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1 バングラデシュ モウルビバザール気象レーダー設置計画 外部評価者

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1 バングラデシュ モウルビバザール気象レーダー設置計画 外部評価者
バングラデシュ
モウルビバザール気象レーダー設置計画
外部評価者:ティー・アソーシエイト
川内敦子
0.要旨
本事業は既設気象レーダーの観測区域外のバングラデシュ北東部に新たな気象レー
ダーを設置し、洪水や暴風雨などの被害の軽減を図るものである。バングラデシュは
自然災害に脆弱な国であり、タイムリーな洪水及び気象予報/警報に資する本事業は
同国の開発政策や開発ニーズと合致しており、妥当性は高い。レーダーは、完工後約
二年半は、継続的な観測活動ができない状況にあったが、現在は通常観測が行われ、
暴風雨警報センター(Storm Warning Centre、以下 SWC という)では初めてインド側
の山岳地帯やバングラデシュ全国の雨量観測が可能となり、警報の即時性は改善され
た。しかしながら、フラッシュフラッド(鉄砲水)の予報/警報はまだ実現していな
い。以上のことから、有効性・インパクトは中程度である。事業のアウトプットに大
きな変更はなく、事業費及び事業期間も計画どおりに収まり、効率性は高い。モウル
ビバザール気象観測所の運営体制には変更があり、計画より職員数が減少したが、バ
ングラデシュ気象局 (Bangladesh Meteorological Department, 以下 BMD という)の職員
は基本的なレーダー運転技術は有しており、運営・維持管理能力の向上を目的とした
活動も行われている。また、BMD は本レーダーの運営に必要な予算を確保している。
以上のことから、持続性は中程度である。
以上より、本事業の評価は高いといえる。
1.案件の概要
案件位置図
モウルビバザール気象レーダータワー
1.1 事業の背景
バングラデシュには国外に源を発する3大河川および中規模河川が 200 本以上あり、
国土の 80%が氾濫原で、50%が海抜7m 以下の低地という地理的な条件から、毎年少
なくとも国土の約 20%が洪水に見舞われる。同時に多くの貧困層を抱え農業に依存す
る社会経済構造は自然災害に対して脆弱であり、洪水は産業発展や貧困層の生活レベ
1
ルの向上にきわめて大きな障害となり、また環境や衛生の側面からも深刻な課題とな
っている。
しかしながら、BMD が保有する既設気象レーダー網では大河上流のバングラデシュ
北部や、世界的な豪雨地帯のインド・メガラヤ地域の雨量観測を行うことができず、
特に既設ラングプール及びダッカ気象レーダーは雨雲を探知するシステムであり、雨
量データをより精度良く解析・処理を行う機能を有していない。そのため、北部の豪
雨や暴風雨(ノーウェスタ)、フラッシュフラッドの予警報の発令は困難な状況にあっ
た。また当時、プレモンスーン期に発生するトルネードを伴う暴風雨の影響で、河川
を航行する船舶の沈没や、死傷者が増加していた。そういった状況を改善するため、
精度の高い気象情報を防災機関や国民に提供することはバングラデシュの喫緊の課題
となっていた。
1.2 事業概要
バングラデシュ北東部に新たな気象レーダーを設置することにより、既設気象レー
ダーの観測区域外であるインド国メグナ上流域及びメガラヤ山脈地帯の雨量の推定が
可能となり、同国北東部におけるフラッシュフラッド及びダッカ首都圏も含めたメグ
ナ流域の雨量等を観測することにより、洪水被害等の軽減を図る。
E/N 限度額/供与額
1000 百万円/999 百万円
交換公文締結
2007 年 6 月
実施機関
バングラデシュ気象局
事業完了
2009 年 3 月
案件従事者
本体
三菱商事株式会社/株式会社福田組共同体
コンサルタント
一般財団法人日本気象協会
基本設計調査
2006 年 6 月 13 日〜2007 年 2 月 22 日
関連事業
技術協力:気象解析・予測能力向上プロジェクト
(2009-2012)
無償資金協力:気象用マイクロウェーブ網整備計
画 ( 1986-88) 、 自 然 災 害 気 象 警 報 改 善 計 画
(1997-99)、コックスバザール、ケプパラ気象レー
ダー整備計画(2005-2008)
2.調査の概要
2.1
外部評価者
川内敦子(株式会社
ティー・アソーシエイト)
2
2.2
調査期間
今回の事後評価にあたっては、以下のとおり調査を実施した。
調査期間:2011 年 12 月~2012 年 9 月
現地調査:2012 年 1 月 21 日~2 月 19 日、5 月 12 日~5 月 23 日
B 1)
3.評価結果(レーティング:B
3.1 妥当性(レーティング:③ 2)
3.1.1
開発政策との整合性
基本設計時、バングラデシュの貧困削減戦略文書(2005 年)において、洪水、暴風
