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センサを搭載したマイコンロボットの設計と製作

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センサを搭載したマイコンロボットの設計と製作
特別研究報告書
題 目(日本語,英語)
センサを搭載したマイコンロボットの設計と製作
(Design and Fabrication of the electronic circuits for miniature
mobiles with sensors)
指 導 教 員
綿森 道夫
報 告 者
学籍番号: 1055091
氏名: 新田 敏弘
平成 17 年 2月 20 日
高知工科大学 電子・光システム工学コ−ス
目次
第1章 はじめに................................................................................ 1
第2章 研究目的 .............................................................................. 2
第3章 使用するプロセッサについて ...................................................3
3−1 PICプロセッサについて ...........................................................3
3−2 PICの概要 .........................................................................4
第4章 赤外線センサを用いた黒ラインを検出する回路の設計と製作 ....8
4−1 実験の目的.............................................................................8
4−2 黒ラインを検出する方法の原理 ................................................8
4−3 モータードライバーを用いてモーターの回転方法を
制御する方法 ........................................................................10
4−4 応用例..................................................................................12
4−4−1 ライントレース/ランダム移動切り替えマウスの動作原理..12
4−4−2 ライントレース/ランダム移動切り替えマウスの回路製作 .17
4−5 実験回路の動作確認.............................................................18
4−5−1 実験回路の動作不良の原因と修正 .............................18
4−5−2 実験回路修正後の動作確認.......................................19
4−6 検討 ......................................................................................20
第5章 赤外線/無線切り替えリモコン走行車の製作と動作確認 ........21
5−1 実験の目的 .........................................................................21
5−2 赤外線を用いた送受信回路の原理と問題点 .........................21
5−3 FM電波を用いた送受信回路の原理と問題点.......................22
5−4 応用例 ................................................................................22
5−4−1 赤外線/無線切り替えリモコン走行車の動作原理 .........22
5−4−2 赤外線/無線切り替えリモコン走行車の回路製作 ........23
5−5 実験回路の動作確認...........................................................55
5−6 検討....................................................................................56
i
第6章 加速度センサを用いた角度検出器の設計と製作 ....................57
6−1 実験の目的...........................................................................57
6−2 加速度センサを用いた角度検出器の原理 ..............................57
6−3 ダイナミック点灯方式について................................................58
6−4 応用例..................................................................................58
6−4−1 加速度測定器の動作原理..........................................58
6−4−2 加速度測定器の製作 .................................................59
6−5 実験回路の動作確認.............................................................60
6−6 検討 .....................................................................................63
第7章 加速度センサ、FM電波送受信回路、モーターコントロール
回路を組み合わせた回路の設計と製作 ..................................64
7−1 実験の目的...........................................................................64
7−2 実験回路の製作 ....................................................................64
7−2−1 ロボットアームの送受信回路の動作原理 .....................64
7−2−2 ロボットアームの送受信回路の回路製作 .....................65
7−3 実験回路の動作確認 .............................................................68
7−4 検討 ......................................................................................68
第8章 まとめ ...................................................................................70
参考文献 ................................................................................................71
謝辞 .......................................................................................................72
ii
第1章 はじめに
現在、我々の身の周りには各種センサを用いた電化製品が数多く存在する。
いくつか例を挙げると、防犯のためのセキュリティ機器やOA機器、医療機器
等がある。いずれに於いても、現代社会を生きる我々にとって重要な役割を占
めている。特にセキュリティに関しては家庭レベル、あるいは個人レベルでそ
れぞれ固有のものが必要になってくると予想される。ここでは特に重要なセン
サ機器に着目し、本研究では、PICプロセッサを用いた、いくつかのセンサ
回路を製作し動作させる。
本論文の構成として、第3章には、回路製作に用いられたPICプロセッサ
の説明が記述される。第4章から第7章にかけて、実際に製作されたそれぞれ
のセンサ回路が動作するに至るまでの過程が記述される。
1
第2章 研究目的
本研究では、まずPICプロセッサを用いて各種センサを制御することを試
みる。そして、その応用例として、センサを組み込んで、実際に動きのある模
型を製作することが目的である。また、これらの製作された動きのある模型か
ら、センサの使用法の新しい発想を生み出すことも本研究に於ける目的である。
2
第3章 使用するプロセッサについて
3−1 PICプロセッサについて
PICとは1980年に、アメリカのGI社が、コンピュータの周辺装置の
制御用マイコンとして開発したものであり、コンピュータに接続するフロッピ
ーディスク装置やハードディスク装置に内蔵されたものである。その後、PI
Cの多様化が進められ、1989年に、GI社から独立したマイクロチップテ
クノロジー社がPICの開発を続けている。
現在では、コンピュータの周辺装置だけでなく、冷蔵庫や炊飯器等の家電製
品や携帯電話に使用されている。また、自動車を例に挙げると、PICを使用
しない部分は、自動車のエンジンの主要部分に組み込まれているワンチップマ
イコンがあり、ワイパーや方向指示器、スピードメータやエアコン制御にPI
