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木材の染色機構 - 森林総合研究所

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木材の染色機構 - 森林総合研究所
森林総研研報
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n
st
.No.367 , 1
9
9
4
1-52
木材の染色機構
一木材及びその成分の染色性と染料溶液の浸透性一
基太村洋子 (]I
KITAMURA , Yo
k
o
:Mechanismso
fwooddyeing
DyeingPropertieso
fWoodandWoodComponents
andPermeabilityo
fDyeS
o
l
u
t
i
o
n
s
要
旨:木材表面と玄木の染色は占くから試みられていたが,木材染色に関する基礎的研究と木材内
部の染色についての報告は,事極めて少なし、。
本報は,次の事項について研究した報告である。1.木材構成成分の染色性については,木材の三大
化学成分と木粉への各種染料の染着量を測定して染色性を調べた。その結果,各構成成分の染色性は,
染料の種類によりそれぞれ宍!なることを明らかにした。リグニンは l白,接染料で染色されにくかったが,
敵性染料,場主主性染料で染色できた。セルロース,ヘミセルロースは直接染料で染色されたが,酸性染
料では全く染色されなかった。
しかし.セルロースにトリメチルアンモニウム基を導入すると,酸性染
料による染色性は著しく改葬された。
2
木材構成組織の染色性についてみると,ウダイカンパの構成
組織の染色作はそれぞれに特長をもち,それらが木材の質感の強調につながったつなお,木材及び各構
成成分の染色性に及ぼす抽出成分の影響についても調べたが,その影響は大きくはなかった。
3
木材
内部まで染色するためには,その木材が染料の浸透通路を備えていなければならなし~しかし,木材が
この条件を備えていても.染料の hèj査実験の結果.内部;まで浸透しやすい染料は非常に少ないことが分
かった ο また,染料の浸透速度は染色条件の違いで非常に異なった。さらに.木材内部への染料の浸透
は木村
染料,染料一浴媒,溶媒ー木材の相月関係で決定されることが分かった。従って,木材染色の
良 él は以上の相互関係で変化することが明らかになったコ
目次
1
緒
言……・・……-…・……………………・……………….....・ H ・…....・ H ・
2
2
木材構成成分の染色性…・……...・ H ・..…ー…・・…………………・…………...・ H ・..
4
2.1 セルロース,ヘミセルロース,リグニンの染色性……………...・ H ・.....・ H ・...
5
2. 1. 1
実験....・ H ・......……・…....・ H ・-……....・ H ・….....・ H ・...……...・ H ・..…
2
.1
.2 結果及び考察…・・・…………'"・ H ・..………………………………・………
2
.
2
6
1
0
2.2.1
実験…………・…・…….....・ H ・-………...・ H ・..一… H ・ H ・-……・……・…
10
2.2.2
結果及び考察………...・ H ・..….....・ H ・-・…………………...・ H ・......・ H ・-・…・
13
結論…・…………………………………・...・ H ・-…・・……………………・……・
16
木材構成組織の染色性...・ H ・-…………………・………...・ H ・...……-…...・ H ・..…
16
2.3
3
木材セルロース及び木材の改質による染色性の変化……・・…………………・・
5
1990 年 3 月 30H 受理
(
1
1 木材化 l 部
化 L -8 W o
o
dC
h
e
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s
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y-8
2
森林総合研究所研究報告
3
.
1
第 367号
木材構成要素の染色性…………………-……...・ H ・..…………………...・ H ・....
1
6
3
.1
.1
実
験 ....・ H ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1
6
.2
3
.1
実験及び考察....・ H ・..…-……...・ H ・......・ H ・-…....・ H ・..……………….
1
8
抽出処理による染色性への影響…...・ H ・..……...・ H ・..………...・ H ・......・ H ・-・…・
1
9
3
.
2
3
.
2
.
1
実
験…....・ H ・...・ H ・ H ・......・ H ・-…...・ H ・......・ H ・......・ H ・..…....・ H ・..…・・・
1
9
3
.
2
.
2
結果及び考察…...・ H ・...…...・ H ・.......・ H ・ H ・ H ・...・ H ・..……....・ H ・......・ H ・..
2
0
3
.
3
染料溶液の浸透経路・…....・ H ・....…...・ H ・......・ H ・....・ H ・....…・・…….....・ H ・-・…
2
0
3
.
4
染色に適した木材の特性...・ H ・..………...・ H ・.....・ H ・.....・ H ・..………...・ H ・..…・
2
2
3
.
5
結
論 ……・...・ H ・....・ H ・....・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
2
5
木材用染料の浸透性…...・ H ・.......・ H ・-…・…...・ H ・-……....・ H ・...………・...・ H ・...
28
4
4
.
1
浸透性染料の選定….....・ H ・-一……....・ H ・...・ H ・...…...・ H ・...・ H ・......・ H ・-………
28
4. 1. 1
実験...・ H ・ H ・ H ・.....・ H ・ H ・ H ・.....・ H ・..…...・ H ・.....・ H ・.....・ H ・.....・ H ・ H ・ H ・...
2
8
4
.1
.2
結果及び考察
...・ H ・...…・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
3
0
染料分子の木材組織への浸透と拡散…....・ H ・......・ H ・......・ H ・..…....・ H ・...・ H ・.
3
7
4
.
2
4
.
2
.
1
実
験 ・…・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
3
7
4
.
2
.
2
結果及び考察 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
4
1
溶媒の種類と染料の浸透....・ H ・.......・ H ・.......・ H ・...・ H ・......・ H ・...……………・
4
2
4
.
3
4
.
3
.
1
実
験 …・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
4
2
4
.
3
.
2
結果及び考察 ……...・ H ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
4
4
染料溶液の浸透速度...・ H ・ H ・ H ・...・ H ・.....・ H ・...・ H ・...・ H ・...・ H ・・・ H ・ H ・...・ H ・....….
4
5
4
4.
4.
1
4.
実
……・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
4
5
4
.
4
.
2
結果及び考察....・ H ・...・ H ・...・ H ・-一…・……・…...・ H ・......・ H ・-…...・ H ・-…..
4
5
結論…・・…・……......・ H ・-……・……………・…....・ H ・....…・…………...・ H ・
4
6
括....・ H ・・…....・ H ・....…..… H ・ H ・-… H ・ H ・....………・・……・….....・ H ・..……
4
7
辞....・ H ・....…・…-…..…....・ H ・....・ H ・-…・…・…・…-…・・・ H ・ H ・...・ H ・-………-….
4
8
引用文献…...・ H ・..……...・ H ・ H ・ H ・..………...・ H ・-・…………………...・ H ・....…...・ H ・...
4
9
Summary
5
1
4.5
5
謝
総
験
.......................一一・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・一一・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1
緒言
我々の生活の歴史は,常に木材とともに歩んできたといっても過言ではない。それは木材が持つ,加
工のしやすさ,弾力性,吸湿性,保温性など,他の材料と比較しにくいほど優れた諸性質によるところ
が大きい。また,木材がこれ程までに我々の生活に溶け込んでいるのは,その紋様や木理(杢),そし
て色調が人間感覚と良く調和しているからであろう。事実,木目や色調の美しい材が銘木と言って尊ば
れているように,木材の色や木理(杢)は木製品の価値を左右する重要な要素といえる。
ところで,天然、の銘木類や化粧用優良大径木は国産材をはじめ,世界的に枯渇してきた。その上,近
木材の染色機構(基太村)
3
•
年になって外国産原木は原産地の輸出禁止策などで供給事情が悪化し,原木の量的安定供給がなくなり,
質は低下し.希望する木材の入手が非常に困難となってきている。従って,我々は木材を大切に使うた
めに,また豊かな色彩の世界で生活しているため,入手可能な木材の中から木理の美しいものを選んで
銘木調に,優良化粧材の色調に,あるいは現代の生活様式にマソチした新製品を,木材染色の技術を用
いて開発しようとしている。
このように染色の研究は,省資源,未利用資源の活用,低級材及び普通材の高級化のために社会から
強く要請されており,その重要性が増大してきている。また,染色によって材の表面性,化粧性の改善
を凶り,同時に染色技術を向上させるための基礎的研究が必要となってきている。
現在,木材の着色が主に耐光'件のよい顔料着色で行われているにもかかわらず,なぜ染色を行うのか。
それは“木材の着色剤として望ましい条件・\すなわち,
1)透明性が優れ木質感が失われない, 2) 耐
光性が良い, 3) 着色が均一である, 4) 木材内部まで着色できる, 5) 着色後の工程に対する悪影響が
無い(乾燥,接着,変色,にじみなど),
6) 作業性が良い,7)安価である,などがあげられるがこの
うちの 1 )と 4 )は顔料ではかなえられないのに対して,染料を用いれば|両者の条件を満たすことがで
きるからである。染料は顔料に比べて耐光性では劣るが,透明度が高く,条件が整えば木材内部までの
染色が可能である。 従って,木理を生かすことができ
木材の質感を夫わない着色ができる。
染色木材の製品の製造工程を大別すると Fig.l に示すように二種類に分けられる。その一つは加工し
た素材に染色して仕上げる工程(染色仁程 A) であり,他の一つは,まず原材料を染色し,染色単板,
染色木材を製造してから成 H礼加工する方法(染色工程 ß , C) である。本研究は染色工程 B に属する。
なお,染色工程 C は立木染色と呼ばれる。染色工程 A は,既往の方法で、木材表面の染色で、よいが,染
色工程 B は木材内部までの染色が必、安となる。
それゆえ.木村内部までの染色性,染色木材の耐光性などを向上させることが,今後の木材利用上多
くの利点を生み出すこととなる。その主な利点を示せば,次のとおりである。
染色工程 A
(木材表面の染色)
,;fíI面
E
v
a
l
u
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Dy刷 n9 proce蝿 A
1ft げ前の製品
l
f
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d
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dwoodproduClヨ
染色工程 B
(木材内部の染色)
OyeingprocessB
成形 1m
(
I
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ril 価
oy副 ng pro 何回 C
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(
I
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)
Fig.l
染色木材製品の製造工程
Manufacturingprocesses for dyed wood products
1
"干価
E
v
a
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u
a
tlOn
4
森林総合研究所研究報告
第 367号
1)木材の質感を生かし,木理をー!吾美しく表現する。
2) 木材内部まで染色することにより,
(1)染色後の仕上げ加工が可能である。
(2) 単板の形で均」な着色ができ,
しかも量産が口J 能である(ユニット家具にも使用可能人
(3) 工程が従来の塗装に比較して簡単である。
(4) 製品の製作中及び製品使用中に素地の現れるトラブルが無い。
(5) 積層染色単板,集成染色木材の製造が可能である。
(6) 寄木・モザイクなど種々の床,費量材の製造が可能である。
(7) 象眼,寄木細工なとc の工芸 lI11 の製造が可能である。
現在生産されている主な染色材料を用いた製品には,例えは、寄木フロアー,モザイクフロアーなどが
あり,濃淡の市松模様から,
じゅうたん模様の複雑なものにまで加工が進んできた。このほかにも,積
層染色単板,集成染色木材があげられる。積層染色単板はイギリスから始まり,イタリアで良質の製品
を大規模に世界へ輸出しているもので.現在日本にも輸入されている(堀池,
1974 , 1977) 。また,国
内では各社が独自の方法で木材を染色し,各種の製品,すなわち,家具,壁面,天井板などの表面化粧
材として利用している。そのほか,鉛筆の軸,楽器の部品,ナイフの柄,スポーツ用品,文房具,
T芸
品などにも小規模であるが,木材染色が行われている。また木材染色は,組織別の染めわけで顕微鏡の
プレパラート用にも応用されている。
古くさかのぼれば,木工芸の観点から,あるいは室内調度品のために木材染色が行われていた。また,
象眼や箱根細工にも染色が行われてきたが,当時は耐光性が悪く,そのうえ内部まで均一に染色を行う
ことはほとんどできなかった。
そのことは,既往の研究,すなわち,“木材の工芸的利用" (農商務省山林局編,
1912 , 1
9
8
2(復刻版)),
三村鏡三郎による大正初期の立木染色に関する研究(三村, 1920) ,あるいは丙田博太郎編“雑貨染色法"
(西国,
1936) などによって明らかである。
木材内部まで染色じたいという希望は以前からあった。そのために立木染色法が試みられてきたこと
は,前記の三村の報告のほか,
田,
1910年代にフランス,アメリカそしてドイツなどで特許が出された(西
1
9
3
6
) ことヵ、らもう土カ当る。
以上のように,そしてその後も実用上の試みはされてきたが(大川,
1964; 相沢,
1969; 亀井 1976) ,
木材染色の基礎的研究は過去においてほとんど行われていなかった。従って,木材の染色機構を明らか
にするため,本報においては木材染色に関与する木材と染料と溶媒の特性,及び木材構成成分の染色性,
木材構成組織の染色性,染料溶液の浸透性及び染色性について研究を進めてきたので,その成果を報告ー
する(基太村,
1986) 。
2
木材構成成分の染色性
木材は木綿,絹,合成繊維など比較的単一な化学成分で構成されている素材と異なり,セルロース,
ヘミセルロース,リグニンなど,性質の異なった高分子化合物の集合体である。また,木材は樹種ごと
5-
木材の染色機構(基太村)
に抽出成分が異なり,前記三王要成分の合有量も異なるなど複雑である(今村,
,甲斐,
1975; 近藤,
1957 , 1972; 中野,
1983; 林試監修,
1970;FENGEL , 1984
1982) 。このような素材を良好な状態に染色
するためには,それぞれの染料に対する各構成成分の染色性を明らかにしておく必要がある。
本草では,木材染色に関する本礎的知見を得ることを目的として,セルロース,ヘミセルロース,リ
グニンの染色性に閲して,
また,量的に最も多く合まれるセルロースの染色性の向上を目的とした化学
的処理の研究結果について(基太付,
1986) 報告する。
2
.
