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歴史的背景を考慮した 長野市北部の内水災害特性

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歴史的背景を考慮した 長野市北部の内水災害特性
歴史的背景を考慮した
長野市北部の内水災害特性
豊田研究室
10T3032G
冨安
克希
平成 26 年 2 月
歴史的背景を考慮した長野市北部の内水災害特性
平 成 26 年 2 月
冨安
克希
要旨
目的
善光寺を中心とした町の形成や裾花川の流路の変更といった歴史的背景からなる現
在の長野市北部の用水路は,放射状に複数存在し,都市部を通り下流域の農地へ流れ
る珍しい水路形態である.このため,都市部に多数の用水路が存在することから,豪
雨時において内水災害が発生する可能性が他の都市よりも高いと思われる.ここでは,
上述のような歴史的背景が近年多発している内水災害の特性にどのような影響を及ぼして
いるかを明らかにすることを目的とする.
方法
複数の文献から長野市北部の特殊な水路形態に至った歴史的背景をまとめ,その結
果 と 長 野 市 に 報 告 さ れ た 平 成 18 年 か ら 平 成 25 年 ま で の 内 水 災 害 デ ー タ を 用 い て , 内
水災害の発生箇所と歴史的背景との関連について検討する.
結論
得られた結果を以下に示す.
・善光寺を中心に町が発展していき,それに伴い水路形態も善光寺を守るかたちとな
っ て い る た め ,善 光 寺 周 辺 で は 内 水 災 害 が 発 生 し に く い 地 域 と な っ て い る .し か し ,
善光寺より下流の用水路では善光寺周辺の沢水や排水が一斉に集まるため,それら
の合流部を中心に内水災害が発生しやすい.
・裾花川の流路変更に伴い,旧流路をもとに用水路の開削・整備を行ってきた.その
ため,標高が低くなっている裾花川の旧流路を利用している用水路周辺では,他の
場所と比べて内水災害が発生しやすい.また,旧裾花川によって造られた自然堤防
周辺は,微高地であるため内水災害が発生しにくい.
指導教員
豊田
政史
助教
目次
第1章
序 論 ........................................................................................................................ 1
1. 1
研 究 の 背 景 と 目 的 ................................................................................................... 1
1.2
第2章
本 論 文 の 構 成 ............................................................................................................. 2
長 野 市 の 内 水 災 害 ................................................................................................... 3
2.1
対 象 と す る 内 水 災 害 .................................................................................................. 3
2.2
降 雨 に よ る 内 水 災 害 の 特 徴 ....................................................................................... 8
2.2.1
検 討 方 法 ............................................................................................................. 8
2.2.2
降 雨 特 性 ご と に 分 類 し た 内 水 災 害 の 分 布 ......................................................... 11
2.2.3
結 果 と 考 察 ........................................................................................................ 16
2.3
内 水 災 害 の 発 生 要 因 に よ る 分 類 .............................................................................. 18
2.3.1
分 類 方 法 ........................................................................................................... 18
2.3.2
結 果 と 考 察 ........................................................................................................ 22
2.4
第 3章
3.1
ま と め ..................................................................................................................... 24
長 野 市 の 用 水 路 に 関 す る 歴 史 ............................................................................... 25
善 光 寺 周 辺 の 治 水 と 滞 水 池 へ の 集 水 ...................................................................... 25
3.1.1
工 夫 さ れ た 治 水 ................................................................................................ 25
3.1.2
滞 水 池 の 集 水 シ ス テ ム ...................................................................................... 27
3.2
裾 花 川 の 流 れ の 歴 史 ................................................................................................ 28
3.2.1
裾 花 川 の 流 路 変 更 ............................................................................................. 28
3.2.2
自 然 堤 防 に よ る 微 高 地 ...................................................................................... 30
3.3
第4章
ま と め ..................................................................................................................... 32
長 野 市 の 内 水 災 害 と 用 水 の 歴 史 と の 関 連 性 ......................................................... 33
4.1
善 光 寺 周 辺 ・ 滞 水 池 と 内 水 災 害 .............................................................................. 33
4.2
裾 花 川 , 犀 川 の 旧 流 路 と 内 水 災 害 .......................................................................... 37
4.2.1
旧 流 路 と 内 水 災 害 ............................................................................................. 37
4.2.2
4.3
第 5章
自 然 堤 防 に よ る 微 高 地 と 内 水 災 害 ................................................................... 39
ま と め ..................................................................................................................... 42
結 論 ...................................................................................................................... 43
謝 辞 ..................................................................................................................................... 44
参 考 文 献 .............................................................................................................................. 45
1
第1章
1.1
序論
研究の背景と目的
近 年 ,局 所 的 な 豪 雨 や 都 市 化 に よ り ,毎 年 の よ う に 水 害 が 発 生 し て い る .水 害 に は ,
大河川そのものの水位が上昇し堤防などの外へ大量の水が溢れ出す「外水災害(外水
氾 濫 )」と 排 水 路 や 下 水 ,側 溝 の 排 水 が 間 に 合 わ ず 水 が 溢 れ 出 す 場 合 や 本 川 の 水 位 が 上
昇 し 支 川 へ 逆 流 し て し ま う「 内 水 災 害( 内 水 氾 濫 )」が あ る .水 害 統 計( 平 成 9 年 ~ 18
年 の 10 年 間 の 合 計 )に よ る と ,全 国 の 被 害 額 56%( 約 2.4 兆 円 ),浸 水 面 積 65%( 約
20 万 ha),浸 水 棟 数 62%( 約 39 万 棟 )が 内 水 災 害 に よ る も の で 外 水 災 害 を 上 回 っ て い
る (内 水 ハ ザ ー ド マ ッ プ 作 成 の 手 引 き ,2009).こ の こ と か ら ,内 水 災 害 は 外 水 災 害 よ り
も 発 生 頻 度 が 高 く ,市 民 と の 生 活 と 密 接 な 関 わ り を 持 っ て い る こ と が わ か る .し か し ,
平 成 25 年 12 月 27 日 の 時 点 で 全 国 の 洪 水 ハ ザ ー ド マ ッ プ の 公 表 数 1235 市 町 村 に 対 し
内 水 ハ ザ ー ド マ ッ プ の 公 表 数 は 226 市 町 村 と 二 割 に も 満 た な い 状 態 で あ る ( 国 土 交 通
省 ハ ザ ー ド マ ッ プ ポ ー タ ル サ イ ト ).こ の こ と か ら 内 水 災 害 の 対 策 を し て い る 市 町 村 は
少ないといえる.このような背景を鑑みると,外水災害対策同様,内水災害対策もし
っかりと行う必要がある.
また,長野市北部の農業用水路(以下,用水路)は,都市部を通り下流域の農地へ
水を引くという特殊な水路形態であり,放射状にいくつもの水路が存在する.このよ
うな水路形態には,善光寺を中心とした町の形成や裾花川の流路の変更といった歴史
的背景が関係している.現在,農業用水は,農村の都市化が進み農業用水としての機
能が低下する中で,生活排水や雨水排水,消防水利施設の設置など地域用水としても
利用されている.このように,長野市北部では特殊な水路形態を利用し住民が用水路
と関わっている一方で,身近に用水路があるため,大雨時,冠水した道路で人が用水
路に転落するといったような,人命に関わる水害が発生する恐れもある.
