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シ ン ポ ジ ウ ム - 聖マリアンナ医科大学

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シ ン ポ ジ ウ ム - 聖マリアンナ医科大学
EDAIN WING 4.0 星野
2008.08.07 11.33.32 Page 55
AN文書/気胸・嚢胞性肺疾患学会/気胸・嚢胞性肺疾患学会雑誌/8巻1号(総会号)/NKNHP‐18 扉:シンポ
シ ン ポ ジ ウ ム
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AN文書/気胸・嚢胞性肺疾患学会/気胸・嚢胞性肺疾患学会雑誌/8巻1号(総会号)/NKNHP‐11‐2 抄:シンポ
ブラ・ブレブ
日産厚生会玉川病院
○栗原 正利
シ
ン
ポ
ジ
ウ
ム
気管支原性嚢胞について
埼玉医科大学国際医療センター 呼吸器外科
○金子 公一、二反田博之、山﨑 庸弘、坂口 浩三、石田 博徳
嚢胞性肺疾患の分類はこれまで多くの研究者によって試みられてきているが、現在まで明確な分類がなさ
れるには至っていない。気管支原性嚢胞は肺、気管支の発芽や分岐の異常により発生する先天性疾患と考
えられ、病理組織学的に嚢胞内面が気管支粘膜で覆われ、軟骨、平滑筋、気管支腺組織などが認められる
と定義される。しかし、病理組織所見が完全に揃わない場合にも診断されることが多い上、
「気管支原性嚢
胞」
、
「気管支性嚢胞」
、
「気管支嚢胞」など呼称についても混乱がある。また、同様の病理組織所見でも肺
内に存在する場合と、縦隔や胸腔内など肺外に存在する場合では発生機序が異なる可能性が考えられる一
方、新生児・小児に見られる場合と成人の場合での相違点にも統一した見解がなく、分類上困難が多いの
が現状である。
益田による本学会の肺嚢胞分類(案、2006 年)では、発生機序に基づいて気管支性肺嚢胞の一項目として
肺分画症と並んで気管支性嚢胞が分類されていて、
これは大畑による 2003 年の肺原基異常による肺嚢胞の
ひとつとしての気管支性嚢胞の位置付けと同様の考え方と思われる。気管支原性嚢胞の位置付けについて、
1)呼称の統一、2)新生児・小児例と成人例の扱いを分ける、3)典型例を明確に定義してあてはまらない
症例はその他とするか、より構成成分の多い分類に入れるか、などの作業を行ってゆくことが必要と考え
る。
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AN文書/気胸・嚢胞性肺疾患学会/気胸・嚢胞性肺疾患学会雑誌/8巻1号(総会号)/NKNHP‐11‐2 抄:シンポ
肺嚢胞症としての肺リンパ脈管筋腫症の位置づけ
順天堂大学大学院医学研究科人体病理病態学
○熊坂利夫
!
肺リンパ脈管筋腫症(P LAM)は結節性硬化症関連遺伝子(TSCs)
の変異により発症する良性腫瘍であり、
ほぼ妊娠可能年齢の女性のみに発症する。P LAM はメラノーマ関連抗原 HMB45 陽性の平滑筋腫様細胞
が増殖する良性腫瘍でありながら、肺のみならず体軸に沿ったリンパ節にも転移することが知られている。
P LAM の肺の嚢胞化においては、転移した LAM 細胞による基質分解酵素の産生による肺胞壁の分解消
失がその主たる原因とされている。しかしながら、組織学的に P LAM の肺嚢胞を見ると、嚢胞すべてに
LAM 細胞が増殖するわけではなく、時には嚢胞部には LAM 細胞が見られないこともある。したがって、
P LAM の嚢胞がすべて LAM 細胞の増殖・MMPs 産生・肺胞壁の消失によっておこるわけではない。こ
のように、P LAM の肺嚢胞は原因・発症機序・肉眼,組織学的形態などからも類縁疾患を見ない独立した
疾患であり、肺嚢胞症の中での位置づけが難しい。
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肺分画症
浜松医科大学 第一外科
○鈴木 一也、高橋
毅、板谷
徹、望月 孝裕
先天性肺疾患の中で異常動脈の存在が注目された肺分画症は,Pryce により血管牽引説が提唱され,彼の分
類が今でも広く用いられている。正常な気管支系からなる正常肺とは分離された肺組織の存在と,大循環
系からの血液供給の両者をもって肺分画症と一般には定義されているが,境界症例も多く報告されている。
消化管との交通のある肺分画症や異常動脈を伴う CCAM などの報告も有り,先天性肺疾患の発生過程が
すべて解明されているわけではないので,定義や分類にはいまだ議論が多い。
本学会で提案された嚢胞分類をさらに進化させ体系化してゆくために,最近の症例 すなわち最新の画像を
有する肺分画症 を集積して再検討することとした。そして現時点における分類の問題点につき報告した
い。
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AN文書/気胸・嚢胞性肺疾患学会/気胸・嚢胞性肺疾患学会雑誌/8巻1号(総会号)/NKNHP‐20 扉:イブ・教育
イ ブ ニ ン グ セ ミ ナ ー
教 育 講 演
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AN文書/気胸・嚢胞性肺疾患学会/気胸・嚢胞性肺疾患学会雑誌/8巻1号(総会号)/NKNHP‐21 抄:イブ・教育
Hospital Mutua de Terrassa Barcelona Spain
○Jose Belda-Sanchis
Seoul National University Seoul Korea
○Young Tae Kim
イ
ブ
ニ
ン
グ
・
教
育
講
演
湘南中央病院
○長田 博昭
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WS1-1 小児気胸症例の検討
日本大学 医学部 外科学系総合乳腺内分泌呼吸器外科学分野
○松村 光恭、大森 一光、村松
高、四万村三恵、古市 基彦、西井 竜彦、竹下 伸二、石本真一郎、
諸岡 宏明、塩野 元美
【目的】自然気胸は若年者に好発する疾患であるが、小児には発生が少ない。今回小児自然気胸症例ににつ
いて検討した。
【対象】
期間は H4 年 3 月から H19 年 12 月までの 16 年間に経験した、気胸の診断で入院し
た 17 例について検討した。
【結果】年齢は 12 歳から 15 歳で、12 歳 1 人、13 歳 1 人、14 歳 5 人、15 歳 10
人であった。性別は男性 13 例、女性 4 例であった。手術適応は、気漏遷延 5 例、再発性気胸 10 例であっ
た。胸腔ドレナージのみで軽快し再発も無かった例はわずかに 1 例であり、1 例は経過観察のみであった。
両側異時性気胸は 4 例あった。漏斗胸合併例 1 例、幽門狭窄症及び僧帽弁逸脱症合併例 1 例、マルファン
症候群合併例 2 例と、合併症を持ったものが 4 例あった。術後再発は 3 例あったが、全て両側気胸であり
2 例はマルファン症候群合併例であった。
【結論】自然気胸の小児発症は少ないと言われているが、年齢が
高くなるほど気胸の発症率は高く見られ、15 歳例が多く見られた。これは、近年小児の身体発育が良好で
あることに起因していると思われる。保存的に軽快する例に比較して、手術となる症例が明らかに高率で
あった。術後再発は高頻度であり、両側症例に多かった。また、15 歳以下の気胸症例は合併疾患の合併率
が高く、小児に自然気胸が発症した場合には合併症の検索が必要と思われる。
WS1-2 若年者気胸手術症例に対する再発予防の検討
都立府中病院 胸部外科1、東京女子医科大学 第 1 外科2
○吉川 拓磨1,2、神崎 正人1,2、小原 徹也1、大貫 恭正2
背景:当院では 1994 年より気胸に対する胸腔鏡下手術を導入している。2006 年 5 月までに 243 例に対し
て 266 回の手術を施行した。再発は 17 例(9%)に認め、中でも 10 代の再発は 8 例(21%)と多かった。
目的:当科における若年者気胸手術症例を再発率、再発予防について検討した。対象および方法:人工材
料による再発の予防を開始した 2006 年 6 月から 2008 年 6 月までに胸腔鏡による気胸手術を施行した 88
例を対象とした。人工材料(ポリグリコール酸、酸化セルロース)の使用の有無で、処置群(49 例)と無
処置群
(39 例)
に分け、再発率を年代別に検討した。結果:再発は処置群 2 例
(4.1%)
、無処置群 6 例
(15.4%)
であった。再発率の比較では、処置群 10 代 9%、無処置群 10 代 31% であった。処置群術後再発に対して
3 ヶ月後に再手術を行った症例では、胸腔鏡を挿入し胸膜を観察すると、人工材料を貼付した胸膜が明らか
に肥厚しており、病理所見では慢性炎症による硝子化、炎症性新生血管を認めた。結語:再発の予防に関
しては、ポリグリコール酸フェルトなど人工材料を使用することで再発率を低下させていた。10 代の気胸
術後再発を低下させることで気胸再発率を低下させることが示唆された。人工材料を用いた現状の予防対
策は、貼付後に炎症反応が持続していることから、当院では若年者の人工材料貼付については慎重とし、
今後症例の蓄積が必要であると考えられた。
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WS1-3 若年者自然気胸に対する胸腔鏡下臓側胸膜補強の成績
横浜労災病院 呼吸器外科
○前原 孝光、正津 晶子、足立 広幸
【目的】若年者自然気胸の術後再発予防として,切除断端補強を行うとともに,フィブリんのりを使用せず
吸収性合成シート剤の貼付を施行してきたので,現在までの術後再発率などの手術成績を報告する.
【対象】
2002 年年 6 月から 2007 年 12 月までの全自然気胸手術 276 例中,続発性気胸,血気胸,外傷性気胸,術後
再発気胸をのぞき,胸膜補強を施行した 35 歳以下の自然気胸手術症例 172 例を対象とした.
【方法】手術
のアプローチは全例胸腔鏡で,2 ポートで自動縫合器による肺部分切除が原則.ブラ切除後,フィブリン糊
を使用せず,切除部位の断端 2 カ所をエンドループにて補強後,その糸を利用し吸収性 PGA フェルト
(Neoveil)を貼付固定した.術後胸腔ドレーンは 1 日持続吸引し,翌日リークなければ抜去し,退院とした.
【結果】男 145:女 27,年齢は 13 歳から 35 歳で平均 22.7 才.手術時間は平均 65 分,使用自動縫合器数は
平均 2.3 個,術後入院日数は平均 1.3 日.術後合併症は長期肺瘻が 2 例(0.5%)であった..平均観察期間
36 カ月で再発は 5 例,2.9% であった.再発の 5 例中,入院ドレナージ療法が 2 例,安静観察のみが 3 例で
あり,保存的治療のみで軽快した.
【結語】若年者自然気胸において,胸腔鏡下にブラ切除後,断端に吸収
性シートを貼付し胸膜補強をはかることは,気胸再発予防に有効であり,再発時においても虚脱程度が軽
度となる場合多く,メリットは高いものと考えられた.
