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孤児著作物に関するアンケートの回答
孤児著作物に関するアンケートの回答 ワシントン大学ロースクール講師 CASRIPアシスタント・ディレクター シグニー・H・ニーブ (訳)今村哲也 要因として,米国著作権法の重大な変更によっ A.孤児著作物 て,著作権の所有者を識別し,あるいは作品が パブリックドメインに入ったかどうかを判断す 1.孤児著作物に関する報告書の後における ることがより困難になったということがある。 米国での議論 例えば,著作権保護期間は繰り返し延長されて おり(場合によっては125年以上),また以前の 孤児著作物をめぐる議論の現在の枠組みはど 二段階の保護期間と更新条項は削除されてい のようなものか。 る 。著作権の自動的な保護,登録要件の廃止,そ 7 して出版年と創作者名を明示する義務のような 1 孤児著作物 は幅広い影響のある問題である。 形式的要件を廃止したことにより,作品の権利 それは,創作者,出版社,映画製作者,アーカ 者を識別することがいっそう難しくなったので イブ,博物館,歴史関係の諸団体などによる作 ある。問題を大きくしたのは,既にパブリック 品の将来的な何百万もの使用を制限することに ドメインにあったはずの一定の作品について著 なる2。例えば,ある人が古い家族の結婚写真を 作権のある状態を復活させてきたことである8。 修復することを望んだ場合でも,撮影者を確認 2006年に米国著作権局は議会の要請により孤 あるいは発見できなければ,写真店は撮影者の 児著作物をめぐる議論の概要を明らかにする もつ著作権の侵害を恐れて作業を断わるかもし 『孤児著作物に関する報告書』を公表した9。同 3 れない 。また,ホロコースト博物館のような歴 報告は,一連のパブリック・コメント期間と 史博物館が,書類,写真,口述歴史あるいはフィ フォーラムにおいて取り上げられた問題を約 ルムのリールを公開し,保管することを制限さ 200頁に要約しており,最終的には法案を提案し 4 れるかもしれない 。学者は個人の家から収集し ている。こうした勧告を基礎に若干の修正を加 た貴重な手紙や原稿を使用することを妨げられ えたものが最初の「2006年孤児著作物法(“Or� 5 るかもしれない 。同様に,作品のデジタル化に phan Works Act of 2006”)」として提出された。 取り組む記録保管人その他の人々がそのプロ 2008年に類似の法案が「2008年ショーン・ベン ジェクトの範囲を限定され,重要な作品は失わ トレー孤児著作物法(“Shawn Bentley Orphan 6 れるかもしれない 。 Works Act of 2008”) 」(「2008年法案」)として これまでの少なくとも30年間において準備さ 提出された。この法案は下院を通過して上院に れてきたパーフェクト・ストーム(連鎖共振反 回付されたものの,第110回議会終了までに立法 応)が,この問題を大きくした要因となってい のプロセスが完了しなかった。孤児著作物に関 る。一つの要因として,インターネット,デジ する法案は,2009年12月23日の時点で第111回議 タル化,そして著作権が取得可能な素材の転送 会の会期中に提出されていない。 の容易化を含む技術の発達によって,著作権の 2008年法案の一部で採用されている著作権局 ある作品とパブリックドメインにある作品の利 の提案は次の部分であろう。 用がより容易となったということがある。他の ❖ 作品利用者は作品の権利者の身元を明らか 217 にするために合理的な措置を採り,合理的な 制ライセンスを創設すること,あるいは損害賠 10 捜索を履行することを要求されること 償に上限を設定するという提案が示されてい 19 ❖ 作品利用者は孤児作品であることを示す記 る 。これに対し著作権局はこうした解決方法 号をその新たな作品に付することが要求され は損害賠償に対して不必要な制限を設定するも ること 11 のであり,他の救済方法や公正な市場価格に関 ❖ 権利者が出現した場合,利用者は合理的な する当事者の交渉の自由を許容しないことにな 12 20 補償金を支払わなければならないこと るおそれがあるとしている 。孤児著作物に関 ❖ 合理的な補償金は当事者により合意され, する立法を一定のカテゴリーの作品及び/又は かつ最初の使用の時点における公正な市場価 著作権を取得した作品の特定の利用方法に制限 13 21 格を反映したものでなければならないこと するという提案もある 。最後に,著作権局に ❖ 当事者が合意できない場合,裁判所がその 対して,検索データベースの創設とともに選択 14 価格を設定することができること される検索技術その他の技術的手段を認証する べきとする要求も存在する22。