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The Role of Exosomes in Breast Cancer

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The Role of Exosomes in Breast Cancer
Review
The Role of Exosomes in Breast Cancer
Michelle C. Lowry1, William M. Gallagher2 and Lorraine O'Driscoll1,*
Author Affiliations
1
School of Pharmacy and Pharmaceutical Sciences & Trinity Biomedical Sciences Institute,
Trinity College Dublin, Dublin 2, Ireland;
2
School of Biomolecular and Biomedical Science, University College Dublin Conway
Institute, University College Dublin, Belfield, Dublin 4, Ireland.
* Address correspondence to this author at: School of Pharmacy and Pharmaceutical
Sciences & Trinity Biomedical Sciences Institute, Trinity College Dublin, Dublin, Ireland.
Fax +353-1-8962810; e-mail [email protected].
Clinical Chemistry 2015;61: 1457-1465
乳癌におけるエクソソームの役割
概要
背景: 長い間、真核生物が複雑な小胞体性構造物を周辺に放出するということが知られていたが、
近年になってこれらの実体が単にゴミや破片ではなく、細胞の起源と関連する目的にかなった特別
なミニマップであり、生理学的および病理学的現象であることが明らかとなってきた。これらのエ
クソソームや微小胞 体(エクトソーム) は、まとめて細胞外小胞体 (EVs) と名付けられ、しばしばサ
イズと供給される起源によって定義され、分類されている (エクソソーム 約 30–120 nm, エンドソー
ム起源; 微小胞 体 120–1000 nm, 細胞膜由来)。EVs の癌との関連、およびその役割を解明することに
対して、ますます関心が強まっている。
内容: 癌の EVs に関する先駆的な研究の多くが、乳がんに焦点を当てている。なぜなら、乳癌が世
界中で癌死の 主要な要因であるためである。このレビューは、エクソソームやほかの EVs が、乳が
ん細胞の浸潤や転移、肝細胞刺激、アポトーシス、免疫系調節や抗がん剤耐性に関して、重要な役
割をサポートするという研究の詳細を要約したものである。エクソソームが診断、予後もしくは予
測のバイオマーカーとして、またエクソソームの新たな可能性のある治療への応用について議論す
る。
要約: エクソソームは十分に解明されていないが、乳がん細胞の発症、進展および抵抗性に関与し
ていることが、前臨床および臨床研究から明らかになってきており、薬物デリバリーシステムのよ
うに乳がん細胞のバイオマーカーとして、これらの小胞体の診断応用や、将来の新規の乳がん治療
への可能性について、ますます興味が持たれている。
1
WHO によると、癌は世界の主要な死の要因であり、乳がんは 5 番目に多くみられる癌である (1)。
米国において 2014 年に約 232,970 例が乳がんとして診断された。この驚異的な数字は、全ての癌と
診断された症例の 29%を占める (2)。注目すべきは、乳がんは女性に限ったものではなく、これらの
癌の約 1%が男性でも生じる。乳がん自体は、患者を死に至らしめない。つまり、死は、体の別の
部位での癌の進展/転移の結果で生じるものである。実際、5 年生存率は、局所的乳がんの場合 99%
であり、限局期 (リンパ節付近)は 84%、転移 (遠位の組織やリンパ節)の場合、23%である (3)。
乳がんは、いろいろな種類がある病気であり、このレビューでは、これらサブタイプについてでは
なく、エクソソームとの関連について記述しているが、以下の情報は、乳がんについて勉強をした
ことがない人に対して、前後関係を理解することに役に立つであろう。2000 年、Perou らは DNA マ
イクロアレイを用いて、乳がんのサブクラスの分類に貢献をした (4)。この成果から、階層分け分析
は、遺伝子発現パターンに基づいて様々なサブタイプ、例えば、basal-like (basal-like とトリプルネ
ガティブ (TNBC) は、同じものではないが、トリプルネガティブとして大抵分類される (5)) 、ヒト
上皮成長因子受容体 2 (HER2)/neu-過剰発現、正常様、 菅腔上皮/ER+ (エストロゲン受容体陽性)を分
類した。この研究に続いて、管腔のサブクラス化によって、管腔 A および管腔 B が分類された。治
療が考慮されない場合、basal-like および HER2 過剰癌細胞では生存率は最も低くなる (6、7)。乳癌
の異形成の性状および個人の診断の異なるステージでの治療は、主に手術、化学療法、放射線療法、
ホルモン治療、モノクローナル抗体と、小分子化合物などの他の新しいターゲット治療を含む様々
なアプローチで行われている。
エクソソームと乳癌
