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第1回検証委員会(平成14年4月27日)(PDF:44KB)

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第1回検証委員会(平成14年4月27日)(PDF:44KB)
第1回飯田高等学校生徒刺殺事件検証委員会
日
時:
平成14年4月27日(土)
場
所:
長野県庁西庁舎401号会議室
出 席 委 員:
13:30∼16:00
小野寺勝
小林博省
古原正之
山口恒夫
山口利幸
(以上10名、敬称略)
事務局出席者:
1
教育長挨拶
2
委員自己紹介
斎藤教育長
瀬良教育次長
会議録要旨
田中善二
日垣隆
母袋高校教育課長
保高喬雄
三浦久
常田高校教育課調整幹
毛利正道
他
小野寺委員
みなさんこんにちは、飯田の小野寺勝でございます。どうぞ宜しくお願いします。1992年に
一瞬にして私の平和で幸せな家庭が奪われました。気が遠くなるような絶望感の中で、私たちはそ
の後、長野県教育委員会と飯田高校に翻弄され続けました。事件直後に飯田高校にその真相究明と
検証の実施を私たちは申し出たんですが、遂に実現することなく、今、事件から10年たって検証
の場に臨むことができました。深い感慨を覚えるものであります。先日、TVでこの検証委員会の
報道がされているのを見ました。その中で教育長が私を検証委員に選んでくださった理由で、「長
いこと悲しんでおられた保護者の思いを聞いて、今後の教育に生かしたい」というコメントをされ
ていたのですが、私たちを10年苦しめてきたご本人からそのことを言われ、しかも厳しく司法か
ら指弾された後のその発言を聞いて、被害者感情を今も理解してくれていないんだなあと妻と二人
で嘆いた訳であります。もちろん、検証を進める中で、私たちの辛い思いも聞いていただく、そう
いう機会もあろうかと思います。しかし、先ほども検証委員会の趣旨説明がございましたが、それ
に沿っていけば、私たちがなぜ10年間苦しめられたのか。学校を信頼して入学したのに、学校が
安全配慮を怠っていたために殺され、事故の責任回避のため10年も裁判を続けられ、なぜ私たち
弱い者が、苦しめられなければならなかったのか。組織の中の誰がいつどんな誤った判断をして裁
判が長引いたのか。また、10年間の裁判の中では多額の県費を使っているはずでありますが、ど
れだけの費用が投入されてこの裁判を行ってきたのか、その中で県教委は何を得たのか。ひいては
長野県民の県民益にどう資するのか。むしろそちらの方に論点を持ってこの検証委員会を進めるべ
きではないかと思っている訳であります。昨年6月最高裁の上告棄却の決定後、高校教育課長を通
じて私を検証委員に加えていただきたいと懇願したのでありますが、頑なに拒まれました。何度も
何度も拒まれた末、紆余曲折を経て、本日こうして臨むことができたわけですが、このことはとり
もなおさず、閉ざされて不透明な今の県の教育環境から明るく開かれた教育を望む県民の世論が私
をここに立たせてくれたんだと思っております。10年の歳月を経た今日では、事件があったこと
も人々の記憶から薄らいで、事件の風化が進んでいるのではないかと懸念をしています。検証に当
たっては、多角的に真相を見極めて、そして一歩も二歩も踏み込んで、入念に時間をかけて検証を
1
お進めいただければと思っております。私を除いてそれぞれの第一線でご活躍のみなさんとご一緒
に検証に当たらせていただくわけでございますので、自分自身を研鑽するつもりで、誠実にこの検
証に当たらせていただくことが、私に課せられたことと思っています。是非とも次代に提言を残せ
るものであって欲しいと希望しております。どうぞよろしくお願いします。
小林委員
小林博省でございます。事件があった当時、飯田高校に勤めておりました。また、この3月まで
非常勤として飯田高校に勤めていました。委員への委嘱があったときに私は当惑したわけですが、
なぜ委員に選ばれたのか自分なりに考えました。事件後3年間教務主任を務めていたこと、第一審
の裁判で証言したこと、事件後特別委員会が飯田高校にできたのですが、最初の委員長であったこ
とが理由かと自分では考えています。どの程度お役に立てるかどうかわかりませんが、微力をつく
したいと思っています。私なりの事件に関しての感想を述べますと、あの時の県教委の対応が大変
拙かった。平成4年、事件に関して生々しい記憶が残っている年に検証はすべきであった。教務主
任だったのでよく覚えていますが、校長、教頭からはそれに関しての総括的な職員会を開くという
提案は一切なかった。先程、斉藤教育長からご遺族の心労にたいして、深くお詫びするというお言
葉がありましたけれども、白昼あのような事件が起こって生徒が命を落としたならば、教育長はす
ぐさま遺族宅へ伺ってお詫びすると同時に、事情はどうあれ、御霊前に焼香をすべきであった。来
る車中で小野寺さんに伺ったが、最高裁の判決が出た現在に至っても、教育長から遺族宅に伺って
お詫びをすることがなかったと聞いています。そういうことを知っていますから、先程の斉藤教育
長の言葉は白々しいと思います。また、飯田高校独自としても平成4年度に、飯田高校のあらゆる
面での総ざらいをするいい機会があったわけですが、千載一遇のチャンスをみすみす潰してしまい
ました。これは私にも責任があります。私自身は、被害者の生徒、主犯格の生徒を直接知らず、冷
淡な傍観者であったと反省をしております。私自身深く関心を抱いて事件に関する資料を集めだし
