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夏山にひそむ意外な危険 中国と奥多摩の砂漠化

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夏山にひそむ意外な危険 中国と奥多摩の砂漠化
夏山にひそむ意外な危険
レンジャー福田の 高尾の空もよう
○ゴロゴロ・・・と聞こえたら
夏の暑い日、上空に寒気が入りこんで、そこに湿った上昇気流が昇っていくと… 積乱雲
(入道雲)ができます。もくもくとした入道雲は、いかにも夏らしい風景ですが、その下では
雷が発生していることが多いのです。実は、日本では年間およそ 20 名の方が、落雷事故で
亡くなっていますし、私たちがいる高尾ビジターセンターは、過去に落雷が原因で焼失した
ことがあります。
雷を避ける方法に 100% はありません。しかし正しい知識を持つことで、そのリスクを大
きく減らすことができます。もし山の中で「ゴロゴロ!」と来たら、次のことを思い出して
ください。
・ゴロゴロと雷鳴が聞こえた時は、すでに危険な範囲に入っている。
・避難するときには、絶対に傘をささない。とにかく姿勢を低く保つこと。
写真上:雷が落ちたモミ
・まずは車、鉄筋コンクリートの建物など、避難場所を探す。小さなあずまやなどは、
右:弾けて落ちた枝
むしろ危険。
・それらの避難場所がない場合は、5m 以上ある高い木を探す。木のピークから 45 度の範囲で、できるだけ姿勢を低くする。
その際、その木の幹や枝からは最低 4m 離れ、両足はそろえること。
・身に着けている金属類をはずす必要はない。しかし長いもの、先の尖ったものは体から離し、地面に寝かせる。
○夏に凍死?
まだまだ暑い今の時期、雨具をつけるのは誰でも嫌なものです。しかし、濡れた衣服で長時間行動をした場合、夏でも低体温症を起こすこと
があります。低体温症とは、一口で言えば「凍死の一歩手前」です。これが冬山であれば、誰でも寒さへの対策をしています。しかし、そうい
うことへの意識の薄い夏場は、ある意味冬山より危険かも知れません。
雨に濡れた衣服でも、行動している間はさほど寒さを感じません。しかし、立ち止まって休憩し始めると、体温は急激に下がります。特に風
の強い日は要注意です。気付いたときには、体の自由が利かなくなっています。
低体温症になった場合は、すみやかに衣服やエマージェンシー・ブランケットなどで体を覆い、体温が逃げるのを防いでください。そして温
かいものを飲むなど、体温を上げる工夫をしてください。なおこの場合、お酒は絶対に飲んではいけません。お酒は一時的に体温が上がったよ
うに感じますが、その後、広がった血管から体の熱が逃げてしまうため、逆効果です。
中国と奥多摩の砂漠化
レンジャー師岡の 海外の環境問題から
東京の自然を考える
7月に中国の新疆(しんきょう)ウイグル自治区にある砂漠(中国では沙漠と書きます)
に行ってきました。
目的は「沙漠緑化活動」
。砂漠がそれ以上広がらないための国をあげた活動です。私
は2年ほど前から毎年夏に訪れています。今年は約
1500本の緑を植えてきました。訪れた砂漠のある
地域は元々乾燥した気候ですが、森林伐採、過放牧、
及び不適切な灌漑(かんがい)農業などが砂漠化に拍
車をかけたようです。日本国内では幸い砂漠化という
言葉を耳にしません。しかし、東京の山でも砂漠化
してしまった場所があります。砂漠化してしまった原
因はなんとシカ。中国の砂漠化での過放牧と同様、増
奥多摩大ダワ(2005 年 10 月)
えすぎたシカが植生破壊を引き起こしてしまいました。
写真上:中国の砂漠
これも砂漠化の一つです。
右:砂の中には
左の写真の場所は東京都の事業で土止め、種のつい
こんな生き物も・・・
たマットを設置し、現在では回復に向かっています。
中国も東京も規模は違えど砂漠化してしまったのはどちら
も自然のバランスが崩れてしまったことが原因です。
環境問題は対岸の火事ではありません。海外の環境問題
にも目を向けることは、大局で捕らえることが必要な環境
問題の理解の一助になり、さらには解決へのヒントも隠さ
奥多摩大ダワ(2007 年8月)
れているのではないでしょうか。
自然情報などの問い合わせは・・・
高尾ビジターセンター 042−664−7872
奥多摩ビジターセンター 0428−83−2037
御岳ビジターセンター 0428−78−9363
小峰ビジターセンター 042−595−0400
山のふるさと村ビジターセンター
0428−86−2551
本紙についての問い合わせ先
東京都高尾自然公園管理センター
042−664−7872 
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