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インターネットで変化する就職活動
平成 10 年度 卒 業 論 文 インターネットで ネットで変化する就職 化する就職活動 1999 年 1 月 指導教員:草薙 信照 95−5014 4 年 M 組 14 番 井上 ゆかり <目 次> ● 第1章 はじめに P1 ● 第 2 章 就職協定廃止について P1 ● 第3章 インターネットと就職活動 P2 ● 第4章 企業のインターネット活用度 P4 第1節 アンケート調査の概要 P4 第2節 アンケートの結果分析 P4 ● 第5章 結論と今後への課題 P15 インターネットで変化する就職活動 第1章 はじめに 大学 4 回生にとっては大きな関心ごとであり、これからの人生に大きく関わってくるであろ う就職活動。その就職活動には確かな情報収集とスピードが求められる。就職活動をする学 生にとって、一番欲しいのは、「情報」である。その就職活動の進め方が、ここ数年で大き く変わってきている。ひとつは一昨年の就職協定廃止である。この協定廃止は就職活動を行 う学生に対して大きな影響を及ぼしたようだ。これにより「就職の自由化」ということが言 われ始めた。就職・採用活動はいつはじめてもよいという時期の自由、いくつもの企業を受 けられるという選択の自由、選択肢が大幅に広がり個性を活かすことができる自由、などと いうことだ。もうひとつの大きな要因は企業も学生も双方の情報がリアルタイムで結ばれた ということだ。その新しい手段としてインターネットが定着してきた。大手企業の85%が インターネットで情報提供しているといわれている。どのようにインターネットは活用され ているのか、どれくらいの割合で活用されているのか。またインターネットで採用情報を公 開するにあったての学生側・企業側のメリット、デメリットにはどのようなものがあるのか、 今後のインターネット利用のあり方などについて、主に企業側の観点から、アンケート調査 を実施し、研究を進めてきた。 第2章 就職協定廃止について 97 年の就職活動は、就職協定廃止という状況からスタートした。それにより、 「就職の自由 化」ということが言われ始めた。就職協定とは、簡単に言えば、 「こんなスケジュールで就 職・採用活動を行いましょう」という大学と企業との紳士的な取り決めである。そのスケジ ュールの目安である協定が取り払われたのである。その結果、採用情報や日程情報などの開 示も早期化された。それにより学生は、いつでも早い時期から企業の情報を入手でき、活動 を開始できるという大きなメリットを得ることができた。とはいえ、完全に何もかもが早ま ったのか、というとそうではない。「就職・採用活動をいつ始めてもいい」ということで、 逆に学生の就職意識の高まりや、大学の学事日程、企業の採用スケジュール・戦略といった ものが影響しあって、自由市場での最適時期が決められていく、という新しい仕組みが出来 上がった。学生側には企業をいくつも受けるチャンスが増え、企業側はより採用したい学生 に多く会えるチャンスが増えた。逆に企業側・学生側とも、長期間にわたって就職・採用活 動に関わることになり膨大なエネルギーが必要になってきた。採用もオープンでフェアとい う方向に向かいながら、当初懸念していたような協定廃止をめぐる混乱はなく、企業の倫理 憲章の中でも重視している「情報公開」「公平公正」の点は守られたと考えられている。総 1 インターネットで変化する就職活動 じて、企業の採用環境は多様化している。氾濫している情報の中で自分の考えを持って、そ れに合うものを数多い情報の中から取捨選択することも大切なことだと思われる。待ってい るだけではベストなチャンスを得られないが、逆に自分はどうしたいのかを明確にして活動 すれば、自分らしい仕事選びができるようになってきたのではないか。 (出典:「就職ジャー ナル‘97 11月号」リクルート) 第3章 インターネットと就職活動 96年は「インターネット就職元年」といわれるほど、多くの企業がインターネットに採用 情報を流した。氷河期が続く厳しい就職戦線にあって、学生のみならず大学でも学生の就職 活動が不利にならない様インターネットへの対応に迫られている。 企業がインターネットに採用情報を流し始めたのは95年からであった。