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インド経済の現状と課題:国民会議派連合政権の10年をめぐって
2014年4月21日 ジェトロ・アジア経済研究所 インド経済の現状と課題: 国民会議派連合政権の10年をめぐって 佐藤隆広 (神戸大学経済経営研究所) 1 アウトライン I. II. III. IV. V. はじめに 長期変動と国際比較 全国農村雇用保障法(NREGA)と腐敗問題 マクロ経済の現状 おわりに →キーワード:スタグフレーション 2 II. 長期変動と国際比較 3 1人当りGDP (単位:ルピー、基準年:1999‐2000年)と 製造業比率(単位:対GDP比、%) 20.0% 35000 18.0% 30000 16.0% 25000 14.0% 12.0% 20000 15000 10.0% per capita GDP 8.0% Manufacturing 6.0% 10000 4.0% 5000 2.0% 0.0% 1900 1908 1916 1924 1932 1940 1948 1956 1964 1972 1980 1988 1996 2004 0 佐藤隆広「高度成長する インド」絵所秀紀・佐藤隆 広編『激動のインド③経 済成長のダイナミズム』 日本経済評論社、序章、 近刊。 Source: Sivasubramonian (2000) and CSO, National Account Statistics. 4 • 長期経済成長の重要性。 • 所得が倍になるのに要する年数:年率1%→ 70年、3.5%→20年、7%→10年。 • 新古典派経済成長モデル。 • 「絶対的収束」(Absolute Convergence):各国 が初期値の如何にかかわりなく同じ定常状態 に収束する。 • 「条件付き収束」(Conditional Convergence): 貯蓄率・生産性・労働人口成長率で違いを持 つ国々が、初期値の資本労働比率の如何に かかわりなく、それぞれの定常状態に収束す る。 5 実証分析戦略(Empirical Strategy) 佐藤隆広「世界のなかのインド」絵所秀紀・佐藤隆広編『激動のインド③経済成長のダイナミズ ム』日本経済評論社、第1章、近刊: 1.クロスカントリー(パネル)データを用いた成 長回帰分析(Growth Regression)を行う。 2.成長回帰分析で示唆される経済成長率と経 済成長要因との関係(散布図)のなかに、イ ンドの軌跡をプロットする。 3.視覚的に、世界のなかのインド経済の特徴 をチェックする。比較の対象として、中国も取 り上げる。 6 図表3 変数の記述統計量 1人当たりGDP成長率 1人当たりGDP(自然対数値) インフレ率 政府消費比率(%) 投資率(%) 交易条件の変化率 貿易開放度(%) 合計特殊出生率 1/出生時平均余命 中学以上の平均就学年数 政体指標 資料 WDI & GDF WDI & GDF WDI & GDF WDI & GDF WDI & GDF Barro and Lee (1994), WDI & GDF WDI & GDF WDI & GDF WDI & GDF Barro and Lee (2012) Polity IV 平均 標準偏差 0.021 0.028 7.41 1.46 0.120 0.216 14.5 5.4 22.3 7.2 -0.0003 0.055 70.2 48.3 4.07 1.92 0.016 0.003 1.9 1.6 6.1 3.4 最小 -0.078 4.74 -0.043 4.1 4.8 -0.308 8.4 1.14 0.012 0.0 0.0 最大 0.139 10.61 2.224 40.6 66.5 0.310 431.0 8.27 0.035 8.1 10.0 資料)筆者作成。 注1)WDI & GDF: World Bank, World Development Indicator & Global Development Finance, 2012, and Polity IV: Center for Systemic Peace, Polity IV Dataset Version 2010, 2011. 注2)データは、1960-65年(23)・1965-70年(39)・1970-75 年(59) ・1975-80年(67) ・1980-85年(48) ・1985-90年(5 6) ・1990-95年(59) ・1995-2000年(61) ・2000-05年(12 0) ・2005-2010年(119)の10期間からなるアンバランスドパネルデータで ある。括弧内は、観測数である。 7 図表4 一人当たり GDP 成長率と一人当たり GDP(自然対数値) 0.15 0.1 世界 0.05 中国 インド 0 0 2 4 6 8 10 12 ‐0.05 ‐0.1 資料)筆者作成。 最小二乗法で両者の関係を推定してみると、以下のような結果が得られた。 