これに対して,著 ❖ ある特定の非営利の教育的・文化的使用の 15 ためのセーフハーバーも設けること 作権局はこれらの提案を維持していく専門的知 著作権局はこうした内容を備えた法案によっ 識,財政的資源あるいは技術的資源を有してい て,新たな作品の創作を促進する一方で誠実な ないと主張している。 利用者が危険にさらされる場合を減少させるで 2.法と経済学の観点からみた孤児著作物問 あろう16,という考え方を主張した。 題の分析 孤児著作物の問題は決して,権利侵害者と主 張された者を保護することを目的とする偏った 議論ではない。著作権のある作品のその後の利 法と経済学の見地からどのようなアプローチ 用者は,パブリックドメインにあるかどうか分 が可能か。 からない作品を利用する権利を求めているのに 対して,写真家とビジュアルコンテンツの権利 法と経済学の学者は,創作に対するインセン 者は責任制限を設けることに対して反対してい ティヴを著作権の目的として支持しながら, る。写真家と視覚芸術家は特に著作権の誤用に マーケットを効率化するという観点から孤児著 よる被害を受けやすい。彼らの作品は執筆者署 作物の問題に取り組んでいる。これらの潜在的 名欄や著作権表示が作品上に付加されていない に競合する目的を調整するために,一定の長所 ため,孤児著作物と誤解されることが多いので を持つ4つの提案が浮上してくる。第1は著作 ある17。他の団体の中には責任と損害賠償金に 権登録制度という方法への回帰である。第2は 対する制限に概して反対するものがあり,また 強制ライセンスのおそれを伴う登録制度又は更 他方で一部の団体は特に法定損害賠償の排除に 新 制 度 へ の 回 帰 で あ る。 第 3 は ラ イ ア ビ リ 反対している。著作権局はこの最後の議論に対 ティ・ルールの方法を採用することである。第 して,そもそも法定損害賠償は孤児著作物につ 4はセーフハーバーを認めることでライアビリ いてほとんど利用可能でないであろうと指摘し ティの判断に対する予見可能性を増加させるこ ている。というのは,権利者は法定損害賠償を とである。 選択するために,侵害より前または公表後3カ ある学者は,孤児著作物における法と経済学 月以内に作品を登録しなければならないからで の問題は,著作権のある作品に対する需要を満 18 ある 。 足できていないことにより生じる不完備市場の 著作権局のアプローチ以外の解決手段もこの 問題(missing market problem)であると指摘 討論の間には登場している。政府が管理する強 している23。潜在的な需要があるにもかかわら 218 ず,供給側が満足していないことについては, こうした制度は英国の著作権審判所のような 「死荷重損失とライセンスの取引費用のような 組織による強制ライセンスの制度と結び付ける 32 バリアに関する問題」として経済学者によって ことが可能であろう 。 24 しばしば論じられている 。死荷重損失が作品 他方,法学者のThomas Cotterは『フェアユー の非可用性から生じると同時に,取引費用が結 スと著作権の過剰行使』について検討した論文 局のところ「厚生を増大させるライセンス」を において,孤児著作物にも影響のあるような幾 妨げる。こうした不均衡は,潜在的に有益なト つかの提案について分析している 。彼は法と ランスフォーマティブな利用や派生的な利用を 経済学を主な根拠として,著作権のある作品を 33 26 妨げるという結果ももたらしている 。 無許諾で使用することが認められるべきである 法学者のDennis Khongは著作権局と同様に, 2つの場合があると主張している。第一は,利 この問題を登録制度と更新制度の廃止とともに 用者に対する取引コストが利用者に対する利用 行われた,現在も進行している一連の著作権保 価値を超過し,利用者による利用価値は利用を 27 護期限の拡大に原因があるとしている 。そこ 禁止することにより権利者に与えられる価値を でKhongの提案は,強制ライセンスのおそれを 超えるであろう場合である34。第2は,社会に 伴う登録制度あるいは更新制度へ回帰すること とっての利用価値が権利者がその利用を禁止す を含んでいる。 る価値を超過し,権利者が利用を禁止する価値 登録制度への回帰により,取引費用を減少さ は利用者が作品を利用する価値を超過であろう せかつ孤児著作物の問題を最小化することで, 場合である35。彼はこうした一般的な命題を詳 著作権者を容易に確認することが可能となるだ 細に述べた上で,フェアユースを改善する幾つ 28 29 ろう 。当然,ベルヌ条約が最大の障害となる 。 かの方法について検討している。そこには孤児 この登録制度は著作権局の提案に類似するもの 著作物に関連するものが2つあり,それがライ であるが,創作者が著作権保護を受ける前に作 アビリティ・ルールの採用と一定のセーフハー 品を登録することを要求されるベルヌ前の時代 バーの承認である。 