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第10回慢性看護研究会 ニュースレター(PDF

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第10回慢性看護研究会 ニュースレター(PDF
成人・老年(慢性期)看護研究会
ニュースレター
2015 年 7 月
第 1 巻
第 2 号
Nurse Practitioner(NP)の講義
この号の内容
1
2
Nurse Practitioner の講義
アメリカにおける糖尿病自己
管理教育と NP の活動
慢性病のケアにおける多職
種連携
第 10 回(5 月 27 日)は、大学院の「成人・老年看護学特論」の講義とジョイ
ントして開催しました。
講師は、Family Nurse Practitioner (FNP)としてご活躍中の松本絵理先
生です。先生の資格取得までの経過や現在の活動内容は、とてもリアルで、
イメージしやすいものでした。
参加者は、大学院生、看護師の方、教員など多様な顔ぶれとなり、それぞ
れのお立場から質問が出されました。
米国における高度実践看護
師の役割
3
質疑応答
4
編集後記
5
今後の開催予定
アメリカにおける糖尿病自己管理教育と NP
の活動/慢性病のケアにおける多職種連携/
米国における高度実践看護師の役割
Community Hospital of the Monterey Peninsula, 糖尿病部門
ファミリーナースプラクティショナー
松本絵理
NP と医師の関係は、
共生
or
Win-Win
私は2006年からカリフォルニア州モントレーのコミュニティー病院の糖尿病部
門外来のクリニックでファミリーナースプラクティショナーとして勤務し、糖尿病患
者の疾病管理と患者教育に携わっています。1993年に渡米して以来、准看護
師、看護師を経て2000年に NP の資格と修士号を取得し、ファミリープラクティス
の分野で働きながら、糖尿病を専門とする勉強をし、糖尿病療養指導士
(Certified Diabetes Educator)と認定高度糖尿病管理士(Board Certified in
Advanced Diabetes Management)の資格を取り、2006年から糖尿病を専門と
しています。
2 ページ
成人・老年(慢性期)看護研究会
(1ページからのつづき)
ケアの質の高さ、
安全性、効率性が
証明されている
NP の活動
NP の業務範囲は州ごとの法律により、独立性、処方や診断に関する規制が
多少異なりますが、一般的には医師の監督下、独自の判断で患者の診断、検
査、処方ができます。 医師の監督は、実地に医師が存在する場合もあれば、電
話、コンピューターを通じて診療の相談をする場合もあります。NP の多くは開業
医、グループ、また専門医のクリニックや病院内などあらゆるセッティングで、医
師の片腕、またはチームの一員として働いています。州によっては、特にへき地
では、NP が医師の介入なしにクリニックを独立経営できる場合もあります。この
場合 NP は自分の専門分野内では完全に独立して診断、処方、検査のオー
ダー、薬剤の調整などをし、診療報酬を受けることができます。発足以来 NP の
医療ケアの質やコストパフォーマンスの調査が多々発表されていますが、その
多くが NP のケアの質の高さ、安全性、効率性を証明しており、患者や協働する
医師からは高い評価を受けています。
医師と NP の協働関係は symbiosis(共生)または win-win の状況で競合関
係ではないと言えます。NP がルーチンの比較的安定したケースから必要であ
ればより複雑なケースまで担当し、多忙な医師に診てもらえない患者を医師との
アポイントメントの間にタイムリーにまた包括的に診療管理できます。 NP は医
師の希望や要望に答えてフレキシブルに必要なケアを行うことができ、医師の
負担の軽減、また専門医にとっては専門性の高揚を促すことにつながります。
日本の忙しいプライマリーケア医師、 専門医、外科医のためにも、各専門分野
の NP を養成し病院内外で雇用することは日本の医療界にとっての効率化、コ
ストの削減、医師の負担軽減となり、能力のあるナースの有益な活用法であると
言えるでしょう。
ご興味のある方は、私の日本外科学会雑誌7月号(116−5)掲載の「米国の
糖尿病領域における医師と NP の協働 」の記事をご参照ください。
Community Hospital of the Monterey Peninsula の外観
成人・老年(慢性期)看護研究会
3 ページ
質疑応答
Q:NP をスーパーバイズする医師は、どのような資格が必要なのか?
A:現在は糖尿病専門医の資格をもつ医師にスーパーバイズを受けている。特
に決まりはなく、NP の所属する施設によって異なる。
Q:スーパーバイズする医師は、どのようにして見つけるのか?
A:NP が雇用される施設(組織)に専門医がいるので、NP 個人が医師を捜す必
要はない場合が多い。
Q:NP のスキルアップはどのようにしているか?