WS1-4 原発性自然気胸に対する術後再発防止策と適応
岡山赤十字病院 呼吸器外科
○森山 重治、三好健太郎、多田 明博
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【はじめに】当科の原発性自然気胸の術後再発率は 25 歳以上が 2.6% であるのに対して 25 歳未満は 23%
と高率で
(p<0.001)
,若年者気胸に対しては何らかの再発防止策が必要と考えられる。これまで当科で行っ
てきた再発防止策の有効性を比較検討した。
【対象と方法】当科で治療した原発性自然気胸初回手術 327
例を対象とした。治療方針は A 群(n=150)
:ブラ切除のみで再発防止策は採らず(95 年 1 月から 04 年 6
月)
,B 群(n=71)
:ブラ切除+周囲を電気メスで焼灼(95 年 1 月から 04 年 6 月)
,C 群(n=46)
:ブラ切
除+超音波凝固装置で好発部位(肺尖部,S6a,S4a)を焼灼(04 年 7 月から 06 年 10 月)
,D 群(n=26)
:
ブラ切除に加えて 25 歳以上は超音波凝固のみ,25 歳未満はそれにネオベールの貼付を追加
(06 年 11 月か
ら 08 年 12 月)
。4 群の術後再発率を χ 自乗検定を用いて統計学的に比較した。
【結果】再発率はそれぞれ
14.7%,18.3%,13.0%,0% であったが,統計学的には有意差を認めなかった(p=0.143)
。
【考察】電気メ
ス,超音波凝固の術後再発率は無処置と変わらず,無効であったが,ネオベール貼付は観察期間が短く症
例が少ないため統計学的有意差を認めぬものの,現在のところ再発が無く,再発防止に有用な手段と考え
られる。また,25 歳以上の患者には再発防止の処置は不要と考えられる。当科では今後とも D 群の治療方
針で症例を重ねていく所存である。
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WS1-5 若年者気胸に対する PGA シート貼付による再発予防効果の検討
淀川キリスト教病院 呼吸器外科
○加地 政秀
10 歳代患者における胸腔鏡下ブラ切除術後再発は約 20% と高率であり,これに対して PGA シートの貼付
による臓側胸膜補強策が有効と報告されている.
本院でも 2004 年以降は 10 歳代患者全員と 20 歳代前半の
胸郭の扁平な患者に対しては,fibrin 糊の使用に関して IC を得た上で,ネオベールシート(0.15mm)をブ
ラ切除線を中心とした肺尖部の広範囲と S6 頂部に糊で貼付し再発防止策としてきた.しかしこの方法で
も 10 歳代患者では 15 例中 6 例(40%)の高い再発率を認めた.再発例に対しては薄切 CT を行ない、また
冠状断や矢状断の MPR も加えてブラ新生の有無を検索し、同意が得られれば局所麻酔下の胸腔鏡検査を
行った。胸腔鏡を行った内の 1 例は肺尖部の変形と切除線近傍に破裂ブラを確認した.また他の 1 例では
S3a 辺縁のブレブが腫大しこれの破裂と考えられた.これら 2 例では初回のブラ切除部周囲の癒着は拡張
蛇行した新生血管を伴うもののいずれも軽度であり,再手術における負担にはならず,後日全身麻酔下に
ブラ切除と再補強を行なった.一方,気胸再発にもかかわらず,CT や胸腔鏡でブラの確認し難い症例も 2
例あった.なお気胸の再発は無くとも 4 例において CT でブラ新生が確認された.以上より,若年者自然気
胸における気胸再発予防策に関して,fibrin 糊によるネオベールシート貼付法のみでは十分な効果は得ら
れないと考えた.現在,再生酸化セルロース貼付法に変更して経過観察中である.
WS1-6 当院における若年者気胸術後再発の現状
杏林大学 医学部 呼吸器外科
○橘
啓盛、武井 秀史、河内 利賢、苅田
長島
鎮、輿石 義彦、呉屋 朝幸
真、増井 一夫、中里 陽子、古屋敷 剛、
【はじめに】自然気胸術後再発率は 5∼10% 程度とされ,特に 10 歳代で再発率が高い傾向にある.また再
発防止策として PGA シート等による臓側胸膜補強の有用性が報告され,当院でも全例ではないが 2004
年頃より導入している.一方で施設による再発率の差は技術的な問題以外に,経過観察方法や期間も影響
を与えると思われる.そこで当院における術後再発や経過観察の現状について検討した.
【対象・方法】1993 年 6 月から 2008 年 5 月までに当院で手術を行った若年者気胸 316 例,346 側を対象と
し,再発,経過観察の有無や経過観察期間について検討した.当院で再発が確認された症例以外は 2008
年 6 月時点ではがきと電話による再発調査を行った.
【結果】平均年齢は 22 歳(12∼30 歳)
,男性 281 例 308 側,女性 35 例 38 側,再発は 36 側(10.4%)に認め
られた.その中で 2003 年までが 221 側中 27 側(12.2%)に 2004 年以降が 125 側中 9 側(7.2%)に再発を
認めた.経過観察ができた症例は 184 例(観察期間中央値 1110 日(90 5436)
)
,観察できなかった症例は
132 例であった.再発までの期間は中央値 555 日(12 2291)で 1 年後以降の再発は 20 例であった.
【結論】臓側胸膜補強は再発防止に有用な可能性がある.また気胸術後再発は 1 年以上経過してからも多く
認められるため,長期の経過観察が必要と思われるが若年者では経過観察が難しい.
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WS2-1 難治性気胸に対する検討―再手術例及び 70 歳以上の肺気腫合併手術
例について―
三重中央医療センター 呼吸器外科
○安達 勝利、金田 正徳、坂井
隆
【目的】外科治療を要する難治性気胸に対し検討を行った。
【対象及び方法】1998 年 7 月から 2008 年 5 月ま
でに外科治療を行った 218 例のうち、再手術例及び 70 歳以上の肺気腫合併手術例を対象とした。【結果】
再手術を行った 12 例の内訳は男性 10 例、女性 2 例、平均年齢 31.9 歳で併存疾患は肺気腫 4 例、気管支喘
息 2 例、多発性硬化症 1 例、喫煙歴 3 例であった。手術療法は 1.Video assisted Thoracoscopic Surgery
(VATS)→開胸術 6 例、2.開胸術→開胸術が 4 例、3.VATS→VATS が 2 例であった。再発防止のため、
胸膜癒着術及び PGA シートやフイブリン糊を使用した。70 歳以上の肺気腫合併手術例は 35 例で、いずれ
も男性で全例喫煙歴を認めた。併存疾患は COPD、陳旧性肺結核症、塵肺、脳梗塞、狭心症を認めた。35
例中死亡は 2 例でその内の 1 例は、術後気漏が止まらず Endobronchial Watanabe Spigot(EWS)挿入した
が効果なく、更に OK 432 を胸腔内注入したが MRSA 膿胸を発症し呼吸不全で死亡した。【まとめ】気胸
は良性疾患で若年者の場合ほとんどが自然気胸で予後良好であるが、再発例の原因には併存疾患や肺の脆
弱性などが考えられる。また、高齢者は肺気腫、塵肺などが多くなり、合併症を起こしやすくなるため慎
重な治療が必要と考えられる。
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WS2-2 高齢者びまん性気腫肺合併例への対応策の提案
昭和大学病院 呼吸器外科1、昭和大学横浜市北部病院 呼吸器センター2、
昭和大学藤が丘病院 胸部心臓血管外科3
○片岡 大輔1、門倉 光隆1、山本
滋1、深山 素子1、富田 由里1、谷尾
3
3
野中
誠 、鈴木
隆
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昇1、北見 明彦2、
自然気胸に対する外科治療は自動縫合器による胸腔鏡下肺部分切除術が主体となることに異論はないと思
われるが,術後再発率が開胸術後に比べて高く,その原因として開胸手術時よりも少ない容積の肺切除に
よって切除部位近傍にブラが遺残することや残存する気腫肺からブラ新生が起こる可能性,さらに胸腔鏡
下手術では開胸時に比べ,ワーキングスペースの問題から視野展開に無理な鉗子操作などを行い胸膜の脆
弱化が発生し得ることなどが考えられる。しかし,air leakage の原因となった責任病巣の周辺に気腫性変
化が強い肺の場合,とくに高齢者気胸では病巣周辺に広範な気腫性変化を伴い,切除に難渋することもし
ばしば経験する。これまで当科では,びまん性気腫肺の手術時に TissueLink 社製モノポーラ・シーラー
(TLMS)による胸膜焼灼を施行した上で同部位を切除し,病理組織学的検討を加えてきた。その結果,
TLMS の適度な温度による処理では焼灼部位の熱変性による胸膜肥厚がみとめられるものの凝固壊死は
来たさず,炎症所見も少ないことから,胸膜補強を達成し得る可能性が示唆された。また,本焼灼で境界
不明瞭な嚢胞壁部分のみが白色調に変化したことで胸膜腓薄部位の同定も容易となり,肺部分切除時に気
腫病巣遺残を回避する有力な処理方法となる可能性が示唆された。以上,TLMS の有用性について検討し
たので症例を提示して報告する。
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AN文書/気胸・嚢胞性肺疾患学会/気胸・嚢胞性肺疾患学会雑誌/8巻1号(総会号)/NKNHP‐13 抄:ワーク
WS2-3 高齢者,難治性気胸の治療
浜松医科大学 第一外科
○高橋
毅、鈴木 一也、板谷
徹、望月 孝裕
目的:肺気腫や間質性肺炎,高度な癒着などを伴う気胸の治療には難渋することも多い。このような難治
性気胸の診療における我々の方針と結果について報告する。方法:1)
難治性と考えられる症例では,ドレ
ナージ中に 2 回は CT(0.5mm スライス)を施行する。心拍動が画像診断に影響する場合には心電図同期を
行う,2 回の CT で変化が認められることがある,ためであり診断の正確性が増す。2)自己血からフィブ
リノーゲンの豊富な成分を抽出しておき術中に自己糊として用いる。主にブラ内へトロンビンとともに注
入する。3)
手術は基本的に腋窩小開胸で行い,明らかなブラがある場合にはブラ内に ICG を注入し赤外カ
メラで蛍光を観察してブラの広がりを観察して切除範囲を決定する。4)
ステープラーラインの補強には人
工素材を用いず,自己大腿筋膜を採取して用いる。結果:30 例にこのような方法を用い,術中術後のエアー
リークはなく順調に経過した。考察:新しい機器の応用と自己素材の使用で,安全確実な気胸の手術が可
能であると考える。
WS2-4 70 歳以上気胸手術症例の検討
埼玉県立循環器・呼吸器病センター 呼吸器外科
○池谷 朋彦、齋藤 雄一、高橋 伸政、村井 克己、星
永進
目的:70 歳以上の気胸手術症例を調べてその適応を検討する.対象:2002 年 7 月∼2008 年 4 月までに手
術した 70 歳以上の気胸症例 35 例,
39 側を対象とした.
結果:1 例を除いて全て空気漏れのある症例であっ
た.平均年齢 76.9±6.1 歳(70−98 歳)
,全例男性.喫煙指数 951.1±557.9,(0 2200)
非喫煙者は 2 例のみ.
併存疾患
(肺気腫,肺線維症,虚血性心疾患など)
有 29 例,無 6 例.平均入院期間
(他院入院も含む)
31.4±
23.0 日(7−132 日)
,入院から手術までの平均期間 23.2±16.0 日(2−78 日)
,当科入院∼手術までの平均期
間 14.2±14.0 日(0−78 日)
,術後胸腔ドレーン抜去までの平均期間 3.1±2.3 日(2−54 日)10 日以上の症
例は 2 例のみ,術後平均入院期間 8.2±10.3 日
(2−54 日)
.部位:右側 28 側,左側 11 側,肺尖 15 例
(42%)
,
S6 8 例(22%)
,上葉(肺尖除く)4 例,中葉 2 例,下葉(S6 除く)6 例(肺底部 3 例)
,S6+肺尖 1 例,破
裂部位不明 2 例.術式:胸腔鏡併用 22 側,小∼中開胸 17 側,部分切除術 32 側,縫縮術 7 側.問題となっ
た症例は,術前 EWS 留置を試みた 2 例(失敗)
,術後気管内挿管にて帰室した 3 例(内 1 例は 1 秒量 1.1l,
30% の低肺機能で術後 54 日目に失った.