たのが、事件2年後だったと思います。最高裁の判決がなかったらどういうことになっていたのか
なと思います。結果が逆だったらこのような検証委員会は設けられていなかった。以上が現時点で
の感想であります。宜しくお願いします。
古原委員
長野県教育委員会事務局教学指導課で生徒指導幹をしております古原正之と申します。本年4月
よりこの任務についております。教育委員会におきまして、生徒指導に関わる業務の責任者でござ
います。検証委員会の中で検証された内容、とりわけ生徒指導に関わり、今後これから生かしてい
かなければならないことにつきましては、誠心誠意努力して参りたいと考えております。宜しくお
願いいたします。
田中委員
田中善二と申します。よろしくお願いします。人権擁護委員を仰せつかっておりますけれども、
この度の検証委員会に列席ということで、痛ましい事件が二度とないようにという立場でしっかり
と検証していきたいと思います。子ども人権擁護委員を委嘱されておりまして、子どもの健康と福
祉と文化と教育の権利を守り育てていくんだということを頭に置きまして、客観的に検証に関わっ
ていきたいと考えております。どうぞよろしくご指導ください。
2
日垣委員
ジャーナリストとしてこういう公的な委員を引き受けるべきではなかったかもしれませんが関
心があったので、受けました。委員を受けた理由の一つは、ご遺族が委員に入っているということ
でした。今日新幹線でいやいややってきましたが、不明を恥じなければいけません。一審判決、二
審判決、検証報告書を拝見し、県教委による「飯田高校事件に係る原告側要望事項検討調書」では
被害者遺族の願いが削除されて10項目が8項目になり9項目になりという経過を拝見させてい
ただき、最初沸々と怒りのようなものを感じましたが、怒りをぶつけることはむしろ禁欲して、こ
れが大きな傷害を伴う事件だったらどうなのだろうとか、たまたま昼休みでしたが、これが放課後
だったらどうなのだろうとかと考えています。私の子どもも県内の高校や中学に通っていますが、
子どもには第一に安全に過ごしてほしい。最低限のラインとして命を落としてほしくない。責任あ
る部局とご遺族、双方が納得いかない形になってしまったことを解決しなければいけない。解決の
指標をお互いに出さなければいけない。被害者側は自分の子どもが亡くなったんだということを極
力主張しないように、次の子どもの犠牲者が出ないようにほかのお子さんたちに安心してもらえる
ように自分の子どもについては控えようとするのに、県教委や教員側が一人の子どもが亡くなった
ということを忘れて話をしてしまうような場面が多いのではないのかと思います。報告書や記事な
どを拝見して、薄ら寒いものを感じました。特殊化しないで、誠意あるものをここで示せなければ、
事件後さらに被害者側が不信感を募らせつづけることになりますので、気合いを引き締めてお引き
受けをし直したいと思います。
保髙委員
保髙喬雄と申します。県の教育委員会事務局の総務課長でございます。この委員会には行政職と
いう立場で参加をさせていただいておりますが、この検証委員会の検証に基づきまして、より安全
で安心できる学校にするための施策を立案遂行することが責務であると考えています。よろしくお
願いします。
三浦委員
三浦久です。県教委から委員にとお話があったとき躊躇しましたし、今でも心が重いです。小野
寺さんの子どもさんのことを考えますと、僕自身にも子どもがいますし、本当に辛いことだったと
思います。第一印象で感じたのは、こういう事件が起こったときに県教委まで責任を問われるのは
大変だなということです。そうすることによって、文部科学省にありがちな上意下達のシステムが
継続され強化されてしまうのではないかと思いました。
ただし、この事件について報道を通じて聞いていたときと、資料を読んでからは印象が若干変わ
りました。資料を読む中で、学校側の遺族に対する拙い対応があったということもわかりました。
どのような形でこの委員会に貢献できるか分かりませんが、話し合いの過程の中で、学びながら意
見を述べていきたいと思います。
毛利委員
弁護士の毛利といいます。長野県弁護士会に要請があり、長野県弁護士会の中で私にどうかとい
う話があり出てきました。法的な観点からの意見も必要ということで、弁護士にお話があったよう
ですが、私自身は、ここ5年くらいで、少年犯罪の加害者、被害者の弁護を、それぞれ5件体験を
3
していて、感じていることが多々あります。加害生徒にも立ち直る権利があり、被害者にも生きて
いく権利がある。どういう統一がはかられるのか私自身も苦悩してきました。学校現場では管理と
いう問題があり、まったく同一視できる問題ではありませんが、そういうところで考えてきたこと
を発言する機会があると思い、お引き受けする気持ちになりました。
山口(恒)委員
山口恒夫と申します。現在信州大学教育学部で教官をしております。専門は、教育哲学でござい
まして、委員を委嘱されたときには当惑をしましたが、県の生徒指導総合対策委員会の会長も務め
ておりまして、その関係もあって私の名前が挙がったのではないかと思います。地元の大学で教育
学を専攻している人間として何らかの貢献をすることは私にとっての責務であろうかと考えてお
ります。この委員会では二つ考えることがありまして、一つは、資料を読みますと、学校、県教委
の対応に問題があろうかと思いますが、誰に責任があるというよりも検証するのはむずかしいかも
しれませんが、表面に現れていない行動や判断の根拠を問う必要がある。もう一つは、社会的な変
化、飯田高校だけではなく日本の学校教育が抱えている体質、教育行政が文部科学省から市町村教