ただ、95年にお いては外資系の大手通信メーカーを皮切りに、銀行、商社、百貨店など、全体でも100社 を超える程度であり、これにアクセスするのもインターネットを使いこなせる理系の学生が 中心で、一部の先駆的な試みと受け止められていた。インターネットを使いこなせることが 採用基準の一つにもなっていた。ところが、96年に入ると様相は一変し、インターネット に採用情報を流す企業は数千社にまで膨れ上がり、またアクセスする学生も文科系にまで広 がり始めた。下のグラフからわかるようにインターネットを利用したことがある学生は 6 割 を超えている。ちなみに理系の学生の利用率は76%、これに対して4大文系女子の利用率 は65%と意外に高い。また4大文系男子約60%、短大生34%となっている。 (出典: 「就 職ジャーナル‘98 1月号」リクルート) 就職活 動 でインタ ー ネ ット を利 用した ? 65% 70% 61% 60% 50% 40% 39% 35% Y E S N O 30% 20% 10% 0% 96年 97年 2 インターネットで変化する就職活動 また、企業のインターネット求人に対する考えも変わりつつある。インターネットを使いこ なせるのが理工系の学生にかぎられていた頃は、インターネット求人は優秀な人材を確保す るひとつの手段であった。しかし理系・文系を問わずインターネットを使いこなす学生が増 えてきた現在では、むしろ学生を選別するための1つの基準として利用されるケースが多く なってきた。「インターネット就職者に対して何らかの特別な考慮はない」との回答が多く、 選考基準にはしないながらも、応募者のインターネット・アクティビティーにはかなり関心 があるようだ。 97年は、学生のインターネット活用状況に応えるかのように、企業の関連ホームページの 開設もかなり活発になった年だった。自社でホームページを開設する企業も、日本企業UR Lディレクトリーによると、4500社以上にも及んでいる。その内容は、募集要項、社員 紹介が55%あり、これは自社がどのような会社なのかを学生に理解して欲しいということ なのだ。さらに、会社説明会、資料請求、会社訪問の案内などの実用的なものも掲載してお り、E-mail での受付を行なう企業も増えてきたようだ。協定廃止によって、学生の就職活 動のスタートが早まり、各社は急いで情報提供をする必要性に迫られた。インターネットな らば、制作した部分からオープンでき、比較的容易に更新もできる。学生のニーズに応えて、 情報をタイムリーに提供するにはもってこいだったのだ。400校もの大学の学生から資料 請求がきたり、海外へ留学している学生からの請求もあったりと、学校間・地域間格差も確 実に解消しつつあるようだ。またOB・OG訪問にも、電子メールは活用された。電話では なかなか接触できない先輩たちも、電子メールでの連絡や質問などであれば、時間や相手の 都合を気にする必要もなく比較的気軽に応じてくれたようだ。また学生側も、電子メールを 使うことによって、先輩たちの本音や仕事現場の雰囲気といった、普段人事部には聞きにく い内容を尋ねることができた、と言っている。(出典:「就職ジャーナル‘98 1月号」リ クルート)説明会の会場等であった学生がお互いのメールアドレスを交換したり、メーリン グリスト上で意見や情報を交換したりと学生同士のネットワークができたことも大きなメリ ットの1つにあげられるだろう。以上のような状況を見ると、学生のインターネット活用度 は企業のそれを超えている、といってもいいかもしれない。これは、大学側が学内の情報イ ンフラを積極的にすすめ、学生にもインターネットの活用を勧めている、という環境が多い に関係しているのだろう。いずれにしても、インターネットが就職活動において無視しえな いほどの大きなインパクトを持ち始めたことから、大学側でもその対応に乗り出している。 インターネットを利用できない学生の就職活動に不利が生じないよう、就職課などにインタ ーネットを利用できる環境を導入する大学が増えてきている。リクルートの調べによると、 インターネットに接続できるパソコンを所有する大学の就職課は、96年8月時点で調査対 象となった4年制の大学200校のうち 50.7%にも上っている。大学が学生に行う就職ガ イダンスでもインターネット利用方法やID登録方法を説明する大学が増えてきている。さ きに挙げた大学と企業との紳士協定である就職協定の廃止が、96 年末に決まり実施された 3 インターネットで変化する就職活動 こともこうした動きに拍車をかけたものとみられている。