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5.中心市街地の利用実態(グループインタビュー結果)

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5.中心市街地の利用実態(グループインタビュー結果)
5.中心市街地の利用実態(グループインタビュー結果)
(1)調査の概要
1)調査の概要
①調査の目的
中心市街地を利用する主要な生活者(若者、子育て女性、高齢者)から、中心市街地に対する
評価、ニーズ等をヒアリングし、活性化に向けた方向性や手がかりを抽出した。
②対象とするグループの設定
A.中心市街地を利用する高齢者グループ
・50代以上の高齢者女性5名程度
・商店街内の高齢者交流支援施設「えんがわ」のメンバーから選抜
B.子育て女性グループ
・20∼30代くらいまでの、子育て中の女性5名程度
・子育て支援施設「おたまじゃくし」のメンバーから選抜
C.まちづくりに取り組む若者グループ
・20∼30代くらいまでの、まちづくりに積極的な若者グループ5名程度
・商店街活性化イベント「まちいこ!」運営グループから選抜
③対象者リクルート
上記設定条件に基づき、市が各活動団体を通じてリクルート
④実施要領
A.中心市街地を利用する高齢者グループ
・実施日時:平成 22 年 6 月 25 日(金)午前 10 時 00 分∼11 時 45 分
・実施場所:中心商店街 中央街の高齢者交流施設えんがわ
・対 象 者:えんがわの主催者と参加メンバー5 名が参加
B.子育て女性グループ
・実施日時:平成 22 年 6 月 25 日(金)午前 12 時 30 分∼14 時 00 分
・実施場所:周南市郊外住宅地(城ケ丘)の集会所
・対 象 者:おたまじゃくしの主催者と参加メンバー6 名が参加
C.まちづくりに取り組む若者グループ
・実施日時:平成 22 年 6 月 25 日(金)午前 19 時 30 分∼21 時 30 分
・実施場所:徳山駅ビル会議室
・対 象 者:「まちいこ!」運営グループ 4 名が参加
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⑤質問項目
A.中心市街地を利用する高齢者グループについて
・えんがわのプロフィール、活動内容
・周南市の好きなところ(強み)
、残念なところ(弱み)は?
・周南市をひとつの切り口で売り出す(PR する)としたら、何が良い?
・周南市の中心(まちの顔)といえるのは、どのゾーンだと思われますか?
・中心商店街で、人に推薦できるお店、逸品が魅力的なお店は?
・中心市街地にあるお宝、地域資源、自慢できるものを教えてください。磨いて伸ばすべ
き資源は何?
・中心市街地に足りないもの、改善すべき点は?
・中心市街地がどうなれば、もっと利用するようになりますか?(まちの理想像)
・具体的なイメージとして、目標やモデルとなる都市、集客地はありますか?
・高齢者向けのお店や施設、サービスで、中心市街地にあれば良いと思うものは何ですか?
・銀座通りを歩行者天国にして、カフェやブティックが立ち並ぶ、ヨーロッパ風のおしゃ
れな中心市街地になれば、来街したいと思いますか?実現するには、どんな事業をすれ
ば良いと思いますか?
・中央街が再開発されるとしたら、どんな商店街になってもらいたいですか?
B.子育て女性グループについて
・おたまじゃくしのプロフィール、活動内容
・周南市の好きなところ(強み)
、残念なところ(弱み)は?
・周南市をひとつの切り口で売り出す(PR する)としたら、何が良い?
・周南市の中心(まちの顔)といえるのは、どのゾーンだと思われますか?
・中心市街地は、周南市民にとって、どんな場所であるべきでしょうか?
・中心市街地や中心商店街にはよく行かれますか。その理由は?
・中心商店街で、人に推薦できるお店、逸品が魅力的なお店は?
・中心市街地にあるお宝、地域資源、自慢できるものを教えてください。磨いて伸ばすべ
き資源は何?
・中心市街地に足りないもの、改善すべき点は?
・中心市街地がどうなれば、もっと利用するようになりますか?(まちの理想像)
・具体的なイメージとして、目標やモデルとなる都市、集客地はありますか?
・子育てママさん向けのお店や施設、サービスで、中心市街地にあれば良いと思うものは
何ですか?
・子育て世代の皆様の、お困りごとは何でしょう?あったら助かるサービスは?
・銀座通りを歩行者天国にして、カフェやブティックが立ち並ぶ、ヨーロッパ風のおしゃ
れな中心市街地になれば、来街したいと思いますか?実現するには、どんな事業をすれ
ば良いと思いますか?
・中央街が再開発されるとしたら、どんな商店街になってもらいたいですか?
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C.まちづくりに取り組む若者グループ
・まちいこ!のプロフィール、活動内容
・周南市の好きなところ(強み)
、残念なところ(弱み)は?
・周南市をひとつの切り口で売り出す(PR する)としたら、何が良い?
・周南市の中心(まちの顔)といえるのは、どのゾーンだと思われますか?
・中心市街地や中心商店街にはよく行かれますか。その理由は?
・中心商店街で、人に推薦できるお店、逸品が魅力的なお店は?
・中心市街地に足りないもの、改善すべき点は?
・中心市街地がどうなれば、もっと利用するようになりますか?(まちの理想像)
⑥調査法
研究員がモデレーターとなり、グループインタビュー形式で実施。
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2)調査結果
A.中心市街地を利用する高齢者グループ
周南市及び中心市街地の特徴
強み
弱み
・気候が温暖で暮らしやすい
・食べ物がおいしい(瀬戸内の魚)
・市街地に緑豊富、良好な住環境
・新幹線、船等の公共交通が充実
・臨海部の大手石油化学企業
・中心商店街の衰退、空き店舗増加
・駐車場が有料で不便
・地価の下落で再開発事業も動かない
地域資源
・人間魚雷回天の記念館(大津島)
・四季の花・緑が美しい万葉の森
・交通拠点としての徳山駅
・港の魚市場
まちづくりの方向性
高齢者に暮らしやすいコンパクトシティ
(=徒歩圏に商業・医療・介護福祉・行政施設・公共交通・公園・公共公益施
設等が集積した、歩いて暮らせる快適なまちなか形成)
・商店街銀座通りをトランジットモールに。車は外周部駐車、まちなかへは巡
回バスでアクセス
・中央街の再開発事業を、高齢者住宅と都市機能が集積した複合施設として推
進できないか
郊外へドーナツ化した人口が、高齢化時代を迎えて、都心部へと回帰してくる時代
中心市街地の課題
・シャッター街の増加に歯止めをするためには大改革が必要
・文化会館、美術館、動物園等の集客核と商店街の連携
・中央街の再開発事業を、中心になって進める人材が必要
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②インタビュー内容
A.中心市街地を利用する高齢者グループ
○対象者の基本プロフィール
①お名前
Fさん
②年齢・ご職業
80 代
③お住まいのエリア
④家族構成
久米(郊外)
娘と2人暮らし
⑤普段のお買い物の場所
飲食・レジャーの場所
食品・日用品:丸和、近鉄松下百貨店、中央街商店街
①お名前
Mさん
②年齢・ご職業
70 代
③お住まいのエリア
大島(郊外)
④家族構成
息子夫婦と自分の 5 人(二世帯住宅)
⑤普段のお買い物の場所
飲食・レジャーの場所
食品・日用品:丸和、近鉄松下百貨店、家族の車で郊外大型店
レジャー:家族の車で温泉旅行をしたり
①お名前
Iさん
②年齢・ご職業
70 代
③お住まいのエリア
④家族構成
秋月(郊外)
娘と2人家族
⑤普段のお買い物の場所
飲食・レジャーの場所
食品・日用品:近所のスーパー(アルクやたから市場)
ファッション用品:下松市や旧新南陽市の大型店
①お名前
Mさん
②年齢・ご職業
50 代
③お住まいのエリア
久米(郊外)
④家族構成
母親と2人暮らし
⑤普段のお買い物の場所
飲食・レジャーの場所
食品・日用品:マックスバリュか近くのスーパー(アルク)
ファッション用品:フリーマーケット等で購入
レジャー:よく芝居を観に行く(文化ホールや大阪、東京)
①お名前
Yさん
②年齢・ご職業
60 代
③お住まいのエリア
久米(郊外)
④家族構成
90 代の母親と2人家族
⑤普段のお買い物の場所
飲食・レジャーの場所
食品・日用品:丸和、近鉄松下百貨店、中央街
ファッション用品:近鉄松下百貨店
質問項目
1.
