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第37回神戸市環境保全審議会

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第37回神戸市環境保全審議会
第37回神戸市環境保全審議会
日程:平成23年11月16日(水)
午前10時1分~午後0時1分
場所:三宮研修センター
7階
○梶川部長
705会議室
お待たせしました。ただいまから第37回神戸市環境保全審議会を開
会させていただきたいと思います。
本日はお忙しい中御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。私は
環境局資源循環部長の梶川でございます。どうぞよろしくお願いいたします。座って
進行させていただきます。
それではまず会議に入ります前に、お手元にお配りをしてございます配付資料の確
認をさせていただきたいと存じます。まず資料の1としまして、神戸市環境未来都市
構想説明資料でございます。それから資料の2としまして、その構想の概要版でござ
います。それから資料の3としまして、平成22年度新・神戸市環境基本計画年次報
告書の案でございます。それから資料の4としまして、悪臭防止法の規制方式変更の
検討について(中間報告)という1枚物の資料でございます。それから参考資料とし
まして、参考資料の1が当審議会の規則、参考資料の2が当審議会の運営について、
それから参考資料の3が委員名簿となってございます。資料のほうに不足はございま
せんでしょうか。
それでは次に、定足数の御報告をさせていただきます。審議会の委員33名のうち
本日23名の委員の方に御出席をいただいております。よって、委員の過半数が定足
数となってございますが、これを満足して有効に成立をいたしておりますことを御報
告申し上げます。
続きまして、4月に委員の改選がございましたので、御就任をいただきました委員
の皆様の御紹介をさせていただきたいと思います。先ほどのお手元の参考資料の3に
-1-
委員名簿がございますが、それと一緒にごらんいただければと思います。それでは、
順に御紹介させていただきたいと思います。
今回新たに委員に御就任いただきました大阪教育大学教育学部准教授の石川聡子委
員でございますが、本日は御欠席でございます。
続きまして、神戸大学大学院経済学研究科教授の石川雅紀委員でございますが、本
日は御欠席でございます。
続きまして、大阪大学大学院法学研究科教授の大久保規子委員でございます。
○大久保委員
○梶川部長
お願いいたします。
続きまして、今回新たに委員に御就任いただきました関西大学環境都
市工学部准教授の岡絵理子委員でございます。
○岡委員
○梶川部長
岡と申します。よろしくお願いいたします。
続きまして、神戸大学内海域環境教育研究センター長の川井浩史委員
でございますが、本日は御欠席でございます。
続きまして、今回新たに委員に御就任いただきました立命館大学経済学部教授の島
田幸司委員でございますが、本日は御欠席でございます。
続きまして、京都大学大学院人間・環境学研究科准教授の中嶋節子委員でございま
すが、本日は御欠席でございます。
続きまして、神戸山手大学現代社会学部教授の中野加都子委員でございます。
○中野委員
よろしくお願いいたします。
○梶川部長
続きまして、今回新たに委員に御就任いただきました兵庫県立大学経
済学部教授の新澤秀則委員でございます。
○新澤委員
よろしくお願いします。
○梶川部長
続きまして、大阪産業大学人間環境学部教授の花田眞理子委員でござ
います。
○花田委員
花田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
-2-
○梶川部長
続きまして、今回新たに委員に御就任いただきました岡山大学大学院
環境学研究科教授の藤原健史委員でございますが、本日は御欠席でございます。
続きまして、京都女子大学現代社会学部教授の槇村久子委員でございます。
○槇村委員
槇村でございます。よろしくお願いいたします。
○梶川部長
続きまして、龍谷大学経済学部教授の増田啓子委員でございます。
○増田委員
増田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○梶川部長
続きまして、関西大学環境都市工学部教授の盛岡通委員でございます。
○盛岡委員
盛岡でございます。よろしくお願いします。
○梶川部長
続きまして、神戸大学大学院工学研究科教授の森本政之委員でござい
ます。
○森本委員
森本でございます。よろしくお願いします。
○梶川部長
続きまして、今回新たに委員に御就任いただきました和歌山大学シス
テム工学部講師の山本祐吾委員でございます。
○山本委員
どうぞよろしくお願いいたします。
○梶川部長
続きまして、大阪工業大学工学部教授の渡辺信久委員でございます。
○渡辺委員
渡辺です。よろしくお願いします。
○梶川部長
続きまして、今回新たに委員に御就任いただきました神戸市会議員の
赤田勝紀委員でございます。
○赤田委員
よろしくお願いします。
○梶川部長
続きまして、今回新たに委員に御就任いただきました神戸市会議員の
上原みなみ委員でございます。
○上原委員
上原みなみです。よろしくお願いします。
○梶川部長
続きまして、今回新たに委員に御就任いただきました神戸市会議員の
堂下豊史委員でございますが、本日は御欠席でございます。
続きまして、神戸市会議員の浜崎為司委員でございます。
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○浜崎委員
浜崎です。どうぞよろしく。
○梶川部長
続きまして、今回新たに委員に御就任いただきました神戸市会議員の
守屋隆司委員でございます。
○守屋委員
よろしくお願いいたします。
○梶川部長
続きまして、今回新たに委員に御就任いただきました神戸市会議員の
横畑和幸委員でございます。
○横畑委員
おはようございます。
○梶川部長
続きまして、今回新たに委員に御就任いただきました神戸市自治会連
絡協議会会長の岩佐光一朗委員でございます。
○岩佐委員
岩佐です。どうぞよろしくお願いします。
○梶川部長
続きまして、神戸市婦人団体協議会専務理事の妹尾美智子委員でござ
いますが、本日は御欠席でございます。
続きまして、今回新たに委員に御就任いただきました第10期市政アドバイザーの
原田かおり委員でございます。
○原田委員
原田と申します。よろしくお願いいたします。
○梶川部長
続きまして、生活協同組合コープこうべ理事の新保雅子委員でござい
ますが、本日は御欠席でございます。
続きまして、今回新たに委員に御就任いただきました兵庫県環境保全管理者協会企
画委員会副委員長の原剛敏委員でございます。
○原委員
○梶川部長
原と申します。よろしくお願いします。
続きまして、神戸商工会議所専務理事の村田泰男委員でございますが、
本日は所用のため村田委員の代理として神戸商工会議所理事プロジェクト推進部長の
安田様に御出席いただいております。
○安田委員
よろしくお願いいたします。
○梶川部長
続きまして、連合神戸地域協議会事務局長の松井信五郎委員でござい
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ます。
○松井委員
松井でございます。よろしくお願いいたします。
○梶川部長
続きまして、兵庫県環境部長の佐藤啓太郎委員でございますが、本日
は御欠席でございます。
続きまして、兵庫県瀬戸内海環境保全連絡会副会長の藤井貞夫委員でございます。
○藤井委員
藤井です。よろしくお願いいたします。
○梶川部長
続きまして、今回新たに委員に御就任いただきました環境省近畿地方
環境事務所環境対策課長の山根正慎委員でございます。
○山根委員
よろしくお願いいたします。
○梶川部長
以上が御就任いただきました委員の皆様でございます。どうぞよろし
くお願いいたします。
続きまして、本日の議事に入ります前に環境局長の河合より一言ごあいさつさせて
いただきたいと存じます。
○河合局長
おはようございます。環境局長の河合でございます。どうぞよろしく
お願いいたします。
審議会の開催に当たりまして、一言ごあいさつを申し上げたいと思います。
まず本日は御多忙のところ御出席いただきまして、まことにありがとうございます。
この環境保全審議会でございますけども、神戸市民の環境を守る条例の第53条の規
定に基づきまして、平成6年に設置をされてございます。神戸市民の健全で快適な環
境の確保に関する基本的事項や重要事項について御審議をいただくということになっ
てございます。
本日は私どもから3点報告をさせていただきたいと予定をいたしております。
一点目は、今年の9月の末日に国に提案してございます神戸市の環境未来都市構想
について御報告をさせていただきます。
2点目は、平成22年度の神戸の環境の状況と、神戸市環境基本計画の施策の実施
-5-
状況について御報告をさせていただきたいと思っております。
さらに3点目でございますが、悪臭防止法の規制方式を変更することについて現在
検討しておりまして、その中間報告をさせていただきたいと考えておりまして、それ
ぞれについて委員の皆様から御意見を伺いたいと思っております。
また、特にこの東日本大震災以降、エネルギー政策の見直しが求められております
けども、神戸市としましても再生可能エネルギーの早期に大幅な導入が必要であると
今認識を強くしておりまして、布施畑環境センター、布施畑の処分場なんですけれど
も、今ここに大規模な太陽光発電施設の設置を考えております。こういったことであ
りますとか、あるいは、今年の2月に策定しておりますけども、神戸市の地球温暖化
防止実行計画、それに基づきまして再生可能エネルギーをもっと着実に普及させるた
めの効果的な方策をアクションプログラムとして取りまとめるということも検討して
おりまして、今後このような取り組みが具体化しました時点で、本審議会に改めて御
報告をさせていただきたいと思っております。
それでは限られた時間でございますが、十分な御審議をいただくようお願い申し上
げまして、簡単でございますが、私からのあいさつとさせていただきます。どうぞよ
ろしくお願いいたします。
○梶川部長
それでは本日の議事に移らせていただきたいと存じます。
最初の議題は、正副会長の選出でございます。本年4月に委員の改選をいたしまし
たが、改選後、最初の審議会でございますので、正副会長を決定していただく必要が
ございます。参考資料1の環境保全審議会規則第4条2項に記載をしておりますが、
会長及び副会長は委員の互選によって定めるということになってございます。委員の
皆様に会長、副会長の御推薦をいただければと存じます。どうぞよろしくお願いいた
します。
○中野委員
推薦させていただきます。まず、会長はこれまで長きにわたって当環
境保全審議会の副会長として会長を補佐してこられ、また地球環境問題や環境計画な
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どの幅広い分野で第一人者であられる関西大学の盛岡教授を推薦させていただきたい
と思います。次に副会長には、都市計画や景観などの公益的視点からの持続可能な社
会システムづくりなどの研究のエキスパートで、大阪市環境審議会の会長でもあられ
る京都女子大学の槇村教授を推薦させていただきます。
○梶川部長