育委員会に至るまで、特に公教育として学校教育が抱えている体質、学校の教師が持っている特異
な意識がこの事件にどういう風に関わっているのか、もし関わっているとすれば教員の意識、体質
はどういうところから生まれてくるのか、私も教育学で教員を排出している側の人間ですので、そ
ういうところに視点をおいてできるだけ、専攻の学問を生かしながらこの委員会に貢献できたらと
思っております。
山口(利)委員
教育次長の山口利幸と申します。教育行政の責任ある立場におりまして、飯田高校の生徒刺殺事
件につきましても、関わりをもってきた人間でございます。先程教育長のほうから申し上げたこと
につきるわけでございますが、忌まわしい事件を二度と起こさないために学校の安全、そして学校
の安全を保証するために開かれた学校作りを具体的にどう作っていったらいいのかをご批判ご意
見を伺う中で考えていきたいと思います。
主な事務局職員の自己紹介
斎藤教育長、瀬良教育次長、母袋高校教育課長
3
会
常田高校教育課調整幹
議
(1)委員長選任
田中委員
信州大学教授の山口恒夫先生を、この検証委員会の委員長として推薦します。生徒指導総合対策
委員会の会長をやっておられることもあり適任と思います。
日垣委員
各委員がこの事件に何を思い、また検討委員会に何を期待しているのかさえ発言もしあっていな
い段階で、どうして互選などできるのでしょうか。そんなお手盛りをやっているから、マスコミの
人たちや世論に不信感を抱かれてしまうのです。また設置要綱が案でもなく決定事項として出てき
4
ているのも不思議です。資料が送られてくる経緯でも民間ではありえないことが起きていました。
さらに、いくつか問題点を指摘しておきます。例えば、ブルーの資料の知事検証の29ページ。遺
族の方が10項目提案をしていてそれに対してその要望に対する問題点を指摘した修正案が県教
委から出ていますが、10項に対する問題点というところに①として9項とまったく矛盾する要望
内容であるという一文があります。9項は一言で言えば犠牲者のプライバシーに関しては家族の同
意を得てほしいという要望です。10項は教職員が自由な発言をするようにして欲しいという内容
で誰が考えても当然なことだと思いますが、県教委は9項と10項は矛盾した内容であると断じて
いる。プライバシーに関することは了解を得てほしいということと、教職員の自由な発言を束縛す
ることは止めてほしいという提案を矛盾するとしている、それと同じ姿勢が飯田高等学校刺殺事件
検証委員会設置要綱にも見られる。これは案でもなく既に決められた形で出されていますが、第5
の「委員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、また同様とする。」
は比喩的に言えば先程の9項に相当していていることです。第4の2「検証委員会の会議は、公開
とする。」は10項に相当している。職務上知り得た秘密とは何を言っているのか。加害者の名前
を言っているのか。職員会の議事録を口外することは委員であれば慎むだろう。秘密を漏らすなと
言いながら一方で公開を原則としていることに矛盾がある。もう少し意見をかわしてから委員長は
選出をしてほしいので最初に選ぶことはやめてもらいたい。最後の議題か、第二回にしてほしいと
思います。
小林委員
日垣さんのご意見に対してということではなくて、山口恒夫さんのお名前が出ましたが、私は教
育学部にこだわる者です。長野県教育界は学閥が支配する社会です。飯田高校の場合で言いますと、
今年退職したK4校長は教育学部の出身です。事件があって次にみえられた教頭は職員の前でご遺
族を敵と発言されて確か謝罪文を書いている。この方も教育学部の出身です。私は教育畑からは委
員長を出さない方がいいと思っています。私個人は毛利さんが適切かなと思っています。
小野寺委員
設置要綱の補足説明はありませんか。
母袋高校教育課長
定例会、臨時会で方針を決めていく過程の中で設置要綱を決めていただきました。検証の中身は
教育委員会としても主にこういう観点でという願いがありますがそれも含めて、また、委員のみな
さんのご意見も含めて多角的多面的に検証を進めていただきたい。守秘義務については、敢えて必
要がないというご指摘を受けましたが、原則公開ということですが、必要があれば、そうでなくて
もよい。一般に知れることによって、個人の利益を損なうことがないように配慮をしていただきた
いと思います。
常田高校教育課調整幹
守秘義務の件についてはよろしいでしょうか・・・。
5
日垣委員
原則に関しては賛成ですが、いくつか引っかかることがあったものですから。自己紹介をしただ
けで委員長を決めることに違和感がありました。決して委員長を選任することを止めようと言って
いるわけではありませんので、私の意見をご理解ください。せめて、これからどんなことを明らか
にしていこうかと話し合ってからでないと委員長を誰に選任していいのかわかりません。
瀬良教育次長
守秘義務につきましては、委員は特別職の公務員になりますので、公務員としての一般的注意事
項として書いただけでございます。また、委員会は原則公開と言うことですが、場合によっては非
公開ということもあり、報道関係者の方には知られないで議論する中で知り得たことですとか、み
なさんにお配りする資料は報道機関にもすべて配布してあるわけではございませんので、委員の方
だけが知り得ることがございますので、そのことでそういう条項がついているという訳でございま
す。
日垣委員
一言でお願いします。少年法とか刑法で書かれていないことで、ここでわざわざ秘密と書いたこ