えんがわのプロフィール、活動内容
・中央街で長年写真館を営んできたが、自分の介護体験を通して、高齢者が支えあうことの重
要性を認識し、社会福祉協議会の支援で活動をスタート。活動に対して、県や政府から表彰
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を多数いただいた。
・写真館廃業後の店舗を高齢者の交流拠点として開放。10 年間の活動で 180 人の高齢者仲間が
形成された。まちなかの高齢者の居場所として、親しまれている。
・定期開催の施設ではなく、いつでも来たい時に来てもらえる、常時開催サロンとして運営し
ている。今は 12 人のボランティアスタッフで運営している。
・高齢者の生活互助支援策として、
「えんがわ切符」を実施している。草取りや清掃等、高齢
者の生活支援をすると、1時間 500 円のコミュニティマネーえんがわ切符がもらえる。自分
が支援してほしい時には、使うことができる。
・施設を維持・運営する経費はすべて自腹なので、たいへん苦しい。商店街の組合費が月額 3
万円かかり、講師の先生用に確保している駐車場代も必要。だいたい月額8万円はかかる。
それを助成金なしで維持している。県から表彰はよくしてもらうが、助成はない。
・建物が老朽化しており、補修が必要だが、企業からの現物寄付でなんとかしのいでいる。最
近、フリーマーケットを自主開催するようになり、ようやく楽になった。会員やその知り合
いが物品を寄付してくれるので、それを隣の空き店舗で月4回販売している。なんとか収入
を得る道を考えて、施設を維持したい。
・今の高齢者は日本を支えてきた世代。かつては羽振りがよかったご近所のお年寄りも、倒産
して元気がなくなった。ここでいろいろな人とふれあうことで、明るくなれる。
2.
周南市の好きなところ(強み)
、残念なところ(弱み)は?
・周南市の出身だが、東京に7年住んだことがある。戻ってみると、やはり良いまちだと思っ
た。気候が良く災害も少なく、食べ物もおいしい。気候が良いから人柄も伸び伸びしている。
ナスやキュウリなどの野菜も大きい。永住したい都市だと思う。東京で働いている息子が里
帰りすると、必ず瀬戸内の魚を食べたがる。
・食べ物がおいしい。とりわけ瀬戸内の魚をはじめとする海鮮ものが非常に安くておいしい。
他所に住んだことがあるので、違いがよくわかる。瀬戸内の魚や名物のフグなど、スーパー
の刺身でも、東京の料理屋よりおいしい。
・市街地に緑が多く、自然環境がすばらしい。徳山駅から市役所かけての大通りの街路樹は美
しい。銀杏並木は秋の紅葉時もステキ。
・回天の発射基地があった大津島も自慢できる。
・中心市街地の東はずれにある万葉の森や動物園は、素晴らしい地域資源。これをうまく活か
せていないのは残念。動物園はマレー熊で有名になったのに、PR がへた。旭山動物園には勝
てないが、もっと手入れをして集客に活かしてほしい。
・万葉の森は、桜のシーズンが有名だが、夏はスイレン等、四季を通じてお花が美しい。昔は
お茶会等も開催していた。季節ごとに草花を充実させ植物園的に整備して、広場にいろいろ
なお店を出店させ、徳山の名産品店も整備すれば、格好の集客施設になるはず。ところが今
は、万葉の森の標識もないので、よく人から場所をたずねられる。
・中心市街地は高齢者が多い。高齢者が楽しく快適に生活できるまちづくりをすべき。
・商店街は土地が高いので、駐車場の無料化は無理。
・中心市街地には、在来線と新幹線が集まった徳山駅があり、バスターミナルもある。南側に
はフェリー乗り場もある。地方都市でありながら、ここまで公共交通が充実している都市は
珍しい。山口県でもここだけ。この強みを利用できないか。
・中心商店街がさびれてしまったことが残念。出光をはじめとする臨海工場地帯が元気だった
昔は、商店街に人があふれていた。成人式の日には、写真館に行列ができるほどだった。石
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油化学系企業に元気がなくなり、消費も減少した。
・商店街の二世に危機感もなかった。防府市の商店街は、徳山よりも市場環境は悪かったので、
切羽詰まっていた。早くからみんなが危機感を持って活性化事業に取り組んできた。徳山は
なまじ恵まれていただけに、対応が遅れた。昔はどの商店も夜9時までお店を開けていたが、
今は夜歩くのは怖い商店街になってしまった。
・商店街の地価が下がってしまい、今は郊外住宅地の久米の方が高いくらい。今の路線価格で
は、商業者としては売る気にもなれない。
・商店街では中央街が一番古く、老朽化が著しい。戦後、最初にできた徳山マーケットが前身。
郊外から車でアクセスするには、駐車場が遠く不便。郊外大型店の場合、目の前に車を止め
て買い物ができるから便利。買い物荷物を持って、ピピまで歩くのはつらい。しかし、昔ト
ポスやサティがあった頃は、駐車場代に 200 円払ってでも訪れていた。それだけの魅力があ
ったからだ。
3.
周南市をひとつの切り口で売り出す(PR する)としたら、何が良い?