への完全な復帰をもたらすものではない。形式 ライアビリティ・ルールを採用する場合,著 的手続の不遵守により作品がパブリックドメイ 作権者は金銭的救済を受けることはできるが, ンに入ることもないであろう。むしろこの登録 差止命令による救済を受けることはできない36。 制度は著作権者を保護するための一つの方法で そのためライアビリティ・ルールは「ある種の あると同時に孤児著作物のその後の使用に関す 強制ライセンス制度として機能する」 。彼は, る一定の自由の余地を認めるものでもある。 裁判所はもっと幅広く無許諾の使用を認めても Khong は選択肢の一つとして,商標制度が よいとしつつ,一定の類型の無許諾使用につい マーケットの非効率の回避を図るために採用し てはライアビリティ・ルールを採用するべきこ ているのと同じ政策的な理由から,更新制度に とを主張している38。そのような状況のひとつ 賛成する。商標は放棄されるとパブリックドメ として,社会に対する価値は権利者が利用を禁 インの一部となり,他人はそれを利用すること 止する価値より大きく,権利者が利用を禁止す ができる。商標法の下では,放棄とみなされる る価値は利用者に対する価値より大きい場合が まで5年の猶予期間が認められているが30,同 あるであろうとする39。Cotterは権利者に対する じような猶予期間が孤児著作物について必要か 補償の義務がなければ創作に対する著作権のイ もしれない。Khong は一定期間内の更新を怠っ ンセンティヴの効果が弱められるであろうと論 た場合に著作権の終了の結果が生じるという更 じている40。彼は運営コストの増加といった潜 新制度を提唱している。彼は商標と同様に10年 在的にマイナスの結果にもかかわらず,ライア 間を最初の更新期間として提案している31。 ビリティ・ルールが現行制度に対する改善とな 37 219 るであろう2つの状況があると最終的に主張し のはどのような試みか。 41 ている 。これらの2つの状況とは,利用者が 派生的な作品の創作を望む場合,あるいは権利 米国著作権法では強制ライセンスが一定の場 42 者が作品のライセンスを拒否する場合である 。 合に著作権のある作品に対して課せられる(例 Cotter はライアビリティ・ルールに類似す えば111条45,112条46,114条47,115条48,118条49, るものとして一定のセーフハーバーの採用を提 119条 ,122条 ) 。こうしたライセンス(例え 案している。彼はひとつの例として教育的ガイ ば,115条⒜,⒝および⒞⑴)によって,孤児著 ドライン(訳者注:著作物の利用者に対して 作物の利用が可能となる場合がある。実際のと フェアユースの範囲等を示唆するガイドライ ころ,強制ライセンスの導入については孤児著 ン)を示しており,孤児著作物がこうした例外 作物を巡る討論において引き続き議論のトピッ によって享受しうる利益についても示唆してい クとなってきた。孤児著作物に関する強制ライ 50 43 51 る 。彼はセーフハーバーのもつ「コスト」を センスを入れるために著作権法を改正するとい 減少させるために,セーフハーバー適用に関す う議論については,孤児著作物に関する2006年 る 一 定 の 条 件 が あ る べ き と す るMolly Van の報告書に帰着する著作権局の情報収集の段階 Houwelingの考え方に基づいて,提案を述べて においてもたらされた 。同様に,法と経済学 いる(訳者注:セーフハーバーを教育用ガイド の研究者は,前述したように,強制ライセンス ラインのようなもので明示する場合,ガイドラ 制度の負担を支持していた。これまでのところ, インの起草者の意思が反映されるだけでなく, 侵害者とされた者が合理的な補償の支払いを要 ガイドラインがデファクト化して,利用者の行 求されるという提案は示されているが,このよ 為のふるい分けに使われるようになる。これは うな強制ライセンスを導入するという改正は提 確かに予測可能性を高めるものではあるが,著 案された孤児著作物法のいずれにおいても示さ 作権の過剰行使ないし権利者側のバイアスとい れていない。 52 う観点からすると,多大なコストを払っている 4.図書館および文書資料館による複製 ことになる。政策形成者はセーフハーバーのも つこのようなコストを抑えるために,セーフ ハーバーの適用される利用者の行為の条件につ 図書館および108条⒣における図書館および いてよく考える必要がある。セーフハーバーの 保存の例外に関する現在の実務,および同規定 コスト低減について,Molly Van Houwelingは, の評価について。 