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危機1606-1 内部脅威の定義・属性等について

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危機1606-1 内部脅威の定義・属性等について
危機1606-1
内部脅威の定義・属性等について
平成17年1月28日
原子力防災課
本紙は、科学技術庁(当時)による(財)核物質管理センターへの平成10年度委託
事業「大型再処理施設核物質防護システム確立調査」に係る成果報告書(平成11
年3月付け)を参考にして、内部脅威の定義・属性等について纏めたものである。
1.インサイダー(内部者)の定義
(1)核物質又は安全上の重要設備を有する区域に業務上合法的に立ち入ることの
できる者、即ち、防護区域又は枢要区域に常時立ち入りを認められている者、こ
れには事業者社員のみならず、当該区域にエスコート無しに立ち入りを認めら
れた協力会社の社員(二次以降の請負従業員を含む)が含まれる。
なお、施設の見学者、報道取材者等の一時立ち入り者は、外部者に分類され
る。
(2)核物質防護関連の情報を業務上知り得る者、これには事業者社員のみならず、
警備会社社員、防護設備設置・管理会社社員が含まれる。
2.インサイダーによる脅威の種類
(1)インサイダー自身による攻撃(単独犯行)
(2)外部者の侵入・脱出の援助、外部者による破壊攻撃への参加(共謀)
(3)外部者に対する情報提供(消極的行為)
3.インサイダーの属性
能動型
(1)事業者社員/協力会社社員による確信型インサイダー
(2)組織への報復型インサイダー
(3)自己犯罪を隠蔽するための事件惹起型インサイダー
受動型
(4)金銭誘惑負け型インサイダー
(5)被脅迫型インサイダー
発作型
(6)メンタルヘルス阻害型インサイダー
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危機1606-1
〔別添1〕
インサイダーの属性内容及び不法行為について
(1)事業者社員/協力会社社員による確信型インサイダー
①属性内容
政治的信条及び宗教的背景に基づく不法行為の実行を目的に、善良者を装
って巧みに事業者社員として入社し、その後も引き続き善良者を装って業務
に従事している者であって、不法行為の実行チャンスを虎視眈々と狙っている
者。
②不法行為
行為発覚で解雇になることに躊躇しないで、隠密的に或いは外部者(仲間)
への協力をもとに、核物質の盗取、或いは妨害破壊行為を行う。
③事例
原子力発電所の定期検査時に下請作業員として入域したオウム真理教信者
による文書(配置図等)の持ち出し等 〔1995年9月1日付け週刊朝日の記
事より〕
(2)組織への報復型インサイダー
①属性内容
真面目な社員であった者が人事考課及び社内差別等の契機に組織に対し
て抑制の効かない程の怒り・不満を抱くようになり、感情を内向させつつ、そ
のはけ口を組織に対する報復に向け、その報復実行願望をつのらせている
者。
②不法行為
隠密、公然を問わない妨害破壊行為を行う。核物質の施設内での行方不明
又は外部持ち出し。
③事例
・原子力発電所の定期検査時に、検査用イリジウム線源が盗難。当該線源
で被爆したという恐喝電話。(1974年8月10日発生)
・大阪大学遺伝情報実験施設の研究員による放射性物質の実験室内ばらま
き事件(1997年6月24日発生)
・下請事業者による四国電力の多喜浜変電所への放火事件(2004年5月3
日発生)及び政枝変電所の油漏出事件(同年5月18日発生)
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(3)自己犯罪を隠蔽するための事件惹起型インサイダー
①属性内容
自分で犯してしまった不正行為が職場内で発覚するのを畏れ、その発覚を
逃れようとして或いは遅延させようとして、別件の大騒ぎ事件を起こそうとして
いる者。
②不法行為
行為発覚で解雇になることを畏れながら、隠密的に核物質を盗取する。又は、
隠密的に妨害破壊行為を行う。
(4)金銭誘惑負け型インサイダー
①属性内容
生来の浪費癖及びギャンブル癖が嵩じてサラ金地獄を招来し、或いは、突然
のリストラ等で住宅ローン破綻を来たし、金銭の誘惑に負け、報酬等を条件に
外部者の行為を幇助する者。
②不法行為
社会的混乱惹起の即効性を狙った外部者の要求に基づき、妨害破壊行為