・今よく言われているコンパクトシティで売り出せば良いと思う。まちなかは高齢者の比率が
高く、県や市よりも平均年齢は高い。そういった高齢者が歩いて暮らせるまち、徒歩圏に生
活に必要な機能が全部ある、理想的なまちづくりをしてほしい。
・高齢者がまちなかに集まって暮らし、さまざまな都市機能や施設に歩いてアクセスできる、
駅にも近いモデルタウンにしたい。優良なマンションがあり、階下には病院や都市施設、中
央街に市役所の出張所があり、まちの真ん中に公園があるような、高齢者が住めるまちが理
想。これからの高齢者は、核家族化で自分のことは自分でケアしなくてはならない。移動が
不自由になると、歩いて暮らせるまちが理想。全部の生活機能がそろったまちにしてほしい。
新幹線の駅も近いので、子供の家を訪ねることも簡単だ。
・高齢者は毎日病院に行かねばならず、娘に車で送ってもらう。本当は子供に面倒を見てもら
うのはいや。自分の足で歩ける範囲に病院があれば、それが一番ありがたい。だから歩いて
暮らせるまちづくりは賛成だ。昔はまちなかで買い物は全部が揃った。
・中央街では老朽化した建物を建て替える再開発の話がある。上がマンション下は商店街や病
院、公共施設が入った複合施設にという計画だが、地価が下がってしまって、その価格では
売りたくないという人が大半だ。
4.
周南市の中心(まちの顔)といえるのは、どのゾーンだと思われますか?
・映画「出口のない海」の舞台になった、人間魚雷回天の発射基地が残っている大津島が、周
南市のシンボル的存在だと思う。著名人はみんな、当地に来ると、時間があれば大津島を訪
れる。周南市はあまりアピールしていないが、映画にもなったし、戦争を伝え継ぐ展示館と
して貴重な存在だと思う。
・その昔は、中心商店街が徳山の顔だった。特に中央街は、個人商店ごとに商品仕入れに個性
があり、それを目的に買い物に来る固定客が多かった。往時を知る人間としては、中央街は
残ってほしい。
5.
中心商店街で、人に推薦できるお店、逸品が魅力的なお店は?
・地元の名産品やお土産物を買うのなら、たわらが有名。
・婦人服のブティックに関しては、下松や旧新南陽の大型店より、ファッションセンスは良い
と思う。商売人の仕入れのセンスが、いまだに健在という感じだ。かつてに比べれば衰退し
-272-
ているが、残っているお店は今でもステキだと思う。
6.
中心市街地にあるお宝、地域資源、自慢できるものを教えてください。磨いて伸ばすべき資
源は何?
・徳山駅を中心に、公共交通が充実している点が強み。将来、車が運転できなくなっても便利
なまちだと思う。東京みたいになると落ち着かないが、適度に都会的で楽しめる場所があり、
生活するのに便利な都市だ。
・徳山に人を集めるには、大津島みたいな、対外的にPRできるものが必要。
・児玉神社は、小学校の隣に昔からあるが、普通の神社であって、地域資源という見方はして
いなかった。
・フリーマーケットや骨董市、陶器市は、良いものが出ているらしいが、今ひとつ盛り上がっ
ていない。
・港の漁協市場は、今は一般開放していないのか。唐戸市場みたいになれば、活気があって良
い。中央街は当初、スーパーみたいなものから出発した。農家直結の生鮮野菜や新鮮な魚で
人気を博した。漁協も、市場感覚のお店を入れて、魚市場として営業してはどうか。
7.
中心市街地に足りないもの、改善すべき点は?
・商店街がシャッター街では寂しい。来るたびに空き店舗が増えている。一等地だった銀座通
りも地価が下落を続けている。
・文化会館があり、文化的な面は強みだが、美術館は評判が良くない。アクセスが悪く、不便
な建物だ。
・文化会館や美術館、動物園等の資源が点在しているだけで、連携ができていない。みんなで
手を組んで、活性化ができないものか。もっと視野を広げて取り組む必要がある。
8.
中心市街地がどうなれば、もっと利用するようになりますか?(まちの理想像)
・郊外大型店のようなスーパーを人工的につくっても、賑わいは戻らないだろうが、大改革が
必要だと思う。
・観光資源もないので、集客に結び付く要素がない。
・昭和 46 年、郊外に周南団地ができて、人口のドーナツ化が起きた当初は、みんな商店街に
定期的に買い物に来ていたが、下松市にザ・モールやサンリブ等の大型店ができたとたん、
みんな車でそちらへ行くようになった。今は、えんがわでくつろぐか、近鉄松下の北海道展
等の催事がある時くらいしか来ない。
9.
例えば、具体的なイメージとして、目標やモデルとなる都市、集客地はありますか?
・高齢者のまちを標榜したコンパクトシティが目標ではないか。高齢者はお金持ちが多い。そ
ういう人を住まわせて、まちなかにお金が落ちるようにしたい。高齢になったら、郊外の特
養に行く人が多いが、まちなかが良いという高齢者は多い。人との交流があり、都会的な利
便性や刺激もあるまちなかで、悠々自適に暮らすのが理想。
・まちなかに高齢者マンションを建設して、1階には病院や介護施設、レストランや商店、公
共公益施設を配置して、高齢者に暮らしやすい、一カ所で何でもできるまちなかの住環境を
整備したい。かつては都心部から郊外へと人口が移動するドーナツ化だったが、これからは、
郊外に出て行った人口が高齢化してリターンしてくる時代。そういった高齢者が戻りたくな
る、便利で快適な環境のまちなかを形成すべき。
-273-
10. 高齢者向けのお店や施設、サービスで、中心市街地にあれば良いと思うものは何ですか?
・中央街の再開発事業は、現状では地権者全員の同意を得るのは難しい。地価が下がり過ぎて
いて、地権者としては、100 万円では手放したくないのが実情。解決策として、市が土地を
購入して上がマンション、下が複合施設を建設し、収益が出れば配当金として地権者に払う
方式ができないか。上が高級なマンション、下が商店や公共施設で構成するような建物だ。
・銀南街は、丸和のような大型テナントの賃貸物件と上層の住宅家賃収入で、組合費用をまか
なっているが、中央街では個店が毎月3万円ずつ負担している。
・高齢者が一人暮らしするには、買物ができて、病院が近くにあることが必要。今のまちなか
には、総合病院が不足している。医師会病院は、道が狭く不便。中央病院は団地の方に行っ
てしまったので、車で通わないといけない。だから高齢者の中には、タクシーを利用して病
院通いをしている人がいる。
11. 銀座通りを歩行者天国にして、カフェやブティックが立ち並ぶ、ヨーロッパ風のおしゃれな
中心市街地になれば、来街したいと思いますか?実現するには、どんな事業をすれば良いと
思いますか?
・賛成だ。まちなかへのアクセスは、まちなか周辺部に駐車場を整備しておき、まちなかへは
ワンコインのぐるぐるバスで乗り込むような、欧州風のパーク&ライドが良い。
・まちなかを訪れるだけの魅力あればよいが、今のまちなかに魅力はない。
12. 中央街が再開発されるとしたら、どんな商店街になってもらいたいですか?
