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答申 [PDFファイル/2.44MB]
都市型高齢社会・人口減少社会での大阪における
新たな住宅まちづくり政策のあり方について
答
申
平成23年4月
大阪府住宅まちづくり審議会
目
答申
次
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1
はじめに
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3
1.問題提起・認識
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7
2.都市型高齢社会・人口減少社会における住宅とまちのあり方
・・・・・・・・・18
目指すべき基本目標
住宅とまちのあり方
(1)安心して暮らせる住宅とまち
(2)安全を支える住宅とまち
(3)環境負荷をかけない住宅とまち
(4)個性が活かされる住宅とまち
(5)多様な人々が住み交流することができる住宅とまち
3.施策構築・推進の展開方針
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20
(1)公正な市場機能の重視
(2)ストックの重視
(3)地域活動の重視
(4)政策連携の重視
4.住宅とまちのあり方の実現に向けた施策の方向性
5.重点的に取り組むべき施策
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・22
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・34
(1)居住支援の枠組みづくりと住宅流通・管理に関わる行政の関与
(2)あんしん住まい確保プロジェクト(府営住宅資産の活用)
(3)地域の活力ある多様な主体による活動の支援
(4)大阪スタイルの「高齢者の住まい」プロジェクト
(5)住宅ストックの耐震性確保
(6)環境に配慮した建築物の普及
(7)ストック再生産業の健全育成
(8)府民に分かりやすい住宅相談の仕組みづくり
6.市街地タイプ別の取り組むべき施策
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・50
(1)密集市街地
(2)歴史的まちなみ・町家・長屋地域
(3)住工混在市街地
(4)大規模団地
(5)旧地域改善向け公営・改良住宅団地を含む地域
(6)計画的住宅市街地(ニュータウン)
7.実効性を持った施策の展開に向けて
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・64
(1)住宅まちづくりに関わる各主体の役割と連携
(2)施策の進行管理(評価・検証)
用語の解説
関連資料
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・69
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・83
大阪府住宅まちづくり審議会
審議経過
大阪府住宅まちづくり審議会作業部会 審議経過
大阪府附属機関条例
大阪府住宅まちづくり審議会規則
諮問書
第6・7期 大阪府住宅まちづくり審議会委員名簿
資料編
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・93
はじめに
「住宅」は、府民の暮らしを支える生活の基盤であり、社会生活や地域におけるあら
ゆる活動を支える拠点であるとともに、安全や環境、街並み景観といった「まち」の重
要な構成要素である。
「まち」は、府民が共有し、働き・学び・遊び・住まう生活の場で
あり、人々が産業・文化などの都市活動を行い交流する場である。
また、「住宅」や「まち」は、経済や雇用、文化、交流を支える重要な要素であり、
これからの大都市大阪の活力や成長に大きな影響を与える。
このように、「住宅」と「まち」は、府民の生活に不可欠なものであり、そのあり方
が、府民の生活の質の向上、さらには、社会全体の活力と安定に大きな影響を及ぼすも
のである。
今後、大阪府の人口・世帯は減尐に転ずることが予測されているが、大阪府における
住宅まちづくりに関わる問題は、時代の社会経済環境を背景に、これまでいくつかの大
きな変化があった。
戦前まで、大阪の都心部では、京阪神の中核都市として高い借家比率を有し、長屋住
まいの職住余暇一体型の都市生活が営まれ、郊外部では、長い歴史を有する寺内町や集
落地域が形成されていた。
戦災により多くの住宅を失い戦後復興を経て、高度経済成長期にはほぼ10年間にわ
たって、地方の若者など毎年20万人もの人口が流入し、住宅の絶対量が不足した。こ
れに対応するため、公的住宅の大量供給とともに、床面積の拡大、不燃高層化、住宅生
産の近代化等が進められ、鉄道や道路整備と一体的に開発された千里ニュータウンは全
国のニュータウン開発に大きな影響を与えた。
その一方で、特に都市計画法の施行前、旺盛な住宅需要に対する無秩序な開発が放置
されたことにより、大阪市外縁部では木造賃貸住宅が十分な都市基盤整備がなされない
まま建設され、密集市街地が形成された。この間、歴史的・文化的まちなみも、その多
くが失われてきた。
高度経済成長が終息し人口増加率も減退し始めると、住宅政策の目標も量的充足から
居住水準の向上へと重点が移り、住環境整備が課題となってきた。持家化が進んだが、
地価の高騰を反映して農地転用等によるミニ開発や、市街地の郊外への拡大・拡散が進
み、良質な住宅・住環境を求めた中堅ファミリー層の府域外への転出も続いて、都心部
の空洞化が進んだ。
その後のバブル崩壊に伴い、地価の下落などにより、商業・業務系用途の地域にも住
宅が進出するなどバブル期と正反対の動きも加速し、都心や駅前への高層マンションの
立地や、駅に近い利便性の高い工場跡地等への住宅建設が進んだ。その結果、工場集積
地においても住宅の増加に伴って工場が操業しにくくなる状況も起こっている。
-3-
こうした住宅とまちの変遷を受けて、今後大阪は都市型高齢社会・人口減尐社会を迎
える。
これまで、高齢化問題は地方部において過疎問題と重ねて語られることが多かったが、
今後、大都市圏の高度経済成長期に重要な役割を果たしてきた団塊の世代の高齢化と近
年の長寿化により、大阪では急激に、かつボリュームをもって、一層の高齢化が進展し、
大きなインパクトが生じることが予測されるだけではなく、人口・世帯の減尐が見込ま
れる中、都市部では居住形態、就業形態が大きく異なるため、これまでの地方部とは異
なる課題が生じる。
このような都市型高齢社会・人口減尐社会の到来は、これまでの成長・安定型の社会
とは異なり、人口回復をまちの再生の前提条件としない持続可能なまちへの転換が求め
られており、これまでの大阪のまちの変遷と課題を踏まえ、将来の住宅ストックの状況
や、まちの姿、あり方をしっかりと見据え、他の分野との連携による総合的な施策展開、
従来の枠組みを超えた住宅まちづくり政策に取り組むことが今まで以上に重要となる。
本審議会は平成22年3月、大阪府知事より本審議会に対し、「都市型高齢社会・人
口減尐社会での大阪における新たな住宅まちづくり政策のあり方」について諮問を受け
た。
審議会では、諮問の内容が多岐に及ぶことから、審議会のもとに作業部会を設置し、
専門的な検討を行った後、慎重に審議を重ね本答申のとりまとめをおこなった。
現在抱える課題の解消だけでなく、将来的な社会変化にも対応でき、豊かで快適な生
活の実現と新たな活力を見出すため、本答申が大阪府における新たな住宅まちづくり政
策の展開に役立てられることを期待する。
【資料編1~8】
-4-
○住宅まちづくり政策と都市政策の関係
大阪の将来像については、府民をはじめ、大阪で住み、働き、学ぶ全ての人や企業、NPO、
市町村などが一緒になって大阪づくりを進めていくための共通の目標とその実現のための基本
的な考えが「将来ビジョン・大阪」で示されている。
土地利用の観点からは「国土利用計画(第四次)
」において大阪の将来像が描かれ、個別施策
を展開する際の指針となっており、都市計画については、「都市計画区域マスタープラン」によ
り基本的な方針が定められている。
住宅まちづくり政策では大阪の将来像の実現を担う人々が住まう「住宅」と活動を支える「ま
ち」について取り扱うこととし、
「将来ビジョン・大阪」、
「国土利用計画(第四次)
」、
「都市計画
区域マスタープラン」等諸計画と整合、連携を図りながら、
「まち」において「働き」
「学び」
「遊
び」「住まう」こと、そしてそれぞれの「まち」が互いに機能分担・連携しながら発展し大阪の
成長を支えていくための将来像と取り組み方向を示すものである。
将来ビジョン・大阪
整合
整合
関連行政計画
大阪府住宅まちづくり
マスタープラン
大阪府国土利用計画(第四次)
将来像1「にぎわい・活力ある大阪」
① 国内外から多様な企業や人が集まる都市の形成
② 集約・連携型都市構造の強化
将来像2「みどり豊かで美しい大阪」
① みどり豊かで環境負荷の少ない都市・地域づく
り
② 健全な生態系・水循環の構築
③ 地域資源を活かした美しい景観の形成
将来像3「安全・安心な大阪」
① 誰もが暮らしやすい生活環境の形成
② 災害に強い都市・地域づくりの推進
取り組み方針「多様な主体との連携・協働による地
域づくり」
(大阪府住生活基本計画)
(施策別計画)
・ 大阪府高齢者・障がい者住宅計画
(大阪府高齢者居住安定確保計画)
整
合
適合
大阪府都市計画区域マスタープラン
大阪府環境総合計画
みどりの大阪推進計画
大阪府人権施策推進基本方針
第3次大阪府障がい者計画
ふれあい大阪高齢者計画 2009 等
-5-
・ 大阪府営住宅ストック総合活用計画
-6-
1.問題提起・認識
(1)都市型高齢社会、人口減少社会の到来
(超高齢社会における住宅・住環境への不安)
今後、大阪の人口・世帯数は減尐に転じ、本格的な人口・世帯の減尐社会に直面する
と予測される一方、高齢者数は今後約20年間、増加すると見込まれている。
【資料編9~11】
長寿命化の進展により、人生における選択性の幅も広がり、どこに住むか、どういう
住宅に住むかなど、自らが決定する機会も増加している。高齢者の多くがサービスを受
けながら住み慣れた自宅や地域で居住するという住まい方を望む一方、住宅・住環境が
これに対応できておらず、不安が増大している。これまで標準とされてきた、郊外一戸
建てを「上がり」とする住宅双六に代表される卖純な図式とはあきらかに違う、住宅や
まちが求められている。【資料編12~15】
福祉領域のサービスとどう連携していくかなど、これまでの住宅まちづくり政策だけ
ではカバーできない課題がクローズアップされている。
■大阪府の年齢別人口の推移
1 0 ,0 0 0
(千 人 )
高 齢 化 率 (% )
5 .2 %
6 .1 %
7 .2 %
8 .3 %
9 .7 %
S 45
S 50
S 55
S 60
H2
9 ,0 0 0
1 1 .9 %
1 5 .0 %
1 8 .7 %
2 3 .0 %
2 7 .6 %
2 9 .8 %
3 0 .9 %
H7
H12
H17
H22
H27
H32
H37
3 2 .5 %
3 5 .0 %
H42
H47
8 ,0 0 0
7 ,0 0 0
6 ,0 0 0
5 ,0 0 0
4 ,0 0 0
3 ,0 0 0
2 ,0 0 0
1 ,0 0 0
0
15歳 未 満
15~ 64歳
65~ 74歳
75歳 以 上
※H22以降は推計
(資料)総務省「国勢調査」
、大阪府企画室「大阪府の将来推計人口の点検について」
(平成21年3月)
-7-
(子育てのための住宅・住環境への不安)
子育て世帯では、子育てに関わる様々な不安を抱えるとともに、費用負担も要するた
め、住宅やまちの選択の幅が狭まり、子育て期にあった住宅の確保に困難を抱える。尐
子化による子育て世帯の減尐は、小学校の統廃合など、まちの構成の変化も引き起こし
ている。【資料編16~18】
また、共働きのライフスタイルが普通となる時代では、職場に近く利便性の高い地域
などで、住宅とあわせ子育てのための支援やサービスが選択できるまちが求められる。
【資料編19】
■子育てにおいて重要と思う要素(大阪府)
25.0
22.1
20.0
15.0
11.4
10.0
9.2
9.0
8.1
7.6
7.4
5.9
5.0
4.0
2.6
2.6
4.0
0.0
住
宅
お
り
よ
の
び
防
住
犯
宅
性
の
ま
わ
近
ニ隣
テの
ィ人
とた
のち
関や
わ コ
りミ
ュ
小
児
科
な
利ど
便医
療
機
関
の
幼
稚
園
・
利小
便学
校
な
ど
の
住
宅
の
広
さ
・
間
取
り
子
供
の
遊
び
ど
場
、
公
園
な
ま
わ
り
のの
安道
全路
性の
歩
行
時
安
全
宅性
のや
居遮
住音
性性
能な
ど
住
子
育
て
支
状援
況サ
ー
ビ
ス
の
親
や
親
戚
離の
住
宅
と
の
距
託
児
・
保
育
便
所
な
ど
の
利
そ
の
他
(資料)国土交通省「平成20年度住生活総合調査」
(地域における交流やつながりの希薄化と地域力の低下)
尐子高齢化の進行、卖独世帯の増加に伴い、地域における交流やつながりも希薄とな
り、児童虐待や孤独死の発見の遅れなどが社会問題化するなど「無縁社会」と呼ばれる
状況も生み出されている。また、雇用の不安定化等により働き盛りや若年層についても、
社会から孤立するなどの様々な不安も増大している。【資料編20・21】
(都市活力・地域活力の低下)
都市の活力低下、経済成長の停滞の状況が見られる中、今後、人口・世帯の減尐や高
齢化が進み、さらに地域活力が低下することが危惧されている。
今後、団塊の世代をはじめとした元気な高齢者が、地域の担い手になることや、コミ
ュニティビジネスが地域で展開できる住宅やまちが求められている。【資料編22】
-8-
(2)住宅とまちのストック形成の課題
(住宅ストックの現状と課題)
府民の居住の安心を確保し、地域の活力を支えるためには、生活の基盤となる住宅が
一定の広さを有し、耐震化やバリアフリー化がなされるなどの安全性が確保され、環境
にも配慮されていることが重要である。
しかし、最低居住面積水準未満世帯が依然存在し、耐震基準を満たしていない住宅や
バリアフリー化が十分なされていない住宅なども多く存在している。また、府民の環境
への意識も低い状況にある。【資料編23~25】
良質な住宅が供給され、既存ストックについても、適正に維持管理がなされるととも
に、必要に応じてリフォームなどにより良質化が図られるなど、有効活用が図られるこ
とが望まれるが、良質化が困難な不良ストックも存在している。【資料編26】
さらに、空き家の増加が進む中、今後、住宅が管理されずに放置され、不良ストック
化し、地域の活力や安全性が低下することが懸念されている。【資料編27】
■大阪府の最低居住面積水準に満たない住宅(空き家を除く)
世 帯 総 数 3 6 8 .5 万
不 詳 1 5 .8 万
持 ち 家 1 9 5 .2 万
(5 3 .0 % )
借 家 1 5 7 .5 万
(4 2 .7 % )
必要不可欠な水準を国が定めたもの。
・住戸規模は標準的な世帯構成の場合、
世帯人員に応じて次のとおりとする。
最低居住面積水準
29歳 以 下 専 用 台 所 + 居 住 室 4.5畳 以 上
単 身 29歳 以 下 共 用 台 所 + 居 住 室 6.0畳 以 上
30歳 以 上 25㎡ 以 上
2人 以 上
10㎡ × 世 帯 人 員 + 10㎡ 以 上
4 2 .5
9 0%.5
%
7 8 .8
%
◆設備等の条件を満たすもの
以下の設備条件をみたすもの。
台 所:専用の台所
便 所:専用の水洗便所
浴 室:あり
洗面所:あり
6 8 .1 %
8 1 .1 %
◆最低居住面積水準
・健康で文化的な住生活の基礎として
9 2 .6
%
2 9 .9
%
6 .1 %
6 .1 %
1 .1 %
6 .4
%
1 2 .6 %
6 .1 %
1 .3 %
不詳
2 7 .6
%
8 .4 %
2 5 .8
%
1 5 .2 %
最低居住水準以上
(設 備 等 の 条 件 を 満 た し て い る も の )
最低居住水準以上
(設 備 等 の 条 件 を 満 た さ な い も の )
公 営 の 借 家 2 3 .3 万
(6 .3
機
構%・) 公 社 の 借 家
1 3 .1 (3 .5 % )
凡 例
最低居住水準未満
給 与 住 宅 6 .5 万 (1 .8 % )
民 営 借 家 ( 木 造 ) 2 6 .1 万
(7 .1 % )
民 営 借 家 ( 非 木 造 ) 8 8 .5 万
(2 4 .0 % )
(資料)
-9-
総務省「平成20年住宅・土地統計調査」
(まちの安全性の確保)
府民が安全で快適な生活をおくるためには、地震や水害等の自然災害、市街地大火や
犯罪等に対して、まちにおける安全性が確保されることが重要である。
とりわけ密集市街地では、依然として市街地大火など広域的な被害が発生する可能性
が高く、延焼や道路閉塞の危険性に対して、早急に最低限の安全性を確保することが喫
緊の課題である。【資料編28】
■密集市街地の状況
重
重点
点密
密集
集市
市街
街地
地の
の 「不
「不 燃
燃領
領域
域率
率 」」
約
約3
36
6.
