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大阪の難読地名の由来 大阪府立岸和田高等学校 山本宗規 <きっかけ> 以前ある番組で大阪の難読地名の問 題が出されていたが、半分くらいしか 読み方が分からなかった。 その時に、どうしてこのような読み 方になったのだろうかと思い、この探 究を機会に研究することにした。 <研究内容> 大阪の難読地名がどのような由 来があって難読になったのかを調 べ、由来ごとに分類をする。 <仮説> 元々言われていた地名に当て字をし て、今の地名になったという理由が、 多数を占めるのではないかと考えた。 <研究の方法> 難読地名だけでもたくさんあるので、大阪の 駅名になっているものに限定する。 難読駅名の中でも漢字が難しい駅名(例: 鳳)や、表記されない「の」「が」を含む駅 名(例:二色浜)を除いた特殊な読み方の駅 名とする。 説が複数ある場合、最も有力なものとする。 <選んだ駅名> 24+(4)駅 JR 南海 近鉄 阪急 京阪 大交 水鉄 大高 我孫子町・放出・御幣島・富木・北信太 孝子・深日町 河堀口・布忍・土師ノ里・弥刀・八戸ノ里 上牧・柴島・十三 交野市・私市・郡津 喜連瓜破・野江内代 清児・近義の里・名越 沢良宜 *+(4)は同じ地名を使った別の駅名の数 <選んだ駅名> 24+(4)駅 JR 南海 近鉄 阪急 京阪 大交 水鉄 大高 あびこちょう はなてん みてじま とのき きたしのだ 我孫子町・放出・御幣島・富木・北信太 ふけちょう 孝子・深日町 みと やえのさと ぬのせ こぼれぐち はじのさと 河堀口・布忍・土師ノ里・弥刀・八戸ノ里 かんまき くにじま じゅうそう 上牧・柴島・十三 かたのし きさいち こうづ 交野市・私市・郡津 きれうりわり のえうちんだい 喜連瓜破・野江内代 こぎのさと なごせ せちご 清児・近義の里・名越 さわらぎ 沢良宜 きょうし *+(4)は同じ地名を使った別の駅名の数 <結果> 仮説の「元々言われていた地名に当て字 をして、今の地名になった」という地名 はなかった。 <種類分けの一覧> 由来の違いをこの5種類に分けた (1)読み方が変化 (2)漢字が変化 (3)読み方・漢字とも変化 (4)読み方・漢字とも変化なし (5)その他 <種類分けの一覧> 由来の違いをこの5種類に分けた (1)読み方が変化 (2)漢字が変化 (3)読み方・漢字とも変化 (4)読み方・漢字とも変化なし (5)その他 (1)読み方が変化 河堀口 御幣島 上町台地開削工事の 古代、ここに船の運行を 際掘りかけた堀川に、守るための姫神が祀られ ていたことから。神が宿 ちなむ。 る依代を「みてぐら(御 堀川を河堀(こぼ 幣・御手座)」という。 り)と言いそれが 「みてぐらじま」から 「こぼれ」と訛った 「ぐら」が省略された。 放出 近くにあった大湖沼 の放出口があったこ とから、「はなちで ん」などと呼ばれそ れが訛り「はなて ん」となった。 <種類分けの一覧> 由来の違いをこの5種類に分けた (1)読み方が変化 (2)漢字が変化 (3)読み方・漢字とも変化 (4)読み方・漢字とも変化なし (5)その他 (2)漢字が変化 交野市 富木 清児 肩野物部氏の本拠地 中臣氏の一族殿木氏 行基がこの地で「清 な稚児たちよ」言っ の居住地。 だった。古くは、肩 たことから。 野と書いたが交と誤 後に漢字が変わった 清稚児が清児に変化 写したため交野で、 と考えられる。 「かたの」となった。 <種類分けの一覧> 由来の違いをこの5種類に分けた (1)読み方が変化 (2)漢字が変化 (3)読み方・漢字とも変化 (4)読み方・漢字とも変化なし (5)その他 (3)読み方・漢字とも変化 柴島 私市 昔、国島とも此木島 とも呼ばれていた。 「此」と「木」が合 体し「柴島」に「く にじま」の読みが合 わさった。 古代、妃のために置 かれた私部(きさい べ)に市が置かれ私 部市と呼ばれそれが 省略され私市(きさ いち)となった。 近義の里 「こんき」から「こ き」へと読み方が変 化し当て字に近義を 使用したことで「こ ぎ」へと変化した。 <種類分けの一覧> 由来の違いをこの5種類に分けた (1)読み方が変化 (2)漢字が変化 (3)読み方・漢字とも変化 (4)読み方・漢字とも変化なし (5)その他 (4)読み方・漢字とも変化なし 孝子 (北)信太(山) 橘逸勢の娘が配流中 百済出身の渡来人信 に死亡した父をこの 太氏が住んでいたこ 地に葬り終生その墓 とから。 を守ったという話が 残っていることから。 孝は呉音から。 我孫子(町・道・前) 当地に依羅吾彦(よ さみあびこ)が居住 したことから。 吾彦は我孫子とも表 記する。 <種類分けの一覧> 由来の違いをこの5種類に分けた (1)読み方が変化 (2)漢字が変化 (3)読み方・漢字とも変化 (4)読み方・漢字とも変化なし (5)その他 (5)その他 沢良宜 由来についてはよく分 かっていないが、近く に佐和良義(さわら ぎ)神社がありこの 「さわらぎ」の漢字が 変化したのではないか と推測する。 喜連瓜破 喜連と瓜破二つの地 名をあわせた駅名。 喜連は「くれ」から 「きれ」に訛ってで きた。瓜破は道昭と いう僧が社殿を造り ウリを破って供じた という伝承から。 <種類分けの結果> (1)読み方が変化 10 (2)漢字が変化 3 (3)読み方・漢字とも変化 4 (4)読み方・漢字とも変化なし 5 (5)その他 2 <結果> 仮説の「元々言われていた地名に当て字 をして、今の地名になった」という地名 はほとんどなかった。 <考察1> 難読の由来を漢字の面で考察すると・・・ •呉音が使われることによって難読地名になること があった。 •古語の意味が残ったままになっている地名も難読 地名になる理由の一つかもしれない。 <考察2> 難読の由来を歴史の面で考察すると・・・ その土地に関連が深い人が関わって出来た地名が 11/24と選んだ難読駅名のほぼ半分だった。 このことから、 •難読地名になる一つの理由として、人が関係するこ とが多いのではないか。 •上記の人の中でも渡来人が由来の地名も複数あるの は関西だからこその理由だからではないか。 <参考文献> 大阪難読地名がわかる本 創元社編集部 創元社 大阪「駅名」の謎ー日本のルーツが見えてくる 谷川彰英 祥伝社黄金文庫 http://seyana.net/