Cが使用されている。現在では、研究用ロボットの制御や趣味の電子工作に使
用されるまでに応用分野が広がっている。
図3.1 PICを使用した電子工作の一例(受光による時間計測器)
3−2 PICの概要
3
PICの概要として次のことが記載される。
(1)PICと一般のマイコンの機能とその相違点
一般のマイコンに内蔵された機能(Z80 等)
・
・
・
・
周辺回路
命令解読、命令実行部
演算処理部
内部データバス
PICに内蔵された機能
・ 周辺回路
・ 命令解読、命令実行部
・ 演算処理部
・ データメモリ、プログラムメモリ
・ データバス、プログラムバス
一般のマイコンアーキテクチャーはノイマン型アーキテクチャーと呼ばれ、メ
モリが内蔵されておらず、外部データバスによって、メモリを接続している。
また、一般のマイコンには周辺回路が内蔵されていない場合があり、外部デー
タバスを接続する必要がある。
(2)命令数が35個である
4
PIC(16F84A)には全部で35個の命令がある。これらを用いて、
プログラムを作成し、ソフトウェアのMPLABを用いてマシン語にアセンブ
ルさせ、PICに書き込ませる。その過程を経て、PICを動作させている。
バイト対応命令 命令の種類
転送
算術演算
論理演算
ローテイト(ビット回転)
ジャンプ
クリア
ビット対応命令
数値対応命令
命令
MOVF、MOVWF、SWAPF
ADDWF,SUBWF, INCF, DECF
ANDWF,IORWF, COMF, XORWF
RRF,RLF
INCFSZ,DECFSZ
CLRF,CLRW
ビット操作 BCF,BSF
ジャンプ
BTFSC,BTFSS
転送
算術演算
論理演算
ジャンプ
クリア
制御
MOVLW
ADDLW,SUBLW
ANDLW,IORLW,XORLW
CALL,GOTO,RETURN,RETLW,RETFIE
CLRWDT
SLEEP
表3.1 PIC(16F84A)の全命令
(3)PIC(16F84A)のピン配置
5
PIC16F84Aには足の数が全部で18ピンある。PICに書き込まれ
たプログラムの命令により、それぞれのPICの足の役割が決められる。
ピン番号
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
名称
RA2
RA3
RA4/TOCKI
MCLR(NOT)
Vss
RB0/INT
RB1
RB2
RB3
RB4
RB5
RB6
RB7
Vdd
OSC2/CLKOUT
OSC1/CLKIN
RA0
RA1
説明
双方向I/Oポート
双方向I/Oポート
双方向I/Oポート、タイマクロック
リセット
アース
双方向I/Oポート
双方向I/Oポート
双方向I/Oポート
双方向I/Oポート
双方向I/Oポート
双方向I/Oポート
双方向I/Oポート
双方向I/Oポート
正電源
クロック端子2
クロック端子1
双方向I/Oポート
双方向I/Oポート
表3.2 PIC(16F84A)のピン配置
(4)PICの種類
PICには大きく分けると、3つの種類がある。まず始めに、命令語調が
12ビットのベースライン製品がある。ベースラインのPICは12C508
や16C54等があり、価格や性能は3種類の中では一番低いPICである。
次に、ミドルレンジ製品がある。命令語調が 14 ビットあり、PICの機種と
して、16F84や16F877A等がある。ミドルレンジ製品は、簡単な機
6
能を持つものから、高機能のものがあり、扱いやすいPICとして幅広く使用
されている。
最後に、ハイエンド製品がある。命令語調が16ビットで、PICの機種と
して17C44や18F452がある。ハイエンド製品には、乗算器内蔵タイ
プや、命令数77個を持つものもある。
(5)ファイルレジスタ
PICにはファイルレジスタと呼ばれるビット幅8ビットのメモリがある。
ファイルレジスタにはSFRレジスタと汎用レジスタがある。ファイルレジス
タは 0 番地から7F番地まであり、0 番地から0B番地がSFRレジスタである。
SFRレジスタとは、PICの各種設定を行うレジスタであり、主な働きとし
て、割り込み処理の許可やバンクの切り替え等がある。
アドレス
バンク0
0 INDF
1 TMR0
2 PCL
3 STATUS
4 FSR
5 PORTA
6 PORTB
7 未使用
8 EEDATA
9 EEADR
0A PCLATH
0BINTCON
バンク1
OPTION_REG
PCL
STATUS
STATUS
FSR
TRISA
TRISB
未使用
EECON1
EECON2
PCLATH
INTCON
4F 汎用レジスタ
表3.3 16F84Aのファイルレジスタ
7
第4章 赤外線センサを用いた黒ラインを検出
する回路の設計と製作
4−1 実験の目的
フォトインタラプタと呼ばれる赤外線センサの仕組みを学ぶため、工作キッ
トのねずみロボットを用いる。フォトインタラプタは、反射する光により、電
流を流すか、流さないかを操作する働きがある。この働きを利用して、地面に
張られた黒いラインに、ねずみロボットを置いて動作させ、黒ラインに対して、
何らかの動きをさせた。
ねずみロボットにフォトインタラプタを組み込むにあたって、電源スイッチ
の他に、2種類の動きを切り替えるためのスイッチを用意した。一方の働きと
して、ねずみロボットは、組み込まれたフォトインタラプタが黒いラインを避
け続けるよう設計された。
また、もう一方の働きとして、フォトインタラプタが黒いラインに沿って動
作するように、ねずみロボットは設計された。
4−2黒ラインを検出する方法の原理
4−1章に於いて、ねずみロボットに黒ラインを検出するため、フォトイン
タラプタを用いたと記述した。フォトインタラプタの内部にはLEDとフォト
トランジスタが内蔵されている。フォトインタラプタを、地面に張られた黒ラ
インに接近させたとき、フォトインタラプタ内のLEDの光が反射しない。も
し、白い地面にフォトインタラプタを接近させたとき、フォトインタラプタ内
のLEDからの光が反射される。反射された光は、フォトインタラプタ内のフ
ォトトランジスタが反応して、コレクタからエミッタに電流が流れる。よって、
フォトインタラプタの出力には電源電圧と同等の電圧がかかる。この動作は、
フォトインタラプタをエミッタ出力で用いた場合の働きであるが、反射した光
8
+3V
をフォトインタラプタ内のフォトトランジスタに検出された場合に、フォトイ
ンタラプタの出力にアース電圧と同等の電圧をかけたい場合には、フォトイン
タラプタをコレクタ出力にする必要がある。ここで、ライントレース/ランダム
切り替えマウスを製作にインバータICを用いた。これは、PICマイコンに
入力される信号の誤動作を防止するためである。
フォトインタラプタを3Vで動作させる場合、フォトインタラプタ内のダイ
オードに流れる電流を約4.4mAにするため、図4.1の抵抗R1を 110Ωに
設計する必要がある。また、フォトトランジスタに電流0.1mAを流すため、
抵抗R5を30kΩに設計する必要があるが、図4.1では、フォトトランジ
スタの感度を上げるために、抵抗R5をさらに感度の高い62kΩに設計して
いる。
GP2S40
U6
GP2S40
R5
62k
R1
110
図4.1 本研究に用いられたフォトフォトインタラプタ(エミッタ出力
の場合)
9
白地
黒ライン
フォトインタラプタからの出力 インバータを通した時の出力
1
0
0
1
表4.1 フォトインタラプタからの出力(エミッタ出力)
4−3 モータードライバーを用いて、モーターの回転方法を制御
する方法
ねずみロボットを実際に動作させるためモーターを用いる。モーターを動作
させるためモータードライバーという素子を用いる。図4.2で、モータード
ライバーを動作させるには、IN1、IN2に電圧をかけなければならない。
モータードライバーのIN1、IN2のどちらかに電圧をかけることで、モー
ターの正回転、逆回転を操作できる。ねずみロボットにモーターを2つ用いる
ことにより、動作の種類を増やした。そして、それぞれのモーターに、モータ
ードライバーを接続し、モータードライバーのIN1とIN2のピンをPIC
16F628に接続することにより、ねずみロボットを前進と後退や回転させ
た。モータードライバーと接続されたPIC16F628の各ピンに、それぞ
れ電圧を出力させた場合の動作を表4.2に記述する。PIC16F628に
プログラムを書き込むことにより、PIC16F628からの出力は操作され
る。
10
1 GND
2 MC1
3 NC
4 Vref
5 IN1
6 IN2
7 Vcc
8 Vs
9 NC
10 MC2
図4.2 モータードライバー(TA7291P)
RA3
RA2
1
0
1
1
1
1
0
0
RA1
0
1
1
1
0
1
1
1
RA0
1
0
1
1
1
0
1
1
0
1
1
0
1
1
1
0
ねずみロボットの動作
前進
後退
停止
前進左回転
前進右回転
後退右回転
後退左回転
高速左回転
表4.2 ねずみロボットの動作の種類
11
4−4 応用例
4−4−1 ライントレース/ランダム移動切り替えマウスの動作原
理
赤外線センサの学習のため、ライントレース/ランダム移動切り替えマウスを
製作した。
まず、ライントレース回路は、ライントレース/ランダム切り替えマウスの先
端に取り付けられたフォトインタラプタにより、地面に張られた黒ラインに対
して、次に記述した動作を行うようにした。
・図4.8のフォトインタラプタbcdの働き(黒ライン検出は1)
010 直進
110 左折
011 直進
111 左折
100 左折
001 右折
101 左折
000 左旋回
上記の働きするようPIC16F628にプログラムを書き込み、動作させた。
次にランダム移動マウス回路は、地面に張られた黒ラインの有無で、ランダ
ムに動きを変化させるため、PIC16F628にプログラムを書き込む。ラ
12
ンダム移動マウス回路のプログラムのフロチャートは図4.4、図4.5、図
4.6、図4.7になる。
動きタイマ変数 x_tp
main
速度タイマ変数 x_ts
スピード変数 x_s
x_tp=0
x_ts=0
Y
N
next_p
N
next_s
x_tp>0?