とは例えばどういうことですか。
瀬良教育次長
一般的な意味でございまして、公務員は職務上知り得たことは守秘義務がある。委員さんは特別
職の公務員として任命されるという意味としての注意事項でございます。
日垣委員
みなさんが普段おやりになっている程度のことはかまわないと言うことですね。よくわかりまし
た。
瀬良教育次長
今、教育委員会の調整幹が司会進行をしておりますが、委員会は本来委員長が司会をして自主的
に進めていくものでございまして・・・。
日垣委員
第二回目に決めるということで、とりあえず第一回目は、名簿順で適当な方に司会をしていだだ
いてもかまわないじゃないですか。
瀬良教育次長
それは、委員の方で自由にお話していただいて、かまわないと思います。
毛利委員
公開の問題は、この会議で発言することは何でも発言してもかまわないということですね。例え
ば加害者の氏名だって、場合によっては必要になることがありますよね。守秘義務に触れるのか触
6
れないのかを考慮しながら発言するのは不自然だと思います。あとは報道する方がどれだけ自粛す
るかということであって、この会議で自由に意見が言えるものでなければおかしいと思います。そ
んな言いたいことも言えないような会議では価値がない。委員長はとりあえず、もう少しお互いに
意見を聞いて次回に決めればいい。あるいは、委員長は委員長として、司会は毎回変わってもいい
と思う。その辺のことも含めて次回決めればいい。
瀬良教育次長
何でも話していいと言うことではなく、少年法で守られている加害者の氏名はこの場でお話され
ないようにお願いしたいと思います。
毛利委員
どうして加害者の氏名を発言してはいけないんですか。
日垣委員
ここにいる報道機関の方が、加害少年の実名を(委員の発言として)報道すれば少年法61条に
抵触するでしょうが、委員は報道目的に集まっているわけではありません。私はここで加害者の名
前をいうつもりもありませんが、少年法にあるからということで、ここの会議で少年法を遵守しま
しょうというのであれば、そんなのは当たり前のことだと思います。資料を読む限りで秘密に該当
するものとしては、被害者のプライバシー、加害者の実名、加害者の生い立ちに関するもの、職員
会の議事録の中では仮名にしてありますが、ひどいことを言った職員の氏名、担任の氏名経歴ぐら
いですね。形式的な進め方ではなくもっと自由に議論を進めていってもらいたいと思います。
山口(利)委員
私は事務局の人間でお話しにくいんですが、このままでは時間も押してきて、話が進みませんの
で、もう少しテーブルを狭めまして、二人のお名前があがっておりますので、多面的多角的に話を
進めるためにも委員長さんを選んでもらって、話をすすめたらどうでしょうか。委員さんだけで話
をしたらどうでしょうか。
毛利委員
発言の度にマイクを回すというのは不自然ですよね。
瀬良教育次長
それではテーブルを狭めましょうか。
(会場整理)
小林委員
設置要綱はどこで作成されたものですか。
7
母袋高校教育課長
事務局が担当し、正式に教育委員会で決定したものです。
山口(恒)委員
こういうお役所の委員会では、どこかで流れを作っていて、なるべくその流れから逸脱しないよ
うにという教育委員会の考えもわからないわけでもないですが。
原告側の席、被告側の席に立っていた方と、またとりあえずあまり関係なかった方が入っている
中で、委員長はとても大変だと思います。今日は委員長を決めなくても司会者が決まっていればい
いわけで、それよりも委員の信頼関係をまず築く方が大事です。委員会の雰囲気をどんな雰囲気に
するかということが大事で、委員会に出てきたときに、はじめからギスギスした感じでやりたくな
い。調整幹よりも委員の誰かが司会をやる方がいい。
田中委員
司会を山口恒夫先生にやっていただきたい。
日垣委員
司会はとりあえず山口恒夫先生やってください。
山口(恒)委員
それでは、私が司会をやります。
今日家を出るときに、最初にやることはなんだろうと考えたんですが、まずは、事件の発端にな
った小野寺仁さんのご冥福を祈りたいと思います。委員全員、教育委員会事務局の方、傍聴の方、
報道の方もご賛同いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
全員ご起立願いまして、小野寺仁さんに黙祷を捧げたいと思います。
(黙祷)
ありがとうございました。
設置要綱は委員会を設置するための事務的な文章として、守秘義務は委嘱された委員としての常
識の範囲内で、報道機関がどのように取り扱うかは報道機関の良識にかかっているという形で解釈
して、委員会の要綱を了承したいと思います。補足の第7に「この要綱に定めるもののほか、検証
委員会の運営に関し必要な事項は、検証委員会が定める。」とありますので、運営規定は必要があ
れば適宜この委員会でつくっていけばいいのではないでしょうか。
それでは議事にしたがって、経過説明をお願いします。
日垣委員
学校教育関係者は特にそうですが、保護者に資料を配っておいて、それを読み上げる人とか、読
めばわかるようなことを要約する人が多いので、そんなことをやるんじゃないでしょうねと念を押
しておきたかったんですが。そんなことはやめてください。
8
(2)経過説明(母袋課長)
(3)検証の視点及び検討スケジュールについて
小野寺委員
最初母袋課長に、誤りのあった内部のメンバーで検証するのはおかしいと主張したのですが、結
果としてこうなったので結構なことだと思います。しかし、飯田高校のメンバーが私と小林先生し
かいない。事件直後、怪しいことがいろいろあり、一切の事件の収拾をしておったのが、当時のN