.3
3%
% ※※
(平
(平 成
成2
20
0年
年3
3月
月時
時点
点 ))
※
※大
大阪
阪市
市除
除くく
重
重点
点密
密集
集市
市街
街地
地の
の 「消
「消 防
防活
活動
動困
困難
難区
区域
域 」」
約
約1
12
29
9h
haa※※
(平
(平 成
成2
20
0年
年3
3月
月時
時点
点 ))
※
※大
大阪
阪市
市除
除くく
(資料)大阪府
(まちのバリアフリーの確保)
駅のバリアフリー化など一定の成果をあげているが、駅周辺を含めたまちのバリアフ
リーは未だ十分進んでいない。また今後、移動が困難になる高齢者等の急増が見込まれ、
高齢者等を支える若者の減尐や地域における交流やつながりの希薄化とも相まって、高
齢者等が自立した生活を営むことが困難化することも危惧される。
-10-
(まちのみどり・景観の形成)
周辺山系等のみどりは豊富にあるものの、大阪府域にみどりがあると感じる府民の割
合は約 5 割、最近みどりに触れた府民の割合は約 4 割と尐ない。
今後、人口が減尐し、都市間競争が強まるなか、人口定着、交流人口の拡大が大きな
課題である。そのため、多くの人が内外から集まる「成熟した魅力ある都市づくり」が
求められており、地域の歴史、文化、風土に根ざした魅力的な都市景観の創造が重要で
ある。【資料編29】
■大阪府民のみどりに対する意識
大阪府域のみどりについてどう感じるか
(府 域 全 体 )
(都 市 部 )
みどりが
豊かだ
みどりが
ほとんどない
みどりが
ほとんどない
2 .8 %
4 .2 %
みどりが
豊かだ
0 .9 %
1 9 .3 %
2 1 .6 %
ある程度
みどりが ある
4 6 .4 %
みどりが
少ない
ある程度
みどりが ある
4 6 .6 %
みどりが
少ない
5 8 .2 %
(資料)大阪府:平成21年7月実施アンケート
(まちの環境への配慮)
地球温暖化など環境問題は世界的課題であるが、大阪府域においても温暖化による影
響とヒートアイランド現象とが相まって都市の高温化が進行している。【資料編30】
また、住宅地や各種施設の郊外への立地が拡大してきたことから、交通問題をはじめ
とした様々な要因により、環境負荷の大きな都市やまちとなっている。
家庭からの二酸化炭素排出量を目的別に見ると、「照明・家電製品など」と「自動車」
が大きく、それぞれ3割程度を占める。このことからも、自動車になるべく依存しない
まちづくりを目指すべきである。【資料編31】
■家庭からの二酸化炭素排出量(用途別内訳)
※2008年、全国値
ゴミから 水道から
1.9%
3.0%
暖房から
12.3%
冷房から
2.0%
(資料)温室効果ガスインベントリオフィス(2008 年)
・家庭からの CO2 排出量は、インベントリの家庭部門、運輸(旅客)部門の自
家用乗用車(家計寄与分)、廃棄物(一般廃棄物)処理からの排出量、および
自動車から
30.3%
給湯から
13.6%
水道からの排出量を足し合わせたもの
・ゴミ(一般廃棄物)の排出量は、非バイオマス起源(プラスチック等)の焼
却による CO2 及び棄物処理施設で使用するエネルギー起源 CO2 のうち、生活
照明・家電製品
などから
32.7%
キッチンから
4.3%
系ごみ由来分を推計したもの
・日本エネルギー経済研究所
計量分析ユニット
家庭原単位マトリックスを
もとに、国立環境研究所温室効果ガスインベントリオフィス 0 が作成
-11-
(3)府民の安定した生活を支える住宅セーフティネット
(公営住宅制度の抱える課題)
昭和26年(1951年)制度創設当初、国民の8割(収入分位)が入居できる住宅
として制度設計され、高度経済成長期においても4~6割(収入分位)が入居できる住
宅、いわば国民住宅として機能していた。【資料編32】
とりわけ高度経済成長期での絶対的住宅不足への対応、大都市部に流入する労働人口
(成長階層)を受け入れるため、公団住宅、公社住宅ともども大量かつ早期の住宅供給
に貢献してきており、公共による直接建設方式は一定の成果があった。【資料編33】
その後の住宅不足の解消を受け、収入分位を33%(1 種)、16%(2 種)に絞り、
さらに平成8年(1996年)には、高齢者等、真に住宅に困窮する者の居住の安定を
図るために、原則25%に絞り、所得に応じた家賃を採用するなど、制度の転換が行わ
れた。しかし、直接建設方式は存置されており、次のような課題が山積している。【資
料編34・35】
ⅰ集住による地域住民組織の疲弊【資料編36】
ⅱ大規模団地等ストックの地域偏在【資料編37・38】
ⅲ卖身等小規模世帯の増加を想定していない固定化されたストック【資料編39】
ⅳ大量の更新ストックへの対応【資料編40】
このように時代の変化の中で、公営住宅制度の役割が変化し、様々な課題が生じてお
り、公共による直接建設方式が最も有効という時代ではない。
■建設年度別の府営住宅ストックの状況
-12-
(住宅困窮者の多様化)
人口・世帯の減尐、尐子高齢化が進む社会の中で、世帯構成が激変する(ファミリー
世帯中心⇒卖独世帯中心)。都市の活力低下、経済成長の停滞により、中間所得層が減
尐、世帯の低所得化も進み、雇用環境も悪化。特に大阪では、失業率が高く、若年層の
失業率の高さが顕著であり、非正規雇用の増大など収入の安定しない府民も増加するな
ど、住宅困窮者は多様化している。【資料編41~45】
また、障がい者の入所施設や精神科病院からの地域移行を進めているが、グループホ
ームなどの障がい者が必要な支援を受けながら地域で安心して暮らせる住宅の確保が
課題となっている。
■大阪府の世帯類型別の一般世帯数
(千 世 帯 )
1,400
1,200
1,000
800
600
400
200
0
S45
S50
S55
S60
単 独 (高 齢 )
H2
H7
H 12
単 独 (高 齢 以 外 )
H 17
夫婦のみ
H 22
H 27
ひ と り親 と 子
H 32
夫婦と子
H 37
H 42
H 47
その他
(資料)総務省「国勢調査」、大阪府住宅まちづくり部推計
(住宅セーフティネット再構築の必要性)
公共による直接建設方式(特に府営住宅)の様々な課題が指摘される一方で、民間賃
貸住宅では多くの空き家が存在し、経営上の支障が生じるなどの状況もあり、これら民
間賃貸住宅ストックの有効活用が求められている。【資料編46】
公的賃貸住宅や民間賃貸住宅市場の状況を踏まえ、直接建設方式(公営住宅等)を中
心とした住宅政策(住宅セーフティネット)から、間接供給方式(家賃補助、借上げ制
度等)の活用も加え、住宅市場全体で対応する住宅セーフティネットの再構築が求めら
れている。再構築にあたっては、住宅という財が土地固着性や長期耐用性、資源多消費
性といった特殊な性質を有し、卖純な市場メカニズムが機能しないことも踏まえること
が重要である。
-13-
(4)府民の暮らしを支える民間住宅市場
(住宅・まちの形成に大きな影響を与える民間活動)
府内の住宅のうち約9割が民間住宅であり、開発等も多くが民間事業者により取り組
まれており、住宅やまちの形成は、民間住宅市場の動向に大きく左右される。
【資料編47】
民間住宅市場では、住宅供給事業者、住宅リフォーム事業者、不動産流通業者、住宅
管理・運営事業者、設計・検査業者など、様々なプレイヤーが存在。近年は、民間企業
のみならず、NPO等も台頭している。
市場における多様な主体による創意工夫あふれる対応により、府民の多種多様な居住
ニーズに柔軟に対応した住宅やまちのストック形成が進められることが期待できる。
一方で、悪質リフォームや追い出し行為などの行為が発生しており、民間住宅市場の
環境整備が急務となっている。
■大阪府の所有関係別のストック割合
民間住宅
約9割
(資料)総務省「平成 20 年住宅・土地統計調査」
-14-
(民間賃貸住宅市場の課題)
住宅規模や老朽化などのストックの課題に加え、民間賃貸住宅市場において、入居拒
否や追い出し行為など、府民を不安に陥れる行為が発生している。
【資料編48・49】
一方で、賃貸住宅経営面から見ると、空き家の発生や建物・設備の老朽化等の課題に
加え、家賃の不払いなど住宅管理に係る様々なリスクを抱えている。【資料編50】
■大阪府の宅建業者が家主から入居拒否の申出を受けた経験
高齢者
100%
2.4%
障がい者
100% 3.1%
1.8%
80%
80%
42.4%
60%
56.8%
55.2%
20%
41.4%
35.5%
0%
0%
2.6%
母子(父子)家庭※
ある
100% 2.9%
ある ない 無回答 3.6%
43.4%
60%
22.7% 2.4%
100%
平成15年度調査 平成21年度調査
80%
平成15年度調査 平成21年度調査
80%
58.0%
60%
ない 無回答
82.6%
38.4%
42.4%
55.2%
平成15年度調査 平成21年度調査
14.5%
0%
平成15年度調査 平成21年度調査
41.4%
82.4%0%
20%
0%
56.8%
40%
40%
54.0%
1.8%
5.1%
20%
60%
40%
20%
74.0%
40%
20%
80%
61.4%
60%
40%
外国人
100%
3.2%
12.4%
ある ない 無回答
平成15年度調査 平成21年度調査
(資料)大阪府「宅地建物取引に関する人権問題実態調査」
※H15調査は母子家庭のみを対象とした数値
ある ない 無回答
ある ない 無回答
(持家住宅市場の課題)
持家ストックは、一定の水準が確保されつつある。一方で、経済環境、雇用環境の変
化などから、一次取得層となる団塊ジュニア世代やその次の世代などの若い世代を中心
に持家取得行動が多様化している。【資料編51】
これらに対応するためには、比較的安価な既存住宅が流通し、多様なニーズに答えら
れるリフォームが安心してできるなどの、市場環境整備が求められる。【資料編52】
-15-
(5)まちづくり政策への社会的要請
(拡大型のまちから、コンパクトシティ化へ)
拡大を続けてきた大阪都市圏であるが、今後の人口・世帯の減尐、尐子高齢化を考え
ると、これまでのように都心部に就業の場が集中し、郊外に住宅地が順次広がっていっ
た「拡大型のまち」は、うまく機能しなくなっていくことが予想される。
【資料編53】
郊外部などでは、人口・世帯の減尐や高齢化等により通勤、通学利用者が減尐し、採
算のあわないバス路線の撤退等により住民の転出が進み、空き家が発生するという悪循
環も懸念される。既に蓄積されている住宅や公共交通機関などの都市のストックを効率
的に活用しながら、どうまちの機能を維持・充実していくかが課題となっている。
これからの人口減尐社会において、人口回復をまちの再生の前提条件としない持続可
能なまちへの転換が求められている。
■市町村別の昼夜間人口比率
(資料)総務省「国勢調査」平成17年
-16-
(まちの自立化、機能分担・連携による地域の発展)
郊外部の住宅地の多くは、その周辺で「働く」「遊ぶ」などの機能が不足し、これら
の機能を都心に依存する傾向にある。
若年層を中心に、よりライフスタイルとのバランスが取りやすい、利便性の高い都心
やその周辺への住み替えが進み、郊外住宅地の高齢化、地域における交流やつながりの
希薄化が起こるとともに、定年退職した高齢者が地域で活躍できる場がない、子育てし
ながら働きたくても、家の近くに働く場がないなどの課題が生じている。
【資料編54】
都心部だけでなく、府内の地域拠点に商業・業務等の機能を導入することにより、コ
ミュニティビジネスなどの就業の場を混在させ、まちの自立化を進めつつ、まちの中だ
けで生活が完結するのではなく、公共交通により地域間を往来するなど、身近な地域拠
点がそれぞれ機能分担しながら連携し、地域で発展していくことが求められる。
(地域における交流やつながりの再生)
地域における交流やつながりの一層の希薄化は、地域の人々の状況を相互に把握する
ことを困難にし、災害発生時の対応や日々の生活面や防犯面での対応において問題があ
る。
高齢者や障がい者、子育て世帯など、誰もが地域での生活が可能となるよう、地域の
人々のつながりと支えあいを構築していくことが重要であり、そのためには生活の拠点
となる駅や小中学校などを中心に、地域における交流やつながりを再構築できる場の確
保が必要である。
(自らのまちは自ら創る)
社会経済の成熟化の中で、人の価値観・ニーズが多様化する一方、尐子高齢化の進展
も地域により異なることから、全国画一的な基準で様々な課題に対応することが難しく
なっている。
このような環境の中、地域において、地域の住民と企業・NPO等や行政が連携しな
がら課題解決に向けた取り組みを進めることが重要である。
-17-
2.都市型高齢社会・人口減少社会における住宅とまちのあり方
《目指すべき基本目標》
今後の都市型高齢社会・人口減尐社会の到来は、住宅とまちのあり方にも大きな影響
を与える。
住宅まちづくり政策の展開にあたっては、府民の不安を取り除くとともに、府民の将
来にわたる多様な選択性が確保されることを基本に据え、展開されなければならない。
このため、施策の展開にあたっては、以下の基本目標の実現を目指すべきである。
Ⅰ.安心感が得られる住宅とまちの実現
Ⅱ.選択が可能で活力ある住宅とまちの実現
《住宅とまちのあり方》
基本目標の実現に向けては、目指すべきあり方を明示し、行政、府民、事業者等が協
働して、その実現に向け、取り組みを行う必要がある。
取り組みにあたっては、府民の生活の原点を支える住宅とまちの「安心」や「安全」
の確保を優先しつつ、将来にわたり快適さや豊かさを享受することができるよう「環境」
に配慮され、「個性」豊かで、「多様な人々が住み交流」することができる住宅とまちの
形成を目指すべきである。
(1)安心して暮らせる住宅とまち
良質な住宅ストックが形成され、住宅セーフティネットが住宅市場全体で構築
されるとともに、必要に応じて生活を支えるサービスが選択できることにより、
高齢者・障がい者・子育て世帯・外国人を始め、府民誰もが住み慣れた地域で安
心して暮らし活動できる住宅とまちを目指す。
仕事をはじめ生活の多くを都心に依存するまちの構造から、住んでいる地域で、
日常的な買い物や通院、趣味や生きがいをみつけられるまちへ転換を目指す。
道路、公園、駅など、まちの公共施設、公共空間について、周辺地域も含めた
バリアフリー化、ユニバーサルデザイン化が進められるとともに、公共交通が利
用しやすく、誰もが安心して活動できるまちを目指す。
-18-
(2)安全を支える住宅とまち
耐震性や耐火性などの向上により、大規模地震などの災害が発生しても、被害
が最小限に抑えられ、府民の生命・財産が守られる住宅とまちを目指す。
また、空き巣やひったくり等の犯罪の発生を防ぐ安全性が高い住宅やまちを目
指すとともに、地域での支えあう仕組みが充実した安全を支えるまちを目指す。
(3)環境負荷をかけない住宅とまち
住宅の省エネ化、長寿命化が図られるとともに、都市緑化が進むなどにより、
低炭素社会に向けた環境負荷をかけない住宅とまちを目指す。
発達した鉄道網など公共交通機関の利用を中心とした、都市機能の集約・連携
型都市構造が強化されたまちの形成を目指す。
資源を循環的に使い、共有するなど、環境に配慮したライフスタイルを実現し
やすい仕組みのあるまちを目指す。
(4)個性が活かされる住宅とまち
健全な住宅市場の形成が図られ、状況に応じたサービスが適切に受けられると
ともに、それらに関する必要な情報が的確に入手できるなど、多様で魅力的なラ
イフスタイルを自ら選択できる住宅とまちを目指す。
地域の自然や文化等の既に蓄積されている都市インフラや地域資源が活用さ
れ、良好な景観が楽しめるなど、内外から人が訪れ、住み続けたくなるまちを目
指す。
先端的な医療や研究施設、生産施設など、これからの大阪の成長を支える新た
な機能の導入も進められることにより、特色あるまちを目指す。
(5)多様な人々が住み交流することができる住宅とまち
働き・学び・遊び・住まうための多様な機能(用途)を併せ持ち、雇用やサー
ビスを生み出す仕組みが充実することにより、多様な人々が活力を持ちながら住
み、活躍し、交流できる自立したまちを目指す。
大都市特有の住民の流動性の高さも活かし、外国人を含めた多様な人々が、そ
れぞれの文化や習慣の違いを理解しあいながら、新たな価値観や活力が創造され
る発展的な地域における交流やつながりが形成されることを目指す。
-19-
3.施策構築・推進の展開方針
都市型高齢社会・人口減尐社会における住宅やまちのあり方を実現していくために、
以下の視点から、施策の構築・推進を展開すべきである。
(1)公正な市場機能の重視
市場の競争性・選択性を十分に活用した住宅市場全体を視野に入れた施策展開を図る
ことが求められている。市場を活用した政策の展開のためには、住宅の供給や流通、管
理・運営やまちづくりなど様々な段階で、行政としての市場への関わり方をしっかり見
定め、取り組みを進める必要がある。
住宅やまちづくりに関わる民間市場の実態や市場における多様なプレイヤーの動向
等について大阪府独自の調査を行うなど、市場の状況の把握に努めつつ、国の制度の活
用も図りながら、大阪の実情に応じた住宅まちづくり政策の枠組みを構築すべきである。
住宅セーフティネットの再構築に際しても、市場機能を有効に活かした取り組みを実施
すべきである。
また、高齢化が進む団塊の世代や、第一次取得層の中心となる団塊ジュニア世代やそ
の次の世代、市場における経済活動の中心をなす中堅所得層など、市場のボリュームゾ
ーンの動向を的確に把握し、施策を講じることも重要となる。
市場において、最低限確保すべき水準の提示や、事業者等が適切に評価される仕組み
づくりなどについて、これまでのフロー中心の関与の仕方からストック中心の関与の仕
方に転換していくことが重要である。
(2)ストックの重視
既に多くの住宅やまちのストックが形成されており、今後の人口減尐・世帯減尐が進
む社会においては、これまで以上にストックを重視した施策が必要である。
住宅やまちの耐震化、バリアフリー化、省エネ化など、ストックの機能向上とともに、
不良ストックの円滑な更新に重点を置くべきである。
また、新規の住宅供給やまちの形成においても、将来にわたり良質なストックであり
続けるよう、良質な住宅供給やまちの形成と適切な維持管理に取り組むべきである。
大都市圏である大阪には、200万戸にのぼる賃貸住宅が存在し、住宅流通市場が確
立している。近年は、多くの空き家も生じており、住宅市場の活用にあたっては、これ
らの住宅ストックの活用を重視すべきである。
さらに、人口急増期に大量に供給された公的賃貸住宅は、一定の質を持つストックと
して住宅市場に流通しており、その多くが良好な立地にある場合も多く、その活用を図
るとともに、地域における公共の資産として有効活用を図るべきである
まちに暮らす人々の持つ能力や、地域において築かれた地縁、地域に根ざした歴史的
風土や文化なども、まちの重要なストック(資源)であり、これらを有効に活用し、多
様な人々が地域で活躍し、交流できる環境づくりを行うことが重要である。
-20-
(3)地域活動の重視
高齢者世帯、子育て世帯、若者など、多様な世代が交流し、支えあうなど、地域にお
いて様々な活動が行われることにより、安心・安全・活力ある住宅とまちが創出される。
このため、地域における多様な主体が、まちに蓄積されたハード、ソフトのストック
を活用して、様々な活動が展開できる環境づくりを進めるべきである。
福祉・防災・防犯・環境など、多様化するニーズや地域により異なる課題に対応しつ
つ、個性を活かしたまちづくりを進めるためには、自治会やPTAや、NPO等の地域
で活動を行う組織が、まちづくりの担い手となることが重要である。
これらの組織による取り組みが一過性に終わることなく、持続可能な取り組みに成長
していくため、市町村が中心となり、参画と連携の仕組みづくりなど、地域住民の主体
的なまちづくりを育成していくべきである。
また、市場メカニズムの中で、地域における様々な取り組みをどのように活かしてい
くのか、持続可能なまちづくりの取り組みについて検討すべきである。
大阪府は、市町村とともに、地域における先導的な活動の支援等を行うとともに、こ
れらの取り組みを広く情報発信することなどにより、地域活動への支援が行われるよう、
市町村に働きかけを行うべきである。
(4)政策連携の重視
民間住宅市場を活用した施策展開には、府民(生活者)を中心に置きながら、行政や
公的団体、NPO等の活動団体、民間事業者等の多様なプレイヤーが、それぞれの持つ
資源や情報を融通しあい、協力・連携していくことが不可欠である。
地域の自治会やNPO、コミュニティビジネスなどによるソフトの取り組みと、地域
に蓄積されたハードの資源、とりわけ公共施設や公的住宅等を結びつける仕組みが求め
られているが、これらの対応には、住宅まちづくり政策領域だけでなく、都市、交通、
福祉、教育、労働をはじめ、生活を取り巻く各政策領域との連携が重要である。
とりわけ、今後急増する高齢世帯や、子育て世帯が安心して地域で暮らすためには、
住宅の供給だけでなく、福祉部局と住宅部局の連携による環境整備が今まで以上に重要
である。
このため、政策領域における縦割りの弊害を取り除き、各部門の密接な連携を図るべ
きである。
-21-
4.住宅とまちのあり方の実現に向けた施策の方向性
(1)安心して暮らせる住宅とまちの形成
① 市場機能を活用した住宅セーフティネットの構築
住宅は、市場において自力で確保することを基本とするが、
「経済的な側面」や「社
会的な側面」から、
「技術的な側面」を満たす住宅を市場で確保できない府民が存在し
ており、これらの府民を支えるために、住宅セーフティネットが求められる。
Ⅰ.経済的側面
府民が住宅を、その収入に応じた適正な負担の範囲内で、住宅市場において見
つけられること。(極度の経済的困窮者に対しては、生活保護制度等の社会保障
制度による所得保障がなされることを前提とする。)
Ⅱ.社会的側面
高齢者や障がい者等であることを理由に、住宅の提供を拒否されないこと。
