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67 第6章 温室効果ガス排出抑制等に関する施策 1 秋田県における温暖
第6章 温室効果ガス排出抑制等に関する施策 1 秋田県における温暖化対策 第4章でも述べたとおり、秋田県における温室効果ガス排出量は、2007(平成 19) 年度は 1990(平成 2)年度の基準年に比べて 26.8%増加しており、同年の全国の伸 び率 8.5%に比べて著しく増加しています。 このような秋田県の温室効果ガスが増加している現状を県民一人ひとりが認識す るとともに、化石燃料が限りある資源であることも理解しながら、温室効果ガス削 減目標の達成に向け、それぞれの立場で意識的に温室効果ガス削減に取り組んでい くことが求められています。 2 分野別の対策 (1) 排出抑制対策の推進(省エネルギー対策) ① 民生家庭部門 2007(平成 19)年度の排出量は、基準年度である 1990(平成 2)年度を大き く上回っています。第5章で設定した削減目標である 466 千トンの達成のため、 2020(平成 32)年度までに次の対策の実現を目指します。 対 策 高効率給湯器の導入 導入目標 家庭向け給湯器の新規導入量に占める割合 100%、 住宅全体に占める割合 60% 省エネ家電(テレビ、 家電買い替え時のトップランナー基準対応品の採 エアコン、冷蔵庫)の 用率が 100% 買い換え 白熱灯買い替え時の電球型蛍光灯の採用率が 白熱灯の買い換え 100% 削減量 61千トン 182千トン 34千トン 高 効率 蛍光灯 器具の 住宅の建て替えに伴う高効率型の新規採用率が 導入 100%、住宅全体への普及率が 16% 9千トン 各世帯で実施され、また、待機電力は 70%が削減 される 50千トン 新築の次世代基準採用率 90%。そのうちの 30%は 建 替時 の次世 代省エ 1ランク上の次世代基準(Ⅲ地域ならⅡ地域、Ⅱ ネ基準採用 地域ならⅠ地域の基準)を採用 130千トン 省エネ行動の実施 これらの対策を進めるため、次の取組を実施します。 ア 家庭の省エネ診断の受診の促進 家庭の省エネを効果的に進めるためには、家庭のどの部分でどのくらい のエネルギーを使っているかを「見える化」することが基本です。 67 環境家計簿(エコ家計簿)の普及を促進するとともに、秋田県地球温暖 化防止活動推進センター等と連携しながら、家庭の省エネ診断(うちエコ 診断)の受診を促進し、省エネ行動の実践に繋げます。 イ 住宅の断熱化の促進 積雪寒冷地に位置する秋田県においては、家庭で使用される暖房エネル ギーを削減するためにも、住宅の断熱性を向上させていくことが重要です。 「秋田版省CO2型住宅」の考え方の周知を図りながら、既存住宅の断熱 改修(エコリフォーム)を推進するために、「ストップ・ザ・温暖化あき た県民会議 省CO2型住宅普及部会」、財団法人秋田県建設技能組合連合 会等のエコリフォームに関する団体と連携して、「エコリフォームアドバ イザー」を養成し、工務店及び県民向けに断熱改修による効果及び施工方 法等について普及啓発します。 また、手軽にできる断熱化事例の情報やエコリフォーム事例に関する情 報についても提供します。 ウ 家電製品や暖房、給湯機器の省エネ化の促進 給湯器や照明機器など省エネ性能が急速に向上している製品は、高効率 型に更新することでエネルギー消費量を大幅に削減できることから、高効 率機器の費用対効果に対する認識を浸透させるとともに、国の支援制度等 を活用し普及を加速させます。 なお、高効率機器の導入については、個人に一定の負担を求めていくも 68 のであることから、国の制度の動向を踏まえつつ、民間企業等の協力を得 ながら、省エネ機器への切り替えに対するインセンティブが働くような制 度を構築していきます。 エ 省エネ関連情報の提供、普及啓発 エコリフォームや高効率機器の導入による省エネ効果や支援制度につい て、正確な情報を分かりやすく県民に発信します。 また、環境家計簿(エコ家計簿)をつけることで、自身の日常生活で排 出される温室効果ガスを手軽に把握することができることから、これから も環境家計簿の普及に努めます。 あわせて、効果的な省エネ行動についても啓発します。 ② 民生業務部門 2007(平成 19)年度の排出量は、基準年度である 1990 年度を大きく上回っ ています。