1 セルロース,ヘミセルロース及びリグニンの染色性
木綿や!点などセルロースを主体とする繊維は,酸性染料では染色しにくいために,直接染料や反応性
染料がもっぱら使用されてきた(
ゾ) ,羊 E ゃ絹など蛋白系繊維の染色には,酸性染料が主に使われ,
合成繊維には分散染料が使われるなど,構成化学成分に応じた染料が使用されている。
木材の染色には,
[1直接染料,酸性染料.塩基性染料のいずれもが使用されてきたが(相沢,
1974; 亀井, 1
976;f羽田,
池,
1973; 大 JII ,
1969; 堀
1964) ,木材を構成する化学成分の染色性はそれぞれ異なっ
ていると考えられたので,この点を明らかにするために本研究を実施した(基太村, 1971a , 1979 , 1983a) 。
2 ,1. 1
実験
1
) 試料調製
a ,木粉
スギ,心材 (ì支川産)を 40-60 メァシュに調製した。
b
. 脱脂木粉
木粉をエタノール,ベンゼン( 1 :2)でソックスレー摘出器にて 24 時間抽出した。
C.
ホロセルロース
脱脂木粉から亜塩素酸塩法 (WISE ,
1946) で調製した。亜塩素酸ナトリウムによる処理回数は 1 時
間ずつ 5 固とした。
d,
ヘミセルロース
前記ホロセルロース 10g に 17 , 5%NaOH 溶液 250ml を加え, 30 分放置後 100ml の水を加えて撹持した。
5 分間放置後猪過し水洗した。漏液及び洗液を合わせて 30% 酢酸で微酸性としたのち,
3- 5 倍容の
エタノールに投入して 1 晩放賞した。沈澱したヘミセルロースを遠心分離しエタノール,次いでエー
テルで洗浄した。
e
.
セルロース
セルロースは,前記 17.5%NaOH 抽出残 j査を 10% の酢酸 40ml に 5 分間浸潰しでも慮過したのち,約
1. 5L の煮沸水で十分に洗浄し,乾燥して調製した。
f
.
リグニン
リグニンは BJORKMAN の方法 (BJORKMAN ,
1956) に従い,スギ心材から調製した木材成分利用研究室提
供の MWL (
M
i
l
l
e
dwoodIignin) を使用した。
2
)
供試染料
a,
直接染料
6 ー
森林総合研究所研究報告第 367号
a-1. C
..
ID
i
r
e
c
tB
lu
e1 , C
..
I24410
(
D
i
r
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tSkyB
l
u
e6B [三菱) )
a-2
. c
.
I
.D
i
r
e
c
tGreen6
3
.
(KayarusSupraGreenGG [化薬) )
b
. 酸性染料
C
.I
.AcidBlue1
1
7
. C.I
. 17055
(SuminolFa
s
tB
lu
eR [住友) )
C.
塩基性染料
c
.
I
.B
a
s
i
cBlue9 , C
.I
.52015
(MethyleneBlue [和光純薬) )
以上,使用した 4 種類の染料の化学構造式(有機合成化学協会編,
1970) を Fig. 2 に示す。
3
) 染色試験
木粉及ぴ木材構成成分は, 55 C で真空乾燥した。
0
染色は 1 %染料水溶液(ただし,酸性染料は 3% 酢酸の 1 %溶液)で,試料に対する染料溶液の重量
比(液比)は 1
:30 (試料 100田g) とし, 90 "Cの染浴中で 60 分間浸漬 i去で行った。染色後,グラスフィ
ルターで j慮、過して水洗した。さらに,
洗濯処理(大西,
Na2S04 0.2% を含む 0.5% マルセル石鹸液中で, 60 "C, 30 分間の
1968) を行い,十分に水洗して,乾燥した。各試料ごとに,染料を加えないで iサー操
作を行い,コントロール試料を調製した。
4
) 染着量測定
a
. ジクロル酢酸溶出による染着量の測定
コントロール及び酸性染料や塩基性染料で染色した各試料 20mg (絶乾)ずつを秤量し,ジクロル酢酸
10ml を加えて室温下に 2 日開放置した。染着量はその染料溶出液を i慮過し, 1.唐液 lml をジクロル酢酸で,
酸性染料は 5 倍最に,塩基性染料は 7 t音量に稀釈したのち,目立の分光光度計でロJ 視部吸収スペクトル
を測定して定量した。日J 視部吸収スベクトルの測定波長はそれぞれの染料の吸収極大の波長である。な
お,塩基性染料 (Methylene Blue) の場合には 690 と 760nm の二つの吸収ピークを持つが,
760nm の吸
光度で,また酸性染料 Suminol F
a
s
tB
l
u
eR の場合には,最大波長で、ある 522nm で測定した。染荷量の
計算は,検量線 (Fig.3 )を作成し,それに基づいて行った。
b
. カドキセン溶出による染着量の測定
D
i
r
e
c
tSkyB
l
u
e6B で染色した各試料を 10mg ずっとり,カドキセン (BROWN , 1
9
6
7
) 5ml を加えて 2
日開放置して溶解した。 溶解液 2 ml をカドキセンで倍量に稀釈し,ロJ 視部吸収スペクトルを測定して
染着力を比較した。
2
.1
.2
結果及び考祭
1
) 肉眼による染色性の詳価
4 種の染料で染色した木材の構成成分及び木粉の染色試料について,まず肉眼的な方法による染色性
の評価を試み,その結果を Table 1 に示す。この表に見られるように,構成成分の染色性は各成分によっ
-7-
木材の染色機構(基太村)
て異なることを認めた c なお,木粉はいずれの染料でも染色されることが分かった。
直接染料 (Direct SkyBlue6B と Kayarus SupraGreenGG) の場合,セルロースは良好に染色された
が,リグニンはほとんど染色されなかった。なお,ホロセルロースとへミセルロースは染色されるが,
セルロースほどの良好な染色ではなかった。本実験では直接染料として二種類を使用したが,両者の染
色性はほぼ同一傾向であった。しかし, KayarusSupraGreenGG の場合には,構成成分によって,染
色試料の色調に若干の違いが認められ,青味の強いものと黄味の強いものとがあった。
酸性染料ではリグニンは良好に染色されたが,ホロセルロース,セルロース,ヘミセルロースなどの
炭水化物はいずれも染色されなかった。
塩基性染料の場合,セルロースは若干不良であったが,他の試料はいずれもよく染色された。
a
) 直接染料
D
i
r
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y
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ID
i
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tBlue1
)
a
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C
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a-2 KayarusSupraGre自 n GG (
C
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3
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化γr構造不明
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b
)
酸性染料
A
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)
SuminolF
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OT2
ル
1.2
C宅
起 2
モ'"
"
' 0.8
ぎ君
0
.
4
0
。
c) 温法性染料
濃度
C
o
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t
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i
o
n(X 1
0
-2%)
B
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cd
y
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MethyleneBlue(
C
..
IB
a
s
i
cBlue9
)
Fig.3
[
(CH,)心;じ(CH 3 ), J
C
I
F
i
g
.Z
染料の構造式
C
o
n
s
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i
t
u
t
i
o
n
a
lformulaso
fdves
ジクロロ酢酸溶液中の染料濃度と
吸光度との関係(検量線)
The r
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p between c
o
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no
f
dvesandabsorbance(
i
nCl., CHCOOH)
:
M
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eblue可 λmax=760mp
X :S
u
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n
o
lF
a
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tB
l
u
eR
. Å m ,, =522mρ
lこ)
。。
Table 1
.
木粉及び木材構成成分の染色作会
ColoringPropertiesfor WoodComponents
染料
スギ(心材)
Dycs
Cedarheartwood
木粉
C
..
1Nam ぞ
ダイレクトスカイープル~
脱脂木粉
ホロセルロース
Wood
E
x
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vl
:
'S
H
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d゚1e
1:.' 1レロース
Cl
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Il
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ヘミ 1:11レロース
リグ二ン
H
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フ
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Li耳目 111
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+
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土
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士
+
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土
十
士
+
+
+
十
キ
I
l
luc 1
直緩染料
D
i
r
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c
tdyes
カヤラススプラグリーシ
(;G
O
i
r
e
c
t
KayarusSupraGreenGG
Green 63
敵性染料
スミノ
ルブアーストブルー
Aciddyes SuminolFast
塩基性染料
日 Illp
メチレンブルー
l
u
e
B
a
s
i
cdycs MpthylpneB
R
H
Mid
B
l
u
e1
1
7
十
日 as lC
B
l
u
e9
e
l
l
n
o
t
c
) ++:非常に良好に染色 Dyedveryw
~染色せず Notdycd
+:良好に染色
Oyed (dark)
++
+うすく染色
*分光今度計ではわずかに表れる
土
十
L
i
g
h
t
l
ydyed
S
l
i
g
h
t
l
yv
i
s
i
b
l
conwithaSpectrophotometer
十
制刑+骨持切吟寧判開ミヨ叫
設山
市沖
川。
明出
加
ω
雪
染料名
Nameo
fdyes
- 9
木材の染色機構(基太村)
2
)
ジクロル酢殿 J寄付i による染泊二 j這の測定
木材構成成分及び木粉を Suminol FastBlueR (酸性染料) .'投ひに Methylene Blue (塩基性染料)で染
色した試料のジクロロ酢被浴 IHi夜のロJ 悦部吸収スペクトルを Fig.4
(SuminolFastBlueR) 及ぴ Fig.5
(Methylene Blue) に jJ~ す。また,吸光度と検量線に蒸づいて計算した試料 20田g 当たりの染着量を
Table 2,ニボす O
Table 2 に見られるように、塩基性染料のんーが酸性染料よりも,いずれの試料においても染着量が大
であることが必められた。また,塩基性染料による染着:量:はホロセルロースが最も大で,次いで木粉,
脱脂本粉.リグニシ,ヘミセルロースの順でセルロースの染着量は少なく,この傾向は肉眼的評価によ
る染色性と一致したっ酸性染料ではリグニンの染着量が最も大きく,次いで脱脂木粉,木粉の順であっ
た。しかし,ホロセルロース,セルロース,ヘミセルロースの染義量は O で,全く染色されなかった。
これらのことから,*粉の染色は大部分リグニンの染色によるものと結論できる。
760nm
0.
