...

エレクトロスピニング法によるナノファイバー製造技術に関する兵庫県の

by user

on
Category: Documents
29

views

Report

Comments

Transcript

エレクトロスピニング法によるナノファイバー製造技術に関する兵庫県の
エレクトロスピニング法
エレクトロスピニング法による
ナノファイバー
ナノファイバー製造技術
ナノファイバー製造技術の
製造技術の
兵庫県
兵庫県の
兵庫県の取り組み
日時:平成21年10月2日(水)
13:10~14:10
場所:大阪科学技術センタービル
6階 605号室
兵庫県立工業技術センター
繊維工業技術支援センター
中野恵之
兵庫県立工業技術センター
兵庫県立工業技術センターの
センターの概要
機械金属工業技術支援センター
機械金属工業技術支援センター(
センター(三木市)
三木市)
兵庫県
(神戸市須磨区)
神戸市須磨区)
繊維工業技術支援センター
繊維工業技術支援センター
(兵庫県西脇市)
兵庫県西脇市)
総務部
技術企画部
技術支援部
材料技術部
ものづくり開発部
ものづくり開発部
環境・
環境・バイオ部
バイオ部
情報技術部
皮革工業技術支援センター
皮革工業技術支援センター(
センター(姫路市)
姫路市)
支援産業の
支援産業の地域
豊岡鞄
142社
142社
麦わら細工
わら細工 細工 5社
柳行李 柳行李 17社
17社
豊岡市
但馬ちりめん
但馬ちりめん
105社
105社
企 業 数
H15年現在
年現在
全1227社
1227社
丹波竜
播州織
476社
476社
山南町
多可町
西脇市
皮 革
357社
357社
姫路市
たつの市
たつの市
加西市 加東市
小野市
加古川市
高砂市
神戸市
靴 下
108社
108社
川西市
神戸アパレル
神戸アパレル
17社
17社
1.兵庫県で
兵庫県で開発した
開発した装置
した装置について
装置について
2.試作サンプル
試作サンプルについて
サンプルについて
*ポリ乳酸 *コラーゲン *PLGA *スプレー法の応用(ナイロン多孔重合)
3.カバーステントの
カバーステントの開発について
開発について
4.エレクトロスピニングによる
エレクトロスピニングによる糸製造
による糸製造について
糸製造について
静電紡糸について
① 電荷の
電荷の反発力<
反発力<表面張力
② 電荷の
電荷の反発力=
反発力=表面張力
③ 電荷の
電荷の反発力>
反発力>表面張力
ノズル
V
+
+
+ +
ポリマー液滴
+ +
+ +
+
+
+
+
+
+
+
+
基板
スプレー状
スプレー状に噴出された
噴出されたナノファイバー
されたナノファイバー
① ノズル先端のポリマー液滴表面に電荷が集まり互いに反発する。
このときノズルから出た液滴は次第に円錐状(Taylor cone)になる。
② 電荷の反発力が表面張力を超えたとき、液は円錐の先端から
真直ぐに噴射される。
③ 噴射された溶液流が細くなるとさらに電荷の反発力が増し、溶液流は
さらに引き伸ばされる。このとき、溶液量の表面積が急速に大きくなる
ので溶媒が揮発し、基板上にナノファイバーが形成される。
一般的な
一般的なミクロファイバーの
ミクロファイバーの紡糸方法
*接合型
紡糸時に2成分の高分子を分割相互配列し、紡糸後に分割することによりミクロファイバーを製造する方法。
*海島型
紡糸時に1成分が他成分中に高度に分散して繊維軸方向に連続的に配向させ、後に他成分系を溶解するこ
とからミクロファイバーを得る方法。
*スパンボンド法
スパンボンド法
溶融紡糸後に繊維を空中で分散させ堆積した繊維を融着させてフェルトを作成する方法。
*フラッシュ紡糸法
フラッシュ紡糸法
高分子と溶剤を加熱してノズルから爆発的に噴出させ、溶媒の気化とともにミクロファイバーを製造する方法。
*メルトフロー法
メルトフロー法
溶融した高分子を熱風で吹き飛ばしてミクロファイバーを得る方法。
一般的な
一般的なミクロファイバーの
ミクロファイバーの紡糸方法は
紡糸方法は接合型や
接合型や海島型であるが
海島型であるが、
であるが、これらの方法