ありがとうございます。
ただいま中野委員より、会長といたしまして盛岡委員、副会長といたしまして槇
村委員の御推薦をいただきました。御承認させていただいてよろしいでしょうか。
(「異議なし」との声あり)
○梶川部長
ありがとうございます。
盛岡委員に会長を、槇村委員に副会長をお引き受けいただきたいと存じます。
恐れ入りますが、会長席及び副会長席にお移りをいただけたらと思います。よろし
くお願いします。
それでは、盛岡会長と槇村副会長に一言ずつごあいさつをいただきたいと存じます。
最初に、盛岡会長よろしくお願いします。
○盛岡会長
恐れ入ります。盛岡でございます。先ほど私を会長にということで御
推挙いただきました。
よく考えてみますと、ここに御出席の学識のメンバーの中では、どうも私が一番年
長のようでありまして、本来ですと4月の改選の時期に私ももう退任をしたほうがよ
いというように思っておりましたが、私自身が神戸で長く生活をしたということもあ
りますのと、それから人間環境都市宣言以来、環境の取り組みの中で、日本をリード
してきたという神戸市のさらなる発展に少しでも貢献できれば、私としても自分自身
の生き方としても、自分なりに考えることができるということもありまして、お受け
いたしました。当審議会に委員として入るということから、今回会長としてさらに頑
張れと、こういうことでございますので、皆様方の御支援、御協力を得て、進めてま
いりたいと思います。
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先ほど申し上げました人間環境都市宣言以来、あるいは92年のリオサミットを
経て、約20年たつわけですね。その間に、私64歳ですけども、前回のリオサミッ
トのときには、日本の社会はまだまだ明るいと思っておりましたが、だんだん厳しい
状況になってきている。この厳しい状況をつくったのも、もしかしたら団塊の世代の
功罪半ばみたいなところがあるなというふうに思っていまして、これからはどちらか
というと団塊の世代が恵みを受け取るというよりは、次世代のためにできることをや
るという側に回って、少しでも力を発揮したいというように自分自身は考えておりま
す。その面で、会長として自分自身ができることはわずかでございますが、皆様方の
御支援・御協力のもとで、ぜひ神戸市及び日本の未来をつくっていきたいというふう
に考えています。よろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。
○梶川部長
ありがとうございました。
続きまして、槇村副会長お願いいたします。
○槇村副会長
京都女子大学の槇村でございます。先ほどは過分な御推薦いただき
まして、恐縮しております。
実は私もこの中で盛岡先生と同世代の人間でございまして、リオサミットから随分
と日本の中もいろんなことございました。私は住まいも大学もこちらではないのです
が、随分以前から、兵庫県神戸市とかかわらせていただいておりまして、勉強もさせ
ていただいてまいりました。先ほど局長のごあいさつにもございましたように、東日
本大震災の後、今までの環境問題にプラスして、非常に違う局面で、早急にいろんな
ことを考えなければならない局面がさらにプラスされたというふうに思っております。
そういう時期に担当させていただくということは身の引き締まる思いでございますけ
れども、皆様と御一緒に忌憚のない議論を経て、いい審議会になるように努めさせて
いただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○梶川部長
ありがとうございました。
それではこれからの議事進行につきましては、当審議会規則第5条第1項によりま
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して、盛岡会長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○盛岡会長
それではこの後、私のほうで司会を進めさせていただきます。
議事の2番でございますが、神戸市環境未来都市の構想についてということで御説
明をお願いしたいと思っています。このプロジェクトといいますか、構想につきまし
ては、国のほうで現在採択に向けての最終的な審査の過程にあるというように伺って
おります。ウェブサイト等で第1段階、第2段階の結果も出てございますので、その
あたりも含めて、今後の御対応を含めながらの御説明をぜひお願いしたいと思ってい
ます。基本的に、この環境審議会の審議事項では、今のところございませんが、環境
政策を推進する上では、極めて重要であり、今後、この計画を推進していくに当たっ
て、審議会の皆様方にも、さまざまな局面で御意見を伺うということになろうかと思
います。それでは事務局のほうから、御説明お願いいたします。
○横田室長
よろしくお願いします。
資料1、資料2で、今、会長から御案内がありました環境未来都市構想をこの9月
30日に国に提案いたしました。それの御報告を申し上げたいと思っております。た
だ、実は後で御説明申し上げますけれども、国からの提案の内容が非常に詳細でござ
いまして、実は提出いたしました提案書の内容が参考資料を入れまして300ページ
は超える余りにも膨大な資料になりますので、本日は申しわけありませんが、資料1
のこの委員会用にちょっとコンパクトにまとめた資料で、御説明を申し上げたいと思
っておりますので、よろしくお願いいたします。
それでは、こちらのスクリーンを使って御説明申し上げます。ただし、資料1で同
じ資料をお配り申し上げておりますので、後ろの委員の先生方恐縮でございますが、
もし見ずらい場合は、お手元の資料で御確認いただければと思います。
まず、国の環境未来都市構想の御説明を事前に申し上げます。
昨年の6月に新成長戦略が閣議決定をされております。この中で21世紀の日本の
復活に向けた21の国家戦略プロジェクトというものが選定列挙されまして、例えば
-9-
今から申し上げます環境・エネルギーの分野では、この8月に成立しました固定価格
の買い取り制度でありますとか、二つ目に、この環境未来都市構想が載ってございま
す。ちなみに、この地域活性化の部分では、今私どもとあわせて国に提案しておりま
す総合特区制度、この制度もこの21の国家戦略プロジェクトの一つでございます。
この環境未来都市構想の国が申されておりますコンセプトは、環境だけではなくて、
超高齢化対応等に向けた人間中心の新たな価値を創造する都市ということで、要は、
今までどうしても環境エネルギーに偏りがちでしたけれども、もう一つの大きな国家
的な課題としまして、超高齢化対応というものがあり、そういうものを全部含めた人
間中心の環境価値を創造する都市と、非常に大きな概念の構想の提示がございました。
求められる要件といたしましては、環境価値のみならず社会的価値、経済的価値、
この三つの価値の総合的な創造ということで、経済的、社会的という概念が入ったと
いうことと、国の補助金に過度に依存しないような、自立的、自分で立ってかつ自分
を律するような事業モデルをつくりなさいということでございます。三つ目は、産民
学で自治体コンソーシアムをつくって、みんなでプロジェクトマネジメントをするよ
うにしなさいとか、このようないろいろな要件が提示をされてございます。
これに採択されるとどんなメリットがあるかということを簡単に書いてございます
けれども、国の資料によりますと、環境未来都市に選定された都市には、国が財政
的・制度的にできる限りの集中的支援を行うと、こういう表現がされてございます。
今年度に限って、具体的な話を申し上げますと、内閣官房さんのほうで10億円の予
算がついております。これはあくまでも今年度の予算でございまして、聞くところに
よりますと、来年度以降、例えば実際に事業を多くされます経済産業省さんとか、国
土交通省さんとか、環境省さんとか、そういう各省庁がいろいろ予算をお組みになら
れまして、未来都市に選定された都市にはその予算の中から優先的に配分がされるの
ではないかという話がございます。
選定のプロセスでございますけども、この9月に選定の公募要領というものが出ま
-10-
して、提出期限が9月30日までということで、私ども9月30日に先ほどの300
ページを超える資料を提案申し上げました。現在1次審査、2次審査というのが進ん
でおりまして、最近の情報ですが、3次評価という形で、今から申し上げます検討会
の先生方のヒアリングがあります。これは書面審査の結果かなり絞られてヒアリング
がなされます。どうも30都市ほどの応募で、ヒアリングに進んだのは災害地を除く
と12都市ぐらいというふうに聞いてございますけども、私ども幸い3次審査に進む
ことができまして、11月24日、来週に、ヒアリングがあるということで頑張って
こようと思っております。市長に強い意気込みをここで言っていただこうと思ってお
ります。そして、最終的には12月中旬に新成長戦略実現会議分科会、未来都市の分
科会で選定が決定されると、こんな流れでございます。
選考委員の先生方20人列記してございますけども、実は始まった当初、昨年の1
0月に有識者検討会が始まりましたが、当時は環境エネルギーにほぼ特化したような
先生方でございまして、その検討の中で、環境のみならず超高齢化と、あと産業振興
でありますとか、国際化でありますとか、いろんな日本の課題を挙げてこられました。
その結果、メンバーが例えば高齢社会の先生とか、医療・介護の先生とか、スポー
ツ・健康の先生とか、もっと言えば防災の先生とか、森林組合の先生とか、非常に多
面にわたる専門家の方々の参画を含めまして、今20人の委員の先生方でございます。
この方々が最終的に先ほどの書面審査からヒアリング等の審査もされると、こんな流
れでございます。
続きまして、選定基準でございますが、実は非常に細かい基準が出されまして、例
えば将来ビジョンではどんな魅力度を書けますかとか、単に今あることを将来的に延
長したのではだめだと、フォアキャスティングも大事だけどバックキャスティングを
して、大きな将来像を描いてそれを実現するロードマップをできるだけ書きなさいと
か。例えば取り組み内容でも、包括性、戦略性がありますかとか、事業の熟度はあり
ますかとか、本気度がありますかとか、非常に細かい選定項目の評価の視点というも
-11-
のが出されまして、こういうものにできるだけ私どもも沿うような形で提案をしたつ
もりでございます。
スケジュールは先ほど申し上げましたけれども、12月中旬ぐらいに選定がなされ
まして、その選定された都市に対しましては、計画策定をしなさいと、今までは構想
でしたが、それを具体的に事業に向けた計画を国と一緒につくり、先ほど申し上げま
した、内閣府からの10億円の予算を採択される範囲で使用するというような流れで
ございます。
今まで、国の制度の概要を御説明申し上げました。次に私どもで今まで検討した経
緯を若干御説明申し上げます。
昨年9月に環境局長の私的諮問機関という位置づけで、神戸の未来をつくるチーム
と称しておりますけども、主に神戸で御活躍いただいております、当時は環境を中心
にしました地元企業さんを中心に、今日、偶然会長でいらっしゃいますけども盛岡先
生にトップをお願い申し上げまして、未来をつくるチームというので、昨年9月から
今年の3月まで5回の検討をしてまいりまして、例えば神戸の魅力は何だろうなとか、