)
,術後切除断端からの気漏で再手術した 1 例
(シェーグレン症候
群,高度の間質性肺炎)
.結語:術後入院期間は 8 日程度であり,併存疾患を有していてもほぼ安全に手術
可能であるが,極度の低肺機能症例は困難と思われた.
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WS2-5 続発性難治性気胸に対する EWS を用いた気管支充填術の問題点と対
策
岡山赤十字病院 呼吸器内科1、岡山赤十字病院 呼吸器外科2
○渡辺 洋一1、松尾 圭祐1、佐久川 亮1、細川
忍1、南
大輔1、平木 俊吉1、森山 重治2
【目的】EWS を用いた気管支充填術の最も多い対象疾患は続発性難治性気胸である.本法の難治性気胸に
対する有効率は,他の疾患に比べて低い.問題点を整理し,対策を検討したい.
【方法】続発性難治性気胸
に対して EWS を用いた気管支充填術を実施した本邦における 115 症例を解析し,我々の施設における 35
例の経験を含めて問題点と対策を検討した.
【成績】本邦において難治性気胸に対して EWS を使用した報
告は 78 施設から 115 例頂いた.年齢は,33 歳から 90 歳に分布していた.肺における基礎疾患としては,
肺気腫 69 例,肺癌 20 例,間質性肺炎 17 例が最も多く,次いで非結核性抗酸菌症,陳旧性肺結核,塵肺,
肺炎,気管支喘息などであった.バルーンテストによる責任気管支の同定は 65 症例
(56.5%)
で可能であっ
た.1 症例あたりの EWS 使用個数は,3.9 個であった.結果は気管支充填術により,38 症例(33.9%)で気
漏は消失,43 症例(38.4%)で気漏の減少を認めた.合併症としては,2 症例に肺炎,2 症例に発熱,1
症例に気道感染を認めた.
【考察】気腫性肺疾患においては末梢気腔において正常肺とは異なった交通があ
り,充填術による治療を困難にしていると考えられた.
【結論】続発性難治性気胸における肺におけるもっ
とも多い基礎疾患は肺気腫であり,気腫性肺疾患の病態を考慮した気管支充填術の工夫が必要であると思
われた.具体的対策については発表において言及したい.
WS2-6 高齢者気胸・難治性気胸に対する TGF : Thoracographic Fibrin Glue
Sealing Method 治療
日産厚生会玉川病院 気胸研究センター 呼吸器外科
○栗原 正利、片岡 秀之、矢代 智康
ワ
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シ
ョ
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プ
高齢者および難治性気胸に対し確実に気漏閉鎖するため TGF : Thoracographic Fibrin Glue Sealing
Method 治療法を施行している。対象と方法:118 例の高齢者・難治性気胸患者を対象とした。年齢は 19
−92 歳。男対女 112 : 6。内訳は肺気腫による慢性呼吸不全 63 例。線維症による呼吸不全 8 例。腔内癒着著
明な慢性呼吸不全 21 例。術後難治性気漏 25 例。脳幹部脳梗塞合併 1 例である。TGF は無菌的に行う。最
初に 10ml の非イオン性造影剤を注入し胸腔造影で気漏部位を確認後 7Fr Double Lumen カテーテルを透
視下に胸腔ドレーンより挿入し気漏部位まで誘導する。造影剤で希釈した Fibrin 糊 A 液と B 液を用いて
気漏部位を確認しながら少量づつ交互に注入する。気漏が消失するのを確認する。結果:118 例中 76 例が
治療中に閉鎖できた。14 例が 24 時間以内で 8 例は 72 時間以内に閉鎖できた。9 例は気漏減少するも閉鎖
せず 7 日後に再度治療を試みて閉鎖できた。11 例が閉鎖出来ず癒着療法および胸腔鏡手術を行なった。考
察:高齢者および難治性気胸に対し癒着剤の胸腔内注入では治療できないことが多い。原因は 1.気漏部の
同定が出来ていない。2.薬剤が気漏部に到達したかの確認が出来ない。3.癒着剤の効果に個体差がある。
4.薬剤が希釈されて効果が減少することなどが挙げられる。TGF はこれら問題点をすべて解決できた。結
論:TGF は難治性気胸を確実に迅速に気漏閉鎖できる新しい治療法である。
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AN文書/気胸・嚢胞性肺疾患学会/気胸・嚢胞性肺疾患学会雑誌/8巻1号(総会号)/NKNHP‐13 抄:ワーク
WS2-7 高齢者に発症した難治性気胸の検討
国立病院機構南和歌山医療センター 胸部・心臓血管外科1、国立和歌山病院 外科2、
和歌山県立医科大学第1外科3
○木下 貴裕1、前部屋進自2、粉川 庸三1、吉増 達也3
高齢者発症した気胸は、続発性が多く、治療に難渋することがある。我々は、80 歳以上の高齢者難治性気
胸に対する治療と成績について報告する。
(対象)1999 年 1 月から 2007 年 12 月まで、80 歳以上の気胸 28
症例 30 側。年齢は、80 歳から 96 歳(平均 84.6 歳)
。
(方法)1 胸腔ドレナージのみは、2 側。2.胸腔鏡下
手術(VATS)は、5 側。3.胸腔鏡補助下小開胸術(s VATS)は、8 側。4.造影剤添加希釈フィブリン
糊注入法(木下法)11 側。5.フィブリン糊以外の胸膜癒着法(胸膜癒着術)4 側。治療方針は、胸腔ドレ
ナージ後、数日で気漏が止まれば、胸腔ドレナージのみ。気漏持続した場合、全身状態が良好で、ブラが
比較的限局していれば、VATS または、s VATS の手術療法。Hugh Jones 分類三度以上または、他の合併
症のため全身状態不良であれば、木下法。その中で、肺の膨張良好の場合、胸膜癒着術。
(結果)1.再発
は、1 側(100%)
。2.再発は。2 側(40%)
。3.再発は、2 側(25%)
。4.再発は、2 側(18.1%)
。5.再
発は、3 側(75%)
。
(まとめ)80 歳以上の高齢者気胸の場合、胸腔ドレナージのみで治癒する場合が少な
く、他の治療が必要になる場合が多い。気漏の止まらない症例は、積極的に胸腔鏡下手術を行っているが、
その後の再発も多い。また、80 歳以上の気胸の場合、手術不能と考えられる症例が多く、このような場合
は、木下法が有効であると考える。
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WS2-8 難治性気胸に対する手術室での combined modality therapy
東北大学 加齢医学研究所 呼吸器再建研究分野
○野田 雅史、佐渡
哲、桜田
晃、星川
康、遠藤 千顕、岡田 克典、近藤
丘
フィブリン糊大量注入や硬膜外麻酔併用による気胸手術の有効性が報告されている。一方でその確実性に
ついては未だコンセンサスは得られていない。今回我々は当科で施行している難治性気胸に対する手術室
での combined modality therapy について報告する。
【適応】a.高度気漏及び肺の拡張不良例、b.全身状
態の適応:1.術中リスク管理評価、2.術後合併症リスク評価、3.気漏点の評価から検討する。手術室に
mobile C arm をセッティング後、大量希釈造影剤により胸腔造影を施行する。この時点で気漏が制御され
ていれば大量希釈性フィブリン糊胸腔内注入療法を施行。気漏制御不能な場合、硬膜外及び局麻による胸
腔内処置に施行。5mm flexible scope を挿入し、気漏部位を同定後、気漏部位を縫合する。縫合部に PGA
+フィブリン糊にてカバーリングする。気漏部位不明な症例は希釈性フィブリン糊を添加した造影剤を気
漏点が疑われる部位に気漏が停止するまで注入する。
【結果】男性 4 例、女性 2 例 基礎疾患(肺気腫 1
例、肺線維症 4 例、閉塞性細気管支炎 1 例)
、気胸発症平均回数 4 回、術前平均胸腔ドレナージ期間 25 日、
大量希釈性フィブリン糊胸腔内注入療法により気漏制御 3 例、硬膜外麻酔手術により気漏同定制御 2 例、
気漏制御不能 2 例。
【結語】手術室での combined modality therapy は難治性気胸に対し状況に応じ気漏制
御可能である一方、気漏部位の同定不能な場合制御困難である。
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一 般 演 題
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A1-1
術後 1 年以上を経過した自然気胸再発率の検討―酸化セルロースシー
トによるカバーリング法の有効性―
京都市立病院 呼吸器外科
○大類 隼人、宇根 宏容、白石伊都子、大迫
努
93 年以降自然気胸に対し、積極的に胸腔鏡手術(VATS)を導入してきた。stapler を用いたブラの切除は
断端に新たなブラが発生しやすいといわれており、気胸再発率は 5∼10% と開胸術と比較し高いと報告さ
れている。そこで当科では 2004 年から切除ラインを含む肺尖部を主体に吸収性のサージセルシートR(酸
化セルロースシート)でカバーリングを行ってきた。93 年 4 月から 2007 年 9 月まで当院で VATS を受け
た術後 1 年以上経過した 200 例 277 側を対象とし、再発率を検討した。2004 年 9 月までは 202 側中 14 側
(6.93%)と、比較的高い再発率となっているが、カバーリングを始めてからは 75 側中 2 側(2.67%)と著
明に低下していた。サージセルシートを導入後の再発率は、
他のカバーリングの報告と差は認められなかっ
た。しかし開胸術と比較するといまだ高く、原因としてブラの見落としや、切除するブラの近傍に微小ブ
ラが存在し、切除範囲が不十分であった、またブラの新生や、閉胸前に肺を再膨張させる際の、サージセ
ルシートの移動などの様々な可能性が考えられる。今後、更にそれらの要因を除外する方向で検討してい
きたい。
A1-2
胸腔鏡下手術施行後、早期に再発した自然気胸の 1 症例
日本大学 医学部 外科学系講座 総合・乳腺内分泌・呼吸器外科学分野
○竹下 伸二、大森 一光、村松
高、四万村三恵、古市 基彦、西井 竜彦、松村 光恭、
諸岡 宏明、塩野 元美
今日、自然気胸に対する胸腔鏡下手術において、切除部位の補強としてネオベールシート、デキソンメッ
シュ、タココンブ、ボルヒールなどを各施設で創意工夫して用いている。そこで、今回、ネオベールシー
トを用いて補強したが、術後早期に再発した症例を経験したので報告する。
【症例】19 歳、男性【現病歴】
平成 20 年 4 月 17 日、検診での胸部レントゲン上、左自然気胸を認め、4 月 19 日に当科へ紹介受診。胸腔
ドレナージ施行し、軽快退院。4 月 30 日、2 回目の左自然気胸を認め、手術の方針となった。5 月 9 日、手
術、胸腔鏡下肺部分切除術施行。切除部位を中心にネオベールシートを貼付した。5 月 13 日、退院。5 月
20 日、左胸部違和感を自覚。胸部レントゲン上、左肺の虚脱を認めた。ソラシックエッグ挿入し、外来経
過観察するも肺の伸展不良であったため 5 月 28 日、入院となった。
【経過】6 月 11 日、気漏が遷延するた
め、手術施行。前回手術で用いたネオベールシート貼付部位は、壁側胸膜への強固な癒着を認め、新生血
管も多く認められた。気漏はネオベールシートが貼付されきれていない切除断端部から認められた。同部
位を肺部分切除施行し、ネオベールシートを貼付した。6 月 17 日に軽快退院となった。
【まとめ】
胸腔鏡下
手術においてネオベールシートを用いて切除断端の補強をしたが、術後早期に再発し、手術となった自然
