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Shipper キャットアイ
Shipper キ ャ ッ ト ア イ ﹃ 安リ 全ー ・ド 環タ 境イ ・ム 健短 康縮 ﹄、 を在 追庫 い削 風減 にを 飛推 躍進 へ リポート 21世紀の地球規模の最大テーマでもある『安全・環境・健康』 。これを経 営理念に成長中の企業が、ランプなどスポーツサイクル用アクセサリーの トップメーカー「キャットアイ」 (大阪市、津山晃一社長)だ。ブランド力は 世界に浸透。昨年、中小企業庁が高度な技術力の中小企業を対象に選定 した「元気なモノ作り中小企業300社」に選ばれた“小さなガリバー”だ。 「時代の風は当社に吹いている」と、事業拡大に自信を示す津山社長。海 外売上高比率63%(2007年度)のグローバル企業。物流は海上コンテナが 基本だが、特に欧州市場での商機損失を回避するため空輸も利用。経営課 題は受注確定から納品までのリードタイム(L/T)短縮や在庫削減。時代 ちょうじ の寵児になろうとしている同社の事業戦略をリポートする。 58 CARGO JULY 2008 と日本を含めた輸出拠点。 07年度の海外売上構成は欧州が35%、 中国・台湾が25%、北米およびその他が 各20%。日本発着の07年度の海上輸出入 コンテナ貨物量(表参照)はTEU換算で 輸入130TEUの計430TEU。 輸出300TEU、 「引き続き輸出入とも増加するが、特に輸 出は今後も1割程度の増加を見込む」 (景 ランプ 吉井工場 山執行役員)。輸出は商社経由と直貿。 製品が大半だが、太倉工場向け部品もあ 小さなガリバー キャットアイのブランドは、初心者からマ ニア、さらにはプロまで世界中に幅広く浸 透している。特にサイクル用リフレクター 企業」 (100社)にも選出されるなど、世界 る。河南工場出し貨物は阪神港、吉井工 さらに削減が必要との認識だ。ただ、現 市場を相手に成長する“小さなガリバー” 場出しは神戸港積みが中心。いずれも港 状のL/T短縮の解決策の1つとしては、 といえる。 頭地区の倉庫に搬入する。直貿貨物輸送 欧州向けを中心とした航空利用がある。 海外売上比率63% (反射板)やランプはシェアトップで、速 07年度の売上高は72億円(海外45億円、 度・心拍数・消費カロリー・ペダル圧など 国内27億円)。毎年、ほぼ1割の成長率。 の計測機能を持つ「サイクロコンピュータ」 全体の売上比率はスポーツサイクルを主 サイクロコンピュータ 米国市場だが、 「自動車離れから販売は 関連が約11%、健康機器関連が約6%、 堅調」という。ランプなどではLEDを採用 その他が約1%。海外売上は06年度比2 し省エネ化も図る。事業を取り巻く状況 業として1946年(昭和21年)に創立した津 億円増の45億円で海外売上比率は63%。 山製作所。創立2年後にはサイクル部品・ ただ、07年度は国内も4億円増の27億円 付属品販売に事業転換。57年には国内初 と堅調だった。 はトップ企業だ。 同社のルーツは、建築金物の製造販売 のコンテナ船社はFOB契約のため、海外 「商機損失の回避やメーカーとしての信頼 荷受人が選定する。一方、輸入貨物も製 確保のためにはやむを得ない」と津山社 品が中心だが吉井工場向け部品もある。 長。07年度は1000万円弱の空輸費が発 国内向け製品は品質管理のため、抜き取 生した。 り検査を行い出荷する。 としたサイクル関連が約82%、道路・交通 (商標名、CC) も、国内や北米市場などで 売れ筋商品をタイムリー供給 同社は課題解決に向け、代理店とは市 場動向に直結した販売・在庫情報を共有 化し、販売計画の精度向上と早期の生産 「CO2削減は時代の潮流。