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電気ショッカーボートによるコクチバス駆除について
WEB 版 H28 年 3 月号のうりんさいたま「テクノスコープ」 電気ショッカーボートによるコクチバス駆除について コクチバス (図 1) は北米原産の淡水魚であり、強い魚食性によって在来魚類に与える影 響が大きいことが知られています。このため、 「特定外来生物による生態系等に係る被害の 防止に関する法律」において特定外来生物に指定されており、駆除が必要です。 コクチバスのような外来魚の駆除手法として、電気ショッカーボート (図 2) がありま す。当県では、平成 21 年に導入し、平成 22 年から名栗湖 (飯能市) において駆除試験を 実施しました。名栗湖は、入間川上流の支流有間川をダムでせき止めた人工湖で、水深は 約 40m です。 このため、名栗湖での駆除効果をあげるためには、コクチバスの生息水深の把握が必要 になります。そこで、調査を実施したところ、春に産まれた稚魚 (体長約 10 ㎝) のほとん どが、8 月に水深が約 5m より浅いところに生息していることがわかりました。 電気ショッカーボートの電気が届く水深は 2~3m ですので、駆除効果を 4 月から 11 月ま で実施しましたが、この結果 8 月に体長約 10 ㎝のコクチバスが 1 時間あたり約 180 尾と、 他の月よりも非常に多く駆除できました (図 3)。 このように、コクチバスの生態を理解して駆除を行うことで、より効率的な駆除が実施 できると考えられます。名栗湖でのコクチバス駆除では、電気ショッカーボートの他、産 卵床での駆除で卵を、刺網で成魚を駆除しています。 このように、複数の駆除手法を組 み合わせて、より高い駆除効果をあげることを目指しています。 図 1 コクチバス 当県では、平成 12 年にさいたま市の荒川ではじめて確認されました。オオクチバスと異なり、 流れのあるところや冷たい水でも生息できるため、河川に生息するアユなどへの被害も知られてい ます。 WEB 版 H28 年 3 月号のうりんさいたま「テクノスコープ」 図 2 電気ショッカーボート 黄色いポールの先端に付いている電極から水中に電気を流し、感電して浮いてきたコクチバスを 網ですくい取ります。在来魚は捕獲せずにそのままにしておくと、しばらくすると再び泳ぎ出しま す。 200 一 時 150 間 あ た り 100 の 駆 除 尾 50 数 0 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 図 3 月ごとの名栗湖における電気ショッカーボートでの 1 時間あたりの駆除尾数 【問い合わせ先】埼玉県水産研究所 水産技術担当 電話:0480-61-0458 FAX:0480-63-1012 http://www.pref.saitama.lg.jp/soshiki/k25/