気胸の症例を経験したので、若干の文献的考察を加えて報告する。
一
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A1-3
当院における自然気胸術後再発部位の検討
財団法人田附興風会研究所北野病院
○豊 洋次郎、志熊
啓、奥田 雅人、大政
貢、瀧
俊彦
自然気胸に対する胸腔鏡手術では、自動縫合器使用後の縫合線近傍におけるブラ新生が術後再発の一つの
要因として示唆されている。当院では、2006 年 6 月∼自動縫合器近傍のブラ新生予防・臓側胸膜増強目的
にて、ポリグリコール酸自動縫合器タイプを併用し、切除ライン両端にエンドループ結紮を用いている。
1996 年 1 月∼2008 年 4 月において、235 例の自然気胸手術を経験し、うち 20 例
(8.5%)
に再発をきたした。
また、上記手技施行以前は 186 例中 18 例(9.7%)に、また施行後は 49 例中 2 例(4.1%)に再発を来たし
た。当院での経験を元に術後再発患者において、縫合線近傍のブラ新生の程度と再発部位の検討を行った
ので報告する。
A1-4
人工被覆材料による臓側胸膜補強の実験的検討
聖マリアンナ医科大学 呼吸器外科1、川崎市立多摩病院 呼吸器外科2、湘南中央病院 外科3
○望月
篤1、塚田 久嗣1、多賀谷理恵1、新明 卓夫1、安藤 幸二1、森田 克彦1、栗本 典昭1、
横手薫美夫2、長田 博昭3、中村 治彦1
目的:臓側胸膜の補強法はこれまで様々な試みがされており、各種人工被覆材や培養細胞シートの貼付、
フィブリングルー塗布、又はそれらの組み合わせの有効性について報告されている。臨床の現場では PGA
シートによる胸膜被覆が簡便且つ有効な手法として繁用されており、そのメリットとデメリットについて
前回の本総会で報告した。今回、我々が進めている新たな被覆材の開発に向けての試みに関し、家兎胸膜
切除モデルを用いて従来の被覆材との比較を実験的に検討したので報告する。方法:家兎を単純被覆群と
胸膜切除群とに分け、左肺胸膜上に PLLA(Poly L Lactide Acid)
シート、PLLA+FGF
(fibroblast growth
factor)
、Tachocomb を貼付し、術後 4∼48 週で犠牲死させた。胸腔内を観察後に貼付部を切除し、病理組
織学的に検討した。結果:PLLA シートは吸収性が良く、肉眼的に留置週数が長期なものほど吸収度が高
かった。又、PLLA 単純被覆群では、観察全期間を通じ胸壁との癒着はみられなかった。一方 PLLA+FGF
群では、単純被覆群、胸膜切除群共に癒着がみられた。組織学的には、PLLA シート単純被覆群では血管新
生と被覆部近傍の組織新生像とがみられた。Tachocomb 貼付群では癒着がみられ、リンパ球浸潤を主体と
する炎症像が強くみられた。結論:PLLA シートは胸壁との癒着が少なく、組織への吸収性が良かった。但
し、胸膜切除群では癒着がみられ、局所の出血が癒着に影響している可能性が考えられた。
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A1-5
生分解性ポリマーを用いた気漏閉鎖の実験的検討
東京女子医科大学 第 1 外科
○井坂 珠子、神崎 正人、大貫 恭正
【目的】組織工学での細胞の足場や、組織修復材として使用される生分解性ポリマーの分解過程における
pH 値の測定、肺気漏閉鎖時の組織学的評価を検討する。【方法】1.生分解性ポリマー(ポリグリコール酸
フェルト、1cm2 大の四角形)
をリン酸緩衝液とともに、37℃ のインキュベータ内で保存した。ポリマーを
入れる緩衝液は 5mL、10mL、25mL で、1、3、7、14、21、35、42 日目に緩衝液の pH を測定した。2.ヌー
ドラット肺気漏モデルにおいて、生分解性ポリマー(ポリグリコール酸シート、1cm2 大の四角形)を組織
接着剤とともに気漏部位に貼付し、術後 4 週、12 週目に再開胸し、組織学的評価を行った。
【結果】1.ポ
リマー+緩衝液(5ml)の pH は、緩衝液のみのコントロールに比べ、観察 21 日目より pH は低下し始め、
42 日目には優位に低下した。緩衝液の量による比較では、少量であるとより酸性であった。2.再開胸時、
貼付部と胸壁は癒着し、4 週モデルでのポリマーと肺の接着面は、炎症性細胞浸潤、新生血管を認め、12
週モデルでは、ポリマーは崩壊し、貼付部の胸膜面は肥厚していた。
【結語】
肺貼付部においては、ポリマー
の分解に伴い酸性へ変化することにより限局性に炎症を惹起し、さらに胸膜欠損部に遊走した線維芽細胞
により組織を再構築することで胸膜面は肥厚し、肺胸膜を補強していると考えられた。
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A2-1
感染性肺嚢胞 4 例の手術経験
大阪府済生会吹田病院心臓血管・呼吸器外科
○西山 勝彦、岩嵜
靖、出口 聡美、川田 雅俊
感染性肺嚢胞に対する治療方法は最近胸腔鏡下手術の報告や、経皮的ドレナージなどの報告が見られる。
今回当院で内科的治療後の感染性肺嚢胞 4 例に外科的切除術を行い良好な経過を得たので報告する。症例
1 : 46 歳男性 発熱と右胸部痛 近医から紹介入院 24 日間抗生剤投与するも、発熱が継続した。症例 2 :
40 歳男性 右上胸部痛と血痰 抗生剤で炎症反応は軽減するが 40 日間で陰性化に至らなかった。症例 3 :
56 歳男性 発熱と左胸痛 外来治療で効果なく、入院後の治療で改善するも嚢胞内貯留液の増加を認め
た。症例 4 : 45 歳男性 微熱 近医で治療を受け、当院救急受診入院治療症状は軽快したが炎症反応は陰性
化せず仕事の都合で外科的治療を希望。術前に細菌の同定が 3 例にでき、1 例は陰性であった。
【手術】胸
腔鏡で観察後、小開胸下に肺嚢胞切除、肺縫縮術 胸腔内洗浄を行ない、術後 1 週間の洗浄を追加し炎症
反応の陰性化を得てドレーン抜去。平均手術時間 303 分、平均出血量は 472ml であったが輸血症例はな
かった。退院直後に 1 例に発熱と胸水の増加が見られ、胸腔洗浄を行い軽快した。3 例は再燃を認めなかっ
た。
【考察】肺嚢胞内感染の再燃予防に嚢胞切除と肺縫縮術が理想的ではあるが、炎症による癒着などで手
術時間を要し、難渋する場合があるが術後は良好な経過が得られる。さまざまな治療法があり、保存的治
療に抵抗する場合は早期退院も可能であり、積極的に選択すべき術式と考えられた。
A2-2
両側気胸に対し補助体外循環下に気胸根治術を施行した一症例
医療法人天神会 新古賀病院 呼吸器外科1、同 心臓血管外科2
○冨満 信二1、林
明宏1、池田浩太郎1、伊藤
学2、池田 和幸2
症例は 33 歳、男性。夜間就寝中に呼吸困難感が出現し、救急車にて近医に搬送された。近医到着時、意識
レベルの低下を認め、直ちに挿管下人工呼吸管理が開始された。胸部レントゲン写真にて両側気胸が疑わ
れ、両側ドレナージ施行したが呼吸状態が改善しないため、緊急手術目的に当院転入院となった。当院到
着時、100% 酸素投与にて SpO2 90% 程度で経気道的な換気維持は困難と判断し、PCPS 下に両側気胸根治
術を施行することとした。全身麻酔下に仰臥位とし、胸骨正中切開にてアプローチした。PCPS 下に片肺換
気を繰り返しながら、気腫性変化部の切除・縫縮・焼灼を施行した。術後はドレーンからの出血が遷延し
たものの、全身状態は良好であり、術後 17 日目に自宅退院となった。今回、両側の巨大嚢胞および気胸に
対し、PCPS 下に両側気胸根治術を施行し救命し得た症例を経験したので報告する。
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A2-3
bulla 不明瞭症例の治療戦略
豊橋市民病院 心臓血管呼吸器外科
○大原 啓示、成田久仁夫、石川
寛、小林 頼子、厚田 幸子、松村 泰基、村山 弘臣
【はじめに】本学会自然気胸治療ガイドライン(案)によると手術適応は再発例、気漏持続例等となってい
るが、低侵襲手術が普及した現代では初発例であっても明らかな bulla があれば手術を行う施設も多い。一
方気漏持続例等でも明らかな bulla がない場合は手術を躊躇することがあるが我々は手術優先としてき
た。これに問題がなかったか bulla 不明瞭症例の手術所見を確認するとともに明瞭症例と再発率等の手術
成績を比較検討したので報告する。
【方法】
当科で 2003 年から 2007 年まで手術を行った 210 例のうち難治
性高齢者や巨大嚢胞例を除いた 169 例を bulla 不明瞭群(A 群 47 例)明瞭群(B 群 122 例)に分け以下の
項目を比較した。なお thin slice CT で skip されない 3mm 以上の bulla のある症例を明瞭群とした。
【結果】
A 群 vsB 群は年齢 26±13vs32±17 歳、性別男 37 女 10vs 男 112 女 10 人、手術時間 92±46vs94±45 分、術
前入院日数 3.8±4.5vs4.1±2.9 日、術後ドレーン日数 2.7±1.5vs2.6±1.2 日、術後入院日数 4.1±1.7vs4.3±2.7
日、再発率 4.3vs4.9% であった。術前 bulla 不明瞭症例の手術所見は 2mm 以下の bulla19 例 40%、3mm
以上の bulla の潰れ 11 例 23%、色調変化のみ 9 例 19% などであった。
【考察・結語】
術前 CT で bulla 不明
瞭でも手術所見では極小 bulla があったり潰れた bulla があったりすることもあり手術成績で明瞭群と有
意差もないため積極的な手術方針で問題ないと思われた。
A2-4
術中に対側気胸を起こした自然気胸の 1 例
埼玉医科大学国際医療センター呼吸器病センター呼吸器外科
○二反田博之、石田 博徳、山崎 庸弘、坂口 浩三、金子 公一
左自然気胸の手術中に対側気胸を起こした 1 例を報告する。症例は 55 歳男性。左気胸の診断にて前医で持
続ドレナージを開始したが空気漏れが続くため当科紹介され転院となった。ドレナージ後の胸部 CT では
両側肺尖部を中心に嚢胞が多発していたが、肺の伸展は良好であった。室内空気吸入下での動脈血液ガス
データは pH=7.45,PaO2=67.1Torr,PaCO2=40.6Torr であった。転院後も空気漏れが止まらないためド
レナージ開始後 8 日目に手術を施行した。右側臥位で胸腔鏡下左肺部分切除を開始。分離肺換気の直後か
ら SpO2 の低下を認め、FiO2=1.0 に増やしても SpO2=85% であった。左胸腔は縦隔の膨隆により間隙が
狭小化し視野の確保が困難であった。両肺換気に戻したが SpO2=90% であったため左胸腔内にドレーン
を 2 本挿入して手術を中断した。仰臥位に戻して胸部レントゲンを撮影したところ右気胸
(3 度)
を認めた。
直ちに右胸腔にドレーンを挿入して SpO2 は速やかに改善し、レントゲンで右肺の伸展を確認した。左側臥
位で右気胸の手術を施行。S6 に破裂したブラを認め、これを切除した。右側の手術終了後に右側臥位に体
位を変換し左気胸の手術を施行した。
一
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AN文書/気胸・嚢胞性肺疾患学会/気胸・嚢胞性肺疾患学会雑誌/8巻1号(総会号)/NKNHP‐15 抄:一般
A2-5
自然気胸に対する胸腔鏡下手術の検討
東海大学医学部外科学系呼吸器外科学
○大岩 加奈、生駒陽一郎、中里 顕英、増田 良太、藤森
賢、岩崎 正之、井上 宏司
【目的】自然血気胸の発生は比較的稀であるが,自然気胸に比べ重篤な場合があり,輸血が必要になること
もある.自然血気胸に対する胸腔鏡下手術の必要性について検討した.