利用者が著作権の目的を促進する一定の行動に 向かうようにセーフハーバーを条件づけるとい デジタルミレニアム著作権法(「DMCA」)は, うアイデアを示しており,その例として孤児著 権限をもつ図書館と文書資料館に対して,一定 作物のセーフハーバーを挙げている) 。 条件とし の発行著作物(映画および録音物を除く)につ ては,利用者が著作権者に関する合理的な程度 いて,著作権の保護期間の最後の20年間,限定 に入念な探索(reasonably diligent search)と 的な利用権を与えるために,108条⒣を付け加え 作品の適切な出典表示を行ったことを示すとい た。例外を利用するためには,一定の条件に従 うことが考えられるとする44。類似の制限は著 わなければならない。そこで,図書館は以下の 作権局の法案でも提案されている。 ことを判断する上で合理的な努力(reasonable effort)をしなければならない。すなわち,⑴当 3.強制ライセンス 該著作物が通常の商業的利用の対象ではないこ と,⑵著作物のコピーまたはレコードが相当な 金額で入手できないこと54,⑶著作権者が,著 孤児著作物に強制ライセンスを用いるという 220 作権局長が定める規則に従って,⑴または⑵の 研究会を組織している57。 条件が当該著作物に適用される旨の通知を行っ 同研究会に対して提出された文書によるコメ ていなかったこと,である。第108条の変更は, ントにおいてALAは,すべての作品について制 ソニー・ボノ著作権保護期間延長法( 「CTEA」 ) 限なしで保存できるようにするべきであること, による20年間の著作権保護期間の延長により生 図書館は,壊れやすい作品と「消滅しつつある」 じた図書館およびその他の非営利団体による懸 フォーマットを「予防的に保存する」ことが認 55 念に対処するため付け加えられた 。同条項は, められるべきであること,を主張している。ま あたかも著作権が延長していなかった場合と同 た,その他の主張の中には,図書館がデジタル 様に,図書館とその他の非営利団体が作品を複 化作品を含む保存された作品に対するアクセス 製し,頒布することを原則として許容している。 を提供できるようにするべきであるとする議論 実際のところ,108条⒣によって,図書館と文 が含まれていた58。こうした議論はみな,108条 書資料館に対して他の108条の例外を超える保 の利用をより多くし,制限をより少なくするよ 護が与えられている。この広範囲の保護に対す うに拡大する方向へと意図されたものである。 るアメリカ図書館協会( 「ALA」 )の見方につい 2008年に上記研究会は,次の主な勧告を示し ては,DMCAの1201条の反迂回条項に関する規 た報告書を公表している。 則制定案に対する同協会の反応のような,他の ❖ 第108条には博物館が付け加えられるべき 文脈においてみることができる。例えば,反迂 である 回条項に関する一般的な質問と図書館に関する ❖ 特定の図書館と文書資料館は危険な状態に 同条項の影響に答えるかたちで,ALAは,第108 ある作品について破損あるいは損失する前に 条⒣の例外が反迂回条項の検討が及ばない範囲 保存用の複製を行うことができるが,アクセ のものであったことを指摘している。ALAは スは制限される 具体的な質問に対する回答のなかで, 「 [5大図 ❖ 図書館と文書資料館は私的学習,調査また 書館協会]はこの[反迂回の]禁止は『本編に基づ は学問のためのオンラインコンテンツを取り き保護される著作物』に対して適用されるのみ 込み,保存することを認められるべきである であることを強調したいとも考えている。この が,権利者はオプトアウトすることができる ことは,パブリックドメイン又は連邦政府の著 ❖ 図書館と文書資料館は,3部の複製に限る 作物, あるいは108条⒣における新たに設けられ ことなく,合理的に必要とされる程度に限ら た制限の対象となる著作物は,その対象に含ま れた部数の複製を作成することを認められる 56 59 れるべきではないということを意味する」 。こ べきである のようなALAによる,反迂回条項に対する免除 同研究会の勧告は,同提案が,危険な状態に 規定の追加の是非をめぐる規則性提案に対する ある作品の保存用の複製を作成する能力,オン コメントは,図書館に対しては,作品の著作権 ラインコンテンツの保存とアクセス,そして保 保護の最後の20年において,そのようにして免 管用の複製作成の場合の制限をより少なくする 除を追加する必要はないであろうとする考え方 た め に108条 を 拡 大 す る と い う 点 に お い て, を明らかにするものである。 ALAの主張と一致するものである。