一人当たり GDP 成長率 = 0.017*** + 0.0005 一人当たり GDP(自然対数値) (3.08) (0.64) 観測数=651、自由度修正済み決定係数=-0.0009、F 値=0.41 8 図表5 成長回帰分析の結果(被説明変数:1 人当たり GDP 成長率) 1人当たりGDP(自然対数値) インフレ率 政府消費比率(%) 投資率(%) 交易条件の変化率(%) 貿易開放度(%) 合計特殊出生率 1/出生時平均余命 中学以上の平均就学年数 (中学以上の平均就学年数) 2 政体指標 (政体指標) 2 1965年ダミー 1970年ダミー 1975年ダミー 1980年ダミー 1985年ダミー 1990年ダミー 1995年ダミー 2000年ダミー 2005年ダミー 定数項 観測数 自由度修正済み決定係数 F値 係数 t値 -0.0099864 -8.92 -0.0146363 -3.32 -0.0006852 -3.61 0.0008134 5.50 0.1063879 6.28 0.0000580 2.68 -0.0062061 -5.88 -2.3585640 -4.16 -0.0047676 -1.76 0.0008224 2.21 -0.0025725 -1.75 0.0002269 1.68 0.0049519 0.84 -0.0024577 -0.44 -0.0044683 -0.80 -0.0294873 -5.05 -0.0183362 -3.16 -0.0239336 -4.15 -0.0212395 -3.66 -0.0164464 -2.88 -0.0246789 -4.31 0.1725384 9.68 651 0.37 18.86 *** *** *** *** *** *** *** *** *** * ** * * *** *** *** *** *** *** *** 資料)筆者作成。 注1)時間ダミーのレファレンスは、1960-65年ダミーである。1965年ダミー は1965-70年ダミーを簡略化した表現である。時間ダミーの表記については、以下 同様である。 9 図表6 説明されない一人当たり GDP 成長率と一人当たり GDP(自然対数値) 0.25 0.2 0.15 世界 中国 0.1 インド 0.05 0 0 2 4 6 8 10 12 ‐0.05 資料)筆者作成。 10 図表9 説明されない一人当たり GDP 成長率と投資率(%) 0.35 0.3 0.25 世界 0.2 中国 0.15 インド 0.1 0.05 0 0 10 20 30 40 50 60 70 資料)筆者作成。 11 図表15 説明されない一人当たり GDP 成長率と政体指標 0.3 0.25 0.2 世界 0.15 中国 インド 0.1 0.05 0 0 2 4 6 8 10 12 資料)筆者作成。 12 III. 全国農村雇用保障法 (NREGA)と腐敗問題 13 全国農村雇用保障保法 (NREGA)、2005年 • NREGAの目的: 農村に居住しているすべての 世帯に最低1年間に100日間の賃金雇用を 与える。 • 国民会議派連合政権のフラッグシップ・プロ グラム、世界最大の貧困緩和計画。 • グラム・パンチャーヤット(村落自治体): NREGAを実施する主体 <‐‐‐第73次憲法改正、 1992年 • 問題:NREGAは農村労働者の賃金や消費を 増加させたのであろうか? 14 15 16 実証分析戦略 (Empirical Strategy) in Takahiro Sato, ``The Economic Impacts of National Rural Employment Guarantee Act (NREGA),’’ mimeograph, 2014. • NREGAは、2006年2月2日に200県で開始(第1 段階)。2007年4月1日に113県(第2段階)、同 年5月15日に17県にまで拡大(第3段階)。 残りの 県全ては、2008年4月1日にカバーされた。 • Azam (2012) は、NREGAが労働者の賃金に与えるイ ンパクトの識別のために、このNREGAの時間差をと もった地域的拡大を「自然実験」として用いた。手法 は、「二重の差」(「差の差」ともいう)回帰 である(ま た、補助的に「プラセボ」回帰も行っている)。本研 究も、Azam (2012)と全く同じ手法を用いた。 17 データ • 2004-05年と2007-08年の2時点の全国 標本調査(NSS)の雇用失業調査。 • 調査は、農村と都市あわせて10万世帯、約50 万人をカバーしている。 • 農村労働者の定義:労働者本人が18歳以上の 臨時労働者、その世帯が農業労働世帯あるい はその他労働世帯。居住地は農村。 18 ミンサー型賃金関数: Widtは、d県に居住している労働者iのt時点の実質賃金率、 D2007*DNREGAは2007年ダミーとNREGA実施県ダミーの交差 項を意味する。推定されたβは、NREGAが何%賃金を上昇 (あるいは減少)させたのかを意味する。 