4
690nm
0
.
3
E屯にi
料よ苦ヒ手' 主~
I、
1
.5
L
0.2
"
'
Z
0
.
1
にJ
何
世百号
。
C Ho , He 5
5
0
600
7
0
0
800
1
.0
ポ E
宅基 ;
:
;
:
波長
Wavel
e
n
g
t
h(nm)
0, 5
Fig.4
ジクロロ青1,酸抽出液の可視部吸収
スペクトル
V
i
s
i
b
l
el
i
g
h
t absorption spectra o
fd
i
c
h
l
o
r
o
a
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t
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c
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C
C
:セルロース
He
:ヘミセルロース
C
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波長
Wavel
e
n
g
t
h(nm)
H
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l
l
u
l
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s
e
L
リグニン
Fig, 5
L
i
g
n
i
n
Ho
:ホロセルロース
H
o
l
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c
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l
l
u
l
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E
:脱脂木粉
E
x
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sf
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.woodm
e
a
l
W
:木粉
Woodm
e
a
l
染色試料
(Methylene Blue (C.
I
Basic Blue9) で染色)のジクロロ
酢酸抽出液の可視部吸収スペクトル
V
i
s
i
b
l
el
i
g
h
t absorption spectra o
fd
i
c
h
l
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a
c
e
t
i
ca
c
i
de
x
t
r
a
c
t
so
fwoodandwoodcom.
ponents dyed by Methylene Blue (
c
.
1
. Basic
Blue9).
記号については Fig. 4 を参照されたい。
Thesvmb
o
l
ss
u
c
ha
sC, He , e
t
c
.r
e
f
e
rt
oF
i
g
.4
森林総合研究所研究報告
一 10
第 367号
3) カドキセン溶出による染着量の ìßIJ定
直接染料で染色した試料から,ジクロロ酢酸で染料を溶出することはできなかったので,カドキセン
1967) を用いた。
(8ROWN ,
D
i
r
e
c
tSkyB
l
u
e68 (直接染料)で染色した試料は,カドキセンには完全に溶解したので,可視部の
吸収スペクトルを測定しその結果を Fig.6 に示す。これによると,木粉及び脱脂木粉の吸光度はほぼ
同じで最も高く,次いでセルロース,ホロセルロース,リグニンの )11巨であった。吸光度と染着量は比例
的関係にあるから,各構成成分の染着量も同じ傾向にあると考えられる。
2.2 木材セルロース及び木材の化学的改質による染色性の変化
2.1 で明らかとなったように,セルロース繊維は直接染料で容易に染色されるが,酸性染料による染
色は困難で、ある。
大西らは綿糸やビスコース繊維などの水酸基に,
トリメチルアンモニウム基をエーテル結合で導入す
ると,酸性染料による染色性が著しく改善されることを見い出している(大丙,
1968) 。そこで本研究
では,これらの方法を参考に木材セルロースにトリメチルアンモニウム基を導入し,それによって染色
性がどの程度変化するかを知る目的で、実験を行った(基太村 1976 ,
2.2.1
1)
1989) 。
実験
試料
試料の溶解用パルプ (DP) は,
レヨニヤ杜 (Rayonier) のアセテート用パルプ (Rayocord-XG-LD)
を使用した。この DP は原料樹種としてヘムロック (60% ),パルサムファー (20%) ,スプルース (15% ),
コソトンウッド (5 %)の混合チップが用いられており,
α ーセルロース (96.1 %),
;1 ーセルロース
(
1
.6%),樹脂分 (0.15%) ,灰分 (0.07% J ,銅価 0.3 ,相対粘度 9.0 のものである。
2
) y ークロロ - /J ヒドロキシプロビルトリメチルアンモニウムクロライドの合成
トリメチルアミン塩酸塩30g を水 30ml に溶かし, 40-50"(: に加温して撹件しながら,エピクロロヒド
リン 24ml を加えて,
[liJ 温度で 1 時間反応させた。反応後,減圧下に水を濃縮すると結品が析出した o
il昔、過後,エタノールでL 再結品し,無色の結晶 y ークロロ
,1 ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウ
Table2
. 木粉及び木材構成成分への染料の染着量
Amountso
fdyesadsorbedo
rbondedt
owoodm
e
a
lcomponents
染料
|セルロースト〈ミセ L ロース
I
Cellulose
げか micellulos t'
mg/20mg !時 20mg
'Jタニニ
ILlgnホn
1 mg/20m 日
オロセ L ロース|
I
H
o
l
o
ct
'l
l
u
l
o
s
e
mg/20mg
脱脂本粉
IExtrartiv e:古
I
free-wo吋
m印 I
mg/20mg
Dyes
出Jmìnol
F
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l
u
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C
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1B
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c
B
l
u
e9
。
b
0.170
0.320
0.600
本粉
meal
mg/20mg
川 ood
11-
木材の染色機構(基太村)
ムクロライド(
1)を得た
(Fig.7 )。この結晶は mp.
188.3-188.6 'C,元素分析値: C 38.58% , H
7.89% , N 7.76% , C
l 36.96% 。計算値( C 6 H l5 NOC1 2 として ) :C 38.29%, H 7.98%, N 7.
45%,
Cl 37.77% で,水及びアルコールに可溶であるが,ベンゼン,
トルエン,エーテル,アセトン,クロ
ロホルムには不溶で、あった。
3
)
ß,
600-605nm
Y エポキシプロピルトリメチルアンモ
0
.
4
ニウムクロライドの合成
y
クロロ
グーヒドロキシプロピルトリメチル
1)の結品
アンモニウムクロライド(
q量μ
0
.
3
冊;EHRJF'R4何』Z
0
.
2
3
E
2
1 g を 5ml の
水に溶解し,,*酸化ナトリウムの溶液
。目 1
(NaOH
O.21g を水 5 ml に溶解)を撹持下に少量ずつ滴下し
。
5
5
0
た。 滴下して数分経過後に反応液は中性となるが,
中性に反らなくなった時点で滴下を止め,
,1 ,
ド(
I)を合成した
Fig.6
染色試料 (Direct SkyB
lue6B) カド
キセン溶液の可視部吸収スペクトル
(Fig.8 )。
以上のようにして合成した(
Wavel
e
n
g
t
h(nm)
Y ー
エポキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライ
7
0
0
6
0
0
波長
V
i
s
i
b
l
el
i
g
h
tabsorptions
p
e
c
t
r
ao
fdyedwood
I)は単離精製する
ことなし反応液をそのままパルプの処理液として
andi
t
scomponentsd
i
s
s
o
l
v
e
di
ncadoxen.
記号については Fig. 4 を参照されたい。
Thes
y
m
b
o
l
sr
e
f
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rt
oF
i
g
.4
C~
CHJ -
C~
N. 日 CI +CHz-CH ー CH z CI ー→ CH J -N:-CH z
I
'
" /
CHJ
I
トリメチルアミン
OH
(1)
エピケロロヒドリン
y
E
p
i
c
h
l
o
r
o
h
y
d
r
i
n
クロローグーヒドロキシプロピル
トリメチルアンモニウムクロライド
T
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t
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yl
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n
e
h
v
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o
c
h
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e
Fig.7
I
CH~I ・
0
塩酸出
一 CH ー CHzCI
Y.
C
h
l
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r
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'
1
1 hydroxypropyl ー
t
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u
mc
h
l
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e
Y ークロロー/'1 -ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライドの合成
Synthesiso
f Y.
c
h
l
o
r
o
.P
-hydroxypropyltrimethylammoniumc
h
l
o
r
i
d
e
CH
CH3
CH3 -N:-CH 2 一
C
H
;
I
-
CH-CH 2 -Cl
+NaOH
ー→ C凡 -N: ー C同一 CH ー CH z
I
C
H
;
l
-
OH
(
1
)
y クロロ
(
I
I
)
バーヒドロキシプロピル
トリメチルアンモニウムケロライド
YChloro-i
3.
.
.
h
y
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mc
h
l
o
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i
d
e
Fig.8
j3,
Y
'
"0/
(
J.
y エポキシプロピル
トリメチルアンモニウムクロライド
,f.
Ye
p
o
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e
エポキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライドの合成
Synthesiso
f β , Y-epoxypropyltrimethylammoniumc
h
l
o
r
i
d
e
森林総合研究所研究報告
12 一
第 36 7+J
使用した。このため,反応液中に合まれるエボキシ化合物(
トリウムでエポキシ基を分解し
1
I)の長を測定した。すなわち,亜硫酸ナ
その際に生成する水酸化ナトリウムを指不薬(アリサ、リン黄←キシレ
ンシアノール)を用い,海阪でi商定した。その結果,前記反応水溶液中には, 83.6% の反応生成本で(
1
I)
が合まれていることが分かった。
4) 溶解パルプ (DP) ヘ,
(1)の結品 16g
トリメチルアンモニウム jL の導入
を水 30ml に溶解し,
を 7-8 に保つようにして(
4.2% ;1(酸化ナトリウム溶液を少 i足ずつ約 1 mol 、 %UJ l1え,
pH
1
I)の溶液を調製した。
この溶液の一定量ずつを反応生成不を考慮して採取し( U) の:5" 11 ネが 2 ,
5 , 10, 15% となるよ
うに,それぞれ 50ml ずつの溶液を謝裂した。
各濃度の溶液に十分解織した試料 DP 5g を沿泊し,
り取る量はおのおの一定量 18ml とした J ,
1 時間宗温下に放賢した後,軽くしぼり(しぼ
3S.C の温風乾燥器で乾燥,がしし、て1l 0.C の乾燥器に移し,
1
時間加熱処理して反応させた。予備実験で([! )の水溶液に DP を没 i責し,そのまま加熱反応させるこ
とを試みた。この方法ではエポキシの加水分解以応が進み,パルフ。の反応、が十分でないことが分かった
ので,軽くしぼった後に乾燥して,パルプ上に試薬を沈訴させ,次いで加熱 jえ),è.;させるん1去をとった。
反応温度は 100.C で加熱するよりも,
110.C で加熱処埋した方が染色性に優れていたので,
ll(rC とした、
反応後は十分に水洗し,グラスフィルターて、 I慮過してシート状にした。シートは j則色する際に .v 滑t'l が
必要なため,グラスフィルターで猪過するときに,
表面を平にし,
上部が半面になるように押え,ガラス函トーに移して
3S.C で注意深く iM.風乾燥した。
トリメチルアンモニウム基の DP への導入を Fig.9 に示す。
5) 染色(野 [J , 1967) 及び染着量の測定
染色には次の 4 種類の酸性染料を 3% 酢酸水に溶解し,
1%濃度の染料溶液として使用した。
a
. C
.I
.AcidYellow2
5
(
S
u
m
i
n
o
lF
a
s
tYellowRc
o
n
c
. [住友])
b
. c
.
I
.AcidRed 1
(
S
o
l
a
rF
a
s
tRed3G C 住友 J)
C.
C
..
IAcidRed1
1
4
(
S
u
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o
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s
tRed3G [FByJ
)
d
. C
..
IAcidB
l
u
e1
1
7
(SuminolF
a
s
tB
l
u
eR C 住友 J)
パルフ。試料 0.5g を 40ml の染料溶液(液比 1 :80) に i え}責し, 9O"C で 90 分間処理!した(野口.
1967) 。
染色した試料は水洗し,次いで、硫酸ナトリウム 0.2g を含む 0.5% マルセル石鹸液 100ml に没 1責して, 60.C ,
30分間の洗濯処理ーを行い,そののち水洗して,表面の・ド滑なシートを調整し(方法は 4 )と何様), 3
S
.