また、DV被害者や失業者等の一時的・緊急的な住宅困窮等に対して、住宅が
見つけられること。
Ⅲ.技術的側面
最低限度の生活を営むに足る広さ(規模)や、耐震性、耐火性、バリアフリー
化など一定の性能を持った住宅を住宅市場において見つけられること。
公共の役割として、経済的側面、社会的側面、技術的側面を満たす住宅が、市場メ
カニズムを活かしながら提供される仕組みを構築することが求められる。
このためには、これまでの直接建設方式による住宅の提供だけでなく、公的賃貸住
宅を含めた住宅市場において、一定の質をもった低家賃住宅が安定的、継続的に供給
される環境整備が重要である。
その際には、適切に市場の状況が反映されるよう、府民の収入や市場における住宅
の家賃や質の状況等を把握・検証できる仕組みが用意される必要がある。
これら市場の環境整備により、成長層を含む多様な世帯が市場において適切な住宅
が確保できるようにすべきである。
 住宅市場における高齢者への対応
とりわけ、今後増加が予測される高齢者(特に卖身高齢者)に対しては、民間住宅
市場において、住宅市場全体のストックの状況も踏まえながら、高齢者向け賃貸住宅
の供給が促進されるようにすべきである。
高齢者の入居を拒否しない一定の質をもった住宅を登録する高齢者専用賃貸住宅
の登録制度について、さらに発展させ、質の担保、監督権限の強化を行うべきである。
さらに、サービスが提供される場合についても、一定の基準や指導監督権限等に
ついて、その確保策も含めて検討すべきである。
-22-
 住宅市場における障がい者等への対応
高齢者に加え、障がい者、子育て世帯、外国人世帯等については、入居拒否を受
ける可能性があり、これらの世帯の入居を拒まない住宅として、あんしん賃貸住宅登
録制度が実施されているが、高齢者専用賃貸住宅と同様、一定の住宅の質やサービス
の担保がなされ、市場に供給される仕組みについて、大阪府として積極的に検討すべ
きである。その際には、それぞれの特性に応じた社会的側面、技術的側面に対応する
考え方を提示すべきである。
障がい者施策においては、入所施設からの地域移行や精神科病院からの退院促進
は最重要課題の一つである。障がいのあるなしに関わらずふれ合いながら共に生活す
る共生のまちづくりを推進することが重要であり、特にグループホーム・ケアホーム
の整備をさらに促進する必要がある。このため、公営住宅やUR賃貸住宅、公社賃貸
住宅などの公的賃貸住宅における活用に加え、民間賃貸住宅の活用も含め、総合的に
推進することが求められる。なお、これらを検討するにあたっては、障がい者の多く
が低所得者である実態も踏まえ、低廉な家賃で利用できるようにするといった視点が
必要である。
(家賃補助制度等について)
このような環境整備を行い、住宅市場の拡充に努めた上で、なお、住宅市場におい
て住宅確保ができない府民に対しては、間接供給方式(借上げ制度、家賃補助等)の
導入について、検討すべきである。
家賃補助等の導入については、住宅の質などについて、市場の誘導が期待できる一
方、欧米諸国の状況を見ても、市場家賃の高騰を招くなどの課題を抱えるほか、公共
による直接建設方式も併用した状況となっており、これらを十分留意して、実現可能
な範囲から段階的に実施を検討すべきである。
また、直接建設方式と借上げ制度、家賃補助等について、実施するための必要な費
用を試算するなど、比較を行うとともに、大阪の地域特性等に応じた柔軟な制度設計
となるよう、検討すべきである。
(段階的対応)
当面の対応として、直接建設方式(公営住宅)では解消できない、困窮者の集中な
どの課題を解消するため、用途廃止等に伴う民間賃貸住宅等への移転に対して借上げ
制度や限定的な家賃補助等を検討すべきである。
次の段階として、国において家賃補助等の創設がなされた場合には、府営住宅を公
営住宅としての枠を取り外して市場家賃化し、府民が誰でも入居可能な住宅とし、民
間賃貸住宅やUR賃貸住宅・公社賃貸住宅を含め、低所得者に対しては、家賃補助等
による対応を行うことを検討すべきである。
-23-
(大阪府として考えられる枠組みの検討と国への提案)
住宅セーフティネットを考えるにあたっては、社会保障全体に関わる問題を含んで
いるため、所得再配分、ナショナルミニマムの観点から、根本的には、国における社
会保障制度の改革(例えば、生活保護制度の改革、住宅手当の拡充等)が必要である
が、まず、大阪府として考えられる枠組みを検討し、社会保障制度との関係において
改正すべき事項があれば、大阪府としての枠組みと併せて、国への制度改正提案を行
うべきである。
住宅セーフティネットの具体的検討の方向性
《経済的側面の具体的検討(方向性)》
生活保護制度では、扶養義務者の扶養や資産等を含めた基準により、生活全般
にわたる経済的支援を行っている。
一方、公営住宅法では、収入基準として、国民の収入分位25%以下(高齢者
世帯等は40%以下)を入居資格者として設定されているが、その施策対象とな
る全ての世帯を公営住宅において対応できてはおらず、不公平が生じているとい
う現実がある。
その収入基準の設定根拠は、3人世帯を想定しているが、近年、1人・2人世
帯が大半を占める世帯構成に変化しており、多くの賃貸住宅の空き家が存在する
大都市圏の実態も踏まえ、これまでの収入分位による一律の基準ではなく、真に
困窮する世帯に対して、的確に支援がなされることを検討する必要がある。
さらに、公営住宅法入居者資格の同居親族要件の廃止や収入基準の条例委任を
行う地方分権改革推進計画の実施の趣旨も踏まえると、経済的側面について、大
都市の住宅市場の状況を反映した、大阪独自の対象設定が必要である。
□大阪独自の対象設定
世帯構成の時代変化や特性も踏まえ、大阪の世帯人員、所得、家賃負担率等
の状況を的確に把握を行い、大阪独自に基準を設定して、きめ細かく住宅セーフ
ティネット(経済的側面)の対象者を決めることを検討すべきである。
□具体的な設定方法の提案 ~大阪の住宅市場における家賃負担能力による対象者の設定~
公的賃貸住宅を含めた賃貸住宅市場において、適正な家賃負担率の範囲内で、
一定の居住水準の住宅を確保できる年収を推計。この年収を確保できない府民を
住宅セーフティネット(経済的側面)の対象者として、施策を講じていくことを
検討すべきである。
仮に以下の条件で設定した場合の推計は次のとおりである。
-24-
住宅セーフティネット(経済的側面)対象世帯数推計
◆ 対 象 者 に つ い て は 、国 が 全 国 一 律 に 示 し て い る 収 入 分 位 25% (高 齢 者 等 は 40% )に よ る 基 準 の
考 え 方 を見 直 し、大 阪 の 世 帯 人 数 、家 賃 負 担 率 、居 住 面 積 等 か ら府 独 自 の 基 準 を設 定 す る。
仮 に 下 記 の 条 件 で設 定 した場 合 の 推 計 は 次 ぎの とおり。
設定条件
家賃負担率
1 6.5% ~ 24 .1%
(世 帯 人 数 、
所得に応じて
設定)
居住面積
1人 世 帯
2人 世 帯
3人 世 帯
4人 世 帯
5人 世 帯
25㎡
30㎡
40㎡
50㎡
57㎡
市場家賃
(万 世 帯 )
一 定 の 住 宅 を 1人 世 帯 は 60歳 以 上 高 齢 等
確保するのに
2人 以 上 世 帯 は 全 世 帯 を
対 象 とした場 合 の
必要な年収
必要年収未満世帯
(必 要 年 収 )
1,818円 / ㎡
1,521円 / ㎡
1,233円 / ㎡
1,213円 / ㎡
1,156円 / ㎡
1人 245万 円
~
5人 374万 円
41.6万 世 帯
全 世帯を対 象とした場 合
の必要年収未満世帯数
60.8万 世 帯
※ 家 賃 負 担 率 :収 入 に 対 す る 家 賃 の 割 合
※ 必 要 年 収 の 算 出 方 法 (1人 世 帯 の 例 )
必 要 家 賃 : 2 5 ㎡ × 1 ,8 1 8 円 /㎡ = 4 5 ,4 5 0 円
こ の 家 賃 を 家 賃 負 担 率 (こ の 場 合 2 2 .3 % )で
支払える年収を算出
4 5 ,4 5 0 円 ÷ 0 .2 2 3 × 1 2 ヶ 月 = 2 4 5 万 円
⇒ 2 4 5万 円 以 下 の 世 帯 を 対 象 世 帯 と す る 。
1人
世帯
60歳 未 満
60歳 以 上 の
-
19.2万 世 帯
19.6万 世 帯
19.6万 世 帯
2人 世 帯
11.9万 世 帯
11.9万 世 帯
3人 世 帯 以 上
10.1万 世 帯
10.1万 世 帯
高齢者等
《社会的側面の具体的検討(方向性)》
住宅市場において、高齢者や障がい者、母子家庭など住宅を探す府民が、家主
等から入居を拒否される場合があることが報告されている。
その理由として、
「病気や事故などの不安」
「火の不始末などの不安」
「他の入居
者とのトラブルへの不安」などがあげられている。
これらの原因を取り除くために、福祉・労働施策との連携による居住支援等の
取り組みとあわせて、規制等による対応も検討することが求められる。
この他、DV被害者や失業者等の一時的に支援が必要な世帯については、住宅
の確保とともに、福祉・労働施策等による居住支援等が適切に図られるよう検討す
べきである。
《技術的側面の具体的検討(方向性)》
住宅の技術的側面を扱ったものとして、国の「最低居住面積水準」がある。ナシ
ョナルミニマムとしての基準として設定されており、公営住宅の供給の基準となる
など一定の役割を果たしてきた。
大都市の既存ストックについて、より現実に即した最低限度の水準について、
今後、検討を進めるべきである。
この水準は、劣悪な住宅に住まわないよう最低限確保すべき水準として、水準
以下の住宅の存在を許さないなどの規制も視野に入れるべきである。
技術的側面には、住宅の広さ(面積基準)だけでなく、耐震化や不燃化、バリ
アフリー化等についても設定が必要である。また、住宅卖体だけでなく、生活利
便性や立地等を含む周辺環境などについても設定するよう検討が必要である。
また、居住者の多様性を踏まえ、居住に際し提供される生活支援サービス等に
ついて、水準として設定することについても、今後検討すべきである。
-25-
② 公的賃貸住宅の改革とストックの活用
(公営住宅の管理・運営のあり方)
公営住宅ストックは、住宅市場において、一定の質の低廉な家賃の住宅を行政自ら
が建設する形で、住宅困窮者に提供されている。
住宅セーフティネットの経済的側面、社会的側面、技術的側面をフルセットで提供
できる反面、提供できる数が限られ、団地として供給することから、立地も限定され、
困窮する者が集中するなど、多くの課題も指摘されている。
今後、公営住宅の管理、運営について、住宅セーフティネットに重点化したこれま
での政策を改め、多様な府民が住まう居住環境に転換するとともに、将来の世帯数減
尐に備え、管理戸数の目標を長期的な視点で定めていくことが必要である。
また、公営住宅ストックや公営住宅団地が、地域において果たすべき役割も踏まえ、
これらのストックを「まちの資産」として活用する視点が必要である。
(公営住宅対象者の転換)
住宅セーフティネットに重点化した公営住宅から、多様な府民が住まう居住環境に
転換するため、活力層を含む多様な層が入居できるよう、募集方式や対象者の設定を
検討すべきである。
今後、一層の進行が見込まれる卖身化や世帯の小規模化等の状況に対応するため、
非親族世帯によるルームシェアなど、生活の一部を共同化する多様な住まい方への対
応を検討すべきである。
なお、今後予定される入居資格の世帯要件の廃止に伴う、60歳未満の卖独世帯へ
の対応については、世帯向けに供給されたストックの状況や住宅市場の状況も踏まえ、
その対象者を検討すべきである。
(住宅団地のまちづくりへの活用)
団地の空き住戸や共同施設、敷地の空きスペースなどを活用し、生活支援施設など、
生活を支える様々な用途の導入を図るなど、ストックの活用に努めるべきである。
建替え等にあたっては、地域の福祉ニーズ等に対応した施設を導入するなど、地域
の賑わいや活力の向上に貢献できるような土地利用計画にすべきである。
(地域主権の推進)
府営住宅ストックについては、入居者や地域住民に、福祉政策等と緊密に連携した
サービスが提供されるよう、府営住宅を積極的に活用したまちづくりを市町と共に進
めるべきである。
さらに、府営住宅を活用したまちづくりを主体的に行う意思のある市町には、移管
を進めるべきである。
また、公的賃貸住宅の一元的な運営管理を行うことにより、地域の実情に即した的
確な政策の反映や効率的な住宅経営を目指すべきである。
-26-
③ 住宅のバリアフリー化
住宅内の事故を未然に防ぎ、高齢者、障がい者をはじめとする誰もが安全に暮らせ
るよう、住宅のバリアフリー化を促進すべきである。
また、個別の身体の状況に応じた的確な改修が可能となるよう、福祉、医療、介護
などの様々な分野の専門職とも連携できる専門知識を有する技術者を養成し、また、
これらの者が地域ケアの現場で活用されるよう、地域における連携体制を構築すべき
である。
④ 福祉のまちづくりの推進
平成5年の福祉のまちづくり条例の施行や、その後のバリアフリー関係法等の施行
により、建築物等都市施設のバリアフリー化については、一定の成果をあげてきてい
るが、今後とも、都市施設のバリアフリー化を推進していくことが必要である。
とりわけ、生活に密着した鉄道駅とその周辺地域のバリアフリー化を推進すること
により、誰もが安心して出かけられるまちを目指すべきである。
さらに、せっかくバリアフリー化された都市施設が、その情報が的確に提供されて
いないために十分利用されていない場合があり、施設利用時におけるスタッフによる
配慮が不足している現状もある。
今後は、高齢者・障がい者等の社会参加に関するさまざまな取り組みを行っている
障がい当事者やNPO、民間事業者等とも連携しながら、すべての人が自らの意思で
自由に移動でき、社会に参加できる「福祉のまちづくり」の理念の実現に向け、「よ
り利用しやすく、でかけやすく」するための有機的な施策を展開することが必要であ
る。
⑤ 身近なまちの活動拠点と安心を支えあう仕組みづくり
これまでの行政が自らまちづくりを手がけてきた時代から、人口・世帯が減尐し、
公共・民間による投資余力が限られている中で、今後は、地域の住民組織が主体とな
り、まちづくりを行っていくことが重要となる。また、地域の住民組織だけでは対応
が難しい場合は、ノウハウを持ったNPO等との連携により、地域を支える仕組みも
必要となる。
こうしたまちを実現していくため、地域にある公営住宅などの公的資産を活用し、
地域に人々が集まる拠点の確保や、様々な活動を展開できるスペースへの転用などを
進めていくべきである。
また、交通政策とも連携を図りながら、地域におけるデマンド交通などの活用など
も検討すべきである。
-27-
(2)安全を支える住宅とまちの形成
① 住宅・建築物の耐震化等
減災の観点を踏まえ、迅速に住宅・建築物の耐震化が進むよう、府民による自主的
な耐震改修を支援する施策展開を、継続的かつ積極的に行なうことが必要であるため、
補助制度を含めた施策の見直し・充実、民間連携による取り組みの強化を図り、耐震
化を加速していくべきである。
さらに、住宅の耐震化については、府民個々の取り組みとなり、事業者選定などに
不安を抱えている現状があるため、行政・民間の密接な連携のもと、自治会等の住民
組織としての取り組みを通じて、府民の耐震化に関する安心感の確保、防災等の地域
活動の活性化による耐震化の促進に向け、自治会等のまち卖位で耐震化に取り組んで
いく仕組みを導入すべきである。
また、建物の更新時に耐火・準耐火建築物への建替えを誘導するため、防火・準防
火地域の指定を拡大すべきである。
② 密集市街地の再整備のための抜本的対策
密集市街地では、地震時大火など広域的な被害が発生する可能性が依然として高く、
延焼や道路閉塞などの危険性に対して、早急に最低限度の安全性を確保するため、大
阪府と地元市町が、戦略的に取り組んでいくことが必要である。
広範囲に広がる密集市街地において、効果的・効率的に整備を進めるためには、民
間投資を再整備に有効に結び付けていく必要がある。このため、防火・準防火地域の
指定拡大や、さらに2階建ての住宅等の不燃化を図るための新たな防火規制を検討・
導入し、建替えなどの更新時期をとらえて、不燃化を促進していくべきである。
これまでの密集市街地整備の補助制度を、より重点的かつ効果的に活用していくた
め、地元市町において、今後10年内に重点的に取り組み、確実に成果を出していく
地域を選定し、アクションプログラムを策定するなど、密集市街地整備の強力な推進
を図るべきである。
なお、大阪府や地元市町は、密集市街地の危険性や、整備の進捗状況などについて、
府民、市民に的確に伝え、地域のまちづくりの機運を高め、密集市街地の早期解消に
努めるべきである。
③ 災害に強いまちづくり
地震や水害等の様々な災害の発生に際して、府民が適切に避難等の対応が行えるよ
う、ハザードマップをはじめとする防災情報の整備の促進を図るとともに、その周知
や共有化を図るための取り組みを進めるべきである。
また、府民や自治会等の地域の活動組織、行政、ボランティア、事業者等の地域社
会を構成する多様な主体が、過去の災害から得られた経験や知見も活かしながら、被
害を軽減するための協働の仕組みが、それぞれの地域において構築されることが重要
である。
-28-
このため、ワークショップや体験型学習等による防災教育等を実施するなど、それ
らの情報や知識が有効に活用されるための取り組みを進めるべきである。
さらに今後、未曾有の被害を及ぼした東北地方太平洋沖地震における被害の状況の
検証・評価も踏まえ、大阪における課題の整理を行い、都市政策等とも連携を図りな
がら、災害に強いまちづくりについての更なる検討を進めるべきである。
(3)環境負荷をかけない住宅とまちの形成
① 住宅・建築物の環境配慮
地球温暖化やヒートアイランド現象への対応のほか、まちなみ・景観や住宅内外の居
住環境への配慮など、住宅・建築物の環境配慮の取り組みを進めることが必要である。
このため、「建築物環境配慮制度」については、その対象の拡大を図るとともに、
簡便でわかりやすい届出制度とし、評価結果を表示するラベリング制度により、環境
に配慮した住宅・建築物の供給を促進すべきである。
住宅性能表示制度の普及啓発や長期優良住宅の認定など、住宅の環境配慮を誘導す
る施策の一層の推進を図るべきである。
住宅・建築物における低炭素化をアドバイスする制度や国の導入支援策などを活用
して、省CO2設備・機器を既存住宅・建築物等に導入促進すべきである。
資源の循環の輪をつなげていくため、住宅・建築物における地域産木材の利用促進
を図るべきである。
② 環境負荷の少ないまちの形成
(まちの構造やライフスタイルの転換)
鉄道駅や近隣センターなど生活の拠点となる場所を中心に、日常的な買い物や通院、
趣味や生きがいを見つけられるまちの構造に転換することが必要である。
郊外住宅地では、人口・世帯の減尐による空き家・空き地の増加も始まっており、
地域の資源を活かしながら、農や自然を楽しむ人々の住まう田園住宅地への転換を図
るなど、環境と共生する住宅地の形成も図るべきである。
まちの構造の転換にあたっては、空き家の転用や住み替え、情報発信などが重要で
あり、民間事業者やNPO、自治会等の住民組織などと連携しながら住み続け・住み
替えのための支援方策を講じるとともに、農地への転換を図る際などの地域での合意
形成の場を作っていくべきである。
コミュニティサイクルやカーシェアリングの取り組みなど、環境負荷の尐ない暮ら
し方や資源を共有した暮らし方の普及を公的資産も活用しながら、促進すべきである。
(みどりの風を感じる大都市・大阪の実現)
周辺山系やベイエリアの豊かな自然がまちをつつみ、それらの自然が河川や道路を
軸としてまちへと導かれ、そして街の中でも都市公園をはじめとする緑の拠点が緑道
や街路樹などでつながれた「みどりのネットワーク」を形成するため、まちの主要生
活道路沿道などセミパブリック空間の緑化、市街地縁辺部の緑地帯の形成など、まち
全体でみどりを感じられるまちを形成することにより、ヒートアイランド現象を緩和
するとともに、景観を始めとする地域の魅力の向上などを目指すべきである。
-29-
(4)個性が活かされる住宅とまちの形成
① 住宅を選択できる環境づくり
(既存住宅流通・リフォーム市場の環境整備)
府民のライフスタイルに応じた住宅の確保を図りつつ、循環型の住宅市場を形成す
るため、既存住宅流通・リフォーム市場の環境整備が必要である。
このため、取引の機会における消費者の不安や情報不足の解消が図られ、既存住宅
の価値が適正に評価される円滑な市場の形成・育成を図るべきである。
また、消費者が住宅購入時等に、住宅の性能が分かるよう、住宅性能表示制度の一
層の普及を図るとともに、既存住宅瑕疵担保責任保険の普及や、消費者が安心して建
物検査が可能となる仕組みを検討すべきである。
(住宅の適切な維持管理)
住宅ストックが長期にわたりその機能を維持し、有効に活用されるよう、適切な維
持管理がなされるための取り組みが必要である。
このため、指定確認検査機関や消防等の関係機関、関係団体等と連携し、定期報告
制度の的確な実施を図るとともに、定期報告状況等の情報を府民に提供すべきである。
また、住宅の品質・性能、修繕・リフォームなどの履歴情報を蓄積し、売却時には、
履歴情報を活用して住宅の品質や性能が適正に評価されるよう、
「住宅履歴情報保存」
の普及促進を図るとともに、分譲共同住宅(マンション)や賃貸住宅においても、同
様の履歴情報の蓄積が行われるよう、方策を検討すべきである。
さらに、履歴情報については、その信頼性を確保するための検査・チェックの枠組
みや、流通過程における公開の仕組みづくりなど、既存住宅の流通市場の透明性と、
価値向上に資する施策を検討すべきである。
マンションの管理については、専門的な知識を必要とすることも多く、また、高齢
化、賃貸化、管理への無関心化等の進展により、区分所有者による管理等が十分に機
