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その子の思いを見て、聞いて、感じることのできる今年一年に

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その子の思いを見て、聞いて、感じることのできる今年一年に
信州大学教育学部附属長野小学校学校だより
途 上
連絡先 TEL 251-3350
平成 28年 4 月5日(火)No.1
FAX 251-3353
ご入学おめでとうございます
4/4(月),キラキラした瞳の1年生74名が附属長野小に入学しました。私たち職員一同
は,子どもたちが自分らしさを発露しながら成長していけるように,また,教師も共に成長して
いけるように,全力を尽くしてまいります。
入学式に先だって新校長・
新副校長の着任式が行われました
さいとうただひこ
齊藤忠彦
校長先生
☆信州大学教育学部教授(音楽教育)
☆県下の中学校で音楽科の教師をされた後,
信州大学教育学部で研究を重ねられる。
☆3人のお子さんともに附属長野小学校をご卒
業。そのときお子さんが飼っていた鮒を今でも
ご自宅で飼い続けているとのこと。
☆長野市にお住い。
☆着任式では,口琴(こうきん)の演奏を披露
してくださいました。また,入学式では,
「こころ からだ」と筆で書かれ,好き嫌い
無くいっぱい食べること,怪我をしないように
気をつけること,友だちと仲良くすることを
お話しされました。
た なかかずゆき
田中和幸
副校長先生
☆前任校は東御市立北御牧小学校(教頭)
☆平成 12 年~14 年まで,本校で学級担任を
歴任(1~3年生)。当時はヒツジを飼って
いたとのこと。
☆県下の小・中学校で,特に生活・総合の領域
での実践研究を重ね
られ,前任の畔上
先生との関わりも
深い。
☆下高井郡山ノ内町に
お住い。
新しい先生方をご紹介します
☆三澤 千明 先生
(諏訪市立高島小学校より,理科専科)
☆山極 正夫 先生
(長和町立和田小学校より,1年1組担任)
☆市川 武史 先生
(宮田村立宮田小学校より,4年1組担任)
☆伊藤
拓 先生
(茅野市立豊平小学校より,2年1組担任)
☆髙木 潤一 先生
(川上村立川上第一学校より,体育専科)
☆髙橋沙矢香 先生
(大町市立大町東小学校より,外国語専科)
☆中澤 彩乃 先生
(東京女子体育大学より,体育専科)
☆宮島
茜 先生
(上越教育大学より,家庭科専科)
☆浅田 裕子 先生
(信州大学医学部会計係より,事務)
☆神通川由美 先生(栄養士,新規)
☆中村 里恵 先生(給食調理員,新規)
「その子の思いを見て,聞いて,感じ合うことのできる今年一年に」
前期始業式で
田中和幸副校長からお話がありました
今年は例年に比べ,雪が少なく,田んぼの土手にはオオイヌノフグリ
が春の柔らかな陽を浴びて,かわいい花を咲かせています。もう巣作り
が始まるのでしょうか。小鳥たちのさえずりも日に日に賑やかになっ
ています。
新しい春がやってきました。信州大学教育学部附属長野小学校,
平成 28 年度,全校 454 名の皆さんとの暮らしが始まります。
先ほど,2年Tさん,4年Rさん,6年Mさんの発表がありました。それぞれにがんばりたいこ
と,乗り越えたいこと,そんな気持ちがあふれていました。今,話をじっと聞いている皆さんも,
先ほど紹介した担任の先生や専科の先生方といっしょに一年をどう過ごそうか,思いを巡らしている
ことでしょう。
さて,前畔上一康副校長先生が,三学期終業式の日,「最後の質問」という詩をお話しされ
ました。覚えていますか。一部振り返ってみたいと思います。
最後の質問
電車の中で目を閉じて座るおばあさんの心の中を思い描いたことがありますか?
テレビに映る見知らぬ人の喜びや悲しみを
心に留めたことがありますか?
いつもの道で草むらに咲く名もなき花があなたをじっと見ていたこと知っていましたか?
10 年ほど前のことです。私が,小学2年生の担任をしていたとき
のことです。算数の時間のことでした。(1897 の数字を見せる)
1897 という数字が出てきたとき,ある一人の女の子Hさんは「え
ー違う」と立ち上がり,黒板に出て,このように書きました。
(1000800907 を見せる)
当然この子に対して,他の子は「違うんじゃないかな?」と
つぶやきます。でも,この子は「(1000800907 を指さして)こ
うだと思うんだよ。(1897 をみせて)こうではないと思うんだ
よ」と言い続けます。
みなさん,この女の子はどんなおもいをもって,こう書き表
したのでしょう。
そして,みなさんだったら,この子にどんな言葉をかけますか?
しばらくして,一人の男の子が立ち上がり,小さな声でつぶやきました。
「ねえ,Hちゃん,どうして,そう思ったの?」とつぶやく子がいたのです。すると,Hさんは,
ゆっくり話し始めたのです。
「この間,おかあさんとお買い物に行ったの。そして,お母さんが財布をひらいたところを見た
の。そしたらね。1000 円札が一枚,100 円玉が8個,
あと 10 円玉が9個と1円玉が7個あったの。」と。
(黒板を裏返しにしてお金を表示)
先生は,頭の中で地震がおきたようになりまし
た。そして,じわじわと2つの気持ちが心からわき
出てきました。
ひとつは,私が「Hちゃん,それは間違いです」
で終わりにしなくてよかったということ。
もうひとつは,友だちが,「違うよ」と責め立てることなく,「どうしてそう思ったの?」と
尋ねていったからこそ,Hさんの考えの根っこを聞くことができたのだということです。
誰かが,その子の思いを見て聞いて感じ合いたいと思っている。そんなことのできる今年一年に
したいな・・・そんなことを,畔上一康先生のお話から感じたのです。
今日皆さんは,新しい教室に入りました。6年生の皆さんにとっては,全てが最後になって
いきます。谷浜鍛錬会に向けて,エンヤコラのかけ声を響かせ,ただひたすら泳ぐプール。秋,
今日はどんな本を選ぼうかと佇む図書館。そして,霜柱が立つ校庭から臨む雪化粧をした飯縄山。
その一つ一つがもう帰ってこない,かけがえのない時間となるわけです。これは,6年生の皆さん
だけでなく,皆さんそれぞれが今日踏み入れた教室は一年間様々なドラマが生まれる場所です。
その教室で過ごすその日その日の時間は,二度とないもう帰ってこないかけがえのない時間と
なるわけです。
一年経った3月,卒業式の日,教室とお別れする日。友だちのこんな言葉や姿が私を輝かせて
くれた・・・『楽しかったよ』『ありがとう』・・・
そんな別れがたい思いが,皆さん一人一人の心の中に育っていることを,願っています。
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