C
で、温!瓜乾燥した。
染色した試料は分光光度色彩計である日立 607 カラーアナライザ,及び光電色彩計の ìß.IJ 色色差計算機
(スガ試験機)を用いて測色した c
一方,染色した試料 5 皿g を 10m] のジクロロ酢酸に 2 日開室温で没
- 1
3
木材の染色機構(慕太村 i
治して染事|を溶 1 1\させ.
(H,;)により
その上 }fRi伐を.)Ë以として分光光度 ;11
ì~lj 定したっ
2.2.2 結果及び考察
2% 及び 10% の.
エポキシプロピルトリメチルアシモニウムクロライド水渋液{エポキシ試
/
1
. y
五;と略す)で処期した試料.
DP 及び未処瑚の DP を 4 傾 ~fi の椴性染平|で染色した。それらについての
ìP.IJ 色はカラーアナライザ佐ぴに現Ij色色疋計算機て h った〉その結果をド ig.10-1 4!えぴ Table 3 に示す c
なお,染色 .t'j:の変化については Pholo 1 にぶすっ
SumioolF
a
s
t YellowR で染色した来処理 DP はほとんど染色されておらず (Fig.1 1. Photo.l ).色差
,1 E 九,も 2.4 (
Table3 )とわずかであったの他の染料では Suminol FastYellow より若「染色されたが,
染色性は J~ 常に忠く,敵性染料による染色の不良が認められた
H
CH,OH
O
H
]
(
)
I
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J
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一
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Oも一口j-R
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ハυ
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4
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R--CH 2 ・ 11- at.
l
溶解ノ f ルブ。へのトリメチルアンモ
5
0
0
6
0
0
7
0
0
8
0
0
波長
W
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h(
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Fig 9
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CH ,-CH,-CH-R
....., ..u ・山・・・・・
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H
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時』置五記念
H
ャーR
】
》 1
ωAd
=一d 』-Yι
(hF)宮
L市U
ゐ』
-OLιラ。疋ぷ。
C同 011
トリメチルアンモニウム基を
しかし,
F
i
g
.1]
トリメチルアンモニウム基を濃度
ニウム基の導入
別に導入後
1 % Suminol F
ast
I
l
l
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u
c
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i
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n o
f trimethvlammonium groups
YellowR conc. 水溶液で染色した
i
n
t
od
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l
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gpulp
溶解パルプ IDP) の分光反射率
曲線
S
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n
c
ecurveso
fdyedDP (dyed
1
0
0
90
主
80
怜+と
70
~一一
by 1
% SuminolFastYellow R c
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c
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mがに,
五さ
」
50
'
1o
t
e
) ・目・..…・ 0% の,1. 1- エボキシプロピルトリメチ
jしアシモニウムクロライド水溶液で前処理した[l['
の.染色i圭の分光反射率的線
τ40
今記戸
;
:
; 30
ι 邑
刷出
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0
300
400
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0
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0
0 8
波長
'
Na
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el
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g
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h{
n
m)
Fig.l0
溶解パルプの分光反射本曲線
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g pulp
(DP)
一一一
2% の".
Y エボキシプロピルトリメチ
ルアシ壬ニウムクロライド水溶液で前処理した[l P
の場合
2
%s
o
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森林総合研究所研究報告
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Fig.l O-14 及び Table 3.
Photo 1 に見られるように染色性が著しく向上し
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第 367号
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比較すると.
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また,
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8∞
した DP について,染着量を測定した。そのために,
各試料を Suminol F
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波長
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トリメチルアンモニウム基を濃度
Fig.12
別に導入後.
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3G. 水溶液で染色した溶解パルプ
(DP) の分光反射率曲線
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付記については.
Fig .l 5 に示した。こ
の図から分かるように,処理液濃度が上がるにつれ
て,染着量の増加の傾向が認められた。しかし
の差はあまり大きくなく,染色性は低濃度において
も向上することが明らかとなった。なお,木材に対
太村.
1989) については別に報告する。
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波長
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トリメチルアンモニウム基を濃度
別に導入後
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0
0
トリメチルアンモニウム基を濃度
別に導入後
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a
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1 %S
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ルプ (DP) の分光反射,*\曲線
ルプ (DP) の分光反射率曲線
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するトリメチルアンモニウム基の染色性の改善(基
Fig.11 を参照されたい
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1
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3
を 405nm で測定した。結果を.
その吸光度
Fig.ll を参照されたい
付記については.
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11
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1
5
木材の染色機構(基太村)
Table3
.
トリメチルアンモニウム基を導入した溶解パルプ (DP) の染色結果
DyeingofDPwithtrimethylammoniumgroup
染
名
DP に反応時の
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Therelationshipbetweenconcentrationo
fepoxy agentandtheamountofdyeing (dye= Suminol
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.
I
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FastYellowR
:
一 16 2.3
森林総合研究所研究報告
第 367号
結論
直接染料の場合にはセルロースの染色は良好,ヘミセルロースはやや良好,リグニンはほとんど染色
されなかった。そして,酸性染料の場合にはセルロース,ヘミセルロース,ホロセルロースは染色せず,
リグニンの染色は良好であった。塩基行染料の場合にはセルロースは染色しにくく.ほかは非常に染色
が良好であった c 木粉はいずれの染料によっても染色できた。以上のように,スギを用いた実験から,
構成成分によって染色作は著しく異なることが明らかとなった(
染着量はスギ木粉から調整した各成分を種今の染料で染色したのち,ジクロロ酢殿またはカドキセン
で溶出し,日J 視部吸収スベクトルで、測定することができた。なお.さらに良好な溶媒として,今後メチ
ルセロソルブで定量を試みたいと考えている。
セルロースは酸性染料で染色不良で、あった。木材セルロースの酸性染料による染色性向上を fl 的とし
て,溶解パルプに ,5 ,
y エポキシプロビルトリメチルアンモニウムクロライド水溶液で,化学的改買
を行った。その結果,
トリメチルアンモニウム基のわずかな導入でも,染色性が若しく向上することを
確認した。
3
木材構成組織の染色性
木材は針葉樹では仮道管細胞が,広葉樹では木繊維が最も多く,このほかに柔細胞,放射柔細胞,道
管細胞なども存在し,その構成は綾雑である。また,これら細胞の量や配列の仕方は樹種によって異なっ
ている。溢帯産のように J11_ 材と晩材で構成されている木材の場合には,細胞墜の!手さや内院の大きさが
異なる細胞が配列して年輸を形成しており.辺材と心材とでは薬液の誌透性が異なるなど,木材は極め
て不均一な素材である(貴島,
1960; 矢田,
1981 , 1
9
8
2)
0
このような素材を,目的に合致するように染色するためには,構成細胞の染料に対する特性や木材内
部への浸透経路などについて明らかにしておくことが重要である c 本章ではこれらに関する実験結果を
報告する。
3
.
1 木材構成要素の染色性
2.1 において,木粉は実験に使用した抗接染料,酸性染料,塩基性染料のいずれによっても染色され
るが,木材の構成成分の染色性は種類により異なることを明らかにした。
木材構成成分のセルロース,ヘミセルロース,リグニンの分布は,細胞の種頬によって,また細胞畦
の部位によって異なる。(中野,
1983) 。 従って,木材を染色した場合にその染色は均一ではなく,構成
細胞によって異なることが予想される c そのため,本研究はウダイカンパを試料として構成細胞別に,
染色性について研究した(基太村,
3. 1. 1
1971a,
1986) 。染料には直緩染料,酸性染料,塩基性染料を用いた。
実験
1) 供試単板及び染料
試料には,気乾のウダイカンパのスライスド単板(横 20X 縦 50X 厚さ 0.6mm)
使用した染料及びその構造式は Fig.16 に示した。
を使用した。
木材の染色機構(基太村)
17 -
直接染料
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Fig.16
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1
8
森林総合研究所研究報告
第 367 号
2) 染色方法
染色方法は 1 %染料水溶液を用い,液比 1
し,
:30 の没漬方法で,はじめに 20.C から 15 分間で 90.C に昇温
90.C で45 分間染色した。染色後水洗して,
60.C で 30 分間 Na 2 S04 0 . 2 % を含む 0.5% マルセル石鹸液
中で洗濯処理し,十分に水洗して乾燥した。
3
)
顕微鏡的観察
オリンパスの立体顕微鏡で観察し,写真撮影はニコン露出内蔵顕微鏡写真装置 EFM 型,及びオリン
パス顕微鏡 FHFTR - 3 型で行った。ウダイカンパの染色単板を 2 枚のスライドグラスにはさみ,木繊
維,放射組織,道管の膜壁,せん孔板,道管の内符物について観察した。
3
.1
.2 結果及び考察
ウダイカンパの木繊維,放射組織,道管の膜壁,せん孔板,道管の内容物などについての染色性を顕
微鏡下で観察し,その結果を Table 4 に示した。
CongoRed 及ぴ Direct SkyB
lue68 などの直接染料による染色では,木繊維は色素本来の色相と同じ
色によく染色された。しかし,放射組織,道管など,ほかの組織の染色物の色は表にみられるように,
本来の色とは若干異なった色に,またはほとんど染色されないなどの相違が認められた。 2.1 で,直接
染料はセルロースをよく染色し,リグニンに対しては染色不良であることを認めた。このことは,木繊
維以外の組織にはリグニンが多いことを示していると考えられる。
酸性染料はいずれの組織をも染色した。また,酸性染料はセルロースやへミセルロースに対して染色
Table4
.
ウダイカンパの構成要素及び道管の内容物の染色性
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ラ
木材の染色機構(基太村)
不良で、,
1
9~
リグニンをよく染色する性質であることを 2.1 で明らかにした。この点から考えると,木繊維
をはじめ放射組織,道管などすべてにわたってリグニンが分布しており,いずれの組織の表面にもリグ
ニンが分布しているように考えられる。塩基性染料 (Methylene Blue) では,せん孔板を除いた,ほか
の組織の染色は良好であった。
各組織の染色性の相違から,それらを構成している化学成分を推測しようと考えたが,それは困難で、
あった。しかし,各組織がそれぞれ特省の染色'性を持っていることは明らかである。
これは構成成分の相違も大きく影響するであろうが,染料の浸透性や染着性,細胞壁の厚さなどにも
影響されると考えられた。いずれにしても,もし各組織が均一に染色されると,樹種国有の木理が不鮮
明となり,材のよさが失われる結果となる。しかし,各組織の染色性がわずかではあるが異なるために,
木理が強調される結果となって,木材染色の付加価値が高まることになる。
3
.
2 抽出処理による染色性への影響
3.1 で木材構成要素は種類によって染色性が異なることを述べたが,染色性が相違する理由のーっと
して,材中に存在する抽出成分(今村,
1983; 住本,
1983) の影響が考えられる。抽出成分の材中の存
在部位は明らかではないが,道管内に,あるいは細胞間隙などに多く存在し,その分布は不均一である
とされている。抽出成分の種類は板めて多く,これらは多彩な染色性を示すことが予想される。また,
疎水性の抽出成分の存在は染料溶液の浸透の阻書や,染着の阻害を起こすと考えられる。
本実験はウダイカンパの単桜を試料として,各種の溶媒で抽出処理を行い,各処理後の単板を各種の
染料でそれぞれ染色し,木材染色に及ぼす抽出成分の影響について調べた。
3.2.1
実験
1
) 供試単板及び染料
f共試単板及び染料は 3. 1. 1 と同じものを使用した。すなわち,
f共試単板は!亨さ 0.6mm のウダイカンパ
(20X50mm) で.染料は 2. 1. 1 と|寸じ 6 種類である。
2
) 抽出処理
つぎの 7 種類の抽出処理を行い,染色用単板を調製した c
a
. 未処理
b
. 水抽出(常温)
C.
熱水抽出
d
. メタノール抽出
e
. n ヘキサン抽出
f
. アセトン抽出
g
. ベンゼン抽出
h
. アルコール・ベンゼン( 1 : 1) 混液抽出
i
.