(タンパリング、侵入手引きを含む)を行う。核物質の地下マーケットへの流通
を狙った外部者の要求に基づき、隠密的に核物質の盗取を行う。防護措置に
関する機密情報を提供する。
(5)被脅迫型インサイダー
①属性内容
トラブル及び個人的弱みにつけ込まれ、外部者から脅迫的に不法行為への
幇助を強要されている者。
②不法行為
(同上)
(6)メンタルヘルス阻害型インサイダー
①属性内容
正常であった者が過度の心身ストレス及びアルコール依存症等を契機に精
神的異常を来たし、それが嵩じて心神耗弱者となり、善悪の区別がつかぬま
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ま発作的に問題行為を起こしかねない者。
②不法行為
発作的行動であり、上記全ての行為が考えられる。
③事例
日本たばこ(JT)の総合医薬研究所の研究員(心療内科・精神科に通院)に
よる放射性物質(ヨウ素 125 等の瓶3本)の持ち出し、駅構内でのばらまき事
件(2000年12月20日発生)
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〔別添2〕
インサイダーに係る海外事例
1.米国 〔出典:インターネット Three Mile Island Alert〕
これまで、妨害破壊行為120件以上の事例があるが、その殆どが不満を抱い
た従業員によって引き起こされている。
(1)サリー原子力発電所(ジョージア州)において、新燃料に水酸化ナトリウムを
注入。
(2)セレム原子力発電所(ニュージャージー州)において、蒸気発生装置を故意に
停止。
(3)ビバーバレイ原子力発電所(ペンシルベニア州)において、緊急用冷却装置の
機能に障害を加えた。(1981年発生)
(4)ナインマイルポイント原子力発電所(ニューヨーク州)において、緊急用ディー
ゼル発電機に妨害破壊を行った。(1981年発生)
2.仏国
〔出典:ニュークレオニクス・ウィーク等〕
(1)タービン停止ボタン(タービンの側に設置)が不正に押され、パリュエル原子力
発電所1号機、3号機及び4号機が停止。社員の昇進出来なかった腹いせ。
(1992年10月15日発生)
(2)開閉器が故意に開けられ、制御棒駆動電源系が停止。このため、パリュエル
原子力発電所1号機が停止。(1995年12月5日発生)
(3)圧力検出器のうちの二個の接続が外された。パリュエル原子力発電所4号機
で一次系圧力誤信号により安全注入系が起動。INES レベル1に認定。(199
6年5月17日発生)
(4)運転中のレブレイエ原子力発電所3号機二次系に塩化ナトリウム(推定約50
0㌘)が投入。3号機は停止。INES レベル1に認定。(1995年12月8日発生)
(5)コンデンサーのドレイン弁が開けられ、水位低信号が発出。そのため、SG の
主給水ポンプ等の多数のポンプが停止し、クリュアス原子力発電所3号機が
停止。(1996年12月5日発生)
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〔別添3〕
インサイダーの属性例について
〔サイダー対策の IAEA ガイドライン案より抜粋〕
(A)何処の場所でもアクセスできる事業者社員であって、1回又は幾つかの場所から
それぞれ1回、有意量の核物質を盗取しようとする者。おそれず暴力をふるい、
盗取して逃げることしか考えない。
(B)何処の場所でもアクセスできる事業者社員であって、放射性物質を放出しようと
する者。自分の命を顧みない。
(C)受動的なインサイダーで、外部に情報提供するが(例えば愛する者からの要望に
よる)、自分では妨害破壊行為のような行動を起こさない。対峙すれば、抵抗し
ないで降参する。
(D)能動的なインサイダーで、外部者と協力して破壊行為を行おうとする者。内部か
ら扉を開け侵入を助けたり、検知器を不能にするといった非暴力的行為から、殺
人といった暴力的行為までを含む。
(E)通常従順な従業員であるが、脅迫され仕方なく行おうとする者。
(F)恨みを持っている従業員で、復讐を考えている者(単独犯)。犯行は1回限り(通
常)で、容易に捕捉されない。
(G)アクセスが許可された協力会社社員であって、重要な機器の機能を損なわせる
ようなことをする。
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