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羅葡日辞書 - Kyoto University Research Information Repository

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羅葡日辞書 - Kyoto University Research Information Repository
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『羅葡日辞書』の錯誤と製作工程
岸本, 恵実
京都大学國文學論叢 (2009), 20: 1-16
2009-02-28
https://doi.org/10.14989/137372
Right
Type
Textversion
Departmental Bulletin Paper
publisher
Kyoto University
『羅葡日辞書』の錯誤と製作工程
岸本恵実
O
. はじめに
キリシタン版『羅朝日辞書.~ ( 邸 四 四 四 百m L
岬回L
us
i
h
四 臼n
, acn
呼 脚 曲m
.1595
天草刊)はアンプロージョ・カレピーノが作ったラテン語辞書カレピヌスをもと
に、日本イエズス会の複数の編者によってポルトガノレ語訳・日本語訳が付された
ものであるが、現存諾本の本文卯6ベージには多数の錯誤が含まれており、一部
は巻末のE誤表や書き入れによって訂E されている。また、このような錯誤と訂
正は、この辞書を主要な典拠どするマノエル・パレト自筆の『葡羅辞書』
(
v
.
白羽白血r
i
oL
u
s
i
師古田 h 曲
目
'
,1
曲6
-1ω7写)にも取り込まれている。草稿はこれ
らの錯誤と訂正を分析し、『羅葡日』製作工程の実態に近づこうとする試みである。
『羅葡日』に錯誤が多数生じた原因左しては、ヨーロッパ将来の印届[腕による
印刷物として比較的早い時期のものであり、かっそれまでにない規模の大部な書
であったこと、三種類の言語を含むことなどがあげられよう。
∞
さらに、Ki曲田町伯 (
2 6
) で推測したように『羅葡日』の翻訳はカレピヌスの
ラテン語からポルトガル葡抄訳が、ポルトガノレ葡訳・原典のラテン語から日本語
訳が作られる kいう手順で行われたどみられ、原稿作成段階での誤訳・誤写も起
こりやすかった左考えられる。
製作最終段階での慌しさについては、 1
5
百年1
0月 1
2日付長崎発ベドロ・ゴ}
メス(当時日本漕管区長)のイエズス会総長宛書簡において報告されている。Laur田
(
19
5
7
) による左、 1
5
7
9年来日したアレッサンドロ・ヴァロニャーノは 1
5
8
1年ご
ろに「カレピーノによる『羅臼辞害』および『ラテン文典』の轟鳴と印刷」を命
じ、 1589 年には「少なく k もあ ~2 年くらいで仕上げたい」左記しているが、ゴ
ーメスの書簡によると実際『羅葡日』印刷が開始されたのは『ラテン文典』後の 1
5
百
年 2月のことであった。
その印刷(筆者注・『羅葡日』を指す)は休んでいたわけではないのです。我
)
(
1
らのイノレマンならびにセミナリオの子供たちの日本語の勉強に絶対不可欠な
ことに鑑み、日本語を良〈理解し、ラテン語・ポルトガル諸に通暁している
我々三人左、日本語を知悉し、ラテン語を修得した日本人イルマン三人を加
えた主人は、それに専心する士め他の仕事はしなくても良いとの命令を下さ
れました。そしてこの五人はカレピーノを簡略4
とするために、人名や余り使
用しない固有名詞を省いて、その他の残りの部分全部をポルトガJ同語~日本
語とに翻訳しました。その事は充分気を付けてやったつもりです。そして十
五ヶ月かからずに完了しました.他方、この翻訳原稿の印刷は全力を尽く L
てやってくれているので、その完了には八ヶ月はかからぬ見込みです。即ち
聖マチヤスの日(二月二十四日)から開始しているので、十月十五日以前に
は完了するこ kとなりましょう。 ω
非布では、このようにして製作された『羅葡日』の轟搬について、カレピヌス
およびパレト『有羅辞書』左の対照が可詣なラテン語部分を中心に、訂正のあり
方によって訂正されないままの本文.jE誤表・書き入れの三つに分類し、さらに
それらがパレト辞害に Eのように取り込まれているかを分析していく。
) により『羅葡日』原典は 1
5
7
0年リヨン版カレピヌスの系統
なお、岸本位曲5
の可能性が大きいと考えられるので、草稿では典拠に近い版として 1570年リヨン
版(ラテン語・へプライ語・ギリシャ語・フランス語・イ夕日ア語・スベイン語・
ドイツ語の対訳)を用い、補足的にその増補版である 1
5
釘年リヨン版を参照した。
またパレト辞書もカレピヌスを典拠の一つにしているが、岸本・豊島包曲'
5
)に
述べたようにヴェネチア版の系統が用いられた左みられるため、成立年に近い
1
曲5年ヴェネチア版 ωを参照した。
1
.W
羅葡日』現存諸本に見る錯誤左訂正
以下では、筆者が影印を見るこ左のできた『羅葡日 B 本(オックスフォード
大学本、フランス学士院本、ライデン大学本、ロンドン大学 SOAS本、旧北堂図
書館本)ω における錯誤および訂正の内容を概観する。引用は、『羅葡日』はオッ
クスフォード大学本、カレピヌスは注記しない隈り 1570年リヨン版リスボン国立
図書館本を用いている.