これらの方法で
方法でコ
ラーゲン等
ラーゲン等の天然タンパク
天然タンパクを
タンパクを紡糸することは
紡糸することは不可能
することは不可能である
不可能である。
である。また、
また、直接フェルト
直接フェルト化
フェルト化する方
する方
法としてスパンボンド
としてスパンボンド法
スパンボンド法やフラッシュ紡糸法
フラッシュ紡糸法、
紡糸法、メルトフロー法
メルトフロー法があるが、
があるが、これらも加熱
これらも加熱によ
加熱によ
りタンパクが
タンパクが変性するため
変性するため適
するため適していない。
していない。
メリット
エレクトロスピニング
エレクトロスピニング法
エレクトロスピニング法による繊維化
による繊維化では
繊維化では、
では、タンパクのように
タンパクのように熱
のように熱に弱い物質でも
物質でも電気的
でも電気的
な反発により
反発により溶媒
により溶媒(
溶媒(水)が離れて繊維化
れて繊維化が
繊維化が進むので分子量
むので分子量が
分子量が落ちない等
ちない等のメリットがあ
メリットがあ
り、また、
また、通常の
通常の方法では
方法では繊維化
では繊維化が
繊維化が困難な
困難な材料でも
材料でもミクロ
でもミクロ・
ミクロ・ナノファイバーが
ナノファイバーが作成できる
作成できる
可能性がある
可能性がある。
がある。
写真 現在の装置
エレクトスピニングマシン試作装置の概略図
原料液
窒素ガス
高電圧
*塩化ビニル素材で絶縁
*ノズル5本セット可能
温湿度計
*本体(ステンレス製)
*簡易密閉
流量計
排気(真空ポンプ)
アース
兵庫県技術改善研究より
横型スピニング装置本体(写真は縦になっている)
静電紡糸による
静電紡糸による材料開発
による材料開発
モノマーからの重合生成
高分子物質
溶剤可溶高分子
(長所)
溶媒脱離がしやすく成型物
が得られやすい。
(短所)
溶媒の扱いが難しい。
高価でもかまわないもの
赤血球・白血球分離フィルタ
細胞培地
ポリ乳酸
水溶性高分子
(長所)
水系のため扱いやすい。
(短所)
水が乾燥しずらい。
安価なもの
インナー等の衣料材料
ガーゼ等の医療材料
界面重縮合反応
(長所)
簡単な工程で多孔質体が
得られる。
(短所)
成型物が得られにくい。
(粉末になりやすい)
ニッチな用途の開拓
多孔質を利用した医療材料
精密機器の防音材・防振材、
吸着材 など
コラーゲン
ナイロン
ポリ乳酸
ポリ乳酸(PLLA)
乳酸(PLLA)
PLLA 8.1%(ジクロロメタン溶液)
内径0.2mmノズル使用
電圧15kV 流速約0.02ml/min.
PLLA 濃度:10%(ジクロロメタン) 電圧:15kV
ノズル径:0.3mm 押出圧力:0.02MPa
(上部の
上部の網の形状による
形状による差
による差は無し)
PLLA 2.0% (ジクロロメタン溶液)
PDLA 2.0% 混合液
内径0.2mmノズル使用
電圧15kV 液流速0.16ml/min.
コラーゲン(カネカ) 濃度:6.5%(HFIP20%) 電圧:20kV
ノズル径:0.2mm 押出圧力:0.15MPa
(押出圧力を
:0.10:
:0.15MPaと
と変えて試作
押出圧力を0.05:
えて試作したが
試作したが変化無
したが変化無し
変化無し)
多孔質体製造方法
電気的反発に
よりモノマー1
液が多孔質状
になる。
モノマー1
モノマー2を入れ
た反応漕中で素
早く重縮合反応を
起こす。
モノマー2
反応漕
アミン化合物
ハライド化合物
アミン化合物と酸ハライド
ハライド化合物とを、界面重合反応させることにより、架橋ポリアミドを主
成分とする多孔質体を得ることができる。
界面重縮合
上記アミン
上記アミン化合物
アミン化合物は、少なくとも2個の1級及び/又は2級アミノ基を有する単量体からなる群から選択される少
なくとも1種であることが望ましい。上記アミン化合物としては、例えば、芳香族、脂肪族又は脂環式の多官能アミン化合
物等が挙げられる。上記芳香族の多官能アミン化合物としては、例えば、m-フェニレンジアミン、p-フェニレンジアミン、
