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“水”なんとも不思議な物質 - 日本科学技術振興財団

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“水”なんとも不思議な物質 - 日本科学技術振興財団
2005
OCTOBER
Vol.98
財団法人
日本科学技術振興財団 Japan Science Foundation
Vol.98
「文化としての科学の重要性」――――――― 1
多摩六都科学館館長 高柳雄一
(財)日本科学技術振興財団の組織改編について ――――――― 2
愛知万博イベント開催報告
科学と遊ぶ体験ひろば
―青少年のための科学の祭典― ――――――― 4
サイエンス友の会
夏休み活動報告 ――――――― 7
夏休みの特別展
「サマー・カーニバル ’05」――――――― 9
「夏休み 浦賀ドックで科学の不思議を体験しよう」
―第5回レンガドック活用イベント― ――――――― 13
「物理の甲子園」が岡山県・閑谷学校で開催さる ――――――― 15
世界物理年日本委員会事務局
家族ぐるみで科学しよう……シリーズ No. 4
“水”なんとも不思議な物質 ――――――― 20
企業各社の社会貢献活動のご紹介シリーズ
花王株式会社 ――――――― 23
お
知
ら
せ
――――――― 25
企画・編集・発行 ◆ 財団法人 日本科学技術振興財団 企画・広報室 1 03−3212−8584
平成17年10月18日
文化としての科学の重要性
多摩六都科学館館長
高柳雄一
私たちの生活環境は、現在、科学技術に大きく支えられています。電気やガスの生活器具、都市交通の仕組
み、生きるために必要な情報を手にいれるにも、機器の使い方や、適切に接する上での知識は不可欠です。科
学技術のこうした知識は現代人が安心して生きてゆくために必要な知識と言えます。
科学技術がもたらしたものは、現代の豊かで快適な生活環境を支える技術的変革だけではありません。科学
技術は近代科学の誕生以来ゆっくりと時間を掛けて、文化の中で科学と呼ばれる新しい知の獲得様式を確立し
世界の知的変革を進めてきました。
自然の営みを理解するとき、権威や従来のしきたりや迷信を疑い、観測や実験に基づいて合理的で偏見の無
い理解を深めてゆく作業が、今や新しい知の獲得様式の基本となっています。こうした態度は、一方で、既存
の自然理解に常に疑いを抱くことを要求し、さらには人間自身の無知の大きさを自覚する必要性まで要求して
います。
新しい知の獲得様式も科学技術が私たちにもたらした重要なものなのです。それは、人類が現代文明を持続
して行く上で、科学の成果を正しく受け止め、科学技術の動向に責任を持って参加できる社会人となるために
も必要なものだと思います。
生きてゆくために必要な科学技術の知識は教育現場や、博物館、科学館、最近ではマスメディアで様々な形
で分かりやすく伝えられるようになりました。専門家と市民とが共有できる知識を広げる活動も重要視される
ようになりました。アウトリーチ活動が大学や研究機関の側で盛んになっていることは、そうした動きを一層
加速しています。
科学技術を社会全体のものとする上で、残された問題は知の獲得様式としての科学を文化の中にどう受け入
れて行くかにあると思います。日本の文化的環境にもよるのか、科学とは何か、人間の知的営みのなかで科学
に何が期待できるのか、科学という知の獲得様式が真実を求める創造的な活動は文学や芸術と同じ根を持つこ
となど、文化としての科学の役割について一般の人に分かるような議論があまりなされてはいません。
文化の核心に新しい思考様式が浸透するのに1000年は必要だとホワイトヘッドは見積もっています。文化
としての科学はまだまだ若すぎるのでしょうか?
科学館の仕事をしながら、文化としての科学が日本の社会
に少しでも根付く機会を広げたいと願っています。
October 2005 1
(財)日本科学技術振興財団の
組織改編について
当財団は創設以来、わが国の科学技術の振興を図るべく、科学技術の理解増進活動を通して理系人材の育成
に尽力して参りましたが、わが国が科学技術創造立国の実現を目指す中で、科学技術理解増進活動の重要性に
ついての認識が益々高まりつつあります。
国の動きとしては、国民全般が科学技術に関する基礎的素養を備え、これを理解していくこと、そしてその
ような基盤の上に科学技術をリードしうる人材層を厚く育むことを実現するため、基盤作りとしてアウトリー
チ活動などの取り組みを積極的に推進しています。
こうした国の動きを受け止め、また昨年8月から本年3月にかけて開催し、出展団体、産業界のご意見を入
れてまとめた、作業部会報告書の展開策を実現するため、本年10月3日付で組織を改編することになりました。
その骨子は次の通りです。
1.企画広報室の新設
広報・マーケティング室を解消し、その機能を維持しながら、財団全体に関わる経営企画推進と作業部会展
開策の総合的企画・立案・推進などを担当する企画広報室を新設します。
2.科学技術館事業部の新設
科学技術館運営部と企画開発部を統合し、科学技術館事業部を新設します。
両部の機能の融合により、科学技術館運営部の企画機能を強化するとともに科学技術館運営のノウハウをコ
ンサルティング事業に活用する機能の強化を目指します。さらに両部の技術グループを統合することにより強
化し、科学技術館および全国の科学館の技術サポート機能を果たします。
3.振興部を振興事業部へ改組
財団にアウトリーチ活動の充実・強化を図るためアウトリーチ推進センターを新設します。このアウトリー