未来都市に向けたどんな将来ビジョンがいいかなとか、ここで「未来を拓くおしゃれ
なまちこうべ
災害に強い街でみんなが健やかに、集い、食す」と、こんな形のやっ
ぱり共通的なビジョンで将来構想を組み立てていこうというような形で取りまとめを
させていただいたということでございます。申し上げましたように、超高齢化とか、
観光とか、いろんな未来の分野を求められるようになりましたので、この7月に未来
をつくるチームを、新しい分野の先生方も入れて編成させていただきました。学識経
験者は、盛岡先生と、本日、副会長をお願いしました槇村先生と、神戸大学の近藤先
生、企業の方々は合計22社、環境エネルギーの委員の方々を中心に、高齢福祉の分
野や消費活動の分野、観光の分野や農業の分野などさまざまな分野のでき得る限り神
戸の魅力をブラッシュアップできるようなメンバーの方々をお集めして、7月から9
月まで3回の検討会議を開催させていただいて、神戸の公募の案をつくらせていただ
-12-
いたということでございます。
また庁内でございますけども、私どもこの4月に環境未来都市推進室というものが
できまして、私どもが中心にやらせていただいておるわけですけども、何分、環境だ
けではないということを多々申し上げております。したがいまして、庁内の連携が何
より大事でございまして、先ほどリオサミットの話を会長がされましたが、そのとき
に、市長を本部長とし地球環境問題に庁内で横断的に取組む地球環境保全推進本部
という組織ができまして、このたび、その下の筆頭部会に環境未来都市推進部会とい
うものを設けまして、私どもが事務局をさせていただいて、庁内ほとんどの局が集合
するような庁内組織をつくってございます。それで、この5月から9月まで会議は4
回ですが、中の打ち合わせは随時行って、庁内のいろんな施策を吸い上げ、また、環
境の施策は我々が独創的につくって、今回の公募の案をまとめさせていただきました。
前置きが長くなりましたけれども、今回提案している内容を御説明申し上げます。
まず一つ目は、現状と課題を認識した上で、神戸にどんな強み・魅力があるのかと、
それを再発見しようということでございまして、課題は申すまでもないんですけれど
も、昨今のエネルギー事情からかんがみまして、再生可能エネルギーを中心とするク
リーンなエネルギーへの転換が要るのではないかという話ですとか、六甲山をいま一
度再活性化させなければならないのではないかとか、超高齢化問題では、神戸も人口
が減少し、2025年には約9万人減るという予想もございまして、超高齢化は反対
に進んでいき、現在は高齢化率が22%ですが、2025年には31%を超え、特に、
75歳以上の方々のパーセンテージが20%に近づき御多分に漏れず神戸も超高齢化
が進んでいくまちになると。一方、少子化は、残念ながらあまり改善してないと。ま
た、出生率は、全国平均よりも神戸は低いと、こんな状況にございます。
こういう課題を認識した上で、かつ反対に、どのような魅力が神戸にあるのかとい
うことを再発掘といいますか、再認識しようということで、ここに簡単に六つほど挙
げてございます。まず、エネルギーの地産地消。これは、後で申し上げますが、下水
-13-
のこうべバイオガスという技術がございます。また、神鋼の火力発電、これは容量的
には140万キロワットと、非常に大きな電力が地産地消で発電できます。続いて、
ナレッジの集積では、世界一でございましたコンピュター「京」が、来年10月に本
格稼働いたします。続いて、医療産業都市は、言うまでもありませんけども神戸市の
看板事業ということで、日本最大のバイオクラスターの形成を今現在目指して邁進中
でございます。他にも、神戸ブランド・観光としていろんな観光資源ですとか、国際
都市としてこれまで培ってきた実績ですとか、空のゲートウエーの神戸空港、海のゲ
ートウエーの神戸港があり、非常に交通の便もよく、インフラが整備されている、こ
のような先進的な要素がいろいろあるんではないかなということで、こういうことを
踏まえて、まず将来ビジョンと戦略をまとめてみました。
まず将来ビジョンのコンセプトですけれども、私どもが考えましたのは、都市をと
にかく未来に変えていくに当たっては、まず健全な都市環境、恵み豊かな自然、こう
いったものがまず一番のベースにあり、その上に災害に強いまちというものがあって、
このような安全・安心なインフラのもとで、その上で暮らしていただける市民の方々、
企業の方々が健やかに集って食していただけるというのがマネジメントで回せればい
いよねと。こういう構想を、先ほど申し上げました昨年からの神戸の未来をつくるチ
ーム、この中で構想してきまして、具体的には環境・エネルギー以下、五つのテーマ
を考えてきたところでございます。
我々の視点で考えましたのは、2050年までという非常に今回長いスパンの未来
都市の構想ですけれども、片や人生はもっと長いんでございますね。やっぱり生まれ
てから高齢期に至るまで、さまざまなライフステージの中で、超高齢化対応としてど
のような健康対応があるかということと、また、それぞれそのライフステージに応じ
てどのような環境へのかかわりがあるかということを、ここでライフステージに応じ
て超高齢化、環境それぞれの観点で整理いたしました。このような観点から今回未来
都市構想を組み上げていこうということで、この図をつくっております。
-14-
続いて、神戸の将来ビジョンについてですが、「未来を拓くおしゃれな街こうべ」
というキャッチフレーズで、具体的に環境・エネルギーがどのような像を目指すのか
ということを書いたのがこの図でございまして、例えば環境・エネルギーでしたら、
「神戸産クリーンエネルギー100%で暮らす世界一空気・水のおいしい都市」と。
この中でクリーンエネルギーと書いてございますけども、もちろん再生可能エネルギ
ーが中心であり、それで本当に2050年に100%で暮らせるのかと、こういう議
論もございます。これは先ほどの未来都市の検討会議の中で今御議論いただいている
ところでございまして、私どもはもちろん再生可能エネルギーを中心にしつつも、そ
のエネルギーが途絶えたら大変ですので、それ以外の、例えば化石燃料を使う場合で
あっても、大気汚染物質であるとか、CO2であるとか、そういうものを極力出さな
い、トップランナー方式の発電施設であれば、クリーンエネルギーという形で寄与で
きるのではないかと。これも今検討課題でありますけども、そういう意味込みで、こ
ういう単語を使って、こういう目標を掲げてございます。例えば「健やか」でしたら、
子供から高齢者まで健やかに暮らし、健康寿命世界一を目指す都市でありますとか、
「集う」でありましたら、人・物・情報が世界一集積し、活力と文化に満ちあふれる
都市でありますとか、先ほどの選定基準ではありませんけれども、国のほうからは、
できるだけ前向きのバックキャスティングを含めた魅力ある将来の絵を書いて、それ
に向かって進めなさいと、こういう話もありましたので、できるだけ夢のあるイメー
ジがわくようなコンセプトを書いたつもりでございます。
今のは、あくまでも社会的な場の話でしたけども、それを市民の目から見たら、市
民には実はどんな恩恵があるかというのを簡単に書いたのがこの図でございます。例
えば、環境・エネルギーが今のような像が達成できますと、豊かな自然に囲まれて世
界一おいしい空気と水で健康に暮らすことができるとか、これにより市民にどんな恩
恵があるかというのをまとめた図でございます。
こういうコンセプトのもとに、基本戦略を六つほど書いてございます。他都市との
-15-
差別化といいますか、神戸がこれだけ魅力ある都市で、こんな未来都市に組み上げて
いきたいと、そのための六つの基本戦略をここで書かせていただいております。
まず一つは、地域特性を生かした総合的な取り組みということで、よく考えますと
神戸には田園があって、森林があって、市街地があって、港があってと。日本の全国
どこでもある地域特性を全部凝縮して、日本の縮図的な地域特性を持っている神戸と
いうのは、これは非常に大きな要素であるなということを我々考えまして、できるだ
けそれを地域特性に応じた独創的な施策をそれぞれ組み立てられたらなというのが1
点目でございます。
2点目は、エネルギーのベストミックスと書いてございますけども、後から御説明
申し上げます環境局で今頑張ろうとしております太陽光発電でありますとか、バイオ
ガスでありますとか、あと将来的には水素の利用でありますとか、こういうものをで
きるだけうまく、賢く使って、なだらかに安定型のエネルギー体制に組めないかなと
いうのがこの2点目でございます。
三つ目は、超高齢化の話でございますけども、高齢になった方々だけを対象にする
のではなくて、若いうちからの健康づくり、それと万が一病気になってもセーフティ
ネット、こういうものを準備することによりまして、総合的に超高齢化対応を進めて
いきたいというのが、三つ目でございます。
四つ目が、震災復興の経験と書いてございますけども、阪神・淡路大震災以降、非
常に堅牢なインフラを神戸の場合はつくってきました。それをまさに完成させる時期
であるとともに、それの成果を今回の東北の大震災にできるだけ御掲示申し上げ御活
用いただけたらなということが4点目でございます。あと、知のネットワークですと
か、地域マネジメントですとか、この六つを大きな戦略で掲げてございます。
これまで、環境・エネルギー以下五つのテーマで考えてまいりましたが、9月に国
のほうの公募要領が出まして、非常に細かいテーマの設定がなされました。例えば、
環境でいきますと、低炭素・エネルギー、水・大気、自然環境・生物多様性、3R。
-16-
超高齢化は、医療産業、地域医療、介護・福祉、子育てと非常に細かい設定がなされ
ました。ただし、国の言い方は、全部書かなくても結構ですよと。この中でその都市
が得意な分野を書いてくださいと、こういう話ではあったんですけども、私どもいろ
いろ考えまして、やはり人口150万人の大都市神戸でございますので、将来の未来
都市を考えるに当たって、やっぱり全テーマに挑戦していくべきではないかというこ
とで、この八つのテーマ全部についての提案をさせていただきました。全てのテーマ
に提案したのは、恐らく神戸だけではなかったかなと思っております。その他につい
ては、国のほうは自由にテーマを設定して書きなさいということで、私どもは防災・
復興支援と知のネットワーク・国際化と、この二つを独自につくって御提案申し上げ
ました。合計10個の項目の提案をさせていただいたところでございます。ちなみに
横浜市さんなんかは、5項目とかかなり絞って出しておられたようでございます。
個別ブロジェクトについて御説明申し上げます。
まず環境の部分でございます。これはもう我々の本来業務ですけれども、「クリー
ンな創エネとスマートな省エネということで、エネルギーをつくるときにはクリーン
につくって、使うときはできるだけスマートに省エネ」して、トータルでエネルギー
対策を安定的に維持していこうと、こんな考えでございまして、今から申し上げます
けれども太陽光発電、バイオガス云々についての御提案をさせていただいたというと
ころでございます。
まず一つ目でございますけども、先ほども局長のあいさつにもありましたけれども、
まずは、大規模な太陽光発電をつくろうと。それも太陽光発電の買い取り価格がどう
決まるかという話により、事業性がどうなるかということはありますけれども、多分
単位面積当たりの収益率が非常に低い事業になろうかと思います。ということは、土
