Comments
Description
Transcript
第2章 沖縄の気候変動
第2章 沖縄の気候変動 気 象 庁 で は長 期 間 の 気 候 の 変 化 を監 視 す る た め に 、過 去 100 年 余 り の 気 温 や 降水 量 の 長 期 変 化 傾向 な ど を 調 査 し て い る。 本 章 で は 沖 縄 の 気 温、 降 水 量 、 台 風 、 生 物季 節 現 象 の 経 年 変 化に つ い て 記 述 す る 。 2.1 沖縄地方の気温 ○ 沖 縄 地 方の 年 平 均 気 温 は 、 長 期的 に は 100 年 あ た り 1.08℃の 割 合 で 上 昇 し てい る 。 ○沖縄地方の月平均気温における異常高温は増え、異常低温は減っている。同様に、 真 夏 日 、 熱帯 夜 の 日 数 は 増 え て いる 。 (1)平均気温 ( ア ) 年 平均 気 温 表 2.1.1 に 、沖 縄 地 方 に お け る 年平 均 気 温 の 変 化 傾 向 を示 す 。沖 縄 地 方 平 均 では 、100 年 あ た り 約 1.08℃ の 昇 温 と な っ てい る 。 図 2.1.1 に 年 平 均 気温 偏 差 の 経 年 変 化を 示 す 。 年 平 均 気 温は 、 沖 縄 地 方 ( 5 地 点平 均 ) お よ び 全 地 点 で、 長 期 的 に 有 意 な 変 化傾 向 が み ら れ る (統 計 処 理 に つ い て は 、 A.2.1(5)に よ る ) 。 図 2.1.1 の 沖 縄 地 方 平 均 を み る と 、 1920 年 ごろ か ら 1950 年 ご ろ ま で と 1960 年 ご ろ か ら 1980 年 代 末 ご ろ ま で 比較 的 低 温 の 時 期 が みら れ る も の の 、 1990 年 後 半 か ら は 高 温 と な る年 が 多 く な っ て い る 。 沖 縄 地 方 で長 い 統 計 期 間 を 有 す る地 点 は 、 那 覇 お よ び 石垣 島 の 2 地 点 で あ る が、 100 年 あ た り の変 化 傾 向 は 、那 覇 で 約 1.11℃ 、石 垣 島 で 約 1.12℃ の 昇 温 と な っ て いる 。そ の 他 の 地 点 では 、50 年 あ た り の 変 化傾 向 を み る と、名 護 で 約 0.92℃ 、久 米 島 で 約 0.95℃ 、 南 大 東 島 で 約 0.53℃ 、 宮 古 島 で 約 0.64℃ 、 西 表 島 で 約 0.46℃ 、 与 那 国 島 で 約 0.59℃ の 昇 温 と な って い る 。 ( イ ) 季 節別 の 平 均 気 温 ① 春 ( 3 ~5 月 ) 100 年 あ た り の 春 の 変 化 傾 向 は、沖 縄 地 方 平 均 で 約 1.15℃ の 昇 温 と な っ て い る( 表 2.1.1) 。 那 覇 で 約 1.29℃ 、 石 垣 島 で 約 1.04℃ の 昇 温 とな っ て お り 、 那 覇 で は年 平 均 気 温 の 昇 温傾 向 を 上 回 っ て い る 。そ の 他 の 地 点 に お け る 50 年 あ た り の 変 化 傾向 は 、 宮 古 島 で 約 0.58℃ の 昇 温 と な っ てお り 、名 護 、久 米 島 、南大 東 島 、西 表 島 、与 那国 島 で は 明 瞭 な変 化 傾 向 は 認 め ら れ ない 。 図 2.1.2 の 沖 縄 地 方 平 均 を み る と、 1950 年 代 から 1960 年 代 末 ま で と 2000 年 前 後 に 比 較 的 気温 の 高 い 時 期 が み ら れる が 、2000 年 代 後 半 はや や 低 温 を 示 し て い る。ま た、 沖 縄 地 方 平均 の 5 年 移 動 平 均 を 年平 均 気 温 偏 差 と 比 較 して み る と 、 長 期 変 化 傾向 は 似 て い る が 、1940 年 以 前 の 低 温 傾 向は 春 が 大 き い 。 ② 夏 ( 6 ~8 月 ) 100 年 あ た り の 夏 の 変 化 傾 向 は、沖 縄 地 方 平 均 で 約 1.23℃ の 昇 温 と な っ て い る( 表 2.1.1)。地 点 別 に み る と 、那 覇 で 約 1.25℃ 、石 垣 島 で 約 1.24℃ の 昇 温 と な っ てい る 。 13 そ の 他 の 地点 に お け る 50 年 あ たり の 変 化 傾 向 は、名 護 で 約 0.89℃ 、久 米 島 で 約 1.17℃、 南 大 東 島 で 約 0.75℃、宮 古 島 で 約 0.79℃、与 那 国 島 で 約 0.61℃ の 昇 温 と な っ てい る 。 図 2.1.3 に 示し た 沖 縄 地 方 平 均 の5 年 移 動 平 均 を み る と、 1920 年 代 、1940 年 代 、 1970 年 代に 低 温 の 時 期 が み ら れ る。こ れ ら の 特 徴 は 、地点 別 に み て も 同 様 に 表れ て い る。 ③ 秋 ( 9 ~11 月 ) 100 年 あ た り の 秋 の 変 化 傾 向 は、沖 縄 地 方 平 均 で 約 1.22℃ の 昇 温 と な っ て お り、季 節 別 で は 最大 の 上 昇 量 と な っ て いる( 表 2.1.1)。地 点別 に み る と 、那 覇 で 約 1.12℃ 、 石 垣 島 で 約 1.29℃ の 昇 温 と な っ てお り 、い ず れ も 年 平 均気 温 の 昇 温 傾 向 を 上 回っ て い る 。 そ の 他の 地 点 に お ける 50 年あ た り の 変 化 傾 向 は 、 名 護 で 約 1.43℃ 、久 米 島 で 約 0.84℃ 、 南 大 東 島で 約 0.54℃ 、 宮 古 島 で約 0.54℃ 、西 表 島 で 約 0.40℃ 、 与 那 国島 で 約 0.58℃ の 昇 温 と な っ て い る 。 図 2.1.4 に 示 し た 沖縄 地 方 平 均 の5 年 移 動 平 均 を み る と、 1970 年 代 、1990 年 前 後 に 低 温 の 時期 が あ り 、1990 年 代 後 半 か ら 高 温 と な る 年 が多 く な っ て い る 。地 点別 に み る と 、那 覇 で は 1990 年 前 後 の 低温 は 明 瞭 で は な く 、1990 年 代後 半 以 降 は 高 温と な る 年 が 多 く なっ て い る 。 ④ 冬 (12~ 2 月 ) 100 年 あ た りの 冬 の 変 化 傾 向 は 、沖 縄 地 方 平 均 で 約 0.86℃の 昇 温 と な っ て い る( 表 2.1.1)。地 点 別 に み る と 、那 覇 で 約 0.83℃ 、石 垣 島 で 約 1.01℃ の 昇 温 と な っ てい る 。 そ の 他 の 地点 に お け る 50 年 あ た り の 変 化 傾向 を み る と 、名 護 で 約 1.10℃ 、久 米 島 で 約 1.30℃ 、 南 大東 島 で 約 0.57℃ 、 宮 古島 で 約 0.67℃ 、 西 表 島 で約 1.01℃ 、与 那 国 島 で 約 0.98℃ の 昇 温 と な っ て い る 。 図 2.1.5 に 示し た 沖 縄 地 方 平 均 の5 年 移 動 平 均 を み る と、 1960 年 代 後 半 から 1980 年 ご ろ に かけ て 比 較 的 低 温 の 時 期が み ら れ 、1980 年 代 末 以 降 は 、高 温 の 時 期 が続 い て い る 。ま た 、季 節 別 の 平 均 気 温 偏差 の 標 準 偏 差 は 、春 は 0.75、夏 は 0.60、秋 は 0.61、 冬 は 0.82 で あ り 、 冬 の 平 均 気 温 偏差 は 季 節 の 中 で 最 も 変動 が 大 き い 。 表 2.1.1 平均気温の長期変化傾向 沖 縄 地 方 平 均 は 那 覇 、 久 米 島 、 宮 古 島 、 石 垣 島 、 与 那 国 島 の 5 地 点 平 均 値 。 数 値 は 変 化 傾 向 ( 100 年 ま た は 50 年 あ た り の 変 化( ℃ ))を 表 す 。黄 色 の 項 目 は 、変 化 傾 向 が 有 意 水 準 5 % で 有 意 で あ る こ と を 示 す 。 各 季 節 の 統 計 期 間 や 欠 測 数 に つ い て は 、 図 2.1.1~ 2.1.5 を 参 照 。 * は 移 転 の 影 響 を 取 り除く補正をおこなっている。 14 図 2.1.1 年平均気温偏差の経年変化(沖縄地方平均および各地点) 統 計 期 間:1897~ 2013 年( 沖 縄 地 方 。1923 年 、1924 年 は 欠 測 )、1891~ 2013 年( 那 覇 。1923 年 、 1924 年 、 1943 年 、 1944 年 、 1945 年 、 1951 年 は 欠 測 ) 、 1967~ 2013 年 ( 名 護 ) 、 1959 ~ 2013 年 ( 久 米 島 ) 、 1943~ 2013 年 ( 南 大 東 島 。 1944 年 、 1945 年 、 1946 年 は 欠 測 ) 、 1938 ~ 2013 年 ( 宮 古 島 ) 、 1897~ 2013 年 ( 石 垣 島 ) 、 1961~ 2013 年 ( 西 表 島 ) 、 1957~ 2013 年 ( 与 那 国 島 )。