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衛星回線用データリンク制御手JI頂(DLSC 手JI頂〉の性能
V o l .3 5 No.176 通信総合研究所季報 September 1 9 8 9 PP.419-430 研 究 衛星回線用データリンク制御手I J 頂 (DLSC手I J 頂〉の性能 加藤宗子*伊藤 昭* (平成元年 2月 2白受理) PERFORMANCEEVALUATIONOFDATALINKCONTROL PROCEDUREFORSATELLITECHANNELS (DLSC) By SyukoKA TOandAkiraITO For computer communications, an e f f i c i e n td a t al i n kc o n t r o l procedure i si n d i s p e n s a b l e . In t h ec a s eo ft e r r e s t r i a ll i n k s ,t h eHDLC(HighL e v e lDataLinkC o n t r o l )p r o c e d u r ehasf r e q u e n t l y been employed. However, HDLC i sn o te f f i c i e n t enough when a p p l i e dt os a t e l l i t ec h a n n e l s , b e c a u s es a t e l l i t ec h a n n e l shaveal o n groundt r i pd e l a y . Hence,anewd a t al i n kc o n t r o lp r o c e dure named DLSC (Data Link c o n t r o lp r o c e d u r ef o rS a t e l l i t e Channels) i sd e v e l o p e d . DLSC s a t i s f i e st h e requirements o fh i g hq u a l i t y and h i g he f f i c i e n c y even under a l o n gp r o p a g a t i o n d e l a y . Moreover, DLSC has a b r o a d c a s tt y p e communications f u n c t i o n , which i s one o ft h e a t t r a c t i v ef e a t u r e so fs a t e l l i t ec h a n n e l s . DLSCperformancei se v a l u a t e du s i n gas a t e l l i t ec h a n n e lo ft h e Japanese communication s a t e ! l i t eC S 2 . Experimentsa r ec o n d u c t e df o rtwot y p e so fcommunicationmode, i .e . , ap o i n tt o p o i n tmodecommunicationandab r o a d c a s tmodecommunication. Ther e l a t i o no fthroughputt o t r a n s m i s s i o nd e l a yi smeasureda tv a r i o u sp a c k e te r r o rr a t e s . Experimentalr e s u l t sa r ecomparぢo f ed w i t hs i m u l a t i o nr e s u l t s . DLSCi sshownt o have good performance;f o r example, 6 09 throughputi sa t t a i n e da tap a c k e te r r o rr a t eo f1 0労 withamoderatep a c k e tt r a n s m i s s i o nd e l a y . 簡易性が衛星通信をより身近なものにしている. 1 . はじめに さて,衛星回線をデータ通信に利用するとき,遥信プ データ通信の分野では,コンピュータ同士をネットワ ロトコルとして地上系で使われていたものをそのままの ークで結合し,相互に資源の共有や情報の交換を行うこ 形で衛星系に用いると,衛星回線特有の伝搬遅延や降雨 とが常識となり,銀行のオンラインシステムや鉄道の座 減衰等による回線品質の劣化に十分に対応できず,その 席予約システム等,大規模なシステムの開発もなされて ととが高能率,高信頼性が要求されるデータ通信への衛 いる.一方,静止衛星を利用する衛星通信には,回線設 星回線利用の障害となっていた.そうした状況から,こ 定の柔軟性や同報也あるいは広域性等,数々の魅力が れまでにさまざまなグループにより,衛星通信の弱点、を あるととが知られており,地上回線のパックアップ回線 補い利点を助長するものとして,衛星通信に適したデー として,また地上回線を含んだトータル通信システムと タリンク制御手順の開発が行われてきた間叶引. して,その利用法が検討されている山.さらに最近で 当所でも,昭和5 3 年に始まる実験用中容量静止通信衛 は,超小形衛星通信地球局(VSAT)121を用いた衛星通 星さくら( CS )の実験開始以来,比較的簡易な小形地球 信システムも登場し,データ通信に利用される等,その 局を用いた衛星利用コンピュータ・ネットワーク実験を 実施し,その中で多様な衛星利用形態のーっとしてコン *総合通信部情報通信研究室 4 1 9 通信総合研究所季報 4 2 0 ピュータ・ネットワークシステムの有用性を確認してき 2 . DLSC手 順 の 概 要 た.また,ネットワークモデルとして集中形,分散形の 両面から検討を行い,多元接続方式を含むネットワーク 2 . 