地代がかかってしまうと多分事業がなかなか成り立たないという事業だと思います。
そこで神戸の場合、二つの提案をしてございます。
一つは布施畑という処分場がございます。現在、約102ヘクタールの面積のうち
-17-
78%ぐらいの埋め立て率ですけれども、その上地をできるだけ活用して、大規模な
メガソーラーをつくろうと。それもつくるときの基金、資金をできるだけ市民に参加
していただいて、市民債というものを発行して、市民の方々と一緒に処分場の上地で
太陽光発電事業をしていこうというものです。実は神戸市民の方は非常に環境に対す
る思いが強くて、昭和51年にも市民債で婦人会の皆様方を中心にお集めいただいた、
こんな実績もございます。市民債で太陽光発電のイニシャルコストを集めてつくって、
もちろん元利償還しますけれども、買い取り価格によって恐らく土地代がかからない
分、収益が出ます。その分を例えば市民の方に省エネナビを無償貸し出しすることに
より、有効に活用する。これも5年間で延べ5万軒ぐらいは貸せるのではないかなと
考えています。省エネナビは省エネの非常に大きな武器だと思うんですね。やっぱり
自分の家庭でどのような製品がどれだけエネルギーを使っているのかというのをわか
っていただいて、自発的に省エネ活動を助長していきたい、促進していきたいという
ことで、これは自立事業モデルとして、私どもぜひとも頑張ってやっていきたいと考
えてございます。
二つ目が、民間の方に視点を向けますと、神戸の特色の一つでありますけれども、
港湾倉庫が非常に多く。例えばポートアイランドの中だけでも、できるかどうかは別
にしまして物理的には33万平米ぐらいの港湾倉庫があり、屋根に太陽光発電を設置
できる可能性があります。それが最大で30万平米設置した場合に、30MWぐらい
の太陽光発電が設置できるポテンシャルがあると。これも港湾倉庫ですので、現在倉
庫の屋根の上は使ってないので、土地代がなくて事業が成り立つと。もう一つのメリ
ットは、普通の土地につくるのではなくて、港湾の倉庫の屋根に設置する場合、設置
費用が安く済むというようなこともございます。このため、経済的にはより有利なモ
デルではないかということで、現在民間事業者さんを中心に着々と研究が進められて
いる事業でございます。
次にバイオガスでございます。これも御存じの委員の方々も多いかと思いますけれ
-18-
ども、神戸の場合、東灘下水処理場で、消化タンクから出るメタンガスを60%ぐら
い含んでいる消化ガスを精製しまして、天然ガス自動車の燃料でありますとか、昨年
10月からは精製して大阪ガスさんに、売ガスをするなどして活用しております。現
在、約2,000件、80万立米ぐらいのガスが売却されているという状況でござい
ます。さらに、今年度から国交省さんの実証事業を受けまして、この消化タンクに、
スイーツバイオと書いてますけれども、要するに、これも神戸の特色でございますけ
れども、洋菓子のくずとか、今はもう産業廃棄物で処理しているようなものをここに
入れることによって、リサイクルもできますし、かつ、ガスの発生効率も非常によく
なると、このような実験をしております。また後で申し上げます六甲山においても、
間伐しますと、間伐材が多く出ますけれども、それの受け皿としてもグリーンバイオ
という形で消化タンクで発酵することによって使えると、このような実験もして、こ
のようなスイーツバイオエネルギーを産出すると、このような形で事業を回したいと
いうことでございます。
三つ目のCO2フリー水素と書いておりますけれども、これは中長期の話にはなり
ますが、私どもの研究会で事業者さんから御提案がありました。今なかなか利用でき
ていない褐炭という、石炭にもならない水分含有率が50%、60%あり利用ができ
てない炭がございます。特にオーストラリア等々で、石炭と同じぐらいの埋蔵量があ
るというふうに言われておりますけども、これを今地元企業さんが技術開発をしてお
られまして、海外で水素を取り出すと。ただ、取り出すときに当然CO2が出ますの
で、それをCCS技術、固定化技術でCO2を地中に埋め込んで、カーボンフリーの
水素をそこで取り出し、それを気体から液体に変えて日本に持ち帰ります。日本では、
例えば燃料電池車、トヨタさんが2015年にもという話もございますけども、燃料
電池にももちろん使えますし、水素エンジン発電等々のエネルギー源としても十分使
えますと、このような構想を、これは中長期になりますけれども、今お考えでござい
まして、ぜひとも我々も一緒に頑張っていきたいというふうに考えてございます。
-19-
次に少し目線を変えまして、モデル事業的な話ですけれども、なかなかエネルギー
は目に見えないので、この未来都市の象徴的な事業としまして、三宮駅から国道2号
までの約1キロを、一つはメディアポールと書いておりますが、多機能型の情報掲示
板をつくろうと考えております。これは、タッチスクリーンで、多言語型で、様々な
情報がすぐに出てくるもので、環境情報はもちろんですが、観光情報とか、超高齢化
対応とか、防災情報とか、そういうものが全部わかるようなメディアポールをここに
つくりたいと。周りにはヒートアイランド対策としまして、地下水をくみ上げて散水
するシステムを持ち、街路灯はすべてLEDデザインにしたいと、このようなモデル
事業を今建設局と一緒に考えているところでございます。
次に六甲山でございますけども、1900年当時ははげ山であったのが、この10
0年で植林がなされましたが、管理上の問題が最近出てきているということもござい
まして、今年度建設局を中心に、私どももメンバーに入りまして、六甲山森林整備戦
略の策定作業を進めております。CO2の吸収能ももちろんでございますけども、浄
化機能でとにかくおいしい水と空気をつくってほしいとか、バイオマスとしての活用
でありますとか、生物多様性のさらなるアップでありますとか、こういう複合的な機
能を六甲山にいま一度よみがえらせたいというような戦略を現在検討してございます。
続いて、生物多様性について申し上げますと、神戸は大都市でも非常に生物多様性
が豊かで、自然環境に恵まれたまちでございます。一つのメモリアルな事業としまし
て、冬期湛水を行っています。水田は、稲を刈ってしまうと冬は当然水は張らないん
ですけれども、北区の宅原のほうの営農家さんと今共同で水を張ることにより生物多
様性を豊かにする事業を進めています。水田に水を張ることにより糸ミミズが増え、
鳥が集まってきてとこういう話になるんですけれども、このように冬でも水を張るこ
とによって最終的に生物多様性を今まで以上に上げていきたいと、このような事業を
今モデル的にやってございます。
話は変わりまして、3Rでございますけれども、リデュース、リユース、リサイク
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ル、もちろんそれぞれ神戸は頑張っておるところでございます。レジ袋の削減協定で
ありますとか、NPOさんが今中心に減装ショッピングみたいな形の活動もされてお
られます。リユース部門ではリサイクル工房とか、リサイクル部門は、先ほど申し上
げましたバイオガスとか、雑がみという形で古紙の回収率を日本一にしようとか、こ
ういう動きを今しておりまして、またレアメタルということで、携帯電話のリサイク
ル等の活動も進んでおります。さらに、このような3Rの活動を通じて、私どもはC
O2の環境負荷の低減とか、そういうことも視野に入れた3R、こういうものをやっ
ていきたいということで、提案を申し上げました。
今までが環境の部分でございまして、あと超高齢化等々の部分は大まかに説明させ
ていただきます。
ここに書いておりますのでは、超高齢化と申しましても、まず超高齢化をどう考え
るかということで、私どもはまず医療産業と地域医療と介護・福祉という国から与え
られたテーマ、これはあくまでも安心を支えるセーフティネット機能があると。それ
でライフステージ全般を通じた健康づくりを進めて、子育てを一生懸命やることでバ
ランスのとれた人口構成を目指して、その集大成が、高齢者が元気に社会参加できる
都市であると。これで超高齢化に対応したいと、このようなコンセプトでこの四つの
テーマをまとめてございます。
まず医療産業、これは言うまでもないのですけれども、医療機器とか、医薬品とか、
再生医療とか、現在最先端を走ってございまして、210社以上の企業さんが、4,
500人を超える従業員さんを加え、一大クラスターを形成してございます。
次に地域医療ですが、いろいろきめ細かな施策を保健福祉課を中心に行ってござい
ます。特に新型インフルエンザが、見つかったということもございまして、これから
は、専任保健師が地域に入って顔の見える関係で感染症の察知を早くしようという
「神戸モデル」でありますとか、こういうきめ細かな地域医療対策を進めてございま
す。
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介護・福祉は、いろいろ書いてございますけれども、地域包括ケアと申し上げまし
て、見守り推進員という方を日常生活圏、大体中学校区4,500人程度の規模に1
カ所、支援センターを設けるという独自の制度を設けてしっかりした地域包括ケアを
進めてございます。
続いて、子育てですが、これは2015年を目標に保健福祉局のほうで定量的な目
標を決めて施策を進めてございます。例えば待機児童は、保育所定員を10%上げま
すとか、延長保育は40%児童数を増やしますとか、きっちり定量目標を決めて施策
を推進しております。それをまとめたものでございます。
次に防災の関係を若干申し上げます。神戸はハード面で、上水道、下水道、道路、
あと港湾、いろいろ災害にも強い、環境にも優しいハード面の整備をしてまいりまし
たつもりでございます。ソフト面でも、現在191の防災福祉コミュニティができて
おりますけれども、みんなで地域の防災を守っていこうということで、インドネシア
にも海外展開されている防災福祉コミュニティもございます。大震災のいろいろ教訓
もございまして、ハード面、ソフト面、経済面、福祉介護面、それぞれ神戸のノウハ
ウをできるだけ東北地方に御支援申し上げればということでの御提案を申し上げまし
た。
最後に知のネットワークという形でまとめさせていただいておりますが、とにかく
ポートアイランドにクラスターが集積しております。これは、コンピューター「京」
を活用してライフイノベーション、グリーンイノベーションをそれぞれ起こして、新
しい刺激を起こすことで、経済の活性化でありますとか、環境にもいいことをしてい
こうというイメージ図でございまして、具体的には京速コンピューターの「京」と、
今播磨でSPring-8、SACLA、これは、自由電子レーザー施設ですが、瞬
時に、1,000万分の1秒ぐらいの分子構造の変化がここでキャッチできます。そ
れを京速コンピューター「京」で、例えば超高速のシミュレーションをすることによ
って、新たな創薬、薬でありますとか、いろんな技術展開ができるという大きな潜在
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的な能力を持った設備群でございます。
こういう成功事例を、先ほど申し上げました太陽光のパターンとか、こうべバイオ
ガスのパターンとか、先端医療のパターンとかを、創造都市ネットワーク等、我々い
ろんなネットワークを活用して、これを国内外にうまく発信していけたらなという提