沖 縄 地 方 平 均 は 那 覇 、久 米 島 、宮 古 島 、石 垣 島 、与 那 国 島 の 5 地 点 平 均 値( 青 の 細 線: 5 地 点 が 揃 っ て い る 期 間 、緑 の 細 線 :5 地 点 未 満 の 期 間 )。青 太 線 :5 年 移 動 平 均 、赤 の 直 線:有 意 な 長 期 変 化 傾 向 。那 覇 は 移 転 の 影 響 を 補 正 し て お り 、公 表 さ れ て い る 観 測 値 と 値 が 異 なる。 15 図 2.1.2 春(3~5月)の平均気温偏差の経年変化(沖縄地方平均および各地点) 統 計 期 間:1897~ 2013 年( 沖 縄 地 方 。1923 年 、1924 年 は 欠 測 )、1891~ 2013 年( 那 覇 。1923 年 、1924 年 、1945 年 、1951 年 は 欠 測 )、1967~ 2013 年( 名 護 )、1959~ 2013 年( 久 米 島 )、 1942~ 2013 年( 南 大 東 島 。1944 年 、1945 年 は 欠 測 )、1938~ 2013 年( 宮 古 島 )、1897~ 2013 年( 石 垣 島 )、1961~ 2013 年( 西 表 島 )、1957~ 2013 年( 与 那 国 島 )。図 の 見 方 は 図 2.1.1 に 同じ。 16 図 2.1.3 夏(6~8月)の平均気温偏差の経年変化(沖縄地方平均および各地点) 統 計 期 間 :1897~ 2013 年( 沖 縄 地 方 。1923 年 は 欠 測 )、1891~ 2013 年( 那 覇 。1923 年 、1945 年 は 欠 測 )、1967~ 2013 年( 名 護 )、1959~ 2013 年( 久 米 島 )、1942~ 2013 年( 南 大 東 島 )、 1938~ 2013 年 ( 宮 古 島 ) 、 1897~ 2013 年 ( 石 垣 島 ) 、 1954~ 2013 年 ( 西 表 島 。 1955~ 1960 年 は 欠 測 ) 、 1957~ 2013 年 ( 与 那 国 島 ) 。 図 の 見 方 は 図 2.1.1 に 同 じ 。 17 図 2.1.4 秋 ( 9 ~ 11 月 ) の 平 均 気 温 偏 差 の 経 年 変 化 ( 沖 縄 地 方 平 均 お よ び 各 地 点 ) 統 計 期 間:1897~ 2013 年( 沖 縄 地 方 )、1891~ 2013 年( 那 覇 。1943 年 、1944 年 、1945 年 は 欠 測 )、1966~ 2013 年 ( 名 護 )、 1958~ 2013 年 ( 久 米 島 )、 1942~ 2013 年( 南 大 東 島 。 1945 年 は 欠 測 ) 、 1938~ 2013 年 ( 宮 古 島 ) 、 1897~ 2013 年 ( 石 垣 島 ) 、 1961~ 2013 年 ( 西 表 島 ) 、 1957~ 2013 年 ( 与 那 国 島 ) 。 図 の 見 方 は 図 2.1.1 に 同 じ 。 18 図 2.1.5 冬 ( 12~ 2 月 ) の 平 均 気 温 偏 差 の 経 年 変 化 ( 沖 縄 地 方 平 均 お よ び 各 地 点 ) 統 計 期 間:1898~ 2013 年( 沖 縄 地 方 。1923 年 は 欠 測 )、1892~ 2013 年( 那 覇 。1923 年 、1945 年 、 1946 年 、 1951 年 は 欠 測 ) 、 1968~ 2013 年 ( 名 護 ) 、 1959~ 2013 年 ( 久 米 島 ) 、 1943~ 2013 年 ( 南 大 東 島 。 1946 年 は 欠 測 ) 、 1939~ 2013 年 ( 宮 古 島 ) 、 1898~ 2013 年 ( 石 垣 島 ) 、 1962~ 2013 年 ( 西 表 島 ) 、 1957~ 2013 年 ( 与 那 国 島 ) 。 図 の 見 方 は 図 2.1.1 に 同 じ 。 19 (2)日最高・最低気温 ( ア ) 年 の変 化 表 2.1.2 は 、 日 最 高 気 温 と 日 最 低気 温 の 長 期 変 化 傾 向 を示 し た も の で あ る 。 年平 均 の 日 最 高 気 温、 日 最 低 気 温 は と も に長 期 的 に 有 意 な 変 化 傾向 が み ら れ る 。 図 2.1.6 の 年 の 5 年 移 動 平 均 グ ラフ を み る と 、 日 最 高 気温 は 1900 年 代 、1920 年 代 に 低 い 時 期 があ り 、 1970 年 代 後 半 から は 昇 温 傾 向 が 続 い てい る 。 日 最 低 気 温は 、1910 年 代 後 半 か ら 1920 年 代 に 顕 著 な 低温 の 時 期 が み ら れ 、そ の 後 は 昇 温 傾 向 とな っ て い る 。 日 最 高 気 温 の 100 年 あ た り の 変 化傾 向 は 、沖 縄 地 方 平 均で 約 0.78℃ の 昇 温 と なっ て い る 。 日 最 低気 温 は 、 100 年 あた り 約 1.75℃ の 昇 温 と な って お り 、 日 最 高 気 温 に比 べ て 2 倍 以 上 の 変化 傾 向 を 示 し て お り 昇温 が 顕 著 で あ る ( 表 2.1.2) 。 ( イ ) 季 節別 の 変 化 ① 春 ( 3 ~5 月 ) 沖 縄 地 方 にお け る 春 の 日 最 高 気 温は 100 年 あ た り約 1.00℃ 、 日 最 低 気 温は 100 年 あ た り 約 1.79℃ の 昇 温 と な り、い ず れ も 統 計 的 に 有 意 な 変化 傾 向 が み ら れ る( 表 2.1.2)。 日 最 高 気 温の 5 年 移 動 平 均 グ ラ フ( 図 2.1.6) を み る と 、1940 年 ご ろ ま で は 顕 著な 低 温 の 時 期が み ら れ る 。日 最 低 気 温 は 、1910 年 代 後 半 か ら 1920 年 代 に 顕 著 な低 温 の 時 期 が み られ る 。1950 年 代 に 昇 温し た 後 、1960 年代 に 気 温 は 下 降 し た が 、1970 年 代 以 降 は 昇 温傾 向 と な っ て い る 。 ② 夏 ( 6 ~8 月 ) 沖 縄 地 方 にお け る 夏 の 日 最 高 気 温 は 100 年 あ た り 約 1.07℃ の 昇 温 、夏 の 日 最 低気 温 は 100 年 あ た り 約 2.00℃ の 昇 温 とな っ て い る 。日 最 低 気 温 は 日 最 高 気 温 に 比 べて ほ ぼ 2 倍の 割 合 で 上 昇 し て い る 。 日 最 高 気 温の 5 年 移 動 平 均 を み ると 、40~50 年 間 隔 で 変動 し な が ら 、長 期 的に は 昇 温 し て い る 。日 最 低気 温 は 、1910 年 代 後半 か ら 1920 年 代 に顕 著 な 低 温 の 時 期が み ら れ る 。1950 年 代 に昇 温 し た 後 、1960 年 代に 降 温 し た が 、1970 年代 後 半 か ら は 昇温 傾 向 と な っ てい る 。 ③ 秋 ( 9 ~11 月 ) 沖 縄 地 方 にお け る 秋 の 日 最 高 気 温 は 100 年 あ た り 約 0.65℃ の 昇 温 、秋 の 日 最 低気 温 は 100 年 あ た り 約 2.16℃ の 昇 温 とな っ て い る 。秋 は他 の 季 節 と 比 べ て 、日最 低 気 温 の 昇 温 の 度 合い が 大 き い 。 5 年 移 動 平均 の グ ラ フ で み る と、 日 最 高 気 温 、 日 最低 気 温 と も 変 動 パ タ ー ン は夏 に 似ている。 ④ 冬 (12~ 2 月 ) 沖 縄 地 方 にお け る 冬 の 日 最 高 気 温 は 100 年 あ た り 約 0.57℃ の 昇 温 、冬 の 日 最 低気 温 は 100 年 あ た り 約 1.48℃ の 昇 温 とな っ て い る 。 5 年 移 動 平均 の グ ラ フ で み る と、 日 最 高 気 温 は 、 他の 季 節 と 比 べ て 年 々 の 変 動幅 が 大 き く 、1960 年 代 か ら 1980 年 代 まで の 低 温 傾 向 が 顕著 と な っ て い る 。 20 表 2.1.2 日最高気温および日最低気温偏差の長期変化傾向 沖縄地方平均は那覇、久米島、宮古島、石垣島、与那国島の5地点平均値。黄色の項目は、変化傾 向 が 有 意 水 準 5 % で 有 意 で あ る こ と を 示 す 。 統 計 期 間 や 欠 測 数 に つ い て は 、 図 2.1.6 を 参 照 。 21 図 2.1.6 均) 日最高気温(左列)・日最低気温(右列)の偏差の経年変化(沖縄地方平 統 計 期 間:1897~ 2013 年( 年 。1923 年 、1924 年 、1945 年 は 欠 測 )、1897~ 2013 年( 春 。1923 年 、1924 年 、1945 年 は 欠 測 )、1897~ 2013 年( 夏 。1923 年 、1945 年 は 欠 測 )、1897~ 2013 年 ( 秋 。 