1 DLSC手順の特徴 通信プロトコルの開発,性能評価をするととにより,衛 2 . 1 . 1 開発の背景と目的 星利用技術を確立してきた附叶剖. さらに,衛星回線を DLSC手順開発の背景を,データリンク制御手順にお ける高信頼化,高能率化の実現という観点から述べる. 用いて効率的かつ信頼性の高いデータ通信を実現し,ま データリンク制御手順の機能は,送受信局間で論理的 た衛星回線の特徴を生かした利用形態 I C適合する,衛星 回線用データリンク制御手順一DLSC (Data Link な通信路という概念を導入するととにより,回線上に発 頁ー c o n t r o l procedure f o rS a t e l l i t e Channels)手J I 生するデータの誤りを回復し,利用者には誤りのない通 の開発を行った( 9). 信路を提供する ζ とである.現在,衛星系に適用されて いるデータリンク制御手順としては, 今回はその性能確認を目的として,実際 I C通信衛星を 主として HDLC 用いたシステムで評価実験を行ったので,その結果につ 手順,およびその拡張形が用いられている.信頼性につ いて報告する.実験システムとしては,間報通信機能を いては, HDLC手順が, 備えた完全分散形ネットワークとして当所で開発した多 元接続形衛星パケットネットワーク(MASPnet)<10>111> う ARQ(Automatic Repeat Request)方式聞を採 用しているととから,ほぽ完全な誤りの回復が期待され を用い,そのデータリンク制御手J I 買として DLSC手順 る . フレーム単位の誤り訂正を行 しかしながら,効率については,地上系から衛星系に を実装し,性能を評価した.実験の結果, DLSC手順が 通信衛星を利用したデータ通信を実現するにあたり,信 そのままの形で転用した HDLC手順では,衛星回線の 頼性,効率の面において有効であり,同報通信という新 持つ大きな伝搬遅延 I C 対する対策が不十分である. HD しい利用形態にも柔軟に対処できるというととが得られ LC手順を衛星回線に適用したときの,スループット低 た . 下に至る大まかなメカニズムを第 1図ζ i示す.図中の× 本稿の構成は以下のとおりである.まず, 2 .で は 印はデータフレーム及び応答確認(ACK)フレームが回 DLSC手順の特徴および実装上の特記点について概略を 線品質劣化のために相手局に到達しないととを表してい 述べる. 3 .では今回行った DLSC手順の性能評価実験 る . について,実験システムおよび実験結果を報告する. 4 . HDLC手順では, ACKフレームが 1つの番号を受信 では実験の意義と DLSC手順の適用領域について考察 確認と再送要求の 2つの目的に使用しているため,一往 する. 復遅延時間内に高々 1個の ACKフレームしか送信する 受 信 側 送 信 側 データフレーム タをい −報な LZ 白 −b さ デ情れ ベム得 す一に 送レぐ 再フす . . . . × . I ・ ・・…!?斗勺 ×予| 送信ウインドウ白 使い切り データフレーム 送信停止 第 1図 HDLC手順でのスループット低下メカニズム V o l .3 5N o . 1 7 6S e p t e m b e r1 9 8 9 4 2 1 III·』十·1ぷ~-;~·;·;;~F;-~r -A F G :ガ ドタイム CR ・躍送誼再生 γーケンス BTR ピットタイミング湾生 ν ケンス D UW :データユユータワ ド T C :トレ リングキャリア A A −アドレスフィールド AD 畳信局アドレス AS 送電局アドレス CHN・ チャネルナン,ずー L データ昼 AolAslcHN° .コントロールフィ , . ド 相理レイヤヘヲダ 3 2 1 8 20 肘 一N一E 山 80 1cR I aT RIouwIAoI AsIcHN UE 。 コ ; FT .フレームタイプ P/F,P/Fピヲト NR 2垂直 γ ーケンスナン,_,_ NS :送摺 νーケ yスナンバ− FID :フレーム ID FCS フレームチ品ヲク νーケンス F 分 部 て 毘 た 案 あ 草 部 口冨 iスロタト (c)現寓瞳システムでの D LSCフレームと朝霞レイヤヘ?ダ :フラッグ νーケンス 第 2図 フレーム形式 ( a ) HDLCフレーム ( b ) DLSCフレーム ( c )現実験システムでの DLSCフレームと物理レイヤヘッダ ととができないという制約がある.とうしたととから, り検出による再送要求の送出と,送信側からのイニシア 回線品質の劣化したときには,誤り回復手順が伝搬遅延 チブによる P/Fチェックポインティングによる受信状 の影響をまともに受け,十分な効率を発揮するととがで 態の問い合わせの 2つがある. P/Fチェックポインテ きない.実際にそのような状況では,受信側では受信デ イングの方法としては,送信データフレームに Pビット ータフレームの順序番号に抜けが生じ,処理できないデ l監視フレームを用い をつけるものと,タイムアウト時ζ ータフレームがたまる一方,送信側では送信ウインドウ て問い合わせるものとがある. (送信可能な煩序番号空間)の使い切りにより,スルー プットの低下を引き起乙す. DLSC手I J 頁の誤り回復の基本方針は,受信側ではでき るだけ早くデータフレームの紛失を送信側に通知すると DLSC手順は 2つの目標を念頭に開発された. 1つ と,また送信側ではできるだけ不必要な再送を避ける乙 は,前述したように,衛星回線に適した高信頼,高能率 とである.そのためには,監視フレームにも情報フィー のデータリンク制御手順を開発するととであり,さらに ルドを設けて,必要な情報をいち早く交換しあう乙とが もう 1つは,多元接続回線や同報通信のような,新しい 有効である.具体的に, DLSC手順は以下のような機能 利用形態にも対処可能な柔軟で簡単なプロトコルを開発 を持っている. する乙とであった.以下では,とうした点を中心に DL SC手順の概要を述べる. 2 . 