これまでインターネットで採用活 動を積極的に展開してきたのは就職協定に加わらない外資系企業や中小のベンチャー企業で あり、多くの企業では就職協定に配慮して採用情報を一方的に流し、電子メールによる学生 との情報交換は行っていなかった。就職協定という歯止めがなくなれば勢い企業の青田買い が加速し、その有力手段としてインターネットの活用が活性化することも考えられている。 現行の就職協定を廃止した日本経営者団体連盟(日経連)では、インターネットによる就職・ 採用活動に対応した新しいルールづくりを検討している。 (出典:「情報化白書1997」財 団法人 日本情報処理開発協会編) 第4章 企業のインターネット活用度 第1節 アンケート調査の概要 インターネットの利用が当たり前のように言われているが、インターネットはまだまだ未成 熟のメディアである。その段階での活用となれば、さまざまな不満や問題が生じてくること は否めない。 学生側の不満として目立ったものは、ホームページの情報がパンフレットと変わりない、情 報の更新頻度が遅い、情報量が多すぎてねらいを定めるのが難しい、企業から必ずしも返答 があるとは限らない、などというものだ。企業側の問題点としては、ホームページを頻繁に 更新するのが面倒、電子メールでのエントリーは手軽なだけあって、志望度の低い学生から の応募も激増する。メールが多すぎてすべてに対応できない、安易に導入するとその処理に 時間がかかり、本当に求める人材を採用できない、というものがあがっている。 このように学生側・企業側ともさまざまなメリット・デメリットを抱えているようである。 上の例は文献からの引用であるが、実際に企業でそのように感じているのか、ほかにはどの 様な問題点があるのか、どれほど活用されているのか、また今後はどのような方向性をもっ てインターネット、また電子メールを活用していくのか等を調べるため、本学の草薙ゼミの ホームページを利用しアンケート調査を実施した。ホームページに採用情報を掲載している 約140社の採用担当者宛に E-mail でアンケートへの回答を依頼し、33社から返答を頂 いた。次節にまずアンケート調査の内容を表示し、その次に回答を集計・分析した結果を示 す。 第2節 アンケートの結果の分析 まず各企業に答えて頂いたアンケート内容を表示。 4 インターネットで変化する就職活動 Q1.1 あなたの職種 Q1.2 あなたの年齢 Q2.1 御社の業種 Q2.2 御社の創立はいつごろですか? Q2.3 全社の従業員数 ●採用活動への、ホームページの利用についてうかがいます。 Q3.1 いつごろから、ホームぺ時に採用情報を掲載しはじめましたか? Q3.2 ホームページに採用情報を掲載することによって、資料請求数はどのように変化しま したか? Q3.3 ホームページに採用情報を掲載することによって、説明会への参加者数はどのように 変化しましたか? Q3.4 ホームページに採用情報を掲載したことのメリットとしてあげられるものはどれです か?(複数回答可) Q3.5 逆に、ホームページに採用情報を掲載したことによるデメリットはどれですか?(複 数回答可) Q3.6 今後も、ホームページによる採用情報の公開を続けますか? ●採用活動への、E-mail の利用についておうかがいします。 Q4.1 いつ頃から、、E-mail による情報提供・受付をはじめましたか? Q4.2 E-mail はどのように利用していますか? Q4.3 E-mail による連絡を始めてから、資料請求数はどのように変化しましたか? Q4.4 E-mail による連絡を始めてから、説明会参加者数はどのように変化しましたか? Q4.5 E-mail による資料請求数はどれくらいの割合ですか?(%でお答え下さい) Q4.6 E-mail で連絡を行なう説明会参加者数はどれくらいの割合ですか?(%でお答え下さ い) Q4.7 E-mail アドレスを公表したことで、採用活動とは無関係のメール(事業内容に対する 問い合わせや意見など)が届きますか? Q4.8 前問で「届く」と答えられた方は、そのメールに返事を出していますか? Q4.9 今後も、E-mail による連絡(受付けなど)を続けるつもりですか? Q5 ホームページ以外では、どのような媒体によって採用情報を公開していますか?