チ推進センターの実務を担当しアウトリーチ活動の企画・立案・推進を行うアウトリーチ推進グループと従来の
調査研究機能を担当する調査研究グループとで振興事業部として、振興部を改組します。
アウトリーチ推進センターは、全国の関係機関との連携を図り、産業界、学会などのアウトリーチ活動を全
国的に展開します。
【総務部】
2
Vol.98
財団法人
科学技術振興財団の新組織図
評 議 員 会
理 事 会
(平成17年10月3日付)
企画広報室
会 長
副 会 長
専 務 理 事
常 務 理 事
理 事
事 務 局
総 務 部
総 務 課
経 理 課
顧 問
参 与
催事推進部
振興事業部
調査研究グループ
アウトリーチ
推進グループ
科学技術館
科学技術館事業部
運営管理グループ
企画・コンサル
グループ
アウトリーチ
推進センター
情報システム開発部
October 2005 3
航空記念館運営部
技術・保守
グループ
愛知万博イベント開催報告
科学と遊ぶ体験ひろば
―青少年のための科学の祭典―
2005年日本国際博覧会(愛知万博)において、13年間にわたり全国展開している「青少年のための
科学の祭典」をベースとした科学技術体験イベント「科学と遊ぶ体験ひろば」を行いました。なお、
名古屋地区で例年実施している「青少年のための科学の祭典」も、今年度は一緒に万博会場で実施い
たしました。
◆開催日時:平成17年7月29日(金)∼
8月8日(月) 9:00∼21:00
◆開催場所:2005年日本国際博覧会
長久手会場「モリゾー・キッコロメッセ」
◆主 催:「科学と遊ぶ体験ひろば」実行委員会
文部科学省
(財)中部科学技術センター
名古屋市科学館
(財)日本科学技術振興財団
◆参加者数:84,614人
7月29日の初日には、平野繁臣実行委員長((株)現代芸術研究所会長)をはじめ名古屋市教育委員会 小林勝彦
教育次長、中部科学技術センター 野嶋孝会長、日本国際博覧会協会 後藤隆志事務局次長等ご出席のもと、当財
団からは種市副会長が出席し、開会式が行なわれ、11日間にわたる真夏の「科学の祭典」
の幕開けとなりました。
開会式の模様
4
Vol.98
会場風景
出展は、愛知県および岐阜・三重・静岡の東海4県の小・中・高校、大学、団体の科学教育関係者や科学の祭典全
国大会等より選抜された先生方による87テーマにわたり、海外からも中国・韓国・タイ・マレーシア・インドネシア
の5カ国が参加されました。
October 2005 5
様々な科学実験や工作のプログラムが、ブース演示やワークショップ、ステージにおいて行なわれ、万博会場
に来場した多くの親子連れ、家族連れの皆様に楽しく科学の体験をしていただきました。また、8月2日には当
財団の有馬会長も会場入りし、サイエンスステージショーの舞台に立ち、観覧の子ども達に科学の魅力や大切さ
を伝えました。
サイエンス・ステージ(Mr.マサックと有馬会長)
サイエンス・ステージ(米村でんじろう)
サイエンス・ステージ(ガリレオ工房)
子ども達が、見て、触れて、体験・実感する内容は、愛・地球博のテーマ「自然の叡智」、「循環型社会」にも合致
し、意義深いものであったと思われます。特に、日本の将来を担う多くの子ども達に科学する面白さすばらしさ
を感じて貰えたものと確信しております。
【振興事業部】
6
Vol.98
サイエンス友の会
夏休み活動報告
サイエンス友の会では、今年もたくさんの企業、団体にご協力いただきながら、夏休み期間中のほとんど毎日、
42種類、73回にも及ぶ様々な教室を開催し、延べ人数約1,500名の会員に参加していただくことができました。実
験教室、工作教室、自然観察教室、施設見学会、パソコン教室と内容も多種多様で、夏休み期間中の教室の企画
会議を6月から始め、友の会ニュースの発行、講師の手配、材料の手配、教室の準備、教室開催、後片付けとス
タッフはフル回転でした。
現スタッフの体制になり初めての夏休みです。昨年とはずいぶん内容も変わり、施設見学会や自然観察教室な
ど初めての教室も数多く開催しました。
夏休み期間中は、宿泊をともなう教室も多く実施されました。7月26日∼28日の「愛・地球博見学会」は台風が
接近していましたが、それが逆に幸いし、入場者が少なく人気パビリオンに待ち時間無しで入館する事ができ、
とても充実した見学会になりました。テーマ館のマンモスも全員見る事ができました。
ガスパビリオン入り口付近
ワンダーサーカス電力館
7月30日∼8月1日の「富士山麓の自然体験教室」は、今回初めての試みで、静岡県の道の駅「富士川楽座」が運
営する友の会組織「富士川っ子エコクラブ」の子どもたちとサイエンス友の会が合同で、朝霧高原での火山洞窟探
検やナイトウォークなどの自然体験教室を開催しました。初めて会った時はお互い緊張気味でしたが、最初のイ
ニシアティブゲームが始まるとすぐに打ち解け合い、最後はどちらの会員なのかも良くわからなくなるくらいで
した。
October 2005 7
イニシアティブゲーム「ラインアップ」より
火山洞窟探検より
8月22日∼24日の「親子で電気のふるさとへ探検に行こう」は、東京電力(株)銀座支社、首都圏エネルギー懇談
会のご協力により、福島第二原子力発電所と原子力発電所運転員の訓練施設の見学を中心に、自然体験教室のい
わなのつかみ取り、そばうち体験、木工クラフト、女子サッカーチーム「TEPCOマレーゼ」
とのサッカー教室など
盛沢山の内容であっという間の3日間でした。
福島第二原子力発電所
TEPCOマレーゼとの交流会
8月27日∼28日の「野辺山の自然体験と星空観察教室」では、牧場での本格的な搾乳体験やチーズ作り、夜の星
空観察、そして野辺山の国立天文台では研究者に案内していただきながらの施設見学、サントリーの天然水工場
