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アフラトキシンのリスク評価に関する 国際的動向と我が国の
アフラトキシンのリスク評価に関する 国際的動向と我が国の現状 国立医薬品食品衛生研究所 衛生微生物部 小西良子 2008.3.11 食品規格部会 1 今日お話しすること ¾ 第68回FAO/WHO 合同食品添加物専門家会議 (JECFA)における木の実のアフラトキシン暴露評価 ¾ 各国のアフラトキシン規制の現状 ¾ ¾ わが国の調査研究の状況 (平成16-18年度厚生労働省科学研究費報告) 今後の課題 2008.3.11 食品規格部会 2 アフラトキシン AFB1 AFB2 O O O O OCH3 AFG2 O O O O O O O O O O AFG1 O OCH3 O O O O O O OCH3 O OCH3 大量摂取 (肝臓障害) 2004年 ケニア 317名中125名死亡 1974年 インド 397名中106名死亡 など 長期慢性摂取 原発性肝臓ガン(IARC クラス1) 2008.3.11 食品規格部会 A. flavus 3 コーデックスでのカビ毒規制 トータルアフラトキシン 未加工ピーナッツ アフラトキシン M1 牛乳 パツリン リンゴジュース 2008.3.11 15 µg/kg 0.5 µg/kg 50 食品規格部会 µg/kg 4 木の実のアフラトキシン規制への 流れ 1.第36回CCFAC –未加工・加工アーモンド、ヘーゼルナッツ、 ピスタチオを対象に基準値15µg/kg (トータルアフラトキシ ン:TAF)を提案 Step 3 2.第37回CCFAC-ALALAの法則に従い基準値を設定するこ と、Tree nutの汚染防止を議論 3.第38回CCFAC European Communityを中心に ready-to-eat tree nutに関してWorking groupを設立。 JECFAにready-to-eat tree nutの暴露評価を諮問 (TAFの基準値として4, 8, 10, 15µg/kgを検討) 4.第1回CCCFで上記の基準値に20µg/kgを考慮に加えること を第68回JECFA(2007年6月開催)に諮問 2008.3.11 食品規格部会 5 アフラトキシンの暴露評価の流れ 実態調査 X 摂取量調査 暴露評価 ( 一日暴露量) BMD (ベンチマークドーズ) JECFAの発ガン予測式 リスクマネージメント (基準値設定など) 2008.3.11 食品規格部会 6 JECFAにおける暴露評価手順 1.摂取量およびカビ毒汚染量のデーターベース Global Environment Monitoring System/Food Contamination Monitoring and Assessment Programme (GEMS FOOD ) 2.基準値案のシナリオを複数作る (TAFとして、4, 8, 10, 15, 20 µg/kg) 3.各シナリオから推定された暴露量を用いてリスク評価する。 発ガンリスク高い シナリオ 頻度 平均 1 2 3 4 頻度 平均 頻度 × カビ毒の汚染量 2008.3.11 食品の摂取量 (g/day) 食品規格部会 暴露量(intake) (g/day) 7 トータルアフラトキシン暴露汚染の原因となる食品群 (GEMS FOOD)(ng/kg bw/day) Mean exposure A Africa B C トルコ エジプト D E F G H ロシア ドイツ スエーデン インド メキシコ I J ケニア ナイゲリア upper bound K L 日本 M アルゼンチン 全体の暴露量 1.7 2.4 2.0 1.0 1.9 1.1 1.6 2.7 2.7 3.7 0.7 1.3 1.5 とうもろこし 0.7 1.0 0.9 0.2 0.3 0.1 0.2 2.1 1.7 0.4 0.5 0.4 0.7 ピーナッツ 0.7 0.4 0.3 0.1 0.5 0.2 1.0 0.3 0.6 2.9 0.1 0.1 0.9 オイルシード 0.2 0.6 0.3 0.5 0.6 0.3 0.2 0.2 0.2 0.1 0.04 0.6 0.2 ココア製品 0.04 0.2 0.1 0.1 0.4 0.4 0.04 0.1 0.04 0.03 0.1 0.1 0.3 ピーナッツオイル 0.03 0.01 0.01 0.0 0.02 0.01 0.05 0.0 0.02 0.1 0.0 0.0 0.01 香辛料 Tree nut 2008.3.11 0.08 0.03 0.07 0.03 0.1 0.03 0.1 0.1 0.04 0.04 0.01 0.02 