1 .2 信頼性及び効率の改善 DLSC手I J 頁 は , HDLC手順と同じく連続転送形の ( 1)受信側では,連続した n個の紛失データフレーム の再送を一括して要求できる乙と(一括再送要求− REP フレームの導入〕. ( 2)受信側は,送信側からの問い合わせに対して,ウ ARQ 方式を採用する ζ とで,高信頼性を実現してい インドウサイズ内の全データフレームの受信状態の )を 1 6ビッ る.また必要があれば,誤り検出符号(FCS 通知を行うとと( RRフレームへの受信状況フィー トから 3 2ビ・・.:/ トζ i拡張し,誤り検出能力を高める乙とも ルドの付加). ( 3 ) タイムアウト時の問い合わせ/応答には,タイム 可能である. 高能率化 I C関しては, HDLC手順の問題点を考慮し 5 6とし,かつ誤り回復の て,フレーム順序番号空間を 2 ための監視フレーム形式を改良する乙とにより対処して いる. DLSC手順の誤り回復の方法には,受信側における誤 アウト回数を付すことにより,より短い間隔で精度 よく P/Fチェックポインテイングが行えるとと. 2 . 1 . 3 柔軟な利用形態と簡単なプロトコノレの実現 DLSC手I J 買では,利用形態に柔軟性を持たせ,かっ, プロトコノレを簡単化するために, HDLC子順とは異な 4 2 2 るフレーム形式を提案している.利用形態に柔軟性を持 l発信,着信アドレス たせる点から見ると,アドレス部ζ を付けたとと,またチャネルナンバ一部を設けたとと等 がその特徴として挙げられる.とれにより,任意局聞の 通信路を直接ζ i設定したり,同一の送受信局聞に複数の cs-2 通信総合研究所季報 口 / \ : : :パケヴ卜伝送制御装前 2ネ ヴ ト ワ ー ク 制 御 プ ロ セ ツ サ 論理的なコネクジョンを張るととが可能になるととも 1 3阻φ に,間報通信に対しでも,ポイントートゥーポイント通 信時と同ーのフレーム形式とほぼ同様の誤り回復手r J 頁で 対処できるようになった.さらに,コネクション設定時 に各局が持ち得るバッファ容量に応じてウインドウサイ ズの交渉を行う機能,間報通信時に必須である重複フレ ーム(複数回受信した同一順序番号のフレーム)の検出 小金 雌品同 機能も備えている.一方,簡単化の点から見ると,チェ 々にして,双方向のデータの転送,制御の流れを独立と 2 . 2 DLSC手I J 頂の実装 実験システムでは,フレームの誤り検出のための FCS チェックをハードウェアで行っているため,今回の実験 では, DLSC手順で提案したフレーム形式の一部を採用 第 1表実験システムの主要諸元 項 目 内 衛星回線 変復調系 容 上り: 30GHz帯 下り: 20GHz帯 SCPC方式 動作モード:パースト・モード 変復調方式: 4相絶対 PSK Ka パンド 同期検波 伝送速度: 6 4Kbps ,および現実験 できなかった.第 2図に HDLC,DLSC システムで使用したフレーム形式を示す.なお,実験シ 小金) f l ! / , ; ) 第 3図実験全体システム ックポインティングのための P/Fピットをそれぞれ別 し,プロトコルの簡単化を図っている. J t -r1 . ; 符号・復号系 ステムではパケットを 1単位として情報の転送を行って いるため,以下ではフレームをパケットと呼ぶ ζ とにす 同期制御 る . アクセス方式 スロット長: 3 4 .5msec レート 3 / 4 たたみ込み符号による誤り訂 正 予測同期方式 パースト間保護時間 2.5msec スロット予約方式 実験システムにおいて, DLSC手順の大部分は C言語 で記述されている . c言語は, UNIXというオペレーテ バケヲト化, ィングシステム( 0S)を作り上げるときに開発された トランスペアレントな トランスポートレイヤ 辺f i l l 慣を鎚供 言語であるために,システム記述用言語として簡潔でプ 白グラムの保守性に優れており,小形で効率の良い処理 xcl ’ データリンクレイヤ コードを出力する.また C言語のプログラム構造が関数 を基本としているととで, OSやハードウェアに直接関 i異なるハード フトウェアとしては移植性が良く,実際ζ ウェア上への移植も行われている (13). (I> I S Z 手刷} アクセス方式を脱出 {スロヲ l予約 1 '式} 名 F巳路総サプレイヤ 係する部分を別のモジュールとして他の部分から分離さ せるととが容易となる.とのため, DLSC手順は通信ソ xcI ' I 漬坦リ J ク鮒仰を脱出 1 1 1 1 ' 1 'リンクサプレイヤ I ’I【 物"レイヤ 倫 ' " ' " ' 綿 . 伝 道 退 陣 . I 'cE 胞球 M "備との 1' イシタアエースを j 見i i ! ・ ロ c :s-2 3 . DLSC手 順 の 性 能 評 価 3 .1 実験システム 第 4図実験システムのプロトコルの層構成 DLSC手順の性能評価を行うために, DLSC手順を MASPnetに組み込んで実験を行った. MASPnet実験 装置(PTC), 及びデータの通信処理を行うネットワー システムの全体を第 3図に示す.実験参加局は,鹿島局 には通信衛星 CS-2を SCPC方式で利用している.実 (茨城県鹿島町に設置〉,小金井 I局,小金井 E局 保 京都小金井市に設置)の 3局である.各局はアンテナ, )とから構成される.衛星回線 ク制御プロセッサ(NCP 験システムの主要諸元を第 1表に示す. MASPnetでは第 4図に示すように,通信プロトコル 大電力増幅器,低雑音増幅器からなる SCPC用地球局, は物理レイヤ,データリンクレイヤ, トランスポートレ 信号の送受信を行う変復調装置であるパケット伝送制御 イヤの 3階層から構成される.物理レイヤは PTCが担 V o l .3 5N o . 1 7 6 September 1 9 8 9 4 2 3 * トランス ポートタスク PTC ルーチン 送受信処理 ユーザ端末 RXLLQ IRXPKTQ 多元従H tタスク 論理リンクタスク *;た:fi~ にはキェーとして インプリメン卜されていない TXLLQ :送信リンクキュー RXTSQ :受信トランスポートキュー RXLLQ :受{言リンクキュー TXPKTQ:送信パケットキュー RXPKTQ:受信パケットキュー NPQ :新データパケット牛ュー SPQ :監視パケットキュー RTQ ::再送パケ y トキュー ACQ :確認まちキュー WSQ:i 伝送まちキュー 第 5図パケット・キューの構成とパケットの流れ 当し,パケットの変復調及び地球局聞の周期等を行う. キューを通過する時間の記録(タイムスタンプ)を行 データリンクレイヤとトランスポートレイヤは NCPが い,収集することにより,各種測定量を得ている.