エクソソームは、細胞由来の小胞体であり、網状赤血球の成熟過程において放出される小胞体とし
て初めて記述された (8)。エクソソームや微小胞 体(エクトソームとも呼ばれる) は、おもにサイズ
や起源 (エンドソームもしくは細胞膜)、マーカー、内容物によって分類される (9)。エクソソームは
主に 30–120 nm として記述されており、微小胞体/エクトソームは、120–1000 nm として記述される
(10)。これらの小胞体はまとめて細胞外小胞体 (EVs)と呼ばれる。
エクソソーム/EVs は、他の癌細胞と同様に乳がんにおいても、微小環境やそれを超えて癌細胞と他
の細胞とのコミュニケーションの手段として記述されている (11)。この細胞-細胞コミュニケーショ
ンの不全や、予期されない細胞クロストークは、癌の発症及び進行に寄与すると考えられている。
乳癌細胞おけるエクソソーム/EVs の多くの役割をここでレビューし、図 1 に要約する。
エクソソームは、乳癌細胞や間質/癌-関連線維芽細胞から細胞外環境及び癌微小環境に放出される。
エクソソームは、癌細胞の浸潤や転移、幹細胞刺激、アポトーシス、免疫系細胞の相互作用や薬物
耐性に関与することが発見されている。
浸潤および転移におけるエクソソーム
乳癌の転移の好発部位は、骨、脳、肝および肺である (12)。細胞株や前臨床の in vivo 研究、臨床サ
ンプルを用いた多くの研究が、そのような乳癌の浸潤および転移におけるエクソソーム/EVs の役割
を明らかにしつつある。
2
図1
乳癌におけるエクソソームの役割
TNBC に関するエクソソームの研究で最初に報告されたものは、TNBC 細胞株 Hs578T および、よ
り活動的な同遺伝子型サブクローン Hs578T(i)8 (13) であり、エクソソームによる表現型の移行につ
いて調べた (14)。ここに私たちは Hs578Ts(i)8 のエクソソームが、二次性乳癌細胞 (Hs578T parent
cells, SKBR3, MDA-MB-231, and HCC1954) を、より活動的な表現型に変えることを明らかにした。
これらのエクソソームが、ヒト内皮細胞に移行すると血管形成を促進させるとともに、増殖移動、
浸潤を促進するなどの特徴を示す (14)。加えて、マイクロ RNA (miR)-10b が、TNBC 細胞株 MDMMB-231 において高濃度で発現することが発見された (15)。さらに非浸潤性乳房上皮細胞株 HMLE
が MDA-MB-231 に由来する miR-10b のエクソソームを取り込むことにより、HMLE 細胞の浸潤が
促進された。同様に in vitro において、MDM-MB-231 由来のエクソソームの miR-105 が内皮細胞株
HMVEC に移行すると、内皮細胞の単層タイトジャンクションが障害され、血管形成を抑制し、遊
走を促進する (16)。
in vivo 研究に発展して、MDM-MB-231 由来の miR-105 を含むエクソソーム (もしくはコントロー
ルとして PBS) をマウスの尾静脈に注射し、続いて MDA-MB-231 細胞を心臓内注入すると、これら
のマウスで肺及び脳転移が認められた (16)。加えて、MDA-MB-231 由来のエクソソームは、
miRNAs を MCF10A 細胞に輸送することが示されており、miR-10b や miR-21 が MCF10A 細胞で増
加する。これは、細胞生存率、細胞増殖やコロニー形成能力を与え、Dicer 依存的な方法で増加する。
さらに、MCF10A 細胞を乳房皮下脂肪に移植し、MDA-MB-231 由来のエクソソームを注入すると、
腫瘍形成が生じる (17)。逆に、MCF10A 細胞をこれらのエクソソームとともに注入すると、Dicer 抗
体を入れた時を除いて腫瘍成長の減少が起こる。エクソソームの Dicer タンパク濃度は、健常人コ
ントロール (n = 8) に比べ、乳がん患者 (n = 11) の血清のエクソソームで増加することが発見された。
この結果は、エクソソームが miRNA の生合成や、正常の近接する細胞を腫瘍に変性させることで、
3
腫瘍の発症および浸潤に関与することを示唆する。エクソソーム-細胞間コミュニケーションや
miRNA 輸送に関する研究が、浸潤や転移に関する更なる理解や、TNBC の診断もしくは治療の開発
にさらに必要である。
乳癌細胞由来のエクソソームは、低酸素条件下で放出され、乳癌細胞の浸潤性および転移の可能
性を増加させる (18)。低酸素条件下におけるヒト乳癌細胞株 (MCF-7, MDA-MB-231 や MDA-MB435) の研究において、RAB22A (RabGTPase の一つである膜結合タンパクであり、分子スイッチとし
て機能し、活性型と不活性型間を振動することで細胞内シグナルと膜輸送を集積する (19)) の発現は、
低酸素誘導因子を通して調節され、微小胞体の遊離を増加することが明らかとなっている。反対に、
MDA-MB-231 や MDA-MB-435 細胞において、RAB22A の shRNA (ショートヘアピン RNA) ノックダ
ウンは、微小胞体形成を減少させ、結果、in vivo の浸潤や肺のコロニー形成を減弱させる (18)。
RAB22A は、このように癌細胞の浸潤や転移を抑制する、新規の治療ターゲットになり得る。これ
らの観察に踏まえて、King ら (20) は低酸素条件で MDA-MB-231 や T47D 乳癌細胞株から放出され
るエクソソームの数が、顕著に増加する事を報告した。ここに、エクソソームの miRNA (miR-16,
let7a, miR-21, and miR-210) 濃度は、正常酸素および低酸素条件下で調べられ、エクソソームの miR210 が低酸素条件で顕著に増加する事を発見し、この miRNA が低酸素条件において癌の進展を促進