第5章で設定した削減目標である 296 千トンの達成のため、2020(平 成 32)年度までに次の対策の実現を目指します。 対 策 省エネ診断の実施 導入目標 各事業所で省エネ診断を受診し、運用改善を実施す る BEMSや業務用 省エネ法対象事業所の 1/3 が導入。 省エネナビの導入 照明のLED化 高効率空調施設等 の導入 建物の断熱化 削減量 121千トン 10千トン 新規導入分に占める割合が 100%、ストックに占め る割合が 50% 56千トン 新規導入分に占める割合が 100% 29千トン 新築(すべての規模)に係る次世代省エネ基準採用 率が 85%、普及率が 52% 80千トン これらの対策を進めるため、次の取組を実施します。 ア エネルギー管理の推進 事業所の省エネを効果的に進めるためには、自身がどのくらいのエネル ギーを使っているかを把握する必要があります。 このため、環境マネジメントシステムの導入を促進するとともに、財団 法人省エネルギーセンター等と連携しながら、省エネルギー診断が容易に 行えるような環境を整えます。 また、BEMSや業務用省エネナビ等の導入によるエネルギーの「見え る化」を促進し、エネルギー使用量の管理を行いやすくします。 69 イ 建物の断熱化の促進 建築物の新築・改築時等における断熱構造化を促進し、オフィス等の空 調や暖房に係るエネルギー使用量を削減します。 ウ 高効率機器の普及支援 空調や照明機器など省エネ性能が急速に向上している製品は、高効率型 にすることでエネルギー消費量を大幅に削減できることから、高効率機器 の費用対効果に対する認識を浸透させるとともに、国の支援制度等を活用 し省エネルギー技術や省エネルギー設備・機器等の普及を推進します。 エ 省エネに取り組む企業に対する積極的な評価 省エネを進めていく上で、温暖化対策に積極的に取り組んでいる企業を 表彰し県民にPRしていきます。 オ 地方公共団体の率先行動による効果の実証と啓発 大規模な施設についてはESCO事業の導入を進めるとともに、その他 の施設においても、省エネ診断の受診や各種省エネ対策を率先的に実施す るとともに、機器の更新に当たっては省エネ機器の導入に努めます。 県有施設改築の際には「グリーン診断・改修」を実施することにより、 効果的かつ効率的に省エネ技術を導入します。建築物全体におけるライフ サイクルを通じた排出量抑制という指標の定着に努めます。 また、公共施設で取り組んでいる省エネの効果を施設利用者ら来場者に 「見える化」することで、地域住民の省エネ対策の実施を促します。 県におけるESCO事業導入事例 70 カ 情報共有及び発信 民生業務部門の省エネを関係団体と一体となって取り組むため、省エネ ルギー連絡会において情報を共有するとともに、ガイドブック等を作成し て省エネを強力に推進していきます。 なお、公共施設で実施した対策による効果は、県のホームページ等で公 表するとともに、秋田県省エネルギー連絡会において情報の共有を図るこ とで、民間事業者による省エネへの取組を促進します。 秋田県省エネルギー連絡会の概要 秋田県における温室効果ガスの排出削減に資するため、県民、事業者、行政が緊密 な連携を図り、効果的な温暖化対策、特に民生業務部門における省エネルギー対策を推 進することを目的として、平成 22 年 9 月に設立されました。 民生業務部門の省エネルギー対策に関する情報の収集、交換及び提供や、県内事業所 における優れた省エネルギー活動事例の収集、紹介及び顕彰を行う予定です。 現在の構成団体は次のとおりとなっています。 <構成団体> ・秋田県商工会議所連合会 ・秋田県中小企業団体中央会 ・特定非営利活動法人環境あきた県民フォーラム ・秋田県商工会連合会 ・財団法人あきた企業活性化センター ・秋田県 ③ 運輸・自動車部門 2007(平成 19)年度の排出量は、基準年度である 1990(平成 2)年度を上 回っています。第5章で設定した削減目標である 527 千トンの達成のため、 2020(平成 32)年度までに次の対策の実現を目指します。 対 策 エコドライブ (乗用車) エコドライブ (貨物車) 自動車買換 (乗用車) 導入目標 削減量 各世帯でエコドライブが実施される 90千トン 各事業者でエコドライブが実施される 50千トン ハイブリット車レベルの低燃費車の新規採用率が 60% 303千トン 乗用車の燃料消費量が平均 25%削減される 自動車買換 トップランナー基準適合車の採用率が 100% (貨物車) 貨物車の燃料消費量が平均 9%削減される これらの対策を進めるため、次の取組を実施します。 