第 5 担当する.トランスポートレイヤは,連続データのパケ 図I CNCP内でのパケット・キューの構成とパケットの ット化及び再組立,通信路の設定等の処理を行い,利用 流れを示す. 者間のトランスペアレントな通信路を確保する. データリンクレイヤは衛星回線のアクセス方式(タイ 実験では,主としてスループットとパケット伝送遅延 の測定を行った.ととで,スループットとはトランスポ ムスロット割当方式)を規定する多元接続サプレイヤ ートレイヤにおける単位スロット当りのパケット受信数 ι 地球局聞の論理リンクを制御する論理リンクサプレ であり,最大スループットとは,様々な負荷のもとで得 イヤとの 2つの階層から成っている.多元接続サプレイ られたスループットの最大値である.一方,パケット伝 ヤプロトコルとしては,回線制御局を必要としない分散 送遅延とは,与えられた負荷のもとでパケットがトラン 制御形のスロット予約方式を採用している.乙れは,予 スポートレイヤで発生してから,受信局のトランスポー め送信したいパケット数の予約を行い,割当てに応じて トレイヤに正しく渡されるまでの時間である.なお,各 送信するという方式であり,回線 I C予約領域を必要とす 実験でのパケット誤り率の設定値は,データ送信局の送 るが,多数の地球局がチャネルを共同利用する方式とし 信電力を調節して,受信局側での信号対雑音比( C/N) て効率の良いものである間. が適当な値になるようにした. 論理リンクサプレイヤプロトコルとしては,前述の また,衛星実験で得られた結果を確認するためと,通 DLSC手順を採用した.そして MASPnet トランスポ 信衛星を用いた実験ではできなかった広い範囲のパラメ ートレイヤにパケット発生と受信終了のシミュレーショ ータでのデータを取得するために,シミュレーション実 ン機能を付加し,データパケットを利用者間で送受する 験を行った.シミュレータは,衛星回線の遅延及び回線 乙とにより, DLSC手I J 頂の性能の評価を行った. 誤りをシミュレートした上に MASPnet ソフトウェア iデータを送信す 実験は,小金井 I局から小金井 E局ζ るポイントートゥ一ポイント通信と,小金井 I局が同報 送信局となり,小金井 E局と鹿島局とで受信を行う同報 通信とについて行った. とζ ろで,当システムの NCP を実装したもので, DLSC手順自体はリア Jレタイム性を 除くと全く同じソフトウェアとなっている. 衛星実験及びシミュレーション実験での主要設定パラ メータを第 2表に示す.ウインドウサイズ,パケット誤 は,パケットを待ち行列化(パケット・キュー)して)I 頁 り率,同報受信局数は,各衛星実験,シミュレーション 番に処理を行っている.従って,パケットがそれぞれの 実験ごとに設定を行った.シミュレーションでのパケッ 通信総合研究所季報 4 2 4 第 2表衛星実験およびシミュレーション実験での 主要設定パラメータ 項目| ウ+~;ウ 設 定 値 | 術展実験 |シミュレーション実験 I ~~~ ~t I~~~ ~~· 1 2 8 6 4 ,1 2 8 f 常 勤 手 ケ I a~ gこ認~~~ I~即刻銘 同報受信局数 I (B〕1 , 2( 局 ) I ( B) 1 ,2 ,4 , 6( 局 〉 REP I(P)使用 I(B)使用 パケット | I(P)使用 ICB)使用, 不使用 0再1 6図のみ) | I C (P~ 1 側 (b i B 同上 データ長 タイムアウト I タ イ 7 一位 I (P)50(スロット) ( 約1 .7 秒 ) CB)同上 Throughput ( 主 ) 第 7図 スループット対チャネノレトラヒック (P)ポイントートゥ一ポイント通信実験 (B)同報通信実験 :r=l:1 :1 / 4の りも長くなることから考えて, d:s 値を採用することとした. I00 3 . 2 ポイントー卜ゥ一ポイン卜通信 l R 3 . 2 . 1 オーバーヘッド特性 80 制 gaz 同 3 実際 I C伝送したいデータパケット以外のパケットの送 信は,回線を有効に使用することを妨げるオーバーヘッ 60 。 ドとなる.当然 ζ のオーバーヘッドの小さいととがデー iHG’ F タリンク制御手順として望ましい. DLSC手順では片方 ~ 向のポイントートゥーポイント通信を行う場合,回線ζ l 0 送信されるデータリンクレイヤのパケットは,データパ ︾内何回h ケット送信局( DT局)から送信されるデータパケッ 20 ト,監視パケット,及びデータパケット受信局( D R 局)から送信される監視パケットの 3種類である.スル 0 o 10 20 ao ~o so so ープット I C対するオーパーヘッド特性を調べるため,乙 れら 3種類のパケットが回線を占有する割合の合計をチ Packct Error Ra te (%) 第 6図ノマケット誤り率対最大スループット (シミュレーション/パケット誤りの比率) ャネルトラヒックと定義して,その値を測定した.第 7 図 K,パケット誤り率(PER )をノ fラメータとしたスル ープット対チャネルトラヒックの関係を示す.破線より 上ζ i出ている分が回線を占有する監視ノ fケットと再送パ ト誤り率の設定は,シミュレータ内にて乱数を発生さ ケットのスループット I C対する割合であり,とれが必要 せ,設定値に対応した確率分布でパケットを紛失させる なデータパケットを伝送するに際してのオーバーヘッド となる. ことにより行った.なおシミュレーションでは,データ パケット( d),監視パケット( s),予約パケット( r) C受信 さらに,監視パケットの内訳を見ると, DR局 I の各誤り率を独立に設定する ζ とが可能である.