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複式簿記編第8回 [PDFファイル/105KB]
平成18年4月1日作成 複式簿記編第8回 今回は,取引と仕訳の原理について勉強してみましょう。 取引とは 複式簿記でいう取引とは,経営の資産・負債・資本・収益・費用(これを五大勘定といいます。)に増減変化を起こすことがらをいい ます。 ものやお金のやりとりがあれば,取引に当たります。なお,契約したり,約束しただけでは取引には当たりません。 仕訳とは 仕訳とは,複式簿記の複記式の原理(第7回)に基づき,取引を二つの側面でとらえることをいいます。これを,取引の二面性とい います。この取引の二面性によって,五大勘定の関係を整理したものが,図-1の「取引要素の結合関係」表です。 図1 取引要素の結合関係 仕訳のために絶対に覚えること 貸借対照表等式と損益計算書等式を必ず覚えることです。 つまり,貸借対照表は を,損益計算書は(利益があがった場合) を頭に入れることです。 それぞれの五大勘定のある側に仕訳された場合は,おのおの五大勘定にプラス,反対側に仕訳された場合はマイナスを意味する ということです。それを整理したものが下表です。 資産勘定 (借方) 増加 (貸方) 減少 負債勘定 (借方) 減少 (貸方) 増加 資本勘定 (借方) 減少 (貸方) 増加 収益勘定 (借方) (貸方) 取消 発生 費用勘定 (借方) (貸方) 発生 取消 取引の仕訳例(1) 借入金で価額四百万円のトラクターを購入した。 トラクターという資産が増えましたので,資産の増加つまり,貸借対照表の資産のある側,借方に,トラクター,となります。 購入代金は,借入金で支払いましたので,今後返済しなければならない借入金四百万円が増えたことになりますね。つまり,五大 勘定でいいますと負債の増加ですね。負債の増加する側は,貸借対照表の負債のある側,貸方に,借入金が仕訳になるということ になります。 以上を整理しますと,取引要素の結合関係は, (借方)資産の増加,(貸方)負債の増加の関係になります。 また,仕訳は (借方)トラクター4,000,000 (貸方)借入金 4,000,000となります。 借方 貸方 資産の増加 負債の増加 借方 トラクター 4,000,000 貸方 借入金 4,000,000 取引の仕訳例(2) レタス百ケースを出荷し,手数料が引かれて,八万八千円預金口座に振り込まれた。 レタスは農協共販で仙台市場に出荷したとします。手数料は12%とします。 生産したレタスを出荷しましたから,生産物の売上,つまり,収益の発生ですね。米を出荷した,家畜を販売したなど,生産物を出 荷,販売した場合は全て収益の発生ですね。 収益勘定は,損益計算書の貸方でしたね。出荷し(売上)た場合は,収益の発生ですから,損益計算書の収益勘定のある側,貸方 になりますね。レタス売上として借方にきます。 次に,手数料を引かれて,残りの金額が通帳に振り込まれた,ということですから,預金の残高が八万八千円増加しましたね。預金 は,自分で蓄えたお金ですから,資産ですね。つまり,資産が増加しましたから,貸借対照表の資産のある側,借方に仕訳になりま す。 問題は,手数料ですね。手数料は,生産物を販売するために,農協や市場を利用したことから,農産物販売代金の中から差し引か れたものですね。つまり,農産物を販売するために要した費用ということになります。手数料という費用が発生しました。費用の勘定 は損益計算書の借方にあります。この場合,発生ですから,借方に仕訳になります。 以上を整理しますと,取引要素の結合関係は, (借方)資産の増加 費用の発生 (貸方)収益の発生 の関係になります。 また,仕訳は (借方)預金 88,000 手数料 12,000 (貸方)レタス売上1,000,000 となります。 借方 貸方 資産の増加 収益の発生 費用の発生 借方 貸方 預金 88,000 レタス売り上げ 手数料 100,000 12,000 なお,仕訳は,借方・貸方の二面に分けられますが,借方・貸方それぞれの合計金額は必ず一致します。これを,貸借平均の原理と いいます。