71 84千トン ア エコドライブの一層の促進 秋田県では自動車利用が不可避の場合が多い中で、より環境に配慮した運 転技術(エコドライブ)を定着していくことが重要です。 エコドライブ宣言事業所登録制度の普及促進を図るとともに、地域単位、 あるいは業界単位で活動が拡がるよう取組みを進めます。 エコドライブ ~ふんわりアクセル「eスタート」~ 市街地では、走行中に消費する燃料の約 4 割は発進時に使われています。最初の 5 秒で時速 20 キロを目安に、なめらかにゆっくりアクセルを踏み込んで発進すれば、 燃費は約 11%改善します。 北海道・北東北4道県では、共同でエコドライブステッカーを作成・配布し、連携 してエコドライブに係る普及啓発事業を行っています。 エコドライブ10のすすめ ①ふんわりアクセル ⑥適切な暖機運転 ②加減速の少ない運転 ⑦道路交通情報の活用 ③早めのアクセルオフ ⑧タイヤの空気圧点検 ④控えめなエアコン使用 ⑨不要な荷物は積まない ⑤アイドリングストップ ⑩違法駐車をしない イ 低燃費車の普及促進 乗用車や貨物車は、低燃費型に切り替えることでエネルギー消費量を大幅 に削減できることから、低燃費車の費用対効果に対する認識を浸透させると ともに、国の支援制度等を活用し普及を加速させます。 ウ 情報共有及び発信 運輸部門の省エネを関係団体と一体となって取り組むため、美の国あきた エコ交通推進協議会等と情報を共有し発信します。 ④ 産業部門 2007(平成 19)年度の排出量は、基準年度である 1990(平成 2)年度を上回 っています。第5章で設定した削減目標である 301 千トンの達成のため、2020 (平成 32)年度までに次の対策の実現を目指します。 対 策 導入目標 削減量 自 主 行 動 計 画 の 達 省エネ法対象事業所において、2020 年度に 1990 年 成支援 度レベルの排出量とする 271千トン 各工場で省エネ診断を受診し、運用改善を実施す る 30千トン 省エネ診断の実施 これらの対策を進めるため、次の取組を実施します。 72 ア エネルギー管理の推進 工場の省エネを効果的に進めるためには、自身がどのくらいのエネルギ ーを使っているか把握することが必要なことから、環境マネジメントシス テムの導入を促進するとともに、財団法人省エネルギーセンター等と連携 しながら、省エネルギー診断が容易に行えるような環境を整えます。 また、業務用省エネナビ等の導入によるエネルギーの「見える化」を促 進し、エネルギー使用量の管理を行いやすくします。 省エネルギー診断による運用改善効果 財団法人省エネルギーセンターが実施している省エネルギー診断では、 ①運用にて実施可能な省エネ ②自己投資にて実施可能な省エネ ③リニューアル時に実施可能な省エネ の3種類が提案されます。 省エネ診断を受けた事業場は、実施が可能な対策を行うことでエネルギー使 用量を数%以上を削減しています。 なお、年間のエネルギー消費量が原油換算で 100kL 以上 1,500kL 未満の事業場 については、無料で診断を受けられます(平成 22 年度) イ 建物の断熱化の促進 建築物の新築・改築時等における断熱構造化を促進し、空調や暖房に係 るエネルギー使用量を削減します。 ウ 高効率機器の普及支援 空調や照明機器など省エネ性能が急速に向上している製品は、高効率型 にすることでエネルギー消費量を大幅に削減できることから、高効率機器 の費用対効果に対する認識を浸透させるとともに、国の支援制度等を活用 し省エネルギー技術や省エネルギー設備・機器等の普及を推進します。 エ 省エネに取り組む企業に対する積極的な評価 省エネを進めていく上で、温暖化対策に積極的に取り組んでいる企業を 表彰し県民にPRしていきます。 (2)排出抑制対策の推進(代替フロン等対策) ① 冷凍空調機、エアゾール製品、発泡断熱材のノンフロン化 関係機関や関連団体等と連携し、ノンフロンなど地球温暖化係数の低い化 学物質を使用している製品の普及を促進します。 73 ② 地方公共団体による率先購入、利用 冷凍空調機(冷蔵庫、エアコン等)やエアゾール製品を購入するときは、 ノンフロン製品など地球温暖化係数の低い冷媒を使用した製品を選択しま す。 