1945 年 は 欠 測 ) 、 1898~ 2013 年 ( 冬 。 1923 年 は 欠 測 ) 。 沖 縄 地 方 平 均 は 那 覇 、 久 米 島 、宮 古 島 、石 垣 島 、与 那 国 島 の 5 地 点 平 均 値( 青 の 細 線:5 地 点 が 揃 っ て い る 期 間 、緑 の 細 線 : 5地点未満の期間)。青の太線:5年移動平均、赤の直線:有意な長期変化傾向のみ表示。 22 (3)月平均気温 の異常値の出現数 ( ア ) 長 期的 な 変 化 傾 向 表 2.1.3 に 、1897~ 2013 年( 117 年 間 )の 月 平 均 気 温 の 異常 高 温 と 異 常 低 温(A.2.1(4) 参 照 ) の 出現 数 の 長 期 変 化 傾 向 と、 期 間 の は じ め と 終 わり の 30 年 間 (1897~ 1926 年、 1984~ 2013 年 ) の 平 均 出 現 数 を、 年 と 季 節 別 に 示 す 。 100 年 あ た り の 異常 高 温 の 出 現 数の 変 化 傾 向 は 、 年 が 約 0.76 回、 夏 が 約 0.22 回 、 秋 が 約 0.25 回 、冬 が 約 0.20 回 と 増 加傾 向 が み ら れ る 。異 常 低 温 は 、年 が 約 -0.71 回 、夏 が 約 -0.21 回 と 減 少 傾 向 が み ら れる 。 図 2.1.7 に 経 年 変 化 を 示 す 。異 常 高温 の 出 現 数 は 、1980 年 ご ろ か ら 出 現 数 が 多く な っ て い る が 、異 常 低 温 は 1970 年 ご ろを ピ ー ク に 減 少 傾 向で あ る 。 1980 年 代 後 半 以 降は 、 異 常 低 温 の出 現 が ほ と ん ど み ら れな い 。 季 節 別 に みる と 、異 常 高 温 の 出 現数 は 冬 が 1980 年 代 後 半か ら 、そ の 他 の 季 節 は 1980 年 ご ろ か ら増 加 傾 向 が み ら れ る 。異 常 低 温 の 出 現 数 は 春お よ び 夏 は 1950 年 代 ご ろ ま で 多 く 、秋 は 1940 年 代 ご ろ ま で 、冬 は 1910 年 代 後 半 に 多 い 。ま た 、1960 年代 は 冬 、1970 年 代 は 春 以外 で 出 現 数 が 多 い が 、1980 年 代 後 半 以 降 は すべ て の 季 節 で 出 現 数 が少 な く な っている。 表 2.1.3 月平均気温の異常高温および異常低温の出現数の長期変化傾向 統 計 期 間 :1897~ 2013 年 。沖 縄 地 方 平 均 は 那 覇 、久 米 島 、宮 古 島 、石 垣 島 、与 那 国 島 の 5 地 点 平 均 値 。 100 年 あ た り の 回 数 は 異 常 値 の 出 現 数 の 長 期 変 化 傾 向 を 表 す 。 2 段 の 回 数 表 示 は 、 上 段 が 1897 ~ 1926 年 の 平 均 出 現 数 、 下 段 が 1984~ 2013 年 の 平 均 出 現 数 。 黄 色 の 項 目 は 、 有 意 水 準 5 % で 変 化 傾向または平均出現数の差が有意であることを示す。 23 図 2.1.7 月 平 均 気 温 の 異 常 高 温 お よ び 異 常 低 温 の 出 現 数 の 経 年 変 化( 年 お よ び 季 節 別 ) 統 計 期 間:1897~ 2013 年( 年 。1923 年 、1924 年 は 欠 測 )、1897~ 2013 年( 春 。1923 年 、1924 年 は 欠 測 )、1897~ 2013 年( 夏 。1923 年 は 欠 測 )、1897~ 2013 年( 秋 )、1898~ 2013 年( 冬 。 1923 年 は 欠 測 ) 。 細 線 : 年 々 の 値 、 太 線 : 5 年 移 動 平 均 。 沖 縄 地 方 平 均 は 那 覇 、 久 米 島 、 宮 古 島、石垣島、与那国島の5地点平均値。 24 ( イ ) 地 点ご と の 特 徴 図 2.1.8 に 経 年 変 化 を 示 す 。那覇 と 石 垣 島 で は 1980 年 ご ろか ら 異 常 高 温 の 増加 傾 向 が み ら れ る が、 異 常 低 温 は 那 覇 と 石垣 島 で は 1980 年 ご ろ から 出 現 し て い な い 。 図 2.1.8 月平均気温の異常高温および異常低温の地点ごとの出現数の経年変化 統 計 期 間 : 1891~ 2013 年 ( 那 覇 。 1923 年 、 1924 年 、 1943 年 、 1944 年 、 1945 年 、 1951 年 は 欠 測 )、1967~ 2013 年( 名 護 )、1959~ 2013 年( 久 米 島 )、1943~ 2013 年( 南 大 東 島 。1944 年 、 1945 年 、 1946 年 は 欠 測 ) 1938~ 2013 年 ( 宮 古 島 ) 、 1897~ 2013 年 ( 石 垣 島 ) 、 1961~ 2013 年 ( 西 表 島 ) 、 1957~ 2013 年 ( 与 那 国 島 ) 。 細 線 : 年 々 の 値 、 太 線 : 5 年 移 動 平 均 。 25 (4)真夏日の日数 ( ア ) 長 期的 な 変 化 傾 向 図 2.1.9 に 沖 縄 地 方 平 均 に お け る 1931~ 2013 年( 83 年 間 )の 真 夏 日( 日 最 高 気 温 30℃ 以 上 の 日 )の 年 間 日 数 の 経 年 変 化を 示 す 。 5 年 移 動 平均 で み る と 1940 年 ご ろ か ら 1950 年 代 で 出 現数 が 多 く 、 1970 年 代 で 出 現 数 が 少 な くな る な ど の 変 動 が み られ る が 、長 期 的 に は 10 年 あ たり 約 1.99 日 の 割 合 で 統 計 的 に 有 意に 増 加 し て い る ( 表 2.1.4) 。 図 2.1.9 真夏日の年間日数経年変化 統 計 期 間:1931~ 2013 年( 1945 年 は 欠 測 )。橙 線 :年 々 の 値 、黒 線 : 5 年 移 動 平 均 、赤 の 直 線 : 有意な長期変化傾向。沖縄地方平均は那覇、久米島、宮古島、石垣島、与那国島の5地点平均値。 26 表 2.1.4 真夏日日数と熱帯夜日数の長期変化傾向 沖 縄 地 方 平 均 は 那 覇 、 久 米 島 、 宮 古 島 、 石 垣 島 、 与 那 国 島 の 5 地 点 平 均 値 。 数 値 は 変 化 傾 向 ( 10 年あたりの変化(日))を表す。黄色の項目は長期変化傾向が有意であることを示す。 ( イ ) 地 点ご と の 特 徴 図 2.1.10 に 地 点ご と の 真 夏 日 の 年間 日 数 の 経 年 変 化 を 示す 。 那 覇 で は 、年 間 100 日 以 上 の 出 現す る 年 が 数 年 に 1 回程 度 で あ る が 、石 垣 島 で は 、ほ と ん ど の 年 で 100 日 以 上 出 現 し てお り 、 120 日 を 越 え る年 も あ る 。 5 年 移 動 平均 で み る と 、那 覇 は 1950 年 代か ら 1970 年 ご ろま で は 年 間 80 日 前 後 で 推 移 し て お り、1970 年代 は や や 出 現数 が 減 少 し た も の の 1990 年 に か け て 再 び 増加 し 、そ の 後 は 100 日 前 後 で 推 移 し て い る。 石 垣 島 で 、1940~1960 年 ごろ に か け て 120 日 程 度 出 現し た 時 期 が あ っ た が 、そ の 後 1970 年 にか け て 減 少 傾 向 に な り 、1990 年 ご ろ か ら 緩 や かに 増 加 傾 向 と な っ て いる 。 長 期 的 に は、 那 覇 、 名 護 、 久 米 島、 南 大 東 島 、 宮 古 島 、与 那 国 島 で 有 意 に 増 加し て い る ( 表 2.1.4) 。 27 図 2.1.10 真夏日の年間日数経年変化(地点ごと) 統 計 期 間 : 1931~ 2013 年 ( 那 覇 。 1940 年 、 1944 年 、 1945 年 、 1951 年 は 欠 測 ) 、 1967~ 2013 年 ( 名 護 ) 、 1959~ 2013 年 ( 久 米 島 ) 、 1943~ 2013 年 ( 南 大 東 島 。 1944 年 、 1945 年 、 1946 年 は 欠 測 )、1938~ 2013 年( 宮 古 島 。1945 年 は 欠 測 )、1931~ 2013 年( 石 垣 島 )、1961~ 2013 年( 西 表 島 )、1957~ 2013 年( 与 那 国 島 )。橙 線:年 々 の 値 、黒 線 :5 年 移 動 平 均 、赤 の 直 線 : 有意な長期変化傾向。 28 ( ウ ) 真 夏日 の 変 化 傾 向 分 布 図 図 2.1.11 に 沖 縄県 の 各 地 点(那 覇 、名 護 、久 米 島 、南 大 東 島 、宮 古 島 、石垣 島 、西 表 島 、 与 那 国島 の 8 地 点 ) に お け る、 真 夏 日 日 数 の 分 布 図を 示 す 。 