(2)
1
. 1.訂正されていない本文中の錯誤
『羅葡日』本文には、正誤表でも書き入れでも訂正されていない錯誤が数多く
見受けられる。以下はラテン語見出しの例であり、例 1では s(
1
5
7
0年リヨン版
の活字は長い Dを t
l
o、例 2では、 cを s(活字壮長い
o1
0間違っている。
叩幽・盲目] ω
例 1匝 盃 函 副 DEしくは抽l
『羅葡日~
:
4
A
b
l
甲 凪 凪 L田 C暗闇皿,止 m回 皿d
田
c
I
I
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昭.Bu
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戸問。 7
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闇
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, L副ne曲 開 国 .& i
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c
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祖 o
,
a
倒 2 函 函 面 司 [ 正 し く は 幽d也四・氷結]
『羅葡日~
:3
0
7
G
e
l
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um,哩 L
u
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沼田量o
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a
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.C創
C
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e
戸田1
1
1
:5
2
9
G
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l
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c
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由 町 曲y
,
1
I
伊皿g
e
l
民止阻四位。明田
1
.2
. 正誤表静韓の錯誤
出項目 (
1
臼見出し分)ある E
『羅葡日』錯誤の一部は巻末の約 2ベージ半、 1
誤表により訂正されている。言語で分類するど以下のように日本語を含むものが
最も多いが、カレピヌスを参照したはずのラテン語の誤りも少なくない。
ラテン喜子含む
ポルトガJ
レ語含む
日本語含む
内容は 1、2文宇程度の誤植や脱文を訂正する比較的単純なものが多数を占め、 8
割以上は正確な訂正であるが、改訳、正誤表そのものの錯誤な E作業の混乱を窺
わせるものがある。実際の例を見ていこう。
(3)
1
.2
. 1 正誤表により訂正された錯誤
以 下 2例はラテン語見出しの綴りに関するもので、カレピヌス左同じに訂正さ
れている。
倒 3 !!!?i亙函[正しくは恥問問・時を示す(もの)
J
『羅葡日~ :
333
H
o
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加pl醐
L
u
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も
edo閣 直 明 血 h岡 田 v
a
ia1佃血国t
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n田 開 暗 田 園 田 岡 田 yu
『躍葡日』 正誤表
H血明司p
l
印s
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血OSC
<
司p
u
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Ca/e
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叫s: 5
7
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E
加国目司!
>
U
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I
止
例 4 厄盃副
『羅葡日~
DEしくは I陣血閣・鍍金舟人形]
:398
I
p<叫闇 L
宙拘置田血h
omesf
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出血o
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1
ja
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o皿時四品
『羅葡日~ :
:
i
E
誤
表
p
<
叫c
e
s
.
l
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叫l
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c
e
s
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C出 p阻 必 :6
6
1
I
p
<
叫H
由民
改訳の指示は m 項目ほどあることから、訳文の確認が寸分でないまま印刷に固
され、編纂者自身が正誤表作成に携わった左みられる。ほ左ん Eが例 5のように
日本語訳に関するものである。
例 5 ~"'.I 事L
[ を飲む、乳首む]
『羅葡日~ :
407
Lac回,国
司L
a
c
回並世田国血
L
u
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e歯車曲面祖曲岨igo,師団血,&c.I
a
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国 U皿 事 国 n
a
d
o
『羅葡日~ :
:
i
E
誤
表
Lac国司 h 必
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f
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m
曲凪坤IroZZl珂l
回
l
l
l
l
l
耶
.
r
in
a
d
o
.M, 唱 団 血 血 回 国 耶
(4)
1
.2
. 2 正誤表の錯誤 ι
l
哩われるもの
先にふれたように、正誤表自体の錯誤と恩われるものも少なくない。以下は正
誤表が不要な「訂正」を指示している例である.