また、発泡断熱材にはノンフロンなど地球温暖化係数の低い発泡剤を使用 した断熱材を選択します。 ③ 廃棄時の適正処理 フロン等を使用している機器の廃棄に当たっては、フロン回収破壊法、 家電リサイクル法、自動車リサイクル法に基づき、適正処理を推進します。 フロン類(CFC・HCFC・HFC)による温室効果 フロン類(CFC・HCFC・HFC)は、地球温暖化への単位当たりの影響 (地球温暖化係数)が二酸化炭素の数百倍から 1 万倍という強力な温室効果ガス です。このため、地球温暖化を防ぐ観点からも、フロン類を使用しない製品の利 用や、フロン類が使用された製品を整備・廃棄する際の適切な処理など、これら の物質の空気中への排出抑制・削減に取り組む必要があります。 CFC(クロロフルオロカーボン)とHCFC(ハイドロクロロフルオロカー ボン)については、オゾン層破壊物質でもあることから、「オゾン層を破壊する 物質に関するモントリオール議定書」により生産規制されているほか、両物質を 使用している機器や自動車を廃棄するときは関係法令に基づき回収することが義 務づけられています。 HFC(ハイドロフルオロカーボン)については、オゾン層は破壊しませんが 地球温暖化の原因となるため、「京都議定書」による排出抑制の対象物質とされ ています。 (出典 環境省「地球のために私たちにできること-地球温暖化とフロン類-」、 環境省「オゾン層を守ろう 2010」) 74 (3)再生可能エネルギー等の導入の推進 秋田県新エネルギー導入ビジョン(平成 23 年 3 月策定)に基づき、再生可能エ ネルギー等の導入を促進します。 ① 種類毎の取組 ア 太陽光発電 県内における発電データなどを積極的に情報発信するなどにより、太陽 光発電に対する県民の関心、理解を深めていくとともに、太陽光発電設備 の設置に対して国や市町村と連携した支援を行うことが当面の取り組みと して有効であると考えられます。 a 太陽光発電状況等の情報発信 県のホームページにおいて太陽光発電に関する各種の情報(地域の年間 発電量等)や地域における利活用事例を発信するとともに、相談窓口を 開設します。 b 住宅用太陽光発電設備設置に対する支援 太陽光発電設備の価格や設置費用及び買取価格の動向、国や市町村の支 援制度等に留意しながら、太陽光発電設備の設置に対する支援を行いま す。 イ 風力発電 短期的には県内における風車建設の手順を示すなど、情報発信に取り組 んでいくことが事業者の意欲を高める上で有効と考えられます。 中長期的には学識者や民間事業者と連携し、風車建設に際しての課題を 分析するとともに、風車建設に対する支援の充実が望まれます。 a 風力発電に関するガイドブックの作成 風車建設の手順等を示すガイドブックを作成します。 b 風力発電に関する検討会 風力発電に関する課題や利活用方策の検討を行う検討会を組織し、検 討結果を情報発信します。 c グリーン電力の積極活用 東京都の温室効果ガス総量削減制度も視野に、風力発電の環境価値化 や生グリーン電力の送電、都市需要の開拓・マッチング等についての調 査、検討を進めます。 d 金融機関と連携した支援 風車建設に対する金融機関の環境融資制度等の活用可能性についての 調査、検討を進めます。 e 風況観測等への支援 県内で風力発電事業を予定している事業者に対し、風況観測等への支 援を行います。 75 ウ バイオマス発電(バイオマス由来の廃棄物発電を含む) バイオマス発電は、燃料となる林地残材等の木質バイオマスを安定的に 低コストで確保することが課題であり、林業、木材産業関係者等と連携し ながら、発電所に木質バイオマスを安定的に低コストで供給できる体制の 検討、構築を図ります。 また、県内において廃棄物発電を導入できるのは、ほぼ市町村等の廃棄 物焼却施設に限定されることから、導入を検討する際の情報提供などに努 めます。 エ 小水力発電 当面、導入が期待できるのは安定的な流量のある「既設の施設」であり、 施設管理者(行政、企業、土地改良区等)の理解を深めることに取り組む 必要があります。 その一方で、地域活性化の視点から、身近なクリーンエネルギーとして 様々な利活用策による普及が期待されます。 