村 林( 2010)は ,長 野 市 北 部 の 内 水 災 害 に つ い て ,過 去 の 内 水 災 害 の 浸 水 実 績 と 長 野
市の地形から,長野市における内水災害と地形との関連を見つけ,内水災害の発生要
因や危険箇所の検討を行った.しかし,この研究は内水災害と地形との関連のみの考
2
察である.また,特殊な水路形態の歴史的背景を知ることで,水路の特徴が明らかに
なり,内水災害の傾向を発見することに繋がると思われる.
そこで本研究では,過去の内水災害の浸水実績と現在の長野市北部の特殊な水路形
態に至った歴史的背景から,長野市における内水災害と水路形態との関連を見つけ,
内水災害の発生要因や危険箇所の検討を行う.
1.2
本論文の構成
本 論 文 は 5 章 で 構 成 さ れ て い る .ま ず ,本 章 で は 本 研 究 の 背 景 と 目 的 を 述 べ る .第 2
章では,長野市北部の内水災害と降水の特徴や場所との関連を検討し,また,内水災
害発生要因による分類を行う.第 3 章では,長野市北部の特殊な水路形態に至った歴
史的背景について述べ,第 4 章で内水災害と特殊な水路形態に至った歴史的背景との
関連について検討する.そして,第 5 章で本研究のまとめについて述べる.
3
第2章
2.1
長野市の内水災害
対象とする内水災害
本 研 究 で は ,図 2-1 で 示 す 長 野 市 河 川 水 路 図( 北 部 )を も と に 用 水 路 の 形 態 を 特 定 し
て い き ,Adobe Photoshop Elements 1 を 用 い て 水 路 図 上 に 内 水 災 害 発 生 箇 所 や 旧 流 路 な ど
の複数のレイヤーを作成し,重ね合わせて検討する.
対 象 範 囲 は , 村 林 ( 2010) と 同 じ 範 囲 で , 主 に 裾 花 川 , 浅 川 か ら 引 水 し た 用 水 路 が
位 置 す る 地 域 と し ,図 2-2 の 赤 枠 で 示 し た 面 積 約 55km 2 の 範 囲 と す る .な お ,図 2-2 は
図 2-1 を 本 研 究 の 対 象 範 囲 付 近 に 限 定 し て 表 示 し た も の で あ る .ま た ,対 象 範 囲 内 に お
い て , 村 林 ( 2010) が 5m 間 隔 の 計 曲 線 に 基 づ い て 制 作 し た 段 彩 図 を 図 2-3 に 示 す .
対 象 と す る 内 水 災 害 は ,長 野 市 役 所 の「 豪 雨 災 害 資 料 」( 長 野 市 役 所 に 報 告 さ れ た 豪
雨 で の 被 害 記 録 )に 記 載 さ れ た も の と し た .豪 雨 災 害 資 料 に 記 載 さ れ て い る 平 成 24 年
と 平 成 25 年 に 発 生 し た 内 水 災 害 の う ち ,本 研 究 の 対 象 範 囲 内 か つ 発 生 場 所 を 特 定 で き
た 44 地 点 と , 村 林 ( 2010) で 用 い た 豪 雨 災 害 資 料 か ら 抽 出 し た 平 成 18 年 か ら 平 成 21
年 の 内 水 災 害 75 地 点 の 合 計 119 地 点 を 対 象 と し 研 究 を 行 う .こ の 119 地 点 の 発 生 年 月
日 と 発 生 件 数 を 表 2-1 に 示 し ,表 2-1 の 色 分 け に 従 い ,内 水 災 害 の 被 害 箇 所 119 地 点 を
図 2-2 に プ ロ ッ ト す る .ま た ,平 成 22 年 は 対 象 地 域 外 で の 被 害 ,平 成 23 年 は 被 害 報 告
なしという理由で採用していない.
1
Adobe: 一 般 ユ ー ザ 向 け 画 像 編 集 ソ フ ト の こ と
4
0
図 2-1
長野市河川図(北部)
1,500m
5
● : 平 成 18 年
● : 平 成 19 年
● : 平 成 20 年
● : 平 成 21 年
● : 平 成 24 年
● : 平 成 25 年
:対象範囲
浅川
裾花川
犀川
図 2-2
対象範囲と内水災害の分布
6
0
図 2-3
段彩図と長野市の河川および水路
1,500m
7
表 2-1
対象範囲内における内水災害の発生年月日と発生件数
年
月日
発生件数
平 成 18 年
7 月 18-19 日
6
平 成 19 年
8月6日
40
8 月 13 日
7
8 月 14 日
5
8 月 19 日
15
6 月 16 日
1
8月6日
1
7 月 20 日
28
7 月 27 日
6
8 月 23 日
10
平 成 20 年
平 成 21 年
平 成 24 年
平 成 25 年
8
2.2
降雨による内水災害の特徴
2.2.1
検討方法
ここでは,内水災害の分布と降水量との関係性を調査する.降水量については時間
最大降水量と累計降水量の 2 点から降水の特徴をとらえ,考察する.時間最大降水量
は,毎正時における降水量のうちの最大値とし,累計降水量は雨の降り始めから降り
終わりまでの合計である.
本 研 究 で 用 い る 降 水 量 デ ー タ は ,図 2-4 に 示 す 各 雨 量 観 測 所 の 観 測 デ ー タ と 信 州 大 学
工 学 部 キ ャ ン パ ス 内 で 観 測 し た も の で あ る .図 2-4 で は ,対 象 範 囲 内 の 雨 量 観 測 所 の 位
置を黒点で,観測所名を黄色の枠で示し,対象範囲外であるが対象範囲付近であるた
め,考察に用いた観測所名を黒色の枠で示す.また,本研究で取り上げた雨量観測所
の 情 報 を 表 2-2 に 示 す .な お ,図 表 で 雨 量 観 測 所 名 を 示 す 際 に ,長 野 地 方 気 象 台 は 長 野
( 気 ), 信 州 大 学 工 学 部 キ ャ ン パ ス は 信 大 ( 工 ) と 示 し て あ る .
降雨の特徴や場所が異なることによって発生する内水災害の特徴の違いを調べるた
め,降雨の特徴については,内水災害発生年月日ごとに,長期的な降雨か,一時的な
強 い 降 雨 の 2 つ に 分 類 し た .ま た ,降 雨 の 場 所 に つ い て は ,図 2-4 に 示 す よ う に 研 究 対
象範囲を北部と南部に区切り,内水災害発生年月日ごとに,対象範囲全域の降雨,北
部を中心とした降雨,南部を中心とした降雨の 3 つに分類した.ただし,長野局,安
茂里局の降雨観測デーは北部と南部を分ける境界線上で北部・南部ともに影響すると
考えられるため,北部,南部ともに含むこととする.