雨及びサイクロン等による自然災害は社会経済への影響が甚大であるとの認識のもと、
早期警戒を含む災害管理体制の整備が重要視されていた。引き続き 2010 年に発表され
た貧困削減戦略文書改訂版でも、サイクロンや洪水予報/警報をよりタイムリーに出
すことを目的とした、災害管理体制の整備や予報能力の強化は課題として挙げられて
い る 。 さ ら に 災 害 管 理 庁 が 作 成 す る 国 家 災 害 管 理 計 画 ( National Plan for Disaster
Management 2010-2015)は、気候変動に関する政府間パネル( Intergovernmental Panel
for Climate Change: IPCC)の報告に言及し、バングラデシュは気候変動に脆弱で、将
来さらなる豪雨や洪水のリスクが高いと指摘している。
そういった事態を受け、第 6 次五ヵ年計画(6th 5 Year Plan, 2011-2015)では、災害
対策の重点を災害発生後の支援から予防へとシフトすることが計画に挙げられている。
それには、精度の高い気象予報が不可欠であり、本事業はバングラデシュの開発政策
と一致するものである。
3.1.2
開発ニーズとの整合性
世界でも最も自然災害に脆弱といえる同国では、毎年約 1000 万人が何らかの形で自
然災害の影響を受けている。1990 年~2008 年の間の自然災害による毎年の経済的損失
は平均 2189 百万ドルと推計され、同国の GDP の約 1.8%にあたる 3。
毎年 3 月から 11 月にかけてのモンスーン季や雨季の豪雨等による洪水やフラッシュ
フラッドによる被害は甚大で、貧困層や地方の農家への影響が大きい。2004 年のメグ
ナ河流域の洪水は国土の 38%を覆い、747 人の死者、約 3.3 億ドルの作物被害をもた
らし、赤痢などの感染症も流行した 4。近年でも大きな自然災害が多発し、 2007 年に
サイクロンシドルが、2009 年にはサイクロンアイラが襲来し、大きな被害を出した。
より正確な気象観測と早期警告は「バ」国では生死に関わる問題であり、本事業は開
発ニーズとの整合性は高い。
1
A:「非常に高い」、B:「高い」、C:「一部課題がある」、D:「低い」
2
③:「高い」、②:「中程度」、①:「低い」
3
バングラデシュ政府計画局 第 6 次五ヵ年計画から引用。
4
バングラデシュ政府計画局 第 6 次五ヵ年計画から引用。
3
3.1.3
日本の援助政策との整合性
対バングラデシュ国別援助計画(2006 年 5 月)において、災害対策は重点セクター
と位置づけられている。日本は、以前からコックスバザールやケプパラ気象レーダー
などを含め、バングラデシュに対し気象観測分野での協力を行なってきた。本事業は、
それまでの支援の延長線上にあり、既設レーダーの観測範囲外の北部地域に新たな観
測拠点を整備するものである。また、本事業で既設観測所の改良工事を行い、衛星に
よるデータ通信網が整備されることにより、全国的な気象観測を可能とする正に鍵と
なる案件であり、日本の援助政策及び日本の過去の支援との整合性は非常に高い。ま
た、現在実施中の技術協力・気象解析予測能力向上プロジェクトは、観測所の技師や
予報官の能力向上を図る案件であり、本事業との関連性も高い。
以上より、本事業の実施はバングラデシュの開発政策、開発ニーズ、日本の援助政
策と十分に合致しており、妥当性は高い。
3.2 有効性 5(レーティング:②)
3.2.1
定量的効果(運用・効果指標)
(1)モウルビバザール気象観測所の稼働状況
モウルビバザール気象観測所は 2009 年 3 月 5 日に日本側から引き渡しが行われたが、
その後約一年間はバングラデシュ電力開発局( Bangladesh Power Development Board)
から民間電力供給に関する許可が下りず、その間は自家発電による短時間の稼働にと
どまった 6。2010 年 4 月には電力供給が開始されたが、その後も電圧が安定しないこ
とから一部機材の故障が発生し、稼働できない期間が長かった7。
実際の稼働状況は表1の通りである。故障時以外の期は一日 2 回(乾季)~7、8 回
(雨季)の観測を行った。
表1
モウルビバザール気象レーダーの故障と稼働状況
時期
稼働状況
2009 年 3 月 5 日
日本側から引渡し
2009 年 3 月~2010 年 3 月
全国的な電力不足により民間からの電力供給が行
われず、可能な範囲で自家発電による観測を開始。
基本的には一日二観測程度を実施。
2010 年 4 月 2 日~14 日
ハードディスクの故障により停止。BMD のエンジ
ニアによって修理・復旧。
5
有効性の判断にインパクトも加味して、レーティングを行う。
許可が下りなかった理由は、全国的な電力不足の影響と言われている。
7
その期間は従来通り BMD の既設レーダー網(コックスバザール、ケプパラ観測所など)で観測が
行われていた。