a 関係者の情報交換の促進 メーカーも含め、小水力発電の関係者が情報交換を行う場を設置し、 先進事例に対する知見を深めるとともに、「小水力ハンドブック」を作 成し、各実施主体の取り組みを支援します。 b 小水力発電の実証調査 水路等に発電機を実際に設置し、効果や課題に関する調査や、設置、 維持、利活用に関するノウハウの蓄積、向上を図ります。 オ 地熱発電 地熱発電の導入には莫大なコストを要することから、国の補助制度など の活用を検討していきます。 カ 太陽熱利用 県では、平成 22 年度から「家庭用高効率給湯器等普及支援事業(あきた 省エネポイント)」において、太陽熱利用システムも支援の対象としてお り、引き続き、こうした支援制度による太陽熱利用の促進を図ります。 キ バイオマス熱利用 県内における木質ペレットの利用については、一部自治体や関係者によ る協議会を通じてペレットストーブやペレットボイラーの普及が行われて おり、こうした先進的取り組み事例についての広報や、市町村と連携した 支援により導入を促進します。 また、木質ペレットの普及にはコスト面の課題があることから、安定供 給に向けた関係者間の情報交換を進めます。 76 ク 温度差熱利用 温度差熱利用については、一般に認知が進んでいないことから、情報提 供、普及啓発を進めることにより導入促進を図ります。 特に、地中熱利用については、公共施設において先進的な導入事例があ るほか、住宅用の冷暖房としての利用もあることから、こうした事例を収 集し広報を進めていきます。 ケ 雪氷熱利用 雪氷熱利用は、初期投資が大きくなる場合が多いものの、ランニングコ ストの面で大きなメリットがあることから、先進事例のデータを収集、広 報することにより導入を促進します。 コ バイオマス燃料製造 a バイオエタノール 平成 21 年 3 月に策定した「秋田県バイオエタノール推進戦略」に掲げ る次の 7 つの戦略を推進します。 また、E10 やDFV(2 燃料自動車)の走行実証を行うとともに、総 合特区制度を活用し、国に対して様々な規制の緩和や支援を要望してい きます。 ・バイオエタノール用原料確保システムの構築 ・本県に適したバイオエタノール製造システムの構築 ・バイオエタノール製造に伴う副産物の利活用の促進 ・県内におけるバイオ燃料流通システムの構築 ・バイオエタノール利用促進に対する支援制度 ・原料の複合利用 ・推進のための体制づくり b BDF 「地域で原料を集め、地域でBDFに加工し、地域で利用する」とい う地域レベルでの小さな循環の輪の構築を支援していきます。 サ コージェネレーション コージェネレーションについては、民間の工場や病院などへの導入が進 んではきていますが、非常用電源として運用している例が少なからずあり、 熱電併給の効率性を生かし切れているわけではありません。このため、今 後、導入を検討する事業者等に対し、先進的な事例やCO2削減効果などを 紹介するなど情報提供に努めます。 シ 燃料電池 燃料電池については、家庭用の機器が販売されるようになり、一般家庭 への普及が期待されることから導入メリット等の周知に努めます。 77 ス クリーンエネルギー自動車 県の公用車の更新に当たっては、クリーンエネルギー自動車の率先導入 に努めます。 また、電気自動車は価格が高く、充電一回当たりの走行距離が短いこと から、爆発的な普及は望めませんが、注目度か高く車種も充実してきてい ますので、急速充電器の設置を促進することなどにより普及を図ります。 ② 共通する取組 ア 新エネルギー導入促進の拠点づくりと情報発信づくり 2010(平成 22)年度に実施された「緑の分権改革」推進事業により、県内 各地の様々な新エネルギーの導入可能性調査、検討が幅広く実施されたこ とから、この成果を広く県全体で共有し、導入促進策を検討するため、新 たに県、市町村、大学等の研究機関、民間事業者やNPOなどで構成する 「新エネルギー導入促進連絡会議」を設置します。 イ 地域間連携の推進と人材育成 「再生可能エネルギー地域間連携に関する六道県協定」に基づき、東京 都等と連携し、グリーン電力証書取引についての情報交換や生グリーン電 力の東京都への供給についての検討等を行います。 また、 「新エネルギー導入促進連絡会議」や地域間連携の成果を踏まえ、 県民、事業者を対象とした新エネルギー関連のイベントや説明会を開催す るとともに、大学等と連携し、事業者を対象とした専門的なセミナーを開 催するなど、新エネルギー導入に取り組む人材の育成を図ります。 