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第4章 代理人の倫理 Á Â

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第4章 代理人の倫理 Á Â
代理人の倫理
第4章 代理人の倫理
司法書士に新たに簡裁訴訟代理関係業務が認められたことにより、これまで
の司法書士業務と倫理上異なる点がありますか。
これまでの司法書士業務は、登記申請手続に示されるように、登記
権利者、登記義務者の両者の代理人となることが普通でした。しかし、
訴訟関係業務については、常に対立当事者の一方の代理人となりますから、双方代
理が認められないなど、新たな倫理が求められます。
解 説
1 司法書士には、従来登記又は供託に関する手続の代理、法務局又は地方法務局
に提出する書類の作成や裁判所又は検察庁に提出する書類の作成など(司書3蠢
①∼⑤)の事務を行うことが認められていました。ここでの業務は申請手続の代
理や書類作成であり、主に法務局や裁判所に対する業務でした。
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訴
訟
実
務
︺
2 例えば、売買に基づく所有権移転登記手続については、登記権利者である買主
と登記義務者である売主との関係は、売主・買主という立場から見ると利害は対
立しているように見えますが、登記手続については単なる債務履行のための事実
行為であり、双方を代理して登記手続を行っても、問題がないといわれてきまし
た。
売買に基づく所有権移転登記手続については、その登記が完成することによっ
て売主も買主も満足するものであり、その申請手続行為は登記権利者、義務者の
どちらからも感謝され、また、両方からその報酬を受領することも何ら問題がな
かったはずです。
3 しかしながら、平成15年4月から認められた認定司法書士は、簡裁訴訟代理関
係業務を行う権限を有することになりました。これは、これまでと違い、対立当
事者の一方に立ってその者の利益のために業務を行うことになります。そこには、
これまでの業務とは異なる倫理が必要とされることになります。
4 例えば、従前の司法書士法は、「司法書士は当事者の一方から嘱託されて取り
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紛争類型別の訴訟実務
◇建物明渡請求③(用法遵守義務違反)
Xは、平成14年10月1日、その所有する建物をYに期間3年、賃料月額15万
円で住居として使用する目的で賃貸しました。賃料は滞りなく払われていまし
た。ところが、1年半ほど経った平成16年3月中旬頃、近隣から人の出入りが
頻繁にあって騒音がひどいという苦情があり、同月15日、Xが出向いたところ、
ゲーム店になっていました。Yがその場にいなかったので、電話で連絡を取り、
約束が違うので、直ちに出ていくか、住居に戻すように言いましたが、Yは今
年の1月頃店舗に変えることについて了解してくれたはずだ、と言い、開き直
る始末でした。Xは毛頭そのような約束をしたことはありません。そこで、X
から明渡しを求める依頼を受けることとなり、平成16年4月29日に建物を明け
渡すように通知し、その通知は翌日到達しましたが、任意に明け渡す様子はあ
りません。訴訟においてはどのような請求を行えばよいですか。
賃貸借契約において賃借人は、目的物を使用収益する際に合意又は
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務
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目的物の性質により定まった用法に従う義務を負います(民616、594
蠢)
。民法616条は同法594条3項を準用していないことから、同法541条により催告
をしなければ解除することができないのが原則です(最判昭38・11・14民集17巻11
号1346頁、最判昭47・11・16・民集26巻9号1603頁)。ただし、賃借人の義務違反が
賃貸借契約の継続を著しく困難にする背信行為にあたる場合には無催告解除が認め
られます(最判昭27・4・25民集6巻4号451頁、最判昭31・6・26民集10巻6号730
頁、最判昭38・9・27民集17巻8号1069頁、最判昭40・8・2民集19巻6号1368頁、
最判昭47・11・16民集26巻9号1603頁)。
賃借人の義務違反の程度により、後者の事実を前提に訴訟を提起することもでき
ますが、実務上は、相手方に催告をしたうえで相手方が任意に履行しない場合に、
解除通知をし、訴訟を提起することが多いと思われます。
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賃貸借に基づく不動産明渡しをめぐるトラブル
解 説
§1
紛争の特徴及び留意点
無断の用法変更は、住居を店舗としたり、事務所を店舗とするなど、目的物が損
耗又は劣化しやすい使用態様に変更される場合によく問題となります。翻れば、賃
借人が本来意図する使用目的を秘して賃借し、その目的が明らかであれば賃貸人が
これを賃貸しなかったと思われるような場合です。
§2
訴訟の流れ
1 原告の申立て、主張及び立証
1−1 請求の趣旨
記載例
1 被告は、原告に対し、別紙(省略)物件目録記載の建物を明け渡せ
2 被告は、原告に対し、連帯して平成16年5月1日から1の明渡済みまで1
か月15万円の割合による金員を支払え
3 訴訟費用は被告の負担とする
との判決並びに仮執行の宣言を求める。
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訟
実
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1−2 請求原因事実
記載例
1 原告は、被告に対し、平成14年10月1日、原告の所有する別紙物件目録記
載の建物(以下「本件建物」という。)を次の約定で賃貸し、同日引き渡した。
賃貸期間 平成14年10月1日から平成17年9月30日まで3年間
賃 料 1か月15万円
目 的 住居
2 被告は、遅くとも平成16年2月頃までに、原告に無断で本件建物をゲーム
店として使用収益した。
3 原告は、被告に対し、平成16年3月15日、住居に復すよう催告した。