【対象】当院で 2000 年 4 月∼2007
年 4 月に経験した自然気胸のうち血胸を合併し,胸腔鏡下手術を施行した 16 例を対象とした.
【結果】1.
症例背景:男性 15 例,女性 1 例.年齢 21∼75 歳(平均 38.9 歳)
.初発症状として胸痛を全例に認め,3
例が呼吸困難を伴っていた.患側は右側が 10 例,左側が 6 例.自然気胸初回発症例は 14 例,再発例は 2
例.初診時胸部 X 線写真では軽度 1 例,中等度 6 例,高度 9 例,すべての症例で鏡面形成が認められた.
胸腔ドレーンを挿入し,血性胸水を 200∼2000ml 認め,緊急手術を施行した.2.手術成績:全症例胸腔鏡
下にて手術施行
(1 window & 1 puncture 法:1 例,2 窓法:15 例)
.出血源と思われる索状物を肺尖部と
胸壁の間に 13 例認め,肺尖部以外(奇静脈近傍)からの出血は 3 例,出血源が確認できない症例はなかっ
た.全例輸血することなく改善した.胸腔ドレーンは術後平均 1 日で抜去可能であり,入院平均期間は 4.5
日であった.術後再発例は認めていない.【結語】
1.自然血気胸の出血源は肺尖部領域に多く認められた.
2.胸腔鏡手術は自然血気胸に対して低侵襲に胸腔内の観察,出血部位の同定,止血およびブラ切除術が可
能であった.3.発症早期に手術を施行することで重篤な症状を呈することなく短期間で退院が可能であっ
た.
A2-6
胸腔鏡下巨大肺嚢胞切除症例の検討
伊勢崎市民病院外科1、群馬大学病態総合外科2
○矢島 俊樹1、設楽 芳範1、松本 裕史1、田中司玄文2、根岸
一
健1、神坂 幸次1、桑野 博行2
【はじめに】巨大肺嚢胞は進行性で自覚症状を伴う場合に手術適応となり低侵襲である鏡視下手術が選択さ
れる。圧排された正常肺を再膨張させることにより肺機能が改善するため巨大肺嚢胞切除が行われるが、
切除断端からの長期にわたる肺瘻がたびたび問題となる。
【対象と方法】当院および群馬大学病態総合外科
で過去 10 年間に巨大肺嚢胞切除術を施行した 11 例について臨床的特徴と問題点について検討した。【結
果】男性 10 例、女性 1 例、年齢 23−70 歳、平均 42 歳であった。左右差はなく、9 例が上葉であった。喫
煙歴が 9 例にあり、既往に気胸が 5 例あった。自覚症状は 9 例で呼吸苦があり 2 例は無症状であった。術
式は全例胸腔鏡下巨大肺嚢胞切除術であり、術後ドレーン留置期間は平均 10 日間であった。60 歳以下の
8 例では 2 例気胸の既往があったが、ドレーン留置期間は平均 6 日間で術後大きな合併症はなかった。60
歳以上の高齢者 3 例では全例気胸および肺気腫を合併しておりドレーン留置期間は 2 週間を越え一例は肺
炎を合併し人工呼吸器管理となった。
【考察】巨大肺嚢胞症例は喫煙歴のある男性に多く若年者にも認めら
れた。若年者では術後合併症もなく肺機能改善認めたため積極的に選択すべき術式であるが、高齢者では
ドレーン留置期間も長く合併症を伴う症例もあり手術適応の決定および術後管理に注意する必要がある。
般
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A3-1
続発性気胸に対する気漏部位閉鎖の工夫
東京慈恵会医科大学 医学部 呼吸器外科
○中西 浩三、尾高
真、平松美也子、松平 秀樹、平野
純、森川 利昭
続発性気胸で最も多く遭遇するのは肺気腫を基礎疾患とした気胸で、しばしば治療に難渋する。低肺機能
の上、他臓器疾患を合併していることが多く、可能であれば保存的治療が望ましいが、コントロール不能
の大量の空気漏れとなったり、保存的治療が長期に及んだりして、外科治療を選択しなければならないこ
とも少なくない。このような場合、外科治療の目的は気瘻の閉鎖にあるが、自動縫合器による気腫性嚢胞
切除を主体とする手技だけでは対応が難しい。われわれは高度肺気腫を背景とする続発性気胸に対して、
肺嚢胞切除以外の気瘻閉鎖のための手法を小数例ながら胸腔鏡手術で実施しているのでその手技を供覧す
る。フィブリン糊充填法は瘻孔化した気瘻部にフィブリン糊を注入し閉鎖を図る方法で、比較的大きな気
瘻の開口部が確認できる場合に実施できる。GRF 糊塗布法はフィブリン糊の 7 倍の接着力を持つといわれ
る GRF glue を気漏部に塗布して気瘻を閉鎖する方法で、胸壁浸潤した腫瘍周囲の嚢胞が破裂している症
例などに実施し有効例を経験した。この他、自動縫合器による縫縮術や気瘻部に対するシート状フィブリ
ン糊パッチ法なども行っている。続発性気胸に対する外科治療は姑息的治療であることを踏まえ、いたず
らに責任病変の切除にこだわることなく気瘻部の閉鎖を図り、ドレーン管理からの脱却を第一義とするこ
とが肝要と考える。
A3-2
続発性難治性気胸に対し繰り返し癒着療法を施行したことで治療し得
た症例
湘南鎌倉総合病院 外科
○若井慎二郎、渡部 和巨、荻野 秀光、下山 ライ、河内
順、木島
真、神保健二郎
COPD に起因する続発性気胸はときに難治性となることがある。今回は癒着療法を繰り返し保存的に加療
し得た症例を経験したので報告する。
【症例】67 歳男性。
【現病歴】2000 年より COPD 指摘。2004 年 12
月から翌年にかけて計 5 回右気胸繰り返すも保存的加療で軽快、2005 年 12 月に左気胸初発となるもこれ
も保存的加療にて軽快した。2008 年 4 月呼吸困難を主訴に来院。胸部レ線上左気胸および縦隔の偏位を認
め再入院となった。
【経過】入院同日胸腔ドレーン留置し持続吸引開始とするもリーク軽快せず、計 4 回ミ
ノマイシンによる癒着療法施行。その後もリーク持続したため第 19 病日に前胸部より 2 本目のドレーンを
追加、第 23 病日に 1 本目のドレーン抜去とした。2 本目のドレーンからは更に数回癒着療法施行。第 40
病日に計 9 回目の癒着療法施行としたところ、むせ込みと共に癒着療法の薬液を嘔吐した。胸腔気管支瘻
が懸念されたが翌日未明に突然リーク消失、ドレーン抜去となった。
【考察】本症例で薬液のむせ込み後に
リークが消失したのは、まさに瘻孔となっている部分に癒着療法が奏功したためと考えられる。COPD
による続発性気胸はその肺組織自体の脆弱性に起因するため難治性の経過をたどることが多い。続発性難
治性の気胸に対しても、手術療法を選択せず繰り返し癒着療法を施行することで保存的に加療し得るとい
える。
一
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A3-3
自然気胸を初発とした肺癌に対する胸腔鏡下癒着術の一例
群馬県立がんセンター 呼吸器外科1、群馬県立がんセンター 放射線科2、
群馬県立がんセンター 病院病理部3
○中里 宜正1、田中 良太1、吉田
勤1、堀越 浩幸2、飯島 美砂3
【症例】
57 歳、女性。2006 年 7 月、胸痛を主訴に前医を受診した。胸部 CT 上右側の気胸と右肺 S6 の胸膜
直下に 2cm 大の陰影を認め、気胸を併発した肺結節の精査加療を目的に紹介された。気胸に対して胸腔ド
レナージを施行し、同時に行った胸腔内洗浄細胞診では腺癌と診断された。全身麻酔下の審査胸腔鏡を施
行したところ胸腔内には白色小結節が壁側胸膜、及び臓側胸膜にびまん性に認められた。原発部位と思わ
れる領域の胸膜面には胸膜陥入像を伴うが、明らかな肺瘻を確認することができなかった。
臓側胸膜にフィ
ブリングルーを散布し、壁側胸膜を電気メスで広範に凝固しポピヨンヨードで擦過する癒着療法を施行し
た。最終診断は原発性肺腺癌、p T4NxM0 の病期 IIIB と診断し化学療法(CDDP、GEM)を 1 クール施行
したが、本人の希望により治療を一時中断し経過観察の方針となった。現在、癒着療法後、胸水貯留無く
1 年 6 ヶ月生存中である。
【まとめ】原発性肺癌が原因の気胸発症は希である。気胸を起こした肺癌の転帰
について、Steinhauslin らは自経例を含む 46 例の報告例を検討し、1 年生存率 17%、平均生存期間 5.5 ヶ月
と述べ、予後不良である。今回、我々は気胸による胸痛が初発症状であった肺癌症例に対し、偶然ではあ
るが原発巣を切除せずに気胸と癌性胸膜炎のコントロールが良好である一例を経験したので若干の文献的
考察を加えて報告する。
!
A3-4
胸膜中皮腫によると思われる続発性気胸の 1 例
国立病院機構 福山医療センター 呼吸器外科1、井上クリニック 呼吸器外科2
○高橋 正彦1、高橋 健司1、西川 敏雄2、石井 泰則2、井上 文之2
一
【緒言】
全ての腫瘍が続発性気胸の原因となり得るが、胸膜中皮腫による続発性気胸の報告は少ない。今回、
胸膜中皮腫によると思われる続発性気胸の 1 例を経験したので報告する。
【症例】症例は 80 歳男性。高血
圧、不整脈、左外傷性気胸の既往あり。喫煙歴なし。明らかなアスベストの吸入歴なし。呼吸困難を主訴
に前医受診し、右全胸水にて紹介された。胸腔ドレーンを挿入し、持続吸引を行った。ドレーン挿入時の
胸腔鏡下生検にて胸膜中皮腫の疑診を得た。ドレーン挿入時より気漏を認め持続したため、入院第 9 病日
手術を施行した。肺尖部の腫瘍結節より気漏を認め、肺部分切除を行った。病理組織学的に気漏発生の機
序は不明であった。手術時の生検にて胸膜中皮腫上皮型と診断した。現在ビノレルビン・ゲムシタビンに
よる化学療法を行っている。
【考察】腫瘍による続発性気胸の機序として、中心壊死により形成された空洞
が破裂すると考えられている。形成された空洞は、check valve 機構により薄壁空洞に進展するとさらに破
裂しやすくなると考えられている。本症例は病理組織学的に証明されなかったが、胸膜中皮腫による続発
性気胸と思われた。
【結語】胸膜中皮腫によると思われる続発性気胸の 1 例を報告した。
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A3-5
気胸を契機に診断された悪性胸膜中皮腫の 1 例
埼玉県立循環器・呼吸器病センター 呼吸器外科1、埼玉県立循環器・呼吸器病センター 病理部2
○斎藤 雄一1、村井 克己1、高橋 伸政1、池谷 朋彦1、星
永進1、河端 美則2
症例は 53 歳男性、既往歴なし。鉄工所で溶接業務に従事、アスベスト吸入歴なし、喫煙指数 396。今年 1
月頃より咳嗽認め、3 月上旬に近医受診し左水気胸と診断、入院ドレナージとなった。肺瘻遷延したため、
当センター転院、3 月下旬に胸腔鏡下肺部分切除術を施行。術中所見では、壁側胸膜に多発するプラークを
認めた。また、炎症性変化も認め、膿胸合併と判断した。左肺尖の肺瘻部位を自動縫合器で切除したが、
臓側胸膜は極めて脆弱、5 0 モノフィラメントでの縫縮を試みるも、針孔の肺瘻閉鎖は困難であった。生理
食塩水で充分洗浄を行うも、術後に膿胸再燃し洗浄ドレナージを要した。切除肺の病理は悪性胸膜中皮腫
(上皮型)
、腫瘍細胞の増殖による臓側胸膜の破壊像が多発しており、気胸の原因と推察された。遠隔転移
を認めず、5 月中旬に左胸膜肺全摘術を施行、WHO(IMIG)病期分類 T3N0M0 stageIII と診断した。稀で
はあるが、悪性胸膜中皮腫も念頭において、難治性気胸の治療を行う必要があると考えられた。
!