再生可能エネルギー地域間連携に関する六都道県協定 CO2削減に有効な再生可能エネルギーを活用することで、都市における再生 可能エネルギー需要と、本県のような自然エネルギー資源の豊かな地域が創り出 す再生可能エネルギー供給を結び付けることを目的として、県は、北海道、青森 県、岩手県、山形県とともに、東京都との間で、「再生可能エネルギー地域間連 携に関する六都道県協定」を、平成 22 年 3 月 26 日に締結しました。 都市のCO2削減並びに地域の経済活性化及び雇用拡大を同時に達成するため、 再生可能エネルギー地域間連携に協力して積極的な取組を行っています。 78 (4)循環型社会の形成(廃棄物の発生抑制等) 第2次秋田県循環型社会推進基本計画に基づき、環境と経済が好循環した持 続可能な社会を目指します。 ① すべての主体による廃棄物の3Rの推進及び適正処理 ・廃棄物の3R活動の促進及び啓発 ・市町村の一般廃棄物の3R・適正処理対策への支援 ・事業者の産業廃棄物の3R・適正処理対策への支援 ・廃棄物の不適正処理、不法投棄の防止 ② 循環を基調としたライフスタイル・事業活動への転換 ・循環型社会についての認識の共有 ・環境教育・環境学習の充実及び人材育成 ・環境負荷の小さい事業活動の推進 ・県の事務事業における率先行動 ③ 地域循環圏の形成 ・バイオマスの利活用システムの構築 ・「都市鉱山」のリサイクルシステムの構築 ④ 循環型ビジネスの振興 ・調査研究及び技術開発 ・県認定リサイクル製品の普及 ・秋田県環境調和型産業集積推進計画(秋田エコタウンプラン)の推進 (5)環境に配慮した交通の推進 秋田県総合交通ビジョン(平成 20 年 7 月策定)に基づき、すべての人と環境に 配慮した交通を目指します。 ① 公共交通の利用促進 ・ノーマイカーデーの普及 ・駐車場、駐輪場の整備の促進によるパークアンドライド、サイクルアンド ライドなど交通結節点機能の充実 ・乗継ぎの拠点となる鉄道駅等において、沿線市町村や交通事業者と連携し、 ダイヤの具体的施策の展開改善や乗継情報提供システムの導入など交通機 関相互の接続の円滑化 ・バスロケーションシステムや複数の公共交通等が連携したICカードの導 入 ・運行情報等の的確な提供 ② 交通の円滑化 ・交差点の改良やバイパス、環状道路等の整備 ・道路交通情報等の提供の促進、時差出勤の促進など交通需要マネジメント 施策(TDM)の推進 ・モビリティ・マネジメントの取組の促進 ・郊外型大規模小売店舗(ショッピングセンター)等と連携し、当該店舗等 の駐車場と公共交通機関の利用を結びつけたパークアンドライド 79 ③ 歩行者・自転車対策の促進 ・快適な歩行者空間や自転車道等の整備 ④ グリーン物流の促進 ・グリーン物流(環境負荷の小さい物流体系)の促進 (6)森林の保全・整備による二酸化炭素吸収促進 本県の県土面積の約 7 割にあたる 82 万haは森林であり、森林蓄積量は約 1 億 4 千万m3で、全国有数の森林県です。森林は、二酸化炭素の吸収源として の大きな役割を担っています。 このため、「秋田県水と緑の基本計画」や「秋田県森林吸収源対策プラン」 に基づき、二酸化炭素を吸収する森林の健全な整備・保全を推進します。 また、秋田スギその他の県内産の木材(以下「県産材」という。)の利用が 森林の整備・保全に資することにかんがみ、「県産材利用推進方針」及び「県 産材利用推進計画」に基づき、公共建築物等の整備に当たっては、率先して県 産材の利用を推進します。 なお、植林などの環境活動は地域内外から多くの方々が参加しており、交流 のきっかけとなっていることを捉え、環境活動を通じた交流促進を図っていく とともに、地域の環境資源や文化的な資産を、環境教育やツーリズムに活かし ていく取組についても積極的に推進します。 ① 森林整備の推進 ・スギ人工林の適切な森林整備 ・スギ人工林の混交林等への誘導 ・広葉樹林の保全 ・天然林等の再生 ・多様な広葉樹の植樹活動の推進 ・民有林「緑の回廊」の維持管理 ② 松くい虫・ナラ枯れ対策の推進 ・松くい虫対策の推進 ・松くい虫防除への住民参加 ・ナラ枯れ対策の推進 ・研究開発の促進 ③ 木材の利用の推進 ・公共施設の木造化及び内装木質化の推進 ・公用備品における木製品導入の推進 ・公共土木事業等における間伐材利用の推進 ・住宅への県産材利用の推進 ・木質資源の多角的利用の推進 ④ 県民参加の森林づくりの推進 ・企業による水と緑の森づくり制度、森林整備による二酸化炭素吸収量の認 証制度の普及 ・植林などの環境活動を通じた地域づくり 80 (7)環境教育・学習の推進 県民や事業者自らが地球温暖化問題に対する理解と認識を深め、ライフスタ イルやワークスタイルを見直し、環境負荷をできるだけ与えないように具体的 に行動することが重要です。