6
4
2010 年 4 月 15 日~8 月 3 日
通常運転
2010 年 8 月 4 日~10 月 18 日
供給電力の不安定化によりレーダーコントロール
システムのマザーボードが故障。日本からエンジ
ニアが派遣され 15 日間の作業により復旧。その間、
観測活動は一時中止。
2010 年 10 月 19 日~12 月 9 日
通常運転
2010 年 12 月 10 日~2011 年 7
レーダープロセッサーが故障。技術協力で入って
月 11 日
いるコンサルタントのサポートにより機材が日本
に送られ修理。翌年 7 月に復旧。その間、観測活
動は一時中止。
2011 年 7 月 12 日~現在
通常運転
出所:BMD
2011 年 7 月以降、モウルビバザール気象観測所は常時稼働しており、2 種類の観測
体制で観測を行っている。1種類目は通常観測で、乾季は日に 2 回程度、雨季は日に
8 回程度の観測が行われる。2 種類目は特別観測で、豪雨、暴風雨やサイクロンなどの
発生時に行われ、特別観測は非常事態が収束するまで 24 時間体側で行われる。観測し
たデータは衛星通信システムにて SWC にリアルタイムに送られる。
モウルビバザールから各所に配信されるレーダーイメージ
出所:BMD のホームページ
(2)全国的な雨量データと合成画像
本事業の成果目標の一つは、メグナ全流域の降雨観測である。今回整備されたレー
ダーは 200 キロが観測有効範囲であり、インド側のメガラヤを含むメグナ全流域で雨
量観測が可能である。同時に、本事業でダッカやラングプールレーダーの降雨強度デ
ータの分解能が 3 ビットから 8 ビットに向上したことで、バングラデシュ全ての雨量
データの分解能が統一された。この改良により SWC でバングラデシュ全土の降雨強
度分布の合成画像を作成できるようになり、その結果 SWC や洪水予警報センター
(Flood Forecasting and Warning Centre 以下、FFWC という)にて、全国的な雨量分布
5
状況をリアルタイムに観測できるようになった8。
左:モウルビバザールのレーダータワー内部に据付けられたドップラーレーダー
右:SWC に整備されたレーダー画像の気象表示システム
コラム:バングラデシュの防災体制における、SWC と FFWC の役割
バングラデシュの防災体制や防災戦略は、災害管理局(Bangladesh Disaster Management
Bureau)が作成する文書・ Standing Orders on Disaster で規定されており、BMD や FFWC
はもとより、自治体、防衛省や軍隊、農業省、NGO、メディアを含めて関係者間の役割
が定められている。防災活動は、SWC や FFWC が発する警報が初動のトリガーとなる。
特に洪水警報に関しては、河川流域の水位をモニターする FFWC と、降雨データを集
める SWC が連携することが重要である。
<SWC>
BMD の一部局である SWC は、毎朝その日の雨量などを含む天気予報を作成し、ファッ
クスやメールで関係機関に伝達する。現在予報を受け取っているのは各省庁、FFWC、
NGO、電力会社、政府機関、防災管理局など30か所である。サイクロンの時に出される
特別天気速報に関しては、65か所に送られる。また、レーダー画像や天気予報は BMD
のウェブサイトにも掲載され、誰もがアクセスできる。
<FFWC>
FFWC は水資源開発庁の一部門として設立され、全国の観測所で水位などを含む水文デ
ータを収集し、洪水予測モデルを活用することで、洪水予測・警報を発令することが主
8
また、ダッカ気象観測所の職員によれば、8 ビット改良や衛星通信導入の結果、ダッカ観測所か ら
SWC までのデータ送信時間は 2.5 分ほどに短縮された。ここにはレーダー画像をスキャンする時間も
含まれているので、実際の通信時間はもっと短いと思われる。
6
な役割である。洪水が発生するモンスーン季が活動時期で、その時期に観測データと予
警報を速報メディアや関係省庁にファックスやメールで流す。
(3)暴風雨警報
基本設計時点(2007 年)では、ノーウェスタ及び豪雨の予警報は 6 時間毎に発令さ
れていたことを基準にし、本事業の目標値は 1 時間毎発令と設定されていた。事後評
価時の BMD 及び SWC の説明よると、暴風雨や雨雲が観測されてから警報を出すまで
の間隔は約 5 分~10 分と非常に短く、警報の即時性は改善されているとのことであっ
た。実際の雨雲観測から警報発令までの時間はシステム化されたデータベースとして
は残っていないため、本事後評価で平均的な所要時間を確認することは困難であった。
また、第一警報以降のアップデートについては、気象状況や雨雲の進路を見ながら判
断するため、1時間毎のこともあればより間隔が広くなることもあり、必ずしも1時
間おきに発令する必要はない。
SWC の警報記録を確認したところ、例えば 2010 年 4 月 16 日にモウルビバザールの