能していない状況も見られることから、マンションの維持管理に係る情報の提供や、
専門家による相談体制の充実等、区分所有者や管理組合への支援を図るべきである。
(住情報の提供)
サービス付き高齢者向け住宅等に関し、利用者がサービス内容を十分に理解した上
で契約ができるよう、事業者や提供されるサービスに関する情報開示が図られるよう
検討すべきである。
若い世代を中心に、インターネットによる情報収集が一般的となっているため、手
軽に多くの情報を瞬時に伝えることができる電子媒体による情報提供について、分か
りやすい内容で提供するとともに、最新情報への更新や信頼性を確保するためのチェ
ック機能の強化に取り組むべきである。
一方で、高齢者を中心に、個別の事情に応じて相談に乗りながら情報を提供するこ
とが必要な場合も多い。府民が気軽に立ち寄れる市町村における相談窓口の設置につ
いて検討するとともに、専門的な知識が必要な場合など、広域自治体としての大阪府
における相談窓口の設置について検討すべきである。
また、市場における供給者と需要者を対立的にとらえるのではなく、状況に応じた
情報提供に努めるべきである。
-30-
(住教育の推進等、学ぶ機会の充実)
住まいに関する府民の知識の向上と意識の増進を図るため、建築関係団体等との連
携による小学校への出前講座を行うなど、住教育の推進を図るとともに、各種イベン
トを活用した住情報の提供や、セミナー・ワークショップ等による府民の学ぶ機会の
充実を図るべきである。
また、宅建業者における人権意識向上に向けた人材育成等のため、宅建業人権推進
指導員制度の充実を図るべきである。
② 地域の特性を活かした魅力あるまちの形成
(地域拠点の形成)
既にある鉄道網を活かして、主要な駅を中心に、多様な機能を集約・集積すること
により、住むだけでなく、働く、学ぶ、遊ぶといった機能が揃った地域拠点の形成を
進めるとともに、それぞれが連携し、鉄道沿線において、特色あるまちづくりを各地
で進めていくべきである。
新たに建設が進められているニュータウン等において、彩都ではバイオ産業やイノ
ベーション企業の立地、りんくうタウンでは国際医療交流など、大阪の成長を支える
新たな機能の導入も進めるべきである。
また、オールドタウン化が進むニュータウンでは、地区センターにおいて、学生や
若者も魅力を感じる多彩な機能の積極的な導入を図るなど、地域の拠点の魅力づくり
を進めていくべきである。
(歴史的・文化的資源、自然環境を活かしたまちの形成)
寺内町や旧街道沿いのまちなみ、江戸時代からの伝統的民家や明治・大正・昭和初
期の近代建築物など、大阪の長い歴史や文化のたたずまいを持つまちなみが今も残っ
ている。また、水都大阪を象徴する河川や水路が、まちに残されており、こうした歴
史的・文化的資源や、自然環境を積極的に活用し、住まう人、訪問する人にとって魅
力的なまちの形成を図るべきである。
(景観に配慮したまちの形成)
多くの人が内外から集まる魅力あるまちづくり、住み続けたい・訪れたくなるまち
づくりに向け、市町村と連携し、電線のないまちづくりやみどりの充実、建築協定等
の地域のルールづくりなどによる景観に配慮した空間づくりを促進すべきである。
また、景観形成を進めるにあたっては、大阪府は、道路軸、河川軸、山並み・緑地
軸、湾岸軸、街道軸など、広域的観点から景観形成を図るため、景観法に基づく景観
計画を策定し、建築物に対し適切な誘導を行うとともに、市町村の景観行政団体化を
促進すべきである。また、市町村においては、景観法に基づく景観計画の策定や景観
地区等の都市計画と併せて、地域の特性に合わせたきめ細かな景観に関する施策を推
進すべきである。
-31-
(5)多様な人々が住み交流することができる住宅とまちの形成
① 多彩な機能(職、学、遊、住)を持つまちの形成
大阪都心部のみに依存するのではなく、各地域に、働き、学び、遊び、住まう機能
がバランスよく配置されるよう、まちづくりを進めていくべきである。とりわけ、学
生や若者、社会人が学び、就業・起業できる場づくりは、まちが多世代で構成される
ための必須要件であり、まちづくりにおいて、重点的に取り組むべき事項である。
若者がまちに暮らすことで、多世代の交流が可能となり、子育て支援、介護等の福
祉サービスや医療サービス等が就業機会を増大し、さらに多世代が暮らすという良循
環を生むまちづくりを目指すべきである。
また、支援を要する高齢者や子育て支援を元気な高齢者が担うことが、高齢者の生
きがいや、子育て世帯の住みやすい環境につながり、世代間の交流を生む。地域内で
の仕組みや場づくりが重要であり、公的資産の積極的な活用を図るべきである。
この他、高齢者向け住宅の整備にあわせ、子育て世帯向けの住宅を供給するなど、
多様な世代が交流できる住宅計画を誘導するほか、グループホームやシェア居住等、
生活の一部を共同化する住まい方が選択できる環境づくりなどに取り組むべきであ
る。
② 歩いて楽しめるまちづくり
駅、近隣センター、小中学校など、日常生活の拠点的な場所を中心に、日常的な買
い物や通院、趣味や生きがいをみつけられる場所など、様々な機能を、歩いて行ける
範囲に混在させ、交流できるまちを形成すべきである。
こうしたまちを実現していくため、地域にある公営住宅などの公的資産を活用し、
地域に人々が集まる拠点の確保や、様々な活動を展開できるスペースへの転用などを
進めていくべきである。
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5.重点的に取り組むべき施策
(1)居住支援の枠組みづくりと住宅流通・管理に関わる行政の関与
民間賃貸住宅市場においては、高齢者、障がい者、外国人、母子(父子)家庭等へ
の入居拒否や追い出し行為などが生じており、社会問題となっている。
府民が自らのライフスタイルに応じて住宅を選択し、また、安心して暮らしていく
ために、安心して住宅を選択できる情報提供や、家主や借主の不安解消のための仕組
み、住宅の流通・管理に関わる行政の関与について検討を行うべきである。
① 安心して住宅を選択できる情報提供の仕組みづくり
高齢者や障がい者、外国人、子育て世帯の入居を受け入れる住宅等の情報提供を行
う大阪あんしん賃貸支援事業については、事業対象者の拡大や登録住宅等の要件、居
住支援のあり方などの検討を行い、民間賃貸住宅における住宅セーフティネットの確
保の観点から充実を図るべきである。
また、賃貸住宅管理業者や宅地建物取引業者、居住支援を行う団体によるネット
ワークの形成に努め、それらとの連携・協働による情報提供・相談対応の仕組みを
検討すべきである。
今後、増加が見込まれるサービス付き高齢者向け住宅については、高齢者が安心
して住宅を選択できるよう、運営者に対し、住宅や生活支援サービス等の情報の事
前開示や説明を義務付けるとともに、常に正確な情報が提供されるよう、大阪府に
おける報告徴収や指導監督の仕組みを検討すべきである。
② 家主・借主の不安を解消する仕組みの検討
家主にとっては、家賃の支払いの懸念だけでなく、緊急時の対応や、死亡時の残存
家財の取り扱いなど、様々な不安があることも事実であり、卖純に規制を行うことに
より入居拒否の解消することは困難である。
このため、福祉部局や市町村、NPO等と連携した見守りや相談体制の構築を図る
とともに、借主の家賃支払い能力を補完する家賃債務保証制度の活用や、契約者の死
後に残存家財の処分や葬儀を行う保険制度の創設などについて検討すべきである。
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③ 賃貸住宅の流通・管理に関わる規制方策の検討
社会問題化している「入居拒否」や「追い出し行為」、
「保証人紹介トラブル」、
「退
去時補修に関するトラブル」など、賃貸住宅管理に関する課題が表面化しているが、
賃貸住宅管理に関する法律は定められていない。
現在、家賃債務保証業の登録制度や悪質な取り立て行為の禁止等に係る法制化が予
定されるとともに、賃貸住宅管理業の任意登録制度についても国において検討されて
いる。
今後、これら制度の運用状況や事業者の取り組み状況、府民のニーズ等も踏まえ、
大阪独自の規制についても検討すべきである。
とりわけ、入居拒否については、家主・借主の不安を解消する取り組みが進められ
た上でも解消されない場合、入居拒否を禁止する規制方策を検討すべきである。
また、宅地建物取引業者に対しては、入居申込の段階で申込を拒否しないよう、本
年 1 月に施行された指導監督基準を適正に運用することが必要である。
■居住支援制度(仮称)の施策イメージ
◇賃貸住宅管理業者に対する規制の検討
賃貸借契約
賃貸人
賃借人
管理委託契約
管理業者
管 理 業 務 に 対 して これ ま で は 、賃 貸 人 と管 理 業 者 との 内 部 関 係 ととらえ、
特 段 の 法規 制 は存 在 しなか った。
管 理 業 務 の 多 様 化 ・高 度 化 な ど に 伴 い 、 管 理 業 者 へ の 委 託 の 増 加 、 管
理 業 者 の 業 務 の 拡 大 が 進 む 一 方 、管 理 業 者 に 関 す る トラブ ル の 増 加 及
び 賃 貸 人 と賃 借 人 間 の トラブ ル に 関 して 管 理 業 者 が 果 た す 役 割 が 増 大 。
国 に お い て 、今 後 、法 制 化 や 任 意 制 度 が 実 施 され る予 定
法制化
○家賃等の悪質な取立て行為の禁止
※ こ の 他 、 「家 賃 債 務 保 証 業 の 登 録 制 度 」
「家 賃 等 弁 済 情 報 テ ゙ー タ ヘ ゙ー ス 登 録 制 度 」
任 意 制 度 (告 示 )
○登録制度が任意
○ 維 持 保全 に関 して
の規定等がない
○住宅管理業の登録制度
対 象 業 務 :賃 料 等 の 徴 収 業 務 、 賃 貸 借
契 約 の 更 新 ・解 約 業 務
今 後 、制 度 の 運 用 状 況 や 事 業 者 の 取 組 状 況 、府 民 ニ ー ズ 等 も踏 ま え な が ら、大 阪 独 自 の 規 制 に つ い て 検 討
-35-
(2)あんしん住まい確保プロジェクト(府営住宅資産の活用)
府営住宅は、地域の資産として、まちづくりへの活用を行い、生活・福祉インフラ
の整備や地域固有の政策課題への対応のための積極的活用を図るなど、地域の居住
の安心確保や居住環境の向上、多様な主体の経済活動を支援することによる地域の
活性化図るべきである。
① 「あんしん住まい確保プロジェクト」の実施検討
これまでの府営住宅建替事業では、耐震性の乏しい既存府営住宅団地等の建替え
を行ってきたが、その効果は、従前入居者の環境改善が中心となっている。
今後、これらストックについて、団地内だけでなく、周辺地域にサービス提供
が図られるなど、地域に広がりのある用途への転換を図ることにより、地域のあ
んしん住まいを実現すべきである。
建替事業により生み出された活用用地や空き住戸等を借地や貸付を行うなどに
より、民間投資を呼び込み、
ⅰ.地域に貢献するサービス付き高齢者向け住宅
ⅱ.介護・医療、生活支援サービス提供施設
ⅲ.府営住宅空き家の子どもの預かり施設
など、
府営住宅入居者だけでなく、周辺地域に居住する府民の安心を支える用途への組
み換えを実施すべきである。
この他、
ⅳ.地域のニーズに応じた多様な住宅や商業・業務施設等
の立地を図りつつ、用地処分等により得られた収益を活用し、大規模団地の再
生やニュータウン再生などといった地域固有の政策課題の解消に資する借上げ
などを実施すべきである。
-36-
■あんしん住まい確保プロジェクト (府営住宅資産の活用)
サービス付高齢者向け住宅
例:サービス付き高齢者向け住宅
例:サービス付高齢者向け住宅
◆府営住宅の建替えにより生み出された活用用地
等を貸し付け、サービス付高齢者向け住宅の立
等を貸し付け、サービス付き高齢者向け住宅の
地を誘導。
立地を誘導。
活用用地
用地の貸
用地の貸し付け
居宅サービス事業所等
◆貸し付けにあたっては、地域のニーズ等に応じ
た条件を付し、地域のあんしん住まいを確保。
地域へのサービス提供
【条件例】
集合住宅
戸建住宅
○併設する施設の周辺地域へのサービス提供
○地域で必要とされる介護事業所等の併設
集合住宅
○夫婦世帯が入居可能な規模の住戸設定
戸建住宅
戸建住宅
○低廉な負担で入居可能な子育て世帯向け賃貸
住宅の併設
等
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(3)地域の活力ある多様な主体による活動の支援
まちが自立し、誰もが住みやすい「まち」になるためには、地域住民組織を核とした
ネットワークが、支援の必要な高齢者や子育て世帯の暮らしを支え、なおかつコミュニ
ティビジネスを育てることで、若者をはじめ、高齢者や子育て期の女性などの働く場を
地域に作っていくことが重要である。
また、このような地域の住民組織やコミュニティビジネスを育み、継続させるために
は、活動する空間を持つことが重要である。
① 地域活動における先導事例の分析・蓄積と情報発信・普及
泉北ニュータウンの「ほっとけないネットワーク新近隣住区論」の取り組みなど、
地域のつながりを活かした先導的なモデル事業に対して、国の補助事業等の情報提供
や府営住宅の空き家の提供など、積極的に支援し、そこから得られたノウハウを整理・
分析し、他の地域へのモデルとして積極的に情報発信すべきである。
また、その整理・分析したものが活用されるよう、市町村と連携しながら広く普及
を図るとともに、様々なNPOなどの活動をつなぐ支援などの取組みや、府営住宅の
空き家などの公的資産の活用を積極的に図るべきである。
■地域の活力ある主体の活動イメージ
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② 地域での住み続け・住み替えを支援するための仕組みづくり
郊外の戸建て住宅地等においては、人口・世帯の減尐、尐子高齢化の影響を受けて、
地域の担い手が減尐し地域における交流・つながりが希薄化、空き家化した戸建て住宅
が増加するなど、地域の防犯面、管理面での課題が生じている。
団塊の世代を中心とした住民は高齢期を迎え、住み慣れた住宅や地域での住み続けを
希望する傾向が高い一方で、持家を活用して生活資金や住み替え資金を確保しつつ、利
便性の高い駅前地域等に住み替えたいというニーズも高まっている。
また、子育て世帯の中には、庭付きの広い自然環境豊かな郊外の戸建て住宅地に住み
たいというニーズもあることから、郊外住宅地の地域コミュニティの活性化を図る上で
も、地域の居住ニーズとまちの将来像に応じた住み替えを促進するための仕組みを作る
べきである。
また、民間事業者と連携してリノベーションを地域で行うなど、空き家の活用やま
ちの魅力づけなどにつながる取り組みも進めるべきである。
このため、住み替えなどが起こりやすい鉄道沿線地域などで、住み続けや住み替え
の相談体制づくりや空き家や住み替え先の情報提供、住み替えに係る関係機関とのつ
なぎ等を行うための組織を、地元市町村や民間事業者、地域住民組織などと連携し、
立ち上げるべきである。
■ 住み続け・住み替え支援沿線協議会のイメージ図
転出してからでは、働きかけが難しい。⇒住み替え支援とセットの空家活用支援
地域での住み続けの支援(例)
住み替えの支援(例)
・リフォーム支援
・住み替え先を探すお手伝い
相談、アドバイザーの紹介・派遣、
・持ち家の活用支援
高齢者の住み替え資金確保のための
リフォームマイスターの活用など
売 却 、賃 貸 化 、空 き 家 の 管 理 相 談 な
・住まい方に関する支援など
リフォーム空き家を活用したグループ
ど
居住など
住み続け・住み替え支援沿線協議会(イメージ)
住み替えはある一定の地域内で起こることが多いと考えられるので、住み替え支援に積
極的に取り組みたい市町村のある沿線から行政・民間連携した協議会を立ち上げ
(活動イメージ)
•住 み 続 け ・ 住 み 替 え に 関 す る 相 談 、 支 援
•地 域 と 連 携 し た ま ち ぐ る み リ フ ォ ー ム 支 援
•地 域 コ ミ ュ ニ テ ィ に よ る ま ち づ く り の 支 援
•情 報 の 普 及 啓 発
•地 域 の 将 来 像 に つ い て の 勉 強 会
など
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(4)大阪スタイルの「高齢者の住まい」プロジェクト
地域の特性を生かした見守りや医療、介護、生活支援等のネットワークで高齢者を
支える地域包括ケアシステムを前提に、高齢者が自らの意思で、ライフスタイルや嗜
好に見合った住まいを自由に選択できるよう、それぞれの地域で多種多様な住宅、施
設等の供給を推進すること(大阪スタイルの「高齢者の住まい」プロジェクト)によ
り、高齢者が住み慣れた地域において、主体的に必要なときに必要なところで必要な
サービスを受けながら、安心して暮らし続けることができる住環境の創造を目指すべ
きである。
これまでは、介護や福祉のサービスの提供については福祉部局、住宅の供給につい
ては住宅部局とそれぞれが別箇に対応してきた経緯があることから、部局間の連携や
情報の共有を強化し、市場の実態調査を行った上で、在宅での医療、介護、見守り、
生活支援等の各サービス提供に適応し、役立つような住宅供給のあり方を検討する必
要がある。
① 高齢期の心身の状況やニーズに応じた住宅の提供
高齢期における身体機能の低下に対応し、介護等サービスの提供を受けながら住
み続けられるよう、必要な住宅の改修・改造や、サービスを受けられるバリアフリ
ー化された住宅の選択など、個人のニーズに応じて住宅や住み方を選択できる環境
整備が必要である。
ⅰ心身の状況に応じた住宅の改修・改造
自宅で暮らし続けるため、高齢者の心身の状況に対応した住宅改造のあり方を
検討するとともに、市町村と連携し、福祉部局と住宅部局双方をつなぐ住宅改造
の相談体制を整備すべきである。
ⅱ地域における良質なサービス付き高齢者向け住宅(大阪版サービス付き高齢者向
け住宅)の供給
高齢期に自宅での暮らしが不安になった場合の地域における住み替え先の選択
肢の一つとして、バリアフリー化された住宅に、緊急通報等の設備が整備され、
必要に応じて介護・医療や、居住支援サービス等が適切に選択できるサービス付
き高齢者向け住宅の供給促進を図るべきである。
-40-
供給促進にあたっては、
「高齢者住まい法」の基準だけでなく、大阪で供給促進
すべき住宅のあり方を提示し、消費者が自分のニーズに合った住宅を安心して選
択できるよう、事業者やサービスに関する情報開示が行われる仕組みと、指導監
督権限の強化について検討すべきである。
また、登録要件の設定や、府営住宅用地の活用などによる優良な住宅の供給を
誘導すべきである。
高齢者住まい法改正後のサービス付き高齢者向け住宅の登録制度案の概要
【登録基準】(※有料老人ホームも登録可)
《ハード》
・床面積は原則 25 ㎡以上・構造・設備が一定の基準を満たす
こと
・バリアフリー(廊下幅、段差解消、手すり設置)
《サービス》
・サービスを提供すること(少なくとも安否確認・生活相談サ
ービスを提供)
[サービスの例:食事の提供、清掃・洗濯等の家事援助等]
《契約内容》
・長期入院を理由に事業者から一方的に解約できないこととし
ているなど、居住の安定が図られた契約であること
・敷金、家賃、サービス対価以外の金銭を徴収しないこと
・前払金に関して入居者保護が図られていること(初期償却の
制限、工事完了前の受領禁止、保全措置・返還ルールの明示の
義務付け)
【登録事業者の義務】
・契約締結前に、サービス内容や費用について書面を交付して
説明すること
・登録事項の情報開示
・誤解を招くような広告の禁止
・契約に従ってサービスを提供すること
【行政による指導監督】
・報告徴収、事務所や登録住宅への立入検査
・業務に関する是正指示
・指示違反、登録基準不適合の場合の登録取消し
② 地域活動における先導事例の分析・蓄積と情報発信・普及【再掲】
③ 地域での住み続け・住み替えを支援するための仕組みづくり【再掲】
-41-
(5)住宅ストックの耐震性確保
来るべき大地震に備え、府民が暮らす住宅の耐震化は、府民の生命・財産を守る観
点から、とりわけ重要な課題であるものの、その進捗は十分ではない。
その原因は、府民の耐震確保に関する認識の不足や補助制度に関する認知度の低さ、
耐震工事のための事業者の選定や経済的負担への不安などによるもの。
一方で、事業者にとっても、住宅の耐震化は、手続き等の手間がかかりメリットが
尐ないとされており、耐震事業推進のインセンティブが働きにくい状況にある。
① 市場メカニズムが働く制度の仕組みへの転換
府民が耐震化の知識を深め、その必要性を認識でき、耐震化の取り組みを進める
きっかけとなるよう、自治会活動等を通じた地域に根ざした啓発活動の強化や、学
校教育や各種メディア等の多様な活動・機会を通じた継続的な防災・耐震化の意識
啓発を図るとともに、府民にとって使いやすく分かりやすい補助制度への見直し、
充実を検討すべきである。
また、建設事業者が意欲をもって取り組めるよう、申請手続きの簡素化や耐震
設計、改修費に対する支援の強化、さらに事業者自らの信頼性、技術力の向上努
力、リフォームからの耐震改修の誘導など、市場メカニズムが有効に働く制度、
仕組みへの転換を図るべきである。
② 地域・民間・行政が一体的に取り組む「まち」単位での耐震化
府民の事業者選定等の安心感の確保、防災等の地域活動の活性化による耐震化の
促進に向け、行政による事業者選定などの支援のもと、自治会等の「まち」卖位で
の取組みを進めるべきである。
さらに、行政と民間の密接な連携のもと、民間の創意工夫で啓発から改修まで一
括実施する仕組みを導入するなど、「まち」卖位での耐震化が一層進むような取組
みを導入すべきである。
③ 最低限の安全性を確保するための施策の検討
現状の市場メカニズムによる施策だけでは対応が困難な低所得者層等に対して、
「命を守る」という観点から、部分的な耐震化や住み替えに対する支援等、最低限