することを示唆した (20)。加えて、RAG2-/-マウスに MCC70-let-7a 細胞を皮下投与した後、この let7a miRNA が、上皮細胞増殖因子受容体 (EGFR)を標的とするエクソソームを介して細胞に輸送され
る。let-7a の連続輸送は、in vivo において癌の発症を阻害する (21)。この研究において核酸治療は、
EFGR 発現腫瘍を標的とするエクソソームを介して輸送され、転移を抑制する可能性を持つことを
示唆した。この発見の臨床への応用は、let-7a RNA が高転移乳癌サンプル (n = 76)は、正常乳組織 (n
= 22)に比べて減少することを示した報告によって、さらに支持された (22)。線維芽細胞由来のエク
ソソームは、Wnt 経路を介して乳癌細胞の転移および運動性を増加させる役割を持つことが示され
た (23)。Zardawi らによってまとめられたように、Wnt シグナル経路は、細胞遊走、細胞接着、幹細
胞の維持、組織パターニングや発がんの役割を持つ。CD81+エクソソームは、マウス線維芽 L 細胞
のコンディションメディウムに存在することが明らかとなった。L 細胞に CD81 の siRNA (small
interfering RNA) のノックダウンを行うことで、乳癌細胞 (MDA-MB-231) の遊走性の阻害が生じ、線
維芽細胞の CD81 が乳癌細胞の遊走性を調節することが示唆された。MDA-MB-231 細胞と、 CD81
をノックダウンした L cells をともに注入した同所性乳癌マウスモデルでは、MDA-MB-231 細胞の転
移は有意に抑制された。乳癌細胞の遊走性は、L 細胞から分泌される CD81+エクソソームによって
調節されることが明らかとなった。その作用のメカニズムは、自己分泌による Wnt- planar 細胞極
性シグナリングに依存することが明らかとなった (23)。Wnt シグナル経路は、TNBC 患者の腫瘍 (n
= 130)において活性化されることを示しており、Wnt/β-カテニンシグナリングは肺転移の重大なリス
クと関連しているので、これらの減少に関わる癌関連線維芽細胞 (CAF)由来のエクソソームについ
て検討することが重要であろう。CAF 由来エクソソームが、癌の遊走性を促進する証拠として、エ
クソソームに豊富にある ADAM10 が、発がんシグナリングの活性化を促進する研究で明らかにされ
た (26)。ここで細胞外マトリックスの維持に、組織メタロプロテアーゼ阻害物質 (TIMP)ファミリー
の役割を確認するために、CAF 様細胞の状態が調べられた。TIMP ノックアウト線維芽細胞は、
ADMA10 を豊富に含むエクソソームを産生し、アルデヒド脱水素酵素やインテグリン α6 を含む腫
瘍幹細胞 (CSC)マーカーの発現を増加させ、細胞の遊走性を増加させることを明らかにした。反対
に、メタロプロテアーゼ ADAM10 の欠損は、MDA-MB-231 の異種移植モデルにおいて肺転移を抑
制した。この研究の臨床との関連性は、ADAM10 が正常の健常人乳組織の間質に比べて、乳癌間質
において有意に上昇している事実によって支持されている (n = 6) (26)。
4
幹細胞
間葉、線維芽細胞、癌細胞由来の幹細胞に関連するエクソソームは、乳癌に関与している。
間葉系幹細胞 (MSCs) は回帰性能をもち、骨、軟骨、筋肉、靭帯、腱、線維芽細胞や脂肪細胞に再
生、分化することが出来る (Chamberlain (27)によってレビューされている)。幹細胞由来のエクソソ
ームが、乳癌の進行への役割および治療への手掛かりになることが明らかとなった。ヒト MSC 由来
エクソソームを加えると、MSC-7 細胞は Wnt シグナル経路に関わるメカイズムを介して、エクソソ
ーム濃度に依存して Transwell アッセイによって評価される遊走性を示した (28)。MSCs からの (著
者たちがエクソソームのことを言う) EVs は、非常に高い転移性、浸潤性および腫瘍形成能力をもつ
マウス 4T1 乳癌細胞株の血管新生を抑制することも示した。特に、4T1 細胞が、マウス骨髄 MSC 由
来のエクソソームと共培養され、α-amanitin 添加によって転写活性が抑制される。定量的逆転写
PCR で評価される miR-16 は、MSC 由来のエクソソームから 4T1 細胞へ移行し、その後、血管内皮
成長因子(VEGF)の発現を抑制することを示した。BALB/c マウスに 4T1 細胞単独もしくは4T1
細胞と MSC 由来のエクソソームを注入すると、腫瘍成長が 4T1 細胞および MSC 由来エクソソーム
の共注入によって有意に抑制された (29)。この発見をさらに解明ための実質的な研究はまだ行われ
ていないが、これらの研究は、MSC 由来のエクソソームが抗血管形成もしくは抗血管形成 miRNA
の輸送体として、治療現場に役に立つかもしれないことを示唆する。しかしながら、これらの研究
は、MSCs のエクソソームの対照的な反応、たとえば、乳癌細胞の移動の促進 (28)ならびに血管新
生の抑制と腫瘍の進行の抑制 (29)を示したことは注目に値する。これらの結果について、他の貢献
因子がある可能性を示唆しているが、私たちはこれらの異なる所見が、少なくとも部分的にエクソ
ソームが、濾過および超遠心技術によって単離されたヒト乳癌細胞やヒト MSC 細胞のエクソソーム
の先駆的研究や、マウス乳癌細胞や(ExoQuick-TC によって単離された)マウス MSCsの細胞外小胞
体を含む後の研究に依存していることを提唱する。これは、エクソソームなどの EVs の単離、特徴