レーダーで探知された雨量情報でシレット県、マイメイシン県など計 14 県に対してノ
ーウェスタの警報を発令している。シレット県は本事業の以前はドップラーレーダー
の有効範囲の外であったことから、モウルビバザールのレーダー導入により地域ごと
により詳細な警報の発令が可能となったこと自体は、本事業の成果である。
(4)洪水及びフラッシュフラッド警報
バングラデシュには 4 種類の洪水 9があるが、そのうち現在の洪水予測モデルで警報
が出せるのはモンスーン河川洪水だけとなっている。本事業では、洪水予報の精度全
般の向上及びフラッシュフラッドの予警報のタイムリーな発表が成果として想定され
ており、特に「気象レーダーにより豪雨が探知された後、 1 時間毎にフラッシュフラ
ッドの予警報が発令されることが事業目標として挙げられている。
モンスーン河川洪水の予警報には BMD から毎朝配信される気象予報や雨量データ
が利用されており、本事業の一定の成果が見られる。しかしながら、各種洪水予報の
中でも特に期待されていた北部地域特有のフラッシュフラッドの予報/警報の実現に
は至っておらず、まだいくつかの段階を経る必要がある。
9
①モンスーン河川洪水(Monsoon River Flood):モンスーン季に3大河川の上流域で豪雨が発生す
ると、雨水が流下しながら起こす洪水氾濫。
②フラッシュフラッド(Flush Flood):主にプレモンスーン季にインドで発生した豪雨による急激な
出水。プレモンスーン期以外にも発生する。
③内水氾濫(Local Rainwater Flood):モンスーン季に河川の水位が高い時、国内で発生する豪雨に
より、河川から排水不能になり低平地に氾濫する状況。
④異常潮位に起因する排水氾濫(Storm Surge Flood):モンスーン季の降雨とベンガル湾で発生する
サイクロン等の熱帯低気圧による異常潮位がメグナ河の下流部の水位を上昇させ 、背水で洪水氾濫が
発生する状況。
7
表2
年
状況
フラッシュフラッドの予警報の発令状況
2007 年
2010 年
2011 年
2012 年
(ベースライン)
(目標年)
予警報を発令
予警報を発令
予警報を発令
定性的な予報
できず
できず
できず
を発表
出所:FFWC の聞き取り調査から評価者が作成
フラッシュフラッドの予警報の実現を阻む要因は複数あるが、まずはモウルビバザ
ールのレーダーが 2011 年 7 月まで故障していたことが挙げられる。例えば、2011 年 3
月にはシュナムゴンジ県他数県にまたがる被害を出したフラッシュフラッドが発生し
たが、当時はモウルビバザールのレーダーは停止中であった。2012 年 5 月の初頭にフ
ラッシュフラッドが起こった際は、FFWC は BMD が配信する天気予報から河川の水
位の上昇を経験から推察し、「水位が上昇する可能性が高い」との予報を発表した。こ
れは、本事業の一つの成果と言えるが、この予報はあくまで予報官による定性的なア
セスメントであるため、長期的にはより正確な数値モデルに基づいた予報が求められ
る。
精度の高いフラッシュフラッドの予警報を出すには、フラッシュフラッドの予測に
特化したモデルや統計的解析による数値予測が必要になるという点で BMD と FFWC
の見解は一致しているが、実際にはそれ以前にいくつか解決すべき課題が見られた。
一点目は FFWC に供与された気象データディスプレイシステムであるが、事後評価の
サイト視察時にはこの機材は故障したまま放置されていた。従って、FFWC はレーダ
ーから得られる雨量データをリアルタイムには活用できておらず、あくまでも BMD
が毎朝ファックスやメールで流す気象情報を活用している。ディスプレイの不調はマ
イナーな部材の故障に起因したもので、すぐに解決が可能であるが、FFWC に供与さ
れた機材に関する故障時の責任の所在が曖昧で、現在は BMD 職員が出張して毎回修
理を行っている。
二点目としては、FFWC 及び SWC のキャパシティの問題があげられる。仮に機材
の維持管理の問題が解決したとしても、現在の FFWC の洪水予測モデル、並びに、
FFWC 及び SWC の能力では、精緻なフラッシュフラッド予警報が発令できるのかは
疑問が残る。理論上では、BMD の各レーダーから配信される雨量データを FFWC が
現在利用している洪水予測モデルに入力すれば、初期的なフラッシュフラッドの予報・
警報を発令することは不可能ではない。しかしながら、それには BMD から配信され
る気象情報と、FFWC が収集する河川水位や地上雨量などの水文情報を同時に解析す
る必要があるが、現在 FFWC はそのような高度な解析技術や人的資源は有していない
ように見受けられた。最終的に、精度の高いフラッシュフラッドの予報・警報を出す
ことを目的とした新たな数値モデルを開発・運用するには、FFWC は現在よりも多く
8
の地点で水位データを取る必要があり、同時に BMD は適切にレーダー雨量補正(キ