・再開発事業の勉強会をやっているが、地権者の声を総合すると、やらない方向になりそうだ。
景気が悪くなり、これだけ地価が下がると、土地を手放して商店街から離れようという人も、
土地を売るに売れない。かつてはディベロッパーも何社か関心を示していたようだが、今は
そういう話はない。やはり、地権者の意見をまとめて、中心になって事業を進めようという
人材が必要だ。
・建物がかなり老朽化しているので、建て直す話は、随分以前から行っている。いずれ立て直
しが必要なのだが、なまじ親の財産が残っているだけに、商業者の多くは危機感を持ってい
ない。土地を手放して、まとまったお金をもらい、商店街から去りたいという人が多い。だ
から、自分がリスクを負ってまで事業をするのはいや。代行してくれる事業者がほしいと考
えている。
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B.子育て女性グループ
周南市及び中心市街地の特徴
弱み
強み
・中心商店街の衰退、大型店の撤退
・マクドナルドが撤退し居場所なくなる
・駐車場料金を払って訪れる魅力なし
・若者は広島、博多へ買い物に行く
・お祭りや季節のイベントが豊富
・公園、緑が多く住環境が良好
・人柄の良さ、良質なコミュニティ
・住みやすく、子育て環境が良い
地域資源
・動物園、文化会館、美術館
・新幹線のある徳山駅
中心市街地の改善点
商店街の利用状況
・駐車場を隣接し無料に(買い物で無料に)
・ワンストップショッピングできる集積力
・家族全員のニーズが満たされる多目的性
・映画館等の娯楽施設の充実
・子供向け施設、子供連れで来街できる場所
・高齢者と子供の交流・子育て支援施設
・空き店舗利用の手づくり作家ショップ、カルチ
ャー教室、JA 百円市
・港の漁協市場を唐戸市場のように整備
・中央街の市場ムードは残してほしい
・イベントは一過性でなく継続性を
・商店街でフリーマーケットを
・近鉄松下百貨店には根強いファンが
・レストラン膳は子連れに便利
・夜の飲食街は活気
モデル事例
・小倉市(子供向け体験施設が充実)
・山口市(多世代交流型商店街)
子育て世代のニーズ
・地産地消の生鮮市場、JA 百円市
・ベビー用品店
・多目的トイレ、休憩施設
・おもちゃの病院
・ベビーカーレンタルサービス
・託児サービス
・フードコート
・まちなかのバリアフリー
中心市街地の理想像
・行けば何かある楽しい場所
・目的なしに行きたくなる場所
・人と人の交流が生まれる場所
-275-
②インタビュー内容
B.子育て女性グループ
○対象者の基本プロフィール
①お名前
Mさん
②年齢・ご職業
③お住まいのエリア
30 代
久米(郊外)
④家族構成
夫と子供 2 人の4人家族
⑤普段のお買い物の場所
飲食・レジャーの場所
食品・日用品:ロックタウン
①お名前
Mさん
②年齢・ご職業
30 代
③お住まいのエリア
城ケ丘(郊外)
④家族構成
夫と子供 2 人の4人家族
⑤普段のお買い物の場所
飲食・レジャーの場所
食品・日用品:食品スーパーのアルク
ファッション用品:実家のある下関が多い
飲食:車でファミレス
①お名前
Yさん
②年齢・ご職業
30 代
③お住まいのエリア
城ケ丘(郊外)
④家族構成
夫と子供 2 人の4人家族
⑤普段のお買い物の場所
飲食・レジャーの場所
食品・日用品:食品スーパーアルクかコープ
ファッション用品:子供服はロックタウンの西松屋、下松のザ・モー
ル、ネットの通販等
飲食:車でうどんチェーン、回転寿司
レジャー:公園、ウエルネスパーク等のアウトドアに、お弁当持参で
出かける。雨の日はサンリブ等の大型店
①お名前
Oさん
②年齢・ご職業
③お住まいのエリア
20 代
城ケ丘(郊外)
④家族構成
夫と子供 1 人の 3 人家族
⑤普段のお買い物の場所
飲食・レジャーの場所
食品・日用品:食品スーパーアルク
ファッション用品:下松のザ・モールやサンリブ、ネット通販
飲食:ファミレス、バイキング
レジャー:公園、動物園
-276-
①お名前
Kさん
②年齢・ご職業
50 代
③お住まいのエリア
城ケ丘(郊外)
④家族構成
夫と子供 1 人の 3 人家族(長男は独立)
⑤普段のお買い物の場所
飲食・レジャーの場所
食品・日用品:食品スーパーアルク、下松のサンリブ
ファッション用品:近鉄松下、サンリブ、ザ・モール、ネット通販
飲食:ほとんど内食
レジャー:車で広島に出かけたりたまに遠出
①お名前
Tさん
②年齢・ご職業
30 代
③お住まいのエリア
④家族構成
平原町(郊外)
夫と子供 2 人の 4 人家族
⑤普段のお買い物の場所
飲食・レジャーの場所
食品・日用品:食品スーパーアルク、マルキュー
ファッション用品:ネット通販
飲食:ファミレス
レジャー:公園等のアウトドアが多い
○質問項目
1.
おまたじゃくしのプロフィール、活動内容
・子育て世代のママさんたちの交流の場として、城ケ丘の地域集会所を借りて、定期的に行っ
ている。
2.
周南市の好きなところ(強み)
、残念なところ(弱み)は?
・お祭り等のイベントが多い。
・公園や緑が多く住環境が良い。散歩しやすいまち。
・人のつながりがあり、良好なコミュニティがある。住んで良かったと思える都市。
・賑やかな時代を知っているだけに、今の商店街は残念。昔はトポスやサティ、駅ビルがあり、
来街する目的があった。今はわざわざ訪れる魅力がない。駐車場代がかかるので敬遠する。
昔は、お金を払ってでも訪れる魅力があった。
3.
周南市をひとつの切り口で売り出す(PR する)としたら、何が良い?
・住みやすいまち。若い人に魅力はないかもしれないが、子育てはしやすい。
・多くの若者は、休日は広島や福岡に遊びに行く。
4.
周南市の中心(まちの顔)といえるのは、どのゾーンだと思われますか?
・動物園
・文化会館
・今は違うが、昔は徳山駅
・まちなかが中心になるのは、お祭りの時くらい
5.
中心市街地は、周南市民にとって、どんな場所であるべきでしょうか?
・何かある場所、とりあえず行けば楽しい場所であるべき。
-277-
・行けば知り合いがいて、人と人の交流が生まれる場所。
・何もなくても行きたくなるまちであってほしい。それが中心市街地。もっと魅力が集まって
ほしい。
6.
中心市街地や中心商店街にはよく行かれますか。その理由は?
・月1回、民生委員の会議で行くついでに、買い物をする程度。近鉄松下で食品を買い、洋服
等も見ようと思うが、あとは素通りで帰ってくる。
・友人と子供連れでランチをする。丸和の向かいにある「膳」というお店は、個室になってい
て子供連れにも利用しやすい。
・OL時代は、駅周辺の飲食店をよく利用したが、今はほとんど行かない。夜の飲食街は、ま
ちなかは賑やかだ。
7.
中心商店街で、人に推薦できるお店、逸品が魅力的なお店は?
