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「地域産業・企業の活性化に向けて」 ∼金融行政の展開∼

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「地域産業・企業の活性化に向けて」 ∼金融行政の展開∼
経済連携協定(EPA)の利用支援セミナー
平成28年12月13日
「地域産業・企業の活性化に向けて」
∼金融行政の展開∼
財務省関東財務局
総務部長 川瀬 透
地域密着型金融推進の経緯
地域密着型金融とは、「金融機関が顧客との間で親密な関係を長く維
持することにより顧客に関する情報を蓄積し、この情報を基に貸出等の
金融サービスの提供を行うことで展開するビジネスモデル」(金融審議会
金融分科会第二部会報告書(平成15年3月))
(1)発端
•
•
•
平成14∼15年当時、不良債権問題が喫緊の課題/「経済政策の1丁目1番地(小泉内閣)。
主要行に対しては「金融再生プログラム」(平成14年10月)により3年間で不良債権比率半減が
目標とされる。
地域金融機関には地域密着型金融の推進により地域企業の改善再生ともに自らの健全性・収
益性の向上を期す。
(2)平成15∼18年度:「アクションプログラム」による推進
•
•
アクションプログラム:各金融機関で推進計画をたて半期毎に推進実績を開示・報告することを
課す。
期間を限定(15∼16年度/集中改善期間、17∼18年度/重点強化期間)
1
地域密着型金融推進の経緯
(3)平成19年度∼:「恒久的な枠組み」の下での推進
地域密着型金融の本質を以下の3分野に整理し、取組み内容については監督指針に盛り込み
恒久化。
①ライフサイクルに応じた取引先企業の支援の一層の強化
②事業価値を見極める融資手法をはじめ中小企業に適した資金供給手法の徹底
③地域の情報集積を活用した持続可能な地域経済への貢献
• 各金融機関の自発性を尊重し、行政は地域密着型金融が深化・定着するような動機付け・環境
整備を行う。
•
(4)平成23年度∼:コンサルティング機能の発揮
•
•
リーマンショック後の経済停滞や中小企業金融円滑法を踏まえ、監督指針を改正。
顧客との関係強化から企業の経営問題の本質を見極め、最適なソリューション(問題解決)を提
案し、外部機関等と連携し実行していく。
2
企業ヒアリング及び条件変更先等調査
≪企業ヒアリング等≫
○ 金融庁のこれまでの取組みに関わらず、企業からは、「金融機関は相変わらず担保・保証に依存してい
るなど対応は変わっていない」といった声が聞かれた。
○ 取引金融機関に対する企業の評価を把握するため、面談によるヒアリングや書面によるアンケート調査
を実施(「企業ヒアリング」及び「アンケート調査」)。また、その結果を基に、金融機関との対話を実施。
≪条件変更先等調査≫
○ 貸付条件の変更期間が長期化するとともに、抜本的な事業再生は進んでいない状況を踏まえ、地域企
業の生産性向上等に向けて、抜本的な事業再生への課題を明らかにするため、貸付条件の変更先の
現状や金融機関による支援状況の調査を実施。
<参 考>
創業期
成長期・安定期
衰退期・再生期
再チャレンジ
(or事業清算)
★企業から直接回答を受領
金融庁の調査
企業ヒアリング
751社(大・中規模・中小・小規模企業)
企業アンケート調査 2,460社(小規模企業)
(注)対象企業は、全国の企業規模別割合をできる限り反映できるよう調整
★金融機関から企業のデータを受領
長期条件変更先 1,000社
★金融機関、事業再生の支援機関、サービサー、
ファンド運営会社等からヒアリング等を実施
3
企業ヒアリング・アンケート調査結果①
○ 企業は、メインバンクに対し、「融資の金利条件」以上に、「自社や自社の事業への理解」を求めている
○ 金融機関に対して「経営上の課題や悩み」を全く相談していない企業が一定数存在
企業がメインバンクに求めるもの
金融機関への相談状況(規模別)