ャリブレーション)されたデータを FFWC に提供する必要がある。雨量補正技術は現
在日本の技術協力案件で開発されている最中で、見通しが立っているが、FFWC 側で
の新たなモデル開発には費用も能力も必要で、少なくとも 3 年~5 年 10を要すると思わ
れる。
3.3 インパクト
3.3.1
インパクトの発現状況
(1)災害被害の軽減
2011 年 7 月までの間、モウルビバザールのレーダーは限られた日数しか稼働してお
らず、またレーダーが完成した 2009 年から 2011 年の 3 年間は比較的気候が安定して
おり、大きな被害をもたらす豪雨、暴風雨、洪水がほとんど発生していなかったこと
から、本事業が災害被害にどの程度貢献したかを定量的に評価することは困難である。
しかしながら、本事業の受益者である農業省農業普及局や NGO 11へのインタビュー
によると、ここ数年で SWC や FFWC から出される警報のタイミングは改善が見られ、
洪水や暴風雨の到来までのリードタイムは長くなってきている。BMD の長官の説明で
は、バングラデシュでは雨雲は北部から南下する傾向が強く、北部のモウルビバザー
ルにレーダーを導入したことで、雨雲の探知から豪雨や暴風雨の到着までのリードタ
イムを長くすることが可能となったとのことであった。
しかしながら、予報の精度に関しては改善の余地があることは、BMD や災害管理
局、災害関連の NGO を含め関係者の多くが指摘している点である。現在 BMD による
予報は予報官の能力や経験に基づくものであり、また数日単位の中長期の予報を出す
のは非常に難しい。今後、豪雨や洪水の予警報の精度を高め、経験ではなく数値モデ
ルによる中長期の予報を行うためには、予報の原資料となる過去の観測データを蓄積
し雨量補正技術を向上させ、またそれを運用する能力開発が重要になる。現在日本の
支援にて数値予報のモデルを構築し、運用するトレーニングが行なわれており、長期
的には予報の正確性の改善が期待される。
(2)その他のインパクト
今回整備されたレーダーの観測範囲にはダッカ国際空港も入っており、バングラデ
シュ側の資金で、ダッカ国際空港内部に気象データ表示システムを整備した。それま
でダッカ国際空港はダッカ気象観測所の旧式のレーダーから得た情報に頼っていたが、
現在ではモウルビバザールから風向きや風速、風の急変地域情報がリアルタイムに送
10
FFWC によれば、モデルの構築に 1~2 年、そのテスト期間としてモンスーン季が最低でも 2 回を
要することから、全体として 3~5 年と見積もった。
11
コミュニティレベルの災害対策に関わる現地 NGO のフォーラム(Community Managed Disaster Risk
Reduction Forum: CMDRR Forum)など 。
9
られてくるようになり、空港管制官がパイロットや航空会社に出す指令の精度が格段
に向上し、航空の安全にも寄与している12。
3.3.2
その他、正負のインパクト
モウルビバザール気象観測所建設に必要な用地は、水資源開発庁から BMD に委譲
された土地であり、用地取得や住民移転は発生していない。また自然環境へのインパ
クトも特に報告されていない。
前述のとおり、レーダーは完工後の約二年半、継続的な観測活動ができない状況に
あったが、現在は計画通り通常観測が行われ、SWC ではそれまで不可能であったイン
ド側の山岳地帯やバングラデシュ全国の雨量観測が可能となり、期待されていた暴風
雨などの警報の即時性は改善され、暴風雨の被害軽減につながっていると考えられる。
また、同事業はダッカ空港を往来する航空機の安全にも寄与が見られる。フラッシュ
フラッド(鉄砲水)の予報/警報に関しては、FFWC がモウルビバザールレーダーか
ら得た情報を洪水やフラッシュフラッドの予想、アセスメントに役立ててはいるが、
今後は本事業の機材をより有効活用しより精度の高いフラッシュフラッド予報/警報
を発令することが課題である。
以上より、本事業の実施により一定の効果の発現が見られ、有効性・インパクトは
中程度である。
3.4 効率性(レーティング:③)
3.4.1
アウトプット
表3
整備された機材及び施設の概要
機材及び施設
設置場所
変更点
気象レーダーシステム
モウルビバザール気象レーダー観
特になし
測所
気象レーダーデータ表
モウルビバザール気象レーダー観
示システム
測所
特になし
気象局ダッカ本局暴風雨警報セン
ター、洪水予警報センター
気象データ衛星通信シ
モウルビバザール気象レーダー観
ステム
測所、気象局ダッカ本局暴風雨警報
センター、洪水予警報センター、ラ
ングプール気象レーダー観測所
12
BMD本部および防衛省の聞き取り調査より。
10
特になし
既設レーダーシステム
ダッカ気象レーダー観測所、ラング
特になし
8 ビット化改良
プール気象レーダー観測所
気象レーダー塔施設
モウルビバザール気象レーダー観
