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一般化可能性理論におけるベイズ的分析例
一般化可能性理論におけるベイズ的分析例 一般化可能性係数の事後分布 ○岡本安晴 1 (1 日本女子大学人間社会学部) キーワード:一般化可能性係数、ベイズ的分析、確信区間 Bayesian Analysis in Generalizability Theory Yasuharu OKAMOTO1 1 ( Japan Women’s University) Key Words: generalizability coefficient, Bayesian analysis, credible interval 目 的 一般化可能性係数(generalizability coefficient) の 事後分布を MCMC サンプリングにより推定する。 が、分散分 析の方法を適用して推定された分散に基づいて点推定値とし て算出された場合、その点推定値にはサンプリングによるラ ンダムな変動が含まれる。このランダムな変動量がわかると、 D study におけるテストのデザインの決定がより安全に行え る。 の推定をベイズ的に行うと、推定値のランダムな変動 量は事後分布として得ることができる。One-facet デザイン と two-facet デザインの場合について、Furr ら(2008)で説 明されているデータに対してベイズ的分析を行い、 の 95% 確信区間(credible interval: CI)を求めたものを報告する。 モデルー1:One-facet デザイン 測定対象者(target)tの項目iにおける得点 , , , , , 95%確信区間の中央値 95%確信区間の下限 図1 項目数 と の 95%確信区間 が次式 で表されるものとする。 は全体の平均値、 は測定対象者t の特性値、 は項目iの特性値、 は残差を表し、 ~ 0, 、 ~ 0, 、 ~ 0, とする。 、 、 、 は次の事前分布 ~ , 、 ~ , ~ , 、 ~ , に従うものとする。 は十分に大きい値とし、 ∼ の値は、 分散分析の古典的方法によって得られる分散の推定値に基づ いて設定する。このとき、事後分布は , , , , , | ∝ 95%確信区間の上限 , と表す。基本的にはモデルー1と同様の仮定をおく。 は十 分に広い範囲で一様分布に従うとし、 、 ・・・、 、 は平 ・・・、 、 の正規分布、分散 、 ・・・、 均0、分散 、 、 は逆ガンマ分布に従うものとする。逆ガンマ分布のパ ラメータ値は分散分析の古典的方法によって得られた分散の 推定値に対応して設定する。事後分布 , , , , , , , ,⋯, , | の Metropolis-within-Gibbs におけるサンプル値から を ⁄ t ⁄ ⁄ によって求める。Furr ら(2008)の Table 12.5 のデータに 対して項目数 5のときの観察者数 の関数として の 95%確信区間を求めると図2のようになる。 | , で与えられる。 Metropolis-within-Gibbs による MCMC の第 s ステップにお けるパラメータのサンプル値、 、 、 、 、 、 、を順番に求め、これらの値から第 s ステップにおけ る 95%確信区間の上限 のサンプル値を次式 ⁄ により算出する。ここで、 は項目数である。 Furr ら(2008)の Table 12.1 のデータに対して の 95% 確信区間を求めたものを図1に示す。 の区間推定により、D study におけるテストデザインの検討をサンプルによる不確 実性を考慮して行うことができる。 モデルー2:Two-facet デザイン 測定対象者 の項目 における観察者 による評定値を 95%確信区間の中央値 95%確信区間の下限 図2 項目数 5のときの観察者数 と の 95%確信区間 引用文献 Furr, R. M. & Bacharach, V. R (2008). Psychometrics: An introduction. Sage Publications, Inc.