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OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ 52 香川県立農科大学学術報告 ケンタッキー31フェスクの種子に関する研究 (‡)その年産性と用価について 肱 元 茂 善 A study onthe seeds of Kentucky31Fescue. (Ⅰ)Abouttheyieldiilgefficiencyandutilityvalue. By ShigeyoshiH(JIMOTO.* (Laboratbry of AgriculturalEducation) (Receiv占dMarch31,1954.) この牧草は1949年末,米国より、「奇置の草,冬緑草」の名を以て輸入され,寒期,放牧地や畦畔の 草生改良,傾斜地の土壌保全等に雇用されて腐る.以来,本草の特性や栽培法等に関してほぬ木,(5)倉 田,(1,2)山田,(ウ〉氏等で紹介されたが,採種問題に関しては殆んど報告されて居らない.資料ほ未熟で あるが,本報告ほ普通栽培下に於ける球種成績の一部である・実験艦当り種々の御便宜を与えられた 本学育種学研究窒と草稿の一七で幾多の助貫を賜わった京都大学農学部作物学研究室の恩師等軋深甚 の謝意を表明するけ (甘)種子の生感性に.ついて 1.実 験 方 法 栽培用地ほ地味中庸の砂壌土質畑地で各試験区其3坪宛2区制,畦巾60cm,株問30cm, 植とし・た.肥料は基肥として反当石灰20貫,確肥300貫,苗活着後硫安4..5貰を施した.なお追肥と七 て毎年早春に.硫安,硫加3竃宛,適石4巾5貿を用いた・播種期ほ1950年秋より1952年秋迄彼岸頃5 回に分けて行い,その種子ほ感入品とをの後代を用いた・なお又1953年1月始−・部刈取を符・つでそ鱒 再生華での鱒嘩を見,T・方同年春には両帝御薬のかゝった尺鉢を用い底穴を基いで施肥鼠と稔性との 関係を見るための予備実験を行った.即ち凧乾心土10kgに.硫安1け5g,過石2.Og,硫加1.5gを混和 して前年10月5日挿の苗を3月6日に1本宛走破した.鉢の数は7個宛であった.5月8日一方め区 に.丈硫安1ハ5g,及び過石2.Ogりを追肥したこ稔芙調査には採種期別に任意に明恵をとり夫々透視器で 分別した. 2.実験結果と考察 結果は何れの年度も似て居るめで便宜上1951年春苗のその彼の種子の生産状況(蒙り と毎年春秋 5回に.亘って掃いた苗の1953年駐に丁於ける種子生産状況(衷2)について丈述べる撃とする..先ず表 により採種月日を見ると掃程後1年以上経過した苗では採種期が播種後1年以内のものより1月程 早いが・一・方秋紅ほ寧ろ早く終るい次に一億採種本数を見ると栽砥初年目が甚だ少数で2年目から着 るしく増加する・而もその数の大半は5月一6月に得られるので本草を兼用栽培する場合にほ梅雨明 に採穫し育刈するのが得策と思われる・・なお早春1月刈取を行うと,その再生株での採種本数ほ無刈 取株の半数位主なる様セあるし,筆者のチ \ヤス牧場での調査(4)でほこの再生株の出穂期はそらネU 取期に於ける掃種苗の出穂澱匿似て居たい穂艮紅ついてほ新竜株の別なく30cm前後である.唯最も 早期に出穂したものが梢々穂長が大でありたl・次に山穂稔実粗数ほ5月■−6月出穂したものが断然多 く・一・穂で300粒溺後に達するものもある・・又稔芙歩合も親権後若い株と7月以降に採種した穂が顕著 ☆現在勤務場所:広島県立農業想期大学Presentaddress:HiroshimaAgricultural†uniorCo11ege OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ 第6巻欝1号(1954) 53 衷1 1951年春挿の場合 に低い..遺骨採種適期のもので稔英 稔実歩合 歩・合ほ60%■ん80%であった∴又早春 刈申した株では無刈取株より聴芙歩 合が低く,・一L方その頃挿種し一た株で の稔芙歩合より高かった.更に∴十穂 二 稔英粒息ほ】⊥・穂稔実粗数と.稔芙官粗 − 1951 宴とに∴左右されるのでおろう、が,ノ′こ 一 9 2フ1161114.8 三 ∵.こ子ご1 ̄十∴∴..