第 6図 状態を問い合わせるために DT局から送信される RQS i と,それらの誤り率の比を,各パケットの大まかなパケ パケット, それに応えるために DR 局から送信される ット長を目安にしていろいろと変えたパケット誤り率対 最大スループットが示されている.どのような比を選択 RRパケットと,パケットの紛失を検出した時にそれを DT局ζ l通知する REPパケットとがある.第 8図は, すればよいかは,実験時の条件に依存するととである D T局と DR局から送信される監視パケットのスルーフ。 が,今回のシミュレーションでは, DLSC手順での監視 ット ζ i対する比率をパケット誤り率(PER)をパラメー パケット長が一定ではなく,平均して予約パケット長よ タとして示したものである. September 425 ﹀ I00 − u • 0 G0 第 8図 I00 60 40 20 ﹄ l'hroughput 80 − − ・ 32 − ー ー ・ 6 4 ・ ・ ・ ー I28 \ 20 xcz 。 、 vs E ま M H﹄﹄・ ( W S64) w s・ W i n d o wS i z e 。 − リ saaMコ。卜 nn oo it tt aa ss tt rDZu g mn 。 Rol , . 。 , τ 悶ushu O. I ︵ A LF 0 2 0260 ・ ・ 圃 0 3 6 9 R0260 12 d =azuz。 ! 一 二 OA ロ0 0 ' 1 9 8 9 li V o l .3 5N o . 1 7 6 。 { % ) 。 スループット対オーバーヘッドの関係 10 100 I ' 0 cI <c l 2 史 30 40 50 Error Ra tc 60 ( % ) 第1 0図パケット誤り率対最大スノレープット : 。 80 20 (シミュレーション/ウインドウサイズの効果) 4 experiment コ白 Z 出コ C DLSC手順の効率を最大スループットを指標として測 60 ﹄ (WS 64) 定した.第 9図は実験によって得たパケット誤り率に対 WS :Window Size する最大スループットの関係を示したものである.当シ Z’ H 40 ステムでは多元接続の方式にスロット予約方式を採用し ており,予約領域 2スロット,データ領域IOスロットの 1 2スロットで 1サイクルと設定しているため,スループ ットの上限は(10/12より)約 83%となる.なお, 1 スロットは 34.SmS巴C である. V 偲 ︽ 20 Z M 。 。 10 20 30 40 50 Packet Er ror Ra te 60 (%) 第 9図 パケット誤り率対最大スループット PERが Oの時は, D T局から送信される監視パケッ 実験ではウインドウサイズ( W S)が 6 4のもののみを 行ったが, シミュレーションでは, W s =3 2 ,6 4 ,1 2 8 と変化させてパケット誤り率対最大スループットの関係 を測定した.その結果を第IO図に示す. wsを大きくす るにしたがって最大スループットが大きくなるとと,逆 トは 0である.とれは, DR局の状態を知るためにわざ I C , W Sを小さくすると, PERが Oの時でも最大スル わざ監視パケットを DT局が送信しなくとも,直接デー 0ちと下落する ζ とから, 送信ウインド ープットが約 5 タパケット内に Pビットをつけて送信するととにより, ウの使い切りによるデータパケットの送信停止状態が起 DR局 I C応答を促せるためである. しかし, PERが大 きくなると, DT局ではタイムアウトが発生するため監 視パケットの送信数が増える.また, DR局でもパケッ トの紛失が生じるため,それを通知する監視パケットの ζ っている乙とがわかる. s (付録参照) 3 . 2 . 3 パケット伝送遅延特性 当システム上でのパケット伝送遅延は衛星回線による 伝搬遅延と,第 5図ζ i示したパケット・キュー内での待 送信数が増える.しかしながら,ウインドウサイズ内の ち時間の総和として表せる.乙のととから,各キューで 全データパケットの受信状態を一括してDT局に通知す の処理待ち時間の状況を調べるために,データリンクレ イヤの上位層であるトランスポートレイヤでトラヒック る乙とができるため, DT局は誤りパケットのみを再送 すれば十分であり,不必要なデータパケットの再送が抑 を発生させ,各 PERのもとでのパケット伝送遅延を測 えられる. 定した. 乙れらのととから, DLSC手順は極めて少ないオーバ ーヘッドを実現し,特ζ l高いスループットにおけるオー バーヘッドの増加率が小さくなる乙とが特徴である. 3 . 2 . 2 最大スループット特性 比較的小さい負荷(10%)の時と,大きい負荷(6 0 %)の時について,パケットがI J 民にたどるパケット・キ ューごとにパケットが発生した時刻からの経過時聞を第 1 1図に示した.それぞれのキュー名の後の(en)はエン 通信総合研究所季報 4 2 6 (sl0 くなることがわかる.また,システムの伝送遅延の許容 t) (scc) (WS 64) S ~I 0 (%) I ’ ER (%) I2O -0- 0 吋 2 e ・ I0 0 4ト 6 『 & ー 20 s ンスポートレイヤでの負荷の設定値を図から決定でき る . 3 . 3 同報通信 3. 0 6 0 (%) ha ’ 80 目。︽− 3 . 3 . 1 総合パケット誤り率 i衛星回線を用いて同 同報受信局を 2局として,実際ζ I ER (%) ・ 〈 〉 ・ 60 4. 0 値が与えられたとき,その許容値を満足するためのトラ ・ , 0 2 " I 2. 0 :T h r o u g h p u t 報通信実験を行った.さて,性能を評価するとき問題に なるのは同報通信の場合,各受信局によって回線品質が .0 I . 0 20 まちまちであるということである.そ乙で,どのように システム全体のパケット誤り率を表現したらよいかを考 える. DLSC手!|買では同報通信時にも必ずパケットの受 0 TXLLQ NPQ T X l ' K T Q RXLLQ WSQ RXTSQ RXTSQ ( e " ) ( e n ) ( e n ) ( e n )( e n ) ( d e ) 信確認を行う.