9
:北部
:南部
●:雨量観測所
:対象範囲内の雨量観測所
:対 象 範 囲 外 で あ る が 対 象 範 囲 付 近 で あ る た め ,参 考 に 用 い た 観 測 所 名
浅 川( 県 )
●
三 才( 県 )
●
若槻局
●
長 野( 気 )
柳原局
●
●
長野局
●
安里
茂茂
里局
●
信 大( 工 )
更北局
0
図 2-4
1,500m
雨量観測所の位置と対象範囲内の区分
若穂局
10
表 2-2
所属
観測所名
雨量観測所の情報
水系名
河川名
信濃川
千曲川
長野地方
気象庁
気象台
位
置
備
考
長 野 市 箱 清 水 1-8-18
有線ロボット
(長野地方気象台)
気象計
長 野 市 浅 川 清 水 762
長野県
浅川
信濃川
浅川
テレメーター
(長野市霊園)
長野県
三才
信濃川
駒沢川
長野市
長野局
信濃川
千曲川
長 野 市 三 才 念 仏 塚 2203-8
テレメーター
長 野 市 大 字 鶴 賀 緑 町 1613
テレメーター
(長野市役所)
長 野 市 若 穂 綿 内 7827
長野市
若穂局
信濃川
千曲川
テレメーター
(若穂支所)
長 野 市 青 木 島 町 大 塚 881-1
長野市
更北局
信濃川
千曲川
テレメーター
(更北支所)
長 野 市 大 字 柳 原 2100-2
長野市
柳原局
信濃川
千曲川
テレメーター
(柳原支所)
長 野 市 大 字 若 槻 東 条 505-1
長野市
若槻局
信濃川
千曲川
テレメーター
(若槻支所)
長 野 市 大 字 安 茂 里 1771-1
長野市
安茂里局
信濃川
犀川
テレメーター
(安茂里支所)
11
2.2.2
降雨特性ごとに分類した内水災害の分布
降雨の特徴として,内水災害発生年月日ごとに,長期的な降雨と一時的な強い降雨
の 2 つ に 分 類 し た も の を 表 2-3 に 示 す .
内水災害発生年月日ごとに降雨の場所を対象範囲全域の降雨,北部を中心とした降
雨 ,南 部 を 中 心 と し た 降 雨 の 3 つ に 分 類 を 行 う .さ ら に ,3 つ に 分 類 し た 内 水 災 害 年 月
日の内水災害発生箇所と観測した降水量をまとめた.それぞれについてまとめたもの
を , 対 象 範 囲 全 域 の 降 雨 は 図 2-5 と 表 2-4, 北 部 を 中 心 と し た 降 雨 は 図 2-6 と 表 2-5,
南 部 を 中 心 と し た 降 雨 は 図 2-7 と 表 2-6 に 示 す .た だ し ,平 成 24 年 7 月 20 日 は ,北 部
を中心とした降雨に分類されるが,時間最大降水量が他のものに比べ多いため個別に
図 2-8 と 表 2-7 に 示 す . な お , 降 水 量 が 示 さ れ て い な い 場 所 は , 欠 測 で あ る .
表 2-3
降雨の特徴
降雨の特徴の分類
分類
年月日
平 成 18 年 7 月 18-19
長期的な降雨
対象範囲全域の降雨
日
(前線によるもの)
平 成 25 年 8 月 23 日
平 成 19 年 8 月 6 日
北部を中心とした降
平 成 20 年 8 月 13 日
雨
平 成 20 年 8 月 19 日
平 成 21 年 8 月 6 日
一時的な強い雨
平 成 20 年 8 月 14 日
南部を中心とした降
平 成 21 年 6 月 16 日
雨
平 成 24 年 7 月 20 日
平 成 25 年 7 月 27 日
12
●:雨量観測所
● : 平 成 18 年 7 月 18-19 日
● : 平 成 25 年 8 月 23 日
0
図 2-5
表 2-4
年月日
1,500m
対象範囲全域での降雨による内水災害発生場所の分布
対象範囲全域での降雨に分類された内水災害発生年月日の降水量
降水量の種類
時間最大降水量(mm)
H18.7.18-19
累計降水量(mm)
時間最大降水量(mm)
H25.8.23
累計降水量(mm)
長野(気)
16.0
112.0
21.5
110.5
浅川局 若槻局
17.0
106.0
22.0
24.0
109.0
95.0
三才局 柳原局
16.0
19.0
108.0
132.0
21.0
22.0
106.0
88.0
長野局 安茂里局
18.0
16.0
115.0
112.0
23.0
20.0
94.0
85.0
更北局 若穂局 信大(工)
13.0
17.0
109.0
121.0
19.0
17.0
71.0
68.0
13
●:雨量観測所
● : 平 成 19 年 8 月 6 日 ● : 平 成 20 年 8 月 13 日
● : 平 成 20 年 8 月 19 日 ● : 平 成 21 年 8 月 6 日
若槻局
三 才( 県 )
長野地方気象台
0
図 2-6
表 2-5
年月日
北部を中心とした降雨による内水災害発生場所の分布
北部を中心とした降雨に分類された内水災害発生年月日の降水量
降水量の種類
時間最大降水量(mm)
累計降水量(mm)
時間最大降水量(mm)
H20.8.13
累計降水量(mm)
時間最大降水量(mm)
H20.8.19
累計降水量(mm)
時間最大降水量(mm)
H21.8.6
累計降水量(mm)
H19.8.6
1,500m
長野(気)
37.0
39.0
11.5
22.5
26.0
35.5
17.5
19.5
北部
浅川局
若槻局
30.0
44.0
36.0
45.0
40.0
27.0
78.0
39.0
18.0
29.0
33.0
39.0
17.0
22.0
19.0
32.0
三才局
30.0
36.0
11.0
22.0
30.0
42.0
25.0
36.0
北部・南部
長野局 安茂里局
22.0
22.0
24.0
24.0
20.0
19.0
29.0
22.0
25.0
14.0
33.0
21.0
18.0
18.0
19.0
19.0
更北局
36.0
37.0
6.0
10.0
4.0
8.0
11.0
12.0
南部
柳原局 若穂局 信大(工)
28.0
9.0
30.0
19.0
11.0
12.0
17.0
21.0
24.0
8.0
28.0
13.0
23.0
14.0
43.0
16.0
14
●:雨量観測所
● : 平 成 20 年 8 月 14 日
● : 平 成 21 年 6 月 16 日
● : 平 成 25 年 7 月 27 日
0
図 2-7
表 2-6
年月日
南部を中心とした降雨による内水災害発生場所の分布
南部を中心とした降雨に分類された内水災害発生年月日の降水量
降水量の種類
時間最大降水量(mm)
累計降水量(mm)
時間最大降水量(mm)
H21.6.16
累計降水量(mm)
時間最大降水量(mm)
H25.7.27
累計降水量(mm)
H20.8.14
1,500m
南部
北部
北部・南部
長野(気) 浅川局 若槻局
三才局
長野局 安茂里局 更北局 柳原局 若穂局 信大(工)
21.5
2.0
8.0
15.0
23.0
20.0
25.0
10.0
24.0
24.0
3.0
18.0
22.0
25.0
22.0
26.0
16.0
33.0
13.0
16.0
29.0
14.0
19.0
21.0
19.0
21.0
9.0
19.5
16.0
38.0
15.0
29.0
29.0
29.0
25.0
15.0
21.0
21.0
19.0
6.0
20.0
24.0
19.0
15.0
7.0
36.5
30.0
26.0
21.0
33.0
37.0
32.0
19.0
12.0
15
●:雨量観測所
● : 平 成 24 年 7 月 20 日
0
図 2-8
平 成 24 年 7 月 20 日 の 内 水 災 害 の 分 布
表 2-7
年月日
H24.7.20
降水量の種類
時間最大降水量(mm)
累計降水量(mm)
1,500m
平 成 24 年 7 月 20 日 の 降 水 量
長野(気) 浅川局 若槻局 三才局 柳原局 長野局 長野局 安茂里局 更北局 若穂局 信大(工)
37.0
11.0
10.0
63.0
63.0
23.0
23.0
46.0
69.5
95.5
24.0
19.0
147.0
147.0
57.0
82.0
96.0
181.0
16
2.2.3
結果と考察
図 2-5~ 図 2-8 と 表 2-4~ 2-7 を 比 較 し , 考 察 を 行 う .