しかし,同 第108条⒣の導入に関して入手可能な情報は 研究会の勧告は,保存あるいは保管できる著作 あまり存在しないが,2005年に全米デジタル情 物の種類を拡大していないこと,すべての保存 報基盤整備・保存プログラム( 「NDIIPP」 )と米 用の複製物に対するアクセスの制限を廃止する 国著作権局が「デジタル技術とネットワークの ことは提案しておらず,単に限定的な目的にお 観点から第108条を再検討する」 ために様々な利 ける特定のオンラインコンテンツへのアクセス 害を代表する19名の著作権専門家で構成された を提案にするにすぎない点において,一致して 221 (2008). 13 See Peters’ Importance of Orphan Works, supra note 3. 2008年法案ではこうした例外を 含んでいないようである。 14 See id. 15 See Peters’ Importance of Orphan Works, supra note 3; see S. 2913, 110th Cong. § 2 (2008). 16 See Peters’ Importance of Orphan Works, supra note 3. 17 See Peters’ Congressional Statement, supra note 2. 18 See id. 19 See id. 20 See id. 21 See id. 22 2008年法案は著作権局がデータベースが利用 可能であることを認証することを要求している ものの,著作権局がそうしたデータベースを創 設または維持することを要求はしていないよう である。 23 See Khong, supra note 1, at 56. 24Id. at 59. 25Id. at 61. 26 See id. at 56. 27 See id. at 59-62. 28 See id. at 61. 29 See id. at 88. 30 See id. at 61. 31 See id. at 88. 32 See id.(訳者注:Khongの提案は,自発的な 登録制度としたときに,登録がなされないため に孤児作品が生まれるということを避けるため に,著作権審判所が一定の場合には所定の価格 による強制ライセンスを利用者に与えるとする ことで,権利者による自発的な登録を促すとい うものである) 33 Thomas F. Cotter, Fair Use and Copyright Overenforcement, 93 Iowa L. Rev. 1271 (2008). 34 See id. at 1277. 35 See id. at 1280. 36 See id. at 1292. 37Id. at 1293. 38 See id. at 1292-1300. 39 See id. 40 See id. 41 See id. 42 See id. at 1295-1298. いない。同研究会の提案は現在のところ単なる 勧告にすぎないため,その提案が法案として提 出されるかどうかはまだ分からない。全体とし てみると,ALAによる提案と研究会による勧告 はともに,108条⒣に対するALAの一般的な考 え方と同様, 108条の縮小ではなくむしろ拡大の 方向性を示している。 注 1 アメリカ議会図書館は孤児著作物を「権利者 の所在を確認することが困難あるいは実際には 不可能な著作権のある著作物」と定義してい る。Dennis W. J. Khong, Orphan Works, Aban� donware and the Missing Market for Copy� righted Goods, 15 Int’l J. L. & Info. Tech 54, 56 (citing Library of Congress Copyright Of� fice, ‘Notice of Inquiry: Orphan Works’ (2005) Federal Register 3739). 2 Marybeth Peters, Statement of Marybeth Pe� ters The Register of Copyrights before the Sub� committee on Courts, the Internet, and Intel� lectual Property, Committee on the Judiciary (Mar. 13, 2008), http://www.copyright.gov. docs/regstat031308.html (hereinafter Peters’ Congressional Statement). 3Id. 4 Marybeth Peters, The Importance of Orphan Works Legislation (Sept. 25, 2008), http:// www.copyright.gov/orphan/ (hereinafter Pe� ters’ Importance of Orphan Works). 