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在宅医療とは何か②
臨床研修医のための在宅医療研修会 大阪府大東市出身 (41歳) 2001年3月 三重大学医学部卒業 2001年4月 三重大学附属病院第二内科 2002年2月 現:伊勢赤十字病院 (内科・呼吸器科) 2007年4月 しもの診療所所長 2009年7月 いしが在宅ケアクリニック院長 2011年4月 医療法人SIRIUS理事長 2009年7月開院 三重県四日市市:人口約30万人 緩和ケアを中心としたクリニック ★ 訪問中(7月現在) 自宅263名 施設148名 年間在宅看取り数 312名 (西日本一) クリニックから見える景色 チームZAITAKU 石賀丈士 矢原由佳子 伊藤由恵 平山将司 山中光茂 門間文彦 (非常勤) 近藤健 冨山由季子 医師 8人 ケアマネジャー 3人 看護師 11人 事務員 11人 計33人 医療は究極のサービス業 顧客(患者と家族)が笑っているかが重要 単純に医療サービスだけではだめ 医師も多様な人材が望ましい 現役のプロ歌手、元松阪市長、元ホスト 元保健所長、骨髄移植医、肺移植医 慶応大学法学部卒、京都大学工学部卒 在宅看取り 諸外国との比較 病院 自宅 施設 日本 81 % 13% 3% アメリカ 41 % 31 % 22 % オランダ 35 % 31 % 33 % 日本の がん患者 7% 多死時代を迎えて 年間死亡者 在宅看取り率 在宅看取り数 2015年 110万人 13% 14万人 2025年 160万人 30% 48万人 年間100名以上看取るクリニック 現在全国に50数ヶ所しかない 3400か所必要 増加する34万人に どう対応するか? 在宅医療の担い手 三次 在宅 二次 在宅 一次 在宅 在宅 特化型 年間看取り 100名以上 年間看取り 在宅療養 支援診療所 20名以上 かかりつけ医 年間看取り 5名以上 医師 4名 医師 1~2名 医師 1名 疼痛下 老衰 非疼痛下 健康 非疼痛下 意識 頭の力 体 意識 頭の力 体 疼痛下 鎮静 コンスタン レンドルミン ロヒプノール ダイアップ ドルミカム 意識 頭の力 体 ステロイド 栄養 漢方 がん=老化が加速する病気 30歳のがん患者さん 最後の1~3か月で50年分、体が年をとる ≪浦島太郎と一緒≫ 理想の死は老衰、がんでも老衰に近い状態に 近づけることが緩和ケア医の腕の見せ所 訪問診療 医師と看護師(+事務)で訪問を行う 診察時間 がん30分―1時間 良性疾患15分―30分 1日の流れ 8:00-9:00 ミーティング 16:45-17:00 訪問準備 当番医師に申し送り 13:00-16:45 訪問診療PM 3-5件 9:00-12:00 訪問診療AM 3-5件 夜間休日は当番医師がすべて対応 往診バッグ 60歳 卵巣癌 大学病院通院中 余命3ヶ月と宣告 胸水・腹水貯留 体重59kg 呼吸困難 両下肢著明浮腫 歩行困難 24歳で発症。余命数日。 主症状は疼痛と呼吸困難感、不安感。 緩和ケアで症状改善。 「年を越すのは諦めてたけど、1月の誕生日を迎え たい。」 「今年は病気になって最高のクリスマスだった。」 「当たり前の毎日に感謝したい。」 「こんな風に家で笑って過ごせるなんて思ってな かった。」 最初の数秒の印象が最も大事(特に笑顔) 信頼関係を築くまで帰らない 薬の仕分け、不要な薬を中止する 患者さんが最も苦痛に感じている症状を 取り除く 日本では5種類、10種類あたり前 糖尿病・高脂血症・高血圧の薬いる? 1日15種類33錠飲まされている寝たきりの おじいちゃん。すべて内服薬中止で歩行可能に。 「4種類以上飲まされている患者は医学の知識が 及ばない危険な状態にある。」 