A: American Association of Nurse Practitioners などいくつかの団体がある。
これらの団体は交流会、学習会の場であり、また政治的な活動の場でもあ
る。NP のための政治的活動を専門に行っている者もいる。カリフォルニアに
おいては NP が独立することが目下の目標のひとつである。
50 年の歴史を重ねた
からこそ今の NP がある
Q:米国に訪問看護師はいるか?
例えば糖尿病で自宅訪問が必要な場合はどのようにするのか?
A:訪問看護師という資格はない。Visiting Nurse Association(VNA)等の団体に
所属している看護師が、訪問看護を行なう。退院する際に、病院のコーディ
ネータが VNA 等に連絡して、調整を行なう。クライアントが加入している保険
が、訪問看護をカバーしているのかにより対応は異なる。
Q:正看護師(RN)のなりたい職業ランキングはどのくらいか?
A:NP は best job ランキングが第 2 位である。NP は、比較的自由度の高い職
業で、活動の幅も広い。3交代などはなく、給与も良い。RN のランキングはわ
からないが、低くはないと思う。⇒後にチェックしたところ RN は第 9 位である
Q:NP は開業できるか?
A:州によって異なる。ネバダ州、アリゾナ州などは、完全な独立開業ができる。
NP が医師を雇用することも可能である。
Q:NP の教育課程で学ぶために必要な看護師のキャリアはどのくらいか?
A:教育機関によって異なる。決まった年限は設けていない。Yale 大学には、全く
看護師のキャリアのない学生を 1 年で RN にし、2 年で NP にするという教育
課程がある。
Q:知的障害のある糖尿病患者に教育をすることがあるか?その際、決まった手
順があるか?
A:一貫した教育プログラムはない。個別に対応する。
NP は, best job
ランキング第2位
4 ページ
成人・老年(慢性期)看護研究会
Q:米国でも 2 型糖尿病が多いか?
A:2 型糖尿病が 90~95%を占める。スパニッシュ系、黒人、アジア人に多い。1 型は白人に多い。
Q:肥満については子どもの頃からの教育が必要だが、米国での子どもへの教育はどのようにされているか?
A:2000 年以降に出生した子どもは、教育を受けないと 40~50%が糖尿病になると予測されている。しかし学校
教育の補助金がカットされると、まず体育の授業がなくなる。また給食もファーストフードのようなものになる。こ
のように子どもへの健康教育ができているとは言えない。Community Hospital of the Monterey Peninsula に
は 6 名の栄養士がおり、健康的食品、調理、運動などについて「kids eat right」という教育パッケージを学校に
提供している。
Q:先生が行っている糖尿病教育は大人を対象にしたものか?
A:現在在職のクリニックでは大人が中心である。スーパーバイスする医師が対象にしているのが大人であり、子
どもをカバーしていない。
編集後記
夏日が過去最多となった 5 月でしたが、大学構内は冷房の効きがいまひとつでした。松本先生をはじめ、参
加者の皆様には良い環境が提供できず、お詫び申し上げます。
英単語が時折混ざる質疑応答を原稿に起こす際、最も悩んだのは英語の表記です。英字でそのまま記載す
る? カタカナ? それとも英字(日本語訳)? などと悩み、結局、混在型になりました。
今後の開催予定
H27 年度は、昨年に引き続き【慢性病のケアにおける多職種連携】をメインテーマに、臨床における活動を中
心に口演していただきます。
開催場所:神奈川県立保健福祉大学 教育研究棟3階 看護共同研究室(A319)
開催時間:18 時 30 分~20 時
会費
:軽食を準備しますので、当日に会費 500 円/1回を徴取させていただきます。
開催年月日(曜日)
第 11 回
H27 年 8 月 28 日(金)
テーマ
【慢性病のケアにおける多職種連携】
・多職種連携の家族支援(仮題)
第 12 回
H28 年 1 月 29 日(金)
【慢性病のケアにおける多職種連携】
担当者
(敬称略)
鶴巻温泉病院
家族支援 CNS
栗田智美
メディカルアロマ&リフレ
ナースセラピスト
所澤いづみ
・多職種連携に加わるナースセラピスト
ご関心のある会に是非ご参加ください。
準備の都合上、ご出席の場合には開催日前日までに下記のメールアドレスにご連絡ください。
また、研究会に対するお問い合わせ、ご意見なども、遠慮なくご連絡ください。
神奈川県立保健福祉大学 看護学科 成人・老年(慢性期)領域
白水眞理子 間瀬由記 奥井良子
〒238-8522
横須賀市平成町 1-10-1
電子メール: [email protected]
Tori
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