一
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A4-1
慢性関節リウマチ患者に合併した右気胸に対し大網被覆術を施行した
1例
富士宮市立病院 外科
○矢島 澄鎮、霜多
広
症例は 74 歳女性。慢性関節リウマチにて当院整形外科通院中、右気胸及び胸水指摘され外科紹介受診と
なった。虚脱は大きくなく外来で経過観察としたが虚脱が進行したため入院、胸腔ドレナージ施行し、保
存的に経過をみた。しかし、air leak は改善せず、入院から 9 日目に手術を行った。胸腔内は、背側はほぼ
全面癒着であった。責任病巣は S8 でベラーク様物質に被覆されていたが、それを除去したところ、5×4
cm 大の臓側胸膜が脱落した脆弱な部位があり air leak を確認できた。縫合閉鎖は困難と考えて行わず、大
網を用いて広範囲に縫合被覆した。術後しばらく air leak が続いたが第 14 病日に消失し、第 21 病日にド
レーン抜去した。大網被覆は侵襲が大きく腹部外科の協力も必要で実施には準備が必要であるが、肺組織
が脆弱な場合には、通常の術式では air leak 部位の閉鎖困難であり、唯一の選択肢である可能性がある。
A4-2
間質性肺炎を合併した難治性気胸 26 例の検討
日産厚生会 玉川病院 呼吸器外科 気胸研究センター
○矢代 智康、栗原 正利、片岡 秀之
【目的】難治性気胸のなかで、間質性肺炎を合併した気胸は最も治療困難なものと考える。その特徴を明ら
かにし、今後の有効な治療戦略を探究するため、当科で経験した間質性肺炎合併気胸症例を検討した。
【対象】2005 年 12 月から 2008 年 4 月までに治療を行った間質性肺炎合併気胸 26 人を対象とした。
【結果】年齢は 34 90(平均 69.4)歳、男性 20 例(77%)
、女性 6 例(23%)
、喫煙歴あり 15 例(60%)
、在
宅酸素療法施行中 13 例(50%)
、ステロイド治療中 11 例(40%)
、感染症併発 5 例(19%)であった。間
質性肺炎の診断から気胸発症までの期間は、1 150(平均 27.5)ヶ月とばらついていた。治療は全身麻酔下
胸腔鏡手術 8 例(31%)
、ドレナージのみ 7 例(27%)
、intervention(TGF:胸腔造影下フィブリン糊閉鎖
法、TGP:胸腔造影下胸膜癒着療法)6 例(23%)
、治療を行うも呼吸不全による死亡 5 例(19%)であっ
た。
【まとめ】ステロイド治療は、組織修復能を悪化させ、感染も併発しやすいため、気胸治療とは相対する。
間質性肺炎を合併した気胸治療には、ステロイド投与の中止もしくは減量が不可欠である。また、間質性
肺炎合併気胸では気胸治療に移行できずに、呼吸不全による死亡例が多く認められた。ドレナージのみで
改善しない重症呼吸不全症例には、積極的な TGF・TGP が効果的と考えられた。
!
!
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A4-3
珪肺合併気胸手術例の検討
茨城県立中央病院・県地域がんセンター 呼吸器外科
○朝戸 裕二、清嶋 護之、雨宮 隆太
珪肺症では難治性の続発性気胸を発症し、時に直接死因になることがある。当科で経験した珪肺合併気胸
手術例より本症に対してどの様な対処が適切であるかを検討した。
【対象及び方法】1991 年 4 月より本年
3 月までに当科で経験した珪肺合併気胸手術例 18 例(重複例 3 例を含む)を対象とし、術前状態、術式、
術後合併症、術前後のドレナージ期間、入院期間、術後再発の有無等を病歴より調査し、至適治療法に関
して検討した。
【結果】1)全例男性で平均年齢は 65 歳、併存疾患として陳旧性結核 3 例、糖尿病・間質性
肺炎・多発血管炎・腎癌・腹部動脈瘤を各々 1 例に認めた。2)
手術適応の判断としては持続 Air leak が 11
例、再発 7 例であった。3)術式としては胸腔鏡下手術が 7 例、胸腔鏡補助下小開胸手術が 10 例、開胸手
術が 1 例に行われ、1998 年 12 月以降に行われた 12 例では 1 例を除き PGA フェルトの使用や PGA シー
ト・サージセルによる covering が行われていた。4)ドレナージ期間の中央値は術前後各々 10・4 日、入
院・術後入院期間中央値は 16・9 日であった。4)術後 Air leak が持続しピシバニールによる癒着療法を
行った例が 3 例あり、いずれも 1998 年 12 月以前の症例であった。5)
再発は 4 例に認め、ドレナージ、安
静、癒着療法、再手術で対処した。
【考察】珪肺合併気胸に対する手術成績は概ね良好であり、気漏が続く
場合や再発例には早期手術を推奨したい。又、補強剤の使用も有用と思われた。
A4-4
ウェステルマン肺吸虫が原因と考えられた気胸の 1 例
昭和大学藤が丘病院 胸部外科1、昭和大学藤が丘病院 呼吸器内科2、昭和大学藤が丘病院 病院病理3、
埼玉県立循環器呼吸器病センター 病理科4
○野中
誠1、鈴木
隆1、桝田 幹郎1、臼田 亮介1、池谷 洋一1、土屋
裕2、国分二三男2、
3
4
増永 敦子 、河端 美則
症例は 30 歳代、女性、タイ人。今回、来院する 2 年前に日本産の生のサワガニと、焼いたイノシシ肉を食
した。2 か月前に下腹部に有痛性弾性硬の発赤を伴う皮下結節が出現し移動、そして消失した。1 か月前、
卵巣腫瘍を疑われ精査目的に某医入院時の血液検査にて好酸球増多を指摘され、ステロイドを投与された。
1 週間前より呼吸困難感が出現し、当院を受診、両側気胸と診断され入院となった。両側胸腔ドレナージ後
の胸部 CT にて肺多発影を認め、好酸球増多の原因精査ならびに気胸治療目的に、右気胸に対して入院後
5 日目に胸腔鏡を施行した。肺尖部に赤色結節を認めたほか、中葉に暗紫色の結節がみられ同部位に胸膜孔
を認めた。これら 2 か所を切除した。割面にて境界不明瞭なこれらの結節は病理学的にリンパ球浸潤や血
管炎を認め、好酸球や好中球もみられ、肺胞内マクロファージの集族も散在していた。虫体や虫卵はみら
れなかったが、術前の抗寄生虫抗体スクリーニング検査にてウェステルマン肺吸虫抗体が強陽性であった
ことや、術中所見ならびに入院時までの経過をあわせ、ウェステルマン肺吸虫に起因した肺結節ならびに
気胸と考えられた。プラジカンテルの投与を行い、血清抗体価ならびに好酸球数は正常化し、CT にて左肺
の陰影も消失した。
一
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A5-1
妊娠中に胸腔鏡手術を施行した右気胸の 1 例
聖路加国際病院 胸部外科1、聖路加国際病院 放射線科2、聖路加国際病院 麻酔科3、
聖路加国際病院 産婦人科4
○尾辻 瑞人1、大多和正樹1、負門 克典2、松迫 正樹2、片山 正夫3、秋谷
文4、佐藤 孝道4
妊娠中は気胸が起こりにくい環境にあり、妊娠中の気胸発症の報告は少ない。今回、我々は妊婦に発症し
た気胸の手術例を経験したので報告する。
【症例】33 歳女性【主訴】右胸痛【現病歴】妊娠 27 週 6 日(初
産)
。2007 年 12 月右胸痛が出現。痛みが持続し、近医を受診。胸部単純写真にて右気胸の診断となり、当
院救急外来を紹介受診。右肺の虚脱を認め、胸腔ドレナージ施行後、入院となる。
【経過】第 3 病日に肺の
再膨張とリークがないことを確認し、ドレナージ・チューブを抜去したが、その 6 時間後に再発し、再ド
レナージを施行。ドレナージ・チューブではリークを確認できなくなったことから、第 8 病日にクランプ
テストを施行したが、肺の虚脱を確認。第 9 病日胸腔鏡下手術を施行した。右 S2 の背側や右 S4 の側方に
薄い透明な壁をもつ肺嚢胞を認め、前者からのリークを確認した。手術時間・浸襲を抑えるように考え、
同部に EndoLoop にて縫縮術を施行した。術後、3∼4 分おきに子宮収縮があり、ウテメリンの点滴を開始。
術後 2 日目に胸腔ドレーン・硬膜外チューブを抜去した。その後切迫早産の症状もなくなり、ウテメリン
を中止。術後 3 日目に退院した。出産は 37 週に自然分娩で他院にて行われた。術前に撮影した胸部 CT
では、両肺に薄壁、類円形嚢胞が多発し、比較的内層に分布するものも見られた。本例は妊娠 16 から 32
週の母体・胎児の安定した時期にあたり、各科の協力の下安全に手術を施行できた。
A5-2
リンパ脈管筋腫症の診断後に妊娠・出産を試みた 5 症例の臨床的検討
順天堂大学 医学部 呼吸器内科1、昭和大学 藤が丘病院 呼吸器内科2
○後藤 直人1、瀬山 邦明1、吉本 啓助2、菊池 敏樹2、國分二三男2、郡司 陽子1、久能木真喜子1、
佐藤 輝彦1、高橋 和久1
一
般
【目的】リンパ脈管筋腫症(LAM)は、妊娠やエストロゲン投与により病状の進行が見られる事が報告され
ているため、妊娠・出産は LAM 患者においては避けるように指導されることが一般的である。今回我々
は、LAM と診断された後に妊娠・出産を試みた 5 症例について、LAM への影響を検討した。
【対象と方法】
当院及び他院で 2001∼2007 年の間に LAM と診断された後に妊娠を試みた 5 症例。妊娠志向前後の呼吸機
能に関して比較検討した。
【結果】5 例のうち妊娠・出産に至ったのは 4 例で、帝王切開 2 例、通常分娩 2
例。妊娠に至らなかった 1 例は多嚢胞性卵巣症候群合併例で、排卵誘発剤・腹腔鏡下両側卵巣多孔術によ
る無月経の治療中に急速に呼吸状態が悪化し、妊娠を断念した。出産に至った 4 例のうち妊娠中や出産後
に呼吸機能の明らかな増悪を認めなかったのが 3 例、増悪を来たしたのが 1 例であった。
増悪を認めなかっ
た 3 例中 2 例は軽症例で HRCT での嚢胞はわずかであり、妊娠直前の呼吸機能は良好であった。増悪した
1 例は、妊娠直前の呼吸機能障害が強く(%FEV1 43.5%、%DLco VA 31.5%)、HRCT での嚢胞性変化が
高度であった。
【結語】
妊娠・出産による影響は症例毎に様々であり、症例毎に慎重に検討する必要がある。
妊娠直前の肺機能が良好で HRCT での嚢胞形成が軽度であれば、出産後も良好な経過を期待できる可能性
がある。
!