教頭でした。警察との対応も全部教頭が対応しておりました。内部から漏れ聞く話で、N教頭先生
が一切やっているんだと確信を持ちました。N先生はこの3月まで教育委員会においでになったわ
けですね。この春から総合教育センターに異動になりまして、私は検証委員会のメンバーにN先生
を是非呼んでもらいたいと再三要請をしたのですが、必要なら呼ぶと言うことで、入りませんでし
た。彼が事件の真相についてはすべてを知っているので、どうしてもこの委員会に必要だと思いま
す。彼が今いる研修センターは教員の資質向上を図るところだそうですので、検証委員会に出てい
ただくことはいいことではないかと思います。是非ともオブザーバーという立場でも結構ですから、
この検証に加わってもらいたい。検証を進める中では客観的な立場でいつも彼に聞かなくちゃいけ
ないことが出てくると思います。限られた日程の中で進めると言うことになれば彼がいた方がいい
と思います。是非とも委員のみなさんの賛同を得る中でNセンター長にオブザーバーとしていつも
出席をお願いしたい。
小林委員
事件があったのは平成3年度で、学校長は平成4年度は中条高校に転任されて、事件に関するこ
とはN教頭が中心になって担当したわけです。県は職員定数を0.5付けてくれました。教頭の授
業時間を0にして、県としては教頭を裁判対策に専念させたかったのだと思います。小野寺さんが
言ったとおり、事件に関して一番詳しいのは当時のN教頭です。真相を知っているかどうかは定か
ではありませんが小野寺さんのご提案はもっともだと思います。
日垣委員
必ずしも反対ではないんですけれど、現実的に難しいとこちらの方々は言われると思いますし、
多忙だとか、現職ですからという理由はもっともなことだと思います。ましてや、かつてお父さん
が転勤の幅をせまくして欲しいという要望を出されたときも、それはできないという経過がありま
したよね。そのようなことに関しては個人的にはやむを得ないという気もするし、検証委員会を1
0回やるとすれば、10回とも針の筵に座らせるのは雰囲気としてよくないと僕は思います。ここ
で一番大切なのは、どこまで検証するのか、目的はどうするのかということだと思います。もちろ
んみなさんがその方にずっときてもらうことがいいとおっしゃれば反対はしません。ただし、無理
だとなったとき、この委員会はなんなのだろうかということに直面することになるわけです。要綱
を見る限り、決定権がないわけです。そもそも会として何か文章を提案をするということになって
いるわけでもありませんし、ましてやその文章に知事や部局の方、教育委員会が束縛されるという
ことは書いてありませんし、それもある種、やむを得ないのかな。その条文を作ろうと言うことで、
「てにをは」を何時間もやることは御免被りたいし、むしろ、こういうことに関してはきっちりで
きそうだということを出し合って、その中で集中的に1回でも、2回でも、裁判とは全く違った雰
9
囲気で、なんで校長がやらないで教頭がやったのか、といったことをじっくり集中して聞いた方が
むしろ建設的ではないかと思います。
毛利委員
裁判の人証、調書を全部見たい。見た上で直接お聞きする必要のある人も出てくるでしょうし、
Nさんにも聞きたい。配布されたものだけでは、事件の深いとことがよくわからない。A事件とい
うのがあるわけですよね。この事件、資料を見た限りでは、私は重要だと思っているわけです。平
成3年の4月に下級生A君に対する傷害事件がおき、これは文字通り傷害事件で刑事犯罪になるわ
けで、それに対する対応が重要なんじゃないか。例えば持ち物検査について判決で言われているけ
れど、すべての生徒に対してやる場合とある特定の生徒に対してやる場合では、性格が違ってくる
ことがあるわけです。多くの生徒の中の一人でよかった時期と個別指導を強めなければならない生
徒に入っていった時期があるんだと思うんです。その時期以降についてはきめ細かな学校あげての
対応が必要でしょうし、それ以前は、一から十までやる必要はない。その時期が学校の管理の関わ
りにおいて重要になってくる。そういうことでは、この傷害事件は重要だ。学校は十分に指導した
と言っているが、結果として本人の方は反省していなかったと言っている。A事件に対する学校の
対応は重要なポイントになると思われるので、そこのところを丁寧にまず認識をしたいと私は思っ
ています。誰かすぐに人を呼ぶということではなくて、加害生徒自身だとか担任の教諭、転勤して
2ヶ月しかいなかったといっても学校長の尋問が残っているわけですから、目を通させていただい
て考えていったらいいんじゃないでしょうか。
司
会
教頭先生を呼ぶかどうかという問題から入ったわけですが、問題に遠近感を作っていかないと、
非常に個別的な問題と、何を基準にしてどういう視点から検証を進めていくのかという問題を一遍
に議論すると混乱するばかりになってしまいます。しかも設置要綱を見ると、この委員会として、
いつまでになにかをまとめるということは書いてない。しかし何年にもわたって、この委員会を続
けるということは、おかしな話ですし、委嘱されたときに10回ぐらいでということを目処にと言
われたような気がするんですが、しかも1時半から 4 時までという時間の制約の中で、事実関係の
検証と事実関係の背後にあった飯田高校独自の問題性とそういう事件を受けて長野県の高校にお
ける生徒指導の在り方、そういう 3 つの意見が示されたわけですが、それこそどの事件のどの出来
事が重要であると考えるか、我々に配られた以外の資料も出していただいて、それを見て議論をす