The Mincerian wage function of the following form was estimated by using the OLS method: ln widt α αd αt β D2007 ∗ DNREGA ′ eidt (1) Where ln widt is the natural logarithm of real wage rate for a worker i at a district d at quarter-based time t and αd is district fixed effect, αt is quarter-based time fixed effect, and D2007 is the dummy for year 2007-08 and DNREGA is the dummy for treatment districts of NREGA and X is the vector of other variable that are expected to influence the wage of a worker such as education, sex, working experience, etc. 19 NREGAが実質賃金率に与える影響 Table 5: Estimation of the impact of the NREGA on wage rate (1) log of wage rate(CPIAL) NREGA dummy A Coef. t NREGA*2007 dummy 0.03490 5.6 *** obs 67102 R-squared 0.55 (2) log of wage rate(CPIAL) B Coef. t 0.03775 6.16 *** 67102 0.55 (3) log of wage rate(CPIRL) A Coef. t 0.03499 5.6 *** 67102 0.55 (4) log of wage rate(CPIRL) B Coef. t 0.03796 6.2 *** 67102 0.55 Table 6: Extended estimation of the impact of the NREGA on wage rate (1) log of wage rate(CPIAL) NREGA dummy A Coef. t NREGA*2007 dummy 0.00172 0.3 NREGA*2007*female dummy 0.11049 17.6 *** obs 67102 R-squared 0.55 (2) log of wage rate(CPIAL) B Coef. t 0.00477 0.8 0.10923 17.3 *** 67102 0.55 (3) log of wage rate(CPIRL) A Coef. t 0.00168 0.3 0.11094 17.7 *** 67102 0.55 (4) log of wage rate(CPIRL) B Coef. t 0.00485 0.8 0.10968 17.4 *** 67102 0.55 20 NREGAが実質消費額に与える影響 Table 7: Estimation of the impact of the NREGA on consumption (1) log of MPCE(CPIAL) NREGA dummy A Coef. t NREGA*2007 dummy -0.0327 -5.8 *** R-squared 0.35 obs 67102 (2) log of MPCE(CPIAL) B Coef. t -0.0279 -5.0 *** 0.35 67102 (3) log of MPCE(CPIRL) A Coef. t -0.0325 -5.7 *** 0.35 67102 (4) log of MPCE(CPIRL) B Coef. t -0.0276 -4.9 *** 0.35 67102 Table 8: Extended Estimation of the impact of the NREGA on consumption (1) log of MPCE(CPIAL) NREGA dummy A Coef. t NREGA*2007 dummy -0.0381 -6.4 *** NREGA*2007*female dummy 0.0180 3.2 *** obs 67102 R-squared 0.35 (2) log of MPCE(CPIAL) B Coef. t -0.0334 -5.7 *** 0.0184 3.2 *** 67102 0.35 (3) log of MPCE(CPIRL) A Coef. t -0.0380 -6.4 *** 0.0184 3.2 *** 67102 0.35 (4) log of MPCE(CPIRL) B Coef. t -0.0333 -5.7 *** 0.0188 3.3 *** 67102 0.35 21 NREGAが実質賃金所得(週給)に与える影響 Table 9: Estimation of the impact of the NREGA on total wage (1) log of total wage(CPIAL) NREGA dummy A Coef. t NREGA*2007 dummy 0.03433 4.1 *** obs 67338 R-squared 0.48 (2) log of total wage(CPIAL) B