づけ、分析の技術の標準化を目的とする ME-HaD (European Network on Microvesicles and Exosomes in
Health and Disease) のようなグループが、本当の生物学的に意義の違いが、技術的な違いに起因して
いないことを明らかにする活動の普及の焦点としている (30)。
肥満細胞由来幹細胞 (ADSCs)は、脂肪組織吸引術を受けた個人からの脂肪細胞から得られ、それを
乳癌細胞株 (MCF-7 もしくは MDA-MB-231) 由来のエクソソームと共培養した。エクソソーム投与
後、ADSCs は間質細胞由来因子 1、CCL5 タンパク、トランスフォーミング成長因子 β や VEGF の
誘導、もしくは顕著に発現が増加することによって、機能的特徴とともに筋線維芽細胞に変化した。
この研究において腫瘍由来のエクソソームは、ADSCs を腫瘍関連筋線維芽細胞に変換し、微小環境
における腫瘍化の進行に寄与することを示している (31)。
CSCs は、乳がんの再発に関与している (32)と提唱されており、前臨床研究において同所性乳がんマ
ウスモデル (非肥満性糖尿病/SCID マウスへの患者の腫瘍サンプルの異種移植)において、自発的な
転移に関与することが示唆されている (33)。腫瘍関連乳腺線維芽細胞に乳がん細胞(MCF-7)のエクソ
ソームを投与すると、CSC 活性化マーカー、CD44, インターロイキン 6 (IL-6) やアポリポタンパク E
の mRNA 濃度が顕著に増加することが明らかとなっている (34)。核受容体 (レチノイドX受容体と
ペルオキシゾーム増殖剤応答性受容体−γ)を投与したとき、低酸素 MCF-7 細胞由来のエクソソーム
が、正常酸素圧条件に比べて、乳房球構造の形成および Notch3 タンパクの発現を減弱させた。この
ように、レチノイドX受容体とペルオキシゾーム増殖剤応答性受容体−γ アゴニストは、CSC ニッチ
をターゲットとする可能性が提唱されている (34)。
5
アポトーシス
エクソソームは、アポトーシスを回避することに関わっている。たとえば、4T1 乳がん細胞マウス
モデルのエクソソームは、CD133+ 4T1 細胞の増殖を増加させ、アポトーシスを抑制することが明ら
かとなり、エクソソームがアポトーシスを回避することで、がんの進行に関わることが示唆された
(35)。ほかの研究においてもヒト細胞や臨床サンプルにおいて、エクソソームがアポトーシスの回
避に関与していることが示唆されているが、これを下記に紹介する。
スーパー抗原ブドウ球菌エンテロトキシン B (SEB) は、T 細胞の活性化及び増殖を引き起こし、Fas
を介するアポトーシスに関わる (36, 37)。SEB(EXO/SEB) を結合させた MDA-MB-231 細胞のエクソ
ソームを 、MDA-MB-231 細胞もしくは白血球細胞と胎児性腎臓細胞と共培養すると、MDA-MB231 と EXO/SEB の共培養は、がん細胞の増殖を抑制した。反対に、正常細胞同士の EXO/SEB の共
培養は、細胞障害性および増殖抑制効果を認めなかった。これは、EXO が正常細胞ではなく、直接
がん細胞に影響を及ぼしていることを示唆している。MDA-MB-231 細胞において、24 時間の共培養
後カスパーゼ3およびカスパーゼ 9 の顕著な増加がおき、これはミトコンドリアのアポトーシス経
路の活性化を介したメカニズムを示唆している (38)。
エクソソームの研究や乳がんの進行の研究において、カルシウム結合タンパクである S100 ファミリ
ー遺伝子 (39) の役割が調べられた。多くの S100 遺伝子が乳がんの進行に関与し、S100A11 (S100
カルシウム結合タンパク A11)4 や S100A14 (S100 カルシウム結合タンパク A14) は、患者の転帰に関
連する (40)。S100 タンパク Hornerin は、エクソソームに検出されており (41)、乳房の上皮細胞と間
質細胞を含む乳がん組織で発現し、タンパク分解をうけ、異なる細胞内画分へ移行することが明ら
かとなった。MCF10A の初代細胞に活性型 H-Ras をトランスフェクションすることによって前癌性、
癌性および転移性細胞に変化する;移植がんが増殖を促進することに伴い、細胞は選別された。
Hornerin は、浸潤性小葉性がんと比較して、より悪性度の高いがん組織 (浸潤性管がん)で減少する
ことが明らかとなった。さらに、Hornerin の発現及びその断片の増加は、H2O2 によるアポトーシス/
ネクローシスの誘導後の乳がん細胞で検出された。Hornerin は、おそらくエクソソームを介して輸
送され、アポトーシスを促進し、がんの進行を抑制する役割を持つかもしれない (41)。
抗アポトーシスタンパク survivin は、エクソソーム内で検出され、エクソソームを介して細胞外ス
ペースに放出されることが明らかとなっている。最初に、卵巣がん細胞株 HeLa 細胞に由来するエ
クソソームが、基礎条件において survivin を放出し、陽子照射ストレスで増加することが明らかと
なり、がん細胞における survivin の放出にエクソソームを介した経路が関わっていることを示唆し
た (42)。近年、血清に由来するエクソソームの survivin のスプライシング変異体が、乳がん細胞の
早期診断バイオマーカーとして使用される見込みである。アセチルコリンエステラーゼ活性の定量
を行うとともに、がんエクソソーム量は、再発がなく手術後に腫瘍免疫賦活薬治療を受けた女性患
者のコントロール血清 (n = 10) に比べ、乳がん患者の血清 (n = 40) において有意に高くなることが分
