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共に市場を創る - 不動産証券化協会
Vol.03 THE ASSOCIATION FOR REAL ESTATE SECURITIZATION September-October 2011 共に市場を創る Vol.03 2011 September-October 特集 Jリート10周年記念企画 ■ 連続座談会 不動産証券化市場の新たなるステージに向けて 高田創 氏 みずほ総合研究所 常務執行役員調査本部長 横田雅之 氏 田形敏己 氏 東京証券取引所 上場推進部課長 三井住友銀行 (アセットファイナンス統括) 常務執行役員 金子佳喜 氏 田邉信之 氏 ディーティーゼット・デベンハム・タイ・レオン 宮城大学事業構想学部 教授 代表取締役兼 CEO (モデレーター) ■ アナリスト連続レポート 10 年を迎えるJREIT市場のあゆみと今後 野村證券株式会社金融経済研究所 荒木 智浩氏 エ クイティ ・リサーチ部インフラストラクチャー・チームシニアアナリスト 一般社団法人 不動産証券化協会 THE ASSOCIATION FOR REAL ESTATE SECURITIZATION ピラトの家 (セビーリャ スペイン) 大聖堂のある中心部から北東に1キロほどの閑静な住宅街の一角にピ ラトの家がある。その入り口はなんの変哲もないのであるが、一歩中には いると別世界。その意味はヨーロッパではなくイスラムの世界ということだ。 16 世紀初頭に建てられた完璧なイスラム様式の豪邸である。着工したの がアンダルシア総督ペトロ・エンリケで、それを引き継いで完成させたの が息子のタリファ侯爵。二代にわたる執念の賜物というべきで、大豪邸の 敷地内はすべてイスラムである。あらためて大航海時代に良港として繁栄 したセビーリャの歴史に思いをはせる。そのときここにイスラム文化に魅了さ れた男がいたのだと。そしてイスラム教が地中海の覇権をにぎった時代も あったということを思い出す。それにしても、 「ピラトの家」とはなんだ。キ リストに死刑の判決をくだしたポンティウス・ピラトのことか。一説によると、 着工したペトロ・エンリケスがエルサレムに旅したときに、ローマの総督 ポンティウス・ピラトが住んでいたとされる「ピラトの家」を実際に見て想 を得たとされている。しかし、この説には異論もある。そもそもキリストが 十字架にかけられたころにイスラム教という宗教は誕生していないという 説。だが一方で建築様式は気候という自然条件によって生まれるのである からして、当時のエルサレムに今日いわれるイスラム様式的なるスタイル の邸宅があっても不思議はないのだと。ただし装飾については偶像崇拝 を禁じているから、イスラム教の勢力拡大とともに大幅に修正されただろう と。この議論はともかくとして、15 世紀末という時代に、エルサレムに行き、 そこで見た「ピラトの家」に感動し、それに似せた邸宅をセビーリャの一 角に建てたというのだからすごい。熱心なムスリムだったに相違ないと思うの だが、邸内をしさいに見ていくと、ルネサンス様式やゴシック様式をほうふ つさせるところもある。 (井尻千男:拓殖大学名誉教授) 一般社団法人 不動産証券化協会