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A5-3
月経随伴性気胸術後再発例に対する再手術 3 例の報告
日産厚生会玉川病院 呼吸器外科 気胸研究センター
○片岡 秀之、栗原 正利、矢代 智康
当院では、右月経随伴性気胸患者に対し、子宮内膜様組織のある横隔膜を胸腔鏡下に切除している。術後
再発患者の再手術で興味ある所見を得た 3 例を報告する。症例 1 : 31 才女性。胸腔鏡検査で右月経随伴性気
胸と診断し、胸腔鏡下横隔膜切除施行。肺には異常を認めず。再発を繰り返すため再度胸腔鏡検査、胸腔
造影、胸部 CT を施行。明らかなブラや気漏部位は認めず。その後、III°気胸でドレナージ。ドレーンク
ランプ後の肺虚脱を繰り返すため再手術。S4a 辺縁に気漏を伴うブラを認め結紮。その後再発なし。症例
2 : 42 才女性。胸腔鏡検査で月経随伴性気胸と診断し、胸腔鏡下横隔膜切除施行。肺には異常を認めず。ド
レーン抜去後の肺虚脱を繰り返すため再手術。S4a 辺縁に気漏を伴うブラを認め結紮。再発を繰り返すた
め、再々手術施行。S6 辺縁にブラを認め結紮。その後再発なし。症例 3 : 35 才女性。繰り返す右気胸に対
して、胸腔鏡手術を行い、月経随伴性気胸と診断。同時に S4a 辺縁のブラを結紮。その後、III°気胸でド
レナージ。胸腔造影で上中葉間の気漏部位を確認。胸腔鏡検査で S4a 辺縁にブラを認め結紮。その後再発
なし。3 例とも S4a 辺縁にブラを認め、それが再発の原因と考えられる。横隔膜切除後再発例では、横隔膜
にはその後異常はなく、S4a、S6 のブラが発生し、再発することが考えられる。発生機序は明らかでないが、
再度胸腔鏡手術を行う時には注意が必要である。
A5-4
当院で経験した女性の気胸
関西医科大学 医学部
○金田浩由紀、齊藤 朋人、馬庭 知弘、南 健一郎、齊藤 幸人
特発性気胸は女性には稀であり、月経随伴性気胸やびまん性過誤腫性肺脈管筋腫症(LAM)の女性特有の
気胸が存在する為、女性の気胸の診療には注意を要する。2006 年 1 月開院から 2008 年 5 月までの期間で、
新生児気胸を除いた当院にて診療した気胸患者は 359 症例であった。
このうち外傷性 51 例と医原性 5 例を
除く 303 症例中、女性は 58 例
(19%)
であった。50 歳以下に限定した場合、全 144 例中 28 例が女性
(19%)
であった。患側は左 15 例、右 8 例で異時性両側が 5 例であった。この期間に呼吸器外科にて手術を施行し
た気胸は全 62 例で、このうち女性は 11 例
(18%)
であった。平均年齢は 36 歳、50 歳以下が 9 例であった。
患側は左 7 例、右 4 例であった。診断の内訳は女性症例中、7 例が特発性気胸、3 例が月経随伴性気胸、1
例が LAM であった。女性気胸の手術例 11 例を含む 28 例に対して、文献的考察を加えて報告する。
一
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A5-5
成長ホルモン投与中の 14 歳女性に発症した同時両側性原発性自然気
胸の 1 例
赤穂中央病院
○水谷 尚雄
【はじめに】初発で同時両側性気胸となった若年女性の原発性自然気胸に対し一期的に両側の手術を施行し
た一例を経験した.
【症例】患者は初潮前の 14 歳の女性.成長ホルモン分泌不全症性低身長症にて,11
歳時から他院で成長ホルモン(hGH)の投与を受けていた.持続する咳嗽を主訴に近医を受診し両側気胸
と診断され治療のために当院へ紹介された.胸部 X 線写真上右が虚脱度 III 度,左が II 度であった.同日,
両側胸腔ドレナージを施行し,翌日胸部 CT 検査を施行した.両側肺尖部に限局したブラを認めたが,CT
上はびまん性肺疾患は認めなかった.原発性自然気胸と診断して入院 3 日目に胸腔鏡下にブラ切除を施行
した.病理検査では肉眼的な“ブラ”の部分には HE 染色では胸膜の反応性腫大・増生中皮の被覆を伴い,
複数の嚢胞性気腔の形成を認めた.同部の Elastica van Gieson 染色ではブレブと診断される部と病理学的
な狭義のブラの混在した気腫性変化が比較的強く認められた.肺実質には他に肺リンパ管筋腫症,Langerhans 細胞組織球症などの続発性自然気胸の原因となる疾患を示唆する所見は認めなかった.翌日にドレー
ンを抜去し,術後 4 日目に退院した.
【まとめ】
自然気胸患者の血中 hGH 濃度が高値との報告もあり,hGH
投与が気胸発生に影響を与えた可能性も否定出来ないが,本例の病理学的検討ではその証明は困難であっ
た.今後も注意深くフォローアップが必要である.
A5-6
当科における月経随伴性気胸の検討
福島県立医科大学 医学部 外科学第一講座1、福島赤十字病院 外科2
○米地
敦1、鈴木 弘行1、塩
豊1、山田 文彦1、樋口 光徳1、星野 実加1、大杉
純1、
長谷川剛生1、柳沼 裕嗣1、岡部 直行1、藤生 浩一1、管野 隆三1、大石 明雄2、後藤 満一1
【背景】月経随伴性気胸は稀な疾患で,その原因は主に異所性子宮内膜症によるとされ,治療にはホルモン
療法や外科的治療等があるが,標準的な治療法は確立していない.当科で経験した月経随伴性気胸症例を
検討し報告する.
【対象】1995 年から 2008 年に当科にて臨床上,月経随伴性気胸と診断した 5 例を対象と
した.
【結果】女性の気胸は 26 例あり,5 例(19%)を月経随伴性気胸と診断した.年齢は 29 歳から 47
歳で平均 36 歳であり,全例が右気胸であった.胸水中の CA125 は 4 例で測定しており,79 から 2749 U
ml と幅広い分布であったが,全例高値であった.4 例に手術施行し全例で横隔膜に病変を認めた.3 例に横
隔膜に欠損孔を認め,1 例は blueberry spot を認めた.3 例で横隔膜の部分切除術施行したが,病理学的な
検索にて異所性の子宮内膜組織を認めたのは 1 例のみであった.2 例に気胸の再発を認めホルモン療法を
施行した.
【考察】今回の検討では全例が右側であり,手術 4 例で横隔膜面に異常所見を認めたが,病理学
的に子宮内膜組織を認めたのは 1 例のみであった.月経随伴性気胸は右側が約 90% と偏りがあり,横隔膜
の解剖学的な問題と関連する可能性もあると思われた.
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2008.08.11 10.20.32 Page 99
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A6-1
重症肺リンパ脈管筋腫症における中枢気道障害の病理組織学的解析
順天堂大学 医学部 人体病理病態学講座1、順天堂大学 医学部 呼吸器内科学2
○熊坂 利夫1、林 大久生1、三谷 恵子1、秋吉 妙子2、久能木真喜子2、郡司 陽子2、瀬山 邦明2
【目的】
肺リンパ脈管筋腫
(LAM)
は良性腫瘍細胞である LAM 細胞の増殖による肺の嚢胞化を引き起こす。
我々は重症 LAM 症例における中枢気道の病理組織学的解析を行い、呼吸不全との関連を検討する。
【方法】
肺移植例 8 例、剖検肺 5 例、計 13 例の中枢気道組織について HE,Elastica Masson,VEGFR 3,D2 40,
MIB 1,CD20,CD45RO,C kit 染色を施行した。
【結果】
13 例中 9 例に気管支壁に LAM 細胞の浸潤増殖
による軟骨、気管支腺、平滑筋の消失を認め、壁破壊を認めた。LAM に伴うリンパ管新生は 1 例を除き全
例に認められ、気管支周囲、気管支壁に見られ、気管支壁の消失を伴っていた。気道上皮には、杯細胞化、
基底膜肥厚、T 細胞、マスト細胞の高度の浸潤を認め、慢性的気道炎症の所見であった。
【考察】LAM
細胞はリンパ管新生を介して良性腫瘍ながら転移することが知られているが、今回の検討により LAM 細
胞およびリンパ管新生による気管支壁の破壊を高率に合併することがわかった。これらの機序は LAM 細
胞の悪性化ではなく産生する蛋白分解酵素の作用と考えられた。気道破壊による慢性気道炎症では、特に
マスト細胞は気道の線維化、血管新生、気道過敏性を惹起し、重症 LAM 症例において気道抵抗性を亢進さ
せる可能性が示唆された。
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A6-2
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先天性嚢胞状腺腫様形成異常(CCAM)の一手術例
神奈川県立循環器呼吸器病センター 呼吸器外科
○高橋
航、大森 隆広、田尻 道彦
【はじめに】先天性嚢胞状腺腫様形成異常(CCAM)に感染を合併し、手術的に治療を行った成人例を経験
したので報告する。
【症例】27 歳の男性。11 歳時にレントゲン上肺嚢胞を指摘されたが経過観察となって
いた。平成 19 年 9 月に咳嗽、12 月ごろから黄色痰を認め、平成 20 年 1 月ごろからは血痰および 38℃ 台の
発熱を時折認めていた。近医を受診し、左肺嚢胞へのアスペルギルスとの混合感染と診断され、抗真菌剤
等の投与で回復後に当科へ紹介となり、6 月に左肺上葉切除術を行った。病理組織診で先天性嚢胞状腺腫様
形成異常(CCAM)と診断された。術後 6 日目に退院し、以後の経過は順調である。
【考察】先天性嚢胞状
腺腫様形成異常(CCAM)にアスペルギルス感染を併発した、成人の一手術例を経験した。文献的考察を
加え報告する。
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A6-3
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嚢胞性肺疾患 Birt Hogg Dubè(BHD)遺伝子解析
順天堂大学 医学部 呼吸器内科1、順天堂大学 医学部 共同研究・研修部門2、
順天堂大学 医学部 生体分子研究部門3、順天堂大学 医学部 腫瘍病理学4
○久能木真喜子1、秋吉 妙子1、瀬山 邦明1、郡司 陽子1、児玉 雄三1、鴫原 貴子2、吉川 美加3、
進藤 典子2、小林 敏之4、樋野 興夫4、高橋 和久1
" "
はじめに)Birt Hogg Dubè(BHD)症候群は皮膚腫瘍、腎腫瘍、多発性肺嚢胞を呈する常染色体優性遺伝
性疾患である。責任遺伝子は BHD 遺伝子(17p11.2)で 14 個の exon より構成され癌抑制遺伝子として機
能する。目的)原因が認められない多発性嚢胞性肺疾患の患者で、BHD 遺伝子の胚細胞遺伝子変異の有無
を検討する。対象)多発性肺嚢胞を認め、BHD 症候群を疑う患者 43 例(男 女 13 30)
。方法)末梢血より
分離したゲノム DNA で BHD 遺伝子の各 exon を PCR 増幅し、DHPLC 法で遺伝子変異の有無をスクリー
ニングする。変異が疑われれば当該 exon の核酸塩基配列決定をする。DHPLC 法で異常を認めなかった例
に対しては BHD 遺伝子の各 exon を real time PCR 法で定量的評価を行い、large deletion の有無を確認す
る。結果)
患者 43 例中、DHPLC 法、核酸塩基配列決定で、23 例、real time PCR 法で 2 例に遺伝子異常を