かった (43)。Survivin は、アポトーシスの阻害剤であり、survivin-ΔEx3 や survivin-2B が、それぞれ
抗アポトーシス効果を保持もしくは失うことから、Suvivin やそのスプライシング変異体のがんにお
ける役割を考慮し (44)、ウエスタンブロット解析で抗アポトーシス survivin や survivin-ΔEx3 タンパ
クが、乳がん患者の血清由来のエクソソームで増加していることが明らかになった。Suvivin や
survivin-ΔEx3 タンパクがまた、コントロールサンプル (再発がなく、手術後に腫瘍免疫賦活薬治療
を受けた女性患者) (n = 10)に比べ、乳がん組織 (n = 23) で増加していることが見つかった。加えて、
アポトーシス促進作用の survivin-2B 発現が、健常人コントロールに比べ、患者のエクソソームや癌
組織で異なっていた。特に、survivin-2B の低い発現が、進行性の乳がんステージやそのエクソソー
ムで発見された。結局、これらの研究は、エクソソーム (加えて組織由来)の survivin やそのスプラ
6
イシング変異体が、診断及び予後のバイオマーカーとして臨床現場において検討される可能性を示
唆している (43)。
miR-373 を導入した MCF-7 細胞の in vitro の研究から、エストロゲン受容体の発現が減弱し、アポト
ーシスに対して抑制効果を持つことが観察された。臨床的観点に加えて、エクソソームの miR-373
の顕著な増加は、年齢を一致させた健常人コントロールの血清 (n = 28) に比べ、TNBC 患者の血清
(n = 168) において顕著に増加することが報告されている。エクソソームの miR-373 の可能性を確か
める in vitro、前臨床、各乳がんサブタイプの臨床研究が必要であるが、乳がんの進行度を増加させ
るこの関連性は、治療アプローチの開発につながるメリットのある診断バイオマーカーの可能性を
示唆する (45)。
免疫系
多くの腫瘍は、生存のために免疫系を回避するメカニズムを展開している。そのようなメカニズム
には、癌タンパクの分泌、T 細胞回避、制御性 T 細胞の促進、抗原提示タンパクの発現減少がある
(46, 47)。ある研究では、乳がん細胞由来のエクソソームは、T 細胞、樹状細胞 (DCs)、マクロファ
ージや制御性 T 細胞との相互作用を通して、免疫系に影響を与える可能性を示した。
ナチュラルキラー (NK) 細胞、ナチュラルキラーT (NKT) 細胞、CD8+ αβ T cells, γδ T cells やマクロ
ファージすべて、NK グループ 2、メンバーD (NKG2D) 受容体を発現し、リガンド結合によって NK
細胞の細胞障害性を活性化させ、T 細胞の共刺激シグナルを提供する。リンパ球の NKG2D 受容体
の発現や、CD8+ T の細胞障害性は、乳がん細胞 (T47D) 由来のエクソソームと末梢血白血球の共培
養によって、顕著に阻害されることが報告されている (48)。臨床サンプルを含め、これらの面白い
新規の結果に基づく研究が非常に役に立つであろう。
これらの発見に伴って、研究者は骨髄由来骨髄前駆細胞が腫瘍のエクソソームを取り込むことを示
した。これは、PKH67 ラベルした TS/A 細胞(転移性マウス細胞株)由来のエクソソームを BALB/c マ
ウスに注入し、続いて FACS (蛍光活性化セルソーター)で解析することで、PKA67 ラベル細胞由来
のエクソソームの大半 (94%) が骨髄細胞に存在することで明らかにした。この結果に合わせて、
MDA-MB-231 細胞由来のエクソソームをヒト CD14+単球細胞と共培養すると、IL-6 の誘導を介して
DC 細胞の分化を抑制することが発見された (49)。これらの発見は、エクソソームが乳がんの重要な
バイオマーカーであり、免疫治療のターゲットになりうることを示唆する。
miRNAs のエクソソームによる輸送は、がん微小環境中のマクロファージに影響を及ぼすことが明
らかとなっている。がん関連マクロファージ (TAMs)の転移や、がんの進行への役割はいまだ明らか
となっていないが、TAMs は乳がん患者の腫瘍血管新生に関わることが示されている (50)。TAMs は、
核因子-κB (NF-κB) キナーゼサブユニット β の阻害剤 (IKKβ) による NF-κB 活性化を介して、免疫抑
制型に分化する (51)。緑茶含有物質 epicathecin gallate (EGCG) は、抗血管新生作用を持つことが報告
されている (52,53)。TAM の浸潤や M2 の分化は、in vivo および ex vivo EGCG 処理乳がん研究にお
いて抑制されることが発見されている (54)。そのイベントに関わるメカニズムを解明する目的の研
究で、miR-16 は 4T1 細胞に EGCG を処理することで増加することが発見されている; miR-16 は、が
ん由来エクソソームを介して (マウス乳がん細胞に由来する) TAMs へ輸送され、腫瘍微小環境にお
けるマクロファージの浸潤および分化を抑制することが明らかとなった (54)。
マイクロアレイ解析によって miR-223、miR-565 や miR-660 が、乳がん細胞株 (SKBR3 や MDA-MB231)に比べて、ヒト単球由来マクロファージで過剰に発現していることが明らかとなった。IL-4 活
7
性化単球由来マクロファージは、miR-233 を過剰に発現することが発見されているが、乳がん細胞
では見られない。miR-223 は、ゆえに IL-4 活性化単球由来マクロファージと共培養することで、乳