Coef. t 0.02766 3.4 *** 67338 0.48 (3) log of total wage(CPIRL) A Coef. t 0.03443 4.1 *** 67338 0.48 (4) log of total wage(CPIRL) B Coef. t 0.02788 3.4 *** 67338 0.48 Table 10: Extended Estimation of the impact of the NREGA on total wage (1) log of total wage(CPIAL) NREGA dummy A Coef. t NREGA*2007 dummy 0.00964 1.1 NREGA*2007*female dummy 0.08226 9.3 *** obs 67338 R-squared 0.48 (2) log of total wage(CPIAL) B Coef. t 0.00449 0.5 0.07679 8.6 *** 67338 0.48 (3) log of total wage(CPIRL) A Coef. t 0.00960 1.1 0.08271 9.4 *** 67338 0.48 (4) log of total wage(CPIRL) B Coef. t 0.00457 0.5 0.07725 8.7 *** 67338 0.48 22 • ちなみに、賃金率(あるいは賃金所得)と消費 の相関係数は、+0.3。 • NREGAは、賃金や所得を高めるが、消費を減 少させる。なぜ、こんなことが起こったのだろう か。賃金と消費には正の相関があることを考 えれば、これは一種のパズルである。 3つの仮説: • (1)Azam (2012)による議論:2007年のNSS の消費データの質が悪い。 • (2) 「意図しない貯蓄」あるいは「強制貯蓄」 の可能性。←NREGAの賃金支払方式変化 23 仮説(2)の傍証: • NREGA開始以降、約1億もの銀行口座や郵便貯金が開設された。 現在、NREGAの支払の80%がこうした口座を通じて行われている。 • 口座振込みは、NREGA実施主体と支払主体を分離させるという意図 を持っている。NREGAのガイドラインに沿ったものである。汚職や搾 取の防止が期待された。 • しかしながら、Vanaik and Siddhartha (2008)やAdhikari and Bhatia (2010) などは、銀行・郵便局の利用可能性やその人手と資本不足 などに起因する賃金支払遅延を指摘している。 • Adhikari and Bhatia (2010)によれば、口座保有者本人が現金を引き 出した割合は41%に過ぎず、50%のひとは銀行・郵便局に行って いるが、その際、誰かのサポートを得ている。2%のひとは、誰か他 人が現金を引き出していて、7%は一切引き出しをしていない。 • Vanaik and Siddhartha (2008) によれば、グラム・パンチャーヤットか ら労働者預金口座への送金には最低でも15~20日間はかかって いる。こうした問題に加えて、労働者たちは、銀行・郵便局における 手続きなどに不案内である。 24 仮説(2)の傍証(続き) • Sandeep Pai, ``Delayed NREGA payments drive workers to suicide,‘’ Hindustan Times, December 29, 2013. Case 1: ``He set himself on fire’’ Tapas Soren, 34, Birakhap Village, Hazaribagh, Jharkhand, Suicide: July 8, 2008 Case 2: ``My wife had just had a baby’’ Changunabai Dakore, 29, Titvi village, Buldhana, Maharashtra, Suicide: December 24, 2012 Case 3: ``Spoke of money he owed to other workers’’ Jaggu Bhuiyan, 49, Karma Tand Village, Palamu, Jharkhand, Suicide: January 6, 2012 Case 4: ``We took Rs. 1.5 lakh as loan’’ Datta Maghade, 50, Titvi Village, Buldhana, Maharashtra, Suicide: July 7, 2013 Case 5: ``The govt owes us Rs. 80,000’’ Madhav Sonaji Raut, 44, Gotra Village, Buldhana, Maharashtra, Suicide: June 1, 2012 Case 6: ``The scheme has killed my husband’’ Amruta Gore, 39, Gotra Village, Buldhana, Maharashtra, Suicide: August 28, 2011 Case 7: ``Difficult to feed my kids’’ Prahlad Kokate, 38, Titvi village, Buldhana, Maharashtra, Suicide: October 14, 2012 25 • (3)サンプル・セレクション・バイアス:この「二 重の差」回帰分析では、より貧しい労働者が NREGAに従事するようになったため、もともと 貧しかった労働者と相対的に貧しくはない労 働者の消費額を比較している可能性がある。 