図 2-5 の 分 布 を 見 る と ,山 間 地 と 主 用 水 路 沿 い ,大 河 川( 犀 川 )沿 い に 被 害 が 集 中 し
て い る . 対 象 範 囲 全 域 で の 降 雨 に 分 類 さ れ た 平 成 18 年 7 月 18-19 日 と 平 成 25 年 8 月
23 日 の 内 水 災 害 発 生 箇 所 合 計 16 地 点 の 中 に「 逆 流 」と 被 害 内 容 が 記 載 さ れ て い る も の
が 2 地点あった.ここでは,降雨・地形特性から判断して,長期的な降雨により主用
水路・大河川が増水し,これらへ合流する用水路への逆流により発生したものと考え
られた.そのほかにも被害内容は記載されていないが,主用水路・大河川の増水の影
響 と 考 え ら れ る 地 点 が 4 地 点 あ っ た .表 2-4 に 示 し た よ う な 累 計 降 水 量 が 対 象 範 囲 全 域
に 100mm 近 く 降 る 長 期 的 な 降 雨 で は ,大 河 川 や 主 用 水 路 が ,満 水 近 く ま で 増 水 す る 可
能性があるので,注意が必要であるといえる.
図 2-6 の 分 布 と 表 2-5 の 時 間 最 大 降 水 量 を 見 て み る .若 槻 局 ,三 才( 県 )の 時 間 最 大
降 水 量 が 他 と 比 べ 多 い 平 成 19 年 8 月 6 日 を 除 く と ,若 槻 局 ,三 才( 県 )付 近 で は ,時
間 最 大 降 水 量 が 30mm 近 く の 降 雨 を 観 測 し て も , 内 水 災 害 の 発 生 が 少 な い こ と が わ か
る.このことから若槻局,三才(県)周辺は内水災害が発生しにくい地域であるとい
える.考えられる要因としては,浅川,駒沢川,徳間川などの一級河川が地区内を流
れ て い る こ と や ,図 2-3 を 見 て み る と ,計 曲 線 の 間 隔 が 狭 く ,傾 斜 が 急 で あ る こ と か ら ,
地 形 的 に も 浸 水 被 害 に 遭 い に く い と 考 え ら れ る . し か し , 図 2-6 の 赤 色 の 円 で 囲 ん だ ,
若槻局左に位置する浅川地域や上松地域,長野地方気象台下に位置する三輪地区や柳
町 の よ う に 内 水 災 害 が 集 中 し て い る 地 域 も あ る .こ れ は 村 林( 2010)で も あ る よ う に ,
若槻局や三才(県)に比べ用水路の数が多いことや,被害が報告された地域は住宅が
集中していることから,水路形態や都市構造といった発生要因が予想できる.
図 2-7 の 分 布 を 見 て み る と ,図 2-6 に 比 べ 被 害 が 少 な い こ と が わ か る .南 東 部 は 農 地
が多いことから,内水災害が発生しても報告がされていないことも考えられるが,平
成 18 年 か ら 平 成 25 年 の 間 で , 平 成 24 年 7 月 20 日 を 除 き , 北 部 を 中 心 と し た 降 雨 と
比 べ 時 間 最 大 降 水 量 が 30mm 近 く の 降 雨 を 観 測 し た 記 録 が な い . 山 間 地 の 多 い 北 部 と
平坦地の多い南部で降雨特性が異なることも,内水災害の発生に大きく関わってくる
と 考 え ら れ る .ま た ,表 2-6 に 示 す よ う に 時 間 最 大 降 水 量 が 20mm 近 く の 降 雨 が あ る に
17
も関わらず被害が少ないことから,内水災害に強い地域であることがわかる.
図 2-8 と 表 2-7 に 示 す 平 成 24 年 7 月 20 日 の よ う な 時 間 最 大 降 水 量 が 非 常 に 大 き い 場
合 は ,南 部 に 被 害 が 増 大 す る .し か し ,時 間 最 大 降 水 量 が 25mm~ 50mm の 降 水 記 録 が
な い た め ,南 部 が ど の 程 度 の 降 水 に ま で 耐 え ら れ る の か を ,予 想 す る こ と が で き な い .
18
2.3
内水災害の発生要因による分類
2.3.1
分類方法
対象としている内水災害で溢水したとされる水路の中には,道路側溝のような河川
と比べ規模が非常に小さいものもある.そういった小さな水路の流下能力を全て把握
す る こ と は 難 し い た め ,本 研 究 で は 水 路 の 流 下 能 力 は 考 慮 し な い こ と と し た .そ こ で ,
図 2-1 や , 地 形 図 上 か ら 読 み 取 れ る 長 野 市 の 地 形 と ,「 豪 雨 災 害 資 料 」 の 記 述 内 容 を 中
心 に 考 察 し ,内 水 災 害 の 要 因 ご と の 分 類 を 試 み た .分 類 は ,図 2-4 で 示 す よ う に ,対 象
範囲全域の内水災害被害箇所と,対象範囲内を北部と南部で分けた 2 つの範囲内の内
水災害被害箇所で行う.
村 林( 2010)を も と に ,「 豪 雨 災 害 資 料 」に 記 述 さ れ て い た 内 水 災 害 の 要 因 と ,長 野
市河川水路図(北部)から読み取れる水路の形状,現在の地形図や等高線から読み取
れ る も の か ら , 表 2-8 の よ う な 内 水 災 害 の 分 類 項 目 を 定 め た .
個 人 に よ り 読 み 取 り 方 が 異 な る の で ,村 林( 2010)が 分 類 を 行 っ た 平 成 18 年 ~ 平 成
21 年 の 内 水 災 害 の 発 生 要 因 を 再 度 検 証 し , 分 類 を 試 み た . そ こ に 平 成 24 年 , 平 成 25
年 の 検 証 結 果 を 加 え た .分 類 項 目 の 中 の 内 容 も 少 し 変 更 し た .村 林( 2010)で は ,「 都
市構造的」に「マンホールの蓋がはずれていたことによる負傷事故」という内容があ
ったが,内水災害発生要因ではないため,分類項目「不明」に加えた.
