり、職員がお互いに協力し合うことで、安心して働くことのできる勤務体制が構築
できました。さらに、従業員の要望を取り入れ、子どもの看護休暇の日数を拡大したほか、
子どもといつでも気軽に会えるような職場環境を醸成するなど、支援体制の一層の充実を図
っており、成果を上げています。
(4)キャリアマップの活用
サービス・宿泊業の取組事例でもあったように、厚生労働省が作成したキャリアマップを
活用した事例もみられます。
道内では、キャリアマップでレベル最上位に位置づけられている、介護福祉士を正社員登
用の対象とする事業者が多くみられ、そうした事業者では、介護福祉士の資格取得に向けて
必要な知識・経験・ノウハウを習得できるキャリアの道筋をつけることで、非正社員のモチ
ベーション向上につなげています。
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■業種別にみた均衡待遇・正社員化に向けた課題と取組方針
現状・課題
建
設
業
課題解決に向けた取組
●正社員化の促進
・キャリアアップ助成金の有効活用
・年に数回の定期的な正社員登用
●非正規労働者の均衡待遇・待遇改善
・冬期業務確保による季節労働者の通年雇用
●両立支援の充実
・全ての部署に女性を配置
●技能労働者の不足
●若年層の確保・育成
●季節労働者など臨時・日雇労働者への依存
●中小零細企業における非正規労働者の雇用管理
・休暇の取得促進(建)
製
造
業
卸
売
・
小
売
業
サ
ー
ビ
ス
・
宿
泊
業
介
護
・
福
祉
●重要な戦力であるパートタイム労働者
●技術・技能の伝承に必要な若年層の確保・育成
●能力開発の機会拡充・人材育成の充実
●正社員化の促進
・女性の正社員化の促進
●非正規労働者の均衡待遇・待遇改善
・正社員と同様の能力評価制度の導入
●非正規労働者の人材育成
・正社員と同様の長期的な能力開発
・計画的ジョブローテーション
・責任者への積極的な登用
・正社員化等に向けた資格取得支援
●女性・非正規労働者が多い
●ポジティブ・アクションの推進
(管理職への女性登用、仕事と家庭の両立)
●正社員化の促進
・業務に応じた非正規労働者のステップアップ
●非正規労働者の均衡待遇・待遇改善
・正社員化までのステップアップの道筋の明確化
●非正規労働者の人材育成
・正社員と同様の能力評価制度の導入
●両立支援の充実
・女性社員の意見を反映した職場環境づくり
●正社員化の促進
・正社員と業務差がない非正規労働者の正社員化
●非正規労働者の人材育成
・キャリアマップの活用
●労働環境の整備
・業務ローテーションの実施で多様な業務サポートを
可能とし全体業務量を削減
●高い若年者の離職率
●長い労働時間など就業環境
●正社員と非正社員の業務の差がわかりづらい
●正社員化の促進
・未経験者を支援する制度との連動
・合格基準の見直しによるモチベーション向上
●非正規労働者の均衡待遇・待遇改善
・正社員化までのステップアップの道筋の明確化
●非正規労働者の人材育成
・正社員化等に向けた資格取得支援
・キャリアマップの活用
●労働環境の整備
・変形労働時間制の導入
●両立支援の充実
・看護休暇の日数拡大
●高い非正規労働者の離職率
●女性が多い
●人手不足・低賃金など厳しい就業環境
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4.主な支援制度と相談窓口
■関係法制度の法改正の動き
【労働契約法】
労働契約法は、労働契約に関する基本的なルールを規定した法律です。平成 24 年 8 月の
改正では、期間の定めのある有期労働契約について、反復更新やその下で生じる雇止めの不
安、不合理な労働条件などの問題に対処するため、新たに以下の 3 つのルールを規定しまし
た。
なお、新しいルールでは、パート、アルバイト、派遣社員、契約社員、嘱託など、職場での
呼称にかかわらず、有期労働契約で働く人のすべてが対象となっています。
◆改正法の 3 つのルール
①無期労働契約への転換(施行期日:平成 25 年 4 月 1 日)
同一の使用者との間で、有期労働契約が通算で 5 年を超えて繰り返し更新された場合は、労働者
の申込みにより無期労働契約に転換します。