26 腐敗問題 • 国民会議派連立政権下、大規模な汚職事件が次々と 発覚:2013 Chopper Scan(軍事用ヘリコプター)、2012 Coal Block Allocation Scan(鉱区割当)、2013 Railgate (鉄道大臣)、2011 Tatra Truck Scan(軍事用トラック)、 2011 Antrix Devas Deal(電波)、2011 2G(電波、1.8 兆ルピー)、2010 CWG(コモンウェルスゲーム)、2008 Cash‐for‐Vote Scandal(国会)、Bellary Mining Scan(鉱 山割当)、2013 UP NRHM Scan(財政資金流用)・・・ 資料:``20 Political Scams That Shamed India,’’ DNA, August 30, 2013より抜粋. • アンナ・ハザレによる反腐敗運動→庶民党 (AAP)結党 27 腐敗の経済効果 in Atsushi Kato and Takahiro Sato, ``The Effect of Corruption on the Manufacturing Sector in India,’’ Economics of Governance, forthcoming. • 被説明変数:製造業の生産性 • 説明変数:州別の腐敗防止法違反件数 • データ:1988~1997年、州別産業分類3 桁レベルのパネルデータ • 手法:腐敗変数の過小報告を修正。内生性 については操作変数法(IV)。 • 結果:腐敗の1標準偏差増加が総要素生産 性を20%も減少させる。とくに、中小企業に 対しては30%以上も減少。 28 IV. マクロ経済の現状 29 スタグフレーションとは? →インフレ+不況 →政策の舵取りが難しく、政策の不確実性を高 める 30 マクロ経済の現状 • • • • ルピーの暴落 国際収支赤字 不況 インフレ 31 成。 資 料 : Reserve Bank of India, Database on Indian Economy よ り 筆 者 作 32 26‐Nov‐2013 12‐Nov‐2013 29‐Oct‐2013 15‐Oct‐2013 01‐Oct‐2013 17‐Sep‐2013 03‐Sep‐2013 20‐Aug‐2013 06‐Aug‐2013 23‐Jul‐2013 09‐Jul‐2013 25‐Jun‐2013 11‐Jun‐2013 28‐May‐2013 14‐May‐2013 30‐Apr‐2013 16‐Apr‐2013 02‐Apr‐2013 図表1:日次の対ドル為替レート(単位:ルピー) 70.0 68.0 66.0 64.0 62.0 60.0 58.0 56.0 54.0 52.0 図 表 2 : 貿 易 収 支 と 経 常 収 支 ( 対 GDP 比 ) 4.0% 2.0% 0.0% ‐2.0% ‐4.0% 貿易収支 ‐6.0% 経常収支 ‐8.0% ‐10.0% 2012‐13 2011‐12 2010‐11 2009‐10 2008‐09 2007‐08 2006‐07 2005‐06 2004‐05 2003‐04 2002‐03 2001‐02 ‐12.0% 資 料 : Reserve Bank of India, Database on Indian Economy よ り 筆 者 作 成。 33 図表:経済成長率の推移 15% 10.8% 10% 9.1% 8.3% 8.8% 9.5% 7.2% 6.3% 5% 5.8% 4.9% 5.2% 5.1% 4.6% 4.7% 4.7% 4.6% 4.3% 鉱工業生産 国内総生産 0% ‐5% Jan‐14 Nov‐13 Sep‐13 Jul‐13 May‐13 Mar‐13 Jan‐13 Nov‐12 Sep‐12 Jul‐12 May‐12 Mar‐12 Jan‐12 Nov‐11 Sep‐11 Jul‐11 May‐11 Mar‐11 Jan‐11 Nov‐10 Sep‐10 Jul‐10 May‐10 Mar‐10 ‐10% 資料:RBI, Handbook on the Indian Economy, CSO, Press Note, February 28, 2014 and do., Press 34 Release, April 11, 2014より筆者作成。 