5 See Peters’ Congressional Statement, supra note 2. 6Id. 7Id. 8Id. 9 United States Copyright Office, Report on Orphan Works, A Report of the Register of Copyrights (2006). 10 See Peters’ Importance of Orphan Works, supra note 3; see S. 2913, 110th Cong. § 2 (2008) (以下,2008年法案とする). 11 See id. 2008年法案では著作者表示とともに 作品を頒布,展示又は実演する場合のシンボル の添付についても検討している。 12 See Peters’ Importance of Orphan Works, supra note 3; see S. 2913, 110th Cong. § 2 222 43 See id. at 1314. 44 See id. (citing Molly Shaffer Van Houweling, Safe Harbors in Copyright 2 (working paper) (2006) available at http://www.law.berkeley. edu/institutes/bclt/ipsc/papers2/VanHouwel� ing.pdf). 45 17 U.S.C. § 111. 46 17 U.S.C. § 112. 47 17 U.S.C. § 114. 48 17 U.S.C. § 115. 49 17 U.S.C. § 118. 50 17 U.S.C. § 119. 51 17 U.S.C. § 122. 52 Report on Orphan Works, supra note 9. 53 17 U.S.C. § 108(h). 54 American Library Association, Section 108 Photocopying by Libraries and Archives, How the DMCA Affects library Photocopying and Interlibrary Loan Services, http://www.ala. org/ala/issuesadvocacy/copyright/dmca/sec tion 108/index.cfm (2009). 55 See id. 56 Comments of the Association of Libraries Before the Copyright Office Library Office in the Matter of Rulemaking Exemption to Prohi� bition on Circumvention of Copyright Protec� tion Systems For Access Control Technologies, http://www.ala.org/ala/aboutala/offices/oitp/ publications/officialfilings/1201_Exemp % 20to % 20Prohib.pdf. 57 ALA office for Information Technology Poli� cy Frequently Asked Questions – Section 108 Study, http://www.ala.org/ala/aboutala/offic es/wo/washevents/woannual/FAQ% 20on% 20 108.doc. 研究会は第108条の全体を取り扱って おり,108条⒣に特に焦点をあてているわけでは ないが,私はここでの検討を第108条(h) に関連 する勧告に限定するつもりである。 58 See id. 59 Library of Congress, Study Group Issues Re� port Recommending Changes in Copyright Law to Reflect Digital Technologies Section 108 Study Group Looks at Exceptions to Law for Libraries and Archives (Mar. 31, 2008), http:// www.loc.gov/today/pr/2008/08-063.html. 作物の利用の在り方に関する総合的考察」(課 題番号21730107)の研究助成による研究成果の 一部である。 * なお,この資料は,平成21年度文部科学省科 学研究費補助金(若手研究B) 「権利者等不明著 223