表 2-8 の 説 明 を 以 下 で 行 う .「 都 市 構 造 的 」 の 「 人 為 的 に 周 辺 よ り 標 高 が 低 く さ れ た
こ と に よ る 降 雨 の 集 水 」や ,「 地 形 的 」の「 集 水 面 積 が 広 い 」,「 水 路 構 造 的 」の「 水 路
断 面 が 小 さ く な る 地 点 」,「 開 渠 か ら 暗 渠 に 変 わ る 地 点 」,「 排 水 先 の 水 路 が 満 水 近 く な
ることによる逆流,水門を閉じたことによる逆流,ごみ詰まり」は,地形図上から読
み 取 る こ と は 困 難 な た め ,「 豪 雨 災 害 資 料 」 の 記 述 に 従 っ た も の で あ る .
「都市構造的」の「学校や公園のグラウンドによる特殊地形」とは学校や公園にあ
る広いグラウンドに沿って,等高線が直角に曲がる地形をいう.その例として湯谷小
学 校 付 近 の 航 空 写 真 と 1m 間 隔 の 等 高 線 を 図 2-9 に 示 す .こ の よ う な 地 形 付 近 で は ,グ
ラウンドから溢れた水が低地に流出したり,湯谷小学校のグラウンドに沿った道路上
を図中の矢印の示す方向に表流水が流れたりすることにより,交差点付近で標高の低
い場所にある住宅や道路が冠水したりするといった被害が報告されている.図中の円
19
は こ の よ う な 要 因 に よ る 内 水 災 害 の 発 生 地 点 を 示 す .ま た ,「 地 形 的 」の「 傾 斜 変 換 線
付 近 」と は ,急 勾 配 か ら 緩 勾 配 に 移 り 変 わ る 地 点 に お い て ,表 流 水 の 流 れ が 遅 く な り ,
水が停滞する箇所をいい,
「 谷 地 形 内 」は 谷 地 形 に よ る 周 囲 か ら の 表 流 水 の 集 水 に よ る .
「 地 形 的 」 に つ い て は , 作 成 し た 段 彩 図 ( 図 2-3) と SURVEY VIEW 2 を 用 い て 描 い た
主 曲 線 1m 間 隔 ,計 曲 線 5m 間 隔 の 等 高 線 か ら 読 み 取 っ た .こ こ で ,「 都 市 構 造 的 」「 地
形 的 」「 水 路 構 造 的 」 の 2 つ 以 上 が 当 て は ま っ た 地 点 は 「 複 合 的 」, ど こ に も 当 て は め
る こ と の で き な か っ た 地 点 は ,「 不 明 」 に 分 類 し た .
2
SURVEY VIEW: 航 空 写 真 の 表 示 , 3 次 元 デ ー タ 表 示 , 標 高 ・ 等 高 線 の 表 示 な ど 航 空
測量成果を主体とした機能をもつ閲覧システム
20
表 2-8
内水災害の分類項目
分類項目
都市構造的
内容
学校や公園のグラウンドによる特殊地形
人為的に周辺より標高が低くされたことによる降雨の集水
地下道路の冠水
地形的
傾斜変換線付近
谷地形内
集水面積が広い
水路構造的
水路合流部
水路屈曲部
水路断面が小さくなる点
開渠から暗渠に変わる地点
排水先の水路が満水近くなることによる逆流,ごみ詰まり
複合的
不明
上記 3 項目の 2 つ以上に当てはまった地点
上記 3 項目のどこにも当てはまらなかった地点
21
:主曲線(1m間隔)
:計曲線(5m間隔)
図 2-9
0
学校のグラウンドによる特殊地形の例
500m
22
2.3.2
結果と考察
対 象 範 囲 全 域 119 地 点 の 分 類 結 果 を 図 2-10,北 部 59 地 点 の 分 類 結 果 を 図 2-11,南 部
60 地 点 の 分 類 結 果 を 図 2-12 に 示 す .
対 象 範 囲 全 域( 119 地 点 )で は ,
「 水 路 構 造 的 」と 分 類 さ れ た も の が 57 地 点 あ り ,こ
れ は 全 体 の 約 49% を 占 め る . さ ら に ,「 複 合 的 」 の 中 に 「 水 路 構 造 的 」 を 含 む も の が
16 地 点 あ る こ と か ら ,内 水 災 害 と 水 路 構 造 と の 強 い 関 係 が 見 ら れ る と い え る .
「都市構
造 的 」は 地 形 図 上 か ら は 判 断 で き る 項 目 が 少 な く ,「 豪 雨 災 害 資 料 」の 記 述 に よ る と こ
ろ が 多 か っ た た め , 7 地 点 と 少 な く な っ た と 考 え ら れ る .「 地 形 的 」 と 分 類 さ れ る も の
は 22 地 点 ,「 複 合 的 」の 中 に「 地 形 的 」を 含 む も の が 16 地 点 で あ る こ と か ら ,内 水 災
害 の 発 生 要 因 は 水 路 構 造 だ け で な く ,地 形 的 な 影 響 も 大 き く 関 わ っ て く る と 思 わ れ る .
ま た ,北 部( 59 地 点 )で は「 水 路 構 造 的 」が 18 地 点 と 最 も 多 い が ,「 地 形 的 」も 16
地 点 と 次 に 多 く , 対 象 範 囲 全 域 の 「 地 形 的 」 22 地 点 の 約 7 割 以 上 が 北 部 に 集 中 し て い
る . そ れ に 比 べ , 南 部 ( 60 地 点 ) で は 圧 倒 的 に 「 水 路 構 造 的 」 が 多 い . 地 形 的 影 響 を
受けにくい平坦地では,水路構造的要因が内水災害に影響を与えると考えられる.
13%
(15)
6%
(7)
18%
(22)
15%
(18)
対象範囲全域
( 全 119 地 点 )
都市構造的
地形的
水路構造的
複合的
不明
( ): 発 生 件 数
48%
(57)
図 2-10
対 象 範 囲 全 域 ( 全 119 地 点 ) の 分 類 結 果
23
19%
(11)
3%
(2)
都市構造的
27%
北部
地形的
(16)
水路構造的
20% ( 全 59 地 点 )
(12)
複合的
不明
( ): 発 生 件 数
31%
(18)
図 2-11
10%
(6)
北 部 ( 全 59 地 点 ) の 分 類 結 果
7%
8%
(4) (5)
10%
(6)
都市構造的
地形的
南部
水路構造的
( 全 60 地 点 )
複合的
不明
( ): 発 生 件 数
65%
図 2-12
(39)
南 部 ( 全 60 地 点 ) の 分 類 結 果
24
2.4
まとめ
平 成 18 年 か ら 平 成 25 年 ま で に 発 生 し た 内 水 災 害 に 対 し て , 降 雨 の 特 徴 や 場 所 ご と
の分類と内水災害の発生要因ごとの分類を行った.
降雨の特徴や場所ごとの分類結果では,北部と南部で内水災害が発生した降水量の
比較から,北部と南部で降雨特性が異なることがわかった.また,北部の各雨量観測
所が同じ値の降水量を観測した場合でも,内水災害が発生しやすい地域と発生しにく
い 地 域 が あ る こ と が わ か っ た .内 水 災 害 発 生 要 因 の 分 類 結 果 か ら は ,「 水 路 構 造 的 」が
主要因と判断できた.また,山間地では水路構造的要因と同様に地形的要因も大きく
関 わ っ て い た が ,平 坦 地 で は 圧 倒 的 に 水 路 構 造 的 要 因 が 内 水 災 害 発 生 に 影 響 し て い た .