二 一 ̄− ユ.952 表l−「1三i「謁盲l「義一芯」「T; 5月∼6月出穂の分が優良な成緯を 示し,最長のものは90.Omg:に.達し た・・′これに・引換え栽櫨後半年位のも 、 − ∴∴ ̄ ‥ ∴、∴ ∴ニ、 甲場合も栽植後1年以上経過し且つ 63.3】:■542】 223f 81.9 二り∴のでほ5月下関出穂の分でも150噛 垂呈内外であった・故に滴潔歩合につ−二¢J 塾㌻革も同様な傾向を示し採種適期のも ヱj ので70%’∼80ゑ′「,7月以偉の遅れ穂 − ぷ で20%一30%’,栽櫨后半年の.もので _ _ jJ、ノ10%∼40%,1年のものセ20.%一 ユ5.4 60%と逐次向上した. 43.8】 28!174 最後に坪当清潔種子酪農も採隆年 表2 各年蕨播種の場合 度及び採種欄で区々でほあるが,、構 栽1年以内のもので20虚・内外,1∵嘩 以上餐過したもので70g{イ80崖であり 潔患 ′た∴この懸巣ほ米国での種子生産螢 _j lェー・カ−当150γ300蕗・1(坪当約 t678) 60g′一120g)\に.1は梢々劣っで屠る∴■仇・ 93小3 次紅鉢栽培試験の結果を示ずと襲 3の様になる・即ち硫安,過石め倍 ・− 表1の最下欄匿よる 加追肥区は普通基肥区胤比べて何れ フ3n5 も採種成紡が向上した.殊紅6月下 旬採種の穂でほ顕著な差異を示した 1951 を認めぬ様であった.又採種本数も 空こ且 _ フ.30111.1 空35 9..ユ41 60.ユ が,7月下旬のものでは殆んど差異 661 1811 家3下欄の様に∴合計に於て倍加追肥 区が20%・も密り,繭も早期の採種本 567 数が明らかに多かった.此等からし て窒素,燐酸の施用巌と稔性との間 に戎関係が存するのでないかと思惟 する.詳細は今後検討したい. Ⅷ)種子の用価をこついて 1一.実 験 方 法 発芽試験は採槙直後の7月始よ、り OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ 香川県立選科大学学術報告 54 予備的に着手し,本試験ほ12月中旬より行った・ 表3… 施肥鼠と稔実関係 供試種子は昇末永に浸潰後レヤ−レを用い,蒸 滞れ(bH6.3内外)を含ませ・た発芽床内に層い た.発芽日数は規程に従い,発芽勢に7日,発 芽率に、21日を適用しれ・発芽床は明窒下にあり, ヌ.試験中昼間2回停電した. 発芽とp王‡価,・/光線の強酪と′の関係ほ第二こ報 紅報告したい.′次に層子の稔実状況調査ぬほ採 種′期別に便意に.10穂宛をとりL,滑、潔率には平均 試料3g凌とり.純正種子を分別しこれを2∼ 3回繰返しでその平均値を以てした.なお頴粒 ¢大きさ調査には30粗を用いた・此等甲、実験ほ 1951年に行ったもので表中古株とは.1950年9日 18日滞在の雷,新株とは柑51年4丹4日播種の 苗を指サ事にサる. 2.、実験結果と考察 発芽予備試験の結果は衷4の経である∴即ち 6下 げ上 採 この程子では採種後1・γ2ケ月微熱期を経る僚で こ中期間内の発芽勢発芽率は甚だ不振である・ 表5紅よ′ると最適発芽湿度は‥18ア∼200Cで200 −7中 7本18 倍加区14本 16 Cが僅ふ庭.良好な成績を示している・その際? 表4 発芽予備試験成 発芽率は80%ヤ90%で,発芽勢は約 50%,∴平均発芽日数は、7日一8日であ る‥∧又発芽温皮の最低ほこの場合30 ∼40C、ト最高は33?ヤ340Cで400Cに なるノと発芽カを失った.又250Cより 150Cがより発芽紅適する様である・ 次に採種期別種子 検査成紋は襲6であ るが,表中上半部は 前記(l)で述べた 処と,略々同じ傾向で ある′ので省略し■た い. 此等は栽植1年以 内の採経絡果である ので成続ほ何れも不 良である.然し新奇 南棟での結果を比較 すると,形態や見梯 けの上では表6上半 部の様紅古株が寧ろ 衷5 但:率(発芽率) 発・芽 試 験 成 繚 勢(発芽勢) 日数(平均発芽日数) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ 55 第6巻第1号′(19串4) れて居る様に見えるが稔英歩合,清潔歩合,発芽状況等却って新株の方が優って居る・従ってこの 場合の用価も新株の方が梢々優って居る.尤もこの年度の成絞では初期採取の穂の清潔率で40%内 外,9月∼11月のもので1b%内クーである故用価も精々40%,低い場合には10%,で平均20%位どな 若様である.