30 年 前 (1974~1983 年 平 均)と 最 近 の 10 年 間(2004~2013 年平 均 )との 比 較 で は 、す べ て の 地 点で 日 数 が 増 加 し て おり 、 特 に 沖 縄 本 島 地 方で は 20 日 以 上 の 顕 著な 増 加 が み ら れ る 。 真夏日 図 2.1.11 真 夏 日 日 数 の 10 年 平 均 と 変 化 量 ( 左 図 )1974~ 1983 年 平 均 、( 中 図 )2004~ 2013 年 平 均 、( 右 図 )2004~ 2013 年 平 均 と 1974 ~ 1983 年 平 均 と の 差 。 図 2.1.9 に 使 用 し た 地 点 以 外 の 地 点 も 含 む 。 29 (5)熱帯夜の日数 ( ア ) 長 期的 な 変 化 傾 向 図 2.1.12 に 沖 縄 地方 平 均 に お ける 1931~2013 年 (83 年 間 ) の 熱 帯 夜 ( こ こ では 日 最 低 気 温 が 25℃ 以 上 の 日 を 便 宜 的に 「 熱 帯 夜 」 と 呼 ぶ )の 年 間 日 数 の 経 年 変 化 を 示 す 。 5 年 移 動 平均 を み る と 1960 年 か ら 1970 年 代 に か け て 減少 傾 向 が み ら れ る も のの 、長 期 的 に は 10 年 あ たり 約 5.19 日 の 割 合 で 有 意 に 増 加 し てい る ( 表 2.1.4) 。 図 2.1.12 熱帯夜の年間日数経年変化 統 計 期 間 : 1931~ 2013 年 ( 1945 年 は 欠 測 ) 。 橙 線 : 年 々 の 値 、 黒 線 : 5 年 移 動 平 均 、 赤 の 直 線:有意な長期変化傾向。沖縄地方平均は那覇、久米島、宮古島、石垣島、与那国島の5地点 平均値。 ( イ ) 地 点ご と の 特 徴 図 2.1.13 に 地 点ご と の 熱 帯 夜 の 年間 日 数 の 経 年 変 化 を 示す 。 那 覇 で は 、1970 年 代 後 半 ご ろ か ら増 加 傾 向 に あ り 、2000 年 以 降 で は 年 間 100 日 以 上 の 年 が 多 くな っ て い る 。 石 垣 島 では 、 1970 年 ご ろ か ら 増加 傾 向 に あ る 。 1950 年 半 ば か ら 年 間 100 日 以 上 の 年 が 多 く な って お り 、最 近 で は 年 間 120 日 を 超 え る 年 も 多く な っ て い る 。 宮 古島 で は 1970 年 代 の 出 現数 の 減 少 が 顕 著 で ある が 、 長 期 的 に 見 る と有 意 に 増 加 し て い る。 30 図 2.1.13 熱帯夜の年間日数経年変化(地点ごと) 統 計 期 間 : 1931~ 2013 年 ( 那 覇 。 1940 年 、 1944 年 、 1945 年 、 1951 年 は 欠 測 ) 、 1967~ 2013 年 ( 名 護 ) 、 1959~ 2013 年 ( 久 米 島 ) 、 1943~ 2013 年 ( 南 大 東 島 。 1944 年 、 1945 年 、 1946 年 は 欠 測 )、1938~ 2013 年( 宮 古 島 。1945 年 は 欠 測 )、1931~ 2013 年( 石 垣 島 )、1961~ 2013 年( 西 表 島 )、1957~ 2013 年( 与 那 国 島 )。橙 線:年 々 の 値 、黒 線 :5 年 移 動 平 均 、赤 の 直 線 : 有意な長期変化傾向。 31 ( ウ ) 熱 帯夜 の 変 化 傾 向 分 布 図 図 2.1.14 に 沖 縄県 の 各 地 点(那 覇 、名 護 、久 米 島 、南 大 東 島 、宮 古 島 、石垣 島 、西 表 島 、 与 那 国島 の 8 地 点 ) に お け る、 熱 帯 夜 日 数 の 分 布 図を 示 す 。 30 年 前 (1974~ 1983 年 平 均)と 最 近 の 10 年 間(2004~2013 年平 均 )との 比 較 で は 、す べ て の 地 点で 日 数 が 増 加 し て おり 、 特 に 名 護 ( +57.2 日 ) 、 宮古 島 ( +40.2 日 ) の 増加 が 顕 著 で ある 。 熱帯夜 図 2.1.14 熱 帯 夜 日 数 の 10 年 平 均 と 変 化 量 ( 左 図 )1974~ 1983 年 平 均 、( 中 図 )2004~ 2013 年 平 均 、( 右 図 )2004~ 2013 年 平 均 と 1974 ~ 1983 年 平 均 と の 差 。 図 2.1.9 に 使 用 し た 地 点 以 外 の 地 点 も 含 む 。 32 解説コラム ●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○ 気候変動とその要因 「 気 候 」 とは 、 一 般 的 に は 、 日 々の 天 気 よ り も も っ と 長期 に わ た る 気 象 ( 気 温、 降 水 量 な ど ) の状 態 を い い 、 こ の 気 候が 変 化 す る こ と を 「 気候 変 動 」 と い う 。 世 界気 象 機 関 で は 、30 年 間 の 平 均を 、気 候 値( 平 年 値 )と し て い る 。な お 、こ の 気 候 値 を 定義 し て い る 30 年 よ り も っ と長 い 時 間 ス ケー ル の 変 化 を 「 気 候 変化 」 と い う 場 合 も あ る。 気候変動は、大気や海洋、さらには太陽活動などの自然界の変動によるものに加え、 人 間 活 動 によ る 地 球 温 暖 化 と 局 所的 な 都 市 化 の 影 響 が 重な っ て 起 こ っ て い る と考 え ら れ る( 図 C.1)。この う ち 、自 然 変 動に は 、様 々 な 時 間 ス ケー ル の 現 象 が あ り 、例え ば 、太 陽 放 射 量 の変 化 、 火 山 活 動 に よ る日 射 の 遮 蔽 効 果 、 海 流の 変 化 な ど も 、 気 候 に影 響 を 与 え る 。 人 間活 動 に よ る 地 球 温 暖 化は 、 産 業 革 命 以 降 、 石炭 や 石 油 な ど の 化 石 燃料 を 使 用 し 続 け た 結果 、 大 気 中 に 過 剰 に 排出 さ れ た 二 酸 化 炭 素 など の 温 室 効 果 ガ ス が 、地 球 全 体 の 熱 収 支 のバ ラ ン ス を 壊 す こ と によ っ て 起 こ っ て い る 。都 市 化 の 影 響 は 、 建 物や 道 路 な ど 土 地 利 用が 変 化 し た こ と で 蓄 熱し や す い 環 境 が 増 え たこ と や 、 人 工 排 熱 量 の増 加 な ど が 原 因 で 起こ っ て い る 。 都 市 の 気温 が 郊 外 よ り も 高 く なる 現 象 は 、 気 温 の 分 布図 を 描 く と 高 温 域 が都 市 を 中 心 に 島 の よ うな 形 に な る こ と か ら 「ヒ ー ト ア イ ラ ン ド 現 象」 と 呼 ば れる。 図 C.1 気 候 変 動 の 3 つ の 要 因 。自 然 変 動 に 人 間 活 動 に よ る 地 球 温 暖 化 と 都 市 化 が 加わる。 ●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●●○●○● 33 沖縄地方の降水量 2.2 ○ 沖 縄 地 方の 年 降 水 量 に 明 瞭 な 変化 傾 向 は 認 め ら れ な いが 、冬 の 降 水 量 は 減 少傾 向 が みられる。 ○沖縄地方の月降水量における異常多雨や異常少雨の出現数には明瞭な変化傾向は 認 め ら れ ない 。 (1)降水量 ( ア ) 年 降水 量 表 2.2.1 に 示 し た 降 水 量 偏 差 の 長期 変 化 傾 向 で 、 宮 古 島で は 有 意 に 減 少 し て いる 。 他 の 地 点 や 沖縄 地 方 平 均 は 明 瞭 な 変化 傾 向 は 認 め ら れ な い。 図 2.2.1 の 沖 縄 地 方 平 均 の 5 年 移動 平 均 を み る と 、 1930 年 代 と 1950 年 代 が 降 水 量 の 多 い 時 期 であ る 。 地 点 別 に みる と 、那 覇 で は 1930 年 代 後 半 と 1990 年 代後 半 に 降 水 量 の 多 い 時 期 があ る 。 宮 古 島 で は 1950 年 代 に 降 水 量 が多 い 。石 垣 島 で は 1910 年代 と 1930 年 代 に 降水 量 が 多 い。 ( イ ) 季 節別 の 降 水 量 ① 春 ( 3 ~5 月 ) 表 2.2.1 の 長 期 変 化 傾 向 で は 、 沖縄 地 方 平 均 お よ び 各 地点 と も 明 瞭 な 変 化 傾 向は 認 め ら れ な い。 図 2.2.2 を み る と 、那 覇 と 石 垣 島 で は 1940 年 ご ろ に 降 水量 の 多 い 時 期 が あ る。石 垣 島 と 宮 古 島で は 十 数 年 程 度 の 周 期的 な 変 動 が み ら れ る が、 明 瞭 な 長 期 変 化 傾 向は 認 め られない。 ② 夏 ( 6 ~8 月 ) 表 2.2.1 の 夏 を み る と 、 宮 古 島 では 有 意 に 減 少 し て い る。 他 の 地 点 や 沖 縄 地 方平 均 は 明 瞭 な 変化 傾 向 は 認 め ら れ な い。 図 2.2.3 の 5 年 移 動 平 均 を み る と、沖 縄 地 方 平 均 は 1980 年 ごろ ま で は 降 水 量 が 多 く、 そ の後 2000 年 ご ろ ま で は 少 な い時 期 と な っ て お り 、 その 後 は 再 び 多 い 傾 向 がみ ら れ る。 地 点 ご と でみ る と 、 那 覇 は 沖 縄 地方 平 均 と 似 た 変 動 が みら れ る 。 石 垣 島 で は 年々 変 動 が 大 き く 、明 瞭な 変 化 傾 向 は 認め ら れ な い 。宮 古 島 で は 1950 年ご ろ か ら 2000 年ご ろ に か け て減 少 傾 向 が み ら れ る 。 ③ 秋 ( 9 ~11 月 ) 表 2.2.1 の 長 期 変 化 傾 向 に つ い ては 、 秋 は 明 瞭 な 変 化 傾向 は 認 め ら れ な い 。 図 2.2.4 の 5 年 移 動 平 均 を み る と、沖 縄 地 方 平 均 に は 周 期的 な 変 動 が み ら れ る。2000 年 ご ろ は 顕著 に 降 水 量 が 多 い 。 地 点 別 に みる と 、 那 覇 は 1930 年 代 後 半と 1960 年 代 から 1970 年 代 前 半 に か けて 、 お よ び 1980 年 代 か ら 1990 年 代 前 半 に か け て 降 水 量 が 少な い が 、 2000 年ご ろ は 多 く な っ た 。 石垣 島 で も 2000 年 ご ろ と 2010 年 ご ろ は 降 水 量が 多 い 時 期 と な っ て いる 。 34 ④ 冬 (12~ 2 月 ) 表 2.2.1 の 長 期 変 化 傾 向 で は 、 沖縄 地 方 平 均 の 値 は 有 意に 減 少 し て い る 。 地 点ご と で は 明 瞭 な変 化 傾 向 は 認 め ら れ ない 。 図 2.2.5 の 5 年 移 動 平 均 を み る と、沖 縄 地 方 平 均 で は 1960 年代 以 前 は 多 雨 の 時期 が 多 い が 、 その 後 は 少 雨 と な る 時 期が 増 え て い る 。 地 点 ご と にみ る と 、那 覇 は 1970 年 代 前 半 以 前 は 多 雨 時 期が み ら れ る 。石 垣 島 は 1900 年 代 後 半 から 1920 年 代 前 半 に 多雨 時 期 、 1960 年ご ろ か ら 1980 年 代 前 半 に かけ て 少 雨 時 期 が みら れ る 。 表 2.2.1 降水量偏差の長期変化傾向 沖 縄 地 方 平 均 は 那 覇 、久 米 島 、宮 古 島 、石 垣 島 、与 那 国 島 の 5 地 点 平 均 値 。数 値 は 変 化 傾 向( 100 年 、 ま た は 50 年 あ た り の 変 化 ( mm))を 表 す 。黄 色 の 項 目 は 、 変 化 傾 向 が 有 意 水 準 5 % で 有 意 で あ る こ と を 示 す 。 各 季 節 の 統 計 期 間 や 欠 測 数 に つ い て は 、 図 2.2.1~ 2.2.5 を 参 照 。 35 図 2.2.1 年降水量偏差の経年変化 統 計 期 間:1897~ 2013 年( 沖 縄 地 方 。1923 年 、1924 年 は 欠 測 )、1891~ 2013 年( 那 覇 。1923 年 、1924 年 、1944 年 、1945 年 、1951 年 は 欠 測 )、1967~ 2013 年( 名 護 )、1959~ 2013 年( 久 米 島 ) 、 1943~ 2013 年 ( 南 大 東 島 。 1944 年 、 1945 年 、 1946 年 は 欠 測 ) 、 1938~ 2013 年 ( 宮 古 島 ) 、 1897~ 2013 年 ( 石 垣 島 ) 、 1961~ 2013 年 ( 西 表 島 ) 、 1957~ 2013 年 ( 与 那 国 島 ) 。 沖 縄 地 方 平 均 は 那 覇 、久 米 島 、宮 古 島 、石 垣 島 、与 那 国 島 の 5 地 点 平 均 値( 青 の 細 線: 5 地 点 が 揃 っ て い る 期 間 、黄 の 細 線 :5 地 点 未 満 の 期 間 )。太 い 青 線 : 5 年 移 動 平 均 値 。赤 い 直 線 :有 意 な長期変化傾向。 36 図 2.2.2 春(3~5月)の降水量偏差の経年変化 統 計 期 間 :1897~ 2013 年( 沖 縄 地 方 。 1923 年 、1924 年 は 欠 測 )、1891~ 2013 年( 那 覇 。1923 年 、1924 年 、1945 年 は 欠 測 )、1967~ 2013 年( 名 護 )、1959~ 2013 年( 久 米 島 )、1942~ 2013 年 ( 南 大 東 島 。 1944 年 は 欠 測 ) 、 1938~ 2013 年 ( 宮 古 島 ) 、 1897~ 2013 年 ( 石 垣 島 ) 、 1961 ~ 2013 年 ( 西 表 島 ) 、 1957~ 2013 年 ( 与 那 国 島 ) 。 図 の 見 方 は 図 2.2.1 に 同 じ 。 37 図 2.2.3 夏(6~8月)の降水量偏差の経年変化 統 計 期 間:1897~ 2013 年( 沖 縄 地 方 。1923 年 は 欠 測 )、1891~ 2013 年( 那 覇 。1923 年 、1945 年 は 欠 測 )、1967~ 2013 年( 名 護 )、1959~ 2013 年( 久 米 島 )、1942~ 2013 年( 南 大 東 島 )、 1938~ 2013 年( 宮 古 島 )、1897~ 2013 年( 石 垣 島 )、1961~ 2013 年( 西 表 島 )、1957~ 2013 年 ( 与 那 国 島 ) 。 図 の 見 方 は 図 2.2.1 に 同 じ 。 赤 い 直 線 : 有 意 な 長 期 変 化 傾 向 。 38 図 2.2.4 秋 ( 9 ~ 11 月 ) の 降 水 量 偏 差 の 経 年 変 化 統 計 期 間:1897~ 2013 年( 沖 縄 地 方 )、1890~ 2013 年( 那 覇 。1944 年 、1945 年 は 欠 測 )、1966 ~ 2013 年 ( 名 護 ) 、 1958~ 2013 年 ( 久 米 島 ) 、 1942~ 2013 年 ( 南 大 東 島 。 1945 年 は 欠 測 ) 、 1938~ 2013 年( 宮 古 島 )、1897~ 2013 年( 石 垣 島 )、1961~ 2013 年( 西 表 島 )、1957~ 2013 年 ( 与 那 国 島 ) 。 図 の 見 方 は 図 2.2.1 に 同 じ 。 39 図 2.2.5 冬 ( 12~ 2 月 ) の 降 水 量 偏 差 の 経 年 変 化 統 計 期 間 : 1897~ 2013 年 ( 沖 縄 地 方 ) 、 1891~ 2013 年 ( 那 覇 。 1945 年 、 1946 年 、 1951 年 は 欠 測 )、1967~ 2013 年( 名 護 )、1959~ 2013 年( 久 米 島 )、1943~ 2013 年( 南 大 東 島 。1946 年 は 欠 測 )、1939~ 2013 年( 宮 古 島 )、1897~ 2013 年( 石 垣 島 )、1962~ 2013 年( 西 表 島 )、 1957~ 2013 年 ( 与 那 国 島 ) 。 図 の 見 方 は 図 2.2.1 に 同 じ 。 赤 い 直 線 : 有 意 な 長 期 変 化 傾 向 。 40 (2)月降水量の異常値の出現数 ( ア ) 長 期的 な 変 化 傾 向 表 2.2.2 に 1897 年 ~2013 年 の 117 年 間( た だ し、年 と 春 は 1923 年 と 1924 年が 欠 測 、 夏は 1923 年が 欠 測 ) に お け る 月降 水 量 の 異 常 多 雨 と 異常 少 雨 の 出 現 数 の 長 期変 化 傾 向 と 、 期 間 の初 め と 終 わ り の 30 年 間 (1897~ 1926 年 、 1984~2013 年 ) の 合 計を そ れ ぞ れ 年 と 季 節別 に つ い て 示 す 。 100 年あ た り の 出 現 数 の 変化 量 に は 明 瞭 な 変 化 傾向 は 認 め ら れ な い 。異 常 多 雨 の 出 現 数 は 、春 に 統 計 期 間 の 初 め と終 わ り で 有 意 な 差 が みら れ る 。 図 2.2.6 に 1897 年 ~2013 年 の 117 年 間 に お け る 経 年 変 化を 示 す 。沖 縄 地 方 平 均の 年 の 出 現 数 をみ る と 、 年 々 の 変 動 が大 き く 、 長 期 的 な 変 化傾 向 は み ら れ な い 。 季節 別 に み る と 、 異 常少 雨 は 1960 年代 の 春 と 1890 年 代 の 秋 、1980 年 代 後 半 以 降 の 冬 に 多い 。 表 2.2.2 月降水量の異常多雨と異常少雨の出現数の長期変化傾向(年および季節別) 統 計 期 間:1897~ 2013 年 。