のガイドツアーなど、天候にも恵まれた、思い出深い2日間でした。
国立天文台野辺山見学
牧場での搾乳体験
宿泊の教室以外にも、(財)石炭エネルギーセンター、(社)電子情報通信学会、エネルギー環境教育情報センタ
ー、(社)日本ガス協会、(社)電気学会などと共催の施設見学会や、日立マクセル株式会社やマブチモーター株式
会社にご協力いただいた電子工作教室など、それぞれが充実した人気のある教室を開催できました。
この場をお借りしまして、ご協力いただいた各団体、各企業、そして講師の方々に深く御礼申し上げます。
【科学技術館事業部】
8
Vol.98
夏休みの特別展
「サマー・カーニバル ’05」
毎年夏休み期間中、自由工作・自由研究のヒントや作品制作を求めて多くの親子が来館されます。
そのニーズに応えるべく、今年も8月12日(金)から8月21日(日)の会期で、夏休み特別展「サマー・
カーニバル’05」を開催しました。
自由工作・自由研究の参考となる電子工作・モーター工作教室を中心に、ダ・ヴィンチのスケッチ
復元模型展示や「物理」をテーマとした「科学演劇」、特別天体ライブショーなど、館内が活気で溢
れました。
以下に、実施した内容を簡単に紹介します。
1. 特別展示「動かしながら理解する機械のしくみ展」
子供達が楽しくメカニクスに興味を持てるように「ダ・ヴィンチのスケッチから復元した模型」と「木工アート」
を展示しました。
伝達の仕組みや組合せ方で力の増減ができる様子などを、熱心に観察していました。
(1)ダ・ヴィンチのスケッチから復元した模型
(2)メカ木ズム作品展示
●往復運動を回転運動に変換する装置
●からくり時計(電動)
●自動串焼き装置
●消えるタイムマシン(手動)
●ネジ切り機
●サーフィンゲーム(手動)
など約25点
など10点
動かしながら理解する機械のしくみ展
October 2005 9
2. 工作教室コーナー
自由工作・自由研究のヒントを求めて、多くの来館者で賑わいました。電子工作やモーター工作を中心に、以下
のような内容を実施しました。
①電子工作「電子ピアノ」
②電子工作「AMラジオ」
③電子工作「メロディクロック」
④モーター工作「シャボン玉マシンを作ろう」
⑤モーター工作「メリーゴーラウンドを作ろう」
⑥モーター工作「くるくるヘリコプターを作ろう」
⑦風船張子(ミニ行灯)を作ろう
⑧マイグラスを作ろう
⑨樹脂でレプリカ作り
※電子工作は、基盤に各材料をハンダ付けしてい
く、非常に手間のかかる作業でした。初めてハ
ンダを使用した人もいましたが、貴重な経験に
なったことと思います。
モーター工作
またモーター工作では、モーターが回転する仕
組みを理解すると同時に、いろいろな製品にモ
ーターが利用されていることなど、モーターが
身近にあることを再認識していただきました。
風船張子
樹脂でレプリカ作り
樹脂でレプリカ作り
10
Vol.98
3. サイエンス・バーチャルファイター
Vol.6
―快盗アインシュタイン リターンズ―
前作Vol.5で登場した「快盗アインシュタイン」
が、再登場。前回にも増して、難問が出題されま
した。
今年が世界物理年であり、「物理」をテーマに、
笑いあり感動ありの科学演劇を行いました。
4. 夏休み特別天体ライブショー
当館4階の「ユニバース」展示室において、3Dに
よる夏の星空解説を中心に、宇宙・太陽系の話し
をしました。
各回満席となり、来館者の星や宇宙に対する興
味・関心が高いことがわかりました。今後も新し
い話題を提供できるよう、機会を増やしていきま
す。
サイエンス・バーチャルファイター
協力:理化学研究所、ちもんず
5. ワゴンによる移動科学実験ショー「実験ジャー」
5年前にキャラクターとして登場した
「実験ジャー」
は、子供たちに大人気の科学インタープリター的存在です。
科学技術館征服を目論む「ナゾナゾマン」。ナゾナゾマンが出すいろいろな難問を解いていく「実験ジャー」。楽し
い掛け合いを交えながら、科学の楽しさ、不思議さを来館者へ振りまきました。
実験ジャー
実験ジャー
October 2005 11
6. 企業の協賛
本イベントを実施するにあたり、下記の企業より協賛をいただきました。
(株)アイデント
(株)日展
(有)秋葉工務店
日本ミルクコミュニティ(株)
(株)APJ企画
日本冷凍食品販売(株)
(株)科学館サービス
(株)乃村工藝社
(株)北の丸商事
(株)博秀工芸
(株)紀文食品
日立マクセル(株)
(株)グリーンハウス
マブチモーター(株)
(株)シクセンス
(株)ムラヤマ
(株)丹青社
(以上50音順)
協賛により、イベントの内容も充実し、参加者に大変喜んでいただきました。今後もイベント企画の充実を図
り、様々な企業との連携に取り組み、学校ではなかなか体験できないような機会を提供していきます。
7. 各地での実施について
当館は、全国各施設で利用できる貸出用展示物を数種類所有しています。これまで、多くの施設でご利用いた
だき、好評を博しております。
本展で実施した科学演劇
「サイエンス・バーチャルファイター」
やワゴンによる移動科学実験ショー
「実験ジャー」
、
さらには様々な工作教室も含めて、全国を巡回する展開を図っていきます。
イベントを開催する際の一助として、ご検討いただければ幸いです。
<お問合せ先>
科学技術館運営部
TEL. 03−3212−8509
【科学技術館運営部】
12
Vol.98
「夏休み 浦賀ドックで科学の不思議を体験しよう」
―第5回レンガドック活用イベント―
神奈川県横須賀市の歴史的産業遺産である
「浦賀レンガドック」
の実験的活用の一環として、浦賀
港周辺地区の特性である「船
(造船)
「海」