このような行動を広げていくためには、幼児から 高齢者までの幅広い世代を対象に、環境教育・学習を推進する必要があります。 このため、「秋田県環境保全活動・環境教育基本方針(平成 18 年 3 月策定)」 に基づき、家庭、学校、地域、職場における環境教育・学習を推進します。 ・環境に関する研修会の開催 ・こどもエコクラブ活動の支援 ・環境学習施設の利用促進 ・秋田県地球温暖化防止活動推進センターと連携した環境学習の推進 ・「あきたエコ&リサイクルフェスティバル」などの啓発イベントの実施 (8)環境価値の創出とカーボンオフセットの普及 ① 環境価値の創出 国内クレジット制度、オフセット・クレジット(J-VER)制度、グリ ーンエネルギー証書制度などを利用した環境価値の創出を促進するととも に、支援できる態勢を確立します。 また、県自らも率先して制度を活用していくなど積極的に普及に取り組み ます。 ② カーボンオフセットの率先実行 県主催の会議やイベントで発生する二酸化炭素については、できる範囲で 県内産の環境価値を活用して、率先してオフセットします。 森林を活用した環境価値の創出 大館北秋田森林組合が実施する「北秋田地域振興事業における上小阿仁村J- VERプロジェクト」が、平成 22 年 6 月、県内で初めて環境省の「オフセット・ クレジット制度」に登録されました。 このプロジェクトは、上小阿仁村において森林を間伐することによりCO2の 吸収量を増加させるものであり、増加分は、オフセット・クレジット制度に基づ くクレジット(J-VER)として発行されます。 秋田銀行では、社会貢献活動の一環として、この秋田県産第1号となるJ-V ERを 100 トン購入し、役職員の名刺を作成する際に発生するCO2と相殺(オ フセット)することとしました。 大館北秋田森林組合では、クレジットの売却費用を使い、さらなる森林整備を 進める予定であり、県内産J-VERを県内企業が購入する「地産地消型」の取 組が始まりました。 また、平成 22 年 11 月には羽後町内の県有林 40haを対象とした間伐促進事業 が、平成 23 年 1 月には八峰町の町有林を対象とした間伐促進事業がJ-VER登 録されたほか、秋田市、大館市でも登録に向けた手続きを進めています。 特に、大館市では、林地残材の搬出から木質バイオマスの燃料利用まで一体と して取り組んでおり、森林整備による吸収量はJ-VER、燃料利用による削減 量は国内クレジットを活用して環境価値化しています。 81 3 各主体ごとに取り組む施策 温室効果ガスの削減目標を達成するには、行政はもとより県民、事業者が、それ ぞれの立場に応じた役割を果たし、様々な知恵を結集し、幅広く連携しながら取り 組むことが不可欠です。 そのため、各主体のとるべき具体的な取組を示します。 (1)県民 ① 省エネルギー対策 ・家庭の省エネ診断の受診 ・住宅の断熱化 ・家電、暖房機器、給湯器等の省エネ化 ・エコドライブの実施 ② 代替フロン類対策 ・空調機、エアゾール製品のノンフロン製品の購入 ・家電等の廃棄時の適正処理の実施 ③ 再生可能エネルギーの導入 ④ 循環型社会の形成(廃棄物の発生抑制等) ・循環を基調としたライフスタイル・事業活動への転換 ⑤ 環境に配慮した交通の促進 ・公共交通機関の利用 ⑥ 森林の保全・整備による二酸化炭素吸収促進 ・木材の利用 ・県民参加の森林づくりへの協力 ⑦ 環境教育・学習への参加 (2)事業者 ① 省エネルギー対策 ・エネルギー管理の実施 ・建物の断熱化 ・高効率機器の導入 ・エコドライブの実施 ② 代替フロン類対策 ・空調機、エアゾール製品、発泡断熱材のノンフロン製品の購入 ・廃棄時の適正処理の実施 ③ 再生可能エネルギーの導入 ④ 循環型社会の形成(廃棄物の発生抑制等) ・循環を基調としたライフスタイル・事業活動への転換 ⑤ 環境に配慮した交通の推進 ・公共交通機関の利用 ・グリーン物流の促進 82 ⑥ 