沖 縄 地 方 平 均 は 那 覇 、久 米 島 、宮 古 島 、石 垣 島 、与 那 国 島 の 5 地 点 平 均 値 。 100 年 あ た り の 回 数 は 異 常 値 の 出 現 数 の 長 期 変 化 傾 向 を 表 す 。 2 段 の 回 数 表 示 は 、 上 段 が 1897 ~ 1926 年 の 平 均 出 現 数 、 下 段 が 1984~ 2013 年 の 平 均 出 現 数 。 黄 色 の 項 目 は 、 有 意 水 準 5 % で 変 化 傾向または平均出現数の差が有意であることを示す。 41 図 2.2.6 月降水量の異常多雨と異常少雨の出現数の経年変化(年および季節別) 統 計 期 間:1897~ 2013 年( 年 と 春 は 1923 年 、1924 年 が 欠 測 、夏 は 1923 年 が 欠 測 )。細 線:年 々 の値、太線:5年移動平均。沖縄地方平均は那覇、久米島、宮古島、石垣島、与那国島の5地点 平均値。 42 (3)日降水量 100mm 以上および 200mm 以上の日数 ( ア ) 長 期的 な 変 化 傾 向 表 2.2.3 に 日 降 水 量 100mm 以 上 お よ び 200mm 以 上 の 出 現 回 数 の 変 化 傾 向 と 、期 間 の 初 め と 終 わり の 30 年 間 (1897~ 1926 年 、1984~2013 年 ) の平 均 を 示 す 。 5地 点 平 均 で は 100mm 以 上 、200mm 以 上 と も に 明 瞭な 長 期 変 化 傾向 は 認 め ら れ な い 。2 つの 期 間 の 平 均 値 にも 有 意 な 差 は な い 。 表 2.2.3 日 降 水 量 100mm 以 上 お よ び 200mm 以 上 の 長 期 変 化 傾 向 統 計 期 間 : 1897~ 2013 年 。沖 縄 地 方 平 均 は 那 覇 、久 米 島 、 宮 古 島 、 石 垣 島 、与 那 国 島 の 5 地 点 平 均 値 。 100 年 あ た り の 日 数 は 長 期 変 化 傾 向 を 表 す 。 2 段 の 回 数 表 示 は 、 上 段 が 1897~ 1926 年 の 平 均 日 数 、下 段 が 1984~ 2013 年 の 平 均 日 数 。有 意 水 準 5 % で 変 化 傾 向 ま た は 平 均 日 数 の 差 が 有意なものはない。 図 2.2.7 日 降 水 量 100mm 以 上 の 日 数 の 経 年 変 化 統 計 期 間:1897~ 2013 年( 1923 年 、1924 年 は 欠 測 )。沖 縄 地 方 平 均 は 那 覇 、久 米 島 、宮 古 島 、石 垣 島 、与 那 国 島 の 5 地 点 平 均 値 。緑 の 細 線:年 々 の 値 、黒 の 太 線:5 年 移 動 平 均 。 図 2.2.8 日 降 水 量 200mm 以 上 の 日 数 の 経 年 変 化 統 計 期 間:1897~ 2013 年( 1923 年 、1924 年 は 欠 測 )。沖 縄 地 方 平 均 は 那 覇 、久 米 島 、宮 古 島 、石 垣 島 、与 那 国 島 の 5 地 点 平 均 値 。緑 の 細 線:年 々 の 値 、黒 の 太 線:5 年 移 動 平 均 。 43 図 2.2.7 に 1897~2013 年 の 沖 縄 地方 平 均 の 日 降 水 量 100mm 以 上 、図 2.2.8 に 200mm 以 上 の 日 数の 経 年 変 化 を 示 す 。日 降水 量 100mm 以 上 は 、1960 年 代 後 半 に 多 い時 期 が あ っ た 後 、1980 年 代 に か け て 減 少 傾向 と な り 、2000 年 ご ろ に再 び 多 く な っ て い る。 日 降 水 量 200mm 以 上 は 、1990 年 ご ろ に 少 な い 時 期 が み ら れる 。 沖 縄 地 方 にお い て は 、 梅 雨 前 線 によ る 降 水 が 中 心 の 5 ~6 月 と 、 台 風 に よ る 降水 が 中 心 と 考 え られ る 8 ~ 9 月 に 日 降 水量 が 100mm 以 上 とな る よ う な 日 数 が 多 い 。 そ こ で 、 統 計 期 間 の長 い 那 覇 と 石 垣 島 の 2地 点 に 着 目 し て 、 そ の長 期 変 化 傾 向 を 検 討 する 。 表 2.2.4 に 、那 覇 と 石 垣 島 の 2 地 点平 均 に お け る 日 降 水 量 100mm 以 上 お よ び 200mm 以 上 の 出 現数 の 変 化 傾 向 と 、 期 間の 初 め と 終 わ りの 30 年 間 (1897~1926 年 、1984~ 2013 年)の 平 均 を「 年 」、「 5~ 6 月( 梅 雨 期)」、「 8 ~ 9 月( 台 風 シ ー ズン )」に つ い て 示 す。 日 降 水 量 100mm 以 上 の 日 数 に 明瞭 な 変 化 傾 向 は 認 め られ な い 。 日 降 水 量 200mm 以 上 の 出 現 日数 は 、5 ~ 6 月( 梅 雨 期 )に 統 計期 間 の 初 め と終 わ り で 有 意 な 差 が みら れ る 。 表 2.2.4 日 降 水 量 100mm 以 上 お よ び 200mm 以 上 の 日 数 の 変 化 傾 向( 那 覇と石垣島の2地点平均) 統 計 期 間:1897~ 2013 年 。100 年 あ た り の 日 数 は 長 期 変 化 傾 向 を 表 す 。2 段 の 回 数 表 示 は 、 上 段 が 1897~ 1926 年 の 平 均 日 数 、 下 段 が 1984~ 2013 年 の 平 均 日数。黄色の項目は、有意水準5%で変化傾向または平均の差が有意であるこ とを示す。 44 ( イ ) 地 点ご と の 特 徴 表 2.2.5 に 、那 覇 と 石 垣 島 の 日 降水 量 100mm 以 上 お よ び 200mm 以 上 の 変 化傾 向 と 、 期 間 の 初 めと 終 わ り の 30 年 間( 那 覇:1891~ 1920 年、1984~2013 年 、石垣 島:1897 ~1926 年 、1984~2013 年 )の平 均 を 示 す 。両 地 点 と も 明瞭 な 変 化 傾 向 は 認 め られ な い 。 図 2.2.9 に 那 覇 と 石 垣 島 に お け る日 降 水 量 100mm 以 上 の 出 現 数を 、 図 2.2.10 に 同 じ く 200mm 以 上 の 出 現 数 を 示 す 。日 降 水 量 100mm 以上 は 、那 覇 で 1970 年 代 と 2000 年 ご ろ に 、 石垣 島 で 1960 年代 と 2000 年 代 以 降 に 頻 度 の 多い 時 期 が み ら れ る 。 表 2.2.5 日 降 水 量 100mm 以 上 お よ び 200mm 以 上 の 変 化 傾 向 ( 那 覇 、 石 垣 島 ) 統 計 期 間 : 1891~ 2013 年 ( 那 覇 ) 、 1897~ 2013 年 ( 石 垣 島 ) 。 100 年 あ た り の 日 数 は 長 期 変 化 傾 向 を 表 す 。 2 段 の 回 数 表 示 は 、 上 段 が 1891~ 1920 年 ( 那 覇 ) 、 1897~ 1926 年 ( 石 垣 島 ) の 平 均 日 数 、 下 段 が 1984~ 2013 年 の 平 均 日 数 。 有 意 水 準 5 % で 変 化傾向または平均日数の差が有意なものはない。 図 2.2.9 日 降 水 量 100mm 以 上 の 日 数 の 経 年 変 化 ( 那 覇 、 石 垣 島 ) 統 計 期 間 : 1891~ 2013 年 ( 那 覇 。 1922 年 、 1923 年 、 1944~ 1951 年 は 欠 測 ) 、 1897~ 2013 年 (石垣島)。緑の細線:年々の値、黒の太線:5年移動平均。 図 2.2.10 日 降 水 量 200mm 以 上 の 日 数 の 経 年 変 化 ( 那 覇 、 石 垣 島 ) 統 計 期 間 : 1891~ 2013 年 ( 那 覇 。 1923 年 、 1924 年 、 1944~ 1951 年 は 欠 測 ) 、 1897~ 2013 年 (石垣島)。緑の細線:年々の値、黒の太線:5年移動平均。 45 沖 縄 の 5 ~6 月 ( 梅 雨 期 ) と 8 ~9 月 ( 台 風 シ ー ズ ン )に お け る 、 那 覇 と 石 垣島 の 日 降 水 量 100mm 以 上 日 数 の 経 年 変化 を 図 2.2.11 に、日 降 水 量 200mm 以 上日 数 の 経 年 変 化 を 図 2.2.12 に示 す 。 日 降 水 量 100mm 以 上 の 経 年 変 化を 5 年 移 動 平 均 で み ると 、 梅 雨 期 は 0.5 日 あ た りを 基 準 と し て、 周 期 的 に 変 動 し て いる 。 台 風 シ ー ズ ン は 明瞭 な 長 期 変 化 傾 向 は 認め ら れ な い が 、1990 年 以 降 は 多 く 出 現 し てい る 傾 向 が み ら れ る 。 日 降 水 量 200mm 以 上 の 経 年 変 化を み る と 、梅 雨 期 は 、1990 年 以 前 は ほ と ん ど出 現 し て い な か った が 、1990 年 以 降 は 出現 回 数 が 増 え て い る。