図表4:インフレ率(対前年同月比率) 14% 12% 消費者物価指 数 10% 8% 農業労働者消 費者物価指数 6% 4% 卸売物価指数 2% Sep‐13 Jul‐13 May‐13 Mar‐13 Jan‐13 Nov‐12 Sep‐12 Jul‐12 May‐12 Mar‐12 Jan‐12 Nov‐11 Sep‐11 Jul‐11 May‐11 Mar‐11 0% 資 料 : R e s e r v e B a n k o f I n d i a , D a t a b a s e o n I n d i a n E c o n o m y, a n d O ff i c e of the Economic A d v i s e r, 2004-05=100 よ り 筆 者 作 成 。 Wholesale Price Index (WPI) Data 35 図表5:品目別でみた卸売物価指数の上昇率(対前年同月比) 20.0% 320.0% 280.0% 15.0% 240.0% 200.0% 10.0% 160.0% 120.0% 5.0% 80.0% 40.0% 0.0% 食料 燃料・電 力 玉葱(右 目盛) 0.0% ‐40.0% ‐5.0% Sep‐13 Jul‐13 May‐13 Mar‐13 Jan‐13 Nov‐12 Sep‐12 Jul‐12 May‐12 Mar‐12 Jan‐12 Nov‐11 Sep‐11 Jul‐11 May‐11 Mar‐11 ‐80.0% 資 料 : O f f i c e o f t h e E c o n o m i c A d v i s e r, W h o l e s a l e P r i c e I n d e x ( W P I ) Data 2004-05=100 よ り 筆 者 作 成 36 図 表 6 : 玉 葱 の 卸 売 価 格 ( 単 位 : 1 kg 当 り ル ピ ー ) 60 50 40 30 20 September, 2012 10 September, 2013 Kerala Assam Himachal Pradesh Orissa Jammu and Kashmir NCT of Delhi West Bengal Rajasthan Average Jharkhand Uttar Pradesh Uttrakhand Haryana Punjab Gujarat Maharashtra Andhra Pradesh Nagaland Madhya Pradesh Karnataka 0 資 料 : Directorate of Marketing & Inspection, Ministry of Agriculture, Government of India, State wise Wholesale Prices Monthly Analysis for Onion, various months よ り 筆 者 作 成 。 37 2011/5/3 2011/6/3 2011/7/3 2011/8/3 2011/9/3 2011/10/3 2011/11/3 2011/12/3 2012/1/3 2012/2/3 2012/3/3 2012/4/3 2012/5/3 2012/6/3 2012/7/3 2012/8/3 2012/9/3 2012/10/3 2012/11/3 2012/12/3 2013/1/3 2013/2/3 2013/3/3 2013/4/3 2013/5/3 2013/6/3 2013/7/3 2013/8/3 2013/9/3 2013/10/3 2013/11/3 2013/12/3 2014/1/3 2014/2/3 2014/3/3 2014/4/3 金融政策 スバラオRBI総裁からラジャンRBI新総裁へ(20 13年8月6日マンモハン・シンによる指名、3週 間の引き継ぎのあと、ラジャンは9月5日に第2 3代RBI総裁に就任)。黄色の網掛けは、ラジャ ン総裁就任以降を意味している。 10.5 10 9.5 9 8.5 レポレート 8 MSFレート 7.5 7 資料:RBI, Handbook on the Indian Economyより筆者作成。 38 財政赤字問題 12.0% 10.0% 8.0% 統合政府 6.0% 中央政府 4.0% 2.0% 0.0% 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 資料:RBI, Handbook on the Indian Economy and Government of India, Union Budget 2014‐15よ り筆者作成。 39 V. おわりに • 経済回復の兆し:株価上昇・インフレ率低下・ 通貨安定・国際収支改善 • 「ラジャン効果」(Rajan Effect) • 今後の展望 40 2011‐04‐01 2011‐05‐01 2011‐06‐01 2011‐07‐01 2011‐08‐01 2011‐09‐01 2011‐10‐01 2011‐11‐01 2011‐12‐01 2012‐01‐01 2012‐02‐01 2012‐03‐01 2012‐04‐01 2012‐05‐01 2012‐06‐01 2012‐07‐01 2012‐08‐01 2012‐09‐01 2012‐10‐01 2012‐11‐01 2012‐12‐01 2013‐01‐01 2013‐02‐01 2013‐03‐01 2013‐04‐01 2013‐05‐01 2013‐06‐01 2013‐07‐01 2013‐08‐01 2013‐09‐01 2013‐10‐01 2013‐11‐01 2013‐12‐01 2014‐01‐01 2014‐02‐01 2014‐03‐01 2014‐04‐01 経済回復の兆し 図表:BSE‐SENSEX‐30‐INDEX 24000 23000 22000 21000 20000 19000 18000 17000 16000 15000 資料:RBI, Handbook on the Indian Economyより筆者作成。 