1%水酸化ナトリウム抽出
抽出処理は試料単板をそれぞ、れの溶媒に浸漬し,還流冷却器を付して,抽出液が無色となるまで加熱
抽出した。ただし b は室温下で単板を 100 時間浸潰して抽出した。
- 20 ー
3)
森林総合研究所研究報告第 367 号
染色
抽出処理を行った単桜について. 2. 1.1. 3) に述べたん1去によって染色を行った。
4
)
染色性の判定
染色性の判定は. 3. 1.1. 3) で述べた顕微鏡的観祭及び ißiJ'(立色主計による色差の測定によって行った。
3
.
2
.
2 結果及び考察
抽出処理を行った単板を各種染料で染色し,木繊維,放射組織,道管膜墜についての染色状態を顕微
鏡下で観察した。
その結果,木繊維はいす、れの染料とでも全部染色した。放射組織,道管膜壁の染色結果は Table 5 と
6 に示すコ
これらの表に見られるように,ほとんどの場合,未処理単板と変わりないことがfiE められたが,放射
組織を Supranol F
a
s
tScarlet によって染色した場合,若 r の相違がみられた。すなわち,水または熱水
抽出では未処理単板と変わりないが,メタノールなど有機溶媒で抽出した場合に,未処理より濃色て、あ
り,若干染色性の向上がみられた c
これらのことから,ウダイカンパにおいては抽出成分の染色性に及
ぼす影響はわずカ、で、あると結論できる。
つぎに,抽出成分を抽出除去することによる,日式料4l-f,反全体としての染色性の変化について iftl比{,して
調べた。染色は Congo Red で'h い,未抽出試料を基準として,各抽出処理単板における.::l E 値を求めたの
測色は測色色系計で行った。その結果を Table 7 に示す O
表に見られるように,常温下の水抽出ではほとんど色の変化はなく,未処理単板との色~.::l E は 0.6
と非常に小さかった c ほかの抽出処理では若 -f .::l E 値に変化が認められた。特に,アルコール・ベンゼ
ン j昆液による抽出では,肉眼的にも彩度の向上が認められた。そのため.::l a がほかより大きく.
.::l E 値
も比較的大きな値を示した。これらの抽出成分を取り除くことで,単板全体としては染色性が若「向上ー
することカT認められた。
1 %水酸化ナトリウムでは日音色化したり,白粉が付いたりして,改良にはつな
カf らなかった。
3
.
3 染料溶液の浸透経路
この木材の染色においては,表面の染色にとどまらずに,
ヌド材内部まで染色することが重要である c
そのためには染料溶液が没透して,内部組織まで染色することである。そのことにより,木材に深みの
ある色を付与する( GERRITEN , 1978) ことが,また切店11.彫刻することができる。本節では,染料溶液
の没透経路(布村.
1966;SIAI. 1971; 横田. 1968) について検討した結果について記す。
木材内部への水溶液の浸透は,一般に.
a) 木口面(切削断面)に関イしするルーメン(細胞内除)か
ら浸透し,墜孔を通じて隣接するルーメンへ浸透する。 b) IÀJ 膝へ人った液は細胞壁内へ拡散,そして,
c) 細胞壁内から他へ拡散する。また,横田によると,木材中への薬剤!なと--(1)水溶液の浸透は主に木口
面(細胞横断面)から行われ,横方向からの没透は針葉樹の場合には全く認められず,広葉樹の場合に
は極めてわず、かで、ある(横田 1968) 。布村らは北海道産材及び南洋材について,浸透性の良好な染料で
ある Cedar Brown 水溶液の浸透を研究し,過酷な条件での加圧注入によっても,横方向からの託透は
見られない(布村.
1966)
としている。
2
1-
木材の染色機構(蒸太村)
Table 5
.
放射組織の染色
Dyeabilityofrays
Bll忙 6B I
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色げ
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->
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汀色
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Brownish
1% Sodium
十
ば相凶
~,~~.~,下 J云一一
D
nM
l ナトリウム
本実験においても.染料溶液の浸透は横田や布村らが指摘するように,細胞横断面(木口出)から縦
軸方向への浸透が王体で. t妾線断面(板目面)及ぴ径断面(柾日面)からの浸透は極めて悪い。すなわ
ち.木材表面に開イししているルーメシから没透した染料は,縦軸方向に隣接する細胞へせん孔板,
また
は壁イしを通じて泣透する経路が主体て\細胞の後線断|面や径断面に存紅している壁孔は,通路としての
機能が械めて悲し浸透を阻害していることが考えられる。有縁壁孔の場合には心材化の過程で,ある
いは木材の乾燥の過程でトールスが膜墜に干管着し (SLA\I.
1971) ,通路としての機能を十分果たしてい
- 22-
森林総合研究所研究報告第 367号
ないものと思われる。木材の接線断面には,放射組織の柔細胞内除が開孔しているが,これから放射方
向に浸透する顕著な傾向も認められない(原田,
1983; 場池‘ 1980 ;乾, 1973; 佐伯, 1
982;SIAU ,
1
9
7
1;島地, 1976; 山林, 1962) 。広葉樹の場合の染料溶液の木材内部への浸透経路を Fig.1 7 に示す(基
太村, 1982a , 1989a) 。染料溶液は,まず木材表面の細胞横断面(木口面)に開孔するルーメンから(主
に広葉樹は道管,針葉樹は仮導管)浸透する (*1 I 。道管の場合には染料溶液がまず一道管要素に入り,
次の道管要素へせん JL 板を通ってゆ 2 )移動する。一部は微小な壁孔を通って( *3) 隣接するルーメンへ浸
透する。またルーメンから細胞壁内へ( *4)拡散でわずかづっ浸透する。これからも分かるように,細胞
の横方向(板目面と柾目面)から染料が浸透することは極めて少ない。
このように染料(水)溶液は矢印で示した経路で浸透するが,実際には木口面である細胞横断面(*い
からでさえ,またルーメンに入っても壁孔を通らない場合が多し=。
3
.
4 染色に遣した木材の特性
木材を染色する方法の一つは木材表面の染色であり,ほかの一つは本研究で行う木材内部までの染色
である。後者の方法で木材を家具や建築内装の化粧用材,工芸用材として染色する場合,その材料の必
要条件としては,次のことがあげられる(基太村,
1984) 。
第一は木理と色である。木材の美しさは木理にあるといえるほどで,原材料の木理がよいものほど,
その評価は高い。色調だけでは貴重材の材質感を出すことはできない。従って,貴重材色,高級材色に
Table6
.
道管の膜壁の染色
Dyeabilityofvesselwall
直接染料
抽出処理
酸性染料
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Yield ,
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23 ~
木材の染色機構(基太村)
Table7
.
種々に抽出処理したウダイカンパを Congo Red で染色した場合の色差
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9
-0.02
+0.31
1
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+2.13
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B
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(1 :2)
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n
e(
l :2
)
9 1%水酸化ナトリウム
1% NaOH
するには.
riiJ 一樹種で、ある辺材を心材色にするのが一番よく,次には類似した樹種を用いて染色する方
法がよい。なお,染色前の木材は目的とする色より淡色であることが必要である。
第二は,木材内部への染料の浸透'性が,均一で良好であることが必要である。木材内部の染色を行う
場合には,内部に均」に没透することが絶対条件である。すなわち,原材料である木材は,その内部ま
で染料溶液の通路を持つ構造でなければならない。
染料溶液の木材内部への浸透性は樹種によって異なる。南洋材及びパプアニューギニア産材の染料浸
透性について研究した結果から調べると,比重の大きい樹種,抽出成分の多い樹種に浸透不良のものの
多い傾向が認められた。チロースや抽出成分はルーメンを満たし(原田, 1968; 佐伯, 1982) ,また壁
孔をふさいで浸透を限害していることが考えられる。染料がよく浸透する材料だけが,染色用木材とし
て使;われることになる。
- 24-
森林総合研究所研究報告
第 367サ
*3
*1
染料*-溶液
*1
放射組織
木口 l白(細胞横断面1)
Ray
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Fig.17
染料水溶液の木材内部への浸透経路(広葉樹)
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ohardwood
- 25
木材の染色機構(基太村)
Table 8 と Table 9 に r吸水不から現される“木材の浸透性"を染料の浸透性と比較するために示した。
“木材の没透性"のよいものは,染料の詰透 t主がほぼ良好であった。従って,染色用木材の選定に当たっ
て,この“木材の没透1''1:''を参考にすることができるであろう。ただし,実験の決定に当たっては,基
準染料水溶液 Uli量作が)f:'i十;に良好で配 ft 染料である Cedar Brown61250 の水溶液)の浸透性で、調べる
ことにした。その方法については 4. 1. 1 1
) b) に I 込すれ
3.5
結論
ウダイカンパ tjl 紋て'1 f った染色実験から,木繊維は,
性染料 (Suminol F
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(Safranine OK7
0:1
0
0
.MethyleneB
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eFZ) のいず
れの染料でもよく染色した。
放射組織は前記の塩法性染料,酸↑生染料のし通ずれとも染色しやすかったが,直接染料の Direct Sky
B
l
u
c6B では不良であり, Con 耳o Red では黒く染まった。
道管の膜局長は[, jJ 種属の染料でも,染色されぞすい場合と,されにくい場合とがあった。
以上,構成要素の違いにより,染色件に相違があることが明らかになった。このことから,構成組織
の染色性は構成成分の染色性と読す喜な関係があるものと考えられる。本報 2 の実験結果において,
リグ
ニンの染色が良好でなかった j{{ 接染料による構成要素の染色性を調べると,放射組織(放射柔細胞),
ill 管膜照,せん孔阪などが染色不良で,これらはリグニン量に富むもの(中野,
1979)
とされているも
のであったごまた,実際に顕微分光光度計で、測定した結果,リグニン量は多かった。
ウダイカンパの各構成成分を樟今に抽出処理したのちの染色併の変化については,未処理の染色物を
コントロールとした場合,各抽出処理の問には大きな違いはなかった c ただし,酸性染料 (Suminol
F
a
s
tS
c
a
r
l
e
tFGN) による染色においては,メタノールなどの有機溶媒処理で若干.未処理の場合より
濃色となり,染色性の I"J 卜がみられた v これらは,抽出成分が除かれてぬれが良好となったために,染
色性が向上したものと考えられる。メタノールまたはアル・ベン抽出することで,道管内容物のような
不染色物が除去されることによる,染色性の変化も見い出された。
染料水溶液の没透は,細胞横断面(主に木L])から縦軸方 rí1J への浸透が主体であり,接線断面及び径
断面からの浸透は桜めて忠かった。
染色に適した木村の特性として,1.木理が美しいこと, 2. 色が淡色であること,さらに 3. 木材の構造
が染料溶液を木材内部まで没透することのできる通路を持っていることを必要条件とした。
2
6
森林総合研究所研究報告
第 367号
Table8
. パプアニューギニア産材の染料浸透性
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Species
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マソイア
Massov
I
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ダイ・/ックス
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“木材の浸透性"は水で調べた浸透性(林業試験場監修,
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南洋材の染料浸透性
Table9 ,
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- 28-
森林総合研究所研究報告
4
第 367~;.
木材用染料の浸透性
繊維用の染料は,それそ、れの繊維のために開発されて,使用されてきた(烈木,
1
9
6
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;VICKERST Arド
1954)0 木材染色の場合には,木村用に作られた染料が特別にないために,繊維斤l 染料の中から木材に
適した染料を選択して使用しているこその場合,木材内部まで十分に沿透する染料であることが示安で
あるわしかし木材中への染料のは透,拡散の機構に r~J しては明らかでなし、。そのために本報では,こ
れらのことを明らかにする目的で,
t乏i歪性染料の選定,染料分子の木材組織への詑j歪と拡散
i存媒の f革
委員と染料の没透,染料溶液の j三透速度について伺究した,それらの結来について述べるけただし.木村
没透 t1染料の選定の守口は既報( 1左大村,
1982a) のために略すハ
4
.