認めた。large deletion を認めた症例のうち 1 例は exon 14 のみ、もう 1 例は exon 9 から exon 14 までの
large deletion が確認された。結語)
現在、43 例中 25 症例
(58.1%)
で BHD 遺伝子変異を検出できた。BHD
遺伝子の胚細胞変異が証明されれば、従来は全く不明であった気胸や嚢胞形成の機序、病態解明の糸口に
なると考えられる。
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A6-4
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胸部 CT 画像の定量的解析を用いた Birt Hogg Dube 症候群とリンパ
脈管筋腫症の比較とその鑑別診断
順天堂大学 医学部 呼吸器内科1、日産厚生会玉川病院 気胸センター2、
京都大学 医学部 呼吸器内科3
○飛野 和則1、瀬山 邦明1、栗原 正利2、平井 豊博3、秋吉 妙子1、郡司 陽子1、児玉 裕三1、
高橋 和久1
" "
【目的】Birt Hogg Dube(BHD)症候群とリンパ脈管筋腫症(LAM)は若年成人に生じる自然気胸と多発
肺嚢胞を特徴とし、しばしば鑑別が問題となる。今回我々は胸部 CT 画像の定量的解析による両疾患の鑑別
の有用性について検討した。
【対象と方法】2002 年 1 月∼2008 年 5 月の間に当科を受診し、診断確定しか
つ HRCT を撮影していた BHD 症候群 10 例と LAM30 例を対象とした。−960HU 以下の CT 値を持つピ
クセルを LAA と定義し、肺野を自動抽出し、肺野面積に対する LAA 面積の占める割合の 100 分 率
(LAA%)
、各スライスにおける嚢胞の大きさと円形度、肺内での分布(縦隔側 外側、上 下肺野)につい
て検討した。また、嚢胞のない一見正常な肺実質の CT 値についても比較検討した。
【結果】
BHD 症候群全
例で LAA%は 22% 未満であった。LAA%が同程度の両群を比較した場合、BHD 群において嚢胞はより大
きく不整形であり、大きさ・形状ともにより均一性に乏しかった。また、BHD 群では嚢胞は下肺野・縦隔
側優位の分布を示し、LAM 群では分布に一定の傾向を認めなかった。一見正常な肺実質の検討では、LAM
群において平均 CT 値が有意に高値であった。この結果を用い、両群を高い感度・特異度で鑑別することが
できた。
【結論】胸部 CT 画像の定量的解析は、BHD 症候群と LAM の鑑別診断に有用である。
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AN文書/気胸・嚢胞性肺疾患学会/気胸・嚢胞性肺疾患学会雑誌/8巻1号(総会号)/NKNHP‐15 抄:一般
A7-1
ランゲルハンス細胞組織球症が関与したと考えられる再発気胸の 1 例
昭和大学横浜市北部病院 呼吸器センター1、静岡赤十字病院 外科2、静岡赤十字病院 病理科3、
昭和大学藤が丘病院 胸部外科4
○植松 秀護1、稲葉 浩久2、笠原 正夫3、鈴木
隆4
ランゲルハンス細胞組織球症(Langerhans cell histiocytosis : LCH)は、組織球増殖性疾患の 1 つであり、
ランゲルハンス細胞の反応性増殖が病因とされる疾患である。小児に好発し、主な病変部位は骨、皮膚、
中枢神経、肺、骨髄、肝、リンパ節などであり、多彩な病態を呈する。今回、幼少時に LCH と診断され、
気胸の手術の際に採取した肺組織より LCH に特徴的な電子顕微鏡所見を得た症例を経験したので報告す
る。症例は 19 歳、男性。喫煙歴なし。幼少時、頭蓋骨の骨溶解を契機に LCH と診断され治療。その後経
過観察となった。平成 18 年右気胸を発症し、安静にて軽快。平成 19 年 7 月右気胸再発にて胸腔鏡下手術
施行。右肺尖にブラを認めた。ブラ切除を施行し、PGA シートを被覆した。平成 20 年 2 月右気胸再発にて、
再手術を施行した。前回手術では認められなかった部位に新たなブラの出現を認めており、ブラの切除お
よび PGA シートの被覆を行った。短期間での新たなブラの出現と気胸再発の原因を調べるために、LCH
の関与を検索した。レントゲン・CT では肺嚢胞病変以外に結節影などの異常所見は認められなかった。手
術時採取した肺組織の組織学検査では、好酸球浸潤や肉芽腫形成を認めなかった。しかし電子顕微鏡検査
にて本症に特徴的な Birbeck 顆粒の存在を確認した。これによりランゲルハンス細胞の肺組織への浸潤が
示唆され、LCH が嚢胞の形成や気胸発症に関与していると考えた。
A7-2
人工呼吸器管理を要する筋萎縮性側索硬化症患者に発症した両側気胸
の1例
独立行政法人国立病院機構 南岡山医療センター外科1、
独立行政法人国立病院機構 南岡山医療センター神経内科2
○奥谷 大介1、小谷 一敏1、永井 太士2、牧原 重喜1
症例:50 歳,男性.現病歴:2000 年 9 月 ALS と診断されて以降,当院神経内科にて入退院を繰り返して
いた.2004 年 5 月(45 歳)に人工呼吸器装着となった.2007 年 11 月 5 日呼吸困難が出現した際の胸部 X
線にて左気胸を認めたため当科紹介となった.気胸発症後直ちに左第 4 肋間前腋窩線より 16Fr トロッ
カーを留置して−10cmH2O にて持続吸引を開始した.空気漏れが持続するため 11 月 27 日手術を施行し
た.術前 CT にて原因部位と考えられた S1 縦隔側の 5mm のブラを切除した.空気漏れがないことを確認
の後,24Fr のドレーンを挿入して終了した.術後経過:術後 3 日目より左肺の虚脱が出現して,左胸腔ド
レーンからの空気漏れの程度が増悪した.術後 6 日目右気胸を発症したため右胸腔にも右第 7 肋間前腋窩
線より 16Fr トロッカーを挿入した.−10cmH2O にて持続吸引を留置すると,右胸腔の空気漏れは数日で
消失した.持続吸引圧を漸減の後,術後 20 日目右ドレーンを抜去した.術後 30 日目再び右気胸を発症し
たので右第 2 肋間前腋窩線より 16Fr トロッカーを挿入した.右胸腔の空気漏れが消失して,十分に日時が
経過した術後 56 日目右ドレーンを抜去した.一方左側では,肺は膨張不全のまま,胸腔ドレーンからの空
気漏れは持続していた.治癒に難渋したが,術後 42 日目より持続吸引圧を上げると肺の拡張とともに空気
漏れは消失した.術後 71 日目左ドレーンを抜去することができた.
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EDAIN WING 4.0 星野
2008.08.11 10.20.32 Page 102
AN文書/気胸・嚢胞性肺疾患学会/気胸・嚢胞性肺疾患学会雑誌/8巻1号(総会号)/NKNHP‐15 抄:一般
A7-3
壁側胸膜にも病変が疑われた気胸合併サルコイドーシスの 1 症例
福岡東医療センター1、福岡大学 外科学講座2
○中島 裕康1、瀧田 麻佳1、川上 豪仁1、前川 信一1、岡林
寛1、白日 高歩2、岩崎 昭憲2
【症例】27 歳男性【現病歴】2007 年 10 月ごろより乾性咳嗽が出現し、近医受診。胸部レントゲン・胸部 CT
上、両側びまん性肺病変と縦隔・肺門リンパ節腫脹を認め、当院呼吸器内科紹介受診となる。ACE を含め
た血清学的異常は認めなかったが、気管支鏡で気道狭窄の所見を認め、ガリウムシンチでは縦隔・肺門リ
ンパ節に集積亢進を認めた。そのため、サルコイドーシスの臨床診断となり、ステロイド導入予定であっ
た。導入前の胸部レントゲンにて左気胸併発を指摘され、気胸の治療と肺病変に対する組織診断をつける
目的で当科紹介となる。3 port approach にて胸腔鏡手術施行。肺尖にサルコイド病変が疑われる肺病変に
つながった bulla を認めた。この bulla と胸壁に索状の癒着を認めたため、これを切離後肺生検を兼ねて
bulla を含む肺部分切除を施行。この際、索状物周辺の壁側胸膜に同心円状の小孔を認めた。同部位の生検
は施行しなかったが、肉眼的にはサルコイド病変が疑われた。術後 air leak は認めず、経過は良好であった。
現在、外来にてステロイド内服・漸減中である。
【考察】
本邦におけるサルコイドーシスの罹患率は約 1 10
万であり、その約 2% が気胸を併発するといわれている。今回、気胸併発のみならず、壁側胸膜までの炎
症変化が疑われた症例を経験したため術中ビデオを供覧する。
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A7-4
サルコイドーシスに続発した難治性気胸の 1 例
水戸中央病院 呼吸器外科1、水戸赤十字病院 内科2
○西村 嘉裕1、伴
秀利1、富岡真一郎2
【はじめに】続発性気胸は、合併症により治療に難渋することがある。今回、われわれは、治療に難渋した
サルコイドーシスに続発した気胸症例を経験したので報告する。
【症例】症例は 39 歳・男。平成 4 年、右
気胸の際にサルコイドーシスと診断された。肺野病変が悪化したためプレドニンを投与されて、肺病変の
コントロールが行われていた。他院より紹介され、平成 12 年から我々の施設で経過を見るようになった。
両側肺尖部に肺嚢胞が多発し、気管支の拡張も所々見られ、嚢胞内部には fungus ball が認められた。経過
中に今回、右気胸で入院となり、胸腔ドレーンを挿入された。低肺機能であることから手術は行わなかっ
た。気胸発症後 26 日目、ピシバニールによる胸膜癒着術を施行した。これにより気胸は治癒し、38 日目に
胸腔ドレーン抜去した。50 日目に、気胸の再発はなかったが喀血で死亡した。
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A7-5
当院における気胸症例の検討
自治医科大学外科学講座呼吸器外科学部門
○遠藤 哲哉、金井 義彦、手塚 康裕、大谷 真一、斉藤 紀子、山本 真一、手塚 憲志、
佐藤 幸夫、長谷川 剛、遠藤 俊輔、蘇原 泰則
平成 14 年(2002 年)1 月から平成 18 年(2006 年)12 月までに気胸の診断で入院した延べ 243 例(男性 210
例,女性 33 例)を対象とし,診断・治療について検討した.症例の年齢分布は二峰性で,20 歳前後と 70
歳前後にピークを,50 歳前後に谷を有していた.主な原因疾患は自然気胸 63.0%,肺気腫 16.0% であった.
喫煙歴は全体で 61.3% であった.治療法としては,持続胸腔ドレナージ法が 21.0%,手術療法が 78.2%
(胸腔鏡下手術が 74.1%)であり,術後再発は 4.7% であった.当日は,若干の文献的考察を加えて,報告
する.
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AN文書/気胸・嚢胞性肺疾患学会/気胸・嚢胞性肺疾患学会雑誌/8巻1号(総会号)/NKNHP‐16 奥付
日本気胸・嚢胞性肺疾患学会雑誌
第8巻1号
!2008 The Japan Pneumothorax and Cystic Lung Disease Journal
平成 20 年 8 月 10 日印刷
平成 20 年 8 月 15 日発行
発
行
杏林大学医学部呼吸器外科
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