『夜のスイッチ』 『ミッドナイターズ① 真夜中に生まれし者』 『深海生物の謎

『夜のスイッチ』
レイ・ブラッドベリ／文 北山克彦／訳
マデリン・ゲキエア／絵 晶文社
昔、夜が嫌いな男の子がいた。夜ふけ
に、その子の部屋だけが、町中でたった
一つ明かりを灯し続ける。夜、外に出ら
れないその子は、夏の夜に他の子ども達
が芝生で遊ぶ輪にも入れなかった。
ある晩、ダークと名乗る女の子が訪ね
てくる。
「あなたは独りぽっちね」と、男
の子に声をかけ、
「わたしが〈夜〉にひき
あわせてあげる」と言った。
静かで美しい絵本です。あなたも、夜
の闇に五感を研ぎ澄ましてみませんか。
『深海生物の謎
彼らはいかにして闇の世界で生きることを決めたのか』
北村雄一／著
ソフトバンククリエイティブ
漆黒の海の中。光は届かず水温３℃、地上の 20 倍以上
の圧力。人間ならばたちどころに押しつぶされてしまう
世界、「深海」。そんな世界に住む奇妙な生き物たちは、
闇の世界で生きるため極限まで進化を遂げ、究極とも
いえる最低限のエネルギーで生きている。
暗黒の海をセキトリイワシの一種が、真っ黒な体、
にごった真珠色の瞳を見開いて、身じろぎせずに流され
ていく。まるで瀕死の魚だが、彼らは身に危険を感じた
り、餌をかぎつけたりしない限り、潮の流れに身を任せ
ているらしい。
地獄のような環境に群がる深海生物たちの、不可思議
な生態に迫る。
スコット・ウエスターフェルド／作
金原瑞人・大谷真弓／訳 東京書籍
ジェシカは普通の女子高生。今度引越してきた
ビクスビーの町は、何かおかしい。水は妙な味が
するし、変な夢も見る。学校では、変わり者の
少女デスに謎めいた話を聞かされた。
そしてある夜中、目が覚めると、妹がマネキン
のように固まっている！ あたりは青い光に
満ち、空には黒々とした異常に大きな月。外に
出たジェシカは、ヘビや黒ヒョウに襲われた
ところをデスに助けられる。ビクスビーには夜中
の 12 時に時が止まる「ブルータイム」があり、
その時間に活動できるのは、デスをはじめとする
特殊能力を持つ「ミッドナイター」と闇の生き物
達だけだった。
なぜか闇の生き物達に狙われることとなった
ジェシカの秘められた能力を見つけるため、
ミッドナイター達はブルータイムに、ある場所へ
と向かう。（シリーズ全 3 巻）
よ いち
『チェラブ 英国情報局秘密組織
Mission1 スカウト』
ロバート・マカモア／作 大澤晶／訳
『ミッドナイターズ① 真夜中に生まれし者』
『夜市』
恒川光太郎／著
角川書店
ほるぷ出版
こうもり
英国情報局には、10～17 歳の子どもで構成
されているスパイ機関、チェラブという裏の組織
が存在した。11 歳で両親を失ったジェームズは、
妹と引き離され、施設で暮らしていたが、ある日
注射で眠らされ、目を覚ますとそこはチェラブの
中だった。
５つの選考試験に合格すれば、ゆくゆくは英国
政府の秘密情報捜査官として活躍の場を保証
される。首尾よくテストをパスしたジェームズ
は、100 日間の厳しい基礎養成訓練を終え、晴れ
てチェラブの一員としてミッションに送り込ま
れた。それは、国家や企業の代表者をねらった
テロ攻撃の情報を集める、という危険な任務だっ
た。彼は先輩スパイのエイミーと共に、テロ組織
のメンバーが潜んでいるとみられるキャンプに
潜入し、極秘に捜査活動を開始する。
（現在シリーズ 5 巻まで出ています。
）
学校蝙蝠 が夜市の開催を告げる。いずみは
裕司に誘われて、その市に足を踏み入れた。
そこは、お祭りの屋台と似て店が並ぶが、
鬼火のような炎が木々の間に浮かび、お神楽も
人の声もない静かなところだった。そして、
夜市にはルールがあり、迷い込んだら買い物を
するまでは出ることはできなかった。
実は裕司には、子どもの頃、弟とこの市に
迷い込んだ過去があった。そこで、彼は「野球
選手の器」を買うために、弟を売ったのだ。
市から抜け出した時、弟はこの世に存在してい
なかったことになっており、野球の才能には
恵まれたが、罪悪感にさいなまれる。そして、
再び夜市を訪れた彼には、ある計画があった。
夜市は複数の世界の交じり合う点に出現す
るという。あなたも哀しくも恐ろしい独特の世
界に迷い込んでみませんか。「風の古道」と
2 編が入った短編集です。