Y
x_ts>0?
Y
N
x_s≠1?
Y
N
x_s≠2?
Y
N
x_s≠3?
wait_h
wait_m
wait_l
x_tp:1を引く
x_ts:1を引く
図4.4 ランダム移動マウス回路のメインルーチンフロチャート
13
next_p
ptr_p:1 を足す
N
ptr_p<53
ptr_p=0
Y
dat_pfのptr_p番目の
データをx_pに
ptr_tpに
1を足す
N
ptr_tp<29
ptr_tp=0
Y
dat_pfのpt
r_p番目のデー
タをx_pに
RET
図4.5 ランダム移動マウス回路の動きとタイマフロチャート
14
next_s
ptr_s:1 を足す
N
ptr_p<30
ptr_s=0
Y
dat_pfのptr_p番目の
データをx_sに
ptr_tsに
1を足す
N
ptr_tp<31
ptr_ts=0
Y
dat_tspのptr_ts番
目のデータをx_tsに
RET
図4.6 ランダム移動マウス回路のスピードとタイマフロチャート
15
intrpt
N
sfl=1?
fl
N
Y
sfr=1?
fr
N
Y
srl=1?
rl
N
Y
srr=1?
rr
N
RET
図4.7 ランダム移動マウス回路の動き検出フロチャート
16
4−4−2 ライントレース/ランダム移動切り替えマウスの回路製
作
赤外線センサを用いて黒ラインを検出する回路を設計するため、図4.3の
回路を製作した。図4.3の回路の電源はモータードライバーが動作するに十
分な3Vに設計された。
図4.3の回路は、PIC16F628のRB2ポートに加わる入力電圧の有
無で、ライントレース回路とランダム移動マウス回路が切り替わる設計になっ
ており、それぞれの回路はプログラムで制御される。ライントレース回路に於
いて、移動マウスが、行き止まりに差し掛かった場合、動作を止める働きをす
る。その働きを知らせるために、RB0とRB1のポートにそれぞれ接続され
たLEDが交互に光るように図4.3の回路は設計された。LEDが光るよう
+3V
に電流を5mA流すため、200Ωの抵抗を接続することにした。
GP2S40
U6
GP2S40
R5
62k
R1
110
17
RA3
RA1
D4
DIODE
R9
200
R11
200
RA1 18
RA0 17
RA7 16
RA6 15
Vcc 14
RB7 13
RB6 12
RB5 11
RB4 10
+3V
1 RA2
2 RA3
3 RA4
4 RA5
5 GND
6 RB0
7 RB1
D1
8 RB2
DIODE 9 RB3
C1
47uF
RA2
M1
C4
0.1uF
16f628
1 GND
2 MC1
3 NC
4 Vref
5 IN1
6 IN2
7 Vcc
8 Vs
9 NC
10 MC2
R
RA0
U5
+3V
L
U4
U1
1 GND
2 MC1
3 NC
4 Vref
5 IN1
6 IN2
7 Vcc
8 Vs
9 NC
10 MC2
M2
TA7291P
TA7291P
RB2
S2
R8
10k
P14 14
P13 13
P12 12
d
P11 11
P10 10
P9 9
c
P8 8
+3V
+3V
RA7
RA6
a12 P1
3 P2
4 P3
P4
b56 P5
7 P6
P7
+3V
RA4
U2
+3V
GP2S40
U6
GP2S40
U7
RPR-220
74HC14
RA5
U3
RB7
RB6
RB5
e12 P1
P2
f34 P3
P4
g 56 P5
7 P6
P7
R1
110
P14 14
P13 13
P12 12
P11 11
P10 10
h
P9 9
P8 8
RPR-220
R5
62k
R10
110
+3V
R3
62k
S3
+3V
74HC14
RB4
+ Vcc1
3V
図4.8 赤外線/ランダム移動切り替えマウスの回路図
4−5−1 実験回路の動作不良の原因と修正
実際に、図4.8の回路を製作し、動作させた。しかし、U2のインバータ
に接続されたフォトインタラプタcが黒ラインに対しての反応が弱かったので、
写真4.1のように、黒い紙で敷居をした。
18
写真4.1 図4.8の回路の修正
4−5−2 実験回路修正後の動作確認
4−5−1章のように図4.8回路に修正をした結果、スイッチの切り替え
により、ライントレースにした場合には、黒ライン上に走り、ランダム移動マ
ウスにした場合は、黒ラインを避ける動作をした。しかし、黒ラインを検出す
るのが遅いので、それが今後の課題である。この製作したライントレース/ラ
ンダム移動切り替えマウスを写真4.2に示す。
19
写真4.2 製作したライントレース/ランダム移動切り替えマウス
4−6 検討
ライントレース/ランダム切り替えマウス回路を実際に製作してわかったこと
は、ランダムモードの場合はフォトインタラプタの反応かプロセッサの方向転
換の指示が遅くて、ラインを横切った後に方向を転換した。ライントレースモ
ードの場合は白黒が明確に区別できなければ動作が不安定になった。フォトイ
ンタラプタ単体の動作確認は終えているので、プロセッサまで含めた総合的な
調整がライントレースの性能を大きく左右する。今回は時間の都合上、完全に
調整を行わなかった。あらゆるケースで完全に動作させるためには多くの動作
試験が必要であることがわかった。フォトインタラプタの間に黒い仕切りを設
けることで一応の動作は保障されたので、より完全な動作は今後の課題とする。
20
第 5 章 赤外線/無線切り替えリモコン走行車の
製作と動作確認
5−1実験の目的
実験の目的として、送信機から赤外線で信号を送信させ、受信された模型が
働くことにより、赤外線通信と無線通信の仕組みを学習する。そして、実際に
応用として、赤外線/無線切り替え走行車を製作する。
5−2 赤外線を用いた送受信回路の原理と問題点
赤外線通信は、テレビやビデオのリモコンに利用される。テレビのリモコン
は次図5.1に記述される送信フォーマットを受信機側に送信する。
(a)送信データフォーマットの構成
フレームリーダー部
データ部
8ビット(全てビット0) 16ビット
データ部(連送)
16ビット
(b) データ部の構成
1 C2
C1
C0
スタートビット デバイスコード
0
セパレータ
1 D4
D3
D2
D1
D0
スイッチコード 1
0
0
0
0
ストップシーケンス 図5.1 送信データフォーマット
21
送信機からの送信データフォーマットはデバイスコードとスイッチコードを指
定し、受信機に送信する。送信データを受信した受信機は、スタートビット、
デバイスコード、セパレータ、スイッチコード、ストップシーケンスを確認し
た後受信する。そして、再び送信データフォーマットを確認、受信し、最初に
受信した送信データフォーマットと照合し、一致していない場合は、受信機の
プログラムの最初に戻るという2連送照合をしている。
赤外線通信の問題点として、4∼5mの通信距離であるということが挙げら
れる。従って、赤外線通信は1部屋分の距離であるといえる。また、赤外線受
信部は、直射日光や蛍光灯の光にも反応してしまうので、誤動作を起こしやす
いという問題点がある。
5−3 FM電波を用いた送受信回路の原理と問題点
本実験に於いて、FM電波の送受信には、赤外線送受信と同様に図5.1の
データフォーマットを送信し、2 連送照合によりデータを受信する方式が採用さ
れた。FM電波は通信距離が約10mであるので、赤外線通信よりも通信距離
が優れている。
FM電波送受信回路の問題点として、他の変調方式に比べて広い周波数帯域
幅が必要になる性質がある。
5−4 応用例
5−4−1 赤外線/無線切り替えリモコン走行車の動作原理
赤外線送受信とFM無線送受信を学習するため、赤外線送信機と無線送信機
で動作するリモコン走行車を製作した。赤外線送信機と無線送信機を使い分け