」
などをテーマとした科学体験プログラムが、同機関工場の
大空間を活用し、平成17年8月21日∼22日の両日夏休みイベントとして、子どもを対象に開催され
ました。
水に入っただけで自然に浮かんでしまう
「高濃度塩水プール体験」や浮力の原理を明かす実験ショ
ーと浮沈子の工作などを体験し、科学の不思議や面白さに出会って参加した子どもは歓声をあげ、
また保護者の方々にも感謝の言葉をいただくなど大好評でした。
「浮力の不思議」
October 2005 13
「高濃度塩水プール体験」
【科学技術館事業部】
14
Vol.98
「物理の甲子園」が
岡山県・閑谷学校で開催さる
世界物理年日本委員会事務局
今年8月のお盆休みのこと。阪神・甲子園球場では、夏の風物詩ともいえる第87回全国高校野球選手権大会が
開催されており、アルプススタンドにはファンの声援がこだましていた。
ちょうど同じ頃、岡山県の山間に抱かれた国宝「閑谷学校」に隣接する岡山県青少年教育センターでは、第1回
全国高校物理コンテストが開かれていた。全国から集まった高校生たち(高校生98名、高卒受験生2名、高専生1
名、英国カレッジ生徒1名、中学生2名)が、咳一つとてしない静寂のうちに、集中して物理の問題に取り組んで
いた。
日本科学技術振興財団が事務局を務める世界物理年日本委員会では、日本物理学会、応用物理学会、日本物理
教育学会、岡山県・岡山光量子科学研究所とともに、8月12日から15日にかけて、コンテスト「物理チャレンジ
2005」を実施した。
この物理チャレンジは、来年、シンガポールで開催される「国際物理オリンピック(IPhO)」に参加する代表選
手候補者を選考する目的も担っていた。
科学オリンピック
野球に限らず多くのスポーツ選手は、より強くなり、より高く評価されることをめざして日夜努力している。
その最高の目標としてオリンピックが聳え立つ。昨年のアテネ・オリンピックでは、強化策が実って日本人選手
が大活躍したことは、まだ私たちの記憶に新しいところである。
ところで、科学にもオリンピックがある。高校生を主たる対象にして、数学、物理、化学、生物学、情報学、
天文学(数学が1959年に開始された後、開始年の早い順に記載)の6種目があり、毎年、種目ごとに世界各地で開
催されている。しかし、その存在は、残念ながら一般にはあまり知られていない。
国宝
「閑谷学校講堂」で講演する有馬財団会長
October 2005 15
このうち、IPhOについてみると、1967年にポーランドで開催されたのを嚆矢にして、今年はスペインで第36回
大会が開催され、77ヵ国の生徒(3百数十名)と先生方からなる委員が参加している(「委員」はコンテストの直前に
英語で書かれた問題案の検討を行うとともに、問題を自国語に翻訳するという任務を有する。日本からは、来年
の初参加に備えて先生方をオブザーバーとして派遣した)。他方、数学は1990年(第31回)中国大会から、化学は
2003年(第35回)アテネ大会から、生物学は2005年(第16回)北京大会から、それぞれ代表を送っている。一見して
すぐ分かるとおり、いずれの種目にあっても、日本から代表を送り始めたのは、比較的最近のことである。なぜ
だろうか。ここには戦後の教育をめぐる問題の一面が内在している。
ここで、この間の事情に立ち入る余裕はないが、4種目の参加ができることになったことは、科学オリンピッ
クに高校生を送る意味がようやく理解されるようになってきたといえるだろう。
国際物理オリンピック
参加資格は、開催年の6月末現在20歳未満で、かつ高等教育機関(大学生または高専4年生以上)に在籍してい
ないこととされている。各国からのエントリーは最大5名。70ヵ国以上から集まった300名以上の生徒が、個人で、
理論、実験の問題に取り組む。その問題は、理論が3問で、これを5時間で解答し、実験課題も5時間で行うこ
とが求められる。内容的には、高校から理系大学初級レベルであるが、そのことよりも出題形式が、わが国での
「試験問題」とは大きく異なっていることが特徴である。
今年のスペイン大会では、50点満点で45点以上の金メダルが46名、41点以上の銀メダルが26名、32点以上の銅
メダルが63名、そのほか褒賞
(Honorable Mention)が96名に与えられた。このオリンピックの特長の一つは、単に
コンテストだけではなく、生徒たちの国際交流のために、開催期間中に数多くの催しが準備されていることであ
る。インターネットの時代である。この共通の場に集まった若者たちは、帰国してからもネットにより容易に交
流を続けることができる。大学等に進んだ後には、その友人関係はより大きな財産になっていくことだろう。
物理チャレンジ2005
物理チャレンジは、このオリンピックの開催形式に準拠して行われた。
5時間の理論問題は3問で、問題用紙はA4判で実に15ページに及ぶ。高校で学習する範囲を超える部分につい
ては、解説やヒントを付けてあり、たとえ、まだ学習していないことであっても、問題と解説をじっくり読み込
むことによって、正解にまで到達できるように工夫されていた。理論問題で最高点を挙げた中学生は
「よく考えれ
ば解けるように問題が作られていたので、中学生というハンディは感じなかった」
と感想を語っており、出題者に
とっては作題の苦労が報われたといえる。
最近の学力調査が示しているもっとも重大なことは、計算能力や記憶力の低下ではなく、論理的に考えて解答
する力が落ちていると思われることである。テストの場において、論述問題にはまったく手を付けない生徒の割
合が増えている。
そのような傾向のなかで、
「5時間の間に推論を重ねていくことで、高校レベルを大きく超える高みにまで導く