例 6函函函[ハエの一種、ま士はオオバコ属の植物]
『羅葡日~ :1
8
2
匂na
町 R血 L
田 蜘s
c
ad
eC
I
I
O
.b
町.&
c
.1
叩 h吐 盟 , 四 国
1
1
回n.H"
ua田 且 I
昭
AruC¥lS血0皿
『羅葡日~ :
:iE誤痩
匂n
o
m
y
i
.
.c
y
町 国0.
.
C
a
l
e
p
i
J
醐
3
3
6(
1
5
8
5年目ヨン版も同じ綴り)
匂田町亀
以下も根拠不明白「訂副で h 岡 田 を P
田畑闘にしており、また見出しの順に
o
s
q
盟国より上に来るはずであるのに逆になっている。
ついて P田 岡 田 が P
倒 7 ~6stomis, i
d
i
s
l
.[馬の鼻に•.N1て抑える道具]
『羅葡日~ :
6
白
P白 血 血i
s
.i
d
i
s
.L国Aziari胆l
ea
屈曲刷出 I
叩 A盟 四 回o
f
a
n
a
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u必 肌 f
i
d
x
i
P田
中
曲
目
'
,1
民戸諸国, J
l
O
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1
u
m
.
『羅葡日~ :
:iE誤表
P田
中
0
l
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0
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C
I
串 皿 田uT
c
u
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u
i
n
isum
P田岡田 F岡田n皿
C
a
l
e
戸田IS 蝿 2 (
1
5
箇年リヨン版も同じ綴り)
P田岡田, p
o
s
曲目白,
P回申O
I
I
O
,p
個申四由, p
師ゆ岨叫, p
c
おt
p
岨i
t
u
m
,
このほか正誤表では、諾本により垂5
少異なるが、引用されている本文が実際の
本文と異なるものがアセント符号の違いを除き N削 申b
a
t
eなど 1
1項目、本文が
i
岨
.
i
s
, e.な1'5項目以上あり、本文・正誤表
すでに訂正済みになっている項目が N
)
(
5
印刷における桂正作業の慌しさが軍われる.
1
. 3. 書き入れにより訂正された鍵揖呉
E欝壊のほ泊、現存する『揺葡日』輯木には書き入れによる釘Eが少な〈ない.5
本に見られる 48種類の書き入れを報舎した岸本個別)では、正豊表にはないの
に輯本に共通する訂正が多いことを搾珊 L、印刷雄それ陪 E月 Hの鐘たないうち
にある程度まとめて書き入れられた可能性が大きいと推潤した.宜穆誼と同巴内
容白書き入れは 3
種類ほ r
あるが、以下のようなE輯表にないものカ叩Pなくとも
45種類ある.宜諺櫨とともにこれらの自主も、
『愚噛日』製作工程において校E
百十合でなかったととを示すものである.
冊目匡亙玉副[正1-<は肱岨・軒当ばん1
『腫葡日 J,
7
0
1
i,
l
: cの聞に E方特需入されている.
"
'
.
.
・
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.-r一一一一ーーー----一一 一 -
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:wu{J.~ec~ u
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M
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u
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:1
1曲
由回...由民
i
&
I[正しくは凪岨0・噴出する]
個 9j
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b
u(
]
)l
i
o
.
『羅積回 』 泊。
Uと1の聞に 1治噛入されている.
¥
E
^
NrE C.
冊却』順一 一
一
日 向 蜘1
9
:4
田
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.Eff話国臨0.&盟国 b
u
l
l
i
.
.
曲"""五mdor.
(6)
r
2
. 続葡日』の錯棋とパレト辞書との対照
次に『履葡日』の錨棋を写したもう一つの資料!-して、マノヱルパレトの自
筆写本
n
臨掘辞書』に目を移したい.この辞書は県本豊島(2oos)に述べた
ように般会文書用のラテシ骨位文に役立てることと金ポルトガM 騎跨象を掴置す
るこ kを意固左し、序文にあげた数多くの資料をも!:I~ポルトガル語を匿2列して
ラテン語審R
!