るため、リモコン走行車はスイッチを切り替えることにより、赤外線受信機と
無線受信機が切り替る仕組みである。
22
まず、赤外線で送信するため、赤外線発光ダイオードを赤外線送信機に用い
た。赤外線送信機は、8つのスイッチで各動作をするよう設計された。そして、
赤外線受信機には、赤外線受光モジュールが用いられた。赤外線送信機からの
8つスイッチのうちのどれかを押すことにより、赤外線発光ダイオードを光ら
せ、その発光した間隔により、32つスイッチコードのどれかを赤外線受信モ
ジュールに送信する原理になっている。本実験に於いては、赤外線、無線送信
機の両方とも送信するデバイスコードを100に設定した。赤外線送信機と赤
外線受信機のデータフォーマットの送受信は、PIC16F84Aに書き込ま
れたプログラムで操作される。
次に、無線で送信するため、無線送信モジュールを、無線送信機に用いた。
無線送信機は、赤外線送信機と同様の構造と送信方式である。無線受信機には
無線受信モジュールが用いられた。無線受信機も、赤外線受信機と同様の構造
と受信方式である。
5−4−2 赤外線/無線切り替えリモコン走行車の回路製作
赤外線送信機は、ボタン配置が下図4.1のように設計された。
S4左速度UP
S0停止
S1右速度UP
00100
00000
00001
S5左減速
S3未使用
S2右減速
00101
00011
00010
S7左逆回転
S6右逆回転
00111
00110
図5.1 赤外線送信機のボタンの役割とスイッチコード
23
そして、下図5.2に赤外線送信機の回路図を記述する。ここで、赤外線送信
機は、赤外線発光ダイオードに60mAの電流が流れるように設計された。ス
イッチS1∼S7を押すことにより、PIC16F628に書き込まれたプロ
グラムが赤外線発光ダイオードD1にかかる電圧を操作している。
S9
+3V
R2
50
D1
LED1
R1
10k
R3
50
S8
U1
R4
50
C1
1uF
1 RA2
2 RA3
3 RA4
4 RA5
5 GND
6 RB0
7 RB1
8 RB2
9 RB3
S0
RA1 18
RA0 17
RA7 16
RA6 15
Vcc 14
RB7 13
RB6 12
RB5 11
RB4 10
XTAL1
4.000MHZ
S7
16f628
S6
S1
S5
S2
S4
S3
図5.2 赤外線送信機回路図
24
無線送信機は下図5.3のように設計された。PIC16F628に書き込
まれたプログラムで、無線送信モジュールU2のInに入力する電圧を操作し
ている。
EA
En
In
GND
S9
GND
Vcc
+3V
U2
R1
10k
C1
1uF
S8
U1
1 RA2
2 RA3
3 RA4
4 RA5
5 GND
6 RB0
7 RB1
8 RB2
9 RB3
S0
RA1 18
RA0 17
RA7 16
RA6 15
Vcc 14
RB7 13
RB6 12
RB5 11
RB4 10
XTAL1
4.000MHZ
S7
16f628
S6
S1
S5
S2
S4
S3
図5.3 無線送信機回路図
25
赤外線/無線切り替えリモコン走行車の受信回路は図5.4のように設計され
た。U8が赤外線受光モジュールで、U7がインバータである。無線受信モジ
ュールU2から受信された信号をU7に入力し、U7からの入力反転信号をP
IC16F84のRA4ポートに入力させている。赤外線と無線の受信切り替
えスイッチはS3である。
U2
U7
GND
NC
NC
OUT
En
1 P1
2 P2
3 P3
4 P4
5 P5
6 P6
7 P7
11
12
13
14
15
IN
7 GND
1 Vcc
2 GND
3
FM-RRFQ1-315
P14 14
P13 13
P12 12
P11 11
P10 10
P9 98
P8
74HC14
U3
S81350
S1
3 IN
GND
2
+6V
S3
C5
33uF
U8
Optorecv
OUT 3
R7
470
OUT 1
C6
100uF
16f84
Vs 2
1 RA2 RA1 18
2 RA3 RA0 17
3 RA4 osc1 16
4 nMCLRosc2 15
5 GND Vcc 14
6 RB0 RB7 13
7 RB1 RB6 12
8 RB2 RB5 1
9 RB3 RB4 10
GND 1
CRVP1738
XTAL1
10.000MHZ
U1
R1
3k
U9
R6
5k 40%
C7
R2
200
0.047uF
1 Vref
2 InB
3 InA
4 Cosc
5 NF
6 OutB
7 Vi
8 OutA
Gm 16
Gm 15
DA3 14
DA2 13
DA1 12
DA0 11
Vm 10
Gm 9
U5
1 Vref
2 InB
3 InA
4 Cosc
5 NF
6 OutB
7 Vi
8 OutA
TA7289P
C4
2.2uF
R4
2
R5
200
M1
C2
0.01uF
C1
0.047uF
Gm 16
Gm 15
DA3 14
DA2 13
DA1 12
DA0 11
Vm 10
Gm 9
TA7289P
R3
2
M2
C9
2.2uF
C3
0.01uF
図5.4 赤外線/無線切り替えリモコン受信回路図
26
D1
LED1
赤外線/リモコン切り替え走行車に、赤外線と無線送信機で送信したがうまく
動作せず、どこに原因があるかを確かめるために、ブレッドボードに図5.4
の赤外線受信部分を再現し(写真5.1)、8 桁 7 セグメント LED 表示装置を
用いて赤外線送信機の動作が正しく行われたかどうかを写真5.2から5.8
のように確認した。LEDを用いた動作確認回路はPIC16F84に書き込
まれたデータにより、点滅が変化する。図5.4のモータードライバーU9(左
動作)、U5(右動作)DA0からDA3に入力するPIC16F84のRB0
(LSB)からRB3(MSB)
、RB4(LSB)からRB7(MSB)が2
進数で表示される。速度が増加すると、その2進数の値も増加する。そして、
U9とU5モータードライバーの入力INA,INBに対応した、PIC16
F84のRA2とRA3ポートからの信号で、動作確認回路の LED が同時に点
灯すると、停止することを示している。
写真5.1 赤外線送信機の動作確認回路
写真5.2 赤外線送信機の左速度を上げたときの動作確認回路
27
写真5.3 赤外線送信機の左速度を下げたときの動作回路
写真5.4 赤外線送信機の左逆回転させたときの動作回路
28
写真5.5 赤外線送信機の右速度を上げたときの動作確認回路
写真5.6 赤外線送信機の右速度を下げたときの動作回路
29
写真5.7 赤外線送信機の右逆回転させたときの動作回路
写真5.8 赤外線送信機の停止状態のときの動作回路
30
無線送信機からの信号も、赤外線送信機と同様にBreadboadに
回路を組み込んで動作を確認した。その動作の様子は写真5.9から5.16
である。
写真5.9 無線受信機の動作確認回路
写真5.10 無線送信機の左速度を上げたときの動作確認回路
31
写真5.11 無線送信機の右速度を下げたときの動作回路
写真5.12 無線送信機の左逆回転させたときの動作回路
32
写真5.13 無線送信機の右速度を上げたときの動作確認回路
写真5.14 無線送信機の右速度を下げたときの動作回路
33
写真5.15 無線送信機の右逆回転させたときの動作回路
写真5.16 無線送信機の停止状態のときの動作回路
34
ブレッドボードで、赤外線と無線の送信確認回路を用いて赤外線/無線送信機の
動作を確認した結果、正常に動作することが確認された。
次に、赤外線送信機の送信データフォーマットの受信を確認するため、赤外
線送信機の波形をデジタルオシロスコープで確認した。そのようすは写真5.