案でございます。
最後に事業マップという形で、今申し上げましたことを地域に当てはめたらどうな
るのかということをかいた図でございます。
最後に推進体制でございますけども、冒頭に申し上げました庁内は今こういう推進
本部という形できっちりやってございます。未来をつくるチームは7月に検討会議に
発展してございまして、将来的にはコンソーシアムを立ち上げたいというふうなこと
を考えてございます。
そのコンソーシアムの機能でございますけども、イメージですが、親会と個別プロ
ジェクトをきっちりやっていく個別チームがあるのかなと。親会は事業の企画・運営
を評価し、PDCAを回して、あまりうまくいかない事業は途中で見切るような判断
も場合によっては必要なのかなと。一番大事なのがやはり情報公開とフィードバック
ということで、ここで上げた成果をできるだけ市民の方々にきっちりと情報公開申し
上げることで、どれだけ環境価値、社会的価値、経済的価値が進んでいるかと、この
ようなことを、うまくフィードバック申し上げて、市民や企業の方々の御理解を得な
がら未来都市をうまくつくっていけたらなという提案でございます。
以上でございます。少し長くなって恐縮でございますけれども、以上で環境未来都
市構想の概略の説明を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○盛岡会長
ありがとうございました。
少し時間が押し気味なっておりますが、せっかくの機会でもございますので、ただ
いま御説明いただきました中身に関する御質問あるいは御意見等ございましたら、お
っしゃっていただきたいと思います。どうぞ。
-23-
○守屋委員
2点ほど。この環境未来都市構想で求められる要件というのが、この
6ページに書いてありますが、国の補助金に依存しない自立的事業モデルの構築につ
いて、これは、国の補助金に依存せずにやっぱり地方自治体がもっと自立的に進んで
いくんだということなんでしょうけれども、一方で、これが制定されると補助金をも
らうわけですよね。ここら辺の整合性というのはどうなのかなということが1点と、
あと22ページに、神戸産クリーンエネルギー100%というのが、これは概念的な
ものなので、50年のスパンで考えてらっしゃるんでしょうけれども、割合ですよね、
イメージとしての割合はどのように想定されているのか。それと今、神戸製鋼所が石
炭火力発電所を稼働されてますけれども、それはこのクリーンエネルギーに入るのか、
それとも将来的に縮小するようなエネルギーに入っているのか、この2点をちょっと
お聞きしたいと思います。
○盛岡会長
御質問かと思いますが。
○横田室長
非常に難しい御質問を2点いただきまして、まず1点目ですが、まさ
に今、守屋委員がおっしゃっておられますように、国の補助金に依存しないと言って
おきながら、全面的支援をしますというふうにお書きいただいてまして、私どもの理
解では、過度に国の補助金にいつまでも頼らないと。なかなかローリングすらできな
いような事業をつくるのではなくて、例えば補助金をいただく場合でも、初めのイニ
シャルコストをいただいて、あとはその事業が回るようなシステムをつくったらどう
かと、こういう御提案なのかなと理解しております。ちなみに、先ほど市民債の太陽
光発電等々を申し上げましたけれども、国のほうでも大変そういう意味では評価を得
ておりまして、これは国のお金が要らないよねと。自分で自分の土地を使って市民の
力でやるのは非常にいい自立型のモデルだという御理解はいただいているようでござ
います。
2点目のクリーンエネルギーでございます。まさに今おっしゃっていただいたよう
に2050年の長期ビジョンとして、我々いろいろ検討会議のような議論の中で、ク
-24-
リーンエネルギーという単語で、これでどうかという話をさせていただいたところで
ございますけれども、中の説明でも申し上げましたが、やっぱり中長期的には再生可
能エネルギーにできるだけシフトしていくべきかなと。ただ、それで全部エネルギー
が供給できるとは思っておりませんので、将来的には水素であるとか、バイオガスの
さらなる発展であるとか、そういうもののベストミックスというものを書かせていた
だきました。割合という御質問が、非常に難しい質問で、そこまでのきっちりしたロ
ードマップを定量的に今書けるわけではありませんけれども、例えば再生可能エネル
ギーについては早期に10%は達成したいなと。局長の冒頭のあいさつにもございま
したけれども、その道しるべをアクションプログラム的に積み上げ方式で書けたらな
というようなことを、我々も今後検討していかなければいけないなと思っている部分
でございます。そういうものをうまく合わせて、とにかく市民・企業の方々にエネル
ギーが途絶えることがあってはならない、そのためにどういう安定的な供給ができる
か、もちろんクリーンで環境もよくしたいと、このようないろんな要素を含めた表現
でございますので、定量的な数字を今すぐ申し上げることは、申しわけないですが、
できませんけれども、再生可能エネルギーは、少なくともそのような意気込みでやっ
ていきたいと、中長期的には、そういうベストミックスで、クリーンエネルギーとい
う形での表現でやっていきたいと思います。お尋ねの神戸製鋼の話でございますが、
説明でも申し上げましたけれども、クリーンエネルギーという定義を最終的にどうと
らえるかということだと思うんですけれども、私どもはやっぱり再生可能エネルギー
100%には多分なかなかならないと思っています。したがいまして、化石燃料であ
っても、とにかくクリーンで高効率で使えるものにあっては、できるだけうまく使っ
て、トータルとして、安定型のエネルギー供給体制が図れたらなというふうに思って
おりまして、化石燃料を使った発電所を、どの部分以上をクリーンエネルギーと定義
するかというのは、今後の技術の進展で、いろんな技術革新がなされると思ってるん
ですけれども、そういうものを見ながら、とにかくトップランナー方式で行きたいと
-25-
思っています。やはり化石燃料であっても、発電量当たりのCO2負荷、発電量当た
りの大気汚染物質が、全国でトップなみに低くなるような機能のある発電施設、こう
いうものを、我々はクリーンエネルギーという形で定義して、とにかく安定的なエネ
ルギー供給体制が図れたらなと。これはもうちょっと議論をいただいて、将来的に確
定したいと思っております。
○盛岡会長
他に御質問ございますか。
○守屋委員
質問ではありませんが、今回のこの国に提出した、神戸市の環境未来
都市構想ですけれども、もちろん選定されるにこしたことはないんですが、1から1
0までこれを細かく国に提案させていただいて、神戸市が将来的な構想をその上に乗
っかっていくというのも、何か学校の先生の宿題に生徒が全部答案を書いて出すとい
うような、中身は全然違いますけれども、少し神戸市の自立性という面で、こういう
体質でいいのかなということをちょっと素人的に感じましたので、それだけ御意見申
し上げて、終わらせてもらいます。
○盛岡会長
いかがでしょうか。先程の環境未来都市への御意見についてですが、
私たちが昨年の神戸市の環境基本計画の改定の際にも、基本的なスタンスとしては、
この種の方向性はとってきたというふうに思ってるんですよね。その方向性をとる中
で、さらに昨今の動きを踏まえて強化した部分がまず環境エネルギーの分野では幾つ
かあり、さらに加えて、これまで行政としては医療産業あるいは保健福祉、あるいは
高齢化対策、あるいはコンピューターを含めた新しい科学技術振興の中でのまちおこ
しなど、各方面に展開されてきたことを、環境未来都市という面からあわせてそれを
横にくし刺ししたということは、非常に積極的な側面ではないかなと思います。これ
は国が環境未来都市構想の募集をしたしないにかかわらず、神戸市としては方向づけ
すべきであったというふうに私は思っております。その点では、私は非常に積極的な
取り組みであって、何も国がこういうことを言ったから、我々はそれに応じて従って
対応したのではないということですね。それにかかわった一員としては、強く申し上
-26-
げておきたいと思っています。御意見いただいたことは大変ありがたいと思っており
ますので、これから進めてまいりたいと思います。よろしくお願いいたします。
それでは、関連して御意見等ございましたら。はい、大久保委員どうぞ。
○大久保委員
今日お伺いしまして、おもしろいなと思ってお聞きしていました。
それは割と地に足がついた話が、特に環境のところは出てきていまして、布施畑の話
とか、倉庫の話とか、比較的特性を生かしてイメージできるような内容が組み込まれ
ていたので、なかなかおもしろい取り組みではないかなと思いました。
それで24日、今月末にプレゼンがあるということでしたので、そのあたりを念
頭に置いて、自分が例えば審査員として見るとしたらどうかなと思って聞いていたん
ですけれども、一つは18ページですが、さまざまな神戸の強みと魅力のところで、
多分この夏にリオプラステンに向けた、会長からも最初に話がありましたけれども、
幾つか各都市が国際会議をやっておりまして、私、リモージュとかハンブルクの国際
会議に出席したのですが、そこで会議に訪れたそれぞれの都市が宣伝をされるんです
けれども、その中で見ますと、神戸は山もあって、海もあって、農村といいますか、
食物をつくる畑もあってというところがすごくおもしろくて、そこの自然資源みたい
な話がこのエネルギーの地産地消の中に入っているんでしょうけれども、何か最初に
ばんとこれだけあるんですよと、割と全国の人知らないんじゃないかという気がする
ので、そこのところがプレゼンの最初にあるといいかなという感じがしました。
それと、医療都市とか、それから災害の話がそれぞれ事細かに入っていますが、最
初のところからの図がずっと出てたんですけれども、そこの図にあわせて、神戸は非
常に基礎的な食べるという自然のところを、つくるところから最先端な医療までずっ
とつながってあるんだよという、最初の21ページの、ずっとつながって健やか、集
う、食すにあわせた形で、だから健康で長生きできる町ができるんだよという、ここ
のところで、保育の話とか、医療の話とかとつながった形のところがプレゼンで入っ
てくると、何かすごくインパクトがあるかなという感じがしまして、それぞれおもし
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ろい要素が入っているんですけれども、ちょっと高齢者対応のところとかが、どう最
初の話とつながってくるのかなというところが、うまくプレゼンされたらおもしろい
のではないかなと思いました。
それからあと最後ですけれども、3点目は、ここではあまり強調されてないんです
が、神戸の強みは何と言ってもコミュニティだと思うんですけれども、そのコミュニ
ティの強みみたいなところ、支えてくれる市民というところが時々再生可能エネルギ
ーのところなんか出てくるんですけれど、もっと地域コミュニティの話を大きく出し
たほうがいいんじゃないかなと。そうすると150万都市でこれだけ自然もあって、
しかも最先端もあって、それを支えるコミュニティというのは、これだけまだまだ元
気でいるというのは、国際的には、割とインパクトがある話なんじゃないかなという
気もしましたので、そこら辺を出していけると、かなりおもしろいのではないかとい
う気がしました。
○盛岡会長