台 風 シ ー ズ ン は 20~30 年ご と に ピ ー ク がみ ら れ る が 、 長 期 変 化傾 向 は 認 め ら れ な い 。 46 図 2.2.11 日 降 水 量 100mm 以 上 の 日 数 の 経 年 変 化( 左 列:梅 雨 期( 5 ~ 6 月 )、右 列 : 台風シーズン(8~9月)) 統 計 期 間 : 1891~ 2013 年 ( 那 覇 の 梅 雨 期 。 1923 年 、 1924 年 、 1945~ 1950 年 は 欠 測 ) 、 1890 ~ 2013 年 ( 那 覇 の 台 風 シ ー ズ ン 。 1944~ 1950 年 は 欠 測 ) 、 1897~ 2013 年 ( 石 垣 島 ) 。 緑 の 細 線:年々の値、黒の太線:5年移動平均。 図 2.2.12 日 降 水 量 200mm 以 上 の 日 数 の 経 年 変 化( 左 列:梅 雨 期( 5 ~ 6 月 )、右 列 : 台風シーズン(8~9月)) 統 計 期 間 : 1891~ 2013 年 ( 那 覇 の 梅 雨 期 。 1923 年 、 1924 年 、 1945~ 1950 年 は 欠 測 ) 、 1890 ~ 2013 年 ( 那 覇 の 台 風 シ ー ズ ン 。 1944~ 1950 年 は 欠 測 ) 、 1897~ 2013 年 ( 石 垣 島 ) 。 緑 の 細 線:年々の値、黒の太線:5年移動平均。 47 (4)短時間強雨の発生回数の経年変化 ア メ ダ ス デー タ を 用 い る と 、 統計 年 数 は 気 象 官 署 よ り も短 い が 、 地 点 数 が 多 いの で 短 時 間 強 雨 など の 極 端 な 現 象 の 発 生傾 向 を み る に は 有 効 であ る 。 ア メ ダ ス の デ ータ か ら 短 時 間 強 雨 の発 生 傾 向 を 検 討 す る にあ た り 、 年 に よ る 地 点数 の 違 い の 影 響 を 避 ける た め 、 年 ご と の 観測 回 数 を 沖 縄 地 方 に 現在 設 置 さ れ て い る ア メダ ス 地 点 数( 35 地 点 )あた り の 回 数 に 換 算し た 。 図 2.2.13 に 、 沖 縄県 内 の ア メ ダ ス 地 点で 1 時 間 降 水 量 が 30mm 以 上 と 50mm 以 上 を 観 測 し た 年 間 の 回数 ( 現 在 の ア メ ダ ス 地点 数 ( 35 地 点 ) あ た りの 回 数 に 換 算 ) を棒 グ ラ フ で 示 す 。 こ こ 40 年 弱 に つ い て 、 約 10 年 ご と の 平 均 値 の 変 化 をみ る た め に 、 1976~ 2013 年 の 値 を 用 い 、連続 す る 12 年 な い し 13 年 の 3つ の 平 均( グ ラフ 中 、赤 線 で 表 示 した 値 )で 比較した。 30mm 以 上 お よ び 50mm 以 上 では 、 年 ご と や 12 年 な い し 13 年 単 位 で み て も 増減 は み ら れ ず 、明 瞭 な 変 化 傾 向 は 認 めら れ な い 。 図 2.2.13 沖 縄 県 内 ア メ ダ ス 地 点 に お け る 1 時 間 降 水 量 が 30mm 以 上 と 50mm 以 上 を 観 測 し た 年 間 回 数 統 計 期 間 : 1976~ 2013 年 。ア メ ダ ス 地 点 数 ( 35 地 点 )あ た り の 回 数 に 換 算 。 青 の 棒:年 々 の 値 、赤 の 横 線 は 左 か ら 1976~ 1987 年 平 均( 12 年 間 )、1988~ 2000 年 平 均 ( 13 年 間 ) 、 2001~ 2013 年 平 均 ( 13 年 間 ) 。 48 解説コラム ●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○ 大雨は増えている? 雨 は 、 大気 中 の 水 蒸 気 が 凝 結 し 、 ご く 小 さ な 雨 粒 と なっ て 雲 を 作 り 、 次 第 に大 き な 雨 粒 へ と 成 長し 地 上 に 落 下 す る 現 象で あ る 。 地 球 を 包 む 大気 は 、 温 度 が 高 く な るほ ど 多 く の 水 蒸 気 を含 む こ と が で き る の で、 地 球 温 暖 化 は 降 水 量を 変 化 さ せ る 可 能 性 があ る 。 日 本 の 年降 水 量 は 長 期 的 な 増 減の 傾 向 は 認 め ら れ な いが 、 世 界 は ど う で あ ろう か 。 図 C.2.1 は 、1901 年 か ら 2010 年 の期 間 に 観 測 さ れ た 年 降 水 量 の 変 化 を 示 した も の で 、 茶 色 系 は 減少 傾 向 、 青 色 系 は 増 加傾 向 を 表 し 、 白 は 不 明で あ る 。 気 候 変 動 に 関す る 政 府 間 パ ネ ル(IPCC)によ る と、北 半 球 中 緯 度 の 陸 域 平 均 では 降 水 量 が 1901 年 以降 増 加 し て い る が 、そ の 他 の 緯 度 帯 に つ いて は 長 期 的 な 増 減 の 傾向 は 認 め ら れ な い 。 北米 ・ 南 米 の 東 部 、 ヨー ロ ッ パ 北 部 で は 降 水量 が か な り 増 加 し て いる が 、 反 対 に 、 地 中 海や サ ヘ ル ( サ ハ ラ 砂漠 南 縁 部 の 半 乾 燥 地 帯) で は 、 降 水 量 が 減 少し て い る 。 こ の よ う に、 年 降 水 量 の 変 化 傾向 は 様 々 で 、 乾 燥 化 が進 ん で い る 地 域 も あ るこ と が わ か る 。 一 方 、図C.2.2は 、非常 に 降 水 量 の多 い 日( 日 降 水 量 の 上位 5 % )に よ る 年 降 水量 の 寄 与 に つ い て、1951年 か ら2010年 の 期 間 に 見 ら れ る 傾 向 を示 し た も の で、寒 色 系 が 年 降 水 量 に 対 す る大 雨 の 割 合 が 増 加 し てい る 地 域 を 、 暖 色 系 は減 少 し て い る 地 域 を 表し 、 灰 色 は 不 明 で ある 。IPCCに よ る と、陸 域 で の 大 雨 の 頻 度 は、減 少 し て い る 地 域 よ りも 増 加 し て い る 地 域の 方 が 多 い 可 能 性 が 高い 。 北 ア メ リ カ や ヨ ーロ ッ パ な ど 、 多 く の 陸域 で 大 雨 の 頻 度 も しく は 強 度 が 増 加 し て いる こ と が わ か る 。 (IPCC,2013) -20 -15 -10 -5 0 5 10 15 20 Trend (%/10 年 ) 図 C.2.1 1901~ 2010 年 に 観 測 さ れ た 図 C.2.2 陸 域 の 年 降 水 量 の 変 化 ( mm/10 年 ) 年降水量の傾向 1951~ 2010 年 の 「 非 常 に 降 水 量 の 多 い (IPCC,2013) 日 」 の 寄 与 (%/10 年 ) (IPCC,2013) ○●○●○●○●○●○●○●○●○● ○●○●○○●○●○●○●○●○ 49 2.3 沖縄県に影響した台風 ○ 台 風 の 沖縄 県 へ の 接 近 数 に は はっ き り と し た 長 期 的 な傾 向 は 認 め ら れ な い 。 ○ 沖 縄 県 に接 近 し た 台 風 の 発 生 位置 、消 滅 位 置 に は は っき り し た 長 期 的 な 傾 向は 認 め られない。 ○「 強 い 」以 上 の 勢 力 で 沖 縄 県 に接 近 し た 台 風 の 割 合 には は っ き り し た 長 期 的な 傾 向 は 認 め ら れな い 。 (1)発生数と接近数 台 風 の 発 生数 と 沖 縄 県 へ の 接 近 数の 経 年 変 化 を 図 2.3.1 に 示 す 。1981~2010 年統 計 に お け る 台 風の 発 生 数 の 平 年 値 は 25.6 個 、 沖 縄 県 へ の 接 近数 の 平 年 値 は 7.4 個 で あ る 。 発 生 数 は 、1960 年 代半 ば と 1990 年代 は じ め に か け て ピー ク が み ら れ 、 1990 年 代 後 半 以 降 か ら 2010 年 ご ろ ま で は 発生 数 の 少 な い 傾 向 を 示し て い る 。接 近 数 は 、5 ~10 個 程 度 の 幅 で変 動 し て お り 、 周 期 は明 瞭 で は な い 。 発 生 数お よ び 接 近 数 と も 長 期的 な 変 化 傾 向 は み られ な い 。 沖 縄 県 へ の接 近 数 の 最 も 多 か っ た年 が 2004 年 の 15 個 で 、こ の 年 は 本 土 へ の 上陸 数 も 10 個 と 過 去最 多 と な っ た 。沖 縄 県 へ の 接 近 数 が 最 も 少 なか っ た 年 は 1973 年 、1977 年、 1995 年 、2009 年 の そ れ ぞ れ 3 個で あ る 。 (2)接近台風の発生・消滅位置 沖 縄 県 に 接近 し た 台 風 の 発 生・消 滅 位 置 の 南 北 、東 西 変 動 の 長 期 的 な 傾 向 を みる た め 、 年 平 均 の 経年 変 化 を そ れ ぞ れ 図 2.3.2 と 図 2.3.3 に示 す 。 緯 度 は 、発 生 位 置が 概 ね 北 緯 15~20 度 の 範 囲 、消 滅 位 置 が 概ね 北 緯 30~40 度 の範 囲 と な っ て いる 。 長 期 的 に み る と 、発 生 ・ 消 滅 位 置 の 南 北変 動 に 傾 向 は み ら れ ない 。 経 度 は 、 発 生 位置 が 概 ね 東 経 125~145 度 の 範 囲 、 消 滅 位 置が 概 ね 120~140 度 の範 囲 と な っ て い る 。発 生 位 置 に は 周 期 的 な変 動 が み ら れ る 。 発 生・ 消 滅 位 置 の 東 西 変 動に も 長 期 的 な 変 化 傾向 は み ら れ な い 。 50 図 2.3.1 台 風 の 発 生 数 ( 青 線 ) と 沖 縄 県 へ の 接 近 数 ( 赤 線 ) ( 1951~ 2013 年 ) 細線:年々の値、太線:5年移動平均。 図 2.3.2 沖 縄 県 に 接 近 し た 台 風 の 発 生・消 滅 位置(緯度別) 統 計 期 間:1951~ 2013 年 。細 線:年 々 の 値 、太 線 : 5年移動平均。 51 図 2.3.3 沖 縄 県 に 接 近 し た 台 風 の 発 生・消滅位置(経度別) 統 計 期 間: 1951~ 2013 年 。細 線 :年 々 の 値 、 太線:5年移動平均。 (3)接近した台風の強さ 沖縄県に接近した台風の強さの変動をみるため、接近した台風の数と、そのなかに占 め る 「 強 い」 勢 力 以 上 の 台 風 の 割合 を 図 2.3.4に 示 す 。 台風 の 強 さ の 階 級 は 表 2.3.1の と お り で あ る。 「 強 い 」 勢 力 以 上 の台 風 に つ い て は 、 気 象衛 星 「 ひ ま わ り 」 に よる 台 風 の 観 測 が 始 まり 、 台 風 の 中 心 付 近 の最 大 風 速 デ ー タ が そ ろっ て い る 1977年 以 降 の デ ー タ を 用 い て い る。 「 強 い 」 以上 の 勢 力 で 接 近 し た 台風 の 割 合 に は 長 期 的 な変 化 傾 向 は み ら れ な い。 図 2.3.4 沖 縄 県 へ の 台 風 接 近 数( 赤 )と 接 近 数 に 占 め る「 強 い 」勢 力 以 上 の 台 風の割合(青) 細線:年々の値、太線:5年移動平均。 表 2.3.1 台風の強さの階級 台 風 の 強 さ は 、 中 心 付 近 の 最 大 風 速 ( 10 分 間 平 均 の 風 速 ) に よ っ て 定 義 さ れ る 。 52 解説コラム ●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○ 地球温暖化と台風 地 球 温 暖 化が 進 む と 台 風 の 発 生 数や 強 度 は ど の よ う に 変化 す る の だ ろ う か ? IPCC「 気候 変 動 へ の 適 応 推 進 に 向け た 極 端 現 象 及 び 災 害の リ ス ク 管 理 に 関 す る特 別 報 告 書 」(SREX)( IPCC,2012) で は 、 地 球 温 暖 化 の 進 行 に伴 っ て 、 将 来 は 台 風 を含 む 熱 帯 低 気 圧 の強 度 が 増 大 し 、 最 大 風速 が 増 加 す る 可 能 性 が高 い と 報 告 さ れ て い る。 熱 帯 低 気 圧 は 暖 かい 海 面 か ら 供 給 さ れ た水 蒸 気 が 凝 結 し て 雲 粒に な る と き に 放 出 さ れる 熱 を エ ネ ル ギ ー とし て 発 達 す る 。地 球 温 暖 化 の 程 度 が 大 き い( 海 面 水 温 の 上 昇 が 大 きい )ほ ど 、 熱 帯 低 気 圧の エ ネ ル ギ ー 源 で あ る水 蒸 気 が 増 加 す る の で、 ひ と た び 熱 帯 低 気 圧が 発 生 す る と 強 度 が強 ま り や す く な る と 考え ら れ て い る 。 SREX で は 、 地 球 温暖 化 の 進 行 に伴 っ て 、 世 界 的 に は 熱帯 低 気 圧 の 発 生 数 が 少な く な る か 変 化 しな い 可 能 性 が 高 い と 報告 さ れ て い る 。 地 球 温暖 化 が 進 む と 、 対 流 圏の 低 緯 度 か ら 中 緯 度帯 で は 下 層 よ り 上 層 のほ う が 温 度 上 昇 が 大 きい た め 、 大 気 の 鉛 直 温度 構 造 が 安 定 化 し 、熱 帯 低 気 圧 の 発 生 数 が少 な く な る 地 域 が 多 いと 考 え ら れ て い る 。 図 C.3 は 、水 平格 子 間 隔 が 20km の 高 解 像 度 の 全 球 大 気気 候 モ デ ル を 用 い た 、気 象研 究 所 他 に よる 熱 帯 低 気 圧 の 予 測 研究 の 実 験 結 果 で あ る 。将 来 の 地 球 温 暖 化 に 伴っ て 発 生 す る 熱 帯 低気 圧 の 総 数 は 減 る も のの 、全 体 的 に 最 大 風 速 44m/s 以 上 の 非 常 に 強い 熱 帯 低 気 圧 の 数 が増 え る 傾 向 を 示 し て いる 。 図 C.3 温暖化予測による強度別の熱帯低気圧の年平均出現数 海 面 水 温 観 測 値 に よ る 再 現 実 験 、温 暖 化 の 程 度 が 小 さ い 海 面 水 温 予 測 値( 海 面 水 温 の 上 昇 が 小 さい)による実験、及び、温暖化の程度が大きい海面水温予測値(海面水温の上昇が大きい) による実験の結果を示す。温暖化の観測・予測及び影響評価統合レポート「日本の気候変動と そ の 影 響 」 ( 文 部 科 学 省 ,気 象 庁 ,環 境 省 ,2009) よ り 。 ●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●●○●○● 53 2.4 沖縄県の生物季節現象の変化 ○ 沖 縄 県 では 、ス ミ レ(リ ュ ウ キ ュ ウ コ ス ミ レ)の 開 花 時 期 は 早 く な る 傾 向 がみ ら れ る。 ○ 沖 縄 県 では 、 サ ク ラ ( ヒ カ ン ザク ラ ) の 開 花 に 長 期 的な 変 化 傾 向 は み ら れ ない 。 生物季節観測とは、植物や動物の状態が季節によって変化する現象についておこなう観測であ り、生物に及ぼす気象の影響、季節の遅れ・進みや気候の違いなど総合的な気象状況の推移を知 ることを目的として、全国で約 60 か所、沖縄県では4か所の気象官署で実施している。植物季節 現象では植物の開花日、満開日(サクラのみ)を、動物季節現象では鳥や昆虫などの初見日また は初鳴日をそれぞれ観測している。 ここでは、沖縄県における植物季節現象の経年変化について述べる。 (1)沖縄県における植物季節現象の遅れ・進み 沖縄県における植物季節現象7種目8現象について、2013 年までの 30 年あたりの開花・満開 日の進み・遅れを表 2.4.1 に示す。 スミレ(リュウキュウコスミレ)の開花時期は早くなる傾向(30 年あたり 15.0 日)がみられ る。それ以外の種目には明瞭な変化傾向は認められない。 表 2.4.1 植 物 季 節 現 象 の 30 年 あ た り の 開 花 ・ 満 開 日 の 進 み ・ 遅 れ 那 覇 、 南 大 東 島 、 宮 古 島 、 石 垣 島 で 開 花 ・ 満 開 を 観 測 し た 日 の 平 年 ( 1981~ 2010 年 の 平 均 ) か ら の 差 を 平 均 し た 値 。平 年 差 の“ - ”は 開 花・満 開 が 平 年 に 比 べ て 早 く 、符 号 な し は 開 花 ・ 満 開 が 平 年 に 比 べ て 遅 い こ と を 示 す 。沖 縄 県 で は 、サ ク ラ は「 ヒ カ ン ザ ク ラ 」、ス ミ レ は「 リ ュ ウ キ ュ ウ コ ス ミ レ 」を 観 測 対 象 と し て い る 。黄 色 の 項 目 は 、有 意 水 準 5 % で 変 化 傾 向 が 有 意 であることを示す。 54 (2)沖縄県の地点ごとでみるサクラ(ヒカンザクラ)開花の 遅れ・進み 沖縄県の地点ごとの 30 年あたりのサクラ開花日の進み・遅れを表 2.4.2 に示す。いずれの地点 も明瞭な変化傾向は認められない。 図 2.4.1 に各地点のサクラ開花日の経年変化を示す。地点により傾向はまちまちである。 表 2.4.2 地 点 ご と に み た 30 年 あ た り の サ ク ラ 開 花 日 の 進 み ・ 遅 れ 地 点 ご と に ヒ カ ン ザ ク ラ の 開 花 を 観 測 し た 日 の 平 年 ( 1981~ 2010 年 の 平 均 ) か ら の 差 を 平 均 し た 値 。平 年 差 の“ - ”は 開 花 が 平 年 に 比 べ て 早 く 、符 号 な し は 開 花 が 平 年 に 比 べ て 遅 い こ と を示す。いずれの地点も有意水準5%で変化傾向が有意なものはない。 図 2.4.1 地点ごとのサクラ開花日の経年変化 55