17と写真5.18になり、送信データフォーマットが正確に送信されている
ことが確認された。ここでの信号波形はPICに書き込まれたプログラムのた
め0と1が逆転している。
S0 S1
S2 S3
写真5.17 赤外線送信機出力波形1(X軸のリードアウト表示はスイッチ
コード)
35
S4 S5
S6 S7
電源入力時のノイズ
写真5.18 赤外線送信機出力波形2
36
そして、無線送信機の送信データフォーマット確認するため、図5.3の回
路においてPIC16F628のRA2端子の信号波形を観測した。赤外線送
信機と同様に無線送信機の送信データフォーマットは、正確に送信されている
ことが確認された。写真5.19と写真5.20はデジタルオシロスコープを
用いて観測されたようすである。
S0 S1
S2 S3
写真5.19 無線送信機出力波形1(X軸のリードアウト表示はスイッチコ
ード)
37
S4 S5
S6 S7
写真5.20 無線送信機出力波形2
38
次に受信波形を示す。最初に赤外線検出器の場合である。赤外線受信部はノ
イズの影響を受けやすく、受信された送信データフォーマットのようすをデジ
タルオシロスコープで観察した。写真5.21、写真5.22にその様子を示
す。ノイズ源は主として蛍光灯や家庭の AC コンセントである。図5.4のP
IC16F84のRA4ポートの信号はデジタルオシロスコープで観測された。
観測時にはノイズの影響を受けやすかった。
S0 S1
S2 S3
写真5.21 赤外線受信機出力波形1(X軸のリードアウト表示はスイッチ
コード)
39
S4 S5
S6 S7
電源入力時のノイズ
写真5.22 赤外線受信機出力波形2
40
FM 無線受信部は蛍光灯の影響は受けないものの、送信機からの出力がない時
には非常に多くのノイズを出す。このノイズが受信信号に乗るときがあり、時
にはノイズ信号が先に検出され、受信した送信データフォーマットが全く測定
出来ない時間があった。最初は74HC04を用いて1回反転することでノイズ
を軽減しようとしたのだが、あまりうまくいかないので、ノイズ対策用として
アクティブフィルターを用いることとした。下図5.5は本実験で用いたアク
ティブフィルタ回路である。ここで、抵抗R1、R2、R3と、コンデンサC
1、C2、C3の値は次式(5-1)、(5-2)、(5-3)を用いて定められた。
カットオフ周波数はデジタルオシロスコープで観測した最も低周波側に存在す
るノイズである1.2kHzを十分に遮断し、しかも送信機の600Hz を遮断
しない1kHzとした。図5.5のアクティブフィルターを回路シュミュレーシ
ョンすると設計通りの結果になった。
1
2 ⋅π ⋅
f
=
f
(5-1)
1
= R1 ⋅ C 3 (5-2)
c
1
2 ⋅ 2 ⋅π ⋅
3
c
2
2 ⋅π ⋅
R ⋅C
f
=
R ⋅C
2
2
(5-3)
c
Vcc
5V
+V
C3
22nF
A
R3
7.2k
R1
14.4k
+
R2
14.4k
+
B
U2B
U2A
Vin
0/5V
LM2902/NS
LM2902/NS
R6
10k 40%
C1
C2
5.4nF
2.2nF
1kHz
図5.5 アクティブフィルター回路
41
+
U2C
LM2902/NS
C
ここで、アクティブフィルターに搭載されたオペアンプとして、NJM290
2Nか LMC660CN、LM324のどれかを使うこととし、実際それらの性能を
比較してみた。ここで LM324は一般の単電源オペアンプで、NJM2902 は
LM324 よりもスルーレートが向上しており、比較的パルス信号に強いタイプで、
LMC660CN は単電源かつレールトゥーレールのオペアンプである。Bre
adboadに図5.5のアクティブフィルター回路を再現し、どのをオペア
ンプを採用するかを決定する。まず、NJM2902Nを用いたときの、B点と
C点の波形をデジタルオシロスコープで観測した。そのときの入力周波数を 1
kHzごと変化させると同時に、最終段のコンパレーターの比較電圧を決定す
る可変抵抗R6にかかる電圧を変化させ、それをデジタルオシロスコープで観
測した。ここで、図5.5の可変抵抗の電圧は、その出力信号波形の1と0の
周期が等しかった3.0Vと3.5Vで観測した。
写真5.23 NJM2902Nを用いたアクティブフィルター回路
1kHz 2kHz.
3kHz 3.36kHz
写真5.24 図5.5に NJM2902Nを用いた可変抵抗電圧3
Vにおける B 点の波形
42
1kHz 2kHz
3kHz 4.42kHz
写真5.25 図5.5に NJM2902Nを用いた可変抵抗電圧3Vにおける
C点の波形
43
1kHz 2kHz
3kHz 3.6kHz
写真5.26 図5.5に NJM2902Nを用いた可変抵抗電圧3。5Vにお
けるB点の波形
44
1kHz 2kHz
3kHz 3.6kHz
写真5.27 図5.5に NJM2902Nを用いた可変抵抗電圧3.5Vにお
けるC点の波形
45
次に NJM2902Nと同様の実験をLMC660CN で試みた場合は、1kH
zから2kHz ではアクティブフィルターとして機能するが、2kHz以上の周
波数では逆に波形が入力波形と一致し、レールトゥレールのありがたさよりも
高周波特性の悪さが目だって使い物にならなかった。
最後にアクティブフィルターのオペアンプとして LM324 を使うことを考える。
写真5.28にアクティブフィルターを組んだブレッドボードの写真を、写真
5.29にコンパレータの閾値電圧として3.0V を設定したときの1kHz か
ら4.8kHz の出力波形と写真5.30にコンパレータ通過後の反転波形をし
めし、写真5.31と写真5.32にコンパレータの閾値電圧を3.5V とし、
アクティブフィルターを通過後の波形とコンパレータ通過後の波形を示す。
写真5.28 LM324を用いたアクティブフィルタ回路
46
1kHz 2kHz
3kHz 4.8kHz
写真5.29 図5.5にLM324を用いた可変抵抗電圧3VにおけるB点
の波形
47
1kHz 2kHz
3kHz 3.9kHz
写真5.30 図5.5にLM324を用いた可変抵抗電圧3VにおけるC点
の波形
48
1kHz 2kHz
3kHz 4kHz
4.83kHz
写真5.31 図5.5にLM324を用いた可変抵抗電圧3.5Vにおける
B点の波形
49
1kHz 2kHz
3kHz 3.41kHz
写真5.32 図5.5にLM324を用いた可変抵抗電圧3。5Vにおけ
るC点の波形
50
図3.5のB点とC点における、オペアンプ2902NとLM3241と0
の周期は、表5.1と5.2のように観測された。また、入力に対して出力が
LM324 を使ったときのほうが低い周波数で消失した。フィルターとしては1k
Hz 以上の周波数ではより早く減衰するほうが望ましいので、今回は LM324 を
使用することとした。そこでLM324を用いたアクティブフィルターを図5.