ありがとうございます。非常にすばらしい御意見をいただいたと思っ
ております。
同じことを繰り返すつもりは全くありませんけれども、21ページのところに、環
境未来都市構想と市民のライフステージの関係というのがあって、ここには健やかプ
ランから始まって、健康づくりがあって、高齢になればいわゆるケアが地域にもあり
ますよということになっているわけですね。そして、この図の下のほうでは自然・資
源サービスがあって、生き物との触れ合いは、幼児期からもありますねというのは書
かれているんですけども、非常に、この1枚の中に凝縮されているものだから、プレ
ゼンのときには、これをうまくお話しいただいて、しかも国際的な視点、神戸は国際
的だと言っているんですけれども、残念ながら世界の都市の中でどのように見られて
いるかということについては、以前はそういう資料も用意していたんですけれども、
今日はほとんどないので、市長さんのプレゼンの中に今大久保委員がおっしゃったこ
とをうまく反映して、ぜひ1等をかち取るように頑張ってください。ありがとうござ
-28-
います。
それでは、非常に包括的な御意見を大久保委員からいただいたので、この後、もう
一方、二方御意見いただけるとありがたいんですが、時間の関係もございますので、
もしよろしければ、今日、お帰りのときに、紙が1枚入っていますので、そのシート
のほうに、ぜひ今日の御提案いただいている環境未来都市の今後の進め方あるいはプ
レゼンテーションに対する皆さん方の御指導も含めて、お書きいただけると大変あり
がたいと思っております。
では、議題3の平成22年度の神戸の環境の状況及び神戸市環境基本計画の施策の
実施状況について御説明お願いいたします。
○橋本主幹
環境局資源循環部主幹の橋本でございます。説明させていただきます。
資料3の年次報告書を、恐れ入ります、ごらんいただければと思います。
この報告書でございますが、これは今年2月に神戸市環境基本計画を改定いたし
まして、その計画というのは、今年の4月から始まりますので、今回のこの報告とい
うのは、前の計画の最終年度でございます、平成22年度の報告となってございます。
恐れ入ります。ページを2枚お開きいただきたいと存じます。
まず、この報告書の構成でございます。第1部、第2部、第3部とございまして、
第1部が総論、第2部が新しい計画の概要、そして第3部がその各論というふうにな
ってございます。今回は、お時間の関係もございまして、第1部、今の環境の状況と、
そして主な施策の取り組み状況を中心に御説明申し上げたいと思います。
恐れ入ります。3ページをおあけいただけますでしょうか。3ページの平成22年
度の主な取り組みというところをごらんいただければと存じます。
平成20年5月に、神戸でG8環境大臣会合というのが開かれました。また当時日
本版グリーン・ニューディールという新しい取り組みが始まりました。そのような環
境を取り巻く新しい動向を踏まえまして、神戸市ではそれまでの環境基本計画、これ
をまず改定をする。それから、分野別に三つの計画がございました。一つは温暖化の
-29-
計画、それから一般廃棄物処理基本計画、それから生物多様性の計画、この三つの分
野別の計画をこの環境保全審議会にお諮りし、審議いただいた上で、この2月に改定
または策定をさせていただいたところでございます。この3ページの上からずっと各
事業についてということで、平成22年度のトピックス的なことをずっと並べてござ
いますが、これにつきましては、後の話と重複しますので、施策の実施状況の中であ
わせて御説明申し上げたいと存じます。
恐れ入ります。4ページをお開きいただきますでしょうか。4ページ、神戸の環境
の現状というところをごらんいただきたいと思います。
ここでは大気、水質、あるいは化学物質などさまざまな環境の要素の現状をお示し
しています。現在の環境の状況は、大部分の項目で環境基準を達成して、おおむね良
好な状況で推移してございます。ただ一部の項目では環境基準を達成できておりませ
ん。そこで、今どのような項目で環境基準が達成されていないかというところを中心
に御説明申し上げたいと思います。
まず、大気質については5ページ、③粒子状物質というのがございます。その中で
短期評価については21局中11局で、それから長期の評価では、21局中1局で環
境基準が達成できてございません。
続きまして、6ページの光化学オキシダントでございます。これについては窒素酸
化物等が太陽の光を受けて化学反応を起こし、目の痛み等の症状を起こすということ
でよく知られておりますが、これについては近年全国的に高い濃度で推移してござい
ます。そういうこともありまして、神戸でも前年に続き、すべての局で環境基準を達
成できていないというような状況にございます。
それから、その次の(3)水環境というところでございますが、これについては北
区 の 千 苅 水 源 地 で す と か 、 そ れ か ら 海 、 川 で BOD,CODの 計 測 を し て お り ま す 。 そ し て 、
その中でも千苅水源地と海域のA類型、B類型といいまして、沖合のほうなんですが、
そういうところについては、富栄養化の影響を受けまして、環境基準の達成ができて
-30-
いない状況にございます。
それから、続いて、8ページ、自動車、道路交通騒音・振動というところでござい
ます。これについては、時間帯別に環境基準というのが定められておりまして、これ
について測定をしておりますが、50点のうち昼間・夜間いずれの時間帯とも環境基
準を達成できたのは40点ということで、やはりまだ多くの問題点が残っているとい
う状況にございます。
続いて、14ページの重点施策の進捗状況とその課題について、かいつまんで御説
明申し上げたいと思います。
まず、①温暖化防止対策の推進というところでございます。神戸市では、平成12
年3月に地球温暖化の防止の計画と、その削減目標を特に最後の3年で達成するため
のアクションプログラムというものを定めて、取り組みを進めてまいったところでご
ざいます。これにつきましては、平成21年とこの報告の一つ前の年になりますが、
基準年、これは1990年ですが、それと比較して10.9%削減となりました。し
かし、その原因はほとんどが景気の後退、それからまた電気会社さんの御努力という
ようなところがございまして、なかなか本質的な問題として、業務部門とか、家庭部
門の取り組みが進んでいないというところがございます。
それから、特に省エネ行動につきましては、私ども「わが家のもったいないやん宣
言」というものをやってまいりました。現在、その累計が約3万を超えるまでになっ
てございます。それから冒頭に局長が再生可能エネルギーの普及を進めるということ
を申し上げたましたように、平成21年度から国の制度に上乗せするような形で住宅
用太陽光発電の設置補助を実施しており、平成22年度には1,124件の補助を行
いました。これは私どもの推計ですが、近畿圏内では神戸市は市町村レベルでは一番
設置件数が多いのではないかと思っております。また、今年の3月末で約6,000
件の設置ができるのではないかなというふうに思ってございます。そして、公共の施
設につきましても地域グリーン・ニューディール基金というものを創設しまして、そ
-31-
れを使用して3カ所に太陽光発電を設置しました。それから下水の消化ガスにつきま
しては、こうべバイオガスを事業を進めております。また、昨年4月から緑のカーテ
ン事業というのを開始し、市域の189団体さんに取り組んでいただきまして、この
ゴーヤ、アサガオを育てることで室温を下げるというような取り組みをしました。ま
た、交通の実験の一つということで、神戸まちチャリシャトルという、電気自転車を
市内6カ所で短時間使っていただくという実験をいたしまして、41日で延べ約3,
300回の利用があったところでございます。そういうふうな取り組みを踏まえて、
本年度2月に新しい地球温暖化防止実行計画を策定いたしました。この新しい計画で
は、2020年度までに1990年度比で25%、それから2050年までに80%
以上の温室効果ガスを削減するという目標を掲げています。さらに市の事業では削減
量をさらに5%上乗せした非常に厳しい目標を定めております。それから、この計画
には、これは神戸独自だと思ってるんですけれども、再生可能エネルギーの導入目標
も定めておりまして、2020年度までに市域のエネルギー消費量の10%以上の導
入を進めるというような非常に前向きな目標を定めた計画を策定させていただいたと
ころでございます。
続きまして、14ページ下の②廃棄物対策について、かいつまんで御説明いたしま
す。
この廃棄物対策につきましては一般廃棄物処理基本計画に基づいて取り組みを進め
ておりまして、家庭ごみにつきましては、平成15年11月から缶・びん・ペットボ
トルの分別収集を、それから平成16年11月からは6分別収集を、地域と共同で分
別ルールを徹底するよう取り組んでおります。それに引き続いて平成20年11月か
らは家庭ごみの指定袋制度、大型ごみの申告有料収集、また北区で先行して実施しま
した容器包装プラスチックの分別収集などを実施しております。そして、北区での先
行実施の結果を踏まえまして、今年4月からは容器包装プラスチックの全市での分別
収 集 を 開 始 い た し ま し た 。 ま た 、 そ れ に あ わ せ ま し て 、 今 年 4月 か ら 容 器 包 装 プ ラ ス
-32-
チック以外のプラスチックを燃えるごみに区分変更しておるところでございます。そ
のほか、不法投棄の防止対策や資源集団回収の充実、それからエコタウンまちづくり、
ふれあいごみスクールなどさまざまな取り組みを実施しております。また、特に今頑
張っておりますのが紙類の集団回収でございます。現在、一世帯あたりの資源集団回
収量が指定都市の中で2番目に多いということなので、今後、取り組みが定着してい
な い お 菓 子 の 空 き 箱 と か 、 包 装 紙 な ど の 雑 が み の 資 源 化 を 進 め る こ と で 指 定 都 市 1位
を目指したいと思っております。
このような取り組みの結果、平成22年度の一般廃棄物の発生量は約66万5,0
00トンと、前年度から1万トン減少し、10年連続で減少しています。また資源集
団回収なども含めた資源化量は約17万トンで、この資源化率が約25%となってお
ります。このようなこれまでの取り組みと結果を踏まえて、今年の2月に新しい一般
廃棄物処理基本計画をつくりまして、その計画では「もったいないで築く循環型都市
こうべ」を基本理念といたしまして、平成27年度までに「ごみ量をピーク時の半
減」に、また32年度までに「ごみ量30%削減、資源化率35%にチャレンジ」と
いうような目標を定めて進めておるところでございます。
続いて、16ページ③自動車環境対策について。特に市のほうで、今、次世代自動
車を普及するための導入基準を設けたり、補助制度を実施しておりますが、やはりそ
の普及のためには電気自動車の急速充電設備などが必要ということで、現在3カ所に
急速充電設備を設置しており、最終的には5キロごとには設置できるよう進めておる
ところでございます。
そして、④自然と共生する施策のところでございます。これにつきましては、先ほ
どお話ししましたように、2月に「生物多様性神戸プラン2020」という計画を策
定しまして、市民の方や事業者の方と一緒に身近な生きものを育てていく取り組みを