以上をまとめると,降雨特性の違い北部と南部における地形・用水路形態の違いが
内水災害の発生に影響を与えているといえる.
25
第3章
長野市の用水路に関する歴史
こ こ で は 長 野 市 の 水 路 形 態 に 大 き く 関 わ っ た ,善 光 寺 周 辺 の 治 水 と 滞 水 池 へ の 集 水 ,
裾花川の流れの歴史の 2 つについて述べる.
3.1
善光寺周辺の治水と滞水池への集水
3.1.1
工夫された治水 ( 長 野 県 土 地 改 良 史
第 1 巻 , 2001. 長 野 市 誌 第 2
巻 , 2000.)
長野市は主に日本最長の千曲川(下流長野県側は信濃川)と犀川によって形成され
た長野盆地を中心に発展した都市である.長野市北部は善光寺の門前町として発展し
た.そのため,善光寺や門前町を中心に,人が集まり,町が発展していき,それに伴
い農地の開拓が進んだ.そして,人の生活や作物を作るのに必要な水を引くため,用
水路の開削も行われた.
長 野 市 北 部 は 図 3-1 に 示 す よ う に ,善 光 寺 周 辺 を 流 れ る 湯 福 川 や 堀 切 沢 ,裾 花 川 旧 流
路と考えられる北八幡川や南八幡川などから水を引いたと考えられる.しかし当時,
一度大雨に見舞われると,裾花川の氾濫や善光寺周辺の山間地からの沢水が洪水や土
砂の押し出しを引き起こし,たびたび善光寺周辺に被害を与えた.そのために治水工
事の工夫がいくつか行われた.ここでは 3 つの治水工事の工夫を説明する.
第一に,善光寺北側の山間地から南東へ流れる堀切沢である.上流部では南東に流
下し,鐘鋳堰の下をくぐったのち,南に下る.鐘鋳堰をくぐった後,堀切沢は松林幹
線とも呼ばれ,途中,湯福川などの用水がこの松林幹線に集水する.南に下るほど水
路 の 底 が 深 く な り ,古 牧 荒 屋 の 南 に 位 置 す る 北 条 町 地 域 で は 水 深 3m ほ ど の 深 い 川 で あ
ったことが文献で確認できる.これは,沢水による洪水や土砂の押し出しへの対策と
考えられる.
第二に,湯福川である.湯福川の沢水は中世の善光寺をたびたび襲来した.そのた
め,湯福川は鐘鋳堰を超えて南東方向に流下し,松林幹線に排水されるようになって
いる.これは用水路を直線形状にすることで,流速を大きくさせ,善光寺付近で水が
溜まらないようにしていると考える.
26
第三に,中沢川・中沢堰である.善光寺周辺の沢水や排水が鐘鋳堰に流入して,そ
こ か ら 分 流 し て 流 れ る も の は 七 ツ 釜 落 し( 七 ツ 釜 堰 ),鶴 賀 堰 ,畔 下 堰 ,払 堰 で あ る が ,
すべて中沢川・中沢堰に集水されるようになっている.この中沢川は極めて幅の小さ
な 水 路 で ,善 光 寺 門 前 周 辺 の 悪 水 1 を 集 め ,し だ い に 底 の 深 い 用 水 路 と な る .こ の こ と
から,湯福川や堀切沢からの悪水を集める排水路の役割を中沢川・中沢堰は成してい
るといえる.さらに集めた悪水を灌漑用水に再利用している.
このように,堀切沢と松林幹線・湯福川・中沢川の開削は,善光寺周辺の山間地か
らの沢水や土砂の押し出しによる災害を最小限に抑えるとともに,それらの排水を集
めて灌漑用水として再利用するための合理的な土地開発型の用水システムであった.
湯福川
堀切沢
善光寺
松林幹線
畔下堰
鐘鋳堰
払堰
中沢川
三輪幹線
北条町
七ッ釜落し
鶴賀堰
中沢堰
:善光寺
:用 水 路
:北条町
:滞 水 池
0
図 3-1
1
善光寺周辺の用水
悪水:ここでは余水のこと.余った水,残り水
500m
27
3.1.2
滞水池の集水システム
堀切沢と松林幹線・湯福川・中沢川の排水はすべて滞水池に合流する.さらに裾花
川から引水する北八幡川や,鐘鋳堰を通じ三輪地区の水田へ水を供給する三輪幹線も
こ の 滞 水 池 に 合 流 す る( 市 誌 研 究 な が の ,2001).そ し て 再 び 灌 漑 用 水 と し て ,再 利 用
されるシステムとなっている.現在,この滞水池は北八幡川雨水調整池として,大雨
の時は一時的に雨水を池で貯め込んだ後,徐々に放流させ,河川の氾濫を少なくする
役目を果たしている.
上述のように工夫された用水形態によって,裾花川や善光寺周辺の山間地から流れ
出る沢水や土砂の押し出しを管理・調節して災害を防止し,排水を集水して灌漑用水
に再利用するというシステムが出来上がっていた.これによって暮らしの安全や,作
物の生産基盤を保障していたと考えられる.
28
3.2
裾花川の流れの歴史
3.2.1
裾花川の流路変更 ( 長 野 市 教 育 委 員 会 教 育 用
HP. 岡 宮 , 2008)
裾 花 川 は , 全 長 42km, 集 水 面 積 は 296km 2 で 犀 川 の 支 流 に あ た る . 源 流 は 戸 隠 連 峰
高 妻 山 ( 標 高 2,352m) で , 長 野 市 中 心 部 を 流 れ , 犀 川 に 合 流 す る .
現 在 の 裾 花 川 は 1603 年 ま で は ,長 野 市 妻 科 の あ た り か ら い く つ か に 枝 分 れ し ,東 方
へ 流 れ て い た . 1603 年 は 徳 川 家 康 が 征 夷 大 将 軍 に な り , 江 戸 幕 府 を 開 い た 年 で あ る .
こ の 年 の 2 月 ,家 康 の 6 男・松 平 忠 輝 が 松 本 城 へ 赴 任 し ,こ の 地 を 治 め る こ と と な る .
松平忠輝は,家来である花井吉成・義雄親子に命じ,土地の開発に手をつける.その
中の 1 つが裾花川の流路変更である.花井吉成・義雄親子は旭山東麓の岩を砕いて南
へ向かう流路に河道を整理し,これに伴い,八幡堰や鐘鋳堰などの元々存在した用水
路の整備や,旧流路を利用した用水路の開削を行った.これが現在の主要な用水路に
なった.
裾 花 川 の 流 路 を 変 更 す る こ と で ,次 の よ う な 成 果 が あ っ た と さ れ る .1 つ は 開 拓 す る
ことにより新しい田や畑が増え,住民の暮らしが豊かになったことである.また善光
寺詣でには,犀川と裾花川の 2 つの川を渡らなければならなかったが,裾花川の流路
を変更することで,渡る川は犀川の 1 つで済んだという利点もある.
しかし,裾花川が南に真っ直ぐに流れるようになったため,水の勢いが増し,土砂
の運搬量も増えた.それに伴い,犀川流域では水害が激化した.これにより犀川の流
路が南下したと考えられている.