アメリカNo.1家庭医 五感のすべてで患者を読め (視覚・聴覚・触覚・嗅覚/エコー) 身体所見をとる能力が求められる 特に口の中、足の診察は毎回必須 パソコンに向かっている時間は最小限に リウマチ 頸椎症 四肢麻痺 全国の名医3人の意見 「現代の医学では治らない、一生寝たきりです」 私たちが見ている世界はあくまでも個人的な見 方や考え方を通して見ている自分だけの世界 にすぎない ピグマリオン効果 教育における心理的行動 教師が期待をかけると、生徒の成績が向上する という効果 「この子はダメな子だ」といつも言っていると本 当にダメな子になってしまう つまり、人は期待されたとおりの結果を出す リウマチ 頸椎症 四肢麻痺 「半年後に一緒にスキップしましょう」 「まずは動かなくても毎日ゴムボールを握って みるイメージをしてください。そのうち腕も足も 動きますよ。」 ≪結果≫ 半年後、歩行器で廊下を歩いている。食事は 自立。トイレは少しの介助。 医療用麻薬 できるだけ早期に導入 疼痛は3日以内に必ずコントロール (毎日、電話で痛みの有無を確認) 寝ている時間が長い 大きな声を出す、つじつまの合わないことを言う 「うまく脳内麻薬が出てきています。脳内麻薬は 快楽ホルモンなので楽しい夢を見られています よ。」 食事や水分が摂れない 「枯れていく方が体は楽だとわかっているので摂 れないのではなくあえて摂らないんですよ。」 嘔吐、吐血、下血、多量の排便 「最期に体の大掃除をされているんですよ。苦痛 もありませんよ。」 ネバネバしたものが口にたまる、呼吸をする時 ゴロゴロと音がする 「赤ちゃんが生まれてくる時に水を出すのと同じよ うに最期は肺から水を出されるんですよ。」 手足が冷たくなり、高熱がでる 「手足はいのちに関係ないので冷たくなってきま すよ。体が熱いのは最期にがんばって残った脂肪 を燃やされているからですよ。だから寒くないの で布団もいらないくらいですよ。」 尿が出なくなり、呼吸が不規則になる 「お別れのときが近いです。皆さんで穏やかに見 守ってあげてください。」 死前喘鳴:57時間前から 下顎呼吸:7.6時間前から 四肢のチアノーゼ:5.1時前から 橈骨動脈が触知不可:2.6時間前から 亡くなりゆく人はいつ頃に亡くなるのか その体を通じて周りの人に教えてくれる。 75歳 男性 胃癌 約1ヶ月間の訪問診療 亡くなって1カ月後妻から・・・ 「“殺してやる”“死ねばいいんだ”とすぐに口にする孫が 火葬後のお骨を見て“キリンさんやゾウさんもこうなるんだ ね”“アリさんももう殺さんようにする”と言うんです。主人 は本当に大切なお土産を遺してくれました。」 子供たちを看取りの場面に参加させることが大切 看取りを通して患者から孫への教育に 病院 68 訪問指示処方箋 訪問看護を作らない 介護施設を作らない 施設や軽症を抱え込まない 医師会かかりつけ医との共存 チーム「ZAITAKU」 36 訪問診療 保 険 薬剤指導報告書 薬 局 患者さん 家族 訪問薬剤指導 介護・福祉サービス 訪問看護 訪 問 看 護 ス テ ー シ ョ ン 本人・家族 病院 78.7% 7.6% 開業医 13.8% いしが在宅ケアクリニック ケアマネ 施設 病院 かかりつけ患者 かかりつけ医 在宅療養支援 診療所 がん・難病 いしが在宅ケアクリニック 介護難民 医療依存度が高い 四日市市の病院看取り 68% 四日市モデルの成果 看取りの場(平成25年) 自宅(すべて) 自宅(がん) 病院 日本 四日市 12.8% 18.5% 7.0% 18.8% 75.2% 68.6% 地域資源をフル活用 自前の機能は最小限に 訪問看護はすべて外部と連携 医師会かかりつけ医と連携 レスパイト先の病院と連携 ホスピスと連携 緊急入所先の介護施設を確保 オープンカンファレンス(月1回) 三重在宅ケア研究会(年1回) 在宅医療研究会 55回開催 選ばれる医療機関になるために 患者満足度は職員満足度に比例 土日祝休み、17時終業、有給休暇全消化 毎月、スタッフみんなでディナー 毎週1回はランチミーティング 情報共有は毎日ミーティングで行う 看護師は平日日中の業務に専念 オンコールは常勤医師4名1チームが理想 休日時間外はすべて常勤医師対応 訪問が1日10件超えるようなら医師採用