41 JAN‐2012 FEB‐2012 MAR‐2012 APR‐2012 MAY‐2012 JUN‐2012 JUL‐2012 AUG‐2012 SEP‐2012 OCT‐2012 NOV‐2012 DEC‐2012 JAN‐2013 FEB‐2013 MAR‐2013 APR‐2013 MAY‐2013 JUN‐2013 JUL‐2013 AUG‐2013 SEP‐2013 OCT‐2013 NOV‐2013 DEC‐2013 JAN‐2014 FEB‐2014 MAR‐2014 図表:消費者物価上昇率(対前年同月比、単位:%) 12 11 10 9 Rural 8 Urban Combine 7 6 資料:RBI, Handbook on the Indian Economyより筆者作成。 42 05‐Apr‐2011 05‐May‐2011 05‐Jun‐2011 05‐Jul‐2011 05‐Aug‐2011 05‐Sep‐2011 05‐Oct‐2011 05‐Nov‐2011 05‐Dec‐2011 05‐Jan‐2012 05‐Feb‐2012 05‐Mar‐2012 05‐Apr‐2012 05‐May‐2012 05‐Jun‐2012 05‐Jul‐2012 05‐Aug‐2012 05‐Sep‐2012 05‐Oct‐2012 05‐Nov‐2012 05‐Dec‐2012 05‐Jan‐2013 05‐Feb‐2013 05‐Mar‐2013 05‐Apr‐2013 05‐May‐2013 05‐Jun‐2013 05‐Jul‐2013 05‐Aug‐2013 05‐Sep‐2013 05‐Oct‐2013 05‐Nov‐2013 05‐Dec‐2013 05‐Jan‐2014 05‐Feb‐2014 05‐Mar‐2014 05‐Apr‐2014 図表:対ドル為替レート 70 65 60 55 50 45 40 資料:RBI, Handbook on the Indian Economyより筆者作成。 43 図表:輸出、輸入と貿易収支(単位:100万ドル) 2013年度の経常収 支赤字は、対GDP比で 約2%になると予測 (RBI, Macroeconomic ‐5000 and Monetary Developments 2014‐15 (An Update), April 11, ‐10000 2014)。 0 50000 45000 40000 Exports 35000 ‐15000 30000 Imports Trade Balance ‐20000 25000 ‐25000 Apr‐12 May‐12 Jun‐12 Jul‐12 Aug‐12 Sep‐12 Oct‐12 Nov‐12 Dec‐12 Jan‐13 Feb‐13 Mar‐13 Apr‐13 May‐13 Jun‐13 Jul‐13 Aug‐13 Sep‐13 Oct‐13 Nov‐13 Dec‐13 Jan‐14 Feb‐14 Mar‐14 20000 資料:RBI, Handbook on the Indian Economy, and Ministry of Commerce and Industry, Merchandise Trade for SDDS, 2014より筆者作成。 44 今後の展望 • 外的要因:(1)米国における量的緩和縮小 (テーパリング)、(2)米国とイランの核協議の行 方+ウクライナ危機 • マクロ経済安定化に向けた財政赤字削減 →新政権下における首尾一貫した経済政策 • NREGA問題や腐敗問題:仮に総選挙後に有権 者の圧倒的な支持で成立したとしても、これらの 問題を新政権が即座に解決できるわけではない。 しかし、こうした構造問題の解決は絶えずインド 社会から問われ続けるだろう。 45 ご紹介 (1)絵所秀紀・佐藤隆広編『激動のインド③経済成 長のダイナミズム』日本経済評論社、近刊。 「国際比較」「長期変動」「産業発展」の3つの視点からインド経済を 分析した国際共同研究成果。これまで分析されてこなかった小売部 門・不動産市場・新興企業家の系譜なども分析している。 (2)科研費基盤(B)「インドの産業発展と日系企 業」(代表:佐藤隆広)。 2013年度~2016年度までの4カ年にわたる共同研究。昨年度、 インドの日系企業に対するアンケート調査を実施(現在、データの精 査中)。2015年度あるいは16年度に、アンケート調査の再実施を 予定。ご協力よろしくお願いします。 ご清聴、有難うございました Email: [email protected] 46