裾 花 川 の 旧 流 路 に つ い て , 岡 宮 ( 2008), 信 濃 川 河 川 事 務 所 HP, 長 野 市 教 育 委 員 会
教 育 用 HP,長 野 県 土 地 改 良 史( 2001),長 野 市 誌 第 1 巻( 1997),長 野 市 誌 第 2 巻( 2000),
長 野 市 誌 第 3 巻 ( 2001), 宮 下 ( 2013), 村 林 ( 2010) の 文 献 を 確 認 し た . こ れ ら の 文
献の中で,北八幡川,南八幡川,古川,前堰,計渇川,宮川,漆田川,四ヶ郷堰の 8
つの用水路が,裾花川の流路変更に伴い,整備・開削されたとなっている.これら 8
つ の 用 水 路・裾 花 川・犀 川 の 現 在 の 位 置 を 河 川 図 に 重 ね た も の を 図 3-2 に 示 す .こ れ を
見ると,これらの用水路が放射状に展開し,さらにこれらの用水路から分流した小さ
な用水路が,網目のように広がっていることがわかる.このことから現在の水路形態
は,裾花川の旧流路をもとに形成されたことがわかる.
29
:現在の裾花川・犀川
:裾花川の旧流路を用いて
整備・開削された用水路
裾花川
北八幡川
南八幡川
古川
漆田川
四ヶ郷用水
宮川
計渇川
前堰
犀川
図 3-2
0
現在の裾花川・犀川と旧流路を利用した用水路
1,500m
30
3.2.2
自然堤防による微高地
長野県の中で,長野盆地(善光寺平)は最も広い沖積地を有している.沖積平野は
大きな河川の氾濫の繰り返しによって,広範囲に土砂が堆積して形成されたものであ
る.河川の流路がしばしば変わり,かつての流路が後背湿地として残され,そこが水
田の開発や利用に絶好の条件を備えた土地となる.一方,河川沿いに土砂の堆積作用
によって形成された自然堤防と呼ばれる微高地ができ,水田に接した場所に集落を形
成するのにうってつけの場所となる.善光寺平にはこのような条件を備えた場所が,
いくつか存在する.
その 1 つが高田郷と市村郷からなる市村高田荘という荘園である.この市村高田荘
は,現在の長野市芹田から古牧にあたり,微高地に位置しており,洪水の心配のない
安 定 し た 土 地 で あ っ た . ま た , 図 3-3 に 示 す よ う に 高 田 郷 は , 3.1 で 説 明 し た 善 光 寺 周
辺の沢水や排水が一度集まる滞水池の南に位置する.善光寺周辺の山間地からの沢水
や土砂が,この滞水池で食い留められるため,高田郷にとってこの滞水地は,水害を
防 止 す る 役 割 を 果 た し て い る .( 長 野 市 誌 第 2 巻 , 2000)
このように,自然堤防上に集落を築くことで,水害から身を守ることができた.先
人は,地形を上手く利用し,生活していたといえる.
31
北長野駅
長野駅
: JR 路 線
:高田郷
:滞水池
図 3-3
高田郷の位置
32
3.3
まとめ
善光寺や門前を中心に長野市が発展したため,水が市街地から農地へ流れるような
仕組みになったことがわかった.また,裾花川の流路変更に伴い,用水路の整備や,
旧流路を利用した新しい用水路の開削が行われ,現在のような放射状に広がる水路形
態になったことがわかった.このように水路形態には歴史的背景が大きく影響してい
るといえる.
第 2 章 で 記 述 し た よ う に ,水 路 構 造 が 内 水 災 害 の 発 生 に 強 く 影 響 し て い る こ と か ら ,
次章では,歴史的背景をもつ水路形態と内水災害との関連について検討する.
33
第 4 章
長野市の内水災害と用水の歴史
との関連性
4.1
善光寺周辺・滞水池と内水災害
ここでは,第 3 章で記述した善光寺や門前町を中心とした治水・滞水池の集水シス
テ ム と 内 水 災 害 の 関 連 に つ い て 検 討 す る .図 4-1 か ら 善 光 寺 や 門 前( 大 門 町・東 町・西
町・岩石町・横町・新町など)の周辺は被害報告が少ないことがわかる.これは,善
光寺周辺の山間地からの沢水や土砂の押し出しによる災害が,堀切沢と松林幹線・湯
福川・中沢川の整備により最小限に抑えられているためと思われる.しかし,それに
伴 い , 善 光 寺 周 辺 の 沢 水 や 排 水 を 集 め る 用 水 路 で 被 害 が 多 く 見 ら れ る . 特 に , 図 4-1
で赤色の円で囲んだ,主用水路である松林幹線と湯福川の合流後は,同じ場所で被害
が 多 発 し て い る .さ ら に ,こ の 湯 福 川 と 松 林 幹 線 が 合 流 し て い る 付 近 は ,村 林( 2010)
にあるように,裾花川扇状地・浅川扇状地・湯福川扇状地から形成される裾合谷に位
置 す る こ と か ら ,水 路 形 態 と 地 形 の 2 つ の 要 因 が 考 え ら れ る .扇 状 地 と 谷 地 形 を 図 4-2
に 示 す . ま た , 平 成 24 年 7 月 20 日 の よ う に 局 所 的 な 大 雨 が 滞 水 池 の 上 流 に 降 る と ,
雨 水 が 滞 水 池 へ 一 斉 に 溜 り 貯 水 容 量 を 超 え て し ま う た め ,図 4-3 の 赤 色 の 丸 に 囲 ま れ た
広い範囲で被害を受ける.
34
● : 平 成 18 年
● : 平 成 19 年
● : 平 成 20 年
● : 平 成 21 年
● : 平 成 24 年
● : 平 成 25 年
:善光寺・門前周辺
:被害集中箇所
図 4-1
善光寺周辺の内水災害の分布
35
湯福川扇状地
浅川扇状地
:扇状地
裾花川扇状地
:裾合谷
:善光寺
:被 害 集 中
箇所
図 4-2
裾花川扇状地・浅川扇状地・湯福川扇状地とそれらにより形成された裾合谷
36
:浸水範囲
:滞水池
●
: 平 成 24 年 7 月 20 日
の被害箇所
図 4-3
平 成 24 年 7 月 20 日 の 内 水 災 害 被 害 箇 所 と 被 害 範 囲
37
4.2
裾花川,犀川の旧流路と内水災害
4.2.1
旧流路と内水災害
まず,旧流路と内水災害との関連を調査するため,旧流路の想定を行った.いくつ
も の 文 献 が あ る 中 で ,裾 花 川 の 旧 流 路 で 主 流 で あ っ た と 思 わ れ る も の を 採 用 し ,図 4-4
を 作 成 し た .こ の 図 4-4 は ,信 濃 川 河 川 事 務 所 HP,長 野 市 教 育 委 員 会 教 育 用 HP,宮 下
( 2013) が 旧 流 路 を 想 定 し て 作 成 し た 図 を 合 成 し , さ ら に 文 献 中 に 最 も 多 く 記 載 さ れ
ていた北八幡川と長野市誌第 1 巻の「長野市地質図」より判断した犀川の旧流路を加
え た も の で あ る .こ こ で は 信 濃 川 河 川 事 務 所 HP の 図 と 長 野 市 誌 第 1 巻 の「 長 野 市 地 質
図」より判断したものを氾濫原とみなした.