4の回路に追加した。その回路図を図5.6に示す。
1kHz
2khHz
3kHz
HIGHの間隔(ms) LOWの間隔(ms)
1kHz
0.5
0.48
2kHz
0.27
0.22
0.2
0.14 3kHz
HIGHの間隔(ms) LOWの間隔(ms)
0.56
0.46
0.3
0.18
0.24
0.1
可変電圧3V 可変電圧3.5V
表5.1 NJM2902NのHighとLowの間隔
1kHz
2kHz
3kHz
HIGHの間隔(ms) LOWの間隔(ms)
1kHz
0.49
0.46
2kHz
0.25
0.22
0.17
0.12 3kHz
HIGHの間隔(ms) LOWの間隔(ms)
0.56
0.45
0.27
0.19
0.23
0.11
可変電圧3V 可変電圧3.5V
表5.2 LM324のHighとLowの間隔
51
U2
11 GND
12 NC
13 NC
14 OUT
15 En
IN
7 GND
1 Vcc
2 GND
3
FM-RRFQ1-315
U3
S81350
S1
3 IN
2
+6V
S3
C5
33uF
U8
Optorecv
OUT 3
R7
470
OUT 1
GND
C6
100uF
16f84
Vs 2
GND 1
1 RA2
RA1 18
2 RA3
RA0 17
3 RA4 osc1
16
4 nMCLRosc2 15
5 GND
Vcc 14
6 RB0
13
RB7
7 RB1
RB6 12
8 RB2
RB5 1
9 RB3
RB4 10
CRVP1738
XTAL1
10.000MHZ
U1
R1
3k
U9
R6
5k 40%
1 Vref
2 InB
3 InA
4 Cosc
5 NF
6 OutB
7 Vi
8 OutA
C7
R2
200
0.047uF
Gm 16
Gm 15
DA3 14
DA2 13
DA1 12
DA0 11
Vm 10
Gm 9
U5
1 Vref
2 InB
3 InA
4 Cosc
5 NF
6 OutB
7 Vi
8 OutA
TA7289P
C4
2.2uF
R4
2
R5
200
C1
0.047uF
M1
C2
0.01uF
TA7289P
R3
2
M2
C9
2.2uF
Vcc
5V
+V
Gm 16
Gm 15
DA3 14
DA2 13
DA1 12
DA0 11
Vm 10
Gm 9
C3
0.01uF
C11
22nF
R11
7.2k
R9
14.4k
+
R10
14.4k
+
+
U4C
LM2902/NS
U4B
U4A
LM2902/NS
LM2902/NS
C8
2.2nF
R8
10k 40%
C10
5.4nF
図5.6 赤外線/無線切り替えリモコン走行車の修正回路
52
D1
LED1
最後に LM324 を用いてアクティブフィルターを実装した図5.6の回路に対
してその受信波形をデジタルオシロスコープを用いて観測した。結果を写真5.
33、写真5.34に示す。正常に FM 無線送信機からの送信データフォーマ
ットが受信されていることがわかった。
S0 S1
S2 S3
写真5.33 図5.6の回路の赤外線受信信号1
53
S4 S5
S6 S7
写真5.34 図5.6の回路の赤外線受信信号2
54
5−5 実験回路の動作確認
本実験の赤外線/無線切り替えリモコン走行車において、オペアンプLM32
4によるアクティブフィルタ回路を追加することにより、赤外線受信部のノイ
ズによる誤動作を防ぐことに成功した。そして、赤外線/無線切り替えリモコン
走行車は赤外線送信機の各スイッチに対し、正確に動作することが確認された。
作製した赤外線/無線切り替えリモコン走行車と赤外線リモコン送信機、FM 無
線リモコン送信機を写真5.35、写真5.36、写真5.37に示す。
写真5.35 製作した赤外線/無線切り替えリモコン走行車
写真5.36 赤外線リモコン送信機 写真5.37 無線リモコン送信機
55
5−6 検討
赤外線/無線リモコン切り替え走行車を製作してわかったことは、赤外線通信
と無線通信には一長一短があることである。アクティブフィルターを使用しな
ければ、回路の製作においてはどちらもそれほど難しくはない。しかしながら
アクティブフィルターを使用しなければ無線通信は事実上使い物にならず、赤
外線通信のほうがましであった。純粋に赤外線通信と無線通信を比較してみる
と、移動するリモコン走行車に対してはデータの取りこぼしが少ない分無線通
信のほうが有利に感じられた。通信可能距離は赤外線通信で約1mで、無線通
信で約1m50cmで、若干無線通信のほうが遠くまで通信できた。当初の予
定よりも大幅に通信可能距離が短くなった原因は今のところ不明であるが、現
状のパルスでデータを送信する方式ではこの程度しか通信できないのかもしれ
ない。いずれにしても通信距離を大幅に延ばすことと、データの取りこぼしの
確率を減らしてほとんど完璧に命令を実行できるようにすることが今後の課題
である。
56
第6章 加速度センサを用いた角度検出回路の
設計と製作
6−1 実験の目的
本実験では、動きに反応するセンサである加速度センサの働きについて学ぶ
ため、角度検出器を製作することを目的とする。角度検出器は、PIC16F
628に書き込まれたプログラムにより、左右上下に動かした加速度センサか
らの信号を読み取り、7セグメントLEDに角度情報として出力する。
6−2加速度センサを用いた角度検出回路の原理
Vdd
加速度センサの働きは、X軸とY軸方向に動かすことにより、それぞれの加
速度を検知し、それをパルス信号の形で出力することである。下図6.1に加
速度センサを示す。図6.1の加速度センサは、XfiltとYfiltで、
それぞれ、X軸とY軸の加速度を読み取る。そして、XoutとYoutで、
検知した加速度をパルス信号で出力する。
Xfilt
Yfilt
Xout
Yout
ST
T2
COM
図
6.1 加速度センサ
6−3 ダイナミック点
灯方式について
57
本実験では、角度検出器の出力信号の表示には下図6.2の 7 セグメントL
EDを X 軸に対して 3 個と Y 軸に対して3個の計6個を使用した。この素子は、
aから dp のどれかに電流を流すことにより、0から9までの数字が表示される
仕組みになっている。しかし、3つの7セグメントLEDに全てに電流を流し
た場合、PIC16F628のピンの数を超えるので、角度検出器にはダイナ
ミック点灯制御方式が採用された。これは、PICに書き込まれたプログラム
により短時間に1つの桁を点灯、消灯して、3桁表示させる方式である。この
方式を用いると、数 10ms 周期の信号を7セグメントLEDに送ると、肉眼で
は連続にその各桁が点灯しているように見えるのである。
a
b
c
d
e
f
g
dp
図6.2 7セグメントLEDカソードコモンタイプ
6−4応用例
6−4−1 角度測定器の動作原理
本実験で製作された角度測定器に組み込まれた加速度センサは、前後、左右に
倒すことで、パルス波である出力信号の1の間隔を変化させる。そして、角度
検出器に用いられた7セグメントLEDが出力信号1の間隔を表示するのであ
58
る。本実験では、PIC16F628に書き込まれたプログラムにより、加速
度センサから出力されるパルス波の周期は約6.0msに設定された。
6−4−2 角度検出器の製作
本実験で製作された角度検出器の回路図は図6.3である。
R7
1MEG 1 ST
2
ADXL202E
C3
1uF
Vdd 8
U2
S1
Xfilt 7
Yfilt 6
Xout 5
4 Yout
T2
3 COM
C2
0.1uF
+3V
C1
0.1uF
U1
R8
120
R9
120
RA2
RA3
RA4
RA5
GND
RB0
RB1
RB2
RB3
R3
3.9k
RA1
RA0
RA7
RA6
Vcc
RB7
RB6
RB5
RB4
16f628
R2
3.9k
Q3
2SC1815
R1
3.9k
Q2
2SC1815
Q1
2SC1815
R14
120
Gnd
R13
120
Gnd
Gnd
DISP2
DISP3
R12
120
abcdefg.