がん細胞における発現が変化するのかどうかがさらに検討された。この目的で、乳がん細胞が TAM
由来エクソソームと共培養された。miR-223 は TAM エクソソームによって輸送され、その結果がん
細胞において miR-223 が増加した。miR-223 は、続いて乳がん細胞の浸潤性を促進することが報告
された (55)。この結果に一致して、腫瘍に浸潤性 TAMs を多く含む TNBC 患者では、低い全生存率
であることが明らかとなっている (56)。まだ調べられていないが、TAMs のエクソソームの miR-223
は、反対の役割を持っている可能性がある。最近の研究では、乳がん細胞株 (MDA-MB-231 や
MCF-7) のエクソソームが、TLR2 (Toll-like receptor 2)による NF-κB の活性化を介してマクロファー
ジを刺激することが報告されている (57)。これは、(マクロファージのエクソソームががん細胞に影
響を与え、がん細胞のエクソソームがマクロファージに影響を与える) 両方向性のコミュニケーシ
ョンを示唆し、エクソソームによる異なるパートナー細胞への作用が乳がんをさらに複雑なものに
する。
hTERT (ヒトテロメア逆転写酵素) によって不死化されたヒト正常乳房上皮細胞 HMEC B42 のエクソ
ソームは、(HMEC B42 細胞を γ 照射によって作製した)クローンである乳がん株 B42 クローン 16 の
エクソソームの放出を阻害した。逆に腫瘍由来エクソソームは、正常上皮細胞 HMEC B42 のエクソ
ソーム放出を阻害した。このように新規のエクソソーム放出調節のフィードバック経路が提唱され
た (58)。HER2+ (ヒト上皮成長因子受容体 2 陽性) 乳がん細胞株 (SKBR3 や BT474) や、正常ヒト乳
房上皮細胞 184A1 細胞株のエクソソームが単離され、2 次元ゲル電気泳動および MALDI-TOF 質量
分析によるセクレトームプロファイリングが行われた (59)。Annotation, Visualization and Integrated
Discovery のデータベースを用いた In silico 機能予測により、乳がん細胞のエクソソームは、エネル
ギー代謝、抗原処理、抗原提示に関わることが明らかとなった (59)。ウェットラボによる研究から、
腫瘍免疫監視機能やエネルギー代謝におけるエクソソームの役割が確認された。
4T1 乳がん転移 モデルの前臨床、in vivo 研究において、初代培養乳がん由来エクソソームが免疫細
胞と伝達/相互作用を示した。特に、がん浸潤性白血球をマウス乳がん 4T1 細胞由来エクソソームと
共培養すると、fibronectin がエクソソーム内に移行し、吸収されることが明らかとなった (60)。この
研究によって明白になった細胞のクロストークは、エクソソームのコミュニケーションおよびエク
ソソームへの蛋白ソーティングのメカニズムの理解の拡大につなげるべきである。
薬物耐性
薬物耐性は、乳がん治療における大きな障害であり、エクソソーム/EVs は、薬物耐性研究の大きな
関心である。間質細胞が、エクソソームを介して乳がん細胞 (MDA-MB-231) とクロストークするこ
とが明らかとなった。エクソソームは間質細胞から乳がん細胞に移行し、抗ウイルス作用を持つ
RIG-1 (レチノイン酸誘導遺伝子 1 酵素) シグナルを活性化させ、同時に、NOTCH3 経路を活性化さ
せることで、治療抵抗性腫瘍幹細胞の増殖を調節する。エクソソーム輸送のこのメカニズムは、間
質細胞による RAB27B の増加およびエクソソーム 5’三リン酸 RNA の輸送を介した RIG-I シグナリ
ングの活性化により調節される。これらの発見の更なる研究において、メスヌードマウスに MDAMB-231 の異種移植として (間質細胞として) 、非形質転換 MRC5 ヒト 2 倍体線維芽細胞を共注入す
ると、これらのマウスにおいて STAT1 (シグナル伝達性転写因子 1) の発現が増加し、このモデルの
細胞死が減弱し、腫瘍の増殖が促進された (61)。
P-糖タンパク (P-gp) のエクソソーム輸送は、エクソソームを介する薬物耐性メカニズムのひとつと
して考えられている。私たちの研究グループは、最初に前立腺がんに関与することを示し (62)、近
8
年、ドセタキセル抵抗性 MCF-7 のエクソソームが、ドセタキセル-感受性 MCF-7 へ薬物耐性を輸送
することを示した。抵抗性のメカニズムは、P-gp のエクソソーム輸送が関与していると考えられて
いる。なぜなら、P-gp 濃度は、薬物感受性細胞より抵抗性細胞のエクソソームで高いためである
(63)。
アドリアマイシン (Adr) やドセタキセル (Doc) は、乳がん患者に治療効果を持つことが示されている
が、薬物耐性はその臨床的有益性を制限する。薬物感受性 (MCF-7/S) や薬物抵抗性ヒト乳がん細胞
(MCF-7/Adr や MCF-7/Doc) は、抵抗性のエクソソーム輸送を調べるために用いられる。MCF-7/Adr
エクソソームと MCF-7/S 細胞の共培養により、低い増殖と高い薬物抵抗性が観察された。同様にこ
の影響は、MCF-7/Adr および MCF-7/Doc 由来のエクソソームでも見られた。マイクロアレイ解析は、
MCF-7/Adr– および MCF-7/Doc–抵抗性細胞の miRNA プロファイルを同定し、抵抗性に関する共通
の経路を示し、miRNA の輸送が抵抗性のエクソソーム輸送において役割を担うことを示唆した (64,
65)。タモキシフェンに関連して、タモキシフェン抵抗性 MCF-7 細胞のエクソソームは、MCF-7 野
生型の細胞増殖を促進することが明らかとなっている。機能的アッセイ (細胞生存率、アポトーシ