1 浸透性染料の選定
木材内部まで均‘に染色するには,木材内 ìtr~ まで、沿透する染料の選定が必要である。化粧材色やカラ
フルな希望の色を配合するには,木材の基本色であるオレンジや茶系統の色のほか, l立.,亦, F31 など税々
の色の染料も必要である。例えは\優良な;木材用配合染料であるシーダー系の茶色には,オレンシ,員:
味のピンク(サーモンピンク入賞.ピンク,古と各種の色相が合まれている(基太付,
1971b ,
1986) 。
本研究では木材内部への染料水溶液の没透性と染料の諸性質との関係を知るため,既報(慕太付.
1982a) につづき,
4. 1. 1
本材 tえ i委 '11.染料の選定を行い,各種目ま'1'1今染料の木材内部への i 乏透性について調べた。
実験
本実験ではシナノキ,ウダイカンパ,ハリギリの単板に対する木材内部への染料 jえ透性を,没 i責 i去に
よって検討した。実験は以下の四つの染科目Ijグループに分けて行った。
実験 A:
“金属錯塩染料を除く.構造式の明らかな酸性染料"を用いた実験。
実験 B:
“金属錯塩染料を除く,構造式不明の階性染料"を用いた実験。
実験 C: 金属錯泡染料を用いた実験。
実験 D: 配合酸性染料を用いた実験。
1) 供試材料
a.
試料
試料はシナノキ (1手さ 0.75mm) ,ウダイカンノ'( (厚さ 0.7mm) ,ハリギリ(りさ 0.7mm) のスライスド単
紋で,これらは基準染料水溶液の浸透通路を持つ単板であることを確認ずみ (4. 1. 1 I)b 参照)のも
のである。寸法は横 40mmX 縦50mm である 3
b
. 基 it;染料水溶液のー単一板内部への反透の確認、
木材染色を行う場合には,はじめに,使用する i単板が染料溶液の浸透 I可能な構造を持つ木材であると
いう確認が必要である。その判定を基準染料溶液で、行う。この基準染料には, C
edarBrown6
1
2
5
0[FBy)
を使用した。基準染料水溶液の反透性は,ロ式料単板を i 乏 I貫一法で‘染色し,その染色状態で確かめた。染色
条件は没透↑生の日'f価の場合と同じで,力法は次のとおりである c Figl8 のステンレス製の染色檎中に
CedarBrown61250 の 1 %水溶液 500ml を入れ,これに試料 3 tHt種 (40mm X50mmXO.7-0.75mm の単板計
6 枚)を中枠にセットして浸漬ーした。染浴の温度を 20.C から 90.C まで約 25 分で上討させ,
90.C で 45 分間
木材の染色機構(基太村)
染色したっ
2 分間流水て、水洗し.送風して乾燥後.
NT カ y ターで Fig.19 に示すように各方 r"J に切り,
染色 ijl.ì似のりさの切り 11 i~l; 分における染色状態をルーペ,
または顕微鏡で調べた戸内部まで染色してし a
);.;Í~ 染料水溶液の沿透過路を千j する ìjJ紋であるとしたご染料に Cedar Brown61250 を選んだ煙 ltl
れば .
は,
一一 29 一一
予備テストで稀々の樹純を良好に染色する染料であったこと,及び配合染料のためであるの単品よ
り配介染料の }j がよい珂 fll は,憐成染料中に i 種でも木材内庁1; に完令に沿 j査する染料があれば,その目
的は j主せられるからであるコ従って,配 fT 染料は単品より Jtit 染卒、|として適しているコ
C.
染料
実験に供した染料は 191 稀である J 耐光臣ぶろう度かJJS などの尻絡で,ウールにおいて 4 級以上を示し,
1%水溶 íW として口Tì容なものを fljl\ た j
(
1
) 実験 A の染料:金属錯 j 伝染料を!なき,化学構造式が明らかなもの 58 種(街機 {-th主化学協会編,
19701 ,
(
2)
完験 B の染料:化学構造式不明の染料 33 栂 r
(
3)
実験じの染料:金属銘出染料 89 絡
(
4
) 実験 D の染料:配合同変門染料8種。
2) 染色万;1;
実験 A と実験 D は IjjJ --単板の試料 2 枚を 1 組と
し,各染料の 1 %水 ìffìf主 200ml 中に浸 i責した c 各染
料液を 20 "Cから約 25 分で昇温し. 95'C で 45 分間染色
した。染色後は流水で 2 分間水洗し,送風して乾燥
した。染色槽は前出したものといl じステンレス製で,
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繊維 }j 向
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判定するための試料単紋の切断方
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法
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- 30
森林総合研究所研究報告
第 367号
恒温水槽中に設置した。実験 B と C は各染料の 1 %水溶液 500ml にシナノキ,ウダイカンパ,ハリギリ
の各 2 枚ずつ計 6 枚を 1 組として浸漬した。染色法は実験 A と同じである。
3
) 染料水溶液の木材内部への浸透の判定
l)b の基準染料の場合と同じく,染色単板をカァター(前出)で切り,染色単板の厚さ約 0.7胴の切
り口部分における染色状態を 15倍のルーペで,また必要に応じて顕微鏡で調べた。
染料の浸透性の判定基準は Fig.20 に示した。すなわち,染色状態が単板内部まで表面とほぼ同色で,
均一に染色した場合を,“浸透が非常に良好"として O 印で示し,単板内部まで表面色と同じ色相に染
色されているが,内部の方が表面より淡色を呈した場合を“浸透が可"として O 印で示した。“浸透が
不良"の場合は×印で示して,さらに,次の三つの状態に分けた。その一つは.表面の染色は長好であ
るが内部に未染色の部分がある場合,二番目は,内部まで染色しているが表面と内部の色が異なる場合,
三番目は表面も内部の染色も不均一である場合である。
4
.1
.2 結果及び考察
1
) 染料水溶液の木材内部への浸透
実験 A から実験 D までの各染料水溶液の木材内部への浸透結果を,良好な結果を主にして抜粋し,
Table10 に示した。染料水溶液は厚さ O.7mm の単板の場合でも,細胞横断面,すなわち木口面から主に
木材内部へ浸透する。
。:非常によく没透する。
単板内部まで表面とほぼ同色で均ーに染色
する。
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表面色と同じ色相で木材内部まで染色して
いるが.表面より内部の方が淡色でL ある。
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(1)表面の染色は良好であるが,内部に未
染色部分がある。
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(2) 内部まで染色しているが,表面と内部
の色が異なる。
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(3) 表面も内部も染色が不均一である。
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木材の染色機構(基太村)
Table 10.
酸性染料の木材内部への浸透性の抜粋 1 (基太村
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森林総合研究所研究報告
- 32
第 367号
Table1
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. (つづき) (Continued)
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配介酸性染料
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iL示。wnl而孟
Mixeddy出
。
Notel ・1. 1% 染料水浴液によ料をほ涜し,
風して乾燥した。試料の大きさ
20'C から約 20 分で 90'C にし,
90'C で.15 分間染色.
(1手さ) 0.7-0.75X40X50mm.
ÜfL 水で 2 分間水洗,送
ぷ利 6 枚に染液 500ml , i'):;創作の判定
基準については Fig 20 を参照されたいれ
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三樹種の供試材は,基準染料水溶液の浸透通路を内部に有することが確認された単板である。しかし,
シナノキの浸透性が示すように,
[ロl 一樹穫でも染料水溶液の浸透性は,染料によって O 印, ()印,
x印
で示されたように,異なった。
Fig.l 7 に染料水溶液の木材内部への浸透経路を示したが,道管や壁孔,壁小孔などの径の単位は l' で
あるのに対して,染料の大きさは ffi/ l の単位である。従って,木材の孔は染料の通過に汁し十分な大
きさを持っているにもかかわらず.染料により没透性に良否がある。これは染料の化学構造の相違によっ
て木材との親和力が異なり,染料の選択的吸着の強さが変わるためと考えられる。すなわち,親和力の
大きい場合には,選択的吸着を強く起こし,木材の表面だけを染色して木材内部には浸透しなし、従っ
て,木材に対する選択的吸着の強さが,木材表面と木材内部の染着度合に差を生じさせるものと考えら
れる。
染料の浸透の良百と染料分 f の大きさ,及び化学構造との関係については,本実験結果から明らかに
することはできなかった。つぎに.染料の没透性は,製 llh が違っても染料の Colour IndexNo が [iiJ じで
.L Name が Acid
ある製品の場合には同じであった。例えば Table 10 の染料番号が 6 と 7 のように, C
Orange 10 と両方が同じ場合には木材内部への浸透性は rjjJ じであった c これは染料の化学構造式がいl じ
であるから当然と考えられる。そのため,実験に供する染料は, C
.LNo.. -つから 1 個の染料を選ぶのを
C
.LNo. 19140) の場合には,製品によって浸
原則とした。しかし,例外として, C
.LAcidYellow 23 , (
透性が異なっていた。これは個々の染料添加物の違いによるものと考えられる。
木材の染色機構(基太村)
金属錯塩染料は予備実験の結果から,
33
「乏透性が思いことは明らかであった《しかし,
一般に繊維用染
料として耐光性が優れているため,特に取り上げた。
金属鍔溢染料の場合,
T
a
b
l
e11 に示すように,
ウダイカンノ\ハリギリにおいては浸透性の評価がO
印の“民 j差が~t 常に ú.H" な染料は符無であり, C) E'P の“ほ透がIlJ" の染料は I品j樹種共に 3 種ずつであっ
ウダイカンパ,ハリギリのう
た守シナノキでは 10 積がO 正fJ で 12 積がf バ:p のほ 11E性を示した(シナノキ,
ちでは,
シナノキがー待泌透性が f.I_f1千で、あったにJ
比較的没透件が良好であった、これは没透性の良好な染料を配合
配合染料は Table 11 に示すように,
しているためであろう c 配合染料の場介に,構成染料の木材への選択的吸着の度介が異なると,
それら
の泌透速度も変わってくるっその結果.クロマトグラムのように木村内部で分離を起こすおそれがある。
i;t って,
実際に染色するときには染料の分離に注意を梯うことが大切J となる c その場合の染料の配合に
は,没透速度のはほ[iiJじ染料を fT わせることが必要である。
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五
3-
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一
一ハリギリ
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c口戸王山
一ウグイカンパ
一ハリギリ
一シナノキ
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) (
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1
森林総合研究所研究報告
34
2
)
第 367 号
樹種による浸透性の相違
1) 項において,同一樹種であっても染料によって木材内部への浸透性に違いがあることが分かった。
なお,同じ実験結果から,同一染料でも樹種により浸透性が異なることが明らかとなった。例えば,
Table10 の NoJ2 の Supracen RedB の結果はシナノキ(((dJ),ウダイカンパ (X) ,ハリギリ (0) であ
り,
No .l 5 の Anthraquinone V
i
o
l
e
t1149 の結果はシナノキ(((dJ),ウダイカンパ (0) ,ハリギリ
(x)
となった。このように,ウダイカンパには浸透しない染料もあれば,ハリギリにだけ浸透しない染料も
ある。しかし,ウダイカンパまたはハリギリに浸透する染料は,シナノキにも浸透する。
このように,同一染料でも樹種によって浸透性が異なった。これは,浸透通路となる各組織の径の太
さや,壁孔数や墜干し口の大きさや形などの,木材組織の構造の違いと,抽出成分によるぬれの違いなど
の,木材の界面化学的性質の差によるものと恩われる。
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- 35
木材の染色機構(基太村)
•
3
) 浸透性の評価別染料数
酸性染料を,木材内部の浸透性の評価別に分類して, Table 11 に示したが,“浸透が非常に良好"な
O 印の染料は 191 種中,シナノキで60種 (31%) ,ウダイカンパで 17種 (9 %),ハリギリで 21 種 (11%)
であり,
3 樹種ともに O 印の染料は 13種 (5 %)のみであった。
浸透性の非常に悪い金属錯塩染料を除いても,シナノキで 49% ,ウダイカンパで 17% ,ハリギリで 21
%
となり,木材に浸透する酸性染料の数は少ないことが分かった。しかし,一般に染色混度,染色時間,
材の厚さなどの条件の変更で,浸透状態の結果は当然変わる。
Table1
2
.
