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心臓外科と血管外科のそれぞれのエキスパートから

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心臓外科と血管外科のそれぞれのエキスパートから
外科学系心臓血管外科学分野
心臓外科と血管外科のそれぞれのエキスパートから、実践のなかで技術を学び、専門医合
格を目指す
心臓班、血管班の二つの班を効率良くローテート
しながら、上級医師達と多くの症例を経験しなが
ら、専門医取得に必要な知識、基本治療、基本手
技を取得する。またチーム医療の重要性を理解し、
医師としての自信と責任感を養う
【心臓外科グループ】
心臓外科では、虚血性心疾患(心筋梗塞、狭心症)、弁膜症、胸部大動脈疾患、先天性心疾患、
心臓腫瘍、心筋症、さらには末期心不全(補助人工心臓、心臓縮小手術)などの患者さんを循
環器内科と心臓外科がチームで診察する科です。 心臓外科としては、年間 350 例以上の開心術を行なっております。年間 6000 例以上と
世界で最も心臓手術を行なっている、ドイツのボッフム大学附属バードユーンハウゼン心
臓センターで教授として手術を行っていた、南 和友が平成 17 年より当施設の教授に就
任し、指導しています。またスタッフもドイツの同センターや外国で外科トレーニングを
十分に行なっていたもので構成され、さらに循環器内科と週に4回カンファレンスを行な
い、患者さんを中心とした治療を目指しております。手術の内訳は、冠動脈バイパス術:
年間 130 例、手術死亡率 0.5%(全国平均 1.7%)、弁膜症手術:年間 90 例、手術死亡率 2%
(全国平均 3.9%)。胸部大動脈手術:年間 50 例。特に急性大動脈解離症例の診療は過去に
500 例以上に及んでおります。危険度、緊急度の高い A 型急性大動脈解離は、循環器内科、
救命センターとの連携を充実させ、160 例以上に及び、その手術死亡率も 5%(全国平均
13%)、最近2年間では 2% と好成績で、それは世界でもトップクラスのものです。その他
にも肥大型閉塞性心筋症に対するモロー手術、末期心不全に対する補助人工心臓、心臓縮
小手術、両心室ペーシングなどを行なっておりま
す。“心臓機能が悪過ぎて手術できない”と医師に
宣告されている患者さんも全国からセカンドオピ
ニオンとしてご相談されてくる方も多く、その方々
も適切な外科的、内科的治療により元気に社会復
帰されておられます。予定手術に加え、随時緊急
手術に対応する体制を整えており、近隣施設から
補助循環装置装着のまま搬送されてくる例も少な
くありません。先天性心疾患に関しては、周産期
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センター開設もあり、極小未熟児(最小 360g)の動脈管存症に対する緊急手術も増加して
おります。心房中隔欠損症、心室中隔欠損症、その他の先天性心疾患に対する手術を行なって
おります。
【血管外科グループ】
動脈、静脈を含めた血管疾患の超音波検査、血管造影検査を行い、診断をし、外科治療・
血管内治療・薬物治療のすべてを血管外科が総合的に行っているのが血管外科の最大の特
徴です。血管外科では、年間約 280 例の血管外科手術、血管内手術を行っています。腹部
大動脈瘤手術(破裂例を含む)年間約 50 例。1990 年以降 420 例(予定手術 300 例、緊急
手術 120 例)手術を行い、その成績(病院死亡率)は、予定例 1.5%、緊急例の死亡率は
22%。加えて今後主流となる腹部大動脈瘤に対するステントグラフト内挿術も当院で開始
しています。また動脈瘤以外の血管内治療も早期から取り組んでおり、ここ10年で閉塞
性動脈硬化症に対する血管内治療は 350 例を越える経験があります。その他エコノミーク
ラス症候群で知られる肺血栓塞栓症・深部静脈血栓症に対しても院内において診断超音波
検査を年間 600 例行い、急性期静脈血栓症では機
能的予後の改善を目的として直接的カテーテル線
溶療法も積極的に行い良好な成績を得ています。
研修制度としては、まず診断検査として末梢血
管および頸動脈の超音波検査、血管造影検査、下
肢静脈造影、経皮酸素分圧測定を中心に行い、治
療では外科治療(下肢静脈瘤手術、内シャントの
執刀など)、血管内治療(下大静脈フィルター留置、
経皮的バルーン拡張術など)を中心に執刀しその
他の手術・血管内治療の助手を習得していただき
ま す。 ま た 週 2 回 の ク リ ニ カ ル カ ン フ ァ レ ン ス、
週1回のリサーチカンファレンスをやることで血
管外科領域の幅広い分野に対応できるだけの専門
的な知識も身につけてもらいます。必然的に学会
活動も多く、メジャーな学会で心臓血管外科学会・
外 科 学 会・ 血 管 外 科 学 会・ 脈 管 学 会・ 静 脈 学 会・
