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SDN技術を利用した 植物形状認識システムの開発
The 17th PSE Workshop’14 SDN技術を利用した 植物形状認識システムの開発 A Development of PSE System acquires Plant Condition Recognition using SDN Technologies 佐藤佑哉1),前田太陽2) Yuya Sato and Taiyo Maeda 1)埼玉工業大学大学院 工学研究科(〒369-0293 埼玉県深谷市普済寺 1690, [email protected]) 2)博士(理学) 埼玉工業大学大学院 工学研究科(〒369-0293 埼玉県深谷市普済寺 1690, [email protected]) To recognize conditions of a plant growth on computer system, we developed problem solving environment system using an image processing. This system has an image data acquisition, data transfers, and an image converter which outputs text based growth data. In order to accomplish the process efficiently on the system, we apply Software Defined Network (SDN) technologies to this system. We discuss results efficiency obtained by the system. Key Words: Software-Defined Network, OpenFlow, Modeling Plant, Problem Solving Environments 1.はじめに 植物の生長状態を見極める際,背の高さや葉の枚数な ら部位を判断し,その後にL-systemの文字列へと変換を 行っている. どの比較は行われているものの,実際は栽培者の経験に 基づいた直感などを用いた判断によることが多い.植物 の生産性をより向上させるために,また生長の認識を自 動化するためには,栽培状態の判断をより効率的に行う ことが必要である.これまで,植物の形状データを収集 し,生育状態の比較するための問題解決環境を開発した. しかし植物の生長を判断するための画像データを大量に 収集するには,システムの構成によっては,いくつかの 問題が生じた.中でも,植物画像の転送時の局所的なネ 図1 変換された L-system 文字列 ットワーク負荷や,画像から生長の認識を判断するサー バへのアクセス集中が問題となった. そこでこれらを改善するために,植物形状認識のため の問題解決環境の改良を行う.本稿では大量に設置され たカメラから得られた植物画像を収集し,形状データへ 変換するシステムの効率的な運用が可能な構成に変更す るため,SDN技術を取り入れた.画像データの転送時の 図2 L-system 文字列への変換の流れ 遅延と画像変換処理の分散化を目指す. 2.システム概要 2.1 植物の撮影と認識 植物の形状データはRaspberry Piに接続されたWebカ 2.2 画像変換時の負荷分散 実質的な運用を想定した場合,先の画像変換に対し, 複数のカメラ画像を画像変換サーバ転送することとなる. メラから撮影を行い,収集した後にテキストデータに変 画像転送や画像変換処理の両方で負荷が高い場合,負荷 換する.この処理により,植物画像をL-systemを適用し 分散を行えるシステムに拡張可能なシステムであること た文字列へ変換を行っている. が望まれる.しかしながら一般的な農家や小規模での運 図1のように一度植物の画像を数字に変換し, 『背景』, 用を考えた場合,高価なロードバランサを導入は困難で 『茎』,『枝』,『葉』などへ振り分け,その後図2の ある.そこでSoftware-Defined NetworkであるOpenFlow[1] ようにこれらの振り分けに基づいてL-systemの文字列へ 技術を使用し,ネットワークの構成や機能をソフトウェ と変換を行う.まず画像を二値化し,植物太さや形状か アで制御し,動的に変更できる仕組みを使用する. 負荷分散にはOpenFlowスイッチを使用したサーバの ロードバランサ機能を実装し,OpenFlowスイッチ制御用 が可能か,実験用パケットを転送し,均等に処理を割り 振ることとした. コントローラとしてTremaを使用しソフトウェアで制御 を行う.OpenFlowのスイッチには導入が容易なBuffalo 社 の WZR-HP-AG300H と OpenFlow 向 け に 改 造 し た OpenWRTを使用する. 3.適用事例 3.1 画像転送処理 画像転送時,今回取り入れたOpenFlowがネットワーク に対しどれほど影響するか認識するために,画像転送に かかる処理速度を測定した.今回は仮想的なOpenFlowス 図4 ロードバランサの流れ イッチで分散処理を行うため,画像転送処理速度の測定 し,OpenFlowスイッチの有無を比較した. 測定は撮影用Raspberry Piからテキスト変換を行うサ ーバ間の転送速度を測定した.転送の条件として仮想の OpenFlowスイッチを設置するスイッチ有りの測定と,ク ロスケーブルを使用し接続することで直接繋ぐスイッチ 無しの測定を行った.測定に使用するソフトウェアは iperfを使用し,測定時のバッファ長は実際の植物画像で 想定できるサイズの1KByteから1MByteまでの5種,機器 のネットワーク条件はRaspberry Piが100Mbps,仮想の OpenFlowスイッチが1Gbpsとなる。 図5 ロードバランサの結果 図5のように2台のPCに順々に割り振られている.一 度パケットが届いた場合その送信元を登録し,数分間は 転送先が変わらないようになっている.このようにロー ドバランサを使用することで,画像変換の処理が分散化 図3 転送処理速度測定の結果 実験の結果図3のような結果となった.スイッチ有り 可能となった. 4.まとめ の場合,転送速度は6.24MByte/secとなり,スイッチ無し 本稿では植物の撮影と転送,テキストへの変換を行う の場合は9.52MByte/secとなった.スイッチを通した場合 システムにOpenFlow技術を使用し,処理の分散化が可能 転送速度は低下したものの,6MByte/sec程度の転送速度 か検証を行った.今回仕様した安価な機器であれば数十 が安定していることから,植物画像の転送を1分毎と想定 台の転送と変換処理に対応することが分かった. した場合,カメラ数十台規模の処理にも耐えられると予 OpenFlowシステムを使用することで,植物形状認識シス 想できる. テムの改良や拡張が可能になると考えられる.今後はこ れらのシステムを発展させ,より柔軟な植物形状認識の 3.2 ロードバランサの適用 システム運用を目指す. 画像変換の負荷分散し変換処理を分散化するためにロ ードバランサを適用した.図4のような流れとなり, 参考文献 OpenFlowスイッチはTrema用PCを1台追加することでプ 1) 高宮安仁,鈴木一哉 :クラウド時代のネットワーク技 ログラム制御が可能となる.今回は植物画像などで適用 術 OpenFlow実践入門,技術評論社,2013