の安全性を確保するための施策を検討すべきである。
-42-
■耐震化への今後の取組み方針・施策イメージ
1.普 及 啓 発 の 取 組 み 強 化
■ 府 民 の 耐 震 化 へ の きっか け づ くりの 強 化
○ 市 町 村 と 連 携 し た 「草 の 根 」啓 発 活 動 の 強 化
・説 明 会 +申 請 受 付 会 の 実 施 地 域 の 拡 大
・地 域 で の ローラー作 戦 に よ る 個 別 訪 問 の 実 施 促 進
等
○ 民 間 と連 携 した PRの 実 施 促 進
・住 宅 展 示 場 や リフ ォ ー ム 相 談 会 等 で の PR
2 .補 助 制 度 の 見 直 し ・ 充 実
■ 府 民 ・事 業 者 が 使 い や す い 制 度 へ
○診断士派遣事業の導入
・府 民 の 技 術 者 選 定 ・補 助 申 請 手 間 を 軽 減
○ 申 請 手 続 き の 簡 素 化 ・迅 速 化
・ 手 続 き の 複 雑 ・長 期 化 に よ る 改 修 意 欲 の 低 下 防 止
○改修補助の対象工事の拡充
・1階 の み の 改 修 、簡 易 改 修 の 補 助 対 象 化 の 検 討
等
■診断から改修まで切れ目のない支援
○耐震設計補助の創設による改修への誘導
・設 計 に よ り工 事 内 容 ・価 格 を 知 る こ とが で き 、 府 民 は 改 修 工 事 の 実 施 を 最 終 判 断 。
■ 府 民 にとってお得 感 のある制 度 へ
○ 改 修 補 助 の 定 額 補 助 化 ・高 齢 者 加 算 の 導 入
・補 助 金 受 給 額 が 明 確 で 分 か りや す い 補 助 制 度 へ
3.民 間 連 携 に よる取 組 み
■連携のベースとなる民間団体の組織化を促進
○民間団体による耐震化普及の協議会の設立促進
■各施策に応じた民間連携の実施
○ リフォー ム か ら の 耐 震 改 修 の 誘 導
○ 技 術 者 レ ベ ル 向 上 (現 場 研 修 会 の 実 施 等 )
等
■ 意 欲 の あ る 民 間 団 体 ・市 町 村 と の 連 携 強 化
○ 地 域 ・行 政 ・民 間 が 一 体 的 に 取 組 む 「ま ち ま る ご と 耐 震 化 」(下 図 参 照 )
・耐震化を図るべき地区等の自治会等の「まち」卖位での耐震化
・ 行 政 の バ ッ ク ア ッ プ の も と 、 PRか ら 耐 震 化 ま で 、 NPO等 の 民 間 の 創 意 工 夫 に
よる一括実施(公募等による事業者選定・登録)
■まち単位での耐震化の取組みイメージ(「まちまるごと耐震化」)
大阪府
市 町 村 ( 府 ハ ゙ ック ア ッ フ ゚)
実施地区の選定
民 間 事 業 者 ク ゙ ル ーフ ゚ の 公 募 ・ 登 録
・耐震性の低い住宅が集積、防災意識が高い等
(一定条件を満たすグループを登録)
・ S56 年 以 前 の 開 発 団 地 ( 98 団 地 ) 等
実 施 グル ープ
の監視等
実 施 地 区 の 自 治 会 等( 市 町 村 ハ ゙ ック ア ッ フ ゚)
登 録 ク ゙ル ー フ ゚の 中 か ら 、 実 施 ク ゙ ル ーフ ゚ を 選 定
実 施 グル ープ
の監視等
実 施 グループ( 民 間 )
民間の創意工夫で啓発から改修まで一括実施
耐震化の
・説明会・ローラー作戦(個別訪問)等による啓発
耐震化の
新たなインセンティブ
・診断⇒設計⇒改修の実施(補助制度を活用)
・ 独 自 サ ー ビ ス の 提 供 ( 省 エ ネリ フォ ーム 、 家 具 固 定 化 サ ーヒ ゙ス 、 充 実 し新たなインセンティブ
た ア フ ター サー ビ ス 等 )
-43-
(6)環境に配慮した建築物の普及
環境に配慮した建築物を広く普及するため、これまで実施してきた建築物の環境性能
を評価し届け出する「建築物の環境配慮制度」をさらに推進すべきである。
また、建築物の環境配慮に対する府民や建物利用者の意識やニーズをさらに高める
ために、ラベリング制度である「て~たんそ大阪プロジェクト」の普及を広く図ると
ともに、環境配慮を図るべき区域への積極的な制度活用などについても検討すべきで
ある。
民間施設の緑化を先導していくため、府有施設については、既存施設も含めて、敷
地面積の 20 パーセント以上の緑化を計画的に進めることが必要である。
自然環境保全条例に基づき、一定規模以上の民間施設に対する緑化義務制度を、市
町村との連携のもと効率的・効果的に運用するとともに、景観に配慮した良質な緑を
創出するため接道部の緑化を重点化するなど、制度の改革を進めるべき。
◆ て~たんそ大阪プロジェクト(平成 22 年 10 月創設)
・建築物の CO2 削減等を評価する届出・表示制度
・複雑な現行の CASBEE 制度に比べ、
「簡便」で「わかりやすい」CO2 削
減等の評価手法による届出制度を実施。
【これまでの制度との変更点】
・ 評価項目: 90 の評価項目⇒CO2 関連の 9 つと省エネ、緑化、高温化抑
制に重点化
・ 対象:5,000 ㎡超の大規模建築物⇒小規模や既存の建築物、戸建住宅も
含む(任意)
・ 届出制度の評価結果を表示するラベリング制度を創設(任意)し、府民
にわかりやすく環境配慮の「見える化」。
◆ 建築物における環境配慮制度
(「大阪府温暖化の防止等に関する条例」に基づき運用)
・ 建築物の総合的な環境性能の評価、届け出の義務付け、内容の公表(対
象:容積率対象延べ床面積 5000 ㎡を超える建築物)
・ 優れた取り組みに対する顕彰制度「大阪サステナブル建築賞」を実施
-44-
■て~たんそ大阪プロジェクト
届出対象建築物
届出対象地域は、大阪府内(大阪市域を除く)とし、届出対象規模は、下記のとお
りとします。
延べ床面積
届出の必要
ラベル表示
届出方法
5000㎡を超える建築物
義
務
任
意
大阪府重点評価及び
CASBEE- 新 築 ( 簡 易 版 )
2000㎡以上の建築物
任
意
任
意
大阪府重点評価及び
CASBEE- 新 築 ( 簡 易 版 )
2000㎡未満300㎡以上の建築物
任
意
任
意
大阪府重点評価又は大阪府重点評
価 及 び CASBEE- 新 築 ( 簡 易 版 )
現行制度対象部分
(義務)
対象拡大
5000㎡
越える
(任意)
対象拡大(任意)
対象拡大
(任意)
3 00㎡
以上
新築・増築建築物
使用する
CASBEE
CASBEE- 新 築 (簡易版)
建築物環境性能表示
評
既存建築物
戸建て住宅
(10戸以上)
CASBEE- 既 存 (簡易版) CASBEE- す ま い (戸建)
~建築物の性能が星の数で分かります~
価
大阪府の重点評価項目
大阪府の重点評価(4つの重点項目に対する取組
み度合い)による評価結果を星の数(5つ星満
点)で表示します。
CO2削減(地球温暖化対策)
大阪府において家庭・業務部門からの温室効果ガス
排出量の増加率が高く排出量の低減を進めます。
省エネ性(建築物の省エネルギー対策)
建築物の熱負荷抑制及び設備システムの高効率化に
よる、建築物の総合的な省エネルギー化を進めます。
ヒートアイランド対 策
大阪府では、建築物等による熱の蓄熱や人工排熱に
より全国に比べて気温上昇が著しく熱帯夜の原因等
になっておりこれらの抑制を進めます。
みどり(みどり豊かな景観の推進)
建築物の緑化(敷地の緑化・屋上緑化・中高木によ
る緑化)を行ない、みどり豊かな景観を推進します。
総
合
評
価
CASBEE に よ る 建 築 物 の 環 境 性 能 の 総 合 評 価 を 星 の
数で表示します。
★ ★ ★ ★ ★ 5つ 星 S
素晴らしい
★ ★ ★ ★ ☆ 4つ星 A
大変良い
★ ★ ★ ☆ ☆ 3 つ 星 B+ 良 い
★ ★ ☆ ☆ ☆ 2つ星 B- やや劣る
★ ☆ ☆ ☆ ☆ 1つ星 C
劣る
大阪府重点評価システムソフ
トのバージョンを表示します。
-45-
(7)ストック再生産業の健全育成
今後のストック活用の時代には、府民がそれぞれのライフスタイルに応じた住宅の
改造・改修を行うことができ、また、耐震化やバリアフリー化、省エネ化等の住宅の
良質化が図られるよう、リフォームやリノベーションといった多彩なストック再生が
展開されることが必要である。
このため、消費者が安心してリフォーム等が実施できるよう、また、ストック再生
産業の健全育成が図られ、大阪の成長と活力を支える産業に成長するよう、関連する
業界と連携しながら、環境整備を進めるべきである。
① リフォーム・リノベーション推進体制の構築
ライフスタイルに合わせた住宅取得を可能とするため、住宅ストックの活用、と
りわけ、既存住宅の流通促進が重要。既存住宅売買やリフォーム・リノベーション
との一体取引など、様々な住宅流通の形を提供していくことが必要である。
不動産業や建設業、金融業などで構成される関係団体と行政による連携体制を
整備し、ホームページなどを積極的に活用した制度の普及や消費者への勉強会、
相談会の実施、現地への専門家の派遣などの取り組みを行うべきである。
また、金融機関等と連携した低利なローン商品を提供するなど、既存住宅活用
を金融面から支援する取り組みを検討すべきである。
② リフォームアドバイザー登録・派遣制度の創設
これまで大阪府では、府民が安心してリフォームが行えるよう、「リフォームマ
イスター制度」
「住まいの評価・管理アドバイザー」
「住宅バリアフリーリフォーム
システム」などを制度化してきたが、リフォーム全般に関する相談・情報提供を行
う中立的な窓口として機能するものとはなっていない。
また、施策・主体ごとに窓口が設置されており、かつ、その認知度が低いため、
十分な活用がなされていない状況である。
このため、リフォームに係る総合的な相談窓口を公益法人等に設置し、中立的な
立場で相談や事業者、専門家の派遣を行う体制を整備すべきである。
専門家の派遣については、これまで蓄積してきた制度を活用して、一定技術力が
あるアドバイザーの登録制度を設けるべきである。
-46-
■リフォームアドバイザー登録・派遣制度の創設
(概要)
・府民からのリフォーム全般に係る相談を電話・窓口で受付。
・リフォームに関する各種相談に応じるとともに、必要に応じ既存施策を紹介。
・希望者に対し、リフォームに関する知見・技術力、倫理規定を有するアドバイザーを派
遣。
相
談
消
費
者
(
府
民
)
アドバイザー
の派遣
リ
フ
ォ
ー
ム
総
合
相
談
窓
口
(
公
益
法
人
等
)
リフォームマイスター団体
つなぎ
ADR等既存制度
登 録
ア
ド
バ
イ
ザ
ー
研修
-47-
住 ま い の 評 価 ・管 理
アドバイザー
リ
フ
ォ
ー
ム
耐震アドバイザー
住宅改造研修修了者
分譲マンション
管理・建替えアドバイザー
(8)府民に分かりやすい住宅相談の仕組みづくり
既存施策の統合化やパッケージ化を進め、府民にとってわかりやすく、アクセスし
やすくするとともに、福祉等の他の政策領域や府民に身近な市町村、NPO等による
情報提供や相談機能等を、相互に連携・活用を行う仕組みの構築を行うべきである。
また、府民の生活に身近な一般的な相談対応については、基礎自治体での相談体制
の充実に向けた支援を行うとともに、専門性を有する内容の相談への対応については、
専門的な知見を有する関連機関との連携を図りながら、広域的な対応として大阪府の
相談体制の充実を図るべきである。
① 市町村を中心とした相談体制の整備
府内の多くの市町村では、住宅専用の相談窓口は設置されておらず、市町村から
の主な紹介先は、府住宅相談室となっている。
一方、府住宅相談室においては、法律相談や建築士などの専門家の現場調査が
必要な相談などに関しては、弁護士会や建築士会、建築士事務所協会等の公益法
人を紹介しており、相談者にとっては、紹介先からまた新たな紹介を受けるとい
う状況が生じている可能性が考えられる。
府住宅相談室では、専門的な機関へのつなぎだけではなく、退去時の原状回復
や借地借家関係など専門的な相談にいたる前の段階で、法律等に照らした状況の
説明や必要な情報の提供などを行っているものの、市町村との連携は、必ずしも
十分ではない状況。
このため、府民が身近な市町村において、適切な相談窓口を選択できるよう、
市町村の担当者に対する研修を実施するとともに、各窓口が保有している相談事
例情報の共有化を図るなど、市町村における相談窓口の設置促進・機能充実のた
めの取り組みを進めるべきである。
② リフォームアドバイザー登録・派遣制度の創設【再掲】
-48-
■市町村を中心とした相談体制の整備
■現状:大阪府住宅相談室を中心とした体制
府民
相
談
関一一
係般次
機相窓
関談口
の対
紹応
介
相
談
消費生活
センター
相
談
市町村
相談窓口
大阪府
住宅相談室
専
門
相
談
対
応
民間・
NPO法人
公益法人
■新体制:市町村を中心とした体制イメージ
府民
相
談
関一一
係般次
機相窓
関談口
の対
紹応
介
専
門
相
談
対
応
相
談
市町村
相談窓口
消費生活
センター
大阪府
住宅相談室
民間・
NPO法人
公益法人
-49-
リフォーム
総合相談
窓口
6.市街地タイプ別の取り組むべき施策
住宅・まちづくりについては、地域における現状と課題を踏まえて、その地域に応
じた施策の展開を図ることが重要である。都市基盤の整備状況、住宅ストックの状況、
居住者の高齢化等の状況などに着目して市街地タイプを取り上げ、その中で顕在化し
ている課題について重点的に取り組むべき施策の展開方向について提言する。
なお、施策の展開にあたっては、より詳細に地域の状況を把握した上で、きめ細か
な取り組みを進めるべきである。
また、ここに掲げた6つの市街地タイプに属さない地域でも、これまでにつくって
きた都市基盤などの維持管理、住宅の空き家増加による地域の荒廃など、人口減尐社
会において、様々な課題が起こることが懸念される。このため、市街化区域内におい
て、計画的な市街地整備の見込みのない農地などは市街化調整区域への編入に努める
とともに、市街化調整区域内の開発については、人口減尐社会を見据え、鉄道駅への
徒歩圏等を除き、新たな住宅系市街地の拡大は原則、抑制するなど、課題に応じた取
り組みを進めるべきである。
(市街地タイプ分類別現状と課題)
① 密集市街地
密集市街地は、道路等の都市基盤整備が整わないまま、木造賃貸住宅等が密集し
て立地し、狭隘道路が多く、消防活動が困難な区域も多いなど、災害が起きた場合
は甚大な被害が想定される。
その区域は約 6,000ha にものぼり、それぞれの市卖位では抜本的に解決が困難で、
大阪圏全体でとらえるべき都市構造問題である。
② 歴史的まちなみ・町家・長屋地域
寺内町や旧街道沿いのまちなみ、あるいは江戸時代からの伝統的民家や明治・大
正・昭和初期の近代建築物が残っている地域など、大阪には歴史をもった特徴ある
まちなみや建築物が多く残っているが、居住者の高年齢化、相続、建物の老朽化等
をきっかけに、空き家や建替えにより歴史的なまちなみ等がなくなってきている地
域がある。また、戦災を受けなかった、比較的道路基盤が整った地域に、長屋等の
木造住宅が集中的に立地して、住宅地として良好な状態を保持している地域もある。
近年は若い世代が、ぞれぞれのライフスタイルに応じて、町家や長屋をリノベー
ション(改造)やコンバージョン(用途転換)して住まう人も多くなっており、カ
フェやアートなどの小店舗、ミュージアムなどが開店するなど、まちの魅力を高め
る活用も進んでいる。
③ 住工混在市街地
工場が集積する工業系用途地域では産業集積が高く、道路等の基盤が整備されて
いるとともに、利便性が高い場合が多く、地域によっては、工場等の廃業や転出に
より、住居系土地利用への転換が進行し、工場等と住宅の混在が進んでいる地域が
ある。
-50-
混在が進みつつある地域においては、住宅側では騒音、振動等の住環境問題が発
生しており、一方、工場側では「近隣住民との問題」などが操業環境の障害になっ
ている。
他地区からの住民の流入に伴う、住民と企業相互の理解不足から各種のトラブル
が発生している。
④ 大規模団地
昭和40年代をピークに大量に供給された公的賃貸住宅が一定まとまった規模で
開発された大規模団地は、小学校区卖位等でみると、地域の世帯数の過半、特に 2,000
戸を越える団地では大半を占めるなど、地域の重要な構成要素となっており、地域
コミュニティに大きな影響を与えている。
入居開始から30年~40年が経過し、設備が老朽化やエレベーターがなくバリ
アフリー化が十分でないなどストックの課題を有し、一部の住棟については耐震性
が低いなどの課題が存在する。入居者の高齢化に伴い地域の交流の希薄化や担い手
不足等の問題も生じ、卖身高齢者などのいわゆる孤独死の発生や自治会等の入居者
組織の運営の困難化などが生じている。
⑤ 旧地域改善向け公営・改良住宅団地を含む地域
本地域における公営・改良住宅は、地域全体の戸数の約3分の1を占め、昭和4
0年代までに建設された住宅が約6割を占め、40㎡未満の住宅が約3割、浴槽が
ない住宅が7割を占めるなど、今後は居住水準の向上やバリアフリー化等を図るこ
とが必要となっている。
世帯の状況をみると、高齢者世帯や母子世帯の比率が比較的に高くなっており、
定住意識をみると、世帯の総収入別では低所得層に、年齢別では高年齢層に定住志
向が強く、転出希望は中堅所得層や若年層に転出希望が多くみられる。
⑥ 計画的市街地(ニュータウン)
高度経済成長期に大都市圏への人口集中から生じる住宅問題を解決するため、昭
和30年代から多くの計画的住宅市街地(ニュータウン)が開発され、その後30
年~40年が経過し、住民の高齢化が進んでいる。住宅や施設の老朽化も見られる
とともに、新たな土地利用ニーズにも対応できない状況にある。
多くの計画的住宅市街地は郊外に供給され、若年のファミリー世帯を主な対象と
して計画されたために、住宅とまちのバリアフリー化が十分ではなく、高齢者の多
様な居住ニーズに対応できていない。
また、これまで地域の日常の生活を支えてきた近隣センターなどにおいても、周
辺の人口・世帯の減尐や自動車利用を中心とした生活スタイルへの変化や、郊外へ
の大型ショッピングセンター等の進出などが影響し、一部他の用途に転換している
ものの核店舗の撤退などが進み、商業機能が低下している。
これまでの取り組みを踏まえて、現在取り組むべき課題を整理した上で、必要に
応じて新たな目標を設定し施策重点的適用などの展開方向を定めることが必要であ
る。
-51-
(1)密集市街地
○これまでの取り組み状況
密集市街地に対しては、これまで市町と協力して、密集事業によるまちづくり、
面整備事業との合併施行手法や、防火・準防火地域などの規制誘導手法等により、
密集市街地の安全性の向上に取り組んできた。
しかし、整備が必要な地域が広範囲に渡るとともに、多数の関係権利者や権利
関係の輻輳などにより整備に時間を要しており、依然として、まちの不燃化が最
低限の安全性の水準に達しておらず、また必要な道路が整備できていないなど課
題の解消には至っていない。
こうした状況を踏まえ、平成22年7月に設置した「大阪府密集市街地整備の
あり方検討会」において、これまでの取り組みの成果と事業の進め方の検証とと
もに、抜本的な見直しの方向性の検討が行われてきた。
○今後の目標
密集市街地の解消のため、まちの不燃性等を向上し、延焼危険性を解消すること
により「燃え広がらないまち」にし、主要生活道路等の整備などにより住民の避難
と消防活動を確保して「避難ができるまち」にするとともに、耐震化の促進により
建物倒壊等を抑止し「壊れないまち」にすることが必要である。
特に危険な密集市街地において10年間の集中的な取組みで最低限の安全性を
確保すべきである。
○施策の展開方向
密集市街地では、依然として地震時大火など広域的な被害が発生する可能性が高
く、延焼や道路閉塞の危険性に対して、早急に最低限の安全性を確保するため、今
後も府市が協力して取り組んでいくべきである。
広範囲に広がる密集市街地において、地域のまちづくりの機運を高めつつ、防
火・準防火地域の指定拡大や、2 階建て住宅等の不燃化を図る新たな防火規制など
により、建替えなどの更新時期を捉えて不燃化を促進していくとともに、密集事業
等の重点的・集中的な実施により避難路など整備の緊急度が高い公共施設等を整備
することにより、効果的、効率的に安全性の確保を図っていくべきである。
-52-
■密集市街地の分布状況
50ha以上連担している密集市街地の分布
状況
市町村名
地区名
大阪市
防災性向上重点地区
豊中市
庄内
豊南町
守口市
東部
八雲東町2丁目
門真市
北部
寝屋川市
萱島東
香里
区域面積
3,800ha
425ha
80ha
ブロック面積
3,800ha
505ha
397ha
17ha
461ha
924ha
49ha
133ha
133ha
池田・大利
66ha
66ha
東大阪市
若江・岩田・瓜生堂
59ha
59ha
八尾市
JR八尾駅周辺
65ha
65ha
堺市
湊
18ha
湊西
35ha
東湊
55ha
2ha
高石市
羽衣駅周辺
53ha
泉大津市
泉大津駅西
50ha
50ha
貝塚市
寺内町周辺
106ha
106ha
53ha
※大阪市以外の市は「災害に強いすまいとまちづくり促進区域」
最大延焼範囲の想定
-53-
(2)歴史的まちなみ・町家・長屋地域
○これまでの取り組み状況
国の補助制度を活用した街なみ環境整備事業による道路や住宅の修景整備等を、
3地区で完了、8地区で事業中であり、また、「石畳と淡い街灯まちづくり支援事
業」として、6 地区において官民協働による歴史的、文化的まちなみを活かしたま
ちづくりが進められている。
旧街道沿いのまちなみの雰囲気を引き継ぐため、景観審議会にて景観計画の変
更について、検討を行っている。
○今後の目標
歴史的価値を持った建築物やこれらが建ち並ぶ歴史的なまちなみの保全、修景
とともに、積極的に住まいとまちづくりに活用し、府民が親しみ潤いを感じるま
ちなみや伝統的文化を発展、継承するまちづくりを目指す。
○施策の展開方向