②「雇止め法理」の法定化(施行期日:平成 24 年 8 月 10 日)
有期労働契約は、使用者が更新を拒否したときは、契約期間の満了により雇用が終了します。こ
れを「雇止め」といいます。雇止めについては、労働者保護の観点から、過去の最高裁判例により
一定の場合にこれを無効とする判例上のルール(
「雇止め法理」
)が確立しています。今回の法改正
は雇止め法理の内容や適用範囲を変更することなく、労働契約法に条文化しました。
③不合理な労働条件の禁止(施行期日:平成 25 年 4 月 1 日)
同一の使用者と労働契約を締結している、有期契約労働者と無期契約労働者との間で、期間の定
めがあることにより、不合理に労働条件を相違させることを禁止するルールです。
【パートタイム労働法】
平成 27 年 4 月 1 日から、パートタイム労働者の公正な待遇を確保し、納得して働くこと
ができるようにするため、パートタイム労働法や施行規則、パートタイム労働指針が変わり
ます。主な改正のポイントは以下のとおりです。
①パートタイム労働者の公正な待遇の確保
・正社員と差別的取扱いが禁止されるパートタイム労働者の対象範囲の拡大。
・パートタイム労働者の待遇と正社員の待遇を相違させる場合は、職務の内容、人材活用の
仕組み、その他の事情を考慮して、不合理と認められるものであってはならない。
②パートタイム労働者の納得性を高めるための措置
・パートタイム労働者を雇い入れたときは、雇用管理の改善措置の内容について、事業主が説明
しなければならない。
③パートタイム労働法の実効性を高めるための規定の新設
・雇用管理の改善措置の規定に違反している事業主が、厚生労働大臣の勧告に従わない場合は、
厚生労働大臣は事業主名を公表することができる。
21
【労働者派遣法】
現行の労働者派遣法は平成 24 年 10 月に改正されたものですが、その後も厚生労働省が設
置した「今後の労働者派遣制度の在り方に関する研究会」において、労働者派遣制度を取り
巻く様々な課題について検討が行われています。平成 25 年 8 月にとりまとめられた報告書
では、以下のような内容が整理されています。
①制度の在り方の検討に当たっての基本的な考え方について
・労働者派遣制度の労働力需給調整における役割を評価しながら、派遣労働者の保護及び雇用の
安定等を積極的に図ること。
・派遣労働者のキャリアアップを推進すること。
・労使双方にとってわかりやすい制度とすること。
②整理されている論点
・登録型派遣、製造業務派遣の在り方
・特定労働者派遣事業の在り方
・期間制限の在り方等
・派遣先の責任の在り方(派遣先の団体交渉応諾義務について)
・派遣労働者の待遇
・派遣労働者のキャリアアップ措置
・その他
■主な支援制度
【キャリアアップ助成金】
有期契約労働者、短時間労働者、派遣労働者といった、非正規雇用の労働者(正社員待遇
を受けていない無期雇用労働者を含む)の企業内でのキャリアアップ等を促進するため、正
規雇用への転換、人材育成、処遇改善などの取組を実施した事業主に対して助成する制度で
す。
助成額
助成内容
①正規雇用等
転換コース
②人材育成
コース
( )は大企業の額
有期契約労働者等を
・正社員に転換
または
・直接雇用した場合
①有期→正規:1 人当たり 50 万円(40 万円)
②有期→無期:1 人当たり 20 万円(15 万円)
③無期→正規:1 人当たり 30 万円(25 万円)
有期契約労働者等に
・一般職業訓練(OFF-JT)
・有期実習型訓練(OFF-JT+OJT)
・中長期キャリア形成訓練
(専門的・実践的な教育訓練)(OFF-JT)
を行った場合
③処遇改善
コース
④健康管理
コース
⑤短時間正社員
コース
⑥短時間労働者の
週所定労働時間
延長コース
すべての有期契約労働者等の
基本給テーブルを改定し、
2%以上増額させた場合
有期契約労働者等を対象とする
「法定外の健康診断制度」を
新たに規定し、4 人以上実施した場合
労働者を
・短時間正社員に転換
または
・新規で雇い入れした場合
有期契約労働者等の週所定労働時間を
30 時間以上に延長した場合
OFF-JT(1 人当たり)
賃金助成:1 時間当たり 800 円(500 円)
経費助成:一般職業訓練および有期実習型訓練