1,3,5-トリアミノベンゼン等が挙げられる。上記脂肪族の多官能アミン化合物としては、例えば、ヘキサメチレンジアミン、
エチレンジアミン等が挙げられる。上記脂環式の多官能アミン化合物としては、例えば、1,3-ジアミノシクロヘキサン、
1,2-ジアミノシクロヘキサン等が挙げられる。
上記酸ハライド
上記酸ハライド化合物
ハライド化合物は、2個以上の酸ハライド基を有する単量体からなる群から選択される少なくとも1種で
あることが望ましい。例えば、芳香族、脂肪族又は脂環式の多官能性酸ハライド化合物が挙げられる。上記芳香族の多
官能性酸ハライド化合物としては、例えば、トリメシン酸クロライド、テレフタル酸クロライド等が挙げられる。上記脂肪族
の多官能性酸クロラド化合物としては、例えば、アジピン酸ジクロラド、セバシン酸ジクロライド等が挙げられる上記脂環
式の多官能性酸ハライド化合物として、例えば、シクロプロパントリカルボン酸クロライド等が挙げられる。
ClOC 酸ハライド化合物
H2N アミン化合物 NH2
COCl
繰り返し反応
アミド結合
ClOC 酸ハライド化合物
CONH
+
HCL
アミン化合物 NH2
n
(番外2)
写真 ナイロン6,6 多孔質体の電子顕微鏡写真
成形・
成形・加工技術について
加工技術について
布へのエレクトロスピニング
へのエレクトロスピニング加工
エレクトロスピニング加工(
加工(コラーゲン加工
コラーゲン加工)
加工)
ポリエステル(白布)
基布
加工面
加工面拡大
加工面
綿(播州織)
基布
加工面
加工面拡大
ポリエステル
コラーゲン
コラーゲン
綿
親指保護パッド
親指保護パッドの
パッドの試作
無縫製・立体成型
指に装着している様子(ポリカプロラクトン)
電子顕微鏡写真
エレクトロスピニング法により微小繊維を
被覆した医療用ステントの開発
兵庫県立工業技術センター ○中野恵之
京都大学再生医科学研究所 外波弘之、戸田満秋、岩田博夫
岡山県立工業技術センター 窪田真一郎
三重大学医学部 倉石慶太、当麻直樹、松島 聡、小川 覚、滝 和郎
カバーステントの開発目的
血管瘤
血液が流れず縮小する。
血液
血液
水圧
血管
図 カバーステントの留置方法
図 カバーステントの作成方法
ポリウレタン(日本ポリウレタン工業㈱製)/THF溶液(11w/v%)
印可電圧:20kV、ノズル内径:0.2mm、送液速度:0.136ml/h
12mm
1.5mm
拡張時3mm
図 試作したカバーステント
ステント拡張試験
ステント拡張試験
液漏れ試験
60 cm
120
液漏量(ml/min.)
100
80
60
40
20
0
0
1
2
3
4
5
被覆量(g/㎡)
図 繊維被覆量と液漏量の関係
漏れ量(ml/min.)
90
80
70
60
50
40
30
20
10
0
繊維被覆量
■:1.59g/㎡ ●:3.89 g/㎡
0
20
40
試験時間(h)
図 試験時間と液漏の変化
60
図 拡張後のカバーステントの写真
(流水試験:50時間後、カバー繊維量:3.89g/㎡)
ウサギによる動物試験
血管瘤モデルの作成
組織取り出し
カバーステントの留置
血管瘤モデル
カバーステント留置
ステント留置
C1の10日後
図 血管造影検査 カバーステント留置
D1の翌日
図 10日後にウサギから取り出したカバーステントの写真
特許内容 : 特許内容 : 繊維
: 繊維を
繊維を引き揃える方法
える方法の
方法の発明。
発明。
延伸により繊維物性を改善できる
紡績糸が作製できる
織物・編物の製造が可能となる
取り組みのころ…
*先行特許はステンレス板やドラムに集積とか、アースが取られた対向 電極に集積させる記述です。
*特開2004ー238749では、イオンを噴出させて、電気的に中和させ る記述がありましたが、空中であてて落下させている内容です。
比較テスト
(引き揃えできそうでできない方法)
*図5は、直径1cmの金属円柱を集積
体にして2千rpm.で回転させたもの。
高速回転させても繊維は並ばない。
*図6は針がねに集積させたもの。糸の
ように剥がせるが、すぐに切れる。
*図7は、拡大写真。細いフェルト状態な
ので、伸びずに絡んで切れてしまう。