さらには原 計画調整を図り、売れ筋商品のL/T短 を含め、まさに時代の寵児の感だ。 油、ガソリンの高騰。欧米だけでなく、今 縮を目指す。景山執行役員は1つの目標 輸出入合計430TEU 後は中国を含めたアジア市場も拡大」と 例として「代理店が適正在庫量を割った 分析し、 「各部門シェアトップの商品を増 ら、自動的に発注情報が流れるような互 の本格的なリフレクターを生産。実用新案 「世の中の風は“安全・環境・健康”を 生産拠点は国内外各2カ所。国内は① やす」戦略を描く津山社長。このための 換性のある情報システムの導入」を挙げ を登録し、現在の社名である“キャットア 経営理念とする当社に吹いている」 と、事 CC、ランプ、健康機器生産の吉井工場 技術開発投資も惜しまない。 「売れ筋商品 る。ただ、これを実現するにはコンテナ物 イ”の商標で販売を開始。その後も技術 業展開に自信を示す津山社長。リフレク (岡山県)②リフレクター、ランプ、道路・ をタイムリーに供給すれば、一層の事業拡 流と同様にさらに販売量を拡大し、メー ランプ 力を背景にLED(発光ダイオード) ターやランプは安全を確保するもの。ま 交通表示システム機器生産の河南工場 (景山執行役員)だ。 大は可能」 カーが確実に主導権を握れることが課 や道路・交通表示機材、CC、健康関連機 た、バイコロジーそのものは、間違いなく (大阪府) 。一方、海外工場は中国(太倉、 器へと業容を拡大していった。 環境や健康につながる。津山社長は「予 順徳) に持つ。太倉工場はランプやリフレ 予測は天候に左右されやすい難しさがあ 技術力を示す一例としては、81年にマ 想を超える原油高。CO2削減などさらに クターなど、順徳工場は同表示システム機 る。このため、目下の取り組み課題は、海 一方、社内でも課題解決に向け、工場 イコン内蔵により初めて速度計をデジタル サイクルへの注目が高まる。電動自転車 器などを生産。マレーシアなどにも生産 外代理店の注文確定から最終納品までの と営業との情報の共有化にも努める。一 化したほか、84年には世界で初めて太陽 需要にも期待」と話す。07年度は国内販 L/T短縮や在庫 般的には利益最大化の工期短縮を実現 電池を装備したCCを発売したことなどが 売も堅調だったが、景 削減。かつて120 するプロジェクト管理手法といわれる、 挙げられる。もう20年以上も前に、進取の 山弘二執行役員(海外 技術を導入している。 サイクル営業部長)は 昨年には中小企業庁が高度な技術力の 「健康志向で、特に50 中小企業を対象に選定した「元気なモノ 歳以上のスポーツサイ 作り中小企業300社」に選ばれた。また、 クル愛好家が増えて これに先立ち、近畿経済産業局などがま いる」と説明する。ま とめた「躍進するKANSAIモノ作り元気 本社ビル 委託工場を持つ。中国工場は中国内出荷 た、消費が減退する 表 07年度輸出入コンテナ貨物量 製 品 サイクル関連 日のL/Tは90日 (クリティカルチェーン・プロジェ 「CCPM」 まで短縮し、現在 クト管理)にも取り組み、事業のボトルネ の目標は60日。 ックの解消を図っている。 CC 20 9 29 ランプ 55 46 101 200 3 203 津山社長は「一層 資源エネルギーの高騰や地球環境時代 17 71 88 の短縮」 を目指す。 を迎えた現在、同社はこの究極の追い風 在庫も3カ月から をどう成長につなげるのか注目される。 健康機器関連 輸出入計 もいえる。 輸入 道路・交通関連 合 計 (単位:TEU) 題。その点では一層の飛躍途上にあると 輸出 リフレクター 津山社長 主力商品はアウトドア関連のため需要 8 1 9 300 130 430 1.5カ月としたが、 (寺西伸二) CARGO JULY 2008 59