進めております。また、市民の水辺連絡会、それから里山団体、そういう方々の活動
を支援したり、それから親子ふれあい環境教室、こうべ環境未来館でエコスクールな
-33-
ど、親子で一緒に自然について学ぶことを通じて、生き物を大切にする取り組みを進
めているところでございます。
続いて、19ページの環境教育・環境学習のさらなる展開でございます。先ほど御
説明しましたような取り組みのほかに、神戸こどもエコチャレンジ21倶楽部という
もので、エコチャレンジ大賞を創設しまして、市内10校を表彰するなど、取り組み
の後押しなども行ってございます。
最後に21ページ、平成22年度の施策の実施状況と定量目標の達成状況について
です。ページの上の表に、共生、循環、自律、協働の四つのテーマごとに達成状況、
施策の実績評価を示しております。評価項目は全体で265項目ございます。その大
部分で達成できましたが、残念ながら3項目が未達成で、それは、天候不良等により
水環境フェアが中止になったことや、小・中学校でのエコチェックの活用人数が減少
したこと、環境問題に対する研修が未実施だったと。今後、こういうところをさらに
減らすような取り組みをしてまいりたいと思います。
以上、施策の実施状況あるいはその達成状況について御説明申し上げました。御審
議のほどよろしくお願いいたします。
○盛岡会長
ありがとうございます。
それではただいまの御説明に対する御質問をお受けしたいと思います。いかがでし
ょうか。どうぞ。
○渡辺委員
大阪工業大学の渡辺です。6ページ目の光化学オキシダントに関する
点で、数字が下がってきていることについて、記載は下がっているとまでは書いてな
いと思うんですけれども、VOC規制と、あと事業者努力によってこれが下がり始め
たのではないかと私は感じておりますが、そのように書くのは時期尚早かもしれませ
んが、いかがお考えでしょうか。
○盛岡会長
質問でございますが、もしよければ担当課の方いらっしゃったらお答
えしやすいかもしれません。いかがですか。
-34-
○森川室長
大気の常時監視を担当してございます、環境評価共生推進室長の森川
でございます。光化学オキシダントにつきまして、今先生おっしゃっていただいたよ
うなこともあるかもしれませんが、もう少しお時間をいただけないかなと。気象の状
況によりましても減少するような場合もありますので、あと、2、3年全国的な傾向
も見きわめて、国のほうの見解なども聞きまして、そういったことがあれば書いてい
きたいというふうに考えております。
○渡辺委員
結構です。
○盛岡会長
ありがとうございます。
全般をごらんになられて、ほかに御意見、御質問等。どうぞ。
○赤田委員
市会議員の赤田と申しますが、子供たちへの教育の問題について先ほ
ど後半で説明がありましたけど、環境教育、これ19ページのところを見ますと、小
学校の副読本のことなどが書かれています。それから後ろのほうのページで、各論で
すけども、学校教育の取り組みとして、ごみに関する取り組みや地球温暖化に関する
取り組みがあるんですけども、どちらを見ましても、小学生のほうでは副読本をつく
るなど具体的な取り組みがあるんですけども、それに比して、中学生のほうが弱いの
ではないのかなというふうな感じがしてなりません。
それで、例えば学習指導要領では、例えば国民生活と政府の役割というところが
あるんですけども、その中でも、国民の生活と福祉の向上を守るためにということで、
その中で公害の防止など環境の保全についても言及されてるんですよね。これは中学
校の学習指導要領に書かれていることですけれども、その中では、環境保全対策が国
や地方公共団体の自由な課題であって、我々の生活のあり方を見直し、個人や企業が
責任ある行動をとるようにする必要があることに気づかせることを意味しているとい
うことで、指導要領の中でもそういったことがこれまでも述べられてきているところ
ですが、これはこの未来都市構想の中でも、中長期のビジョンの中でもちろん未来を
担う子供たち自身が、神戸市の中で担い手になっていくという観点から見て、中学生
-35-
におけるこの環境学習というものをさらに強めていく必要があるんじゃないかという
ように考えるんですけど、その辺の御見解お願いいたします。
○盛岡会長
○茶屋道課長
いかがでしょうか。どうぞ。
環境教育を担当しております、地球環境課長茶屋道です。先ほど中
学校での環境教育の取り組みをさらに進めていくべきではないのかということにつき
ましては、確かにどちらかというと小学生を対象としたメニューのほうが充実してい
るという面はあるかと思います。ただ、私どもも特に中学生につきましては、エネル
ギーとか、そういった面が教科の中でも取り組まれておりますので、暮らしのエコチ
ェックというものを作成いたしまして、それを教科の中で積極的に使っていただくよ
う教育委員会には働きかけてはいるところでございます。ただ、御指摘のあったよう
に、ほかにどういったことができるのかということにつきましては、教育委員会とも
よく意見を聞きながら、中学校における環境教育を充実させていきたいと思っており
ます。
○赤田委員
結構です。
○盛岡会長
ありがとうございます。
後 ろ の ほ う の 全 て の 主 体 の 協 働 と 参 画 、 5 -1 環 境 教 育 、 環 境 学 習 を 推 進 す る と い
う項目を見ても小学校という文字は確かに各所に出てくるんですけど、なかなか中学
校という言葉は出てこないのと、それから暮らしのエコチェックも取り組みの定量目
標は小学校だけになっていますので、そのあたりは御指摘いただいたことを反映した
ほうがいいと思いますが。どうでしょうか。はい、花田委員。
○花田委員
大阪産業大学の花田です。今の御指摘と関連するのですが、小学生と
同じように、中学生対象の副読本をつくるというのはなかなか難しいということと、
それから授業で運用していただくときにも、中学ではなかなか小学校のように運用で
きないということがあります。そこでひとつ御提案なんですが、神戸市としてのデー
タブックといいますか、副読本のようなものをつくって、例えばエネルギーのことを
-36-
社会科で勉強するというときに、それを神戸ではエネルギー源や使われ方はどうなっ
てるかというように、使っていただけるようなものを一つおつくりになると、子供た
ちが単に理論とか、それから机上だけではなくて、自分たちが住んでいる神戸の環境
はどういう状況になっているのかという視点にたつことができると思いますので、そ
ういうのをつくられて、学校の教育現場にこれも使ってくださいというふうにお示し
するのが、使っていただきやすい一番の方法かなというふうに思いますので、御提案
申し上げます。
○盛岡会長
ありがとうございました。すばらしい御提案いただいたと思います。
それでは、もうお一方、二方よかったら御意見を承りたいと思います。場合によっ
ては、先ほどの環境未来都市のところに戻っていただいても結構でございますので、
この機会でございますから、御意見賜りたいと思います。どうぞ、渡辺委員。
○渡辺委員
今お言葉に甘えさせてもらいまして、先ほどの環境未来都市の件で、
まず環境未来都市の25ページに、国が示した提案書のテーマと、神戸市の対応する
テーマの一覧表がございますが、これを、全部対応した構想にしたということは大変
すばらしいことなんですけれども、口頭で説明するときで結構ですので、この各事業
が地域での雇用を生むように頑張りたいと、すなわち外貨の獲得に頼るのでなくて、
地域で雇用を生むようにということを口頭でつけ加えていただきますと、好印象が得
られるんじゃないかと考えましたので、御提案したいと思います。
もう1点ございまして、神戸製鋼所140万キロワットの話が出ておりますが、先
ほどクリーンなエネルギー云々と非常に厳しいお話がありました。私もこのようなこ
とに関係する専門家でございますが、CO2は確かに排出されますが、例えば間伐材
をわずかにでも石炭にまぜますと、発電量当たりのCO2の原単位を下げることがで
きます。これはすぐに全部は難しいと思いますが、わずかずつでもそういった試みを
して、トップランナーすなわちCO2発生原単位が少ないという、そのような状況を
つくりたいと。事業者にも協力をお願いするし、また規制緩和も必要かと思います。
-37-
ですので、そのようなことを考えたいというふうに、プレゼンされると、インパクト
があるんじゃないかなと思いました。以上です。2点申し上げました。
○盛岡会長
ありがとうございました。非常に積極的な御意見をいただいたと思い
ますし、常磐共同火力のほうも投入する石炭のかわりの材料がいろいろ検討された結
果、ある材料を採用されてます。渡辺委員の御提案に対応して、また具体的にプログ
ラムの中で検討してまいりたいと思います。ありがとうございました。
では、花田委員どうぞ。
○花田委員
私も会長のお言葉に甘えさせていただきまして、先ほどの環境未来都
市構想に関してでございます。神戸市の特徴というときに、六甲山があり、海があり
というところを強く押し出されるといいなと思うのですが、特に超高齢化の対応のと
ころで、どうしてもケアとか、そういうことに向いてしまうのですが、むしろ結構ま
だ動ける高齢者というのがたくさんいらっしゃるわけで、そういう方にどれだけ活動
していただくか、元気に年をとるための5条件というのがあるそうですが、中でも外
に出て活動していただくというのが一番だそうです。そこで六甲とか、海とかいう、
そういうところに行っていただくというのも、もちろんいいのですが、もう一つは人
材として高齢者を活用するということも重要だと思います。そうすると少しでも経済
も活性化するというふうに思いますので、ぜひ引っ張り出すという、つまりこれから
お年寄りがふえていくのをどうしましょうというのではなくて、むしろ積極的にそう
いう高齢者に実際に活動していただく、そういうことができる町というふうに、それ
を「プラチナ社会」とおっしゃる方もいらっしゃいますが、そういう構想というふう
に説明されるといいのではないかなと思いました。
もう一つ、積極的に打ち出すということのもう一つの例は、37ページに不耕地の
使い方というのがありまして、生物多様性の向上を目指すというので使いますという
のがあるのですが、ここもたまたま昨日テレビを見ておりましたら、今、国産のワイ
ンというのがすごくふえてると。不耕作地にブドウを植えて、つくっていくというよ
-38-
うな話がありました。それで神戸はワインもとても有名で、ブランドだと思いますの
で、今あるこの問題をどうしましょうというときに、積極的に打って出るような提案
というのをされると、採択を考えられるときにむむっというふうに思われるかなと思
いますので、そういう見せ方を、守りじゃなくて、攻めるというのを、特にほかの都
市には絶対ない六甲と海というのを絡めて説明されるといいかなというふうに思いま
した。以上です。
○盛岡会長
ありがとうございます。どうしても神戸に長く住んでいる人は、魅力
のほうは忘れて、他都市と比較して足りない点を発言してしまう傾向がありますので。
では、横田室長どうぞ。
○横田室長
御指摘ありがとうございます。今日のパワーポイントでは本当にかい
つまんで御説明申し上げたので、少し説明不足で申しわけなかったんですけど、まさ
におっしゃるとおりでございます。例えばお配りしております、資料2のA3の5ペ
ージなんですけども、ここで超高齢化対応を1枚にまとめてございまして、この左の