-用例を付したものであるが、典..
の中でも.ヨーロッパで印制され
将来されたジエロニモ・カルド]ゾの『噛履蜂唱』、:JJレピヌス、マりウス・ニゾ
Pウスの『キケロ周例辞県J H
もに、日本で貨車・印刷された『鋸布日』が大
O
'
本文から明らかである.
いに活用されているこ !
2
. 1 訂正されていない本文中の錐曜について
パレトは序ヌ?でさまざまな偏醜方針をあげており.緒資料を必ずしも忠実に引
用しているわけではないが、例 1・2にあげた『握葡日』の錯誤についてはパレ
ト辞書にもそのまま引き写されている.
例, , 匝 盃 亙 亘 匝 し 〈 は 刷 刷dω
パレト v
.2
3
5
1
Irn=i曲"岨Abl唖a, m!. !:あり、『緬噛日 J!-同じ<t
になっている.
ル ーhF4-J.
ぷ刻午
~'jJ.'_' .
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.九一J・"'-'骨'-:, '-叫/
' ,--:.イ
"'~
.
1
倒 2' 函亙~圧し〈は剖WdimnJ
パレト v
.
1
12v
c.皿血Gelis
i
d
i
on,乱とあり、『摺楠日』と同巴<,になっでいる.
(7)
方
、 『
羅葡日』の錯誤をパレトカ紬自に訂正したように見えるものもある.以
下町倒では、本文において G を s備宇は長い
o~間違い正誤表でも書き入れで
も訂正していないものを、パレトは正し〈書いている.
0匝 函 瓦 亙 [ 正 し く は N副 幽 ・ 捌 く も の 、 月 ]
倒1
『
羅葡日 J:
4
目
園田"-
N回
l
u
c
a
,a
e
.L岨 Lu
a
.que闇 p加 叫ecede皿 i
ぬ l
s
p
.
Y
o
r
u
u
o
Ca
崎地幽:8
3
5
Nほ姐1 _
パレト v
.
2
4
33
L国 q国旭町出血目白血血 Noc
副幽,血 kあり、『轟葡日 J~は撮りが異なって
いる.
子与五4
2
.2
. lE穆垣量について
正憲喪左対照させると、パレトが『羅葡日』本文~同じように(正旗費削t異
なるように)書いている箇所カ叩Pなく~も 19 倒(ラテン語 15 ・ボルトガ',v,繕 4)
ありへ E輯量と同じように書いているのは 7倒(ラ 2・ポ 5
) ある.
(&)
パレト辞書が『羅葡日』本己主左同じになっている包ヨ障の司正 k異なっている)例
正誤表
言語
訂正の パレト
種類
C
i
l
聞 o
r
.L田 島Wsd
a
l
e
.Cousaq
'
曲目阻m
a
i
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a
1
凹1
ポ
改訳
V
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-446
血d
o
.L田 E s 回 血.
e
c
e
r
.&
c
.Es岨血島町~ ezombar ポ
C
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n
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改訳
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.
3
5
5
0
血 取r
em園 田 血 血
(追加)
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c
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i
j
.Di酷O伊
ラ
綴り
v
.
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問 臨 時O
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フ
綴り
v
.
I
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1
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フ
変化形 v
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綴り
v
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2
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綴り
v
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2
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フ
綴り
v
.
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p
.R皿恵国 h陪 諸 国l
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p
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u
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2
1
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7
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2
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la.可 I
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I田 n
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.Prumo
ポ
綴り
v
.
3
1
3
2
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i
s
P田cha,田 P出血a.a
フ
変化形 v
.
3
7
5
回芭飽ctu.
P
e
l
e
r
e包ctum.Pe
フ
飯り
v
.
3
6
1
P
o
s
加m
i
s
.P国 tomos
ラ
綴り
v
.
I
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3
7
Q
u
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1
,
Q
u
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l
i
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.L
u
s
.A拍X出 掛 A
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smadsa
t
r
a
s
フ
緩り
v
.
3
2
0
4
ポ
改訳
v
.