氾 濫 原 中 に あ る 内 水 災 害 被 害 箇 所 は 45 地 点 で あ り ,そ の 中 で も 裾 花 川・犀 川 旧 流 路
中 の 内 水 災 害 被 害 箇 所 は 29 地 点 と 約 64% が 旧 流 路 に 集 中 し て い る .こ れ は ,旧 流 路 を
もとに用水路の整備・開削が行われたため,用水路周辺の土地が低く水が集中しやす
くなった結果と考えられる.第 3 章で記述したように,昔は自然堤防の上に集落を築
くなど危険な場所を避けるように生活していたが,現在はこのような知恵を無視し,
至る所で宅地開発などが進んだ結果,被害が発生していると考える.
38
● : 平 成 18 年
● : 平 成 19 年
● : 平 成 20 年
● : 平 成 21 年
● : 平 成 24 年
● : 平 成 25 年
:旧流路
:氾濫原
旧裾花川
旧犀川
図 4-4
裾花川・犀川の旧流路と内水災害の分布
39
4.2.2
自然堤防による微高地と内水災害
高 田 郷 と 内 水 災 害 の 分 布 を 図 4-5 に 示 す . 3.2.2 で 記 述 し た よ う に , 高 田 郷 は 微 高 地
に位置していたため,洪水の心配のない土地であった.現在の高田郷が位置する地点
は 実 際 に 被 害 が な い こ と が 図 4-5 を 見 て わ か る .村 林( 2010)が ,大 正 元 年 に 大 日 本 帝
國 陸 地 測 量 部 に よ っ て 測 量 さ れ た「 長 野 」と「 若 槻 」の 国 土 地 理 院 発 行 1/ 50,000 地 形
図から,集落,桑畑・果樹園,水田の 3 種類の地目を読み取り,対象範囲内の色分け
を 行 い ,長 野 市 河 川 水 路 図( 北 部 )に 重 ね 作 成 し た 図 と 内 水 災 害 の 分 布 を 図 4-6 で 示 す .
図中のピンク色が集落,オレンジ色が桑畑・果樹園,黄緑色が水田である.この図か
らも,集落があった地域ではあまり内水災害の被害は発生していないことがわかる.
一方,水田上での内水災害被害の発生が圧倒的に多い.このことから,昔は周囲より
も高い位置に集落,周囲よりも低く用水が引きやすいような位置に水田が立地してい
たことが考えられる.
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● : 平 成 18 年
● : 平 成 19 年
● : 平 成 20 年
● : 平 成 21 年
● : 平 成 24 年
● : 平 成 25 年
:高田郷
図 4-5
高田郷と内水災害の分布
41
● : 平 成 18 年
● : 平 成 19 年
● : 平 成 20 年
● : 平 成 21 年
● : 平 成 24 年
● : 平 成 25 年
:集落
:桑畑・果樹園
:水田
図 4-6
大正元年の地目と内水災害の分布
42
4.3
まとめ
本章では,内水災害と第 3 章で記述した歴史との関連について検討した.善光寺を
中心に発展していった長野市は,それに伴い用水路も善光寺に災害が及ばないよう工
夫した配置となった.そして現代もその水路形態を利用しているため,内水災害は善
光寺周辺では少ないことがわかった.しかし,このように善光寺を守る水路形態とな
っているため,善光寺より下流の用水路では,善光寺周辺の山間地の沢水や排水が一
斉に集まることにより大雨時には用水路からの溢水などの被害が発生していると思わ
れる.また,旧裾花川流路の氾濫原と想定する範囲内の内水災害のうち,約 6 割が旧
流路周辺で発生していることがわかった.
このように善光寺を中心とした町の形成や,裾花川の流路の変更といった歴史的背
景のもとでつくられた特殊な水路形態は,近年頻発している内水災害の発生場所と大
きな関連があることがわかった.
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第5章
結論
本 研 究 で は ,長 野 市 北 部 に お い て 特 殊 な 水 路 形 態 に 至 っ た 歴 史 的 背 景 を 調 べ ,そ の 結
果と内水災害実績との関連を検討することにより,以下のような結果を得た.
・善光寺を中心に町が発展していき,それに伴い水路形態も善光寺を守るかたちとな
っ て い る た め ,善 光 寺 周 辺 で は 内 水 災 害 が 発 生 し に く い 地 域 と な っ て い る .し か し ,
善光寺より下流の用水路では善光寺周辺の沢水や排水が一斉に集まるため,それら
の合流部を中心に内水災害が発生しやすい.
・裾花川の流路変更に伴い,旧流路をもとに用水路の開削・整備を行ってきた.その
ため,標高が低くなっている裾花川の旧流路を利用している用水路周辺では,他の
場所と比べて内水災害が発生しやすい.また,旧裾花川によって造られた自然堤防
周辺は,微高地であるため内水災害が発生しにくい.
今後の課題として,長野市北部の水路形態に影響を与えた歴史的背景は他にもある
と思われるのでさらに調査が必要である.また,長野市北部における内水災害の発生
要因をより詳しく特定するにあたり,他の方法より推測された内水災害発生箇所を本
研究結果に加える.それにより絞り込まれた危険想定箇所の中小河川・用水路の集水
面積や流下能力を把握するため,そのような場所における局所的な解析が必要と思わ
れる.
44
謝辞
本研究を進めるにあたり,適切なご指導・助言を頂きました豊田政史助教に深く感
謝するとともに,ここに厚くお礼申しあげます.卒業論文では,最初から最後まで手
助けしていただき本当にありがとうございました.また,長野市建設部河川課のみな
さまには,貴重な資料をお貸しいただき,本当に感謝しています.そして研究室のみ
なさん,これまた本当にお世話になりました.
最後にお世話になったみなさま本当にありがとうございました.
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参考文献
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・国 土 交 通 省 ハ ザ ー ド マ ッ プ ポ ー タ ル サ イ ト:http://disapotal.gsi.go.jp/index.html
( 2013/12/27 現 在 ), 2014 年 1 月 21 日 確 認 .
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http://www.hrr.mlit.go.jp/shinano/367/chisui/s_02.html, 2014 年 1 月 21 日 確 認 .
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・ 長 野 市 誌 編 さ ん 委 員 会 ( 2001): 長 野 市 誌 第 3 巻 歴 史 編 近 世 1, pp.682-695.
・ 長 野 市 防 災 会 議 ( 2012): 長 野 市 地 域 防 災 計 画 ・ 長 野 市 水 防 計 画 【 総 合 編 】, p.186.
・ 宮 下 秀 樹 ( 2013): 江 戸 時 代 に お け る 煤 鼻 ( 裾 花 ) 川 の 開 発 形 態 , 土 木 学 会 論 文 集
D2( 土 木 史 ), Vol.69, No.1, pp.104-115.
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す 影 響 ~ , 信 州 大 学 工 学 部 社 会 開 発 工 学 科 環 境 都 市 コ ー ス 卒 業 論 文 , 68p.
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