問題に、きわめて成績のよい若者が大勢いることは驚くべきことであったし、心強いと思った」と、生徒を激励
するために閑谷学校を訪れた財団の有馬朗人会長は述べている。
3泊4日の物理チャレンジには、コンテストのほかに盛りだくさんのイベントが用意されていた。初日の8月
12日夕刻には、歓迎アトラクション、理論問題後の13日午後には、備前焼体験と先生や大学院生との対話(フィジ
ックスライブ)、実験問題後の14日午後には、SPring8の見学と、外村彰博士(日立製作所フェロー)による電子線
ホログラフィーの話、そして最終日15日には表彰式の後に、毛利衛博士(宇宙飛行士、日本科学未来館館長)によ
る記念講演「どうしてチャレンジするんだろう?」が行われた。
16
Vol.98
参加者からは「学校ではできない、物理の話を仲間とできてうれしい」との声が聞かれ、物理チャレンジでの体
験は、参加者一人ひとりに強いインパクトを与えたものと思われる。
物理学界の懸案であった「物理オリンピックへの参加」は、さまざまな問題を抱えながら、試行錯誤を重ねなが
らも、ともかくもその第一段階を終えることができた。次の課題は、2006年7月にシンガポールで開催されるオ
リンピックに代表を派遣することである。
岡山県の皆さんによる歓
迎アトラクションが参加
者の緊張をほぐす
5時間にわたる理論問題にチャレンジ開始
備前焼の作陶にチャレンジ
October 2005 17
CDトラックピッチ測定な
どの実験問題に取り組む
毛利宇宙飛行士が客席の
生徒に語りかける
今後の展開
科学オリンピックへの参加は、
1. 高校生に対して、自分の持っている(潜在的な)関心や能力をフルに引き出す(educate)ためのチャレンジの機
会を与える。
2. 能力の高い生徒を引き上げ高い評価を与えることにより、刺激の伝播として、ひいては高校生全体の自然科
学に対する関心を高めていくことが期待できる。
18
Vol.98
2日にわたるコンテストを終えて一気に緊張が解けた瞬間
3. 物理をはじめとする科学教育の革新のスタート台となる。直感的に科学の「楽しさ」を体感してもらう科学の
ショーと、論理的に科学の
「醍醐味」を理解させるコンテストとは、車の両輪である。
4. 21世紀の日本
「科学技術創造立国」を担う、科学者、技術者を育てる「苗床」になる。
といった効果を期待できると考えられる。
数学の分野では「数学界最高の栄誉であるフィールズ賞の受賞者には、オリンピックで活躍した人が少なくな
い」と数学者の秋山仁先生は述べている。このことは、若い人たちは、適切な時期に適切な刺激を受けることに
よって、急速に進歩することを示している。
物理オリンピックには、文部科学省の後援のもとに、科学技術振興機構から支援をいただけることになってい
る。そのほか、数多くの企業、団体などから、協賛、後援、協力の形でご支援をいただいている。今後とも、こ
の事業の趣旨をご理解いただき幅広いご支援をお願いしたい。
[関係ホームページ]
日本数学オリンピック
全国高校生化学グランプリ
国際生物学オリンピック
物理チャレンジ2005
http://www.imojp.org/
http://gp.csj.jp/
http://www.jbo-info.jp/
http:/www.wyp2005.jp/jp/challenge/
October 2005 19
家族ぐるみで科学しよう……シリーズ
家族ぐるみで科学しよう……シリーズ No.
No. 44
“水”なんとも不思議な物質
あまりにも身近にあるので空気と同じように意識することなく接している物質が“水”ですね。
今回は“水”について科学してみましょう。いったい「水」とはどんな物質なのでしょうか?
*水は始めから地球にあった!
!
太陽系のなかで、星間物質が集まり太陽系の中にいろいろな惑星が誕生しました。地球が誕生したのは今から
46億年前といわれています。この地球を「原始地球」
といいます
(シリーズNo3参照)。
この原始地球が冷えていく過程のなかで、内部からいろいろなガスが噴出し、その中に気体の水蒸気が含まれ
ていました。この水蒸気が冷えて液体の『水』となり地球上に降りそそぎ海ができたといわれています。つまり
『水』は始めから地球にあったのです。
地球は『水の惑星』といわれていますが、他の惑星には液体の状態の水(海)はありません。それは地球が他の惑
星にないすばらしい条件にあるからなのです。
条件その1. 太陽からの距離が1.5億kmで太陽から受ける熱エネルギーがちょうど良い量である。
(地球が受ける熱は地球大気の上面で、1平方センチメートル当たり一分間におよそ2カロリー
で、これを1とすると水星では約6.7倍、金星で1.9倍、火星で0.4倍、木星では0.04倍です)
条件その2. 地球の大きさ(質量)が水蒸気を宇宙空間に逃がさない重力を生み出すのにちょうど良い大きさで
ある。
(地球の重力の大きさを1とすると水星ではおよそ0.4倍、金星で0.9倍、火星で0.4倍木星では2.4
倍です)
水星や金星は近すぎて太陽から受ける熱エネルギーが多く星の温度が高くなりすぎて蒸発し、地
球より小さいので重力も小さく水蒸気を引き付けておくことが出来ないので宇宙空間ににがして
しまう。火星、木星のように遠い星は受け取る熱エネルギーが少ないので温度が低く氷(固体)に
なってしまう。
「液体の状態の水がある」
ということが素晴らしことなのです。
*水の持っている不思議な性質
その1. 液体の水を凍らせて固体の氷にすると、体積が増える(密度が小さくなる……軽くなる)
液体の水は4℃の時密度が最大になります(1cm3=1g)。氷は水に浮きます。
ガラス瓶入りのジュースを冷凍庫で凍らせたら大変!