I
2
1
6
Eロ'Oo
d
o
n
.S∞r
d
o
n
フ
飯り
v
.
1
1師 v
悶 p
a
l
m
i
d田 S四 祖 国 p
a
l
m
u
l
酷
S
o
r
o
r
.S
o
r
o
ラ
綴り
v
.
3
6
O
v
Val
田I
.
iV
a
l
u
u
l
i
ラ
綴り
v
.
3
2
5
1
(迫力的
例1
1匝 盃 函 [ 鉛 錘 、 硬 貨 な 泊
『羅葡日~ :
4
1
8
U凶Ia,酷
可I
恒m, P
陥0.O
Uo
l
i
岨Iap
.B
噌o
, 皿qm
即 時U園 田n
id
均 叫 畑 盟 国n
e
.
『羅葡日~ :
:
i
E
誤
表
L
i
凶
I
a
.
司l
t
e
m
,P
I
IlI叫泊町四回
ノ〈レト玖 3
1
3
2
PIUII也0,皿 oli凶 libella,且 k あり、 ü~u皿の綴りの違いはあるが、『羅葡日』本
(9)
炉
二
ぷL 唯
文の方左ほ 1
>
'
同じである。
if
-
上の 1
9例は、ほ左ん Eが正誤表で的確に訂正されている'"にもかかわらずパレ
ト辞書で怯懐用されておらず、パレトがE誤表を参照していたとは言い難い。一
方、正融表 k同様に正しいかたちで書かれている以下町7!刊のうち、 5例はポル
トガル語の綴りと訳に閲するもので、パレトが自分で訂正したことも十分に考え
l
u
mの小見出L-N出 es
o
l
u
mの例には注目すべきである.
られる。また、So
パレト辞書が正首長衰の訂正 k同じになっている例
正誤表
言語 訂正の種類 パレト
EUaIl園田EUaI園田
フ
h包 四 四 曲JS.i
A
温Cous
a岨 n包盤也 s
e
m回llXl
ポ
改訳・緩り v
.
3
3
12v
p
r
a
c
出定量)0._肖!o
フ
鼠り
v
.
1
3
8
7
v
ポ
綴り
v
.
3
2
5
8
ポ
綴り
v
.
I
3
5
7
追加
v
.
3
8
O
v
鼠り
v
.
3
3
7
6
Lus.D
旬d
出 r.R
申 出i
r
.
Retin曲,薗
白'
0
0
1
田iAJS.D回国a由虫色 D曲目Ild血国
s
o
l
皿 L.
,N
a
t
a
l
es
o
h
血
(
A
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e
) L国 P
由也Iap.&
。 ポ
百z岨i
国 L田 T
c
m
r
o
.T
c
m
o
r
.
ポ
綴り
例 12匝盃亙函[出生地]
『羅葡日~ :
752
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悶戸・・-依意m
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由下旬制・岡田 ....
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泊 朝 国 一
パレ1-:Y.3-蜘
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岨
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刊本では左右の欄の変わり目でポルトガル得.~PaIri・を落としてし掌ったの
を正車愛で輔っている.パレトm
唱の PI
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鴎島岡田の対静世間晴日』
を参顕して対釈を付けた
治リ包処ど魁われるがパレトが孟張費目や克レピヌスな r
kする より、後の手元にあった『語葡日』にも左も>-があった左する方が
>
T
臨i
前の原稿であっ企可・血
蓋然維が副首日い.つ司監り.パレトが見た『掴咽日』は
単品ペレト静香が正規産における訂正の多〈を反映してもぜよい
性があり、その仮2
事実 kも矛盾しなも、またさらに曾えば、正摂衰の訂正対象項聞には原薦段階で
の鍋襖",鳳嶋網刊の鋤司院があり、パレト僻嘗ぜ正操週慢による町壬を行って除、な
いように見える箇斬怯原稿段階からの僧植を含巧h 釘主したように見える箇斬は、
Z噛では正しかったのに聞胤段縄問訴ったものを含む
2
.•
というこ>になる.
書き入れについて
1
1
1
.