下の図がまさに花田委員おっしゃったイメージかなと。私ども今回環境と超高齢化と
いうテーマが与えられましたが、この二つを本当に並列にとらえるのではなくて、環
境がよくなれば当然健康づくりにもつながるし、健康になって働いていただいてその
活力を環境に還元していただければと。それがもちろん経済効果を生んで、元気な御
高齢者ができたら当然社会的価値も高まると。その三つの価値の創造という意味でも、
まさに先生おっしゃっていただいたイメージかなということで、プレゼンのときには
十分その辺を使わせていただきます。ありがとうございました。
○花田委員
医療保険も減ると思いますので。
○盛岡会長
経済効果の面でも考えていきましょう。ありがとうございます。
いかがでしょうか。全体として環境基本計画の平成22年度の推進状況に関する、
これは平成22年度は前基本計画の最終年度でありましたので、それの総括をした上
で新しい計画に移行したということであります。その点も施策の実施状況についてと
-39-
いうところあたりには記述されているとは思いますけども、少しめり張りをつけて最
後に市民に公表していただきたいと思っています。
それでは、最後に議題4、悪臭防止法の規制変更の検討について御説明お願いし
たいと思います。
○佐藤課長
環境保全指導課長の佐藤でございます。主な業務は大気、水質、土壌、
騒音、振動といった規制業務を担当してございます。
それでは悪臭防止法の規制方式の検討について、中間報告をさせていただきます。
市内の公害苦情は先ほどの年次報告書の13ページにございますように、毎年約30
0から400件ございまして、そのうちの悪臭に関する苦情は70件ほどございます。
これらの悪臭問題につきましては、悪臭防止法により対処する、解決していくという
ことになるわけでございます。この規制の方式には、地域を指定いたしましてアンモ
ニアや硫化水素、キシレン、トルエンといった22の特定の悪臭物質を、化学分析に
よりまして敷地境界で何ppm出ているかといったことによりまして規制する方式で
ある物質濃度規制か、あるいは、下記の注1にございますように、何倍薄めたらにお
わなくなるかという、悪臭の被害感覚をもとに算出した臭気指数という方法、具体的
に申せば、においのない空気で10倍薄めたらもう臭わなくなるようなにおいか、あ
るいは100倍薄めてもまだ臭うにおいかといった、こういったにおいの強さで規制
する方式がありまして、法律ではこのいずれかの規制方式をとることと、こういうふ
うになってございます。現在、神戸市ではここにございますように化学分析、ppm
によります物質濃度規制を行っていますが、同時に全国に先がけまして昭和59年に
臭気指数と同じ人の感覚をもとにしました臭気濃度、下の注に出てございますけれど
も、何倍薄めたら臭わなくなるにおいかということで、指導を行う「神戸市の悪臭防
止暫定指導細目」を定めまして、行政指導により問題の解決につとめてございます。
19の政令指定都市の臭気指数導入状況でございますけれども、以下のとおり14自
治体で、法または条例によりまして臭気指数を導入してございます。
-40-
現在の検討の状況でございます。本年の1月に当環境保全審議会より答申をいただ
きまして、2月にまとめました神戸市環境基本計画では、ここに示してございますよ
うに、「市民の快適環境の一層の保全の観点から、においについては悪臭の被害感覚
とよく一致する、合致する官能試験法に基づく臭気指数規制の導入等さらなる対策を
推進します」といたしました。このため本年度ここにお名前を挙げさせていただいて
おります法制度の面から関西学院大学法学部教授の山下先生、臭気の理論等の面から
立命館大学の理工学部准教授の樋口先生、それから測定等の実務面からは公益社団法
人におい・かおり環境学会から安陪先生、この3名の先生方に御指導いただき、ただ
いまの本市の悪臭の現況、将来像に照らして、現在規制方式の変更の検討を行ってい
るものでございます。
環境基本計画では、官能試験法に基づく臭気指数の導入等というふうに書いてござ
いますけれども、原点に戻りまして、神戸の悪臭問題の現況、将来像に照らして最も
適した規制方式を探っていくため、現在、他都市の制度とか、運用について徹底的に
研究いたしまして、次の4案、案1、全市を臭気指数規制に変更する。案2としまし
て、現行の物質濃度規制に加え、条例で臭気指数規制を行う。案3は、物質規制のま
ま前述の暫定指導細目、これを現在に照らして改定して行う。案4としまして、地域
特性を考えまして、一部の地域は物質濃度規制、ほかの地域は臭気指数で規制地域を
市内に設けるという、この4案について、今申しました悪臭問題の現況、それから将
来像に照らして、現在詰めを行っているというのが今日の御報告でございます。以上
でございます。
○盛岡会長
ありがとうございました。
ではこの点につきましても、もし御質問等ございましたら、お受けしたいと思いま
すが、いかがでしょうか。
これは、昨年の環境基本計画の施策の実施状況についてというあたりを見るとすれ
ば、どこが対応しているんでしょうか。
-41-
○佐藤課長
先ほどの資料3の92ページでございます。92ページのところが悪
臭対策といったところ、それから13ページの、先ほど申し上げた環境の現状という
ところで説明してございます。
○盛岡会長
特に御意見等ございませんか。この公害件数の中で、悪臭が苦情の中
で占める割合が20%ぐらいあると。悪臭というのは非常に幅広い概念ですけれども、
規制なり御指導されるということになると、近隣関係でもないし、隣の例えば焼き肉
屋のにおいがと、そんなことではないような気もしますが、この種類別の苦情の割合
のなかにはそれも含まれているんですよね。だからどのような悪臭が皆さん方対象に
されているのか、少しニュアンスがわかりづらいんですけれど、もう少しご説明いた
だけますか。
○佐藤課長
少し具体的になりますけれども、平成22年では67件の苦情がござ
いました。工場、事業所が原因の苦情はそのうちの25件、その他のところからは4
2件、工事現場とかいろんなところから出てくるわけでございますけれども、25件
のうちには今お話ありました飲食店等もございます。悪臭防止法は工場、事業場の事
業活動に伴って発生する悪臭についてということですので、近隣の生活に伴ってとい
うのにはなじみませんが、事業所についての指導ということになれば、今申し上げた
67件中25件というようなことでお答えさせていただきます。
○盛岡会長
ありがとうございました。
どうぞ。渡辺委員。
○渡辺委員
この悪臭については、だれが検定を行うのですか。すなわちだれにに
おいをかいでもらうというルールはどうなっているのか。例えば、関係者でしたらに
おわないと言いますし、役所の方がにおいをかいでみてどうかというのも、皆さん納
得するかどうかわかりません。なので、だれが行うのかということと、もう一つはコ
ストの件です。袋ににおいをとるだけということで、これまでの物質濃度規制と比較
して安価なのでしょうか。この2点、よろしくお願いします。
-42-
○佐藤課長
においは環境省の告示によりましてどのような者がその測定者になる
かという条件が決まってございます。18歳以上で、テストするわけですけれども、
そのテストに合致した人を使って測定するということでございます。その測定するに
当たっては臭気判定士という、これは国の資格でございますけれども、その者が客観
的に判断して、においをかぐものを選んで測定するというようなことになってござい
ます。
○盛岡会長
では2番目のコストついて。
○浜村係長
環境保全指導課の浜村と申します。臭気指数の大体1件当たりの測定
の値段ですけども、測定機関によって多少違いますが、大体2万5,000円から3
万円となります。一方、物質濃度につきましては、これは物質ごとに値段が異なるん
ですけども、悪臭の対象物質が22物質あるということで、それを仮に全部測定しま
すと数十万円ということになりますので、仮に何項目かターゲットを絞ったとしても、
やはり10万前後の測定コストになろうかと思いますので、やはり臭気指数で測った
ほうが測定コストは安くなるというふうに考えております。
○盛岡会長
ありがとうございました。藤井委員、どうぞ。
○藤井委員
この物質濃度規制から臭気指数規制に変えることによって、企業にと
ってはどのような負担が増えるのでしょうか。
○佐藤課長
規制値の決め方にもよるかと思いますけれども、今の物質濃度規制で
は22種類の特定悪臭物質が対象と申し上げました。その物質を使わない事業所はい
ろんなにおい出していても関係ないわけですけれども、極端な話しをいたしましたら、
臭気指数規制に変更することで、うなぎ屋さんも含めすべての事業所に規制がかかる
ということになり、業種にかかわらずということになりますので、その面では規制の
強化になろうかと思います。
○藤井委員
逆に規制が強化されることになるんですか。
○佐藤課長
そうですね。すべての事業者が対象となるという面ではそうです。今
-43-
は、22種類の特定悪臭物質を出していないところは法規制にかからないという面で
はです。
○藤井委員
単純に濃度と臭気指数で比較したら、臭気指数規制の方が規制値が厳
しくなるというわけではなくて、その対象範囲をもう少しふやそうというのがこの指
定の意図ですか。
○佐藤課長
臭気指数規制でいくということになれば、地域を、どこの、例えば工
業専用地域ではどのぐらいであるとかいうのもありますし、数値をどのあたりの範囲
のところに置くかという、そこもこれから決めるということで、一番大きなところで
言えば、すべての事業者が対象になりますというようなことが一つ言えるかと思いま
す。
○藤井委員
はい。わかりました。
○盛岡会長
今、御検討いただく中で悪臭問題の地域特性をどう考慮するかという
あたりが、全事業者ということではないことも含めた案が検討されるとは思いますが、
御関係の事業者の方の御意見も伺っておられると思いますけれども、案をつくられる
過程では、その種の御配慮もいただけると大変ありがたいと思います。
ありがとうございます。それでは、まだ御質問なり御意見あろうかと思いますけれ
ども、一応予定の時間が参りましたので、以上で本日の審議事項を終了したいと思い
ます。追加的な御質問、御意見等おありかと思いますので、配付されているこの連絡
票のほうに記入いただきまして、11月24日までにお送りいただきたいということ
でございます。
以上、司会のほうはこれで終了いたしますので、事務局のほうにマイクをお返しし
たいと思います。よろしくお願いいたします。
○梶川部長
盛岡会長、進行ありがとうございました。また委員の皆様方に当たり
ましては、熱心に御審議をいただきましてありがとうございます。
ただいま会長からも御説明いただきましたが、本日の議事内容に関しまして、御質
-44-
問、御意見がございましたら、お手元の用紙に御記入いただきまして、11月24日
をめどに事務局まで御連絡をいただけたらと思います。
それから次回の審議会でございますが、年度末または次年度当初に開催をさせてい
ただきたいと考えておりますので、また改めて日程調整をさせていただきたいと思い
ます。よろしくお願いいたします。
それでは以上をもちまして、第37回神戸市環境保全審議会閉会をさせていただき
たいと思います。本日はどうもありがとうございました。
-45-
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