酸性染料の木材への浸透性と化学構造式
Permeabilityofaciddyes (typeA)intowoodandth巴 ir structuralformulae
A 型 C ON=N8J
実
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XIX X
~
36 ~
森林総合研究所研究報告
第 367 号
4) 染料の浸透性と化学構造
本実験に使用した染料の浸透性の良否と化学構造との関係について,若干の考察を行った。はじめに
酸性染料の木材内部への浸透性の実験結果 (Table 10) から,
3 樹種の試料のいずれにも“没透性が非
常に良好" (g) な染料を選ぴ,そのうちから既知の構造式をとりあげて Fig.21 に示す。ついで発色同
の基本骨格が!司じ染料について比較した。 Table 12-16 に示す。表の左側に浸透性の良好なものを,右
側に不良のものをあげて比較した。染料分子の大きさや化学構造と浸透性との関係は極めて複雑で,
Fig.21 と Table 12-16 から,単純には結論を導き出すことはできなかった。しかし, Table 12-16 の場
合,同系列では.置換基が大きくて分子量が大きいものほど,浸透性が不良となる傾向を認めた。
Table13.
酸性染料の木材への浸透性と化学構造式
Permeabil 町 of a
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XIXIX
- 3
7
木材の染色機構(基太村)
4
.
2
染料分子の木材組織への浸透と拡散
木材の染色は染料溶液が組織中に反透し, )品辺の細胞に染料が吸着されて行われる。この場合,染料
と溶媒がほぼ同時に浸透していても染料と木材成分との親和力が大きい場合には,染料分子が選択的に
木材表面に初期のうちに吸不了されるために,木材内部まで染色されなし '0 本研究では,この選択的吸着
の現象,すなわち,染料分 fーが木材表面j に吸若され,溶媒のみが木材内部に浸透するという現象を確か
めるために実験を行った。
なお,木材中への染料溶液の没透には
ì容煤がまず、先行して浸透し,その後,染料分子が徐々に拡散
して染色が行われる現象も考えられる勺そのため,この拡散現象の有無に関しでも調べた。
4
.
2
.]実験
(1) 木材表面への染料分 f の吸着と溶媒の浸透
(
2
) 高合水率木材への染料の拡散
について行った。
Table 1
4
.
酸性染料の木材への浸透性と化学構造式
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3
8-
森林総合研究所研究報告
第 367号
1) 供試材料
a.
試料
シナノキ,ウダイカンパ,ハリギリのスライスド単板(厚さ 0.65-0.75mm)
b.
染料
Table17 , 18 に示した染料をそれぞれ使用した。
Table16.
酸性染料の木材への浸透性と化学構造式
Permeabilityofaciddyes (typeE)i
n
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owoodandt
h
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rstructuralformulae
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7
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染料の浸透性と染色 L 程終了時単板含水率
一染料の選択的吸着の相違と浸透性の判定
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ウダイカンパ単板
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斗副社司)添市開議議(桝汁弐)
染料の浸透性
含水率
ハリギリ単板
1
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x
浸透が不良である
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l:浸透が非常に良好である
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Table1
8
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高合水率木材への染料の拡散
Diffusiono
fdyesintowoodofhigh moisturecontent
樹種 Species
放置fI数
No
C
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[FBy]
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Name
染料名
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Note) 0: 没透が非常に良好である υExcellent
(J:没透する o Good
ラ
反透がイ、良でーある。
ラ
。
Poor
。
木材の染色機構(基太村)
41 -
2
) 実験方法
a
. 木材表面への染料分 f の吸着と溶煤の浸透
Table 17 に示した 4 種類の染料の各 1 %氷溶液(ただし, LanafastB
r
i
l.
lBlueBS は 0.67% , Supra.
mineBordeauxB は 1 %のほかに 0.25% )を使用して,シナノキ,ウダイカンパ,ハリギリ単板を,各
樹種ごとに単板 3 枚を I 組として重量を測定し,染色した。単板は縦90x 横 100mm である。染色方法は
浸漬法で,室温から 90.C まで約 20 分で上昇させ, 90 "Cで 45 分間染色した。染色後単板表面の余分な水分
を除 j 秤量して含水率を求めた c つぎに.送風して乾燥後,各方向]に切削し, 4.1 の Fig.20 と同基準
で浸透状態を調べた。
b
. 高合水率木材への染料の拡散
シナノキ,ウダイカンハ,ハリギリ各 l 枚ずつの 3 枚の単板 (4 x 6x 約 0.7mm) を 1 組として
2 mm
Hgで 30 分間減圧後, 250cc の水を導入して放置して,十分に含水した単板を調製した。続いて,水と同
量である 250cc の 1 %染料水溶液をその上に加えて静かに撹祥し,
一定日数( 5 ,
7 , 14 日間)室温下
に放置したのちとり出して,送風乾燥した。前記の a と同様,染色状態から染料の浸透について調べた。
4.2.2 結果及び考察
1
) 木材表面への染料の吸着と溶媒の浸透
木材と染料分子との親和力が大きいために,木材表面に強く吸着されて内部まで浸透しない染料があ
る。それでも浸透通路を持つ樹種であれば,その溶媒は木材内部まで浸透するはずである。このことを
確認するために,実験の項に記載した方法に従って,染色直後の含水率を測定し,含水量から浸透性を
調べた。その結果を Table 17 に示した。 Cedar Brown61250 と K.A.Orange II は,単板(気乾)での浸透
a
選択的吸着の強い場合
会辻移勿移移~〆
a ー l 三三三霊
32彩微微妙/
(L材の表面) (W叫 su山e)
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・:吸着した染料
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細胞横断面
Fig.22
木材中に浸透する染料の選択的吸着の模式凶
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eadsorptio日 modelso
fdyesontowood
森林総合研究所研究報告
42
第 367号
性が良好(<Ql )な染料であり,ほかの二つは浸透不良 (x) で,木材表面のみに吸着が認められた染料
である。両者の染色直後の含水率を比較すると,いずれの樹種でも大差なく,コントロールともほぼ同
じ含水率を示した。このことは浸透不良の染料の水溶液でも,溶媒だけがほかの場合と同様に浸透し,
染料分子が選択的に吸着を起こして木材表面に強く吸着したことを示すものである。選択的吸着を模式
的に示すと Fig.22 のようである。 a は選択的吸着が強い場合で,
b は弱し、場合である o a-1 は,染料
溶液が木材に接した直後で,単分子層吸着の場合であり, a- 2 は分子間同志でも吸着・集合が行われる,
多分子層吸着の場合の模式図である。 Talbe 17 に示した染料 NO.20 C
edarBrown61250 と No. 5 の
KayakuAcidOrange II は, Fig.22 の b の選択的吸着の弱い場合に当たり, L
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l
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eBordeauxB は, Fig.22の a の選択的吸着の強い場合に当たる。
2
) 高含水率木材への染料の拡散
木材の染色に染料分子の拡散も関与しているとすれば,あらかじめ溶媒を十分に含浸させた木材を染
料溶液に浸漬したとき,浸透時聞が長時間になるほど,浸透が良好になることが予想される。このこと
を確かめるため,既報(基太村,
1982a) の結果のなかから選んだ浸透性の異なる 5 種類の染料の染料
溶液に,実験方法に従い 5 , 7.14 日間浸潰して,染料の浸透状況を調べた。その結果を Table 18 に示す。
この表にみられるように,評価が浸透不良の染料でも浸漬持聞を長時間保つことにより,染色が良好と
なることが認められた。 Table 18 中の染料, NO.1 の Supracen R
edB や NO.3 の Kayacyl B
l
u
eBR は 5 日
後にシナノキに対する浸透が“非常に良好" (<Ql)であるが,同じ染料でもウダイカンパには“不良" (x)
であった。しかし
7 日後には“非常に良好" (<Ql)に変わった。また,
や NO.5 の Supranol O
rangeG のハリギリの場合のように,
5,
NO.4 の SuminoLM.Bordeaux
7 日後とも“不良" (x) の場合でも,
14 日目には“非常に良好" (<Ql)に変化した。
このことは染料分子の拡散が木材内部で起こっていることを示すものであり,また同一条件で十分な
浸透を行うためには,浸{責特聞を長時間にする必要があることを示している。
4.3 溶媒の種類と染料の浸透
染料が木材表面に吸着されて浸透不良となる場合に,その吸着力の強さは,使用する溶媒によって異
なることが予想された。また,染料の拡散速度も溶媒の種類によって異なるものと考えられた。これら
に関しての知見を得るため,水,エタノールを用いて浸透性の相違について研究した。
4.3.1
実験
1
) 供試材料
a.
試料
ヒノキ,モミ,シナノキの心材片 (R. 2
5XT.
2
5XL
.6
0
m
m
) (気乾)を使用した。
b.
染料
Table19 に示した染料を使用した。
2
) 実験方法
次の二種類の方法によって行った。
- 43-
木材の染色機構(基太村)
旦.
染料の拡散実験
ヒノキ,モミ,シナノキの心材片に,水またはエタノールを減圧下で十分に注入した。次いでこの試
料を Table 19 に示した各濃度の染料の水またはエタノール溶液に室温で; 1 か月間浸漬し,染料の拡散状
態を調べた。
b
. 染料の浸透実験
ヒノキ,モミ,シナノキの心材片に, Table20 に示した各染料の 0.05-0.5% の水溶液,及びエタノー
ル溶液を減圧下に注入し,常圧にもどして 30分放置した後に染料の浸透状態を調べた。
染料の拡散に及ぼす溶媒の影響
Table1
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樹種
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C
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I
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C.1
. 22120
Spec >es
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染料濃度
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エタノール
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染料名
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Nameo
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RhodamineB
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. 45170
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C
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樹種
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ヒノキ
染料濃度
溶媒
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シナノキ
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Note) 試料 (25X25X60mm) は,溶媒を十分に減!五注入したあと. 20.C の染料溶液中に.
1 か月間放置した 0
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拡散性
Diffu日 on
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Good
x; 不良,
P
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xx; 非常に不良
Veryp
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森林総合研究所研究報告
- 44
第 367サ
4.3.2 結果及び考祭
ヒノキ,モミ,及びシナノキの心材は空気比較比重計(東芝・ベソクマン)によって,樹脂注入が比
較的良好であることが知られている(谷口,
1976) 。本研究では,
ノキの心材に,あらかじめ水またはエタノールを合泌させておく,
lJi]じ樹種のヒノキ,モミ,及びシナ
4.3.1 2) a の }jj去により,染料の
拡散状態について調べた。その結果を T油le 19 に示したが,溶媒の種額によって染料の投透に差がある
ことカ汚〉かった。
直接染料 (Direct Sky Blue6B 及び Congo Red) はエタノールにほとんど不溶であるため,十分な結
果を得ることができなかった。酸性染料 (Suminol F
astBlueR) ,塩基性染料 (Rhodamine B) の両者の
場合には,いずれもエタノール溶液での没透が.1)<の場合より良好で5 あった。このことは溶媒の種頒によっ
て拡散速度に違いがあること,また木材に吸着された染料分了ーの溶解度が,溶媒によって異なることに
基づくと推定される。その詳細については不明である。
つぎに,酸性染料 (Suminol F
astBlueR) 及び塩基性染料 (Rhodamine B) の水溶液,並びにエタノー
ル溶液を試料に減圧下で注入し,常任にもどしてから 30 分後に染料のほ透状態を観察した,その結果に
ついて Table 20 に示す。
この場合も前実験と同様に,水溶液よりエタノール溶液の方が没透良好て、あることが認められた。溶
媒の種類は少なかったが,溶媒の種類によって浸透性の異なることが明らかとなった。なお,
Rhoda
mineB では,染料濃度を高くすることによって浸透性が良好となった。
Table20.