DISP1
abcdefg.
abcdefg.
R10
120
R11
120
R6
3.9k
R5
3.9k
Q6
2SC1815
Gnd
Q5
2SC1815
R4
3.9k
Gnd
DISP6
abcdefg.
Q4
2SC1815
Gnd
DISP5
abcdefg.
DISP4
abcdefg.
図6.3 角度測定器の回路図
図6.3の回路図の加速度センサADXL202Eに接続された抵抗R7と
コンデンサC1,C2には、厳密な測定でない故に標準的な数値を用いて設計
59
された。また、抵抗R8からR14までの抵抗120Ωは、各 7 セグメント LED
の入力に約8mAの電流が流れるよう設計された結果である。そして、R1か
らR6の抵抗は、1つの7セグメントの全てのエレメントが点灯した場合の電
流が、NPN型トランジスタQ1からQ6で100倍に増幅した場合、60m
Aになるように、3.9kΩに設計された。図6.3で用いられたPICには、
RA0、RA1、RA2,RA3、RA6、RA7には点灯させる7セグメン
トの選択をさせ、RBポート全てに、その表示する数字を選択するようにプロ
グラムが書き込まれた。
6−5実験回路の動作確認
角度検出器の働きを観測するため、実際にそれを前後、左右に倒した場合の、
加速度センサからの出力波形を、デジタルオシロスコープを用いて調べた。こ
こでの観測波形は、回路図6.3の加速度センサ ADXL202E の Xout から X 軸
の出力波形が現れ、Yout から Y 軸の出力波形が現れるので、それらをモニター
した。その様子を写真6.1から6.3に示す
実際の測定写真 X 軸0°傾斜の Y 軸0°傾斜の
Xout 出力波形 Yout 出力波形 3.
45ms 3.61ms
写真6.1 角度検出器 X,Y軸0°の場合の出力1の間隔
60
実際の測定写真(X 軸90°傾斜) X 軸90°傾斜の Xout 出力波形
4.06ms
実際の測定写真(X 軸―90°傾斜) X 軸−90°傾斜の Xout 出力波形
2.97ms
写真6.2 角度検出器を X 軸方向に90°、−90°(加速度センサ4、
1ピン方向が X 軸)に傾けた場合の出力信号1の間隔
61
実際の測定写真(Y 軸90°傾斜) Y 軸90°傾斜の Xout 出力波形
4.21ms
実際の測定写真(Y 軸―90°傾斜) Y 軸−90°傾斜の Yout 出力波形
3.17ms
写真6.3 角度検出器を Y 軸方向に90°、−90°(加速度センサ4、
5ピンは Y 軸方向)に傾けた場合の出力1の間隔
以上の結果を元に角度測定器を製作した結果、加速度センサの出力信号波形
の1(high)の間隔の変化が7セグメント LED の3桁の数字の形で表示される
ことになった。観測された。これを写真6.4に示す。
62
写真6.4 製作した角度検出回路
6−6 検討
本研究を通して加速度センサの基本的な使い方を習得し、応用回路として角
度検出器を設計・製作したが、当初の設計どおりの水平の位置で4ms、+9
0°の位置で5ms、−90°の位置で3msから出力がずれてしまった。こ
の原因はパルス幅を決める外付けの抵抗とコンデンサの精度によるものと考え
ているが、明確なことはわからない。いずれにしても、現状で発生するパルス
幅を基準として第7章のロボットアームを製作したが、より角度条件の厳しい
回路に於いては今回のとりあえず角度検出部分を製作してその結果から次の回
路を製作するという方法は問題を発生させる可能性を有する。角度条件が厳し
い場合は当初の設計どおりのパルス幅を出力するまで設計を追い込む必要があ
ることをここに記しておく。
63
第7章 加速度センサ、FM 電波送受信回路、
モーターコントロール回路を組み合わせ
た回路の製作
7−1 実験の目的
本実験の目的として、第4章に記述された回路のモーター制御部分と第5章
に記述された回路の FM 電波送受信部分、そして、第6章に記述された回路の
加速度センサ部分を用いて、いままでの実験の集大成として、動きのある模型
を製作する。
7−2実験回路の製作
7−2−1 ロボットアーム送受信回路の動作原理
本実験では動きのある模型として、ロボットアーム送受信器が製作された。
これは、予め市販されているリモコンロボットアームのモーター制御回路に、
本実験で製作されたロボットアーム受信回路を組み込むことにより、送信回路
の動きにあわせてロボットアームが上下左右に動作をする仕組みである。
ロボットアームの送信回路には、第5章で記述された無線送信モジュールと
第6章の回路製作で記述された加速度センサが用いられた。その送信回路は、
ロボットアーム回路に信号を送信するため、加速度センサで検出された信号を
PIC に入力させ、それに書き込まれたプログラムにより無線送信機が出力信号
を送信する仕組みになっている。
ロボットアームの受信回路には、第4章で記述されたモータードライバーと
64
第5章で記述された無線受信モジュールと雑音対策のためのアクティブフィル
タ回路が用いられた。その受信回路は、無線送信モジュールでロボットアーム
送信機からの信号を受信し、アクティブフィルタ回路に入力される。そして、
アクティブフィルタ回路から出力した信号が PIC に入力され、予め PIC に書き
込まれたプログラムによりモータードライバーへの信号を制御する仕組みとな
っている。
7−2−2 ロボットアーム送受信回路の製作
ロボットアーム送信機の回路図を下図7.1に示す。この図7.1の回路は、
加速度センサ ADXL202E からの出力信号 Xout、Yout を PIC12F629に入力
し、その PIC に書き込まれたプログラムにより制御された出力信号が無線送信
モジュール FM-RTFQ1−315の In に入力されるよう設計された。その PIC
に書き込まれたプログラムは、第6章で記述されたように加速度センサ X 軸と
Y 軸のそれぞれを0°、90°、-90°傾けた3通りにより出力パルス1の間
隔は変化する。そのことを用いてそれぞれ3通りの動作をロボットアームにさ
せるようそのプログラムは作成された。図7.2に、ロボットアーム送信機か
らの送信データフォーマット、図7.3にそのスイッチコードを示す。
S1
+3V
FM-RTFQ1-315 U2
EA
En
In
GND
GND
Vcc
12F629 U3
XTAL1
4.000MHZ
VDD
OSC1
OSC2
GP3
GND
GP0
GP1
GP2
Vdd
U1
ADXL202E
ST
T2
COM
Xfilt
Yfilt
Xout
Yout
R1
1MEG
C2
0.1uF
C1
0.1uF
7.1 ロボットアーム送信機の回路図
65
1
1
0
スタートビット デバイスコード
1
0
1
1 D3 D2 D1 D0
セパレータ
スイッチコード 1
0
0
0
0
ストップシーケンス 図7.2 ロボットアーム送信機の送信データフォーマット(データ部)
D3 D2
ー90° 0 1
0° 1 1
90° 1 0
加速度センサ Y 軸傾斜によるスイッチコード
D1 D0
ー90° 0 1
0° 1 1
90° 1 0
加速度センサ X 軸傾斜によるスイッチコード
図 7.3 加速度センサ X 軸 Y 軸のスイッチコードの割り当て
