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[北 美小 学 校 Ⅴ 6学年 体 育科 ] 実践事例 体育科学習指導案 平成24年11月15日(木) 沖縄市立北美小学校 6年1組 男子13名 女子18名 計31名 授業者 金子雅仁 1 単元名 「マット運動」 2 単元について (1)教材観 マット運動の内容は「主として回転系や倒立系の中から自己の能力に適した技に易しい条件の下 で新たに取り組んだり,それらの技がある程度正確にできるようになったりするとともに,同じ技 を繰り返したり,技を組み合わせたりする。」である。 この運動は,できない技ができるようになったときに楽しさや喜びが味わえる克服型の特性をも っている。また,できる技がより上手にできるようになったときに楽しさや喜びが味わえる達成型 の特性ももっている。このことから技のできるできないがはっきりし,児童にとって好き嫌いがは っきり分かれがちな運動でもある。さらに技の系統性が明確となっているため,1つの技ができな いと新しい技の獲得ができず,学習意欲を継続させたり喚起したりするのが難しいという側面もあ る。 (2)児童観 ほとんどの児童が体育学習を意欲的に取り組んでいる。アンケートの結果においても,体育の授 業が好きですかという質問に,「とても好き」「まあまあ好き」と答えた児童が93%であった。その 理由として,「運動が好きだから」と答えた児童が45%で,最も多かった。休み時間には,ボール 運動をして楽しむ児童が多く日常的に運動を楽しんでいる。 マット運動は好きですかという質問には「とても好き」「まあまあ好き」と答えた児童が64%で あった。その理由として, 「いろいろな技ができるから」と答えた児童が35%であった。しかし, 「あ まり好きではない」と答えた児童が36%であった。その理由として「技ができないから」がほとん どであった。 以上のことから,技ができることが運動を楽しく感じるために必要なことであると考える。そこ で,情報機器などを活用し,技ができない原因をしっかり児童に理解させるとともに,仲間同士で 教え合いながらできる技をより上手に行い,できない技をできるようにしていき,ずべての児童が 運動を楽しめるようにしていきたい。 (3)指導観 指導にあたっては毎時間,主運動につながる初歩的な動きづくり(慣れの運動)を行う時間を確 保し,主運動に必要な要素となる動きを体感させたい。また,技ができるようになることが運動を 楽しく行うために必要なことであると考える。そのために情報機器を活用し,互いに技を撮影し仲 間同士の教え合い(アドバイス)を行ったり,できる技やできるようになりたい技の動画を見られ る場を設定し,すべての児童が技をできる喜びを感じ,楽しく運動できるように指導していく。 学習の進め方として,スパイラル型の「めあて1」を十分に行ってから「めあて2」へ進み, 「め あて2」でできるようになった技は,次の時間から「めあて1」として行う。また,新しい技に挑 戦する段階や初めて取り組む技の習得の際には,安全確保に留意しながら必要に応じて一斉指導も 取り入れていく。 -1- [北 美小 学 校 3 6学年 体 育科 ] 自己肯定感向上3観点との関わり (1) 居場所(認め合い,全員参加) ・能力に合った場を選択し,互いに教え合いながら学習を進める。 ・見学者に対しては,見学シートを活用し発表する場を設定する。 (2) 貢献(話し合い,学び合い,深まり) ・互いの技を撮影し,課題解決のために教え合う。 ・技の上手な児童を紹介する。 (3) 達成感(気づく,分かる,できる) ・副読本や動画によって,技の種類ややり方を理解する。 ・情報機器を活用して,自己の技の良さや課題を把握し,教え合いながら課題を解決していく。 4 運動の特性 (1)一般的な特性 マットの上で,いろいろな回転技や倒立技に挑戦し,できるようになったときが楽しい運動であ る。