・丸和の向かいにある膳という飲食店。個室で仕切ってあり、多少子供が騒いでも気にならず、
子連れにやさしい。それでも、駐車場代がかかるのは不満。
・地元のおみやげ物なら、ふぐの店のたわら。
・きんまつ(近鉄松下百貨店の略称)であれば、たいていのものは揃う。年配者は、あそこの
包装紙にステータスを感じている。中元歳暮はここ。年配者には、商品券も人気が高い。
・昔は、近鉄松下の界隈は人で賑わっていた。当時は、若者向けのお店も結構あった。無料の
駐車場がないので、今は駅の界隈には行かない。
8.
中心市街地にあるお宝、地域資源、自慢できるものを教えてください。磨いて伸ばすべき資
源は何?
・美術館は資源のひとつといえるが、もっと良い企画展が必要。いつも同じ展示ばかりで入れ
替えがない。萩美術館の方がよほど良い。
・動物園がある都市は珍しいが、動物が楽しくなさそう。旭山動物園のように、大人でも楽し
める展示を工夫すべき。
・動物園には年間フリーパスがあるので、結構利用している。コンパクトな施設の割には動物
の種類が多く、評価は高い。関東の友人は、
「広すぎると疲れるが、ここの動物園はちょう
ど良い」と言っていた。こういう強みをどう活かすかがポイント。また、餌やり体験も面白
い企画だ。人気が高く、品切れの時がある。
・昆虫館や貝殻収集展示のように、子供が体験学習できるような施設がほしい。光市にはそう
いう子供が楽しめる施設がある。
・JR 新幹線があるのも強み。鉄道好きな子供は、1日中新幹線を眺めて楽しんでいる。新幹線
口の駅広場には、企業の展示コーナーがあるが、あれをもっと上手に活用してほしい。臨海
工業地帯の工場見学等もできたら面白い。
・大津島の回天記念館は、桜が咲く花見の頃が美しい。海が美しく、海水浴場やキャンプ場も
あるし、夏も良い。フェリーで短時間で行けて、家族連れでも楽しいところ。
9.
中心市街地に足りないもの、改善すべき点は?
・大型店のように、買い物が一カ所で済むように、お店を集めてほしい。今の状態では、不便。
・映画館がたくさんあると、来街すると思う。今はザ・モールに行くしかない。
・まちなかには娯楽施設がない。映画館が1館あるが、上映本数が少ない。マニアックな映画
-278-
ファン向けで、ファミリー層が楽しめるメジャー作品が少ない。
・図書館をよく利用するのだが、駐車場が狭くて停めにくい。なんとかしてほしい。防音を施
す等、子供が多少騒いでもOKの子供ゾーンをつくってほしい。
・まちいこ!のようなスペシャルイベントは、その日だけで継続性がないし、あまり人が多す
ぎて帰ってしまうこともある。やるのなら、定期的なイベントにすべき。
・まちいこ!のイベントは子供連れで見に行ったが、せっかく来たのに商店街には行かなかっ
た。イベントが商店街の売り上げには貢献していない。
・マクドナルドがなくなり、商店街が寂しくなった。マックは存在価値が高かった。利用して
いる人が多かっただけに、残念だ。子供たちもマックで食べるのが楽しみだったので、ます
ます行く機会が減る。まちいこ!の時も、マックで食べている人が多かった。ファーストフ
ードは、まちなかに必要。高校生のたまり場がなくなってしまった。
・マックがなくなり、この上、近鉄松下がなくなったら、商店街はどうなるか心配。近鉄松下
の北海道展は、おいしいものが揃うので、例年多くの人出で賑わう。そういう時だけ出かけ
るが、催事場めがけて直行する。そういった催事が日替わりであれば楽しいと思う。
・港にある漁協の施設を唐戸市場のように整備してはどうか。
10. 中心市街地がどうなれば、もっと利用するようになりますか?(まちの理想像)
・駐車場を無料にすべき。商店街と提携して、せめて買い物をしたら1時間無料くらいしてほ
しい。わざわざお金を払って行く魅力がない。食事をする時でも、駐車料金がもったいない
と思う。
・郊外大型店は駐車場が無料。節約の時代に、駐車場料金をとられるのは不満。ただとはいわ
ないが、
せめて1時間 100 円とか、
2千円買ったら無料といったサービスを実施してほしい。
・商店街の提携店が、無料の駐車場券をサービスしてはどうか。
・図書館感覚でまちを使えたらいいと思うが、駐車場にお金がかかるのはネック。山口市の商
店街は、お金を払ってでも行く人が多い。
・ぴーえっち通りは、しゃれたお店があるのでぶらぶらしてみたいと思うが、駐車場が離れて
いるのでわざわざ行く気がしない。
・雨の日は、子供を連れて公園や屋外の外出ができないので、雨の日に子供連れで行ける場所
があれば良いと思う。駅のそばに子育て支援センターがあるが、あれは幼児向けで、少し大
きな子供には不適。北九州には、100 円で利用できる広い施設がある。土・日曜や雨の日に
利用できて便利。
・家族全員のニーズを満たすような目的地が集積していれば、1 日車を駐車していても 800 円
くらいだし、もっと頻繁にまちなかを利用すると思う。パパは子供とイベントや飲食、ママ
は買い物という具合に、家族全員で朝から夕方まで楽しめる。ワンストップで何でもできる
集積性があれば、もっと利用するはず。広島の中心市街地は、そういうニーズを満たしてく
れる。まちなかに科学館があって、パパと子供が見学している間に、ママはひとりでお買い
物を楽しめる。家族ばらばらでも過ごせるまちだ。
・子供が近所の高齢者に手作りの竹トンボをもらったが、とてもよくできていて喜んで遊んで
いた。情操教育にも良いので、祖父母以外のおじいちゃん、おばあちゃんの世代と、もっと
接する機会があれば良いと思う。
・子供も幼稚園児くらいになると、パワーが有り余っているので、体が動かせる施設があれば
良い。昔は、卓球や運動器具がある、ふれあいセンターという施設があったが今はない。
・キッザニアのような施設がまちなかにあれば、わくわくするしぜひ行きたい。子供に職業体
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験をさせるのは良い。先日、文化会館でくまのプーさん展をしていたが、集まった人たちは
みんな、プーさんグッズを買っていた。節約の時代だが、出す時は出すというのが今のファ
ミリー層。また、祖父母がセットで来ると消費が高まる。まちなかでも、行きたい場所、消
費したいものがあれば、みんな使うと思う。節約ばかりではストレスがたまる。
・空き店舗に子供の遊びスペースがしつらえてあるが、あれがもっと広くなれば楽しいし、空
き店舗対策になるのではないか。現在は無人なので、ゴミの放置等遊び方のマナーが悪いし
汚い。対策として、保育士が常駐するようにしたらどうか。
・カルチャースクールを空き店舗で展開したらどうか。手づくり作品好きなママさんは結構い
る。福祉の里の手づくりマルシェや、商店街のレンタルボックスは人気が高い。ジャンルを
絞って手づくり雑貨を集めたイベントを実施してはどうか。集客になると思う。同時にJA
の百円市があれば、楽しい。手づくり作家のチャレンジショップを展開してはどうか。
11. 例えば、具体的なイメージとして、目標やモデルとなる都市、集客地はありますか?