血管内治療学会に参加しています。
Ⅰ 研修の目的
初期研修終了後 3 ∼ 4 年目の外科学系における後期研修期間において、外科専門医取得
に必要な心臓血管外科に関する専門的基本手技、基本治療、専門知識を習得するとともに、
チーム医療の重要性を理解することを目的とする。この科目は、将来において臨床医とし
ての専門的知識や診療技術をさらに高めるものと期待される。
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Ⅱ 研修施設及び指導医
1. 研修施設
日本大学医学部附属板橋病院心臓血管外科(基幹施設)
(病床数 1,103 床のうち心臓血管外科 35 床)
駿河台日本大学病院
日本大学医学部付属練馬光が丘病院
2. 関連施設
国立病院機構東京都災害医療センター
健康保険岡谷塩嶺病院
川口市立医療センター
東京臨海病院
みつわ台総合病院
幸島病院
茅野根病院
Ⅲ 外科専門医 心臓血管外科専門医 取得までの研修課程
初期臨床研修 2 年終了後、分野選択(入局)の決定時期は各研修医の意向を尊重し、3
∼ 6 年目までを原則とする、心臓血管外科に入った場合 3 ∼ 4 年の 2 年間において外科専
門医取得に必要とされる経験症例数を関連施設を含む各部門をローテートすることにより
終了する。後期研修期間中に心臓血管外科部門に入局し外科専門医試験を受験できる。外
科専門医取得後は心臓血管外科専門医取得に必要とされる経験症例および研究論文を作成
し、最短卒後8年目で心臓血管外科専門医試験を受験できる。
IV 大学院
後期研修期間に大学院への入学を希望するものは、科目主任の指導方針に従う。心臓血
管外科部門では、外科学・心臓血管外科および人工臓器・移植に関する科目を有するが、
原則として臨床研修と両立が可能なカリキュラムの基に指導が行われる。
主な研究テーマ
補助人工心臓、人工弁の生理、重症虚血肢に対する再生医療
V 教育内容
1. 毎週月曜日に心臓血管外科・呼吸器外科部門合同症例検討会を行う。
2. 月∼金までの毎朝 8 時から心臓外科は、グループミーティングを行い診療状況の確認を行う。
3. 毎週月・金の午後、循環器内科・心臓外科合同症例検討会を行う。
4. 毎週火曜日に血管外科では症例カンファレンスを行っている。
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5. 関連施設では、関連施設の指導医の指導方針に従
う。
VI 後期研修内容
予定手術は心臓外科(火、木、金)、血管外科は、手術(火、木)、血管内治療(水、金)。
その他緊急手術は 24 時間体制で随時対応。
3 ∼ 4 年次の後期研修期間において以下の手技を習得する。
冠状動脈バイパス術、弁膜症手術、大血管手術、先天性心疾患手術、末梢血管手術に
おける助手としての手術介助
動脈圧ライン挿入
心肺蘇生術
開胸心マッサージ
開胸手術・胸骨正中切開手術の基本的手術手技
橈骨動脈、下肢静脈グラフトの採取
開心術における人工心肺接続手技
気管切開術
大腿動静脈、上腕動脈等血管確保
IABP 外科的挿入術及び抜去術
ペースメーカー植え込み術
下肢静脈瘤手術
閉塞性動脈硬化症・腹部大動脈瘤手術の介助
下肢静脈造影
頚動脈・下肢静脈超音波検査
血管造影、血管内治療
VII 指導体制
上級医師(指導医、病棟医長、専門診療グループ責任医)の指導のもとに診療する。病
棟約 35 床の受持ちの入院患受け持ち医となり、総合的に最も適切な治療方針、手術適応等
の判断が出来るように修練する。
VIII 5 年次以降の経験症例
外科専門医取得後
5 年次
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心房中隔欠損症手術 内シャント造設術 閉塞性動脈硬化症・深部静脈血栓症に対す
る血管内治療 下肢血管造影 等
6 年次
冠状動脈バイパス術中枢側吻合 急性動脈閉塞症に対する血栓除去術 等
7 年次
内胸動脈採取 閉塞性動脈硬化症に対する下肢血行再建術(大腿̶膝上膝窩動脈バイパ
ス術 等
8 年次
大動脈弁置換術 腹部大動脈瘤手術 等
9 年次
僧房弁置換術 等
10 年次
冠状動脈バイパス術 急性大動脈解離における緊急大動脈置換術
破裂性腹部大動脈瘤に対する人工血管置換術 下腿3分岐以下へのバイパス術
その他
以上のような手術、周術期管理を通じて、十分な臨床経験を得、さらにデータ分析、考察、
基礎的実験等による学術業績をあげるよう努力する。
後期臨床研修希望者に応対する担当者
医局長 梅澤久輝
TEL : 病院代表 03-3972-8111(院内 PHS:8174) mail address ; [email protected]
Fax : 03-3955-9818
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