また,できる技を繰り返したり組み合わせたりして,上手に回ることなどにも挑戦して楽しめ る運動である。 (2)子どもから見た特性 マット運動のおもしろさは, 「背中をマットに接して回転したり,倒立姿勢で回転したりして立 つことができるかどうか」である。高学年では,倒立前転やロンダートなどの発展技への挑戦に加 え,複数の回り方をいくつか身につけて,それらを連続させたり,組み合わせたりして,一連の流 れとして行ってみるところにもおもしろさを感じる。 5 学習のねらいと道すじ (1) 学習のねらい できる技やできそうな技に挑戦したり,技を組み合わせたりして運動を楽しむ。 (2) 学習の道すじ めあて1・・・今できる技をもっと上手にしよう めあて2・・・できそうな技に挑戦しよう (3)時間配分 1 2本時 3 4 5 10 20 30 「めあて1」 前転・後転 「新しいめあて1」 開脚前転・開脚後転 「めあて2」 開脚前転・開脚後転 「新しいめあて2」 伸膝後転・伸膝前転 40 45 -2- 6 [北 美小 学 校 6 6学年 体 育科 ] 指導計画 ねらいと活動 教師の支援 は ストレッチ運動 じ ・首や股関節などほぐさせる。 ・ほぐしている部位 め を意識させる。 10 慣 れ の 運 動 ・主運動につながる 分 ・ゆりかご,大きなゆりかご,かえるの足打ちなどの慣れ 運動であることを × の運動を行う。 意識させる。 6 めあての確認 めあて1 ・安全面に気をつけ 今できる技をもっと上手にしよう。 させる。 な 前転・後転・開脚前転・開脚後転 か めあて2 できそうな技に挑戦しよう ・互いにアドバイス 伸膝後転・伸膝前転 をさせる。 30 ・課題解決のために, × 情報機器を活用し,各自の技の良さや課題が分かり仲間同士で 情報機器や学習資 6 教え合いながら学習を進めていく。 料を活用させる。 ま ・学習の感想を発表する。 と ・見学者の発表をする。 め ・片付け 5 × 6 7 ・個々の良さを具体 的に褒める。 ・協力して行わせる。 評価規準 観点別評価規準 関心・意欲・態度 思考・判断 運動の技能 ①自分の力に合っためあて ① で き る 技 で の 連 続 回 り や , ① 平 ら な マ ッ ト の 上 で , 回 転 をもって,意欲的にマッ いろいろな組み合わせを理 技が安定してできる。 ト運動に取り組んで楽し 解し,自分の力に合っため ・大きな前転,開脚前転, もうとする。 あてを立てている。 跳び前転,後転,開脚後転 /伸膝後転,など ②みんなと協力して活動の ② 自 分 の 力 に 合 っ た で き そ う ② 平 ら な マ ッ ト の 上 で , 倒 立 場の準備や後片づけをし な技を挑戦技として選び, 技が安定してできる。 たり,場の安全や活動の 練習している。 ・側方倒立回転/倒立ブリ 安全を確かめたりして運 ッジ,倒立前転,ロンダー 動しようとする。 ト,など ③同じ練習の場に集まった ③ 自 分 の め あ て に 合 っ た 練 習 ③ 技 を 連 続 し た り , 組 み 合 わ 友達と教え合ったり,見 のしかたがわかり,工夫し せたりできる。 合ったりして練習しよう て取り組んでいる。 とする。 -3- [北 美小 学 校 6学年 体 育科 ] 8 本時の指導(2/6時) (1)本時のねらい ・できる技やできそうな技に挑戦したりして運動を楽しむ。 (2)授業仮説 ・展開の場面において,技を互いに撮影し教え合ったりすることで,各自の技の良さや課題が分 かり,できる技やできそうな技に意欲的に挑戦して運動を楽しむことができるであろう。 (3)本時の展開 過 学習活動 程 ①体ほぐし 導 入 ②慣れの運動 10 ゆりかご・大きなゆりかご 分 開脚ゆりかご 教師の支援 ICT活用 ○首や股関節などしっかりほぐさ せる。 ○主運動に効果的な運動を意識さ せる。 ③めあての確認 ④めあて1・・今できる技をもっと ○お互いに見合い,教え合って活 ・パソコン 上手にしよう 動できるよう助言する。 ・プロジェクター ・自分に合った挑戦技を選び,めあ ○試技の開始と終了時に合図を行 展 てとする。 うように指導し,安全に運動で ・副読本を参考にして,自分に合っ きるようにする。 た挑戦技を選んで「めあて」にす ○互いの技を撮影し,良かったと 開 る。 ころ,課題を伝え合うよう助言 する。 ・ipad ○力に合っためあてで行っている か観察し,必要に応じて助言す 30 ⑤ め あ て 2 ・ ・ できるそうな技に る。 ・パソコン 挑戦しよう ○できない児童には技の動画を見 ・プロジェクター 分 ・副読本を参考にして,自分に合っ ながら助言する。 た挑戦技を選んで「めあて」にす る。 ま と め 5 分 ⑥学習のまとめ ・感想を発表する。 ・次時の活動予告 ・用具の片づけを行う。 ・個々の良さを具体的に褒める。 ・協力して行わせる。 ・ ipad ・プロジェクター (4)評価 ・できる技をもっと上手にすることができたか。(技能) ・できそうな技に意欲的に挑戦して練習することができたか。(関心・意欲・態度) -4- [北 美小 学 校 9 6学年 体 育科 ] 場の設定 舞台 スクリーン パソコン プロジェクター ロイター板 ipad 副読本 ロイター板 マット マット ロイター板 ipad 副読本 ロイター板 マット マット ロイター板 ipad 副読本 マット マット ipad 副読本 ロイター板 マット マット ロイター板 ipad 副読本 ipad 副読本 ロイター板 ロイター板 ipad 副読本 ipad 副読本 ipad 副読本 ロイター板 マット マット -5- ipad 副読本 [北 美小 学 校 10 6学年 体 育科 ] 授業の実際 写真1 写真3 授業で活用したTCT 写真2 ipadを使い,友達の動きを確認 写真5 ipadを使い,自分の課題を見つける 写真7 副読本を使い,課題解決を図る 写真4 写真6 写真8 -6- めあてや技の確認 ipadを使い,友達の動きを確認 ipadを使い,友達の良さを認める 直接指導により,支援する。 [北 美小 学 校 11 6学年 体 育科 ] 授業研究会より 【研究委員による授業参観後の感想】 ○子どもたちが,楽しく運動に取り組んでいた。 ○ ipad を活用していたことで,動きが確認できていて良かった。 ○研究の方向性(4つの視点)との整合性がとれている授業であった。 ○友達同士で教え合う姿が多く見られた。 ○運動量が確保された授業となっていた。 ●ICTの配線が多く,安全面から改善が必要であった。 【指導助言(知念哲也 研修係長)】 ○アナログな教具とデジタルな教具を上手く活用した授業になっていた。 ○女子が髪をしっかりまとめて授業に臨んでいたのは良かった。 ○導入で動画を使い技の確認をしていたため,授業のイメージをふくらませやすくなっていた。 また,課題の確認がはっきりできるところも良かった。 ○ ipad を使い,技や課題の確認をその場でできていたのでよかった。 ○課題解決のための手立て(副読本・ipad・ロイター版)がよかった。 ○子どもたちが課題解決のために,ロイター版を上手く活用していた。 ●技が上手くできない子への手立てとして,技の動きが載ったワークシートや写真などを掲示する などの工夫が必要であった。 12 成果と課題 【成果】 ・情報機器を活用したことにより,自分の動きがその場で確認でき,簡単に課題を把握する ことができた。 ・情報機器を活用したことで,その場で,友達や自分の良さに気づき自己肯定感を高めるこ とができた。 【課題】 ・ipad 等,情報機器の不足。 ・掲示資料の工夫。 ・体育館でインターネットを使えるようにする環境整備 -7-