軽微な変更のみ(外溝舗装
測所
面積など)
出所:JICA 提供資料
基本設計時から詳細設計までの間で大きな変更は生じていないが、施設に関しては
表3に示すとおり数カ所の変更が行われた 13。変更は、レーダー本体の性能とは関係
のない事項であり、必要に応じた妥当な変更であったと思われる。その他 SWC、FFWC
気象データディスプレイシステムやダッカ観測所やラングプール観測所の8ビット化
工事は事前計画通りに完了した。
バングラデシュ側の負担で行われた首相府、 TV センターやダッカ国際空港への気
象データディスプレイシステムの整備も計画通りに完了した。
3.4.2
インプット
3.4.2.1
事業費
日 本側の事業費は、 EN 限 度額 1,000 百 万円に対し、実績は 999 百 万円(計画比
99.9%)となり、計画内に収まった。バングラデシュ側も変更はなく 208 百万円と計
画内に収まった。バングラデシュ政府の負担事業は、銀行手数料、供与資機材の関税
免除手続き、用地における既設施設の撤去や整地、レーダーシステムの必要周波数の
取得、気象データ衛星通信システムの使用許可の取得など事務手数料に計 204 百万円、
そして首相府、バングラデシュTVセンター、ダッカ国際空港でのディスプレイ機材
(2.4 百万円)等である。
3.4.2.2
事業期間
本事業は、2007 年 8 月に開始され、2009 年の 3 月に完成となり、事業期間は、計画
20 ヶ月に対し実績 20 ヶ月間(計画比 100%)で、計画通りであった。
以上より、本事業は事業費及び事業期間ともにほぼ計画どおりであり効率性は高い。
3.5 持続性(レーティング:②)
3.5.1
運営・維持管理の体制
(1)モウルビバザール気象観測所の運営・維持管理体制
基本設計時は、モウルビバザール気象観測所は 27 ポストでの運用を計画していたが、
関係省庁のポスト承認が遅れたために、BMD が臨時で配属した他の観測所職員 8 名で
13
JICA 提供資料より。
11
運転が開始された。その後1名の辞職者があり、事後評価時は7名で運転されていた。
観測時間が短い乾季は 7 名体制でも支障はないが、観測時間が長くなる雨季は、長時
間勤務となり職員に負荷がかかっている。現在空席となっている清掃などは、職員全
員で分担して行なっている状況で、警備員もいない。
その後、2012 年 5 月に財務省の正式な承認がおり、最終的には 15 ポストで運営さ
れることが決定された。計画当初の 27 名から乖離があるものの、削減されたポストは
アシスタントや雑務、運転手などサポート部門も含め全体的にコンパクト化されてい
る。
表4 計画と実際に承認されたポストの差異
職種
計画時職員数
承認された職員数
1
1
電子技師長
(Senior Electronic Engineer)
1
0
電子技師補佐
(Assistant Electronic Engineer)
1
0
通信技師補佐
(Assistant Communication Engineer)
1
1
予報官補佐
(Assistant Meteorologist)
6
3
アシスタント
(Electronic Assistant)
1
1
機械工長(Foreman)
5
3
機械工(Mechanic)
3
1
雑役
5
3
警備員
2
2
庭師・掃除
1
0
運転手
27
15
合計
出所:BMD
ケプパラやコックスバザール観測所の運営体制と比較すると、ケプパラ気象観測所
は 18 名、コックスバザール観測所は 15 名で運転されており、モウルビバザールでも
15 名で運転が可能かと思われる。BMD 長官の説明によれば、当初申請していた 27 名
は関係省庁によって承認されるポストの削減を見越した数字であり、15 名でも運営に
支障をきたすことはないとのことであった14。
15 ポストの職員の着任後は、現在モウルビバザールに勤務する 7 名は一定の期間を
経て別のレーダーや部署に配属される。BMD の説明によれば、現在の職員が新しい職
員に対しレーダーの運営や維持管理の OJT を行い、運営に問題がないと判断された時
点で徐々に臨時職員を転属させる予定である。
どちらにせよ今後、本事業によって発現した効果の持続性はこの採用状況と運営体
14
現在モウルビバザールのレーダーを運転している責任者に確認したところ、同様の見解で最低 15
名~17 名程度の職員で運営は可能だとのことであった。
12
制の整備次第であるため、なるべく迅速に採用が完了することが望まれる。
(2) FFWC の運営・維持管理体制
FFWC は、基本的には 7 名の管理職員及び 15 名の一般職員の 22 名で構成されてい
るが 15、洪水発生時等の緊急時は 14 名補充され、36 名体制で業務を実施する。しかし
ながら、FFWC の職員は頻繁に配置転換になるため、職員の技術レベルの維持や引継
ぎに問題があるように見受けられる。
3.5.2
運営・維持管理の技術