るかという物理的な時間との関係で大きな枠組みからのご意見を出していただきたい。裁判調書を
見たいというご意見もございましたが、証拠調べのところの内容が書いてない資料を出していただ
くのでしょうか。
日垣委員
まったくおっしゃるとおりだと思います。少年事件なので、証拠の部分が民事でないものは、調
書類はオープンにできない。ここで気持ちが高ぶっても、ご遺族の方には逆なでするような発言か
もしれませんが、この場でその事実関係を全員で認識できるような形で検証するようなことは不可
能だと思います。この会議に、ある先生を呼ぶという話があり、10人で話をして呼ぼうとなった
ときに、事務方のほう、あるいは人事上、あるいはそちらの職場上、委員会とはまったく無関係な
10
理由で無理だと答えられたときに、この会の性格は最後まで曖昧なままいくんだろうと思います。
それはやむえを得ないと思っているんですが、少なくとも多少はこの会をやり終えた後でやってよ
かったというためには、たまには激論があってもよい。ご遺族の方がディテールに関して1時間く
らいお話していだたいてもいいと思うし、必要であれば、次回時間をとってやってもいいと思いま
す。しかし、どう考えてもなにか拘束しようということに関しては避けようとする意図は感じられ
ます。数を重ねれば報道の数も減ってしまうので、報道を通じてこの事件を県民に考えてもらうた
めに、今後の学校教育の充実を期するためにも、ご遺族と県教委がどこでこじれてしまったのか。
また逆に、学校側と被害者側がこじれないためにはどうすればいいのか。殺人事件は、統計的に避
けられない面があるんです。ディテールも大事であり、私はそれを仕事としてきましたが、この委
員会ではディテールは必要なときにご遺族や知っている方が補足するとし、ここで議論するのは、
こういうような事件がおきたときに、こじれないようにしよう、深い悲しみに手を突っ込んで傷口
を広げないようにするために有意義な提言ができたらいいと思っています。一つ気になっているこ
とは、私の子どもの一人は高校3年生ですが、入学したときはクラスに生徒が42人いましたが、
たった2年間で7人も中退している。この事件の影響があるんじゃないでしょうか。第二審の判決
で「なぜこの子を中退させなかったんだ」という意味にしかとれないような文が出てきますが、こ
の事件は予見可能性はないと第一審で言っていますし、第二審では、事件の予見可能性はあるべき
だと言っていますが、現実問題としてはかなり難しいと思います。A事件があったにもかかわらず
という疑問も持ちますが、予見可能性があったと決めつけても、先生たちの行動が何か変わるかと
いうと変わらないだろう。それよりも事件が起きたときにどういう態度をとればいいのか、そうい
うことが拡大しない、そういうことを防げるということはどういうことかということを最後に検証
したい。こういう事件が起きたときになぜご遺族と学校が最初から向き合えなかったのか。お互い
に望んでいなかった裁判になぜなったのか。ここにおられる県の方々にも、そういう提言ならば引
き受けたほうが得策だと思ってもらえるような議論をしたいと思う。
三浦委員
日垣さんの意見に賛成です。委員をお引き受けしたときに、裁判をやり直すような、あるいは陪
審が評決を出すような議論は難しいだろうと思いました。判決は出ているわけですからね。ご遺族
の方々がご不満に感じている点を話していただくことも当然必要ですし、N先生に来ていただいて
学校側の話を聞くことも必要だと思いますが、それだけに10回の委員会を使うのは得策ではない
ように思います。これからの長野県の教育をどうするかということを考える委員会だということで
お引き受けをした次第なので、日垣さんの意見に賛成です。
小林委員
誤解されるといけないと思いまして言っておきますが、事件が起こったのは、平成3年度末で、
平成3年度中は職員会は何度もしましたが、平成4年度はありませんでした。
小野寺委員
改めて関係者を糾弾する、そういう形にならないようにということですが、法的責任は明らかに
なったのですが、行政者の責任を明らかにして欲しい。ここで改めて責任を問うわけではないが、
学校という社会的使命を帯びたその中での責任者には説明をしてもらいたい。当初に、たくさんの
11
情報を得てから議論をしてもらいたい。私と飯田高校が最初から対峙してしまった経過がよくわか
るように飯田高校とやりとりをした文書があります。それは学校が受理したものですし、その回答
もありますので、学校は公文書としてとってあるはずですので、それを一括教育委員会の方から請
求していただいて委員さんにご覧いただくといい材料になるのではないかと思います。
日垣委員
それをお父さんは持っていらっしゃらないんですか。持っていらっしゃるんでしたら、請求しな
くてもいいんじゃないですか。
小野寺委員
私のほうはすべてそろっていないんじゃないかなと思ったものですから。
古原委員
質問、よろしいですか。先程、弁護士の毛利委員が裁判調書を見たいというお話がありましたが、
日垣委員さんの方から、少年法の配慮の中ですべてを知ることは無理だというようなお話もありま
したが。
毛利委員
証拠として出ているわけだから、それを見たいというだけのことです。県が記録を持っているわ
けですから。なぜ事件が起きたのかということと、今後事件が起きないように、起きた時に裁判に
ならないようにするためにはどうしたらいいのかという2つの議題があると思う。なぜ起きたとい
うことに時間を永遠に使おうという意味で言っている訳ではない。
日垣委員
事件のディテールを検証するということは、私の本職でもあり非常に関心があるんですが、それ