66
ロボットアーム受信機の回路図を下図7.4に示す。この回路では、第5章
で製作された無線送信部分とアクティブフィルター部分を同じように搭載した。
また、抵抗 R9,10,11,12 の値は、トグルスイッチ S9からの電圧を抵抗 R9 と
R10 間、R11 と R12 間で約5V になるようにするために挿入したものである。
また、そのスイッチからの電圧は、出力電圧を一定に保つ3端子レギュレータ
ーS81350 により5V とされ、その電圧はオペアンプ LM324 と無線受信モジュ
ール、PIC16F628 の電源電圧とされる。そして、抵抗 R4、R5 は発光 LED
に電流を約8mA流れるよう設計された。この回路の受信順序として、ロボット
アーム送信回路からの信号を無線受信モジュールで受信し、その OUT からの出
力信号がアクティブフィルターを通り、PIC16F628 に入力される。そして、そ
の PIC に書き込まれたプログラムにより、モータードライバーIN1、IN2の出
力信号は制御される。また、そのプログラムは、ロボットアーム送信データフ
ォーマットからの信号を第5章に記述したように、2連送照合して受信するよ
う作成された。
U2
FM-RRFQ1-315
IN
GND
NC
NC
OUT
En
Vcc
GND
M1
GND
S1
D2
LED2
S2
U1
R4
390
RA2
RA3
RA4
RA5
GND
RB0
RB1
RB2
RB3
D1
LED2
S3
RA1
RA0
RA7
RA6
Vcc
RB7
RB6
RB5
RB4
A
XTAL1
10.000MHZ
R1
14.4k
+
R3
7.5k
U6A
C3
22nF
R2
14.4k
C1
R5
390
2.2nF
S4
M4
R7
470
D3
LED2
R14
470
R8
470
R15
470
D6
LED2
D4
LED2
D7
LED2
C4
0.1uF
S5
C7
0.1uF
U4
R9
200
V1
3V
GND
MC1
NC
Vref
IN1
IN2
Vcc
Vs
NC
MC2
TA7291P
S9
+
U5
M2
GND
MC1
NC
Vref
IN1
IN2
Vcc
Vs
NC
MC2
M3
R10
820
+ V2
3V
R11
200
R12
820
B
U6B
LM324
LM324
16f628
M5
+
TA7291P
U3
S81350
IN
OUT
R13
470
D5
LED2
GND
図7.2 ロボットアーム受信回路図
67
C2
2.2nF
R6
10k 40%
U6C
LM324
+
C
7.3 実験回路の動作確認
実際にロボットアーム送受信回路を製作した結果、ロボットアーム送信機の
加速度センサの X 軸、Y 軸の動きに合わせてロボットアームのアーム部分が前
後、左右に動くことが確認された。製作したロボットアーム送信部と受信部を
写真7.1に示す。
写真7.1 製作したロボットアーム送信部と受信部
7−4 検討
第7章ではいままでの総まとめとして腕に取り付けたリストバンドに加速度
センサを搭載することによって、腕の角度を検出し無線でロボットアームに取
り付けた受信機に信号を送信する回路を製作した。角度の信号が正確に送信さ
68
れ、受信されているかどうかを確かめるために4個の LED を用いて受信コード
の主要部分である下位4ビットを表示させることとした。送信機には送信デー
タを確認するためにデジタルオシロスコープのプローブを付け、送受信間でど
こに問題があるのかを何度も確認した。受信回路はノイズをある程度減衰させ
るアクティブフィルターを搭載しており、第5章の赤外線/無線切り替えリモコ
ン走行車の製作経験から1m以内の距離では確実にデータが受信できるはずで
あった。しかしながら、受信機に対して送信機の位置関係が変わることによっ
てそれほど距離が変わっていないにもかかわらず送信データを取りこぼす場合
が時々見受けられた。この原因は不明であるがロボットアームから製作した回
路が外にはみ出さないように無理して実装したことによるのかもしれない。ロ
ボットアームの空きスペースは相当少なく、配線やそれぞれの部品にいろいろ
な圧力がかかっている。このような状況下でも確実に動作させるためにはかな
りの技術と経験が必要であると痛感した。
69
第8章 まとめ・感想
本研究では、PIC プロセッサの基礎的な構造とプログラムを学ぶことから始
めた。そして、センサに着目し、その仕組みを学び、それを活かした回路を作
製した。まず、第4章では、PIC を用いたセンサ回路を製作した。ここでは、
フォトインタラプタの動作を確認する際、ソフトやハードの面のどちらかに誤
りがあるのかどうかということを調べることに大変試行錯誤した。次に第5章
では、信号の送受信が困難になることが起こり、ブレッドボードにその一部の
回路を製作し確認する等の方法を行ったが、受信側の問題箇所が分からず、非
常に難儀であった。そこで、アクティブフィルター回路を用いた結果、それな
りに動作をしたが、思い描いた動作でない所に心残りがあった。しかし、第5
章の回路で非常に躓いたことにより、一層 PIC プロセッサの応用の広さを実感
した。そして、第6章では、動きを読み取るセンサを学ぶため、角度検出器を
設計した。ここでは、回路の配線が非常に複雑で、幾度も導通確認を行った。
最後に本研究の集大成として、ロボットアーム送受信回路を製作した。この回
路では、もともとのロボットアームの真下の空きスペースに基板を組み込む際
に切断などをして実装するまでが大変苦労した点が印象に残った。
以上の実験を通して、センサと PIC プロセッサの知識を学習した。そして、
これからの人生に於いて本研究で製作した経験はかけがえのないものになるで
あろうと思った。
70
参考文献
1)後閑哲也著『ロボット改造工作マニュアル』(技術評論社)
2)後閑哲也著『電子工作のための PIC 活用ブック』(技術評論者)
3)遠藤敏夫著『PIC マイコン製作集』(誠文堂新光社)
4)後閑哲也著『たのしくできる PIC 電子工作』(東京電機大学出版局)
5)堀桂太郎著『図解 PIC マイコン実習』(東北出版株式会社)
6)中尾真治著『おもしろい PIC マイコン12F675を使いこなす』
(オーム社)
7)河西真史 共著『PIC マイコンによるメカトロニクス入門』(CQ 出版社)
山本健一
鶴見恵一
71
謝辞
本研究ならびに論文の作成に当たり、終始親切で丁寧なご指導、ご支持を承
りました高知工科大学電子・光システムコース綿森道夫助教授に深い感謝の意
を表します。本論文は綿森助教授のお蔭で完成したといっても過言ではありま
せん。
また高知工科大学電子・光システムコース在学中、本研究の実験遂行、各過
程で終始ご厚意、ご協力頂きました高知工科大学電子・光システムコース長神
戸宏教授、河津哲教授、原央教授、矢野政顕教授、木村正廣教授、河東田隆教
授、成沢忠教授、岩下克教授、八田章光教授、橘昌良助教授、野中弘二助教授、
山本真行講師、植田和憲講師、杉田彰久教育講師、武田光由教育講師、西田謙
助手の方々には重ねて感謝の意を述べさせて頂きます。
72
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