歴史的まちなみ・町家・長屋地域では、歴史的な価値を持った住宅・建築物が残
っており、風景や記憶の継承という観点からも、その保全や活用を通じて、まちづ
くりを進めていくことが必要である。
歴史的・文化的な景観を有している地区において、国の補助制度等を活用したま
ちなみの保全整備や住民及び市町村のまちなみ保全などの取り組みに対し、技術的
な助言や情報提供を積極的に行うべきである。
また、広域的観点から大阪府として、歴史的街道沿道のまちなみや歴史的資源を
活かし、伝統的なまちなみとの調和や街道の連続性に配慮した景観づくりを行うた
め、景観法に基づく景観計画に「街道軸」を位置づけ、府民や事業者が行う景観形
成について、適切な規制・誘導を行うべきである。
さらに、町家・長屋と路地の関係性などについても、研究していくべきである。
-54-
■歴史的街道 景観計画区域
京街道
西国街道
八 軒 家
高
東高野街道
浜
麗
橋
竹内街道
紀州街道
西 高 野 ・高 野 街 道
熊野街道
街なみ環境整備事業等による整備事例(富田林市寺内町地区)
富田林市寺内町地区は中心市街地にあたる近鉄富田林駅から单へ約300mに位置し、室町時代末
期に建設された旧寺内町の区域である。近世寺内町の町割り、单側の土居跡、街道の出入口など防御
機能をもった寺内町の特徴をよくとどめ、景観を特徴づける3つの寺院、重要文化財旧杉山家住宅な
ど歴史的な建造物が軒を連ね、伝統的建造物群を形成している(地区面積約13.3ha)
。
平成11年度から25年度まで、国の補助事業「街なみ環境整備事業」を、平成21年度から23
年度まで、「将来ビジョン・大阪」に基づく府の補助事業「石畳と淡い街灯まちづくり支援事業」を
導入し、歴史的街なみを活かした地区防災施設の充実等、現代の住環境に適合した計画的な整備を行
っている。
(整備内容:生活環境施設整備、防火水槽、道路美装化、街路灯、案内板、説明板、小公園の整備、
住宅の修景、無電中化等)
住宅等修景
生活環境施設
-55-
(3)住工混在市街地
○これまでの取り組み
平成15年から府域における先導的モデルとして、企業、自治会、大阪府、東
大阪市で検討を開始し、平成19年に「高井田まちづくり協議会」が設立された。
平成22年に協議会から東大阪市長に地区計画案が提案され、現在東大阪市にお
いて地区計画を検討中である。
○今後の目標
住宅と工場等の共存を目標とする地域、工場等の集積の維持を図る地域など、
地域の目標に応じて、住宅と工場等の立地を適正に規制誘導し、共存を目標とす
る地域では、住環境と操業環境が共存できるルールのもとで、それぞれが可能な
限り良好な環境を確保し、調和の取れたまちづくりを目指す。
○施策の展開方向
住民と工場等の間でトラブルが発生している住工混在市街地においては、市がそ
の地域について、一定の方向性をもってまちづくりに取り組む必要があり、府はそ
の方策について市とともに検討すべきである。
具体的には、可能な限り良好な住環境、操業環境を確保するため、地区計画等を
活用し、地域の状況に応じて土地利用規制を検討すべきである。
また、市は住宅側に対する入居時等における地域環境についての情報提供や、工
場側に対する地域の環境改善・地域運営への参画の要請など、互いに理解し、共存
するためのルールづくりについて検討すべきである。
-56-
12000
操業環境の障害内容(複数回答)
0%
10000
10%
20%
30%
近隣住民問題(操業時間・公害)
人口・世帯数
8000
近隣企業問題(事業内容変更)
34%
3%
14%
拡張・統合の適地不足
6000
40%
拡張・建替の各種規制
11%
4000
27%
得意先企業の廃業・移転
2000
土地の価格・賃料
13%
犯罪や火災の危険性
0
H12
H17
H22
世帯数 高井田
人口 高井田
交通マナー・道路利用
世帯数 氷野・御領・新田
人口 氷野・御領・新田
注)H12,17 国勢調査、H22 住民基本台帳
平成5年
分類
色別
平成21年
工業施設
住宅施設
一戸建住宅
共同住宅
平 成 15年 、府 域 に お け る先 導 的 モ デ ル として 企 業 、自 治 会 、大 阪 府 、東 大 阪 市 で
検討を開始
平 成 1 9 年 、 「高 井 田 ま ち づ く り 協 議 会 」の 設 立
平 成 2 2 年 に 「高 井 田 ま ち づ く り 協 議 会 」が 、 東 大 阪 市 長 に 地 区 計 画 ル ー ル 案 を 提 案 (地
区 面 積 約 8 0 h a 、 権 利 者 約 1 ,8 0 0 人 )。
地区計画ルール案
 操 業 環 境 の 保 全 :5 0 0 ㎡ 以 上 の 敷 地 に つ い て は 住 宅 の 建 設 を 認 め な い 。
 住 環 境 の 保 全 :道 路 斜 線 制 限 、 隣 地 斜 線 制 限 の 住 居 系 基 準 の 適 用 。
 良 質 な 住 宅 供 給 :住 戸 面 積 4 0 ㎡ 未 満 の 住 戸 数 が 1 /3 を 超 え る 共 同 住 宅 の 禁 止 。
など
東 大 阪 市 に お い て 、地 区 計 画 を検 討 中 。
-57-
37%
39%
(4)大規模団地
○これまでの取り組み
居住水準が低い老朽化した大規模団地については建替えを行い、建替えにより
生み出された用地については、民活手法等を活用し、生活支援施設や子育て世帯
向けのマンション等に転換している。
地域コミュニティの活性化に向けて、子育て世帯向けの優先募集や高齢世帯の
低層階への住み替えなどを実施している。
府営住宅においては、当審議会が平成 22 年4月に答申した「今後の府営住宅に
よるセーフティネットの確保と良好なコミュニティの形成について」を踏まえて
施策展開している。
UR 都市機構は、一部の団地において団地マネージャーを新設し、団地経営の視
点を持ち、各種生活支援サービス導入に向けた検討などを行い、団地の付加価値
の向上の取り組みを開始している。
○今後の目標
老朽化や耐震化に対応するため、耐震改修・建替え等を行う。
高齢者等が安心して暮らせる団地を形成するとともに、若者や子育て世帯等の
多様な世代が暮らす活力ある住宅地を目指す。
また地域社会と共に利用する施設の導入や地域住民と交流できる空間づくりな
どに、地域のまちづくりにストックを積極的に活用する。
特に、府営住宅については、福祉世帯が集住し地域コミュニティに大きな影響
を与えることから、適切な規模に分割や分散を行うとともに、市町と連携し、地
域課題の解消や地域力の向上に資するまちづくりに積極的に活用する。
○施策の展開方向
大規模団地における地域住民の交流を活性化するため、空き家や敷地を有効に活
用し、高齢者支援施設や子育て支援施設、コンビニやコミュニティレストランなど
の利便施設など、周辺地域に広がりある施設を誘致するとともに、子育て世帯向け
住宅や高齢者向け住宅など、多様なニーズに対応した住宅を誘導すべきである。
UR 賃貸住宅や公社賃貸住宅においては、コミュニティミックスをさらに進展させ
るため、障がい者向けのグループホームや、地域の担い手としても期待できる留学
生や研究者、学生などの入居を積極的に図るべきである。
-58-
管 理 戸 数 が 1000戸 以 上 の 府 営 住 宅 団 地 の 分 布 状 況
2000戸 以 上
千 里NT
1500戸 ~
1999戸
1000戸 ~
1499戸
管 理 戸 数 が 1000戸 以 上 の UR賃 貸 住 宅 団 地 の 分 布 状 況
2000戸 以 上
1500戸 ~
1999戸
泉 北 NT
千里NT
1000戸 ~
1499戸
泉北NT
大阪府住宅供給公社賃貸住宅の状況
・1団地で管理戸数が 1,000 戸を超える大規
模団地はない。
・千里 NT、泉北 NT、金岡地区、下田部地区
に比較的大規模な団地が存在する。
-59-
(5)旧地域改善向け公営・改良住宅団地を含む地域
○これまでの取り組み
これまでの実績としては、既存の空き家を活用した高齢者の見守り拠点施設の
整備や、福祉施策と連携した介護予防拠点施設への支援が行われた。
また、良好な住宅地の形成と周辺住民の定住促進を図ることを目的に、建替え
により生み出された用地を戸建て用地として、未活用地をコーポラティブ住宅用
地として、用地の整備及び分譲が行われ、様々な居住ニーズに対応できる多様な
住宅供給の実現に向けた取り組みが行われてきた。
○今後の目標
公営・改良住宅の建替えや改善を促進するとともに、若年中堅層が定住できる、
良好なコミュニティの育つ「住み続けることのできるまちづくり」を目指す。
○施策の展開方向
旧地域改善向け公営・改良住宅団地を含む地域については、高齢化の進行だけで
なく、比較的若い中堅所得層の流出や困難を抱えた人たちの流入により、地域内の
住民活動を支える階層の減尐は続いており、コミュニティミックスを進めていくこ
とが必要である。
このためには、これまで取り組まれてきた空き家等の地域活動拠点としての活用
や、活用地への多様な住宅の供給などついて、今後は本地域により積極的に民間投
資を呼び込む視点から、これまで以上に民間との連携が図られるよう、市町に対し
先進事例の情報提供や、指導・助言を行うべきである。
また、住宅団地の自治会活動をはじめ地域の人権尊重を基調として、これまで培
われてきた良好な地域コミュニティづくりの実績とノウハウを大切にしながら、地
域を維持・発展させることも必要である。
このため、まちづくり協議会等の住民参加により、隣保館をはじめとした地域の
施設などを活動の場として活用しながら、公共と民間のパートナーシップによるま
ちづくりを促進すべきである。
-60-
【公 営 住 宅 ・改 良 住 宅 の 建 設 時 期 】
250 0
200 0
150 0
公営住宅
改良住宅等
100 0
50 0
0
~
1949
1950
1955
1960
1965
1970
1975
1980
1985
1990
1995
2000
~
~
~
~
~
~
~
~
~
~
~
~
1954
1959
1964
1969
1974
1979
1984
1989
1994
1999
2004
2009
公営住宅
0
12
0
24
1563
2250
470
398
138
253
247
271
42
改良住宅等
0
0
0
484
1120
1943
860
811
689
158
155
57
55
【公 営 住 宅 ・改
浴宅
槽等設の置
】 状況】
【 公良
営住
住宅
宅 ・等
改の
良住
浴状
槽況
設置
【公 営 住 宅 ・改 良 住 宅 の 面 積 】
2 9%
全体
公 営 住 宅 18
2005
2025
1476
1184
740 225
44%
公 営 住 宅 (一 般 地 域 )
20~ 29㎡
71 %
5 6%
30~ 39㎡
40~ 49㎡
1 6%
公 営 住 宅 (旧 地 域 改 善 向 け )
浴槽あり
84 %
浴 槽 なし
50~ 59㎡
60~ 69㎡
1603
1479
2328
2 4%
改 良 住 宅 等 (一 般 地 域 )
70~ 79㎡
改 良 住 宅 等 315
12 %
改 良 住 宅 等 (旧 地 域 改 善 向 け )
0%
20%
40%
60%
76%
55057
80%
0%
100%
未活用地の活用事例
(コーポラティブ住宅用地として分譲)
8 8%
20 %
4 0%
6 0%
8 0%
空き店舗を活用した
高齢者の見守り拠点施設の整備事例
-61-
10 0%
(6)計画的住宅市街地(ニュータウン)
○これまでの取り組み
千里ニュータウンにおいては、平成19年10月に「千里ニュータウン再生指
針」を策定し、これに基づき府営住宅や公社賃貸住宅の建替えと新たな住宅や施
設の導入を図るとともに、良好な住環境の形成のため、住民主体のまちづくりと
して、地区計画の策定などが行われている。
これにより、人口・世帯の減尐に歯止めがかかり、若年世帯の居住が増えるな
ど、成果が現れるとともに、地元住民との意見交換の場(ラウンドテーブル)を
踏まえたまちづくりが進められている。
泉北ニュータウンにおいても、平成22年4月に泉北ニュータウン再生府市等
連携協議会を設立し、地区の玄関口となる泉ヶ丘駅周辺地域の活性化や、公的賃
貸住宅等の再生などの検討が行われている。
○今後の目標
尐子高齢化、人口減尐社会においても、豊かな自然を享受しながら、高齢者や
子育て世帯など多様な世帯が住み慣れた地域で良好な地域コミュニティに支えら
れ、地域に働く場がある、安全で生きがいをもって住み続けられるまちへの再生
を目指す。
○施策の展開方向
計画的住宅市街地については、尐子高齢化、人口減尐社会においても、自立した
まちとなるため、住み慣れた地域で、日常的な買い物や通院が可能で、趣味や生き
がいを見つけられ、働くことができる誰もが住みやすいまちの構造に転換すべきで
ある。
そのために、当該住宅市街地の中、あるいは周辺に公的賃貸住宅などの公的資産
がある場合には、ニュータウンの再生にあたって、各供給主体が、自治体や供給主
体間との連携を図り、地域の特性を活かした魅力ある郊外にすべく、これらを地域
や民間に開放し、地域のニーズにあった活用を積極的に推進すべきである。
また、高齢者などが自立した生活が困難となる場合などにおいては、駅前などの
高齢者向け住宅等への住み替えを促進するとともに、住み替えた後における住民活
動の担い手ともなる子育て世帯等の入居を促進すべきである。
さらに住宅市街地の周辺に立地する大学・研究機関などの文化・学術研究機能や
農村や里山が持つ自然環境との交流・連携を進め、多様な人々が交流する魅力ある
まちづくりを目指すべきである。
さらにニュータウンの再生にあたっては、地域の商業者や住民、NPOなど関係
者が、再生に向けての理念や目標を共有し、ともに活動していくことが必要であり、
こうした活動を継続、発展していくための自立した新たなエリアマネジメント組織
の設置を目指すべきである。さらに、将来的には、財源や対外的な調整力を有する
組織となるよう検討すべきである。
-62-
■大規模ニュータウン(50ha 以上、事業完了分)の分布
№
建設着手年
地区名
面 積 (h a )
1
昭 和31年
五月ヶ丘
2
昭 和32年
香里
3
昭 和33年
向ヶ丘
4
昭 和35年
千里ニュータウン
5
昭 和37年
第 2・3羽 曳野ネ オポリ ス
82
6
昭 和37年
東豊中
69
7
昭 和37年
安岡寺
53
8
昭 和37年
金岡東
138
53
155
75
1 ,1 6 0
9
昭 和38年
日吉台
10
昭 和40年
金剛
11
昭 和40年
泉北ニュータウン
12
昭 和42年
ときわ台
13
昭 和42年
楠葉
14
昭 和42年
狭山ニュータウン
70
15
昭 和43年
鶴山台団地
78
16
昭 和43年
船場繊維団地
85
17
昭 和45年
イトーピア長野
62
18
昭 和45年
第 2阪南 ネオポ リス
19
昭 和45年
光明池
128
20
昭 和45年
昭和台
121
21
昭 和45年
南花台
92
22
昭 和46年
東能勢吉川
68
23
昭 和47年
狭 山NT
92
24
昭 和48年
南海熊取ニュータウン
25
昭 和48年
金剛東
26
昭 和49年
東ときわ台
59
27
昭 和52年
阪急(池田)伏尾台
76
28
昭 和53年
二色の浜パークタウン
51
29
昭 和55年
東 急美原 NT
76
30
昭 和55年
清美台
31
昭 和55年
美加の台
32
昭 和57年
北大阪ネオポリス
33
昭 和58年
田原
34
昭 和59年
新光風台
82
35
昭 和60年
さくら坂
65
36
昭 和62年
高槻・阿武山
54
55
216
1 ,5 5 7
51
100
56
73
231
73
149
59
127
-63-
7.実効性を持った施策の展開に向けて
住宅まちづくりのあり方の実現に向けては、施策に関わる各主体がそれぞれの役割を
的確に果たすとともに、効率的な施策推進が図られるよう、適切な進行管理が行われる
ことにより、施策の実効性が確保される必要がある。
(1)住宅まちづくりに関わる各主体の役割と連携
住宅とまちのあり方の実現のためには、住宅まちづくり政策に関わる大阪府、市町
村、事業者、府民などが適切な役割分担のもと、各主体がそれぞれの役割を自覚し、
連携・協力しながら取り組むことが必要である。
① 地方自治体の役割
(大阪府の役割)
大阪府は、広域的なまちづくりを担う自治体として、大阪府全域における住宅ま
ちづくり政策の目標やビジョンを提示し、広く発信する役割を担うべきである。
このため、市町村や民間事業者、府民の住宅・まちづくりに関する指針となるよ
う、府民の居住の安定の確保などの目標やこれを達成する施策、数値目標などを提
示する大阪府住宅まちづくりマスタープランを策定(改定)すべきである。
また、市場機能が適正に発揮されるよう、情報提供等による市場の流動化や、規
制等による市場の適正化等により、市場の環境整備を行うとともに、府営住宅等の
公的資産の積極的な活用、市町村の住宅まちづくり施策への指導・助言、NPO、
市町村、事業者等が連携するための機会や場(プラットフォーム)の提供など、広
域的自治体としての取り組みを進めることが求められる。
(市町村の役割)
市町村は、基礎的自治体として、地域のまちづくりの主体として大きな役割を担
っており、地域の特性に応じ、自主性と創意工夫を活かした取り組みを進めるべき
である。
住民に直結する自治体として、福祉施策等の展開とあわせ、地域住民のニーズに
きめ細かく対応した総合的な地域の住宅まちづくり施策を展開することが求められ
ている。
また、市民に身近な住宅まちづくりに関する情報提供・相談機能の充実を図ると
ともに、地域における住民主体による活動を活性化するため、地域におけるあらゆ
る主体をつなぐコーディネートを行うなど、地域住民の主体的なまちづくりの取り
組みへの支援を行うべきである。
-64-
② 公的団体の役割
(大阪府住宅供給公社)
大阪府住宅供給公社は、子育て世帯等のファミリー向けや高齢者等に対する良質
な賃貸住宅の供給、住戸のグループホームへの活用など、民間賃貸住宅市場では十
分に対応ができない住宅の供給に取り組む必要がある。
保有する住宅団地ストックを有効に活用し、市町等とも連携しながら、地域住民
に求められる施設の導入を図るなど、地域のまちづくりに貢献すべきである。
これらのほか、公的機関として保有するノウハウや信用力も活用しながら、住宅
市場の機能が適正に発揮されるための取り組みを行うなど、大阪府の住宅・まちづ
くり政策の課題に即した事業の展開を行う役割を担うべきである。
このため、分譲共同住宅(マンション)の管理や建替えに関する技術的相談など
についても引き続き取り組むべきである。
(独立行政法人 都市再生機構(UR 都市機構))
都市再生機構は、子育て世帯等のファミリー向けや高齢者等に対する良質な賃貸
住宅の供給など、民間賃貸住宅市場では十分に対応ができない住宅の供給に取り組
むべきである。
また、団地再生事業等における整備敷地等の活用や保有する住宅団地ストックを
活用し、自治体と連携を図るなどして、福祉や子育て支援施設等の地域の生活拠点
の形成に努めるべきである。
開発中のニュータウンについては、自治体や民間事業者と連携し、地域の特性を
活かした魅力ある郊外を実現する必要がある。
集約・連携型都市構造の強化に向けた民間や自治体との適切な役割分担による都
市拠点・地域拠点の再生に取り組むとともに、密集市街地の整備改善を促進して防
災性の向上を図るなど、自治体が行うまちづくりの支援や補完を行うべきである。
(独立行政法人 住宅金融支援機構)
住宅金融支援機構は、政策上重要で公的機関でなければ対応が困難な長期固定金
利の住宅ローンの安定的な供給を支援するため、民間金融機関による長期固定金利
の住宅ローンの供給を支援する証券化支援業務を行い、金利引下げを通じて、省エ
ネルギー性、耐震性、バリアフリー性及び耐久性・可変性が優れた住宅への誘導を
図るべきである。
また、災害復興建築物の建設等に必要な資金の貸付けなど、民間金融機関では対
応が困難な融資業務などを行うべきである。
-65-
(その他の公的団体等)
この他、住宅まちづくりに関わる公的団体は、㈶大阪府都市整備推進センター、
㈶大阪府タウン管理財団、㈳大阪府建築士会、㈳大阪府建築士事務所協会など多岐
に渡り、その設置された目的を的確に果たすよう努めるとともに、それぞれが有す
るノウハウが有効に住宅まちづくりに活かされるよう、行政や団体相互の連携を図
るべきである。
なお、公益法人制度改革に伴い一般法人化する法人についても、公益目的財産の
活用について、大阪府の住宅まちづくり政策との連携を検討すべきである。
③ 府民、事業者の役割
(民間事業者の役割)
民間事業者は、市場において主要な役割を担うことから、自らが提供する住宅や
まちが、居住環境を形づくることを十分認識する必要がある。
消費者の安全確保、環境に配慮した活動など、組織活動が社会へ与える影響につ
いて認識と責任を持ち、市場を通じて、府民の住宅・まちづくりへのニーズを的確
につかみ、良質な住宅関連サービスの提供、適切な情報開示、公正な取引やコスト
の軽減を通じ、良質な居住環境の形成に貢献すべきである。
(地域団体やNPO等の役割)
地域における自治体組織をはじめ、NPOやボランティア団体などの団体は、
「地
域を守り、育てる」という自覚と責任を持ち、様々な地域に根ざした活動を行うと
ともに、独自の立場から行政や企業に対してのチェックや提言を行うなど、行政や
府民との協働する新しい公共としての役割を果たすことが求められる。
これらの団体は、社会的課題に対して、迅速で先駆的な取り組みが可能であると
ともに、それぞれの自由な意思により、個別的で柔軟な社会サービスの提供が可能
であり、高齢者の見守り、子育て世帯の支援、障がい者の地域移行の支援、防災や
防犯活動、景観の保全など、幅広い分野において取り組みが進められることが期待
される。
-66-
(府民の役割)
府民は、市場において、大阪府、市町村、事業者などが提供する情報を適切に選