ス、コロニー形成) は、このタモキシフェン抵抗性の伝達に miR-221 や miR-222 が関与し、抗 miR221/抗-miR-222 により有意に阻害されることを見出した (66)。
HER2 濃度は、乳がん細胞株のエクソソームにおいて顕著に増大し、SKBR3 や BT474 と HER2+ の
エクソソームは、in vitro の研究でモノクローナル抗体トラスツズマブと結合し、その活性を阻害し
た (67)。HER2 過剰発現乳がん患者 (n = 22) からのサンプルの研究において、エクソソームとトラス
ツズマブの高い結合能力は、初期ステージ群の血清 (n = 11 )に比べ、病気が進行したステージの血
清 (n = 11) で明らかとなった。反して、エクソソームは HER2 と同様に、EGFR をターゲットとする
低分子ラパチニブの in vitro の抗増殖活性を阻害しなかった (67)。In vivo において HER2+ のエクソ
ソームは、トラスツズマブの有効性を変化させ、患者の結果に悪影響を与えるかもしれない。In
vivo 研究および関連患者サンプルの広範囲な分析が、この活性をさらに調べるために必要であるが、
この研究は乳がんにおけるエクソソームが持つさまざまな重要な役割を明らかにし、診断及び治療
の現場での可能性に脚光を当てている。
標的化デリバリーシステム
トラスツズマブ抵抗性は、HER2 過剰発現乳がん治療の大きな障害であるため、臨床的に効果的な
抗腫瘍ワクチンの開発に焦点が当てられており、Hao らは、有望なアプローチを提供した (68)。こ
こに、オボアルブミンのパルス投与による DC から放出されるエクソソームが、細胞障害性 T リン
パ球 (CTL) 反応を刺激する。この方法で、CD4+ T 細胞ベースのワクチン (OVA-TEXO) が、長期間
の CTL メモリーを刺激することが明らかとなった (69)。この研究から進んで、トランスジェニック
HLA-A2/HER2 が、HER2-TEXO ワクチンの投与後の HER2 特異的 CD8+ CTL 反応や、抗腫瘍活性の
研究のために用いられた (70)。HER2-TEXO ワクチンは、in vitro においてトラスツズマブ抵抗性
BT474A2 腫瘍細胞を殺す効果が発見され、in vivo で BT474A2 腫瘍を根絶することが発見された
(70)。したがって、この研究によりラスツズマブ抵抗性 HER2 過剰発現乳がん細胞に対するエクソ
ソームの使用が、新規の治療的アプローチになりうる初期の証拠が提供された。
免疫原性と毒性を減弱することが、新しいがん薬物デリバリーシステムの開発に必要である。エク
ソソームの治療的デリバリーシステムの潜在的な効果を評価するために、Lamp2b-αv インテグリン
特異的 iRGD ペプチドの融合タンパクを発現する、マウスの未成熟 DC からエクソソームを単離し
た。iRGD エクソソームが精製され、ドキソルビシンを結合させた。これらエクソソームは、αv
integrin+ MDA-MB-231 乳がん細胞に対して高い親和性を持ち、MDA-MB-231 や MCF-7 細胞の増殖
9
を顕著に阻害することを示した。MDA-MB-231 腫瘍細胞を入れたヌードマウスモデルを使用し、腫
瘍の成長がコントロール (PBS, iRGD エクソソーム, ブランク–エクソソーム-ドキソルビシン)に比べ、
iRGD-エクソソーム-ドキソルビシンを使用したとき顕著に阻害され、ドキソルビシンに関連した細
胞障害性効果は報告されなかった。この研究で、エクソソームを介した自然でナノスケールの化学
療法薬のデリバリーに関する将来性が示された。このアプローチをさらに調べるための本質的な実
験がまだ行われていないが、この薬物デリバリーシステムは、臨床現場において効果的であること
が判明するだろう (71)。
10 番目の染色体上の欠損による腫瘍抑制遺伝子 phosphatase and tensin homolog (PTEN) の変異が、乳
がん患者で増加している (72)。PTEN C 末 (PTEN-CT) は、PTEN を安定化する。DU145 前立腺がん
細胞由来のエクソソームは、PTEN を分泌し、PTEN と DU145Kd 細胞 (PTEN ノックダウン DU145
細胞) に輸送されることが発見された (73)。HEK293 細胞からマウス乳がん細胞株 4T1 への PTENCT のエクソソーム輸送は、細胞生存率の減少およびコロニー形成能の障害を引き起こす (74)。この
発見は、乳がん細胞で十分に調べられていないが、PTEN-CT のエクソソームによるデリバリーシス
テムは、PTEN 変異乳がんの治療ターゲットとして有益である可能性がある。
乳がんにおけるエクソソームの臨床試験研究は、いまだ報告されていないものの、メラノーマ、腸
や肺のがんにおいて、この研究に関する先例 (https://clinicaltrials.gov NCT02310451, NCT01294072,
NCT01159288) があり、これらは乳がんに対するエクソソーム研究が臨床応用につながる希望とな
りうるだろう。
結論
このレビューは、乳がんの発症、進展、薬物耐性、標的薬物デリバリーにおけるエクソソームの役
割を浸潤、転移、幹細胞群の刺激、アポトーシスや免疫系の細胞制御へのエクソソームの役割を示
す、特異的な研究を含めてまとめた。これらの EVs 研究への脚光は、乳がんへの興味と理解の増加
に役立つであろう。
これらの面白く、刺激的なデータを基にした新しい所見を確認し、この分野の知識を広げるための
更なる研究が用意されている。エクソソーム研究は臨床現場でまだ利用されていないが、ここで示