(1)モウルビバザール気象観測所の運営・維持管理技術
BMD の職員は、過去に整備された二基のドップラーレーダーを適切に運用してきて
おり、基本的な運転技術は有している。現在モウルビバザールに配属されている 7 名
のうち、少なくとも 2 名の技師はコックスバザールとダッカ観測所での勤務経験があ
り、機材納入時の操作指導研修にも参加している。
モウルビバザールのレーダーシステムは発足から最初の 2 年間で、何度か大きな故
障に見舞われ一時停止状態に陥ったが、 BMD によれば故障の原因自体は管理状態や
BMD の技術レベルとは関係がなく、供給電力の不安定化が影響したものだと考えられ
ている。過去の故障時の対応としては、ハードディスクやビデオプロセッサーなど精
密機器部分などは現在の技師では対応できないため、各機材を製造した業者や、アフ
ターケアを担当する代理店に対応を依頼し、対処してきた。それ以外の軽微な故障に
関してはモウルビバザールの技師が自力で対応してきたことから、基本的な維持管理
技術は有していると思われる。
今後重大な故障が生じた際、現在の BMD の技術力で対応するのは困難なケースも
あると思われるが、
「3.5.4 運営・維持管理の状況」で後述するとおり、BMD はすでに
故障の予防措置をとっている。また、現在、職員の運営・維持管理能力の向上を目的
とした活動もいくつか行われている。一つは、日本の技術協力で実施中の「気象解析・
予測能力プロジェクト」の一貫で、ドップラーレーダーの維持管理に関する講義及び
OJT が実施され、モウルビバザールの複数の職員が受講した。また同プロジェクトで
は、レーダーの維持管理マニュアルの要約版を作成しており、モウルビバザールから
も運用・管理記録簿に係る研修にほぼ全員が参加している。
また BMD 本部は独自に知識交換プログラム(Knowledge Exchange Program)を発足
させた。これは、ベテラン職員から若手職員、また異なるレーダーの職員間で維持管
理や修繕方法の知識を共有する活動である。
(2)FFWC の維持管理能力
本事業完了時に FFWC から OJT に参加した職員は既に配置換えになっていることか
15
FFWC の HP より。
13
ら、本事業で整備された機材を適切に運用・維持管理する能力が不足している様子で
ある。現在のように軽微な故障でも BMD の技師を派遣してもらい修理する状態は、
いずれ改善する必要がある。ただし FFWC は、SWC と比較すると水文情報のデータ
ベースの整備などは進んでおり、適切な指導を受ければ今後機材を有効活用していけ
る可能性は高い。2012 年には FFWC の職員 2 名が JICA の国別研修において防災関連
の研修を受ける計画があり、FFWC の能力向上に貢献することが期待される。
3.5.3
運営・維持管理の財務
基本設計調査では、モウルビバザール気象観測所の運営維持管理費に必要な年間予
算は 531 万タカとされている。2009 年以降の実際の予算の推移を見ると、2010 年度予
算は 405 万タカと計画を下回ったが、2011 年度予算は 703 万タカとなり、計画を上回
った。2011 年度は、レーダー1基あたり 143 万タカの維持管理予算が充当されており、
全レーダーの中でもモウルビバザーのレーダーの維持費は一番多くの予算が取られて
いる。また、過去3年間の BMD 全体およびモウルビバザール観測所の年間予算の推
移を見ると、予算は増加傾向にあり、今後も維持管理費の捻出には問題がないと思わ
れる。
表5
BMD 本部およびモウルビバザールの予算の推移
2009-10
(単位 1000 タカ)
2010-11
2011-12
BMD 本部
人件費
45,000
46,000
50,000
消耗品
3,500
4,000
5,500
光熱費
4,000
4,100
4,500
スペアパーツ
37,000
41,000
65,000
通信費
9,000
9,500
10,000
スペースセグメント
1,500
1,700
2,500
計
100,000
106,300
137,500
モウルビバザール気象観測所
人件費
N/A
2,500
3,880
消耗品
N/A
300
710
光熱費
N/A
450
1,010
維持管理費
N/A
800
1,430
計
N/A
4,050
7,030
出所:BMD
注:2009 年度の経費はプロジェクト開発費用でモウルビバザール観測所の運営経費がまかなわれて
いたが、2010 年度からは他の観測所と同様に BMD 本部から経常予算がついている。
14
3.5.4
運営・維持管理の状況
気象レーダー塔施設内部は全て土足厳禁で使用されており、観測所職員により機材
及び室内の清掃は定期的に行われている。施設や機材の管理、保守・点検作業は決め
られたサイクル(毎日、毎週、毎月)で行われている。マニュアルも適切に管理、運
用されている様子である。ディスクや電池、電子機器類の消耗品、バッテリー、釘、