(複 数回答可) Q6 今後、採用活動の重点を従来の方法(はがきや電話等)から、インターネットに移行 しますか? 次から結果をグラフで表したものを表示 5 インターネットで変化する就職活動 Q2.2、Q2.3 会社の創立年代を尋ねたところ図 1 のような結果が出てきた。ホームページで 採用情報を掲載している企業には比較的古いところが多いことがわかった。次に会社の従業 員数を見ると1000人以上の大企業が約半数を占め、300人以上だと80%を超える。 (図1、図2参照) 図 1会 社 の 創 立年代 42.4% 18.2% 1 9 5 0 年代 以前 1 9 6 0 年代 1 9 7 0 年代 1 9 8 0 年代 1 9 9 0 年代 18.2% 18.2% 3% 0% 20% 40% 60% 図 2会社の 従業員数 3% 0% 15.2% 33.3% 21.2% 27.3% 6 3 0 0 0 人 以上 1 0 0 0 人 以上 3 0 0 人 以上 1 0 0 人 以上 3 0 人 以上 3 0 人 未満 インターネットで変化する就職活動 Q3.1 次にホームページに採用情報を掲載した時期を尋ねると、やはりここ2,3年という 企業が多いことがわかる。(図3参照) 図 3採用情報を掲 載した時期 まだ掲 載して い ない 12.1% 1 9 9 6 年3 月 以前 21.2% 30.3% 1 9 9 6 年4 月 以降 21.2% 1 9 9 7 年4 月 以降 15.2% 1 9 9 8 年4 月 以降 0% 10% 20% 30% 40% Q3.2、Q3.3 次に、ホームページに採用情報を掲載し始めたことで資料請求数、また会社説 明会等への参加者数が増加したかどうかを聞くと次のような結果が出てきた。会社によって 増加率は異なるものの、減少したと答えた企業はなく、このことからもホームページに採用 情報を掲載したことでより多くの人に情報を見てもらえたことが分かる。(図4、図5参照) 7 インターネットで変化する就職活動 図 4資料請求数の 変化 50% 45% 40% 35% 30% 25% 20% 15% 10% 5% 0% 48.5% か なり増加した 30.3% 少し増加した 21.2% あ まり変化なし 減少した 0% 図 5説明会参加者数の 変化 50% 45% 40% 35% 30% 25% 20% 15% 10% 5% 0% 45.5% 39.4% か なり増加した 少し増加した あ まり変化なし 減少した 15.2% 0% 8 インターネットで変化する就職活動 Q3.4、Q3.5 次にホームページで採用情報を公開した上でのメリットとデメリットを尋ねた。 複数回答可で答えてもらうと、メリットのほうは計92件、デメリットのほうは計44件の 回答があった。メリットとして半数以上の企業があげたのは“情報をすばやく伝えることが 出来る”、“会社のイメージアップにつながる”という点であった。また、“情報更新を頻繁 に行える” 、“広い地域からの問い合わせがある”ということも約半数(48.5%)の企業がメ リットとしてあげていた。一方、半数以上の企業がデメリットとしてあげたのは“情報更新 の手間が増える”ということだけであった。やはりメリットのほうがデメリットよりも断然 多く、だからこそこれほど普及するようになったのであろう。(図6、図7参照) 図 6情報公開に お い て の メリッ ト 70% 60% 50% 60.6% 48.5% 51.5% 48.5% 40% 30% 30.3% 30.3% 20% 10% 9.1% 0% 9 情報の 更新を頻繁に 行え る 情報をすば や く伝え る こと が 出来る 会社の イメージアッ プに つ なが る コス ト ダ ウ ンに つ なが る 広い 地域か らの 問い 合わ せが ある インタ ーネ ッ ト に 興味の あ る 人 材 が 集まる その 他 インターネットで変化する就職活動 図 7情 報 公 開に お い て の デ メリット 60% 51.5% 50% 情 報 更新の 手 間が 増 え る 40% 制作 コス ト が か か りす ぎ る 30% 20% 30.3% 24.2% 15.2% 12.1% 問 い 合 わ せ が 多く対応 に 困る 予定 外の 人 か らの 問 い 合 わ せが ある その 他 10% 0% Q3.6 今後の採用情報の公開はどのようにするかを尋ねると、公開しつづけると答えた企業 は100%にのぼった。