制前啄積とほu
、っても何糧問齢哨輔されたであろうしパレトが怠照
r
,掴醐日』のうちバレトが事周する可・世の
訂正主の隈帽を見ても明らかである. r
しかし
し企 『
轟葡日』の復元が縛"でないととほパレト例噌l: 掴咽日』の書会λれ
あったラテン奮ポルトガル毎留分について、 E強表区見えなb 司・き入れ.~少な
<>も"・指摘穂されている.パレト詩書で障とのう色、釘王されていなも哨本
k阿じ箇所が 1箇所、訂正後 k同じなのが 4箇師あり、--慢の場合と同様に権
﹀
E
1
定すれば前者が原稿段階からの誤り、後者が印刷路部皆での誤りを含む ι
恩われる。
見出し
C叩岨(.) u
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.
0 ・オックスアォード大学本、 F'フランス学士院本、 L'ライデン大学本、 8•
事
ロンドン大学 80AS本
、 B・旧北堂図書館本を示す.0 r
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J は書き入れがあるよう
に見えるもの。以下の表も同じ。
パレト辞書が書き入れ級!:-同じになっている例
見出し
言語 書き入れ前 書き入れのある刊本 書き入酌喰 パレト
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しかし、複数箇所に現れる E加(l)l
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田)回¥1
丸田には、次
のようにパレトの緩りにゆれが見られる。
パレト辞害の綴りにゆれ泊ある例
見出し
言語 書き入れのある刊本 パレト
Ebu (
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,
凶 ラ
0,F,
,
.
1 8,B
書き入れ前の勘u1i
oに同じ(2)
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2
5
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書き入れ畿の助u
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oに同じ(J)
(
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2
1
5
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書き入れ前のRer田X叫∞に類似(1)
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民間
書き入れ縫のRer田Z国田に同じ(1)
(
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2
17
v
)
(1
2)
倒 8・函ヨ工孟亙[正しくは Eb
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パレト v
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叫[町田)凪 i
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H正しくは R血血盟国・ヰ噌細る]
『羅葡日~ :
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R皿 E叫回と印刷したのを加盟園鶴曲左修正したように見える.
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3)
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o.払についてはカレピヌスも参聞したためにゆれが生じた!-考えられる
が‘..,盟国(留国〕曲,民団の方はポルトガル梧 ..
盟国夢鶴..の釈に
2ちらも
園間叫 i
s
.(輯・書きλ2
揃に聾似)
『掻葡日』によったどみられる空見出しの .
.
.
!-..,圃ぽ箇曲,is. (正・書き入れ昼に同じ)が併記されており、実酷パレトの見た
r
l
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葡日』には 2のように書かれていたのか不明である.
l
輔自』が Eのような形植であったか明ら
このように、パレト拘匙処どした r
かにするに lV<レトのヲ開極度キ唱の典拠を考慮しなけれ時まならず、さらに検証
を積み重ねるこ J
抽出要である. しかし『届噛日』の車俳工程を考える軒、カレ
ピヌスと現存諸本左の対照だげでなく、パレト辞書が重要な手がかりになると k
は碍坊主である.
a ま!-め
『
絹噛日 』本文・正胆表・書き入れから、原典カレピヌスの転ゑポルトガル
語訳・日本語訳書写な 2の原描件晴
ι植字、桂Eな 2の印刷師事における複識
の工程で岨種別生じていたこを、またその訂正もほぼ同時進有的に複数の履曙で
行われたことが窺い知られる.そしてパレト J
という書写者を適してはいるが、パ
レト欝曙からもそのような墨昨工程を映した、現存稽本 kは異なる『揮噛日 』の
樹闘を見出すこ!-ができるー
(14)
(注}
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1
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8
) の表記・文体を一部私に改めた。
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5
:
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4
-86)によれば、出泊年
(
2
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品a
1
曲2年のヴェネチア版k岡本主である。
。}旧北堂図書館の別本がラウレス(1開7
)に、旧レニングラード国立大学本部村山(1略的
に報告があるが、いずれも未見である。主主『羅葡日』には 1
8世組半ばジョアン・
アノレパレスがマカオにおいて刊本から転写したアジュダ図書館写本、 1
9世組ペル
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ナルド・プチジャンがポルトガル語を除き再編した『羅日辞書.JI (
h会田一l~四m皿m, 1870 ローマ刊)も現存するが、いずれも時代の下る置料であるこ
とから本稿では調査の対象としなかった.