よりも、職業的関心のない方をなぜ提案したかといえば、非常に乱暴な言い方ですが、この事件は
あと10年はおきないと思うんです。事前に事件を起こしていて、暴力団と深い関係があり、しか
も進学校ですし、進学校ということをどこまで念頭におくかということは、意見が分かれることか
と思いますが、応援団を作らして突如暴走する、殺意をもって包丁で下級生を刺殺するということ
は、誰が考えても二度と起きないようにしようと思いますが、そのディテールに踏み込めば踏み込
むほどわかってくることは、乱暴に言えばその特殊性である可能性が高いと思っています。努力が
実って裁判以上に事実認定が進んで長野県の教育が少し変わるかというと変わらないんじゃない
かと思うんです。なぜ、こじれたかということの第一番目の理由は、何が起きたのかをしっかりと
説明しなかったということだと思います。その点において、毛利さんが言われた第一番目の理由が
関わってくる。放課後起こったとか、ドイツで最近起きた大量銃殺事件のように退学した人間がや
ったということになれば、学校関係者としては、ある種ほっとするわけです。部活の時に怪我をし
ちゃったというのは、日常的におきているわけで、長野県でもきっと何十件、何百件とおきている
んだと思います。誰でも悲しむべき事件がおきたときに、どういう風に情報を公開して、どういう
ふうにお父さんに話をして、お父さんの要求はどうして通らなかったのかということを考えようじ
ゃないかということです。
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田中委員
A君の事件への学校の対応がポイントだったと思います。この事件のときに保護者を呼んで事実
を話したり、傷害事件になりますので、警察の防犯と連絡をとって助言をもらって指導をしていれ
ば仁君を守ることができたんじゃないかと思うんです。このときの対応が甘かったんじゃないでし
ょうか。これを高等学校の生徒指導をしていく場合のきっかけにして生徒指導の教材として、学校
現場に流して先生にご理解をしていただいて学校で実践していくべきだと思います。そういう意味
で、A君の事件を大事にしていきたいと思います。
日垣委員
こういう性格なのでお許しいただきたいんですが、そういうクサいものにフタ的なことを言って
きたから長野県の教育はよくならなかった。A君の事件のときにその後の刺殺事件が予見できまし
たか。神戸の事件だって何匹も猫を殺しているんですよね。それでその子をシャットアウトすると
いうことになってしまいますから、それは刑事政策の問題であって、予防拘禁しろと言うのと同じ
です。名古屋の恐喝事件では2000万円を恐喝したことに気づかなかったわけですから、5万円
の恐喝事件で警察と協力してなにか対処しろと言うことを是とすれば、どんどん退学させろという
ことになってしまいます。そういう事件はある程度の統計でおきるということを前提にせざるをえ
ない。失礼な言い方はお許し願いたいと思います。
司
会
今日の会議は4時までということですが、毎回4時ということは決まっていると思います。あと
25分しかないんですが、次の会のことも今日決めなければなりませんし、あと10分くらいで今
日のまとめに入って行きたいと思います。個人的に司会者の権限でまとめさせていただいて、みな
さんのお許しを請えるかどうかわからないんですが。先ほど皆さんがおっしゃったように、この場
は事件の事実関係や真実を明らかにする検証の場では本来ない。それは無理があると思っています。
裁判の中で同じ証拠がどういうふうに解釈されるかということは裁判官が判断することですし、解
釈の枠の中でグレイゾーンというのが当然あるわけです。そうすると何が真実であるのか。A事件
がポイントであったかもしれない。それを10人が同意したとしても、それをストーリーとして積
み上げることはやめた方がいい。これが真実であるというのはストーリーであって、それを受け入
れやすい。TVの刑事ドラマを見ていると、こういうことがままあるんですけれども。それを決し
てすべきではない。事実というのは、さまざまな解釈が可能であり、唯一の真実ではないというふ
うに考えています。これは、はっきりさせておきたいと思います。そういう意味で事実の検証とい
うのは一定の制限がある。二番目に、その場で各教職員がどのような行動を行って、どのような判
断が行われたのか。その判断基準がなんなのか。私は教育哲学が専門分野で、最近臨床教育学とい
うホームページにコメントを出しております。臨床教育学では、教職員は瞬時の判断を求められる。
ある生徒がなにか言ってきたときに、どういうふうに応答するか、その教職員がもっている専門職
としての自負と資質と能力によって任されている。任されているからには、その判断の根拠が常に
問われるんですね。ケースバイケースであるという言い方は、非常に無責任ですね。A事件のとき
に関わった先生が、その判断の根拠がなんだったのかということを考えることが重要です。今回の
事件のようなときに校長、教頭や関わった教員がどのような行動をして、どのような判断をしたか
を検証する。これは、後追いです。瞬時の判断ですから、そのときに合理的にこうこうこうだから
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とすぐに言えない。ところが、専門家は後追いであってもそれに対して回答ができるような能力を
もっていなければならない。当時の校長先生も教頭先生も現職の教員を指導する立場でした。そこ