最大 30 万円(20 万円)
中長期キャリア形成訓練
最大 50 万円(30 万円)
OJT(1 人当たり)
賃金助成:1 時間当たり 700 円(700 円)
1 人当たり 1 万円(7,500 円)
1 事業所当たり 40 万円(30 万円)
1 人当たり 20 万円(15 万円)
※有期契約労働者等から転換した場合は
1人当たり 30 万円(25 万円)
1 人当たり 10 万円(7 万 5,000 円)
※赤字部分は、平成26年3月1日から平成28年3月31日までの間、支給額を増額または要件を緩和しています。
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【トライアル雇用奨励金】
職業経験の不足などから、就職が困難な求職者を原則 3 か月間、試行雇用することにより、
その適性や能力を見極め、常用雇用への移行のきっかけとすることを目的とした制度です。
①奨励金の支給額
・対象者 1 人当たり、月額最大 4 万円(最長 3 か月間)
②対象者
以下のいずれかの要件を満たした上で本人がトライアル雇用を希望した場合。
・就労経験のない職業に就くことを希望する。
・学校卒業後 3 年以内で、卒業後、安定した職業に就いていない。
・過去 2 年以内に 2 回以上離職や転職を繰り返している。
・離職している期間が 1 年を超えている。
・妊娠、出産・育児を理由に離職し、安定した職業に就いていない期間が 1 年を超えている。
・就職の援助を行うに当たって、特別な配慮を要する。
【中小企業労働環境向上助成金(個別中小企業助成コース)】
雇用管理改善を推進し、人材の定着・確保を図ることを目的に、雇用管理制度(評価・処遇
制度、研修体系制度、健康づくり制度)の導入などを行う健康・環境・農林漁業分野などの事
業を営む中小企業事業主に対して助成を行う制度です。
【雇用管理制度助成】
中小企業事業主が、労働者の労働環境の向上を図るために、雇用管理改善につながる制度等を
導入し、適切に実施した場合に導入した制度に応じた定額(評価・処遇制度:40 万円/研修体系
制度:30 万円/健康づくり制度:30 万円)を支給。この助成を受けるには、あらかじめ「雇用
管理制度整備計画」を作成し、都道府県労働局長の認定を受けることが必要です。
【介護福祉機器等助成】
介護関連事業主が、介護労働者の身体的負担を軽減するために、新たに介護福祉機器を導入
し、適切な運用を行うことにより、労働環境の改善がみられた場合に、介護福祉機器の導入費用
の 1/2(上限 300 万円)を支給。この助成を受けるには、あらかじめ「導入・運用計画」を作
成し、都道府県労働局長の認定を受けることが必要です。
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【両立支援促進・就業環境改善アドバイザー】
北海道では、仕事と家庭の両立支援や非正規労働者の労働条件改善等に取り組む企業を応
援するため、
「両立支援促進・就業環境改善アドバイザー派遣事業」を実施しています。
仕事と家庭が両立できる職場環境の整備や非正規労働者の労働条件改善を促進するため、
就業規則、育児・介護休業規定等の整備、一般事業主行動計画の策定・届出、最低賃金引上げ
に対応するための労務管理など、職場のさまざまな事柄の助言をするためにアドバイザーを
派遣します。
①派遣の対象となる事業所
・常時雇用する従業員数が 300 人以下の道内に事業所を有する法人及び個人又は団体。
②アドバイザーの業務
労務管理の専門家である社会保険労務士等がアドバイザーとして、以下のような相談に対し、実際
に企業を訪問して改善策をアドバイスします。
・仕事と家庭の両立ができる職場環境の整備に関する業務。
・非正規労働者の労働就業環境の改善に関する業務。
・その他、
「北海道あったかファミリー応援企業」登録など、仕事と家庭が両立できる職場環境の整
備、非正規労働者の就業環境の改善・整備に関する指導・助言。
・上記内容のセミナー等の講師。
③アドバイザーの派遣
・1 申請者につき、年度内原則 2 回まで(セミナー等の講師の派遣は、1 申請者につき 1 回限り)
。
④アドバイザー派遣に係る費用