ゆ以下の例において、口ま『羅葡日』本文の見出し、[
1は 日 本 語 訳 、 数 字 削 ー
ジ数を査す。
陣 亀 岡 且 曲 目 出 &in
回国岨聞血 P
町田四
(
5
)白 油 田 ( 15
7
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) の『羅葡』部には Ab
de
田健凶咽a
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とあり、『葡羅』部に h曲
血
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司aoの見出しはなく、この筒所のパレト
の典拠は『羅葡日』であろう。以下町バレト辞書の例についても『羅葡日』に拠っ
たことがほぼ確実な例をあげた。
(
6
) r
少なく左も」と言わぎるを得ないのは、パレト辞書中町対応筒所を確定しきれて
おらず、またパレトの文宇がしばしば判読しにくいためである。また 1
9例中、躍
りなどが若干具なるものの『羅葡日』辞典拠と認められるものを含む。
の 17例は正確な訂正と恩われるが、P晶 也 国sは上述した不審な「訂正」であり、Pascha,置
はカレピヌスにおいて P
a
血 祉 醐 の 語 形 変 化 は 「 近 朝T
われているが正しくない」
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1
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宙開1l、やはり根拠の不明な訂正である。
とされているので (C
引用文献
(一次資料)
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7
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)Ambn
副 C
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蔵リスポン国立図説宮本フィルムによる)
A皿町田田 (
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5
)Ambn
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白山間醐De<珊臼噌脚明色 L
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,
田
.
.
,
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, Mful且{リ
スポン国立図書館本フィルムによる)
Aro町田園 (
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町)品曲田町田 L岨 ωL回取副四m,
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加 盟m,Am曲瑚,白E
唱 olapo
由泡
tJC
品d出血Ie皿(オックスフォード大学本・フランス学士院本・ライデン大学本・ロンド
品目)による)
ン大学 SOAS本はフィルムによる.旧北堂図書館本は東洋主宜影印(19
A皿可"'"田 (
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即7
) Vo<油 u加10L
出依岡田LaJ加"DI3IIIlS<活再(リスポン科学アカデ
_ M a 田 e 1(
1
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0
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ト1
ミー図書館本フィルムによる}
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) Dic
醐 酎'
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伽
白蜘曲, j,帥剖mo (
L四 国 icum& v
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e四 月'
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帥叫
白国訓b
也
,1
0
皿 B田園田(リスポン国立図書館本フィルムによる)
(三次資料)
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.j,L,(
1
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ラウレス先生の『こんべえ糖JlJ Wぜプリア.s1
1、61
2頁
。
Ki由国脚,Emi (
2
0
0
6
) 吋'hePr闇師。f百 四 国 岨 i
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師 醐 』 蜘oL
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,
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頂 血 K間 宮 古
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田(1聞
血 V四
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岸本恵実(却位:) r
キリシタン版『羅南 H対訳辞書』諾本の書き入れについてJW
大阪外国語
。
大学留学生日本語教育センター日本語・日本設イrJ28、123-135頁
岸本恵実
(
2
曲5
)r
キリシタン版『轟捕固辞書』とその原典JW国語害実虫の研究第 24集』
5
61頁
」
和泉書院、(相自 4
岸本恵実・豊島正之
(
2
聞)r
パレト薯附羅樟書』のキリシタレ官学に於ける意劃『日
4
7
3
師頁.
本学・敦謹学・摸瓦訓読の新展開』扱古書肱(樹 2
村山七郎
(
1
拓6
)r
レニングラードの位葡日辞蜘『順天堂大寺端育学部粧要.s8、 1
3
8
1
8
9
頁
。
ラウレス、ヨハネス
)r
北平北堂1
図書館発見の日本耶蘇会出版にか与はる七冊JW
歴
(
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田7
史地風1704
、 1
1
3
2頁
。
6B (;)()東京外J
国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所共同断
本稿は、 2008年 9月 1
究プロジェクト「宣教に伴う言語学」研安浩(於同大学湾都サテライト)における口頭発表
「キリシタン版『羅帯日辞書』正曹壌に闘する報告」をもとに丸幅に車嘩・修正したもので
す。ご教示を賜った方々に厚く御礼申し上げます。
本研究は、科学研究費補助金「キリシタン版羅葡日辞書の原典的研知
(若手研究但)
1
町 四1
拍)による成呆の一部?す.
研究代表者・岸本恵実:) (
(きしもとえみ・国際基督教大学准教授)
(16)
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