(%)
0
10
20
30
40
50
60
0
20
23
大企業・中規模企業
43
自社や自社の事業への理解
60
80
100 (%)
51
26
45
29
39
支店が近い
融資スタンス(業況悪化
時等も安定した融資)
25
26
中小企業
約3倍
15
融資実行までの意思決定が速い
14
融資の金利条件が良い
小規模企業
13
融資以外の各種サービスの提供
12
43
45
12
頻繁に訪問してくれる
日常的に相談
短期継続融資借入への対応
40
55
長年の付合いによる信頼関係
時々相談
全く相談したことがない
7
4
企業ヒアリング・アンケート調査結果②
○ 企業が「提供して欲しい情報」と、金融機関から実際に「提供を受けている情報」との間には、ギャップ
が存在。企業は「自社及び取引先の業界動向」等、自社の事業に直結する情報を求めているが、金融
機関は「経済・金融・国際情勢」等の一般的な情報や供給側の都合による情報を提供する傾向
○ メインバンクと相談して支援を受けたことがあると回答した企業(1,639社)の約8割が、「財務内容の改
善」等、何らかの効果があったと回答
企業が求める情報と実際に提供されている情報のギャップ
0
10
20
30
金融機関による経営支援サービスによる貢献度
50 (%)
40
0
10
20
19
49
24
22
利益の増加
15
19
自社が属する業界動向(競合企業の状況含む)
38
事業分野の拡大
14
取引先の業界動向
16
10
24
11
事業の継続
20
経営課題の解決策
19
財務内容の改善
30
40 (%)
29
売上げの増加
20
地域情勢
金融機関の業務に関する情報
30
48
経済・金融・国際情勢
37
10
44
金融商品に関する情報
社内管理体制の整備
11
9
13
公的支援策に関する情報
採用・研修など人材に関する情報
21
役職員の知識・技能の向上
28
提供を受けている情報
提供してほしい情報
具体的な効果なし
債務者区分上位
21
17
債務者区分下位
20
23
5
銀行による借手企業の事業性評価
借手企業の事業性に対する評価の検証
市場
(Customer)
競争
(Competitor)
対象企業の事業特性
(Company)
市場規模・成長性
競争環境
事業の経済性(規模型・分散型)
市場ニーズ
新規参入、競合各社の状況
勝敗を決める/収益性を
規定する要因
対象企業のユニークネス
- 経営資源・強み
- 組織風土
対象産業の一般的な勝ちパターン
上記を踏まえ、対象企業の事業性や経営改善の方策について、
銀行としての関わり方を議論
銀行における事業性評価に係る態勢を双方向の議論を通じて共有
6
企業のライフステージ(イメージ)
売上高・
利益額
経営改善・生産性向上・
体質強化の支援
成熟
成長鈍化
成長
衰退
経営課題に対する、適切な
コンサルティング機能の発揮
新興
創業・成長の
支援
創業・起業
抜本的な事業再生
に向けた支援
担保・保証に必要以上に依存
しない、事業性評価に基づく
融資
円滑な退出の支援
経営者保証ガイドライン
の積極的な活用
時間
地域経済活性化支援機構(REVIC)の機能の積極的な活用
7
金融仲介機能のベンチマークについて①
ベンチマーク策定の趣旨
 多くの金融機関は、経営理念や事業戦略の中で、金融仲介機能を発揮し、取引先企業のニーズ
や課題に応じた融資やソリューション(解決策)の提供により、取引先企業の成長や地域経済の
活性化等に貢献していく方針を掲げている。
 他方、企業からは、依然として、「金融機関は、相変わらず担保・保証に依存しているなど対応は
変わっていない」との声。
昨事務年度に実施した企業ヒアリングによれば、多くの企業が、金融機関に対して、事業の理解
に基づく融資や経営改善等に向けた支援を求めている。
 監督・検査を通じて、企業から評価される金融機関は、取引先企業のニーズ・課題の把握や経営
