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看護介護の統一と向上を目指す

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看護介護の統一と向上を目指す
サークル名の由来を簡単に紹介いたします。
サークル名はカームで「和」を意味します。
和やかな、平和、心がおちついた、などの意味を持ちます。
全員が和を保ちながら協力しあいテーマを進行していけるようにと希望を込めて命名しました。
テーマ選定
テーマを選定するにあたり、問題、課題の洗
い出しを行いました。ブレーンストーミング法で
話し合い
1.より効果的な口腔ケアの方法の検討。
2.拘縮の強い患者様に、より安全、安楽に
更衣をする方法の検討。
3.オムツ交換の手技を統一することで、
オムツのコスト削減を図る。
4.トランスファーの技術を見直し、事故防
止に繋げる。
以上4つのテーマを抽出しました。
緊急性、重要度、実現性などで点数付けを行
い評価、順位づけを行った結果、トランス
ファー時の事故報告件数が多いことから、4番
目の「トランスファーの介助技術を見直し事故
防止に繋げる」というテーマに決定しました。
当病棟の入院患者様の多くは、高齢で麻痺
がある、関節の拘縮が強い、皮膚が非常に弱
く傷つき易いという状態にあります。
また、介助者よりはるかに身長、体重の大き
な方もいます更に介助するスタッフ個々の技
術レベルにも差があるという意見が出されまし
た。そこで、患者様の個別性に合わせた介助
方法をスタッフ全員で確認し合い、統一した方
法でケアすることで、トランスファーの際の事
故を防ぐことができるのではないかと考え、
テーマを決定しました。
現状把握
患者様の剥離、内出血の事故調査を1月~8月まで行いました。
その結果トータル24件の報告があり、うち12件が移乗時に起こったケースです。
二人でトランスファーを行った場合の事故は3件、一人でトランスファーを行った場合の事故が9
件でした。
あとの12件は体交や自傷行為などにより剥離を起こしやすい状態になっていたケースや原因
がわからず、すでに剥離していた状態を発見し報告したケースでした。
以上のことから、分かった事は剥離、内出血の原因はトランスファー時、一人で移乗を行った
場合が最も多いということでした。
目標設定
トランスファー事故の件数
1.5回/月を0回/月とし
期日を平成17年12月10日
迄としました。
要因解析
特性要因図で表してみしました。
要因として、患者様、環境、スタッフが上げられ重要要因を絞り込みました。
一部を紹介しますと、患者様では拘縮があり体重が重いなどが上げられました。
要因検証1
重要要因 患者様に拘縮があり体
重が重いに関しては、麻痺が有る。
車乗車に抵抗がある。などが上げら
れ結果的にトランスファーに上手に
乗れない事になり、拘縮があると
引っかかり
基本動作が取れず無理な姿勢に
なってしまう。
要因検証2
重要要因 環境のベットでは、ベッド
間が狭かったり、床が滑り易い状況
にありトランスファーが上手く出来な
いなどがあげられ、移動の際動く範
囲が妨げられスタッフ、患者様も足
が取られてしまいます。
要因検証3
重要要因 スタッフでは、意識不足、
認識不足が上げられ過信、安全への
配慮、マニュアルがない。
結果としてトランスファーの方法の共
有ががなされていませんでした。
スタッフの勉強不足と技術不足であ
ることが分かりました。
対策立案
トランフファーの事故を無くすには?の対策を系統図を使ってマトリックスで評価しました。
一部紹介しますとスタッフではスタッフの勉強不足、技術不足に対し、対策として勉強会を開く
技術講習会を開くが上げられ点数付けを行った結果1位となり対策を実施しました。
3位、4位は優先順位は低いものの順じ対策実施しております。
対策実施1
ベッド間が狭い為,ベッドを移動するに関しては改善前ベッド間は、平均80センチと狭く車椅子をベットと平行にしか位
置付けられませんでした。改善後患者様の麻痺や介助量に合わせて、ベッドの位置調整を行うと共に車椅子を適度
な角度で位置付けし、介助者が安定した姿勢で移乗できるようベッド間の距離は、130センチ以上確保する事としま
した。
対策実施2
床が滑り易い為、床靴底のチェックをするに関しては、改善前これと言った意識はしていませんでした。
改善後は床が濡れていないか、障害物はないかを常にチェックし、ナースサンダルから、滑りにくいスニーカー等の
シューズに切り替えました。
対策実施3
スタッフの勉強不足、技術不足をおぎなうに関しては、改善前基本原則を知りながらも自己流で介護していたり時間
や業務を気にするあまり全介助が必要な患者様を一人移乗し、介護者も患者様にも負担がかかっていました。
改善後勉強会を週2回開催し、基本原則をふりかえりながら、患者様個々に合わせた安全な移乗方法や患者様の安
楽な姿勢保持の方法を勉強しました。
効果確認
以上の対策を10月15日より12月10日
まで実施した結果、改善前1.5件あったト
ファンスファーの事故件数が改善後は0
件となり目標を100%達成する事ができ
ました。
歯止め
5W1Hをもちいて管理の定着を行いまし
た。
一部紹介しますと管理では、車椅子移乗
時の手順を、スタッフに統一してもらう
為、TQMメンバーが、毎日、病棟で、声
かけし一緒に行うとしました。以下の項
目に対しても同様に管理の定着を行い
ました。
最後に反省と今後の課題として
☆良かった点
1全員参加の取り組みで事故ゼロ!を達成できて良かった。
2スタッフ個々のレベルアップが図れた。
☆悪かった点
1要因の絞り込みに時間がかかり苦労した。
2シフトが合わず全員が集まる機会が少なかった。
☆今後の課題
その後、対策実施期間が短かったこともあり、引き続き効果の確認をした結果、トランスファー時の事故、0件の継続
は残念ながらできていませんでしたが、TQM活動開始前の、月平均1.5件から現在月平均0.5件へと事故件数は確実
に減少しており、標準化対策は間違っていなかったことが分かりました。しかし、トランスファーによる事故は減少したも
のの、2階病棟での表皮剥離の事故報告書は、H17・12~H18・12までの1年間で44件提出されており、同じ患者
様が何度も剥離を繰り返したり、いつのまにか剥離していた、というケースが目立ちます。
体位交換や更衣、移乗動作といった、日常生活全般における看護、介護の方法を見直すという他に患者様自身の皮
膚状態に目を向け、NSTの介入により、微量元素亜鉛が摂取できるよう、濃厚流動食を検討し全身状態を整える、あ
るいは、高齢者の皮膚の乾燥を防ぎ、保湿することで、かゆみによる擦過傷などを防止するという視点からも、剥離事
故防止にむけた取り組みを開始したところです。
今後は、今回の取り組みを病院全体に浸透させ、スタッフ一人一人の事故防止に対する意識を継続させていけるよ
う、活動を続けていきたいと思います。
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