択し、自らの責任のもとで住宅やまちを選ぶ自立的な行動が求められている。
府民による選択の結果が、住宅やまちのあり方にも大きく影響することを十分理
解し、住宅・まちづくりに関する知識を深め、自らの住生活の向上、安定に努める
べきである。
さらに、地域の良好な居住環境の形成に新たな担い手として積極的に参画すべき
である。
(2)施策の進行管理(評価・検証)
施策の実施にあたっては、施策の評価・検証を行った上で、適切かつ柔軟に見直し
を行う必要がある。
施策の評価・検証については、個々の施策の進捗状況の評価に加え、成果指標を設
定するなど、定量的な評価を行うべきである。
(進捗状況の把握と点検)
施策の達成状況を評価し、その効果を分かりやすく府民に示すため、成果指標の
設定が必要である。
この成果指標を市場に提示することにより、施策の進捗状況が把握できるだけで
なく、府民による居住の選択や、事業者による住宅供給や居住サービス提供の際の
判断材料として活用され、良好な居住環境の形成に向けた指針となり得る。
設定された成果指標について、できる限りその進捗状況の把握に努め、施策の計
画的な進行管理・点検を通じ、必要に応じて施策の見直しを行うべきである。
(的確な施策展開のための市場調査)
市場の活用、ストックの活用を重視した住宅まちづくり施策の展開を図る上で、
住宅関連市場や住宅ストックの状況を的確に把握することが重要である。
施策構築や見直しに際し、住宅市場の状況が適切に反映されるよう、国により実
施される統計調査の活用を図るとともに、住宅市場を見据えた施策の構築に必要な
市場の実態把握のため、大阪府独自での調査等を実施すべきである。
-67-
○ 悪質リフォーム
○ エリアマネジメント組織
主に訪問販売における建築請負契約(主に住宅
一定の地域(エリア)における良好な居住環境
の改築、改修、模様替えといったリフォーム)に
等の形成・管理を実現していくための地域住民・
ついての悪徳商法行為。高齢者等に対して、不必
地権者による様々な自主的取り組み(合意形成、
要な工事や高額で過剰なサービス等を契約させる
財産管理、事業・イベント等の実施、公・民の連
商法が多い。
携等の取り組みを指し、専門家や支援団体の支援
等を含む。
)
○ 新しい公共
市民団体、企業、政府等が一定のルールとそれ
○ 追い出し行為
ぞれの役割をもって当事者として参加し、協働す
る場。
賃貸住宅で家賃を滞納した入居者に対し、違法
な嫌がらせ行為を行い、退去を迫る行為。近年、
敷金・礼金を必要としない「ゼロゼロ物件」の入
○ あんしん賃貸住宅登録制度
居者に対する追い出し行為の被害が相次いでいる。
民間の賃貸住宅に入居を希望する高齢者世帯、
障がい者世帯、外国人世帯および子育て世帯が円
○ 改良住宅
滑に入居できる民間賃貸住宅等の登録を行う制度。
住宅地区改良法に基づく住宅地区改良事業等に
より建設された住宅。不良住宅が密集すること等
○ 石畳と淡い街灯まちづくり支援事業
により、保安衛生等に関し危険又は有害な状況に
大阪府が行う「大阪ミュージアム構想」のコン
ある地区において、不良住宅を除却し、生活道路
セプトのもと、行政と住民が一体となって「石畳
等を整備した上で、従前居住者のために建設され
と淡い街灯」などの地域資源の魅力を引き出し、
る。建設後は、公営住宅として管理される。
発信していくモデル地区を公募し選定のうえ、支
○ カーシェアリング
援する事業。
自動車を複数の会員が共同で利用する自動車の
○ イノベーション企業
利用形態。利用者は自ら自動車を所有せず、管理
イノベーション(innovation)とは、新製品の
開発、新生産方式の導入、新市場の開拓、新原料・
団体の会員となり、必要な時にその団体の自動車
を借りる。
新資源の開発、新組織の形成などによって、経済
発展や景気循環がもたらされるとする概念。イノ
○ 既存住宅瑕疵担保責任保険(リフォーム
瑕疵保険)
ベーション企業とは、一般的に、イノベーション
(技術開発・新市場開拓等)に積極的に取組む企
業。
住宅瑕疵担保履行法に基づく、既存住宅を対象
とした瑕疵担保保険。
既存住宅売買瑕疵保険は、既存住宅の検査と保
○ インセンティブ
証がセットになった保険制度であり、国土交通省
一般的には、人の意欲を高めることを目的に、
が指定した住宅瑕疵担保責任保険法人が販売する。
利益等を期待させる形で外部から与える刺激のこ
宅地建物取引業者が販売した既存住宅に瑕疵が見
とをいう。
つかった場合、その補修費用等が事業者(事業者
が倒産等した場合は買主)に支払われる。
-71-
リフォーム瑕疵保険は同様に、国土交通省が指
○ 大阪府景観審議会
定した住宅瑕疵担保責任保険法人が販売する、リ
大阪府の条例に基づき、景観計画の策定や景観
フォーム時の検査と保証がセットになった保険制
形成基本方針等の変更について審議を行う学識経
度。リフォーム工事の施工中や工事完了後に、第
験者等からなる第三者機関。
三者検査員(建築士)による現場検査が行われる
とともに、後日工事に瑕疵が見つかった場合、補
○ 景観地区
修費用等の保険金が事業者(事業者が倒産等の場
景観法に基づき、市町村が市街地の良好な景観
合は発注者)に支払われ、無償での修繕が可能と
の形成を図るため都市計画に定めた地区。市町村
なる。
は、景観法に基づく景観計画区域よりも、より積
極的に景観の形成や誘導を図っていきたい場合、
○ 近隣センター
都市計画として景観地区を定め、(1)建築物の形
ニュータウンにおける日常生活に必要な諸機能
を配置したセンター機能のうち、住区ごとに設置
態意匠、
(2)建築物の高さ、
(3)壁面の位置、
(4)
建築物の敷地面積、について制限できる。
されるもの。住民が徒歩で日常生活に必要な最寄
り品の購入ができる場所であり、一般的に、スー
○ 景観法
パーマーケットまたは市場を中心店舗として日常
生活に必要な 10 店舗前後の個別商店で形成される。
都市、農山漁村における良好な景観の形成を促
進するため、景観計画の策定等により、美しく風
格のある国土の形成、うるおいのある豊かな生活
○ グループホーム(ケアホーム)
介護保険法に基づく認知症高齢者グループホー
ムと、障害者自立支援法に基づくグループホーム
空間の創造、個性的で活力ある地域社会の実現を
図ることを目的として制定された法律。
及びケアホームがある。
(障がい者については、障
害の程度によって利用するサービスがグループホ
○ 建築協定
建築基準法に基づき、住宅地としての環境又は
ームとケアホームとに分かれている。
)
認知症高齢者グループホームは、認知症のため
商業地としての利便を高度に維持増進するなど、
の介護を必要とする方が尐人数で共同生活を営む
建築物の利用を増進し、かつ、土地の環境を改善
住居(グループホーム)において、介護を行うサ
ービス。障がい者グループホームは、共同生活を
するために、地権者間又は地権者と建設業者等で
かわされる協定。
営む住居において、相談や日常生活の援助等のサ
○ 建築士会
ービスが行われる。
建築士の品位の保持及びその業務の進歩改善を
ケアホームは、入浴・排せつ・食事等の介護等
図り、広く社会公共の福祉増進に寄与することを
のサービスが行われる。
目的とする社団法人。各都道府県に設置され、会
○ 景観計画
員である建築士の講習や支援等を行う。
景観法に基づき、一定の区域において「良好な
景観を形成に関する方針」や「良好な景観形成の
ための行為の制限に関する事項」を定め、良好な
景観を維持・促進することを目的に地方公共団体
が定める計画。
-72-
○ 建築士事務所協会
○ 公的賃貸住宅
建築士事務所の業務の適正な運営と健全な発展
公営住宅、都市再生機構賃貸住宅、地方住宅供
及び、建築士事務所に設計等を委託する建築主の
給公社賃貸住宅、特定優良賃貸住宅、高齢者向け
利益の保護を図ることを目的として活動している
優良賃貸住宅等を指す。
社団法人。各都道府県に設置され、建築士事務所
登録の受付および、建築士事務所の運営支援等を
○ 高齢者住まい法(高齢者の居住の安定確
保に関する法律)
行う。
高齢者の円滑な入居を促進するための賃貸住宅
○ 建築物環境配慮制度
の登録制度を設けるとともに、良好な居住環境を
建築物の新築や増改築の際に、建築主による総
合的な環境配慮の取組みを促進するために規定さ
れる制度。
備えた高齢者向けの賃貸住宅の供給を促進するた
めの措置を講ずることなどにより、高齢者の居住
の安定の確保を図り、もってその福祉の増進に寄
大阪府では、地球温暖化やヒートアイランド現
与することを目的とした法律。
象などを防止し、良好な都市環境の形成を図るこ
とを目的とする「大阪府温暖化の防止等に関する
条例」の中で、建築物の環境配慮制度が規定され
ている。
※下線部は「高齢者が日常生活を営むために必
要な福祉サービスの提供を受けることができる良
好な居住環境を備えた高齢者向けの賃貸住宅等」
と改正予定(平成23年2月8日改正案が閣議決
定)
○ 公営住宅
公営住宅法に基づき、国及び地方公共団体が協
力して、健康で文化的な生活を営むに足りる住宅
○ 高齢者専用賃貸住宅
高齢者の居住の安定確保に関する法律に基づき、
を整備し、これを住宅に困窮する低額所得者に対
して低廉な家賃で賃貸し、又は転賃することによ
登録された高齢者の入居を拒まない住宅(高齢者
り、国民生活の安定と社会福祉の増進に寄与する
円滑入居賃貸住宅)のうち、高齢の卖身・夫婦世
ことを目的として供給される住宅。
帯などのもっぱら高齢者世帯に賃借する賃貸住宅。
○ 公益法人制度改革
○ 国際医療交流
民間非営利部門の活動の健全な発展を促進し、
医療分野における国際交流をいい、わが国の医
現行の公益法人制度にみられるさまざまな問題に
療技術を用いて、国外より医療目的で来日した外
対応するため、従来の主務官庁による公益法人の
国人に対する医療行為や外国人医師に対する医療
設立許可制度を改め、登記のみで法人が設立でき
技術の研修などを行うこと。
る制度を創設するとともに、公益目的事業を行う
ことを主たる目的とする法人については、民間有
○ 国土利用計画(第四次)
識者による委員会の意見に基づき、公益法人に認
定する制度を創設した改革。
国土利用計画法に基づき、国土の利用に関して
全国的な見地から必要な基本的事項を定める計画
(平成 20 年 7 月 4 日閣議決定)
。都道府県および
○ 公的資産
市町村の区域において定められる国土の利用に関
国や地方公共団体が所有する資産。特に、公営
施設や公営住宅等の不動産を指す場合が多い。
する計画の基本となる。平成 29 年を目標年次とし
ている。
-73-
○ コミュニティサイクル
○ コンパクトシティ
レンタサイクルの形態のひとつで、街の一定範
サスティナブルな都市の空間形態として提起さ
囲内で、至るところに設置された自転車を好きな
れた EU 諸国で推進されている都市政策モデルであ
場所で借り、返却することができるシステム。
り、都市空間の概念。日本においては、一般的に、
郊外への都市的土地利用の拡大の抑制、中心市街
○ コミュニティビジネス
地の活性化等を図るため、暮らしに必要な諸機能
市民が主体となって、地域が抱える課題をビジ
ネスの手法により解決し、またコミュニティの再
が近接し、効率的で持続可能な都市のことをコン
パクトシティと呼んでいる。
生を通じて、その活動の利益を地域に還元すると
○ コンバージョン
いう事業の総称。
既存のビルや商業施設、倉庫等を用途転換する
○ コミュニティミックス
こと。日本では、オフィスビル等を住宅に用途転
家族構成や収入、年齢などさまざまな区分によ
る階層が類似・同一の人々に片寄るのではなく、
換する例や小学校等の廃校をコミュニティ施設等
に用途転換する例がみられる。
多様な階層の人が一定の地域で一緒に暮らしてい
る環境、状態を指す。若者や子育て世帯、高齢者
○ サービス付き高齢者向け住宅
などが地域で共に住み続けることを、ミックス居
住と呼ぶこともある。
バリアフリー構造等を有し、介護・医療と連携
して、高齢者を支援するサービスを提供する住宅
のこと。
○ コミュニティレストラン
高齢者の居住の安定確保に関する法律(高齢者
「食」を核にした地域のコミュニティ支援を目
住まい法)の改正(2011 年 2 月 8 日閣議決定)に
的とし、以下の5つの機能を包含するとされる。
伴い、これまでの高齢者円滑入居賃貸住宅及び高
2004 年にNPOの共有財産とするため、商標登録
齢者専用賃貸住宅の登録制度は廃止となり、サー
されている。
ビス付き高齢者向け住宅制度が都道府県知事への
①人材養成機能
登録制度として新たに創設される予定。
②生活支援センター機能
○ シェア居住
③自立生活支援機能
④コミュニティセンター機能
台所や風呂、トイレ等の空間や設備を共同利用
⑤循環型まちつくり機能
し、非親族の世帯が一住戸の住宅に居住する形態。
○ コーポラティブ住宅
○ 市街化区域
自ら居住するための住宅を建設しようとする
都市計画法に基づき指定されたすでに市街地を
者が組合を結成し、共同で事業計画を定め土地の
形成している区域及びおおむね 10 年以内に優先的、
取得、建築の設計、工事発注、その他の業務を行
計画的に市街化を図るべき区域。
い、住宅を取得し、管理していく方式による住宅。
○ 市街化調整区域
都市計画法に基づき指定された市街化を抑制す
べき区域。
-74-
○ 大阪府自然環境保全条例
○ 住宅双六
自然環境の保全、回復及び活用、緑の創出並び
わが国における典型的な住宅の住替えパターン
に生態系の多様性の確保を推進することにより、
のことで、振り出しは新婚時代の小さなアパ-ト、
豊かな自然と人とが触れ合う場が確保され、ヒー
子供が生まれるころに尐し広めの賃貸マンション
トアイランド現象の防止をはじめとする都市環境
に移り
の改善がなされる等、広く府民が自然環境の恵沢
れを売り払って庭付き戸建を手に入れたところで
を享受するとともに、将来の府民にこれを継承で
上がりとなる。
、やがて分譲マンションを手に入れ、そ
きるようにし、現在及び将来の府民の健康で文化
的な生活の確保に資することを目的として制定さ
○ 大阪府住宅相談室
れた条例。
大阪府内の多種多様な住宅や住まい方に関する
情報を提供するとともに、住宅に関する専門的な
○ 指定確認検査機関
内容やトラブルに関する相談を電話や対面で行う
平成 10 年の建築基準法の改正により、これまで
ことを目的に大阪府が設置しているもの。
特定行政庁の建築主事が行ってきた確認及び検査
業務を、必要な審査能力を備える公正な民間機関
○ 住宅性能表示制度
も行うことができるものとして、新たに位置づけ
られた機関。
住宅の品質確保の促進等に関する法律に基づき、
評価基準をもとに客観的に性能を評価できる第3
者機関(登録住宅性能評価機関)が評価、住宅性
○ 指導監督基準
能評価書を交付する仕組み。評価書に表示された
宅地建物取引業者及び宅地建物取引主任者によ
性能は、原則として契約内容となる。
るコンプライアンス向上の取組みを促進し、違反
行為及び適正を欠く行為の未然防止を図るため、
○ 住宅リフォームマイスター制度
大阪府知事が指導監督を行う場合の統一的な基準
府民が安心して住宅リフォームを行えるよう、
として、「宅地建物取引業法に基づく指導監督基
府が指定した建築住宅関連の非営利団体(マイス
準」を策定されたもの。
ター登録団体)が、一定の基準を満たした事業者
なお本基準では、人にやさしい宅地建物取引業
者として、人権に配慮した業務を適正に行うとい
(マイスター事業者)を登録し、府民の依頼に応
じて案内・紹介する制度。
うことを目的に、建物が同和地区に掲げる人権問
題に関する項目を加え、指導等の対象にしている。
○ 住宅履歴情報
住宅の設計、施工、維持管理、権利及び資産等
○ 社会サービス
に関する情報。平成 19 年度より、国土交通省が設
一般に、国民生活に密着し、または国民生活の
置した「住宅履歴情報整備検討委員会」において、
基盤を成すサービスで、公的部門が供給主体とな
住宅履歴情報に必要な標準形の情報項目や共通ル
り、または何らかの制度的な関与を行うことによ
ールのあり方、普及方策等の検討が進められてい
って、民間部門における供給とあわせ、サービス
る。
の安定的供給や質の確保を図っていく必要のある
サービスを指す。代表的なサービスとして、保健、
医療、福祉分野、教育サービスなどが該当する。
-75-
○ 収入分位
○ 将来ビジョン・大阪
総務省の家計調査において全世帯(2人以上世
みんなで笑顔あふれる大阪づくりを進めるため、
帯)を収入別に分布させたものをいい、25パー
2025 年をめざす総合計画のもと、策定後の変化や
セントといった場合には、全世帯を収入の低い順
大阪維新プログラム(案)を踏まえた今後の大阪
に並べ、収入の低い方から4分の1番目に該当す
の将来像をわかりやすく示したもの。
る収入に相当する分位をいう。
だれもが人を大切にし、皆が幸せになれるよう、
関西・世界を見据え、自助・互助の考え方等に立
○ 集約・連携型都市構造
ち大阪の強みを活かしながら、府民みんなで進め
平成 18 年 7 月に大阪府都市計画審議会から出さ
る取り組みを示している。
れた答申「成熟社会における大阪の都市づくりの
○ ストック
あり方」において、示された都市構造の概念。
特に、大阪府域は、大阪湾を抱いた狭いエリア
に豊かな自然に囲まれながら集約的に高密度な市
ある一時点に存在する物。在庫。住宅政策にお
けるストックとは、既存の住宅のこと。
街地を形成してきており、その内部は淀川・大和
川などの河川や山系・丘陵部によって市街地が区
○ 住まいの評価・管理アドバイザー制度
分されつつ、道路・鉄道駅周辺などにまとまりを
大阪府が指定した住宅関係 NPO 法人等が、専門
有しており、これらが相互に連携して、緑に縁取
アドバイザーを登録し、府民の相談に応じて紹介
られた集約的な都市構造を形成している。
する制度。専門アドバイザーは、住宅の新築、取
得時からその後の維持管理、リフォームなどにい
○ 証券化支援業務
たるそれぞれの時宜に、住宅の性能や不具合等に
住宅金融支援機構の主たる業務の一つであり、
関する評価・鑑定、法律等の相談対応、各住宅の
長期・固定金利の住宅ローンの提供を民間金融機
履歴情報に沿った実際の工事施工や維持管理に関
関において実現するため公的機関の信用力を活用
する助言などのサービスを有償で提供する。
して「証券化」を行うもの。
民間金融機関の長期固定金利の住宅ローンを買
○ 生活保護制度
い受け、信託した上で、それを担保としたMBS
資産や能力等すべてを活用してもなお生活に困
(資産担保証券)を発行する「買取型」と、民間
窮する方に対し、困窮の程度に応じて必要な保護
金融機関の長期固定金利の住宅ローンに対して住
を行い、健康で文化的な最低限度の生活を保障し、
宅金融支援機構が保険を付した上で、それを担保
その自立を助長する制度。
として発行された債券等について、期日どおりの
元利払いを保証する「保証型」がある。
○ セミパブリック空間
パブリック(公的)空間とプライベート(私的)
空間の中間領域のことで、沿道空間としては、公
開空地など民有地において、公益的な利用を図る
空間のこと。
-76-
○ 泉北ニュータウン再生府市等連携協議会
○ 地区センター
社会環境の変化や居住者ニーズの多様化が進む
ニュータウンにおける日常生活に必要な諸機能
とともに、尐子高齢化の進展、人口の減尐、住宅
を配置したセンター機能のうち、複数の住区の集
や施設の老朽化など様々な問題が現れ始めている
まりごとに設置されるもの。近隣センターでは充
泉北ニュータウンに関して、泉ヶ丘駅前地域の活
足できない買い回り品のサービスを提供する。
性化や公的賃貸住宅等の再生など、泉北ニュータ
ウンの活性化に向け広域的に取り組むため、大阪
○ 地区計画
府及び堺市が連携し、また、関係する公的団体と
ともに協議・検討する場として設立されたもの。
都市計画法に基づき、都市計画区域内の土地を
適正な制限のもとに、地区の特性に応じた良好な
環境を整備・保存するために市町村が策定できる
○ 千里ニュータウン再生指針
計画。土地の合理的な利用を図るため、建築物の
大阪府・豊中市・吹田市・独立行政法人都市再
生機構、大阪府住宅供給公社、財団法人大阪府タ
用途や形態、公共施設の配置等を定め、計画的な
土地利用を誘導する。
ウン管理財団の6者が、千里ニュータウンの様々
な課題を解決しながら、まちの活力を発展、継承
○ 長期優良住宅
していくための基本的な考え方を示すものとして
平成 19 年 10 月に策定したもの。
長期優良住宅の普及の促進に関する法律に基づ
き、長期にわたり良好な状態で使用するための措
置が講じられた優良な住宅として、所管行政庁に
○ 退去時補修
よる認定を受けたもの。長期優良住宅の普及を促
賃貸住宅の退去時に必要となる補修のこと。補
進するため、認定を受けた住宅は、住宅ローン減
修の内容・原因によって、貸主・借主の負担区分
税(所得税、個人住民税)
、登録免許税、不動産取
が異なり、トラブルの原因となりやすい。
得税、固定資産税の税制上の優遇の措置が講じら
れている。
○ 団地マネージャー
団地住民の生活を安全で快適なものにするため
○ 賃貸住宅における賃借人の居住の安定
に、団地マネジメントの活動に携わる人々や制度
を確保するための家賃債務保証業の業
を活用・育成・発掘し、かつ関係者やマネジメン
務の適正化及び家賃等の取立て行為の
ト対象などの間の調整や新たな関係構築を行い、
規制等に関する法律案
マネジメントが円滑にかつ効果的に進むように采
配する人。
賃貸住宅の賃借人の居住の安定の確保を図るた
め、家賃債務保証業の登録制度の創設、家賃に係
る債務の弁済の履歴に関する情報の収集及び提供
○ 地域包括ケアシステム
の事業を行う者の登録制度の創設、家賃等の悪質
ニーズに応じた住宅が提供されることを基本と
した上で、生活上の安全・安心・健康を確保する
な取立て行為の禁止等の措置を講じるもの。
(国会
審議中)
ために、医療や介護のみならず、福祉サービスを
含めた様々な生活支援サービスが日常生活の場