0.1 0.0 0.8 0.5 0.8 0.4 0.04 0.0 0.0 0.0 食品規格部会 0.0 0.03 0.01 0.2 JECFA 2007 8 ピーナッツの基準値シナリオ ng TFA/person/day 中東 極東 (JECFA ラテン アフリカ アメリカ 1997) ヨーロッパ Food consumption (g/person/day) 0.3 6 No limited 4.2 84 Total AF 10 ug/kg 0.12 2.4 4.5 0.8 2.0 0.15 3.0 5.7 1.0 2.5 0.18 3.6 6.8 1.2 3.0 11.3 160 2 5 28 70 Total AF 15 ug/kg Total AF 20 ug/kg 2008.3.11 食品規格部会 9 発ガンリスクの評価に用いられた指標 (JECFA 1997) 0.0 ハムスター 0.014 ニジマス ヒトHBsAg(0.01) 0.029 サル ヒト HBsAg+ (0.3) 0.057 ウイスターラット 0.23 0.5 1.0 フィッシャー ラット 1.0 1ng/体重1kg/一日のアフラトキシンB1を一生涯食べ続けた場合のリスク 健常 人 10 万人に0.01人 B型、C型肝炎キャリアー 10 万人に0.3人 2008.3.11 食品規格部会 10 トータルアフラトキシン基準値シナリオによるインパクトの違い (JECFA 1997) 低汚染地域(ヨーロッパ) HBSAg+ 1% 25% HBSAg- 99% 75% 基準値シナリオ 発ガンリスク(ガン発症人数/10万人) Total AF 10 ug/kg 0.0039 Total AF 20 ug/kg 0.0041 Impact (基準値の違いによる リスクの差) 2008.3.11 高汚染地域(中国) 2/1000 million 食品規格部会 0.14 0.17 300/1000 million 11 Tree nuts(アーモンド, ブラジルナッツ, ヘーゼルナッ ツ, ピスタチオ )および乾燥イチジクの基準値設定に よるインパクトの検討(2007 JECFA) GEMS FOODからの統計結果 全食品からのアフラトキシン暴露量において、tree nutからの暴露量は 1-5%に過ぎない。 tree nutのトータルアフラトキシン基準値シナリオを20, 15, 10, 8, 4 ug/kgに設定 各シナリオに設定したときの暴露量を比較する(インパクト) 2008.3.11 食品規格部会 12 tree nutのトータルアフラトキシン基準値シナリオと暴露量(JECFA2007) 暴露量 B トルコ C D ng/kg 体重 E M エジプト ロシア ドイツ 0.8 0.5 0.8 0.4 0.2 TAF 20 ug/kg 0.1 0.1 0.1 0.1 0.03 TAF 4 ug/kg 0.1 0.02 0.02 0.03 0.01 基準値なし アルゼンチン <結論> TAF 20 ug/kgとTAF 4 ug/kg規制の違いの差は、基準値なしに比べると小さい 2008.3.11 食品規格部会 13 主要国のアフラトキシンの規制値 国名 対 象 食 規 品 A 制 F 値 μg/kg 日本 全食品 B1 10 米国 全食品(ミルクを除く) B1+B2+G1+G2 20 B1 B1+B2+G1+G2 2 4 B1 B1+B2+G1+G2 5 10 B1 B1+B2+G1+G2 8 15 EU ピーナッツおよびナッツ 穀物および穀物を使用した食品 (トウモロコシおよび乳幼児用を除く) ドライフルーツ 処理前のナッツ 物理的処理前のドライフルーツ 物理的処理前のトウモロコシ 香辛料 物理的処理前のピーナッツ 2008.3.11 食品規格部会 14 諸外国でのアフラトキシンの基準値 35 30 25 20 15 10 5 0 29 TOTAL AFL 17 8 g /k g ug 35 ug 30 ug 20 ug 15 2 /k /k g /k g /k 10 g 3 kg g/ 5u 4u g/ kg kg 3u g/ g /k 1 ug /k ug 0 8 3 1 ug 3 2 g 国数 トータルアフラトキシンで規制している国は、アメリカ、カナダ、 EUなど76カ国(うち 61カ国は アフラトキシンB1規制と併用) 基準値 アフラトキシンB1のみを規制している国は、中国、韓国、ロシアなど十数カ国 2008.3.11 食品規格部会 15 わが国のアフラトキシンのリスク評価 (平成16-18年度 厚生労働科学研究事業) 9汚染実態 9基準値案 (トータルアフラトキシン VS アフラトキシンB1) 9暴露評価 2008.3.11 食品規格部会 16