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12 身体活動量の定量法とその実際(2)(ノート)
12 4. 身体活動量の定量法とその実際(2) 3. 身体活動量の測定法の実際 4. 身体活動量の定量法と その実際(2) (1) 二重標識水による身体活動量評価 • 二重標識水法(DLW法)で測定した総消費エネルギー 量から基礎代謝量と食事誘発性熱生産を差し引くと身 1. 身体活動と運動 体活動によるエネルギー消費量。 • 身体活動:骨格筋の収縮を伴い、安静時よりも多くの • DLW法は身体活動の種類・強度を区別できないので、 エネルギーを消費する。 3メッツ以上の身体運動によるエネルギー消費量は測 • 日常生活での労働、家事、通勤・通学、趣味などの 定出来ない。 「生活活動」と体力の維持・向上を目的に計画的・意 図的に実施する「運動」に分ける(図1)。 (2)生活活動調査に基づく身体活動量の測定(要因加算 • 「健康づくりのための運動基準2006」では強度が3メ 法) ッツ(METs: Metabolic Equivalents、中強度)以上 • 生活時間調査により、各身体活動によるエネルギー消 の身体活動を対象とする。 費量を推定し加算する方法。以下のいずれかの方法に よる。 •活動の種類が変わる度に記録するもの(表 1)。 •15分単位で代表的な活動を記録する。 •典型的な活動内容あるいは過去数日の活動 内容の概略を記入するもの(表2、表 3)。 •個人毎に呼気ガス分析を行なったほうが正 確だが、一般的には以下のエネルギー代謝 率やメッツなどを用いる。 •カ ー ト を 使 っ た ゴルフ は 3 . 5 メ ッ ツ ( 表 5)だが、4時間のゴルフのうち2時間が待 ち時間の場合は、身体活動量は3.5メッツ 2 時間=7.0メッツ・時とする。待ち時間のエ ネルギー消費量は別に計算する。 2. 身体活動量の指標 (1)身体活動によるエネルギー消費量 • エネルギー消費量は活動量だけでなく体格の影響が大 きい。体格の影響を除く場合はエネルギー消費量を体 重や基礎代謝量あたりで表す。 (2)身体活動レベル(Physical Activity Level: PAL) • 1日のエネルギー消費量(kcal/日)を基礎代謝量 (kcal/日)で割ったもの。 (3)メッツ・時 • 活動内容が同じでも体格が大きいとエネルギー消費量 は大きくなる。この体格の影響を除いて身体活動量を 定量化するために、メッツに活動時間をかけたメッ ツ・時が、しばしば用いられる。 • 4メッツの速歩を1時間行なうと4メッツ・時(4 1 =4)。7メッツのジョギングを35分間行うと約4メ ッツ・時(7 35/60=約4) • 「健康づくりのための運動基準2006」では、1メッ ツ・時を1エクササイズとする。 45 12 4. 身体活動量の定量法とその実際(2) 46 12 4. 身体活動量の定量法とその実際(2) ①各種活動別の強度の測定(呼気ガス分 析) • マスクやフードを用いて呼気ガスを採取 し、ダグラスバッグや各種代謝装置を用 いて測定できる。 • 要因加算法(に用いる活動強度など) は、この方法での測定結果に基づいて いる。 • 食 事 な どの 一 部 の 活 動 は 測 定 出 来 な い。また、長時間の連続測定は現実的 に不可能。 ②エネルギー代謝率(Relative Metabolic Rate: R.M.R.) •エネルギー代謝率= (EE-RMR) / BMR。この式で、EEは各活動時のエネ ルギー消費量、RMRは安静時代謝量 (座位安静で測定)、BMRは基礎代謝 量。 • 各活動時で座位安静状態を上回るエネ ルギー消費量(=活動代謝量)が基礎 代謝の何倍かを示す。 • 座位安静代謝量は基礎代謝量の1.2倍程 度なので、R.M.R.に1.2を加えると基礎 代謝量の倍数(Activity factor, Af)と なる(表4)。 • エネルギー代謝率R.M.R.は日本以外で は用いられていない。 •国 際 的 に は R M R は 安 静 時 代 謝 率 (Resting Metabolic Rate)を指す。 ③メッツ(Metabolic Equivalent: MET) • エネルギー消費量が座位安静時代謝量 の何倍かを示す値。運動だけでなくさ まざまな日常の身体活動の値が求めら れて、改訂が繰り返されている(表5∼ 7)。 • 座位安静時代謝量は基礎代謝量の1.2倍 なので、Afとメッツには次の関係があ る。 • Af = EE / BMR = EE / (RMR / 1.2) = EE / RMR = メッツ 1.2 1.2 47 12 4. 身体活動量の定量法とその実際(2) 48 12 4. 身体活動量の定量法とその実際(2) ④ACSM s Metabolic Calculations 参考 • アメリカスポーツ医学会(American College of 「健康づくりのための運動指針2006∼生活習慣病予防 Sports Medicine, ACSM)は次のような推定式を提 のために∼」:厚生労働省のホームページなどからダウ 示。 ンロード出来る。 • 歩行:VO2 (mL/kg/min) = 0.1 (mL/kg/m) (m/min) + 1.8 (mL/kg/m) 速度 速度 (m/min) 傾斜 • 走行:VO2 (mL/kg/min) = 0.2 (mL/kg/m) 速度 (m/min) + 0.9 (mL/kg/m) x 速度 (m/min) 傾斜 運動の単位:メッツ(METs、metabolic equivalent): (%) + 3.5 (mL/kg/min) 身体活動の強さを安静時の何倍に相当するかを表す単 位。 (%) + 3.5 (mL/kg/min) 身体活動・運動の量の単位:エクササイズ=メッツ 時 • サイクリング(脚):VO 2 (mL/kg/min) = 1.8 (mL/kg/m) 負荷 (kg·m/min) 間。 体重 (kg) + 3.5 •例1)3メッツの身体活動を1時間→3メッツ 1時間 • サイクリング(腕):VO2 (mL/kg/min) = 3 (mL/ •例2)6メッツの身体活動を30分→6メッツ 0.5時間 (mL/kg/min) kg/m) 負荷 (kg·m/min) =3エクササイズ。 体重 (kg) + 3.5 (mL/ =3エクササイズ。 kg/min) • ステッピング:VO2 (mL/kg/min) = 0.2 min) + 1.33 (mL/kg/m) さ (m) 回数 (回/ 1.8 (mL/kg/m) 身体活動量の目標 台の高 • 週23エクササイズ(メッツ 時間)の活発な身体活動 回数 (回/min) + 3.5 (mL/kg/min) (運動・生活活動)。 • そのうち4エクササイズは活発な運動を。 (3)その他の身体活動量評価法 • 心拍数計や加速度計、歩数によって身体活動量を評価 エネルギー消費量への換算 する市販の測定装置の中には、エネルギー消費量や活 •1.05 体重 (kg) 動強度が表示されるものがある。 (メッツ 運動時間 (h))。 (注:メッツ 運動時間=エクササイズ) • これらの方法は個人間の身体活動量を比較するうえで •例1) 体重50キロの人が、30分間ジョギング(6 有効だが、加速度計法は一般に1日あたりの総エネル METS)をした場合:1.05 ギー消費量を過小評価する傾向がある。 50 (㎏) 6 (METS) 0.5 (時間) =158 (kcal)。 • 測定値の妥当性の結果に基づいて値を利用する。 •例2) 体重60キロの人が、5時間軽登山(5 METS) をした場合:1.05 1,575 (kcal)。 49 60 (㎏) 5 (METS) 5 (時間) = 12 4. 身体活動量の定量法とその実際(2) •内臓脂肪減少のために • 内臓脂肪1 kgの蓄積→腹囲1 cm増。 • 内臓脂肪1 kg = 7,000 kcal。 • 30日で腹囲1 cm減 = 7,000 kcal消費 = 230 kcal/日 不足にする。 • 不足にするには、①運動で230 kcal/日消費する、② 摂取量(食事)を230 kcal/日減らす、あるいは③運 動と食事を組み合わせて230 kcal不足にする。 要因加算法の計算例 50 12 4. 身体活動量の定量法とその実際(2) 身体活動のメッツ(METs, Metabolic Equivalents) 活動内容 安 静 睡眠 横になる、静かに座る、テレビを見る 音楽鑑賞、映画鑑賞、読書、書き物をする 会話や電話(立位) 1.8 入浴(座位) シャワーを浴びる(立位) 身支度(洗顔、歯磨き、手洗い、髭剃り、 化粧、着替え) ・ 中 強 1.0 1.2 食事 2.0 生 ピアノ、オルガンの演奏 2.5 活 活 動 料理 2.0 皿洗い 2.3 洗濯物を干す、片付ける 買物 軽い掃除(ごみ拾い、整頓など) 大きいものの掃除(洗車、窓、車庫など) フロアの掃き掃除 掃除機をかける 床磨き、風呂掃除 7.0 7.0 7.0 7.0 7.0 7.0 12.0 水泳(平泳ぎ) 水泳(バタフライ) 水泳(クロール、ゆっくり、46m/分) 水泳(クロール、速い、69m/分) ジョギング(一般的) 10.0 12.0 7.0 10.0 11.0 8.0 11.0 7.0 2.5 縄跳び(やや速い) 10.0 3.0 筋力トレーニング(軽・中等度) 2.5 ウォーキング(運動として、93m/分) 8.0 10.0 キャッチボール 階段昇降 7.0 ランニング(9.7km/時、162m/分) 度 バレーボール(9人制、レクリエーション的) 7.0 ハンドボール 水泳(背泳) 4.0 2.0 ボーリング 6.5 10.0 自転車競技 4.0 6.0 ラグビー 柔道、空手 2.0 散歩(53m/分未満) ストレッチング、ヨガ クロスカントリースキー サッカー 3.8 2.5 スキー バドミントン 3.5 スクーター、オートバイの運転 アイススケート テニス 3.3 1.0 エアロビクス ボート、カヌー 3.0 中 動 自転車エルゴメーター 投手 登山 2.5 電車やバス、車に乗車する 自転車に乗る 運 の 動 2.3 4.5 通勤、通学で歩く の 6.0 運 2.0 草むしり、庭の手入れ 車の運転 強 バスケットボール 度 1.5 5.0 強 1.5 趣味・娯楽(ゲームで遊ぶ、手芸など) 4.8 4.5 5.0 座位作業(軽いオフィスワーク、会議など) 1.5 3.0 野球、ソフトボール 高 2.3 4.5 ダンス(バレエ、モダン、ツイスト、ジャズ) 遊戯具など) 1.8 4.0 4.0 子どもの遊び(石蹴り、ドッジボール、 2.0 4.0 アクアビクス、水中体操、水中歩行 バドミントン(レクリエーション的) 1.5 裁縫 4.0 打ちっぱなしゴルフ 1.8 立位作業(店員の業務、コピーなど) 卓球 ゴルフ 勉強、学校の授業 デスクワーク、タイピング 4.0 バレーボール 1.5 メッツ 器械体操 投擲 1.5 度 の 活動内容 0.9 静かに立つ 会話や電話(座位) 低 メッツ ランニング(12.1km/時、202m/分) 腕立て伏せ、腹筋運動など 3.0 (高強度) 3.5 3.8 51 12.5 8.0 3.0 6.0 12 4. 身体活動量の定量法とその実際(2) 52