(日常生活圏域)で適切に提供できるような地域
での体制。
-77-
○ 定期報告制度
○ 都市拠点
建築基準法に基づき、特定行政庁が指定する建
大阪府都市計画区域マスタープランにおける位
築物(昇降機などの建築設備や遊戯施設などの工
置づけの一つで、鉄道と幹線道路の交通結節点等、
作物も含む。
)の所有者・管理者が、定期的に、専
居住や商業機能が集積した地区を指す。
門技術を有する資格者に調査・検査をさせ、その
○ 都市計画区域マスタープラン
結果を特定行政庁に報告する制度。
長期的視点に立った都市の将来像を明確にし、
○ 低炭素社会
都市計画の基本的な方向性を示すものとして、都
地球温暖化の原因となる二酸化炭素の排出を、
市計画法に規定された「都市計画区域の整備、開
現状の産業構造やライフスタイルを変えることで
発及び保全の方針」のこと。①都市計画の目標、
低く抑えた社会。化石燃料使用量の削減、高効率
②区域区分の方針、③土地利用、都市施設の整備
エネルギーの開発、エネルギー消費の削減、資源
及び市街地開発事業に関する主要な都市計画の決
の有効利用などによって実現を目指す。
定の方針を定めることとされている。
都道府県が都市計画区域ごとに定め、市町村は
○ デマンド交通
これに即して、
「市町村の都市計画に関する基本的
利用者が交通業者に電話などで乗車を「要請」
な方針」
(都市計画マスタープラン)を定める。
(demand)することで利用する交通手段を指す。
路線バスやタクシーとも異なる交通手段で、30
○ ナショナルミニマム
分に1回など定期的に運行する乗合い制のバスで、
利用者は予め利用を予約する必要がある。
憲法に基づき全国が全国民に対し、保障する「健
康で文化的な最低限度の生活」水準。厚生労働省
のナショナルミニマム研究会の中間報告(平成 22
○ 同居親族要件
年 6 月)によると、ナショナルミニマムは、これ
公営住宅法に定められた公営住宅入居者資格要
までは所得や資産等の経済的な指標だけで語られ
件の一つで、現に同居し、又は同居しようとする
ることが多かったが、これらと人間関係や社会活
親族があることが定められているが、老人、身体
動への参加等の社会的な指標との関連を見ること
障害者等特に居住の安定を図る必要がある者とし
が重要であり、国民生活を多面的・複合的に捉え
て政令で定める者(60 歳以上の者、障がい者、戦
る中で、ナショナルミニマムを確定していく必要
傷病者、原爆被爆者、被生活保護者、海外からの
があるとされている。
引揚者、ハンセン病療養者、DV 被害者)について
○ ニュータウン
は、卖身での入居が可能とされている。
主に都市近郊において住宅地として計画的に建
○ 都市インフラ
設された新しい都市。高度経済成長期に全国各地
道路、鉄道、公園、上下水道、河川等の都市の
骨格を形成する根幹的な都市施設のこと。
に建設されたが、建設後数十年を経て、人口減尐、
尐子・高齢化、住宅や施設の老朽化等が進み、様々
な課題が顕在化してきている。
大阪府において代表的なニュータウンとしては、
千里ニュータウン、泉北ニュータウンなどがある。
-78-
○ ハザードマップ
○ 大阪府福祉のまちづくり条例
災害予測図、危険範囲図、災害危険個所分布図
高齢者、障がい者をはじめすべての人が安心し
ともいい、ある災害に対して危険なところを地図
てまちに出かけ、不特定多数の人が利用する都市
上に示したもの。地震被害予測図、水害予測図・
施設(建築物や道路、公園など)を、安全で容易
地すべり危険区域マップ・液状化予測図・火山防
に利用できるよう整備し、豊かな福祉社会の実現
災マップ等々、それぞれの災害の種類に応じて各
に資することを目的とする条例。都市施設に対し
種類がある。過去にあった災害の解析に基づき、
て、適合させるよう努める必要がある整備基準と
地形・地質・植生・土地利用などの条件により危
適合させることが望ましい誘導基準である。
険度を判定し、通常は危険度のランク付けがなさ
○ プラットフォーム
れている。
「地域協働の場」であり、行政のみならず、市
○ バリアフリー
民、企業、NPO、大学など地域の多様な主体が
障壁(バリア)をなくすという意味で、床の段
差を解消する、手すりを設置するなど、高齢者や
地域の諸課題を共有し、まちづくりを推進してい
く住民自治の組織手法。
障がい者も含めて誰もが支障なく使えるよう配慮
○ 防火・準防火地域
すること。
市街地における火災の危険を防除するために都
○ 大阪府住宅バリアフリーリフォーム支援シ
ステム
市計画法で定められた地域。建築基準法では、一
定規模以上の建物は耐火建築物または準耐火建築
バリアフリーリフォームに必要な福祉、医療、
介護の知識を持った建築技術者の養成を目的に研
物にすることや、屋根の構造や延焼の恐れのある
外壁の開口部などに対し、規制が定められている。
修を実施するとともに、研修の修了者で登録資格
*を有する者のうち希望者を名簿およびホームペ
○ 保証人紹介トラブル
ージに登載し、府民からの相談等に一定の範囲、
賃貸住宅の契約時等、保証人が必要となる場面
無料で対応できる仕組み。
で、自分で保証人を見つけられない消費者へ保証
*一級建築士、二級建築士、木造建築士、建築設
人を紹介し、その手数料等を得ることを目的とす
備士、施工実務経験10年以上
る事業者(保証人紹介業者)に関するトラブル。
インターネットを通じて、保証人紹介業者に申
○ ヒートアイランド現象
込みをしたところ、「保証人を紹介されなかった」
都市部ではエネルギーが大量消費されており、
「キャンセルを申し出たら拒否された」といった
また地面の大部分はアスファルト等の乾燥した物
トラブルや、保証人として紹介業者に名義登録を
質で覆われている。このため、日中は水分蒸発に
すれば報酬を得られるということで名義を登録し
よる温度低下がなく、蓄えた熱を夜間に放出する
たところ、多額の債務を負わされてしまったとい
ため、夜間気温が下がらず、都市部では郊外と比
うトラブルがある。
べて気温が高くなり、
「島」の様な等温線を描くこ
とから呼ばれる現象。
-79-
○ まちづくり協議会
○ 見守り拠点施設
住民自らが計画を立案・提案し、また地元と行
和泉市において、高齢者の見守り活動の拠点と
政との橋渡しを行うまちづくり協議組織のこと。
して、市営住宅の空き家を地域の誰でも使用でき
協議会の構成としては、既存の町会・自治会・商
るよう団らん室として開放し、地域コミュニティ
店会の委員のほか、地元企業・公募による個人な
活動の支援を行っている。
どを参加させるものがある。
高齢者の孤独死やひきこもり防止のため、65歳
また、一人暮らしの
以上の市営住宅居住者のうち、見守り支援を希望
○ 街なみ環境整備事業
した者の安否確認や生活相談などを実施している。
生活道路等の地区施設が未整備であったり、住
宅等が良好な美観を有していないなど、住環境の
○ 民活手法
整備改善を必要とする区域において、住宅、地区
PFI に代表される民間資金やノウハウ等の民間
施設等の整備改善を行うことにより、地区住民の
活力を活用し、公共施設等の整備や管理・運営等
発意と創意を尊重したゆとりとうるおいのある住
を行う手法。PFI(Private Finance Initiative)
宅市街地の形成を図る事業。
とは公共施設等の建設、維持管理、運営等を民間
の資金、経営能力及び技術的能力を活用して行う
○ 密集市街地
手法である。
都心部周辺において戦後の人口急増期に形成さ
れた市街地で、倒壊危険性の高い老朽木造住宅が
○ 家賃債務保証制度
狭い敷地に数多く存在し、道路・公園等の整備も
不十分であることから、災害危険性の高い地区。
高齢者世帯、障がい者世帯、子育て世帯、外国
人世帯および解雇等による住居退去者世帯が賃貸
住宅に入居する際の家賃債務等を保証し、賃貸住
○ 大阪府密集市街地整備のあり方検討会
宅への入居を支援する制度。本答申では、財団法
大阪府の密集市街地整備におけるこれまでの取
人高齢者住宅財団による金銭保障を指す。
組み成果と事業の進め方の検証を行い、それらを
踏まえた今後の取組みの方向性を検討するため、
○ ユニバーサルデザイン
平成 22 年7月に設置した学識経験者等で構成する
検討会。
障がい者・高齢者・健常者の区別なしに、すべ
ての人が使いやすいように製品・建物・環境など
をデザインすること。
○ ミニ開発
大都市及びその近郊の市街地でみられる小規模
○ ライフスタイル
な戸建て住宅群の開発。
仕事への取り組み方や住まい方等、所属する集
開発に伴う公共負担を避けるため、開発区域の
規模を都市計画法に基づく開発許可が不要の規模
団の価値観に基づき、主体的に選択される生活の
様式、生き方のこと。
におさえ、さらに個々の住宅規模を小さくして、
低廉な住宅供給を行うもの。
-80-
○ ラウンドテーブル
○ DV被害者
円卓の意。ラウンドテーブルで行う会議は、座
DVとはドメスティック・バイオレンス
り順といった上下関係を無視することができるこ
(domestic violence)の略で、同居関係にある配
とから、さまざまな立場の人が平等に意見を述べ
偶者や内縁関係の間で起こる家庭内暴力のこと。
るということを意味・意図している。
身体的虐待や精神的虐待、経済的暴力などがあ
り、DVから逃れてきた被害者が安心して生活で
○ ラベリング制度
き、自立の準備が可能となるシェルター機能が求
対象物となる製品等が満たす基準について、視
められている。
覚的に分かりやすいラベルを表示する制度で、消
費者が製品等を選択する際の比較検討の材料とし
○ NPO
て利用することを目的としている。
民間非営利組織。営利を目的とせず、社会貢献
活動を行っている民間の事業体。現在、日本では、
○ リノベーション
民間の非営利団体、その中でも特に市民が主体と
リフォームが新築時の目論みに近づく様に復元
する修繕であるのに対し、リノベーションは新築
なって社会貢献活動を行っている団体を指してN
POと呼ぶことが多い。
時の目論見とは違う次元に改修する改修とされて
NPO法に基づく「特定非営利活動法人」を示
いる。一般的には、建物を大幅に改修し、古い建
す場合と、任意団体などを含めた広い意味での民
物を新しい状態に戻すのではなく、大規模な設備
間非営利組織を示す場合がある。
更新や間取り変更などを伴い、建物に新たな付加
価値を与えることを目的としたものをいう。
○ ワークショップ
地域にかかわる諸問題に対応するために、さま
ざまな立場の参加者が、経験交流や魅力的な共同
作業を通じて、地域の課題発見・創造的な解決策
や計画案の考案・それらの評価などを行っていく
活動をいう。
○ CASBEE(キャスビー)
建築物の環境性能で評価し格付けする「建築物
総 合 環 境 性 能 評 価 シ ス テ ム ( Comprehensive
Assessment System for Building Environmental
Efficiency)
」の略語。省エネルギーや省資源・リ
サイクル性能といった環境負荷削減の側面はもと
より、室内の快適性や景観への配慮といった環境
品質・性能の向上といった側面も含めた、建築物
の環境性能を総合的に評価するシステムをいう。
-81-
大阪府住宅まちづくり審議会
審議経過
■ 平成 22 年 3 月 31 日 第26回審議会
・諮問「都市型高齢社会・人口減尐社会での大阪における新たな住宅まちづ
くり政策のあり方について」
■ 平成 22 年 7 月 30 日 第27回審議会
・
「都市型高齢社会・人口減尐社会での大阪における新たな住宅まちづくり政
策のあり方について」
論点「住宅セーフティネットの今後の方向性」中間とりまとめ(案)につ
いて
■ 平成 23 年 1 月 24 日 第28回審議会
・
「都市型高齢社会・人口減尐社会での大阪における新たな住宅まちづくり政
策のあり方について」
論点「民間住宅市場における居住の安心確保と良質なストック形成」中間
とりまとめ(案)について
■ 平成 23 年 3 月 30 日 第29回審議会
・
「都市型高齢社会・人口減尐社会での大阪における新たな住宅まちづくり政
策のあり方について」答申(案)について
-85-
大阪府住宅まちづくり審議会作業部会
審議経過
■ 平成 22 年 4 月 20 日 第 1 回作業部会
・「住宅セーフティネットの今後の方向性」について
・今後の審議の進め方について
■ 平成 22 年 6 月 7 日 第2回作業部会
・「住宅セーフティネットの今後の方向性」について
■ 平成 22 年 6 月 21 日 第3回作業部会
・「住宅セーフティネットの今後の方向性」について
■ 平成 22 年 7 月 13 日 第4回作業部会
・「住宅セーフティネットの今後の方向性」について
■ 平成 22 年 8 月 19 日 第5回作業部会
・「民間住宅市場における居住の安心確保と良質なストック形成」について
■ 平成 22 年 9 月 15 日 第6回作業部会
・「民間住宅市場における居住の安心確保と良質なストック形成」について
■ 平成 22 年 12 月 9 日 第7回作業部会
・「民間住宅市場における居住の安心確保と良質なストック形成」について
■ 平成 22 年 12 月 27 日 第8回作業部会
・「民間住宅市場における居住の安心確保と良質なストック形成」について
・「大阪のまちの再構成」について
■ 平成 23 年 1 月 27 日 第9回作業部会
・「大阪のまちの再構成」について
■ 平成 23 年 2 月 18 日 第10回作業部会
・審議会の今後の進め方について
・「大阪のまちの再構成」について
・「都市型高齢社会・人口減尐社会での大阪における新たな住宅まちづくり政
策のあり方について」答申たたき台について
■ 平成 23 年 3 月 8 日 第11回作業部会
・「都市型高齢社会・人口減尐社会での大阪における新たな住宅まちづくり政
策のあり方について」答申(素案)について
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大阪府附属機関条例
昭和27年12月22日
大阪府条例第3 9 号
(設 置)
第1条 法律若しくはこれに基づく政令又は他の条例に定めのあるものを除くほか、
府が設置する執行機関の附属機関は、次のとおりとする。
1 知事の附属機関(抄)
名 称
大阪府住宅まちづくり審議会
担当する事務
住宅及びまちづくりについての重要事項の調
査審議に関する事務
(委 任)
第2条 法律若しくはこれに基づく政令又は他の条例に定めのあるものを除くほか、
府が設置する執行機関の附属機関の組織、委員その他構成員の報酬及び費用弁償
の額並びにその支給方法その他附属機関に関し必要な事項は、当該執行機関が定
める。
附 則 (抄)
1 この条例は、公布の日から施行する。
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大阪府住宅まちづくり審議会規則
昭 和 48 年 5 月 2 3 日
大阪府規則第66号
(趣旨)
第1条 この規則は、大阪府附属機関条例(昭和27年大阪府条例第39号)第2条の
規定に基づき、大阪府住宅まちづくり審議会(以下「審議会」という。)の組
織及び運営に関する事項を定め、併せて審議会の委員及び幹事(以下「委員等」
という。)の報酬及び費用弁償の額並びにその支給方法その他審議会に関し必
要な事項を定めるものとする。
(職務)
第2条 審議会は、知事の諮問に応じて、住宅及びまちづくりについての重要事
項を調査審議する。
(組織)
第3条 審議会は、委員20人以内で組織する。
2 委員は、学識経験のある者及び関係行政機関の職員のうちから、知事が任命
する。
3 委員の任期は、2年とする。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期
間とする。
(会長)
第4条 審議会に会長を置き、委員の互選によってこれを定める。
2 会長は、会務を総理する。
3 会長に事故があるときは、会長があらかじめ指名する委員がその職務を代理
する。
(会議)
第5条 審議会の会議は、会長が招集し、会長がその議長となる。
2 審議会は、委員の2分の1以上が出席しなければ会議を開くことができない。
3 審議会の議事は、出席委員の過半数で決し、可否同数のときは、議長の決す
るところによる。
(幹事)
第6条 審議会に、幹事を若干人置くことができる。
2 幹事は、府の職員のうちから知事が任命する。
3 幹事は、審議会の所掌事務について、委員を助ける。
(報酬)
第7条 委員の報酬の額は、日額1万7百円とする。
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2 前項の報酬は、出席日数に応じて、その都度支給する。
3 委員のうち府の経済に属する常勤の職員である者に対しては、報酬を支給し
ない。
4 幹事に対しては、報酬を支給しない。
(費用弁償)
第8条 委員等の費用弁償の額は、委員にあっては職員の旅費に関する条例(昭
和40年大阪府条例第37号)による11級の職務にある者のうち部長の職務に準
ずる者以外の者の額相当額とし、幹事にあつては同条例による9級職相当額
とする。ただし、同条例第2条第1項第1号に規定する内国旅行の日当は、
同条例別表第1の定額(指定職等の職務にある者以外の者に係るものに限
る。)により支給する。
2 前項の費用弁償の支給についての路程は、住所地の市町村から起算する。
3 前2項の規定にかかわらず、委員等のうち府の経済に属する常勤の職員であ
る者の費用弁償の額は、その者が当該職員として公務のため旅行した場合に支
給される旅費相当額とする。
(支給方法)
第9条 委員等の報酬及び費用弁償の支給方法に関しこの規則に定めがない事
項については、府吏員の例による。
(庶務)
第10条 審議会の庶務は、建築都市部において行う。
(委任)
第11条 この規則に定めるもののほか、審議会の運営に関し必要な事項は、会長
が定める。
附 則
この規則は、公布の日から施行する。
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諮問趣旨
大阪府では、住宅まちづくり政策を府政の重要課題の一つとして、府営
住宅の供給をはじめ、住宅・建築物の耐震化、密集市街地の再整備、新た
な市街地の整備など、様々な住宅まちづくり施策に取り組み、安全・安心
で居住魅力と活力ある大阪づくりを推進してきました。
しかしながら、今後、団塊の世代が高齢化するとともに、尐子化による
人口減尐が始まるなど、大都市圏特有の問題に直面するとともに、昨今の
厳しい経済状況や、環境問題、まちづくりに対する府民意識の高まり、地
域主権の進展など、社会経済情勢は大きく変化しており、これまでの住宅
まちづくり政策の枠組みについて改めて見直すべき時期に来ています。
とりわけ、公営住宅制度は、広く国民の住宅・住環境の改善に寄与して
きましたが、制度の変遷とともに住宅セーフティネットとしての役割に比
重を移し、現在の枠組みだけでは根本的な解決が図れない課題も発生して
います。公営住宅をはじめ、UR賃貸住宅や公社賃貸住宅等の公的賃貸住
宅のあり方とともに、民間賃貸住宅も含め、住宅セーフティネットをどの
ように構築していくか、検討していくことが必要です。
民間住宅市場においては、高齢期に適した住まいの確保や、良質な住宅
ストックの形成に向けたマンション対策やリフォームの推進、住宅への環
境配慮などが求められている一方で、民間賃貸住宅では、高齢者や障がい
者などへの入居制約が未だ残るなどの課題を抱えており、府民が良質な住
まいを安心して選択できる市場の環境整備が求められています。
さらに、まちづくりにおいては、東单海・单海地震など大規模な自然災
害に対して、未だ残る木造密集市街地の再整備や住宅・建築物の耐震化な
ど、府民の安全・安心の確保が急務となっています。また、人口減尐期に
おいても、まちなかのみどりや良質な景観といった地域資源の活用を進め
るなど、大阪の居住魅力・都市魅力を高めるまちづくりが必要とされてい
ます。
このような状況を踏まえ、将来を見据えた新たな住宅まちづくり政策の
あり方、施策の展開方向など、基本的な事項について、貴審議会の意見を
求めるものです。
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第6・7期
会
長 柏原
会長職務代理 髙田
(作業部会長)
委
員 赤本
荒木
大阪府住宅まちづくり審議会委員名簿
士郎 武庫川女子大学生活環境学部教授
光雄※ 京都大学大学院工学研究科教授
忠司 (社)大阪労働者福祉協議会専務理事
董 (社)大阪府宅地建物取引業協会理事
安齋
俊彦 住宅金融支援機構近畿支店長(平成 22 年 7 月 15 日から)
糟谷
明人 都市再生機構理事・西日本支社長(平成 22 年 7 月 28 日から)
加藤
晃規※ 関西学院大学総合政策学部教授
川勝
将夫 全大阪公営住宅連合会事務局長
阪口
善雄 大阪府市長会副会長(吹田市長)(平成 22 年 4 月 16 日から)
澤田
悦郎 (社)不動産協会関西支部支部長
滋野由紀子※ 大阪市立大学大学院経済学研究科教授
田中
直人※ 摂单大学工学部教授
田中みさ子※ 大阪産業大学人間環境学部准教授
中川
大※ 京都大学大学院工学研究科教授
檜谷美恵子※ 京都府立大学大学院生命環境科学研究科教授
平野クニ子 (社福)箕面市社会福祉協議会会長
弘本由香里※ 大阪ガス(株)エネルギー・文化研究所客員研究員
増田
昇※ 大阪府立大学大学院生命環境科学研究科教授
村井
茂 (財)大阪府人権協会副理事長
要田
洋江※ 大阪市立大学大学院生活科学研究科教授
淺利敬一郎 大阪府市長会副会長(豊中市長)(平成 22 年 4 月 15 日まで)
斉藤
八野
親 都市再生機構理事・西日本支社長(平成 22 年 7 月 27 日まで)
行正 住宅金融支援機構近畿支店長(平成 22 年 7 月 14 日まで)
(※印は作業部会委員)
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