然る転 に採種適期の清潔率は 期別種守倹査成績 (195 ぎ 発芽率は前述のように80%∼90%だとすれば,ここに用価は約60%∼70%となり,この場合に・は可成 F)実用に.供し得る撃となる小なおこの種子の寿命に∵ついては1951年米調査しつゝあるので次の機会に・ 報告したい. (丑)摘 要 この報告は1951年より1953年に亘る採種成続の一部である。 1.出穂ほ初夏から晩秋まで続くが,その種子生産性は非常に変動し易い.この変因の一つとして 硫安,過燐酸の施用崖が考えられる・種子生産性の高い時期は5−6月と栽植−・年後と.である・ 2..採種適期の稔芙歩合は60∼80%,滑潔歩合は70∼80%,坪当収監は7’0∼80gである・早春刈取を 行うと.此等成績ほ梢々悪くなる. 3.ぺトリー一皿(約pH6.3,200C.)での発芽試験の結果に・よると,この種子には1−2ケ月の 休眠期間が考えられるし,発芽率ほ精々80−90%,用価は60−70%である・ 主 要 参 考 文 献 1.倉掛路次郎(1951)牧草Ⅹyい31f・の特性と栽培,畜産の研究 5巻5号 2.倉田益次郎,桜井啓一(1953)Ky31」f−の栽培と飼料価値,畜産の研究 7巻2号 3.G HAHLGREN,(1949)Forage CropsP.403−405 4.肱元茂善,三野畢一・(1952)牧草Ky31f・の採種成潜(予報)畜産の研究 6巻5号 5鈴木撃(1950)Ky・31・flについて,畜産の研究 4巻2号 6.、WELLHAUSEN,H W・(1947)Alta and Kentucky31fescueproductioninTennessee,Tenn.Ext.Leaf】et95・・ 7lWADAYTON,Other.(1948)“Grass”Yeatbook of Agriculture,U・SlDept‖ Agr‖ P”672∼674 8WA WHEELER(】95O)FoIage and Pasture CropsP.524−534, 9・山田豊一・,高井,阿部(1954)Kyf・31の試作とその将来性,畜産の研究 8巻1号 10安田貞雄(1948)種子生産学 P・63一・64,Pい345−・353r・ OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ 香川県立鹿科大学学術報告 56 Rdsum(宣 h this paper areindicated someIeSults of seed yield from1951to1953. 餌 The eaIing seasonisbetweeneaIly summerandlate autumn.Theseed yield fluctuates COnSideIably11nder various conditions,One Of which may bethe amounts of such feItilizers as nitrogen and supeIPhosphate used.The highest seed yieldis Qbtainedin MaytoJune and one year’Or mOIe after sowlng. (2)The seed settingt)ercentageof earsis60∼80%inthe optiml血seed yieldingtimes,the purityp声rCe叫痩e70∼80%′,and seedsinthis caseare70∼80ginweig軸per tsubo:The above res山tsof cutti乎ggraSSin eaIlysprlngaIealittleinfeIiortothe controlones. 潮 Acco工dingtotheresults ofgぞrmi甲tion testin petIidishes(at pH abol止6・3,qnd theseedmayhavethe doImant peIiodsfor one or two months andthe germination tag60f80∼90%atmost”Thelltilityvalueis,therefore,aPprOXimately60∼70%.