したがって,高々ウインドウサイズ分の SCRAP 一DT局 常 術 J,\ → ← Dl仙 一 帯 制 → ド DT/,,ja . 日i 線 .I 司 変動量を除けばスループットはどの受信局でも等しく, また,一局でも受信に失敗したことが判明したデータパ IC U C i ’ack e l Q L ケットは会受信局にむけて同報通信により再送され,回 復が図られる. 第1 1図 パケット伝送遅延とパケット・キュー キュ一時,(d e)はデキュ一時を示している.また, SCR APはパケットパッファ判の解放時を示している. RX TSQ ( d e)での伝送遅延が利用者から見たパケット伝 送遅延であり, SCRAPでの伝送遅延は DT局が DR局 からの受信確認を受け取って送信バッファを解放するま プットは, ζ れらの乙とから,同報通信時のスルー 「少なくとも一局でパケット誤りをおこす確 率」にほとんど依存するものと思われる.とのような予 想のもとに,同報受信局数を N,各同報受信局でのパケ ット誤り率を戸として,少なくとも一局でパケット誤 りをお乙す確率として計算される. N 1図から, PER及びスループット での時間である 第 1 TPER=l-/l (1-f>t) の変動が NPQと WSQの2箇所のパケット・キュー を総合パケット誤り率( TPER )と定義し,以下乙の値 内での待ち時間に大きく影響することがわかる. また,スループットに対するパケット伝送遅延の関係 を同報通信時における最大スループットの指標とする. 3 . 3 . 2 最大スループット特性 を第 1 2図に示す. PERを大きくすると伝送遅延が大き 山間報受信局数に対する特性 ' データパケット送信局は,データパケットを送信した後 * でも,それの受信確認を受け取るまで,そのデータパケッ l保持している. トをパケットバッファ ζ 実験で得られた総合パケット誤り率対最大スループッ トの関係を第 1 3 図に示す.同報受信局数が 1局と 2局の (s Io l) (scc) i I000 企 30 念 P E R (%) 20 、円周回 0 8 I0 ω匂 . 6 . 4 1 . 2o I I - I l lA ω υ 同L 剖 100 0 l 2 I I :experiment • 6 I 0 l ︾﹃ ・- 2 I:simulat1on -・- 6 I ・ − − − 0 I0 0 20 , j0 60 l'hroughput 80 5 20 (WS I00 { % ) 第1 2図 スループット対パケット伝送遅延 ’ 64〕 V o l .3 5 No.176 1 9 8 9 September 4 2 7 l0 0 。 。 60 10 第1 3図 総合パケット誤り率対最大スループット 20 30 40 50 60 Total Packet Error Rate ( 主 ) 第1 5図 総合パケット誤り率対最大スループット I00 ・ number 0 A 100 コ︽︼戸﹃国コ 企 4 with REPpacket 6 4) 。 −'A 20 ∼ −a 、-~ . . . . . . I0 20 40 日 @ 、 、 。。 30 40 without REPpacket (IVS .xc .XO戸口 白耳目ヨ OLHZLF MHJ v \晶 − BO ︵刊︶叶 − ’ olH4 、 、 (WS (ウインドウサイズの効果) stations 0 f 1246 80 40 + ﹂ 20 Total PacketErrorRate ( 主 ) = 豆 n e m r 50 40 e − 、 目 n r x 30 40 市戸恒例 20 I0 60 X κdE . 20 − − EEJ •l 0 e (WS G4) BO . ︼コユ戸由民コ。﹂国戸− F .simulation 。 0 experiment W6U I I 2 stations I U30M﹄ LF ︷ 岬 ︸ # ロ 白 ﹄h • , l ・ 、4 8 S Q i sta l ion 次 } [ . 100 50 20 60 Total Packet ErrorRate ( 老 ) 第1 4図 総合パケット誤り率対最大スループット 、 : 、 64) \ 。 。 10 20 30 40 50 60 Total Packet Error Rate { 主 ) (シミュレーション/局数) 第1 6図 総合パケット誤り率対最大スループット ときに,総合パケット誤り率対最大スループットの関係 がほぼ同様であることがわかる.さらに,間報受信局数 (シミュレーション/REPノマケットの効果) の差異を除くと,総合パケット誤り率を用いる乙とによ を大きくした時の総合パケット誤り率対最大スループッ り,受信局数にほぼ一定の曲線で最大スループットが表 トの傾向をみるためにシミュレーション実験を行った. せるととがわかる.乙の乙とにより,例えば,同報受信 4 図に示す.パケット誤りのないと ζ ろで その結果を第 1 局数が1 0 局として, みると,局数の増加による,最大スループットの若干の で,他局が誤りのない回線状態の時と, 1 0 局の各々が約 1 局だけが 20~ぢのパケット誤り率 減少が認められる.しかしながらとの差異は, P/Fチ 2%のパケット誤り率の回線状態の時とでは,最大スル ェックポインティングによる同報受信局からの監視パケ ープットはほぼ等しいというととが言える. ットの往来量の増加であり,パケット誤りのないと乙ろ ( 2 ) ウインドウサイズの効果 では, P/Fチェックポインティングを行う必要のない 第1 5 図に,間報受信局が 2局の時,ウインドウサイズ 乙とを考えると,無視する乙とができる.したがってと を変えて測定した総合パケット誤り率に対する最大スル 通信総合研究所季報 4 2 8 (slot) (sec) 1aaa 30 20 TPER ( 苦1 0 ・ 0 10 1 企 I4 』 、円伺﹃ I0 - − 明︾ − 向 。 