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紛争類型別の訴訟実務
4 ところが、被告は、ゲーム店としての使用収益を続けた。
5 原告は、被告に対し、平成16年4月29日、本件契約を解除する旨通知し、
その意思表示は平成16年4月30日に到達した。
6 本件建物の相当賃料額は15万円である。
7 よって、原告は、被告に対し本件賃貸借契約の終了に基づき、本件建物の
明渡し、賃貸借契約の終了の日の翌日である平成16年5月1日から本件建物
の明渡済みまで1か月15万円の割合による金員の支払を求める。
上記3、4の事実に代えて、Yの用法遵守義務違反行為が賃貸借契約の継続を著
しく困難にする背信行為に該当する旨の具体的事実として、頻繁に人の出入りのあ
る業態で、近隣から苦情の申立てがあったことなどを主張することもできます。
1−2−1 賃貸借契約終了に基づく目的物明渡請求の要件事実
要件事実
●
① 原告が被告との間で、本件建物につき賃貸借契約(本件契約)を締結したこ
と
② 原告が被告に対し、本件契約に基づき本件建物を引き渡したこと
③ 原告と被告が本件建物を住居として使用する合意をしたこと、又は、目的物
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の性質により定まる用法として住居として使用するものであること
④ 被告は、③の合意、又は目的物の性質により定まる用法に反して、店舗とし
て使用したこと
⑤ 原告が被告に対し、店舗としての使用収益を停止することを求める催告をし
たこと又は店舗として改造した部分を元どおりに修復することを求める催告を
したこと
⑥ 被告が、催告後相当期間内に店舗としての使用収益をやめなかったこと
⑦ ⑤の催告後、相当期間が経過したこと
⑧ 原告が被告に対して解除の意思表示をしたこと
⑤⑥⑦の主張に代えて、用法遵守義務違反行為が賃貸借契約の継続を著しく困難
にする背信行為に該当する旨の具体的事実を主張することもできます。催告しても
このような事実があれば、実務上は併記することが多いです。
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賃貸借に基づく不動産明渡しをめぐるトラブル
1−2−2 明渡義務の履行遅滞に基づく損害賠償請求権の要件事実
要件事実
●
① 1−2−1の①から⑧までの事実
② 損害の発生とその数額
1−3 提出すべき証拠
原告と被告との間の賃貸借契約書、解除通知(内容証明郵便及び配達証明書)。被
告の使用状況を示す証拠資料として、写真や被告の店舗で発行された領収書などが
考えられます。
2 被告の対応
2−1 請求の趣旨に対する答弁
記載例
1 原告の被告に対する請求を棄却する
2 訴訟費用は原告の負担とする
との判決を求める。
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訟
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2−2 請求原因事実の認否
記載例
1 請求原因第1項は本件建物を原告主張の賃貸期間及び賃料で賃借して引渡
しを受けたことは認めるが、目的は否認する。確かに、契約書記載の目的は
「住居」であったが、原告は店舗として使用することを了解していた。
2 同第2項は、被告がゲーム店として使用していることは認めるが、
「原告に
無断で」の部分は否認する。
3 同第3項の催告を受けたことは認める。
4 同第4項は認める。
5 同第5項のうち、原告からの内容証明郵便が原告の主張の頃被告に到達し
ていたことは認める。解除の効果は争う。
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民事通常訴訟の手続
答弁書には、どんな記載をすればよいのですか。
答弁書とは、訴状の送達を受けた被告が最初に提出する準備書面の
ことをいいます(民訴規80参照)。その後はすべて被告、原告にかかわ
らず単に準備書面という標題になります。ここに準備書面とは、当事者が口頭弁論
において提出しようとする攻撃防御方法や相手方当事者の攻撃防御方法に対する応
答を記載して裁判所へ提出する書面であり、裁判所及び相手方当事者に次回期日に
行うべき訴訟行為の内容を予告する機能をもつもの(中野・講義256頁)と定義され
ています。
答弁書に記載しなければならない事項は次のとおりです。
① 請求の趣旨に対する答弁
② 訴状に記載された事実に対する認否
③ 抗弁事実
④ 立証を要する事由ごとに当該事実に関連する事実で重要なもの及び証拠
(以上民訴規80蠢)
また、
立証を要する事由について重要な書証の写しを添付しなければならない(民
訴規80蠡)
。
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となっています。
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簡裁における手続
書式1−13 答弁書
平成16年(ハ)第1234号 損害賠償請求事件
原 告 東 野 一 郎
被 告 西 野 二 郎
答
弁
書
平成16年○月○日
東京簡易裁判所民事第○室 御中
〒000−0000 静岡市○○3−5−7 被告訴訟代理人司法書士 北 野 花 子 賤
電話 FAX この事件について、被告は次のとおり答弁する。
第1 請求の趣旨に対する答弁
原告の請求を棄却する。
訴訟費用は原告の負担とする。
との判決を求める。
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訟
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務
三
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第2 請求の原因に対する答弁
1 請求原因に対する認否
請求原因1の
(1)
ないし(4)
は認める。同(5)は否認する。
請求原因2は不知。
請求原因3及び4は争う。
2 被告の主張
本件事故は、原告車両が本件交差点の赤信号を無視して交差点内に進入して
きたため発生したものであり、被告には何ら過失は存在しない。
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