! ガラス瓶が割れてしまいます。
その2. 物を溶かすはたらきが一番ある。液体の物質はアルコールとかガソリンとかいろいろありそれぞれ物
を溶かしますが、なんといっても水が一番多くの物質を溶かします。しかも何か物質を溶かした水は
さらに多くの物質を溶かし込みます。ですから「海水」は地球上のあらゆる物質を溶かしています。ウ
ランや金も溶かしています(しかし海水からウランや金を取り出すには膨大な経費がかかりますので
採算が合いません、念の為)
。
地球が誕生してできた「原始の海」に溶け込んだ物質から生命が誕生し、現在の生物が繁栄しているの
はひとえに水のこの性質のお蔭です。
20
Vol.98
その3. 表面張力が極めて大きいこと。洗濯や毛管現象、浸透圧などのはたらきに関係している。
その4. 比熱が大きい(4.2J/g・k)。液体のなかでは極めて大きい。これは水が非常に温まりにくく、冷めにく
い物質であるということです。更に固体の氷から液体の水に状態を変化する時(氷が融けて水になる・
融解)に必要な融解熱や気体の水蒸気になる時に必要な気化熱が大きいことは、気象現象にも大きな
影響を与えています。地球の平均温度が15℃なのは地球が膨大な量の海水を持っているからです。
*不思議な性質のもとはなにか?
この様な、他の物質にない不思議な性質は『水』
という物質の
『つくり』にあるようです。
水の分子のつくり……水の分子は1個の酸素原子に104度5分の角度で2個の水素原子が共有結合で結びつい
ているのです。そこで水分子は一方にマイナス電気、他方にプラス電気があるような極
性をもっています
(双極子能率を持つといいます)
。
水のつくり……双極子能率をもった水の分子が集まると、水分子はお互いにプラスとマイナスの電気が引き合
って結びつきます(これを水素結合といいます)。このように水や氷は水の分子が水素結合で結
びついてできています。このつくりが水のいろいろの不思議な性質を生みだしているのです。
*ヒトの体内の水のはたらき
私達の体内には、大人で体重の約60%、生まれて間もない赤ちゃんでは80%の水があるといわれています。こ
のようにたくさんの水が私達の生命を支えているのです。これも「水の不思議な性質」の一つである「水は多くの
物質を溶かす」からなのです。血液や組織液は、必要な養分やミネラルを溶かし込み体内の何十兆という細胞内
の細胞液にとどけます。そうして細胞液内の不必要な成分やガスを受け取り腎臓や肺に送り、体外に排出します。
このように水のもつ特別な性質が私達の生命を維持しているのですね。
*地球にある水
(海水と淡水、水の量)
地球にはどれくらいの水があるのでしょうか? 私たちの地球には約14億km3の水があるといわれています。
そのように多くの水は何処にあるのでしょうか? ……そうですね、海洋、南極や北極の氷、陸上の湖、河川、
沼、池、地下水、それに大気の中(水蒸気や雲)、植物や動物の身体の中にもあります。その割合をみると、海水
が97.5%で残りの2.5%が淡水です。淡水の内の70%
(全体の1.75%)は北極・南極の氷ですので私達が利用できる淡
水はタッタの0.75%しかありません。水は私達生物の生命を維持する大切な物質ですが、今はあらゆる産業の世
界で大量に使用され、全世界で水を確保することが環境問題を含め緊急の課題となっています。
*海水の利用
昔から人類は海水に溶け込んでいる物質をとりだして利用していました。それは「食塩」です。
(陸上で掘り出している「岩塩」も大昔に海水から生成しました)。食塩以外にも重要な化学物質を数多くとりだ
して利用しています。
海水そのものも、原子力発電所では「冷却水」として利用していますね(原子力発電所は殆どが海岸に沿って造
られています)。淡水の不足している国では、海水を淡水化して利用しています。これからも海水の淡水化は、
ますます発達することでしょう。
“地球だけが持っている、液体の
『水』
……素晴らしいと思いませんか?”