・小倉のイメージが良い。科学館や昆虫館といった参加体験型の施設がある。子供は、本で見
るより、実際に体験するのを喜ぶ。たまたまレジャー施設をネット検索していて見つけたの
だが、防府市には、昆虫に触れて遊べる施設があり、さっそく家族で出かけた。
・山口市の商店街は、いつも子連れの家族層が多い。なぜかと思って見ていたら、まちなかに
子育ての家があった。商店街では、老人向け車椅子の貸し出しも行っている。老若男女が、
集える商店街になっている。徳山もえんがわで、若者との交流を促進したり、一緒に託児を
したり、多世代が交流できる施設にしてはどうか。
・山口市のフリマはよく行った。公園でやっている。ああいうイベントを、定期的に開催すれ
ばどうか。商店街のフリマには、よそからでも人が来る。
12. 子育てママさん向けのお店や施設、サービスで、中心市街地にあれば良いと思うものは何で
すか?
・道の駅みたいに、おっぱいルーム等の休憩施設が併設された、赤ちゃんの駅があれば良い。
おむつ替え等ができる多目的トイレはまちなかにないので、あれば便利。ただし、きれいな
施設でないといや。駅ビルにも市民スペースや多目的トイレがあるが、暗いイメージで、利
用したいと思わない。
・駅ビルで時々開催するおもちゃ病院は、すごく良い。子供が夢中になる。でも、駅ビルが暗
いので、おもちゃ病院だけの直行直帰になる。駅ビルがきれいになって、中に休憩スペース
等ができれば、もっと利用すると思う。ただし、おもちゃ病院のように、来街する目的が必
要。
・あれば良いサービスとしては、ベビーカーのレンタルサービスがある。博多の天神地区では、
そういうサービスがあるらしい。利用者は借りたベビーカーを、目的地で乗り捨てできると
いうもので、ぐるっと回って戻ってくる必要がないので便利。郊外大型店には、店内移動用
のベビーカーはあるが、まちなかにはそういうサービスがない。
・ベビー用品のお店がほしい。
・今は若い世代も食に対する安全は気にしているので、グリーンコープのような地産地消の生
鮮食料品店がほしい。JAがやっている 100 円市等は魅力的。ただし、その場合も駐車場は
目の前にほしい。子供連れで買い物袋を提げて、ピピまで往復するのはたいへん。
-280-
13. 子育て世代の皆様の、お困りごとは何でしょう?あったら助かるサービスは?
・買い物の間に子供を預かってくれるような、託児施設やサービスがあるとよい。ママたちも、
たまには一人でゆっくりお買い物を楽しみたい。ただ、その場合も、駐車場代がかかるので、
何時間もいられない。
・友人は、
「子供がいると歯医者にも行けない」とこぼしていた。そういう時、託児サービス
があれば良いと思う。歯医者や病院、美容院等、子育て女性が必要な生活サービスが集積し
ていて、子供を預け、一カ所でまとめてサービスを受けられるのなら、駐車場代を払ってで
も利用したいと思う。
14. 銀座通りを歩行者天国にして、カフェやブティックが立ち並ぶ、ヨーロッパ風のおしゃれな
中心市街地になれば、来街したいと思いますか?実現するには、どんな事業をすれば良いと
思いますか。
・ステキだ。来たいと思う。
・大通りのテナントには、大型店にあるようなフードコートがあるともっと良い。子供連れで
も安心して利用できる。
・まちなかは、歩道に段差が結構あって、ベビーカーを押して歩くにはつらい。バリアフリー
の整備をしてほしい。
15. 中央街が再開発されるとしたら、どんな商店街になってもらいたいですか?
・大型店にはない、今の市場の雰囲気が好きなので、逆に残してほしいと思う。山口市の道場
門前商店街も、昔ながらの市場のムードがあり、おしゃれだと思う。
・大型店しか知らないので、市場は個店ごとの対面のやりとりが楽しい。下関市の唐戸市場は、
「会話が楽しめる魚市場」で売っている。そういう古き良きムードを残しつつ、改装されて
はどうか。
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C.まちづくりに取り組む若者グループ
周南市及び中心市街地の特徴
弱み
強み
・都市要素の総合加点ではトップ級
・海・山、恵まれた自然、住環境
・市民活動活発、まちづくり意識高い
・飲み屋の多さ
・新しい飲食業態が集まるまち
・音楽が楽しめるまち、文化性
・大半の都市要素はあるが一芸がない
・合併後の人心が結束していない
・コミュニティ同士の連携が希薄
・保守的な土地柄で自主性がない
地域資源
・動物園、文化会館、美術館
・コンビナートの夜景
・新幹線のある徳山駅
・夜の飲食街
商店街活性化策
よく利用する個店
・近鉄松下百貨店
・ぴーえっち通りの衣料品店
・オレンジカフェ(新商業エリア)
まちのへそは?
・青空公園を楽しく滞留できる場へ
・駅に交流人口が憩えるゾーンを
・家賃交渉会社設立で空き店舗の流動化を
・出店競争が起きるくらいの家賃下げを
・個店間で顧客を紹介しあう全体連携を
・衰退・消失する前に市民が買い支える
・商店街にマンションを建設し賑わい創出
・商店街に無線 LAN フリースポットを
・ビジネスマンや高校生が滞留できる場づくり
・次代の担い手である子供が集える場所づくり
・アーケードをやめてオープンな商店街に
ゾーニングでまちなか商業を再編するような、ドラスティックなまちづくりを推進すべき
まちづくり意識の醸成に向けて
・何を切り口に活性化をするのか、市民投票で決め、まちづくり意識を醸成する
・まちいこ!をとっかかりにして、市民層にムーブメントを起こしていくべき
・楽しくまちづくりに取り組んでいる姿を見せて、市民が自然と参加するような仕掛けづくり
-282-
②インタビュー内容
C.まちづくりに取り組む若者グループ
○対象者の基本プロフィール
①お名前
Iさん
②年齢・ご職業
30 代
③お住まいのエリア
都町(中心市街地)
④家族構成
祖父母と両親、妻の6人家族
⑤普段のお買い物の場所
飲食・レジャーの場所
食品・日用品:マックスバリュ
ファッション用品:商店街の北にあるオレンジカフェ、ぴーえっち通
りのお店
飲食:郊外の焼き肉店
レジャー:ダイビング
①お名前
Uさん
②年齢・ご職業
20 代
③お住まいのエリア
岡田町(中心市街地)
④家族構成
両親と3人家族
⑤普段のお買い物の場所
飲食・レジャーの場所
食品・日用品:ジュンテンドー
ファッション用品:ロックタウン、オレンジカフェ(リーズナブルで
オシャレ。東京で言うと中目黒みたいなお店で)
①お名前
Mさん
②年齢・ご職業
30 代
③お住まいのエリア
防府市
④家族構成
1 人暮らし
⑤普段のお買い物の場所
飲食・レジャーの場所
食品・日用品:食品スーパーのアルク
ファッション用品:博多まで高速バスでよく行く
飲食:夜に屋台のラーメンをよく利用する
レジャー:ダイビング
①お名前
Hさん
②年齢・ご職業
30 代
③お住まいのエリア
④家族構成
城ケ丘(郊外)
妻と子供2人の4人家族
⑤普段のお買い物の場所
飲食・レジャーの場所
食品・日用品:郊外大型店、商店街の個店(商店街にお店があるので
お付き合いで利用する)
ファッション用品:郊外大型店
飲食:昼間は商店街、週末は家族連れで郊外大型店
レジャー:お祭り、イベント参加
○質問項目
1.