図6 針がねに集積
図5 2千回転試料
図7 針がねから外して拡大
発明の方法
ノズル
ベルトを回転させる
ベルト表面に凹凸を持たせる
ことにより、集積される繊維に
方向性を持たせる。
*ベルトの材質は限定しない(金属、ゴムベルト含む)
*ベルトの凹凸は必要だが、ベルトの回転状態は限定しない
(楕円、丸等も含める)
繊維が
繊維が並ぶ理由について
理由について
2)
1)赤凸を基準に考えると、ノズルに
一番近い赤凸に繊維が集まる。
2)ベルトは移動して次の緑凸が近く
なるとそちらに引き寄せられる。
このとき、縦方向に繊維が並ぶ。
3)緑凸に繊維が集まり始める。
・・・この繰り返し・・・・・・・・・・・・・・・
1)
3
)
繰り返す
溶液:ポリカプロラクトン20vol%
(ジクロロメタン溶液)
印加電圧:15kV、ノズル:24G、圧力0.15MPa
*ベルト表面には進行方向に対して横向きの
凸線があります。
*図1のようにベルト進行方向に繊維が並ぶ
*図21のように外すと凸上は横方向、それ以外は
縦方向に繊維が並ぶ。
図3 ベルトから外したところ
図1 ゴムベルトに集積
図2 ベルトから外した写真
図4 連続した繊維
技術展開の
技術展開のイメージ
延伸工程
紡績糸の作製
(ミクロ・ナノ繊維)
引き揃え技術の開発
実験装置
5)紡績される 1)ノズル
6)巻取部
4)アース接地部
2)微小繊維
写真 装置全体の外観
3)集積部(回転させる)
ビデオ
延伸方法
繊維試料
延伸
80℃
恒温水漕
同倍率の写真
紡糸の様子
3倍延伸
ポリ乳酸による試作例
試作条件
*ポリ乳酸(ユニチカ製)
0.15g/mL(ジクロロメタン溶液)
*ノズル内径:0.3mm
*押出圧力:0.1MPa
*印可電圧:15kV
*集積部直径:9cm
*集積部の回転数:230rpm.
*糸
糸の生成速度:
生成速度:63mm/
63mm/分
mm/分
50μm
延伸条件
*延伸温度 80℃
*延伸倍率 4倍、8倍
50μm
生産速度を上げるためには?
ノズルの本数を増やせば良い!
課題
製造方法が原因の課題
装置が原因の課題
製造方法の改良点
+印加
+印加
+
+
++
+印加
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
++
+印加
ノズルと
ノズルと同じ電圧
を印加して
印加して、
して、強制的
に中央へ
中央へ送り込む。
アース
改良した糸製造装置
巻き取り
ノズル
高電圧電源
伝達ベルト
空気圧
モーター
アース
溶液
巻き取り
回転により撚糸ができる。
電場による反発
製造繊維
アース
図 繊維が撚られて糸が作成される原理
改良した糸製造装置の写真
上方より
全体写真
巻き取られた試作糸
撚り糸が製造されている様子
試作糸の電子顕微鏡写真
外側から微細繊維を吐出させた場合
ノズル本数 生産速度 撚数 糸物性
1本 63mm/分 やや多い やや硬い
2本 107mm/分 多い 硬い
内側から微細繊維を吐出させた場合
ノズル本数 生産速度 撚数 糸物性
1本 168mm/分 少ない 柔らかい
*回転集積部の汚れが改善
試作糸の物性試験(80℃で、4倍、8倍延伸したポリ乳酸試料)
広角X線写真
ブランク糸 4倍延伸糸 8倍延伸糸
引張試験
ブランク糸 4倍延伸糸 8倍延伸糸
繊維径(μm) 6.0±1.9 3.2±0.9 2.5±0.9
引張強度(g/d) 1.5×10-2 5.6×10-2 1.5×10-1
伸長率(%) 94±32 25±2 20±1
まとめ
① 回転集積部の外側から微細繊維を吐出する場合
では、1本のノズルの装置では、糸の製造速度は
63mm/minであったが、2本のノズル使用で約1.7倍に
あたる107mm/minの製造速度が得られた。今回の内
側から吐出させた場合では、1本ノズルの使用でも
168mm/minの製造速度が得られた。
② 新設した装置では、回転集積部のアース部分の
汚れを少なくすることができた。また装置外部に帯電さ
せたアルミ壁リングにノズルと同一の高電圧を印加す
ることにより、噴出した微小繊維を中央に集中して効
率良く集積できた。
Fly UP