October 2005 21
*家庭でできる
『水』
の実験……“水中シャボン玉”
ふつうのシャボン玉は空気中にとばしますね! 今回は
『水』
の中に
“シャボン玉”をつくって見ましょう。
1)準備するもの
① 水が200mlくらい入るコップ
(透明な容器ならなんでも良い)
② 家庭食器用洗剤
(界面活性剤使用) ③ ストロー ④ 色水用容器
(小ぶりのコップ)
2)シャボン液をつくる
① コップに水を180ml入れる
(深さが8cm以上位が良い)。
② 洗剤を10∼12滴たらし、泡ができないように静かにかき回し均一な溶液をつくる。
3)シャボン玉をつくりかた。
① 指でストローを押さえ、3cmくらい液をとる(ストローにマジックで1cmおきに線を5本くらい引いて
おくと便利です)
。
② コップ内の液面から1cmくらいの高さからスト
ロー内の液を、液面に垂直に滴下する。
③ 水中に直径が1cm位のきれいに輝く『水中シャボ
ン玉』
ができ、ゆっくりと上昇していきます。
※簡単にできそうですが、液の調整に根気が必要です。
理由1.メーカーによって洗剤の成分が異なりますの
で、加える洗剤の量が微妙に違います。
理由2.ストローから滴下する液の量も微妙です(多
め、少なめなど。ストローに取る量を加減し
て下さい)。
理由3.液を落とす高さも関係します(高さは1cmを
基準にして、上下5mmの範囲で丁度良い高
さを見つけて下さい)。
とにかく、簡単にあきらめないで根気よく挑戦して下
さい。コツがつかめると面白いようにコップの中にいく
つものシャボン玉ができます。
4)応用編
水中シャボン玉ができるようになったら、コップの水30mlくらいを別の容器に取り食紅か水性絵の具を溶かし、
淡く色をつけた「色水」をつくり、これをストローに取りコップに落として下さい。中に色がついたシャボン玉
ができます。
(濃い色にするとシャボン玉ができにくくなります)。
※この実験は科学技術館5F・ワークスの「楽しい科学」コーナーで数年前にお子様方に体験して頂いた実験で
す。またインターネットで
『水中シャボン玉』
を検索すると色々な方法の実験を調べることができます。
※記事は「理科年表」、ブルーバックス、「水とは何か」
「温度から見た宇宙・物質・生命」、などを参考にさせてい
ただいております。
【サイエンス友の会 講師 柳 沼 豊】
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企業各社の社会貢献活動のご紹介シリーズ
日頃から当財団の事業をご理解いただき、ご支援をいただいております企業・団体の皆様、「ありがとうござ
います。」心から感謝申し上げます。当財団の諸事業にご支援いただいている企業の社会貢献活動(主に科学
技術の振興、普及啓発を中心)の取り組みをシリーズで紹介させていただきます。
今回、ご紹介するのは花王株式会社(代表取締役
社長執行役員 尾 元規 氏)です。花王株式会社殿は、
当財団の賛助会員であり、科学技術館・土曜実験教室の開催など、当財団のさまざまな活動にご協力いただ
いています。
<花王株式会社の社会・文化活動への取り組み>
花王は、豊かな社会の実現とその持続に貢献するために、以下の活動方針のもと、「次世代の育成」を主要テー
マとした活動に取り組んでいます。
○活動方針
・次世代の育成に役立つ活動を行います。
・地域の社会・文化の発展に貢献することを目指した活動を行います。
・持続可能な社会に向けて、環境を守り育てる活動を行います。
・社会的支援として、バリアフリー社会を推進する活動を行います。
・花王の持つ資源を有効に活かせる活動を行います。
・一人ひとりの社員が良き市民として、社会的活動に参加できるような風土をつくります。
○教育への支援
豊かな文化をもつ社会を育み、未来につなげてゆくためには、優れた学術・教育が不可欠であると、花王は考
えます。私たちは、事業を通じた教育材料の提供や工場見学・当社研究員による実験講座、教員の方の海外野外
調査プロジェクトへの参加による国際文化交流の橋渡しの支援を行っています。
<当社における科学技術振興への取組み事例>
主な取組みの概要について紹介させて頂きます。
○花王・教員フェローシップ
花王では、特定非営利活動法人アースウォッチ・ジャパン※と協働で、夏休みの一定期間、次世代育成のキーパ
ーソンである先生方を海外の野外調査プロジェクトへボランティアとして参加する機会を提供しています。
環境教育の実践者である先生方の、異文化のなかでの野外調査体験を支援するものです。一流の科学者のもと、
野外調査を通じて得た自らの体験や感動を、地域や学校で特色ある環境教育の実践に結びつけていただくことを
目的としています。アースウォッチ・ジャパンがボランティア先として「生物多様性に関するプロジェクト」を選
定し、花王が支援します。
※アースウォッチ・ジャパンとは、1971年ボストンに設立されたNGOの日本支部です。現在世界の会員数8万人。市民か
らボランティアを募り、野外調査活動に関わる世界中の研究者に対して、資金的人的提供をしています。
October 2005 23
企業各社の社会貢献活動のご紹介シリーズ
○理科実験講座
中・高校生を対象に和歌山事業場とすみだ事業場(東京)では、工場見学のご案内と当社研究員による実験講座
を実施しています。また、子ども達が科学に興味を持つきっかけとなるように、身近な花王製品を使った「理科
実験授業」を実施しています。
和歌山事業場
すみだ事業場
(東京)
・洗浄実験
・毛髪表面の観察
(スンプ実験)
・酵素(セルラーゼ)
の効果
・毛髪内部の観察
・洗剤の溶ける速さの実験
・頭皮の観察
<科学技術館で子どものための科学実験教室を開催>
平成17年2月5日から3月26日の毎週土曜日、科学技術館(東京都千代田区)で開催された「『夢・化学-21』土曜
実験教室」に、花王が実験協力を行いました。
この実験教室は、「夢・化学-21」組織委員会((社)日本化学会、(社)化学工業会、(社)新化学発展協会、(社)
日本
科学工業協会)と、科学技術館が主催しているもので、子どもたちに科学のもつ面白さと不思議さを通じ、科学
技術や化学製品への理解を深めてもらおうと、各企業のコンテンツ協力のもと実施しました。
花王では、2月に「洗浄の科学-汚れはこうして落とす」、3月に「髪の毛の科学・ヘアサイエンス」をテーマとした
実験教室への協力を行いました。
好奇心に目を輝かせる子どもたちに囲まれ、まずは油汚れを落とす実験からスタートします。ビーカーの底の
油汚れに界面活性剤をたらし、油がみるみる浮き上がるのを見て、子どもたちからは「きれい!花火みたい!」と