ネジ、ボルトなどのスペアパーツも所定の戸棚で適切に管理されていた。スペアパー
ツの調達も現在のところ特に問題はないとのことである。
過去の機材の故障は不安定な電力供給によるものだと考えられており、将来的に同
様の問題を防ぐ方策として、レーダーの運転中は民間電力ではなく自家発電だけでレ
ーダーシステムの運営を行うことを予定しており、自家発電に必要な燃料も十分確保
されている。また、BMD は今後同様の問題が起こることのないよう、既にパワーサプ
ライユニットなどの関連機材を購入済みである。
以上より、本事業の維持管理は体制に軽度な問題があり、本事業によって発現した
効果の持続性は中程度である。
4.結論及び提言・教訓
4.1 結論
バングラデシュは自然災害に脆弱な国であり、タイムリーな洪水及び気象予報/警
報に資する本事業は同国の開発政策や開発ニーズと合致しており、妥当性は高い。レ
ーダーは、完工後約二年半は、継続的な観測活動ができない状況にあったが、現在は
通常観測が行われ、SWC では初めてインド側の山岳地帯やバングラデシュ全国の雨量
観測が可能となり、警報の即時性は改善された。しかしながら、フラッシュフラッド
の予報/警報はまだ実現していない。以上のことから、有効性・インパクトは中程度
である。事業のアウトプットに大きな変更はなく、事業費及び事業期間も計画どおり
に収まり、効率性は高い。モウルビバザール気象観測所の運営体制には変更があり、
計画より職員数が減少したが、BMD の職員は基本的なレーダー運転技術は有しており、
運営・維持管理能力の向上を目的とした活動も行われている。また、BMD は本レーダ
ーの運営に必要な予算を確保している。以上のことから、持続性は中程度である。
以上より、本事業の評価は高いといえる。
4.2 提言
4.2.1
実施機関への提言
(1)モウルビバザール観測所の運営体制の整備
現在モウルビバザール観測所は臨時職員の 7 名体制の運転で、雨季には各職員の負
荷が増大しており、また 7 名は臨時職員であるという立場からも、効果的な運営が危
ぶまれる。そのため、一刻も早く(すでに承認がおりている)モウルビバザールの 15
15
ポストの人員の採用と配属を完了させ、安定的な運営および観測体制を構築する必要
がある。
(2)FFWC 機材の維持管理責任の所在の明確化
事後評価時点で、FFWC に供与された機材が修理されずに置かれており、また修理
は BMD が現在技師を派遣して行っているという状況である。FFWC に納入された機
材の維持管理の責任の所在を改めて明確化する必要がある。BMD は、FFWC との連携
を強め、FFWC 向けの運用・維持管理マニュアルの作成や、機材の維持管理トレーニ
ングを実施することなども有用であろう。
(3)フラッシュフラッド警報の発令に向けて
将来的に精度の高いフラッシュフラッドの予警報を出すにはより特化した予測モデ
ル及びフラッシュフラッドの警報作成手法に係る指導が必要であるが、それ以前の段
階として、FFWC は現在既に手元にある気象データディスプレイシステムを有効活用
し、FFWC の水文データと SWC の雨量データを組み合わせたデータをもとに洪水予
報が出せるよう、組織の垣根を超えて連携を深めることが肝要である。
4.2.2
JICA への提言
本事業はフラッシュフラッドなどの洪水や暴風雨の被害軽減を目的とするものであ
るが、そこには BMD だけではなく、災害管理局、 FFWC や各種メディア、NGO、他
の省庁や自治体など数多くの関係者が存在する。特に前述したとおり、本事業の成果
の一つであるフラッシュフラッドの予報/警報の発令を実現するには、現状の FFWC
の能力がボトルネックの一つとなっている。そのことから、今後の支援としては、現
在のように BMD への支援の一貫として補足的に FFWC や関係者をサポートするだけ
ではなく、洪水問題や FFWC により特化した支援を行なうことも有用かと思われる。
4.3 教訓
(1)FFWC など関連組織の能力分析
フラッシュフラッドの予警報が発令できない現在の状況は、供与された機材の維持
管理及び利用状況、FFWC の能力不足などに起因しているが、本件のように実施機関
以外にも関係する組織があり、その組織の活動が事業の成果に大きく影響してくる場
合は、基本設計時にその組織能力を分析・評価し、必要であれば事業内容やアプロー
チ、また技術協力の事業内容に反映させることも必要である。
(2)民間電力供給
モウルビバザール気象観測所は、民間による電力供給の許可が関連政府機関から下
りなかったことにより、全面稼動の遅延を招いた。今後、バングラデシュにおいて電
16
力供給が運営の要となる事業に関しては、電力供給の許可がタイミング良く関係機関
から下りるよう十分な時間を見て事前準備や申請を行う必要がある。
以上
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