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学校通信21年1月号 コスタリカのレストランにて 校長 村山 孝 コスタリカ

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学校通信21年1月号 コスタリカのレストランにて 校長 村山 孝 コスタリカ
学校通信21年1月号
コスタリカのレストランにて
校長
村山
孝
コスタリカに行ったときに面白いことに気がつきました。レストランで食事する恋
人同士や夫婦が、横に並んで食べていたのです。彼らは「向かいあうとろくなことは
ない」と気がついているのではないでしょうか。ー途中省略ー
しかし並んで食うほうが感覚は似てくる気もします。イタリアでも恋人同士ならば
直角に並んで食べるそうです。
『養老訓』新潮社 養老孟司・著より引用
養老孟司氏については、多くの著作が出版されていますので改めて紹介する必要のない
ことだと考え、省略いたします。
著者によると、夫婦は直角に向かいあうのが正しい、と私はいつも言っているのですと
述べています。
さらに、このことは夫婦に限らず共同して作業をするときはできるだけ直角になるよう
にするといいと力説しています。
このことは単なる位置関係にとどまらず、縦方向の学問と横方向の学問だけをきちんと
やっていれば、斜め方向の学問は敢えてやらなくてもよい、ということのようです。
基本があれば、自然と伸びるものです。単純な例をあげれば、国語と算数の両方をやっ
ておくことで論理的にものを書くことの訓練になるわけです。何も改めて「小論文」を学
ぶ必要はありません、と強調しています。
いつも向かいあって何かに正対することが大事であるという先入観を人間関係だけでな
く、応用する力・活用する力も生み出し方も、基礎基本の学習が基盤になるということと
受け止めることが出来そうです。
このことは教育相談などの際にカウンセラーとクライアントが向き合って座らないで、
直角になるように座って面談することや医師が患者を診る時、状況が許せば既にこのよう
なことが活かされていることはご承知の通りです。。
位置関係に目を留めてきましたが、相手との距離も重要な要素であるようです。
社会学者で文化人類学者ののエドワード・ホールの説がいろいろな著書で紹介されるよ
うになりました。
(「かくれた次元」日高敏隆訳・みすず書房。他)。孫引きで恐縮ですが、
人間には4つの距離帯(ゾーン)があり、それぞれを近接と遠方に分けると、合計8つの
距離帯に分類できる、としています。
ホールの分類
1 密接距離帯=親密な関係
近接は0cm。極めて親密な関係。遠方は、25cm以内。手で相手の手に
触れたり、握ったりできる距離。
2 個体的距離帯=友人関係など
近接は75cm以内、相手を抱いたり捕まえたり出来る距離。遠方は120
cm以内。個人的な議論ができる距離。
3 社会的な距離=社会生活上の距離
近接は220cm以内。ちょっとした社交場の集い。遠方は360cm以内。
上司と部下との距離。
4 公衆距離帯=講演会の参加
近接は3,6m∼7、5m。遠方は、7,5m以上。
不登校や閉じこもり、虐待などの原因の一つは、人間関係を上手に構築する能力に欠け
ることがあげられると指摘する学者もいます。
人にとっては、何でもない空間であっても、その人(その子)にとっては、安全を脅か
される不快な空間であることもあり得るわけです。
また、ホールの説は、心理学的なアプローチのお他に、児童の安全の確保等にも応用で
きそうです。児童が不審者等から身を守る安全距離を2m以上を確保しておくことが大事
であろうと考えます。この距離を保つと、腕を突然捕まれて車などに引っ張り込まれる危
険も少なくなるだろうと考えます。
子どもを含めたご家族の距離帯は、いかがでしょうか。
新しい年の初めにあたり、よりよい人間関係の構築のために、向き合う方向と距離につ
て考えて頂けたらと考えます。
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
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