円 民 江van ω O " ¥ 10 』 :s1mulation I4 (WS 』 64) − υmm 4 Uぷ 1aa ・ ・ ー − − ・ ・ ~: experiment 0 5 1 a a 2a 4a 6a Tt1roughput sa 1aa 〈 % ) 第1 7図 スループット対平均パケット伝送遅延 ープットの関係を示す やはりポイントートゥ一ポイン ト通信時と同様に,ウインドウサイズを大きくするとス ループットが改善されるととがわかる. ( 3 ) REPパケット使用の効果 DLSC手順では,連続した n個の紛失パケットの再送 を一括要求できる REPパケットが許されている.ただ し,との REPパケットの使用はオプションである.と 3 . 4 まとめ DLSC手!|買の性能を評価するために,実際ζ i衛星回線 を用いてポイントートゥーポイント通信実験,同報通信 実験を行い,それらのシミュレーション実験を合わせて 行った. DLSC手I J 買による新しい柔軟なデータ通信の利用形態 の一例として間報通信を示した. れまで述べてきた実験及びシミュレーションでは,すべ また, DLSC手順の高能率性は最大スループットを指 て REPパケットを使用していたが, REPパケットを 標として評価した.評価は,回線品質の劣化した時,つ 使用しないものについてもシミュレーションを行い,そ まりパケット誤りが生じた時に,どの程度の最大スルー の差異を調べてみた.結果を第1 6 図に示す.実線は,第 プットが得られるかによって行った.特ζ i,衛星回線の 1 4 図ζ i示した局数ζ i依存しない場合を示している.乙れ ような伝搬遅延の大きな回線においては,パケットの誤 は REPパケットを使用したものである.破線は REP りを可能な限り早く検知する能力と,ウインドウサイズ パケットを使用しなかったものであり,受信局数の増加 を大きくするととがスループットを高める鍵となる.ま に依存してスループットの低下が見られる. とれは, た,送るべきデータパケット以外に,回線を占有するオ REPパケットを使用しない場合のデータパケットの誤 ーパーヘッドを少なくする ζ とも,スループットを高め り回復が P/Fチェックポインティングによってのみ行 る要因となる. われるためであり, REPパケットによるスループット DLSC手順では乙れらの ζ とが考慮されており,実 の改善効果が著しいととがわかる. 際,オーバーヘッドとなる監視パケットの往来量が少な 3 . 3 . 3 パケット伝送遅延特性 7図は,同報受信局数 2局の時のスループット対平 第1 均パケット伝送遅延を,いろいろなパケット誤り率のも た.間報通信では,パケットの紛失をいち早く送信側に 知らせる REPパケットの有効なことが得られた.ま とで測定した結果を示している.パケット誤り率は各受 た,ウインドウサイズを大きくする乙とによって,最大 信局で異なっているが,図中の TPER はそれらを総合 スループットが高まるという乙とも,ポイントートゥ一 パケット誤り率として計算したものである.得られた結 ポイント通信および間報通信において示した.さらに, 果はシミュレーションとよく一致している.ポイントー 間報通信時においては,局数ζ l依存しない最大スループ いととを,ポイントートゥ一ポイント通信によって示し トゥ一ポイント通信時と同様に,図は,システムの伝送 ットの指標を示す,総合パケット誤り率が評価基準とし 遅延の許容値によって負荷を決定するときのめやすとな る . て有効であるととを示した. 伝送遅延は,スループットに対するパケット伝送遅延 V o l . 3 5 No.176 September 1 9 8 9 を測定する ζ とにより求めた.乙れは,現在受信してい るパケットがどのくらい前に送信されたパケットである 4 2 9 なお,本実験は衛星利用パイロット計画の一環として 行ったものである. かの時間的めやすとなる.また,乙の実験値とシミュレ 謝 辞 ーション値との一致をみる乙とにより,シミュレーショ ンモデルの妥当性を確認し,衛星実験のデータを補っ f こ . 実験 I C際して,通信衛星実験実施本部,鹿島支所第二 となりました. 宇宙通信研究室の皆様には,大変お世話i DLSC手I J 頁の性能についての結果を HDLC手順及び また横山総合通信部長をはじめ情報通信研究室の皆様に その拡張形と厳密に比較するととは,残念ながらできな は,惜しみない実験援助,助言等を頂き本当にありがと かった.その理由の 1つは, DLSC手順の性能評価実験 うございました 乙乙で感謝致します. を3 . 1で述べた MASPnet上で行ったため, 多元接続 付 の方式あるいは伝送速度,パケット長等の各種システム パラメータが異なる他のシステムと直接比較するととが 録 データ転送シーケンスとウインドウの関係 )におけるシス 困難なためである.しかしながら,文献( 5 データパケット送信局( DT局)でまだ受信確認のと テムパラメータが当所でのシステムパラメータと比較的 れていない最小のパケット順序番号である,下限送信j 頃 類似しているととから検討すると, HDLC手順で最も 序番号( 1n s)と, DT局で次に送信すべきパケット!|民 能率が良くなる SREJ方式(誤ったフレームのみを再送 序番号である,上限送信順序番号( uns )で管理された する方式)を誤り回復に用いたときでも,パケット誤り ウインドウを,送受信局聞の P/Fチェックポインティ 0 0 0ビットで B i tE r r o rR a t e 率が 10% (データ長 1 ングで更新することによって,データ転送シーケンスは 1 0→)の時には最大スループットが 20%にまで低下し 進む. てしまう聞が, DLSC手順では同じ誤り率の時でも多元 乙のとき,ウインドウを越えて新しいデータパケット 接続方式のためのオーバーヘッドを除くと,約 60%以 を送信することができないため,ウインドウサイズの設 上の最大スループットを確保している.乙れは, HDLC 定によって,データパケットの送信停止状態が発生する 手順を改良したものとして文献( 5 )で提案されている M N ととがある. -SREJ方式とほぼ同様の性能であり, DLSC手j 闘が 回線誤りがない状態( PER=0%)で,データパケッ MN-SREJ方式と同様に高能率である ζ とを示してい トを最大の負荷で, DT局から DR局l 乙送信する時のデ る . ータ転送シーケンスとウインドウの関係を A ・ 1図I C示 4 . 