されたエクソソームの研究は、乳がんにおける多くのエクソソームの役割と、乳がん患者のための
将来の治療の発展への潜在的可能性を示している。
(訳者:間下
Footnotes
3 Nonstandard abbreviations: :
TNBC,
triple-negative breast cancer;
HER2,
10
有子)
human epidermal growth factor receptor 2;
EV,
extracellular vesicle;
miR,
microRNA;
EGFR,
epidermal growth factor receptor;
CAF,
cancer-associated fibroblast;
TIMP,
tissue inhibitor of metalloproteinases;
CSC,
cancer stem cell;
MSC,
mesenchymal stem cell;
VEGF,
vascular endothelial growth factor;
ADSC,
adipose tissue–derived stem cells;
IL-6,
interleukin 6;
SEB,
staphylococcal enterotoxin B;
11
EXO/SEB,
exosomes from MDA-MB-231 cells were anchored with SEB;
DC,
dendritic cell;
NK,
natural killer;
NKT cells,
natural killer T cells;
NKG2D,
NK group 2, member D;
TAM,
tumor-associated macrophage;
NF-κB,
nuclear factor-κB;
EGCG,
epicathecin gallate;
TLR2,
Toll-like receptor 2;
hTERT,
human telomerase reverse transcriptase;
P-gp,
P-glycoprotein;
Adr,
12
adriamycin;
Doc,
docetaxel;
CTL,
cytotoxic T lymphocyte;
PTEN-CT,
PTEN C-terminus.
4 Human genes:
S100A11,
S100 calcium binding protein A11;
S100A14,
S100 calcium binding protein A14;
PTEN,
phosphatase and tensin homolog.
Author Contributions: All authors confirmed they have contributed to the intellectual content of
this paper and have met the following 3 requirements: (a) significant contributions to the
conception and design, acquisition of data, or analysis and interpretation of data; (b) drafting or
revising the article for intellectual content; and (c) final approval of the published article.
Authors' Disclosures or Potential Conflicts of Interest: Upon manuscript submission, all authors
completed the author disclosure form. Disclosures and/or potential conflicts of interest:
Employment or Leadership: None declared.
Consultant or Advisory Role: None declared.
Stock Ownership: None declared.
Honoraria: None declared.
Research Funding: W.M. Gallagher, the Irish Cancer Society Collaborative Cancer Research
Centre BREAST-PREDICT Grant CCRC13GAL; L. O'Driscoll, the Irish Cancer Society
13
Collaborative Cancer Research Centre BREAST-PREDICT Grant CCRC13GAL, H2020
Cooperation in Science and Technology, Microvesicles and Exosomes in Health & Disease [MEHaD; BM1202], and HEA PRTLI Cycle 5 funding of TBSI.
Expert Testimony: None declared.
Patents: None declared.
Received for publication March 11, 2015.
Accepted for publication August 14, 2015.
© 2015 American Association for Clinical Chemistry
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