「まちいこ!」のプロフィール、活動実績など
・市教育委員会が、まちづくり交付金を使って地域活性化イベントを企画し、広報でイベント
実行委員の募集を行った。集まったメンバーが、本日の参加者を中心とした若者たち。開催
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準備期間は実質 4 カ月程度。
・中心市街地の商店街の活性化を目的にイベントを実施するということで、
「まちいこ!」を
企画した。実施内容や商店街青年部等の外部団体との連携、歩行者天国の調整、ステージイ
ベントの準備等をメンバーで行った。
・2月 27・28 日の2日間実施した。人気を集めたプログラムは、働く車大集合(消防車や自
衛隊自動車)
、出張ミニ動物園、フリマ、ビンゴ大会、歩行者天国等で、2日間で1万数千
人が訪れた。普段あまり来街することのない、ファミリー層が多かった。
・最も人気が高かったのはビンゴ大会。スタンプラリーで全て揃うと参加でき、賞品には Wii
や任天堂 DS 等が用意された。
・広報は地元局の CCSTV、市広報、ポスターの商店街掲示等。全体で 300 万円の事業予算があ
ったが、実行メンバーの努力や紹介で、最終的には 200 万円程度で収まった。
2.
周南市の好きなところ(強み)
、残念なところ(弱み)は?
・海も山もあり、自然環境に恵まれた希少な都市。東京に暮らしていたので、住環境の良さは
よくわかる。バイクで旧鹿野町まで走ると、素晴らしい自然環境が広がっている。東京は、
走れども都会だが、当地は少し走ると自然に出会える。新緑の季節、花の季節がある。
・合併して 7 年になるが、いまだに市民が一枚岩になりきれていない。旧徳山市にすれば、他
都市に配慮をし過ぎている感があるし、かたや他都市は、徳山方式に飲み込まれたくないと
いうエゴがある。時代とともに一体化するはず。
・市民活動が活発で、まちづくりの意識が高い。広報で募集すると、人がすぐ集まる。
・人が良く温かい。地元のつながりを大事にする。
・都市でいうと、
「中の下」みたいなポジションにいる。都会でありながら、微妙に田舎的な
要素もある。日本の縮尺と言われるほど、平均的な都市。
・海と山があり、港町、自然環境に恵まれている。交通もすべて揃っている。産業も一次産業
から臨海部の化学工業まである。ほとんどの都市要素が揃っていて、いずれも平均点はとれ
ているが、ごった煮状態でずば抜けて優れているものはない。品の良い幕の内弁当だけど、
メインのおかずがないような都市だ。
・広島、博多に行かなくても、ブランドものは結構まちなかの個店にある。なんでもあり過ぎ
て、楽しみ方がわからなくなった贅沢病という面もある。ゲームソフトは山ほどあるけど、
どれも感情移入ができない状態だ。便利になり過ぎてハングリー精神がなくなっている。バ
スに乗ってまちなかに出てくる子供たちは、その時間を満喫しようと飢えている。
・個性がない都市なので、誰でも感情移入ができる。都市要素が多彩で、
「自分の育ったまち
に似ている」と共感する人が高確率でいる。
・防府市というと、誰もが「天満宮」を思い浮かべる。周南市というと、イメージはばらばら。
まちづくりの成功事例でいくと、どんなパターンでもあてはめることができる。できないこ
とはない。問題は、どうやって市民意識を統一できるか。
・いろいろな武器を持っている都市だが、あえて削って捨てていくべき。何かひとつに特化し
ていく戦略が必要。るるぶでも、周南市だけのページはない。しかし、交通拠点としては便
利なところなので、出発と帰りの起点になるような観光戦略をとるべき。
「山口県のへそ周
南市」にして、夜の飲食等の経済効果をまちなかに波及させたい。
・市のホームページで、周南市の地域資源ランキングを投票してもらうような手法で、市民参
加型のまちづくりを推進していきたい。そこで売り出すべき地域資源を絞っていき、決勝戦
を行い市民に PR していくような作戦をとりたい。イベント後に、どうやって次のまちづく
-284-
りに連携していくか、つなぐかが肝心。
・まちいこ!は単年度のイベントで、まちなか活性化に向けたとっかかりだった。若者を育成
し、イベントの初動を後押しする意味があった。この後が肝心。イベントを起爆剤にして、
市民層にムーブメントを起こし盛り上げていくことが大切。
・周南市はイベントが多い。日本一イベントが多いまちというふうに、
「日本一の○○」を仕
立てたらどうか。宇都宮市の餃子も一種の都市伝説。日本一の餃子の消費量というのは、市
民のムーブメントにならないと達成できない。そういう市民みんなが関与できるまちづくり
でないと、イベントでは難しい。天岩戸方式で、楽しそうにやっている人たちにつられて、
市民みんなが参加してくるような仕掛けをつくりたい。最終的には、市民みんなで支える機
運がないとうまくいかない。
3.
周南市をひとつの切り口で売り出す(PR する)としたら、何が良い?
・これといった特色のある都市ではないので、特化させることはできる。市民意識が統一でき
れば突き進めるはずだが、コミュニティ同士の連携がない。
・動物園がある都市は県でも少ないので、切り口になるのではないか。
・我々世代の子供の頃の原風景には、コンビナート地帯の夜景がある。夜でも明るく輝いてい
て、美しい光景だ。夕方になると雲に反射して空が真っ赤に染まる。新幹線の駅からも見る
ことができて、日本の夜景百選にも選ばれたことがある。
・人口当たりの飲み屋軒数は、県内で一番多い。出光の羽振りが良い頃は、接待飲食でお金が
落ちていた。柳町には遊郭もあった。そういう都市の猥雑性が、今はなくなった。
・旧新南陽や下松で一杯飲んで二次会に繰り出すとなると、やはり徳山に出てくる。当地のビ
ジネスホテルは、そういう飲み会客をターゲットにして、タクシーで帰るより安上がりな1
泊3千円程度の低価格サービスを行っている。
・若者向けの新しい飲食業態は、徳山のまちなかで生まれる。この辺りでは誰もが、新しいこ
とを始めるのなら徳山という。テナント家賃は高いが、それだけのステータスや憧れが今で
もあるということだ。
・徳山には、漫画喫茶も早くからあったが、早すぎてつぶれた。新しい業態や事業が起きるチ
ャンスの場だが、生活文化に新しいものが定着するのに時間がかかる土地柄なので、夢破れ
て退場するケースが多い。保守的な土地柄で、車でも新型モデルは売れない。地域をリード
する大企業も、石橋を叩いても渡らない社風の企業が多い。まちを支えているのは、そうい
う保守本流のような人たち。だから、指示待ち人間が多く、俺がという人は少ない。コンサ
ートでも、徳山の人間はノリが悪いと言われるが、ノリ方を知らないのが実情。
・大学もある、高専もある。美術館、動物園、港、新幹線もある。総合加点方式でいくと、地
方都市でもトップクラスの点数が出るはず。
・歴史があるようで新しいまち。天満宮とか御柱祭りといった、シンボル的な根っこ、旗印が
ないまち。アイデンティティが薄く、幕の内弁当のようなまち。売り出すための選択肢はた
くさんある。何かひとつ特化して、まちがひとつになるものを決めかねている。
・中学からバンドをしているが、周南市はライブハウスが多い。音楽が楽しめる、若者文化の
まちという売り方もある。コンサートも多く、文化会館にメジャーなアーティストがよく来
る。楽器屋もあるし、文化的要素はあると思う。
4.