考 察 衛星回線用データリンク制御手順(DLSC手I J 頂)の性 0ス す. 1サイクルは予約領域 2スロット,データ領域1 ロットの 1 2スロットで設定され,ウインドウサイズ(W S)は3 2とした. 能として,ポイントートゥーポイント通信及び同報通信 時刻Tlで送信された Pビット付のデータパケット の両面から,衛星実験,シミュレーション実験の結果に は , 9スロット後( T2)に DR局で受信される. DR ついてあわせて報告した. 局は次の予約タイミング( T3)で予約パケットを送信 「衛星回線i ζ適した」を大前提に,高信頼,高能率, し,その次のサイクルの割り当てスロット位置で監視パ かつ衛星回線の特質を生かした柔軟な通信プロトコルの ケット(R R i ;)を送信( T6)する.乙の監視パケット 開発は,品質はもとより,効率においても HDLC手順 は,時刻Tlから T4までに DT局から送信されたデー でのスループットを改良するという乙とで,また間報通 タパケットに対する応答確認パケットであり,乙れが D 信や任意局聞の通信路の設定等,衛星通信の回線設定の T局で受信された時刻( T8)で P/Fチェックポイン ティングは成立する.図では,時刻T7から T Bまでの 間,データパケットの送信停止状態が発生している. なお図中で,各局のサイク Jレの同期をとるための基準 パースト, DT局から各サイクノレ毎 I C送信する予約ノ fケ 柔軟性を直接反映させるプロトコルとして,一応満足で きる結果を得た.加えて,衛星回線のみならず今後予想 される,より高速なデータ通信に対しでも, DLSC手順 がその性能を発揮できるものと期待できる. きて,ネットワークシステムが,どのような形の網を 狙い,どういう性能を欲しているかにより,通信プロト コル自体もいろいろな顔をみせてくれる.今回報告した 性能も, DLSC手!|買の衛星回線データ通信の顔の一つで あると考えて頂ければ幸いである. ットは省略されている. 参考文献 ( 1)衛星利用パイロット計画に関する調査研究会,“衛 星利用パイロット計画に関する調査研究最終報告書” 通信総合研究所季報 4 3 0 デーヲパケット送信停止区間 |骨ー ,〆 W B分 の デ ー ヲ パ ケ ッ ト 送 信 一 一 一 司 回目 一− 「一一− P / Fチェッヲ + . ’ p ポインティングの成立 p { ウ イ ン ド ウ の l n s を変更} 回目 DR局 や T5 予約領域デ− $ 1領 減 1サ イ ク ル T1: デ ー タ パ ケ ッ ト 送 信 ( pピ ッ ト 送 信 ) T5 : T2 : デ ー ヲ パ ケ ッ ト 受 信 ( pピ ッ ト 受 信 } T6 T3: 予約パケット送信 T7 : 3 2番 目 の デ ー ヲ パ ケ ッ ト 送 信 T4 : 2 3番 目 の デ ー ヲ パ ケ ッ ト 送 信 T8 : 監 視 パ ケ ッ ト 受 信 ( Fピット受信) 予約パケット受信 ・監 視 パ ケ ッ ト 送 信 ( F ピ ッ ト 送 信 ) A• 1図 データ転送シーケンスとウインドウの関係 評価 ”,電波研季報, 3 0 ,1 5 4 ,p p .9 5 1 0 5 ,1 9 8 4 . 昭和6 3 年 3月 . ( 2 ) 中国靖,“本番迎える衛星通信,二種各社「サービ ス・設備」全比較ぺ p . 日経コミュニケーション, p 4 6 5 1 ,Mar.1 9 8 9 . た HDLC誤り制御プロトコルペ信学技報, CS81- 8 ,pp.4 3 4 8 ,1 9 8 1 . s応用実験報告一”電波研季報, トコルについてーc 3 2 ,1 6 5 ,P P .2 0 72 1 4 ,1 9 8 6 . ( 9)伊藤昭,加藤宗子,“衛星回線用データリンク制御 ( 4 )井上正義,川野繁一,加藤修三,“衛星回線を用い 1 4 , たデータ同報通信のー検討ヘ信学技報, EC8 p p .3 1 4 0 ,1 9 8 1 . 2 ,1 6 3 ,p p .1 5 3 1 6 3 ,1 9 8 6 . 手順ぺ電波研季報, 3 醐伊藤昭,加藤宗子,“多元接続形衛星パケットネッ トワーク− LAN形広域ネットワークのー借成法ーヘ ( 5)松尾一紀,飯作俊一,滝塚孝志,小野欽司,“衛星 用高能率誤り制御プロトコ Jレ ( MN-SREJ)の提案”, 7 B ,8 ,pp. 8 6 1 8 6 8 ,1 9 8 4 . 信学論(臥 J6 内田国昭,松本和良,高橋寛 子,“c s利用コンピュータ・ネ・y トワーク実験結果一 通信プロトコルの性能評価ぺ電波研季報, 3 0 , 1 5 4 , pp. 8 3 9 3 ,1 9 8 4 . ( 7)松本和良, 良,加藤久雄,西山巌, 西牟田一三, 根元義章,“衛 星利用分散制御形コンピュータ・ネットワークのプロ ( 3 )高橋俊雄,安永正幸,“衛星回線への適用を考慮し ( 6)伊藤昭,柿沼淑彦, ( 8)加藤宗子,柿沼淑彦,伊藤昭,高橋寛子,松本和 内田国昭, 柿沼淑彦,坂上宗子,伊藤 信学論, J6 9 B ,1 1 ,pp. 1 3 7 8 1 3 8 4 ,1 9 8 6 . a l l 伊藤昭,加藤宗子, “MASPnet用ネットワーク制 御プロセッサの開発”,電波研季報, 3 3 ,1 6 8 ,p p .1 4 7 1 5 5 ,1 9 8 6 . U 2 ) F r a n k l i nF .Kuo編,“ P r o t o c o l s& Techniques f o rD a t a Communication networksヘ pp. 2 4 5 2 4 6 ,P r i n t i c e H a l l ,1 9 8 1 . ) 回 郵政省, 郵政省電波研究所,東北大学,“昭和6 2 年 昭,鹿谷元一,高橋寛子,“c s利用コンピュータ・ネ 度衛星利用パイロット計画運用実験実施計画書 ットワーク実験結果一物理レベルプロトコルに関する 2 年 6月 . ピュータネットワーク実験ヘ昭和6 | 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1| コン