森林の保全・整備による二酸化炭素吸収促進 ・木材の利用 ・県民参加の森林づくりへの協力 ⑦ 環境価値の創出とカーボンオフセットの実施 ・J-VER、国内クレジット、グリーンエネルギー証書の創出、活用 ・カーボンオフセットの実施 (3)行政 ① 省エネルギー対策の推進 ・家庭の省エネ診断の促進 ・事業所のエネルギー管理の普及促進 ・住宅、建築物の断熱化の促進 ・家電、機器等の省エネ化の促進 ・省エネに取り組む企業に対する積極的な評価 ・エコドライブの普及促進 ・地方公共団体による率先行動による省エネ効果の実証 ② 代替フロン類対策の推進 ・ノンフロン製品の率先購入 ・廃棄時の適正処理の実施 ③ 再生可能エネルギーの導入の推進 ④ 循環型社会の形成(廃棄物の発生抑制等) ・すべての主体による廃棄物の3Rの推進及び適正処理 ・循環を基調としたライフスタイル・事業活動への転換 ・地域循環圏の形成 ・循環型ビジネスの進行 ⑤ 環境に配慮した交通の推進 ・公共交通機関の利用促進 ・交通の円滑化 ・歩行者・自転車対策の促進 ・グリーン物流の促進 ⑥ 森林の保全・整備による二酸化炭素吸収促進 ・森林整備の推進 ・松くい虫、ナラ枯れ対策の推進 ・木材の利用の推進 ・県民参加の森林づくりの普及促進 ⑦ 環境教育・学習の推進 ・研修会、啓発イベントの実施 ・環境学習施設の利用促進 ・こどもエコクラブ活動の支援 ・環境学習の推進 ⑧ 環境価値の創出とカーボンオフセットの普及 ・J-VER、国内クレジット、グリーンエネルギー証書の活用、普及 ・カーボンオフセットの率先実施及び普及 83 温室効果ガス排出抑制等に関する施策の概要 家庭の省エネ診断の受診の促進 住宅の断熱化の促進 民生家庭部門 家電製品や暖房機器、給湯器の省エネ化の促進 省エネ関連情報の提供、普及啓発 エネルギー管理の推進 建物の断熱化の促進 高効率機器の普及支援 民生業務部門 省エネに取り組む企業に対する積極的な評価 地方公共団体の率先行動による効果の実証と啓発 排出抑制対策の 推進(省エネル ギー対策) 情報共有及び発信 エコドライブの一層の促進 運輸部門 低燃費車の普及促進 情報共有及び発信 エネルギー管理の推進 建物の断熱化の促進 産業部門 高効率機器の普及支援 省エネに取り組む企業に対する積極的な評価 冷凍空調機、エアゾール製品、発泡断熱材のノンフロン化 排出抑制対策の推 進(代替フロン等対 策) 地方公共団体による率先購入、利用 廃棄時の適正処理 84 種類毎の取組 太陽光発電 太陽熱利用 ・太陽光発電状況等の情報発信 ・住宅用太陽光発電設備設置に対 する助成 ・太陽熱利用システムの普及支援 ・先進的取組事例の情報発信 ・安定供給に向けた情報交換 風力発電 ・風力発電に関するガイドブックの 作成 ・風力発電に関する検討会 ・グリーン電力の積極活用 ・金融機関と連携した支援 ・風況観測等への支援 再生可能エネルギー 導入の推進 ・原料の安定的に低コストで供給 できる体制の構築 ・国の補助制度の活用検討 環境教育・学習の推 進 雪氷熱利用 ・先進事例の収集、広報 ・秋田県バイオエタノール推進戦 略の推進 等 コージェネレーション 燃料電池 ・導入メリット等の周知 クリーンエネルギー自動車 地熱発電 森林の保全・整備に よる二酸化炭素吸収 促進(水と緑の基本 計画) ・先進事例の収集、広報 ・先進事例の情報提供 ・関係者による情報交換の促進 ・小水力発電の実証調査 環境に配慮した交通 の推進(総合交通ビ ジョン) 温度差熱利用 バイオマス燃料製造 バイオマス発電 小水力発電 循環型社会の形成 (廃棄物の発生抑制 等) バイオマス熱利用 ・クリーンエネルギー自動車の率 先導入等 共通する取組 新エネルギー導入促進の拠点 づくりと情報発信づくり 地域間連携の推進と人材育成 すべての主体による廃棄物の 3Rの推進及び適正処理 循環を基調としたライフスタイ ル・事業活動への転換 地域循環圏の形成 循環型ビジネスの振興 公共交通機関の利用促進 交通の円滑化 歩行者・自転車対策の促進 グリーン物流の促進 森林整備の推進 松くい虫・ナラ枯れ対策の推進 木材の利用の推進 県民参加の森林づくりの推進 環境に関する研修会の開催 環境学習施設の利用促進 こどもエコクラブ活動の支援 環境学習の推進 啓発イベントの実施 環境価値の創出と カーボンオフセットの 環境価値の創出 85 カーボンオフセットの率先実施