歓声があがります。続いて、油に界面活性剤を入れ、水を足しながら混ぜていく実験では、出来上がった白色の
ふわふわした物体に、「ヨーグルト、石けん、シャンプー……?」と声が飛び交いました。そのうち、触ってみて
「クリーム! そうそう、これはハンドクリームだ!」
という声がして、洗剤以外にも界面活性剤が使われているこ
とに子どもたちはビックリした様子でした。この実験を通して、水と油をつなぐ界面活性剤の働きや酵素の効果
など、身近な生活の中で起こっている化学現象を楽しく学んでもらえたようです。
花王では、今後ともこのような活動を通じ、子どもたちが化学への理解を深め、興味をもつきっかけになって
くれればと考えます。今後も次世代育成をテーマに花王ならではの取り組みを行ってまいります。
たくさんの参加者に盛り上がる教室
見て触って確かめる子どもたち
■お問合せ
花王株式会社
〒103−8210東京都中央区日本橋茅場町一丁目14番10号
電話:03−3660−7111(代表)
24
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http://www.kao.co.jp/corp/citizenship
お
知
ら
せ
「夢・化学――21」土曜実験教室の開催
「夢・化学―21」組織委員会との共催で、明日を担う子供たちに、実際に「目で見て」
「手でさわって」、化学の面
白みを感じてもらう体験型イベントで、 学校や授業では体験できないような、いろいろな化学実験を行います。
■会 期:平成17年9月∼平成18年3月までの毎週土曜日
参加費は無料(ただし、科学技術館への入館料は別途必要です)
小学生以上が対象
(各回実施時間の10分前に整理券を配布します)
■会 場:科学技術館
■主 催:
「夢・化学―21」組織委員会
[(社)
日本化学会、(社)
化学工学会、(社)
新化学発展協会、
(社)日本化学工業協会]、科学技術館
■問合先:科学技術館 TEL:03−3212−8509
詳しくは、科学技術館のホームページ http://www.jsf.or.jpをごらんください。
みんなのくるま<自動車>展示室 ワークショップの開催
月に2回程度(日曜・祝祭日)、自動車展示室内において自動車模型の工作教室を開催します。
■開催日:10月9日(日)、10月23日
(日)、11月13日
(日)
、11月27日
(日)、12月11日
(日)
、12月25日(日)
■会 場:科学技術館3階 みんなのくるま<自動車>展示室内
参加費は無料(ただし、科学技術館への入館料は別途必要です)
開催時間(1回目 10:00∼12:00、2回目 13:30∼15:30)
小学3年生∼中学3年生が対象
(定員:各回12名)
当日9時30分より、3階<自動車>展示室前にて整理券を配布します。
■主 催:科学技術館
■問合先:科学技術館 TEL:03−3212−8509
詳しくは、科学技術館のホームページ http://www.jsf.or.jpをごらんください。
October 2005 25
日本IBM TryScience 実験教室の開催
「TryScience
(トライサイエンス)」のサイト http://www.tryscience.org/jp/ の“Experimentsやってみよう”で紹介
されているメニューの中からいくつかを、みなさんと一緒に実験をして、楽しく時間をすごしてみたいと思って
います。10月∼12月は下記の日程で開催いたします。1つのプログラムの所要時間15∼20分程度です。随時参加
していただけるプログラムですが、プログラムが終了するまでお待ちいただく場合もございます。
■開催日:10月16日(日)、11月13日(日)、12月11日(日)
(開催時間 13:00∼16:00)
■会 場:科学技術館 4FイベントホールD室
開催場所については変更する場合もありますので当日の入館されるときにご確認ください。各カウン
ターでは8席程度を用意しておりますが、満席の場合はお待ちいただく場合もございます。特に整理
券などの配布はありません。
■主 催:日本IBM(株)、科学技術館
■問合先:科学技術館 TEL:03−3212−8509
詳しくは、科学技術館のホームページ http://www.jsf.or.jpをごらんください。
秋の特別展「60・70年代の空の旅―国際線航路へタイムスリップ!―」
国際線 空の旅が特別な存在であった1960・70年代、日本の航空会社は豪華さと日本独特の繊細な「和の心」を
ベースにした機内サービスをセールスポイントにして、世界各地へ路線という翼を広げてゆきました。「心」と
「アイデア」によって世界一とも評された機内サービスと、あの時代が今、鮮やかによみがえります。
■会 期:平成17年10月8日(土)
∼12月4日(日)
■会 場:所沢航空発祥記念館 展示館 ■主 催:所沢航空発祥記念館 ■問合先:所沢航空発祥記念館 TEL:04−2996−2225
詳しくは、所沢航空発祥記念館のホームページ
http://www.tam-web.jst.or.jpをごらんください。
26
Vol.98
秋の大型映像フェスティバル
10/1∼12/28の大型映像館では、「大自然の脅威 フォース・オブ・ネイチャー」
を上映。
秋の大型映像フェスティバル期間中は、「大自然の脅威 フォース・オブ・ネイチャー」の上映を1日2回にし
て、下記フェスティバル作品をそれぞれ1日3回上映します。
■会期およびフェスティバル作品:
前期(10/1∼10/15)
「グランドキャニオン 隠された秘密」
中期(10/16∼10/30)
「伝説のヴァイキング∼果てしなき探求の旅∼」
後期(11/1∼11/13)
「マヤ文明の神秘」
■会 場:所沢航空発祥記念館 大型映像館
■問合先:所沢航空発祥記念館 TEL:04−2996−2225
詳しくは、所沢航空発祥記念館のホームページ http://www.tam-web.jst.or.jpをごらんください。
「大自然の脅威 フォース・オブ・ネイチャー」
より
© National Geographic, Graphic Films
July 2005 27
http:www2.jst.or.jp
28
Vol.98
科学技術館 自動車展示室「ドライビングシミュレータ」
財団法人
日本科学技術振興財団
Japan Science Foundation
〒102−0091 東京都千代田区北の丸公園2番1号
TEL:03−3212−8584(ダイヤルイン)
URL:http://www2.jsf.or.jp/
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