のところが重要なんで、みんなでそういう事件を起こらせないように目を光らせましょうというよ
うな、マニュアル的なこともここで決めるべきではないでしょうか。ただ問題は、学校の教師は、
専門職として何を根拠に判断をするのか。学校外でおきたことをどこまで知る必要があるのかとい
うことです。特に、高校は義務教育ではありませんので、下手をすれば極めて強い管理教育が再現
する可能性がないわけでもない。ましてや自主や自律を掲げている学校ほど生徒の日常を管理する
ことがいいのか。そういう学校教育がもっている難しさですね。医者が病気だけみればいいのか。
あるいは、病気の背後にある患者の生活まで見通す資質、能力を要求されているのか。私は終末医
療に関わっていますが、医者が患者に向かってこういう死に方がいいですよと言うことがいいのか。
そういうことを考えますと底流に非常に難しい問題が流れていることを肝に銘じる必要がありま
す。
毛利委員
殺人事件だけではなく傷害事件がおきたときにどう対応すべきなのか。殺されたときだけに対応
すべきだということではないんでしょう。A事件のときも傷害の程度によっては、被害者のご家族
の人が怒って学校に掛け合うというか。そういう意味ではそこのところは、検証の対象にしていか
なければいけませんね。余りにもこれでは資料が不足しているので、訴訟資料を是非見せてほしい。
小林委員
事実関係の認識が遺族と学校とでは違う。県側は特異な生徒の異常な事件として決めつけて、事
件が特定個人に矮小化させれられている。遺族の方は集団暴力という認識ですよ。ここから既にず
れている。裁判は決着していますからいいですが、どういう認識のずれがあったかということを、
委員の人は知る必要があると思います。こじれた原因の発端になっている訳ですからね。
司
会
今、裁判記録、事件時の学校と小野寺氏とのやりとりについての公文書の提出の要請が出ていま
すが、事務局としては可能でございましょうか。
母袋高校教育課長
裁判調書は可能でございます。学校と小野寺さんとのやりとりについての文章はありません。学
校に確認してみます。
日垣委員
欠落していたら、それを補足すればということで、小野寺さんの資料を提出していただければい
いんじゃないでしょうか。
小野寺委員
私のほうから出します。
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母袋高校教育課長
原本をいただければコピーします。
小野寺委員
小林先生のご発言の中にありましたが、当初から学校と私どもの間で認識が違うのは、刑事事件
の問題でして。私は集団的な犯罪だと今でもそう思っていますが、県の考えは個人の加害者による
事件であるという認識です。なぜ、学校側と対峙してしまったのかを考える中で、犯行の当時を再
現できるものは、みなさんにご覧いただき、共通認識をもっていただいた方がいいと思っています。
今でも裁判記録は県のものですよね。それには、犯罪の顛末が載っていないんですよね。
毛利委員
少なくとも、民事裁判の証拠は出ているんですよ。
司
会
先程言われたのは、それを出していただけるということですよね。
小野寺委員
結構膨大なものになりますよ。
日垣委員
基本的にそれぞれの関心の度合いも違うでしょうし、コピー代だって馬鹿にならないでしょうか
ら、公開時間を決めて、オープンにすればどうでしょう。もっと詳しく読みたいというニーズがあ
ればその人にはコピーをしていただければどうでしょう。
司
会
南信の方が多いので、県庁においておくというのは、なかなかむずかしいでしょう。
山口(利)委員
少し時間をいただかなければいけませんが、全員の方にコピーをもっていただいた方が、共通の
基盤で話ができると思います。もし、A事件にポイントがあると限定していただければ、とりあえ
ずA事件についてのみコピーをしたいと思いますが。
毛利委員
その場に他の生徒もいたわけだから、他の生徒がどういう関わりをしたのか、しないのか、大き
な分かれ目になるよね。真実を解明する場所ではありませんが、A事件についてそれなりの理解を
してもらわないといけないことがあるんですよね。
小野寺委員
私もその辺のことが知りたかったのですが、難しかったんですよ。
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日垣委員
小さな提案と大きな提案をそれぞれ一つずつさせていただきたいと思います。小さな提案として、
教学指導課で作られている校長先生対象の「生徒指導上特に配慮を要する事項」という資料の事件
当時の版と事件の後の版を拝見したいと思います。大きな提案ですが、次回、委員長と委員長代理
者の互選をしていただいた後、お父さんに事実であると思っていること、不満に思っていることを
洗いざらい語っていただけないでしょうか。それをまず出発点としてお聞きしたいと思います。
小野寺委員
雑駁な話になるかと思いますが、もしお聞きいただけるのであれば。その中から検証の方向性を
探っていっていただければと思います。
日垣委員
具体的に誰という名前は必要ないので、言われて傷ついたことなど事件の細かいことではなくて、
ご遺族が不快に思ったりした事も詳しく教えていただきたい。
司
会
日垣さんの提案、いかがでしょうか。
全
員
賛成
(5)次回開催日程について
第2回
5月19日(日)於松本
第3回
5月30日(木)於松本
第4回
7月14日(日)於飯田
に決定。
司
会
少し時間をオーバーしましたが、これで第一回目の検証委員会を終わります。
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