この事からもすでにインターネットなくてはならないものになりつ つあることがわかる。 (図8参照) 図 8今 後 の 採用情 報 の 公 開は ? 80% 69.7% 60% 40% 20% さらに 積極的 に 続け る 予 定 であ る ほ ぼ 現状 の まま続け る 予定 であ る 縮小、あ る い は 中 止 す る 予定 であ る 30.3% 0% 0% 10 インターネットで変化する就職活動 Q4.1 次に E‐mail について聞いた。いつごろから E-mail による情報提供・受付を始めたの か、という問いに対しては次のような結果が出てきた。 ホームページでの採用情報の公開より全体的に遅い時期になってはいるが、我々が就職活動 を始めた 98 年 4 月には、ほぼ 8 割の企業が E-mail を利用していたことになる。(図9参照) 図 9E-mail利用開始の 時期 0% 18.2% 24.2% 39.4% 18.2% 0% 10% 20% 30% まだ利用して い ない 1 9 9 6 年3 月以前 1 9 9 6 年4 月以降 1 9 9 7 年4 月以降 1 9 9 8 年4 月以降 40% E-mail の活用法についても尋ねた。 Q4.2 企業側・学生側からの双方向に利用する企業がほとんどであるが、利用者からの受付 のみに利用している企業が約2割ある。企業から E-mail を出すことが困難な場合も考えら れるからであろう。どちらにも利用していない、と答えた企業はなかった。やはり E-mail もインターネット同様に無くてはならないものになってきているのであろう。(図10参 照) 11 インターネットで変化する就職活動 図1 0E-mailの 活 用法 100% 81.8% 80% 情 報 提 供 と受 付 の 両方 会 社 か らの 情 報 提 供 の み 60% 利 用者か らの 受 付 の み 40% 20% どちらに も 利 用して い ない 18.2% 0% 0% 0% Q4.3、Q4.4 E‐mail による連絡を開始してからの資料請求数・説明会等への参加者数の増 減を尋ねたが、全体的に増加が多いものの、ホームページでの情報公開時ほどは増加してい ないようである。Q4.5 では E-mail による資料請求数の割合をたずねたら、23.4%という結 果が出た。さらに E-mail で連絡を取っていた説明会参加者数の割合を聞くと、9.2%という 数字が出てきた。(図11、図12参照) 図1 1E-mail後 の 資 料請求 数 の 変化 0% 21% 36% か なり 増 加した 少し増 加した あ まり 変化なし 減少した 43% 12 インターネットで変化する就職活動 図1 2E-mail後 の 説 明会 参加者数 の 変化 0% 15% か なり増 加した 少し増 加した 49% あ まり変化なし 減少した 36% Q4.7、Q4.8 E-mail アドレスを公表したことで、問い合わせや無関係のメールが届くことは 避けられなく、企業側もそのことは予想していたであろうと思われる。 そのようなメールに対しては全く無視したり、全部に返答は出来ないが、多くの企業が必要 性を感じたもののみに返答しているという結果も出てきた。(図13参照) 図1 3問 い 合 わ せ メー ル の 数 51.5% 60% 予想 以上 に 届く 40% 21.2% 27.3% 20% 予想 の 範囲内 で 届く ほ とんどない 0% Q4.9 今後も E-mail による連絡を続けると答えた企業は97%にのぼり、前述同様にインタ ーネット・ E‐mail はなくてはならないものになってきているようだ。 (図14参照) 13 インターネットで変化する就職活動 図 1 4 今 後 の E‐m ail活 用 度 は ? 0% 3% 0% 48% 49% さらに 積極 的 に 続け る ほ ぼ 現状 の まま続け る 受 付 に は 使 うが 、情 報 提 供 に は 使 わ な い 情 報 提 供 に は 使 うが 、受 付 に は 使 わ な い 縮 小 、あ る い は 中 止 す る Q5 ホームページ以外ではどのような媒体を使って採用情報を公開しているのかを尋ねると 次のような結果が出てきた。やはり 1 つだけでなく、様々なメディアを通して我々に情報提 供をしていることがわかった。 (就職雑誌、 、 、ex 就職ジャーナル、日経アドレなど、就職情 報誌、 、 、 、リクルート会社年鑑、日経会社年鑑など)(図15参照) 図 15 情 報 公 開の 媒 体は ? 5% 12% 23% 17% 43% 就職雑誌 就職情 報 誌 新聞 メー リング リス ト その 他 14 インターネットで変化する就職活動 Q6 今後の採用活動の重点をインターネットに置くのか、それとも電話やはがきなどのよう な従来からの方法に置いておくのかを尋ねた。従来の方法に重点を置いておく、もしくは戻 すと答えたところはなく、現状維持かインターネットに重点を置くと答えたところが97% に上った。やはりインターネットだけでも十分ではないし、もちろん従来の方法だけでも物 足りないので両立させていくところが多いようだ。 (図16参照) 図1 6今 後 の 採用 活 動 の 重 点 は ? 3% 0% 48% 49% インタ ー ネ ット 従 来 の 方 法に 戻 す 第5章 ほ ぼ 現状 の ままで よい その 他 結論と今後への課題 「情報化社会」といわれて久しい。情報チャンネルをにぎれば自分達の影響力を高められる と皆が気づいている。経済システムでさえ「情報」によって左右されている。だからこそ、 新たな情報メディアである「インターネット」に皆が飛びついたのだ。そして、情報インフ ラが整いつつあるというのが現状である。でも、自分達の発した情報がどんな影響を呼ぶの かは、じつは誰にも見通すことができない。都合の悪い影響もありうるのである。企業パン フレットの焼き直し的な情報しか流さない企業が多いのは、そのことでの恐怖心があるから だ。E‐mail 交換に積極的な企業は、求職者の間で「あらぬ噂」が流れることのリスクもま た侵している。だがそうしたリスクの一方で、インターネットに積極的な企業は、新たなコ ミュニケーションの可能性を手に入れている。若者の価値観の変化をとらえ、通常の採用方 法では出会えない人材と出会う機会を増やしている。リスクと引き換えに、新たなコミュニ ケーション作法の修得というメリットを手に入れているのである。求職者においても、状況 は全く同じである。E−mail を送ったことで、人事の印象を悪くすることだってありえるし、 15 インターネットで変化する就職活動 逆に素晴らしいアピールになること同じである。あるいは、今までは手に入らなかった企業 のウラ情報を仕入れることもできるが、ありもしない噂に左右されてしまうということも起 こり得る。インターネットを活用することで、いい情報であれ、悪い情報であれ間違いなく 手に入る情報は増える。情報が増えればそれらを比較でき、比較した上で「あえて」どれか の情報を信じることを選択するのである。 (出典:「インターネット就職マニュアル‘98」 アスペクト) さまざまなデータや考察があったが、以上の事柄を踏まえて言えることは、インターネット は現在の就職活動に無くてはならないものになってきている、ということである。インター ネットのおかげで就職活動の幅がかなり広がったのである。そしてインターネットを使いこ なせることが当たり前になってきているのだ。インターネット・ E-mail は重要なツールの 一つである。そして今後も履歴書をメールで送ったり、1次試験をホームページ上で行った りすることも出てくると思われる。必要に応じてますます活用度が増してくるだろう。しか し逆に言えばツールでしかない、とも言える。情報を送る、情報を得る道具でしかないのだ。 もちろん情報は活動において重要な要素なのだが、それらをどう使いこなすかが大事なのだ。 膨大な情報量の中で質を見極める“眼”を持つ必要がある。自分の考え、意見をしっかりと 持ち、その膨大な量の情報におぼれることなく動いていかなければならない。結局社風を理 解する上で一番有効なのは「フェイス・トゥ・フェイス」実際に人と会って話すことである。 現在の就職活動にとって、インターネットとは情報収集には必要不可欠だが、それだけでは 十分でないものになってきている。ツールの一つとして活用するのが賢い方法であろう。 <参考文献> ・就職ジャーナル‘97 11,12, ’98 1月号(リクルート) ・インターネット就職マニュアル‘98(アスペクト) ・情報化白書1997(財団法人 日本情報処理開発協会編) ・就職に絶対有利なインターネット‘98(日経事業出版社) 16