・無料(アドバイザーに係る費用は北海道が負担)
。
※問合せ先:北海道経済部労働局雇用労政課労働福祉グループ
電話:011-204-5354
ホームページ:http://www.pref.hokkaido.lg.jp/kz/rkr/rsf/yutori/ryouritu/adobaizer.htm
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■主な相談窓口
【労働問題全般】
労働相談ホットライン
労働問題でお困りの皆様からの相談を電話で受けています。費用は無料です。
☆電話:0120-81-6105(フリーダイヤル)/月曜~金曜 17:00~20:00、土曜 13:00~16:00
※いずれも、祝日、12 月 29 日~1 月 3 日を除く
厚生労働省北海道労働局総合労働相談コーナー
労働条件、採用、いじめ、嫌がらせなど、労働問題に関するあらゆる分野の相談を面談又は電話で受けてい
ます。
☆住所:札幌市北区北 8 条西 2 丁目 1-1 札幌第 1 合同庁舎
☆電話:011-707-2700/9:00~16:30(土・日・祝日・年末年始を除く)
【労働条件・労働災害など】
労働基準監督署
賃金、労働時間等の労働条件、職場の安全衛生・健康管理、労働災害などは、各労働基準監督署へご相談く
ださい。
【若者の就職支援サービスや就職相談】
ジョブカフェ北海道
正規の職業に就くことを希望している 44 歳以下(学生を含む)の方が、就職相談やセミナー、求人情報検
索など、様々な就職支援サービスを受けられる、北海道が設置している就職支援施設です。
名
称
所 在 地
電話番号
ジョブカフェ北海道
札幌市中央区北 4 条西 5 丁目 三井生命札幌共同ビル 7 階
011-209-4510
ジョブカフェ函館
函館市梁川町 10-25 テーオーデパート 6 階
0138-31-6060
ジョブカフェ旭川
旭川市 6 条通 4 丁目 旭川勤労者福祉会館内
0166-26-8808
ジョブカフェ釧路
釧路市錦町 2-4 釧路フィッシャーマンズワーフ MOO2 階(EGG 側)
0154-24-2122
ジョブカフェ帯広
帯広市西 2 条南 12 丁目 JR帯広駅エスタ東館 2 階
0155-26-2130
ジョブカフェ北見
北見市北 2 条西 3 丁目 ナップスビル 1 階 ジョブサポートきたみ内
0157-25-1544
札幌わかものハローワーク
正規雇用での就職を目指す若年者(概ね 45 歳未満)への支援を専門的に行っています。仕事探しに関する
支援のほか、正規雇用就職に向けた担当者制による個別支援、就職後の定着支援、若者の「使い捨て」が疑わ
れる企業などに関する相談なども行っています。
☆住所:札幌市中央区北4条西5丁目 三井生命札幌共同ビル 7 階
☆電話:011-233-0202
月・水・金 9:00~19:00、火・木 9:00~17:15、第 2・4 土 10:00~17:00
(日・祝日・年末年始を除く)
【個別的労使紛争のあっせん制度について】
北海道労働委員会事務局(調整課個別対策グループ)
解雇や労働条件に関する使用者と労働者との間の問題解決のために、「あっせん制度」があります。「あっ
せん」とは、労働問題に関し経験豊かな「あっせん員」が当事者双方のお話を聞いて、問題点を整理の上、助
言などを行い、歩み寄りによる解決を図るもので、費用は無料です。
☆住所:札幌市中央区北 3 条西 7 丁目 道庁別館 10 階
☆電話:011-204-5667
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待遇改善や正社員化により非正規労働者の能力を活かそう
【労務管理人材育成事業(非正規労働者正社員化等プロジェクト)】
平成26年12月
◆事業委託者
北海道経済部労働局雇用労政課
札幌市中央区北3条西6丁目
◆事業受託者(内容に関する照会先)
株式会社北海道二十一世紀総合研究所 調査研究部
札幌市中央区大通西3丁目11番地 北洋ビル
TEL:011-231-3053 / FAX:011-231-3143
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