染料の浸透に及ぼす溶媒の影響
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Note) 試料 (25 x25X60mm) に染料溶液を減圧( 5mmHg) 後,長人し, 30 分放置後に観祭した。
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Poor ,
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非常に不良
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木材の染色機構(基太村)
4
.
4
-
一 45
染料溶液の浸透速度
繊維の染色工程には,次の三つの l~ 程が含まれている。すなわち,
1
. 染i{~ から繊維表面i への染料の拡散(水溶液中の拡散)。
2
.
繊維衣一面への染料の吸着。
3
. 繊維表面に吸着した分 f が [J']ifßへ ["J かつての拡散浸透(同体中の拡散)
第 l の段階である水溶液中での染料の拡散は.第 3 の段階である繊維中の拡散よりはるかに速い。例
えば , , t1 接染料の水中拡散速度はセルロース中の約 l 万倍も速し、(旧中, 196 1)。第 2 の吸着段階は第 1
,
第 3 の段階に比較して検めて速しほとんとミ瞬間的で、あると考えられている。従って,これらの過程の
うちでは, 3 の拡散浸透が染色の律速段階である。このことは木材の場合にもあてはまると考えられる。
存亡って
i.え透速度に t14 える染料濃度及び染 i谷温度の影響を明らかにする目的で,本研究を実施した。
4.4.1
実験
1
) f共 rii': 材料
a
. n式料
シナノキij>.tfi (北海道庁: ),
b.
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染料
酸性染料・ Alizarin
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実験条件
a
. 染料濃度
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b
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.1%, 0.
2%, 0.
4%, O
.8%
染浴の温度
90"(; , 70'C , 5
0
'
C
c
. 染色時間
15min , 30min , 60min , 90min , 120min , 150min と続色染料が完全に浸透するまでの問。
d
. 単板合水不
合水平は 75%0 )調整方法は試料を→定の合水率にするため,ます'~*料に水を計算量(絶乾試料×一定
合水率 /100= 合水量)になるまで減 l 正注入し,表面を拭うことによって過剰の水分を除去し,そのあ
と摺合わせ谷器に入れて放置し試料内の水分を均ー化した c
e
. 染色法及び浸透時間の測定
試料のシナノキ単板乞温度ー」定の濃度別染料水溶液に 5 枚ずつ入れて浸透させ,一定時間ごとに試
料を
4 枚す‘つ引き上げて,送風乾燥し染料の木材内部への浸透距離を調べた。木材内部まで完全に染
色された試料が現れた時点を浸透時間とした。
4
.
4
.
2
結果及び考察
各濃度別染料水溶液について,染色温度 90'C ,
70'C ,
50'C で染色し,木材内部まで完全に染色される
染色時間を求め,その結果を Fig.23 に示した。
染色温度 90"(; のとき,浸透時間は各染色濃度とも 1
-2
時間の範岡内であったが, 70'C では 3-4 時
森林総合研究所研究報告
46 ~
第 367号
聞と長時間を要し, 50 "Cでの浸透時間はさらに長時間 19-24 時間( 0.
1%, 0.
05%では 24時間以上)を
必要とした。このように,染料の浸透時間には染色温度が大きく影響し,高温ほど浸透持聞は早い。
また,同一染色温度で,染料濃度別の浸透時間をみると,染色温度 90.C では 0.8% の浸透時間と 0.05%
の浸透時間との差は 1 時間, 70.C でも 1 時間, 50.C では 5 時間以上だったが,いずれも高濃度程,浸透
時間は短かかった。すなわち,同一染色温度では高濃度の染料溶液ほど,浸透時間が早くなることが明
らかとなった。
4.5
結論
木材用染料の浸透性及び染色性について,次の結論を得た。
1
. 染料はその化学構造の相違によって,同一樹種に対しでも木材内部への浸透が異なり,木材への
選択的吸着の強い染料ほど,木材内部に浸透しにくい。
配合染料においては,構成染料の種々の選択的吸着の強さの違いが,染料の浸透速度とも関係し,木
材内部での不均ーな染色の原因となる。
2
.
木材内部への染料の浸透は,同一染料でも樹種によって異なる。これは木材の浸透性と木材の界
面化学的性質の差によるものと思われる。
3
. 浸透が非常に良好な O 印の染料は,供試染料 191 種中,シナノキで 60 種 (31 %),ウダイカンパで
17 種 (9 %),ハリギリで 21 種 (11% )あり,
3 樹種を通じては 13種 (5 %)のみであった。これらの
うちで金属錯塩染料は非常に浸透しにくく,。印の非常に浸透が良好な染料は,供試染料89種中,シナ
ノキにおいては 10種 (11% )のみであり,ウダイカンパとハリギリに対しては皆無であった。
4
.
基準染料水浴液が浸透可能な構造を持つ木材中への染料水溶液の浸透において,浸透が良好な染
料と不良な染料とがあることが分かった。染料の浸透不良は,染料分子と木材表面の分子との親和性が
染料の濃度
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Fig.23
木材を一定の深さ(
2X50X50mm) まで染色するための温度と処理時間の関係
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50mm
木材の染色機構(基太村)
- 47
大きいため,木材表面に強く吸着されるからである。また,染料の分子関相互の集合も考えられる。こ
のように選択的吸着が強い場合でも,溶媒は浸透性のよい染料溶液の場合と同様,また溶媒のみを浸透
した場合とほぼ同様に,移動した。すなわち,染料が選択的吸着を起こした場合,溶媒である水だけが
木材内部に浸透することが分かった。
5
.
基準染料水溶液が浸透可能な構造を持つ木材において,浸透不良の染料でも長時間浸i責すること
によって,木材内部への浸透が良好となった。このことから,選択的吸着の起こる染料の木材内部への
浸透は,拡散によって行われることが明らかになった。
6
.
染料の浸透の良否と,染料分子の大きさ及び化学構造との関係は明らかにできなかった。
5
総括
木材の染色機構を解明するために,木材と染料と溶媒の特性の究明を行った。
木材の構成成分の染色性については,スギ心材から木粉とその構成成分を調製して,水溶性染料で染
色性を調べた。その結果,セルロースの染色性は直接染料 (Direct SkyB
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117) では染色不良,塩基性染料 (Methylene B
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e9) ではやや良好であった。ヘミセル
ロースの染色性は,直接染料でやや良好,酸性染料で染色不良,温基性染料で良好であった。リグニン
の染色性は直接染料では困難で,酸性染料,塩基性染料で良好であった。木粉はいずれの染料でも染色
した。これは 3 構成成分がすべての組織に含まれているために
いずれかの染料で染色されるためであ
ると考えられる。
しかし染料の化学構造と木材構成成分との関係は明らかでない。
セルロースは酸性染料で染色不良であったが,
ロライドを調製し,
/3 , Y ーエポキシプロピルトリメチルアンモニウムク
α ーセルロース 96% の溶解パルプを化学的に処理することにより,染色性が非常に
良好となった。このように,木材成分を化学的に処理することにより,染色性の向上が期待できる。
つぎに,ウダイカンパを試料として構成要素別に染色性を調べた。その結果,構成要素の違いにより,
染色性に相違のあることが明らかとなった。このことは,構成成分の染色性と密接な関係があるものと
結論できる。
つぎに,構成要素の染色結果から分かるように.セルロース,ヘミセルロースの染色性が不良であっ
た酸性染料は,木繊維を初めとしてすべての構成要素を良好に染色した。
一方,リグニンの染色が困難であった直接染料は,構成要素の染色において放射組織,道管の膜壁,
せん孔板が染色不良であった。このことは放射組織,道管の膜壁,せん孔板にリグニンが多いことから
説明できる。
染色に適した木材の特性については 3 .4にまとめたが,木材内への染料の浸透を考えるとき,木材,
染料 , i容媒の 3 種類の要因を考える必要がある。そして,染料溶液の木材内部への浸透は本報の研究結
果から, Fig.24 に示したような,①木材一溶媒,②溶媒ー染料.③染料一木材の三つの相互作用の相関
関係で決定されるものと考えられる。
48-
森林総合研究所研究報告第 367号
例えば,染色される木材と染着する染料の関係を考えるとき,木材と染料の親和性が影響して,親和
性の強い染料は木材表面に強く吸着されて浸透不良が生じる。しかし,溶媒を選択することにより,例
えば水を有機溶媒に変えることで溶媒の溶解力が大きくなれば,染料の選択的吸着は小となり,浸透が
良好となってくる。また,溶媒を変えることにより,浸透を妨害する抽出成分が除去されたり,あるい
は木材表面のぬれの性質が変わることなどから,浸透が良好となることが認められる。これらは木材と
染料の関係③を一定にした場合に,溶媒が変化して
染料の浸透を良好にした例である。
つぎに,木材一溶媒①の関係を変えずに,種類の
異なる染料を用いることで染料の化学構造を変化さ
せると,②及び③のそれぞれの関係が変化して染料
の浸透に影響する (4.1) 。
さらに,染料一溶媒②を一定にしても,木材の種
類を“浸透性の不良な木材"から“良好な木材" (
3.
4
)
に変えることにより,例えば樹種をかえるとか,心
材を辺材に代えるとかで染料の浸透性を良好にする
ことができる。また,基準染料水溶液で染料水溶液
の浸透可能な構造であることを確かめた木材
(
4
.1
.1 1)) でも,材により染料の浸透速度が異な
るため,同一染料でも樹種を変えることで,同一染
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.
2
4
染料と溶媒と木材の相互作用
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料の浸透性の改善が行われる。例えば,ウダイカン
パで浸透不良でも,シナノキに変えることで浸透が良好となった。
染料の木材内部への浸透速度は,染色浴の温度,染料濃度,染色時間などに影響される。
以上のように,木材内部への染料の浸透は木材,染料,
?:容媒が相互に影響し合って作用している。こ
れらのことを念頭において木材の染色は考えなければならないことが明らかになった。
謝辞
本研究の遂行に当たり,多くの方々及び組織にご指導及びご援助をいただきましたことを,深く感謝
申し上げます。
特に,本研究課題の設定及び進行に多大のご指導とご援助をいただいた,故堀池
清林産化学部林産
化学第一科長(1 978年没)に心から感謝の意を表します。
さらに,本報告をまとめるに当たり,ご助言とご指導をいただいた,横田徳郎京都大学名誉教授,中
野準三東京大学名誉教授,今村博之九州大学教授,及び安江保民岐阜大学教授に厚く感謝申し上げます。
また,試料の単板を提供していただいた内外木材株式会社,染料のサンプルを提供していただいた多
くの染料会社に深謝の意を表します。また MWL を提供していただいた旧林業試験場林産化学部広居忠
量並びに尾田勝夫の両氏,及び種々のご助言をいただきました旧林産化学部及び木材化工部の方々,特
に化学加工科の皆様に厚くお礼申し上げます。
49-
木材の染色機構(基太村)
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)
住本昌之:“木材化学" (中野準三,樋口隆昌,住本昌之,石津敦共著),ユニ出版,
田中隆吉,矢部章彦:“染色,工業化学全書 47" ,
谷口実,古谷剛:林試研報,
日刊工業新聞社,
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.(
19
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矢田茂樹,椋代純輔,梶田
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一一一一一,一一一一一,一一一一一:京都府立大学農学部演習林報告, 26 , 4
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山林逗:“木材組織学",森北出版,
1
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横田徳郎:木材中の薬剤の浸透,拡散,木材工業,
23(7) , 301--305 , 3
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)
有機合成化学協会編:“染料便覧"丸善, 3
0
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2(
1
9
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)
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122(2) , 35 一
(1946)
-51-
木材の染色機構(基太村)
Mechanismsofwωd dyeing
一
Dyeing
PropertiesofWoodandWoodComponents
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森林総合研究所研究報告
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第 367号
エポキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド処理による D . P. の染色性の変化
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