改善等の支援を組織的・継続的に実施することにより、自身の経営の安定にもつなげていること
などを確認。
 金融機関が、金融仲介の質を一層高めていくためには、自身の取組みの進捗状況や課題等につ
いて客観的に自己評価することが重要。
 金融機関における金融仲介機能の発揮状況を客観的に評価できる多様な指標(「金融仲介機能
のベンチマーク」)を策定・公表。
8
金融仲介機能のベンチマークについて②
共通ベンチマーク <5項目>
項 目
取引先企業の経営改善や成長力の強化
具体例
 経営指標の改善や就業者数の増加が見られた取引先数・融資額の推移
 貸付条件変更先の経営改善計画の進捗状況
取引先企業の抜本的事業再生等による
生産性向上
 金融機関が関与した創業、第二創業の件数
 ライフステージ別の与信先数・融資額
担保・保証依存の融資姿勢からの転換
 事業性評価に基づく融資を行っている与信先数・融資額
選択ベンチマーク <50項目>
項 目
地域企業とのリレーション
担保・保証に過度に依存しない融資
具体例
 取引先数(うちメイン取引先数・地元の取引先数)の推移、担当者1人当たりの取引先数
 事業性評価の結果等を提示して対話を行っている取引先数
 地元の中小企業向け融資のうち無担保融資先数
本業支援・企業のライフステージに応じた
ソリューションの提供
 事業再生支援で債権放棄等を行った先数及び実施金額
経営人材支援
 中小企業に対する経営人材等の紹介数
業務推進体制
 中小企業向け融資や本業支援を担当する従業員数
支店・個人の業績評価
 本業支援に関連する評価の支店・個人の業績評価に占める割合
外部専門家の活用
 外部専門家を活用して本業支援を行った取引先数
 創業支援、販路開拓支援、事業承継支援等の先数
収益管理態勢
 事業性評価に基づく融資・本業支援に関する収益の実績・中期的見込み
ガバナンスの発揮
 取引先の本業支援に関連する施策の達成状況や取組みの改善に関する
取締役会における検討頻度、社外役員への説明頻度
9
「日本型金融排除」の実態把握
○ 融資に関し、金融機関と顧客企業の認識に相違(注1)がある中、「日本型金融排除」 (注2)が生じて
いないかについて企業ヒアリング等により実態把握を行う
(注1) 銀行:融資可能な貸出先が少なく、銀行間の金利競争が激しい、顧客:銀行は、担保・保証が無いと貸してくれない
(注2) 十分な担保・保証のある先や高い信用力のある先以外に対する金融機関の取組みが十分でないため、企業価値
の向上等が実現できていない状況
(参考) 「日本型金融排除」のイメージ図
担保・保証がなくても事業に将来性がある先、信用力は高くないが地域になくてはならない先 等
(金融排除の可能性)
十分な担保・保証のある先、高い信用力のある先 等
事業再生等企業
価値向上の取組み
(事業を見ずに激しい金利競争)
融資可能な先
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金融庁・財務局へのご意見・ご相談
○ 借入れでお困りのことなど金融庁や財務局へのご意見・ご相談がありましたら、金融庁・財務局・財務事務
所の相談窓口へ。
みなさまからのご意見・ご相談などを受け付けます
借り手のみなさまからのさまざまなご相談などにお答えいたします。
・ 借入れや返済について、取引金融機関との間でお困りのこと
・ 経営改善や事業再生に関する中小企業支援策の活用 など
また、ご相談内容に応じて専門の機関をご紹介いたします。
お問い合わせ先
関東財務局の相談窓口(受付時間:平日午前9時∼午後4時)
中小企業等金融円滑化相談窓口 関東財務局(本局) 理財部 金融調整官 048‐615‐1779
東京財務事務所
理財第1課 03‐5842‐7014
金融庁の相談窓口(受付時間:平日午前10時∼午後5時)
金融円滑化ホットライン
0570‐067755 / 03‐5251‐7755
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