周南市の中心(まちの顔)といえるのは、どのゾーンだと思われますか?
・まちのへそ的存在なのは、
「青空公園」だと思う。飲み会で待ち合わせる時、まちなかには
-285-
西側に人が滞留できるポイントがない。東京なら新宿のハチ公前のように、待ち合わせする
場所がどこかほしいのだが、それが青空公園だと思う。
・飲み屋街に行くのに、駅に集合では遠いし手持無沙汰。青空公園内に待ち合わせのランドマ
ークになるような銅像をつくり、ここで待ち合わせると幸せになるというような、都市伝説
を仕掛けると面白い。公園内にベンチやテラス、オープンカフェを配置していけば、まちな
かの格好の滞留ゾーンになると思う。単なる公園ではなく、いろいろな付加価値を用意して、
子供からビジネスマンまで、多様な人々に使ってもらえる広場にしたい。カフェでコーヒー
ブレーク、ピクニック、フリマ、お祭り会場等、使い倒してもらえるようなパブリックスペ
ースにしたい。
・駅前にそういう滞留ゾーンができれば、出張ビジネスマンが多いのだから、交流人口が増え
ると思う。利便性を高めるために、テーブルを置いたりしたい。駅周辺には喫茶店もない。
駅ビルの2階を知っていれば滞留もできるが、地元民にしかわからない。銀座商店街には椅
子があるが、駅にも椅子をおくべき。
5.
中心市街地や中心商店街にはよく行かれますか。その理由は?
・近鉄松下百貨店の惣菜を、自転車で買い物にくる。
・ぴーえっち通りのおしゃれな衣料品店や古着ショップは、たまにのぞく。
・ジュンテンドーの右側にある道路沿いのお店は、交通量も多くて流行っている。動物園から
県総合庁舎に行く道は、車が走りやすく、歩道も広い。出店するお店も多く、将来性がある
商業地になりつつある。オレンジカフェもそこにある。商店街の家賃は高いので、そういう
新しい商業地に出店している個店が多い。将来の台風の目になる。
6.
中心市街地に足りないもの、改善すべき点は?
・個店にとって家賃は固定費の大きな部分を占めている。今の家賃では、ハードルが高すぎる。
商店街の空き店舗を流動化させるには、家賃交渉会社のような代理店機能を設置して、家賃
交渉を代行してくれるようなサービスを展開してはどうか。
「商店街の家賃が安い周南市」
という定評が広がれば、新たな商業者も集まるはず。今のままでは高いと思う。
・商店街に無線 LAN のフリースポットがほしい。ビジネスマンが利用できるし、最近では DS
や PSP を持つ子供たちも利用する。高齢者には利用方法の講習会をすれば良い。ネットによ
る仕掛けで活性化を図りたい。
・山口市の道場門前商店街でファッションの買い物をすると、お店にない商品は、他店を紹介
してくれて、地域全体で商売をしている。そういう活性化に向けたノウハウをつけてほしい。
・高齢化社会で徒歩文化に戻る時代と考えれば、まちなか商店街の立地条件は悪くはない。商
店街にマンションを建設して、人が出入りしやすいように、できるだけ家賃を下げてもらう
ようにすべき。家主に理解してもらう必要がある。
・中心市街地の商店街を今捨てると、あとあとツケがくる。実際、商店街内で調達できない物
が増えている。なくなってその大切さが初めてわかる。予防策として我々ができることは、
買い支えること。中心市街地を捨てるわけにいかない。駅に止まらないバスはない。まちを
一度つくったら、民族移動はできない。市民も、ここには商業が必要と理解して、買い支え
るべき。そういう契約が成り立たないと、まちなか商業は消滅する。高齢者は徒歩圏に商業
がないと困る世代。買物難民をつくらないためにも、大型店と商店街が共存共栄できる方策
を探る必要がある。大型店をまちなかに建てれば、駐車場問題も解決するし、商店街に人が
流れる波及効果が期待できる。そういう生き残り策を模索していくべき。大型店を拒み続け
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ると、郊外に消費はますます流出する。市民から商店街に対して、商店街は不要という悪い
イメージのレッテルを貼られて、個店にはあきらめがある。市民と商店街は、ここで手打ち
式を行ってリセットをする必要がある。
7.
中心市街地がどうなれば、もっと利用するようになりますか?(まちの理想像)
・滞留できる場所ができればもっと利用する。駅ビルには、椅子とテーブルがあるので、高校
生もたむろする。商店街にはない。
・商店街はアーケードがないほうが良い。雨の日もそれはそれで楽しいもの。空が見えるとこ
ろでコーヒーが飲みたい。
・子供が集まれる場所があればと思う。20 年後に中心市街地を利用する主役の世代に、まちな
かのイメージを発信していくことが大事。次の担い手に、まちにいこうぜ!という意識付け
ができる場所がほしい。
・そわそわ、わくわくするような雑多なイメージがあるのが中心市街地。まちに行くだけで楽
しい、人も物も多く、そこでお金がぐるぐる回っているのが理想。そのためには、経営者や
店主が新たに参入できるように家賃を安くして、駐車場も整備していくべき。外から注目さ
れれば、出店競争も起きて面白い店が集まる。家賃を下げて流動化させることが第一。日本
の空港が、価格の安い韓国に負けているのと同じこと。まずは出店者が集まる価格水準にす
ることから始めないと、活性化は進まない。
・計画は綿密に、行動は大胆にすべき。まちを、ほどほどのマイナーチェンジするのなら、市
民と協働のまちづくりで良いが、抜本的につくり変えるのなら、市長が先頭に立って強力に
プロデュースしていく必要がある。ゾーニング計画でまちを再編する、新規提案ができるよ
うな、大胆なまちづくりでないと、ちまちまやっていたのでは難しい。例えば、アウトレッ
トをまちなかに誘致するといった事業は、市民レベルでは難しい。まちなかに賑わいをつく
るのなら、プロがドラスティックにまちづくりを推進すべき。
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