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ネットワークにおける急激なトラフィック 変動に対処する動的階層化方法

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ネットワークにおける急激なトラフィック 変動に対処する動的階層化方法
ネットワークにおける急激なトラフィック
変動に対処する動的階層化方法
広島市立大学情報科学研究科
教授 角田良明
1
従来技術とその問題点
• 従来の大規模ネットワーク階層化では,各サブネット
ワークの構造は変更されない
通常のトラフィックは効率的に管理できるが,特定
のサブネットワークへの急激なトラフィックの流入
等に対処できない
2
新技術の特徴・従来技術との比較
• トラフィックの急激な変動に対し,サブネットワークを適
度な規模に分割,結合できる
• 本技術の適用により,急激なトラフィック変動のあった
サブネットワークの負荷を軽減できる
• 階層化された大規模ネットワークであれば,有線ネット
ワーク,無線ネットワークの両方に適用できる
3
想定される用途
• 震災時の通信確保
– 安否確認の連絡などの集中によって起こるトラフィック変動
に対応
• 変動トラフィックの動的制御
• サービス・アプリケーションの動的制御
– 多数のユーザーが動画等の広帯域サービス・アプリケー
ションを利用することによっておこるトラフィック変動を想定
– 適度なトラフィック量のサービス利用者の集合に分割
4
実用化に向けた課題
• 現在,新技術を無線メッシュネットワークにおいて評価
を行い,有効性を確認
– サブネットワーク分割時のパケットロスが未解決
• 今後,有線環境に適用していく場合の条件設定を行っ
ていく
• 実用化に向けて,サブネットワーク分割時のパケットロ
スをできるだけ抑えるようにする必要がある
5
企業への期待
• 特許に基づいた共同研究「堅忍持久なネットワークシ
ステムの研究開発」の推進
研究開発の概要
アクセスポイント
(1)ネットワーク分割構造自律構成技術、リアルタイ バックボーン
ム自己組織化制御技術、クロスレイヤQoS制御技
術などの要素技術を統合し、アシュアランスネット
ワーク技術を確立する
高密度,低移動速度
(2)アシュアランスネットワーク技術に基づいて災害
時にネットワークの稼動を保証し、被災者の情報活
動を確保するシステム技術を開発する
蓄積伝送
期待される研究成果及びその社会的意義
(1)アシュアランスネットワーク技術は、堅忍持久な
ネットワークシステムだけでなく、動的に環境が変動
低密度,高移動速度
する様々なシステムにも適用可能
(2)信頼性、安全性、迅速性が高く、継続的にかつ 堅忍持久なネットワークシステムの
安定的に提供するネットワークサービスの実現
イメージ図
6
本技術に関する知的財産権
• 発明の名称:ネットワークにおける急激なトラフィック変
動に対処する動的階層化方法
• 出願番号:特願2012-75664
• 出願人:広島市立大学
• 発明者:中元康博,角田良明
7
新技術の概要
• アシュアランスネットワーク設計原理に基づいたモバ
イルアドホックネットワーク (MANET)の自律分散クラ
スタリングの考え方を大規模ネットワーク階層化に適
用
• グループ内で集めたトラフィック量に応じて,動的に
サブネットワークを分割,結合
8
アシュアランスネットワーク設計原理
アシュアランスネットワークは、ネットワークが大規模化しても、ユーザの要求や
ネットワーク環境が変動しても、セキュリティに対する攻撃が存在しても、想定
外の故障を引き起こすフォールトが存在しても、期待されるサービスをタイム
リーに実行するネットワークである。
(2) 外部からの攻撃
アシュアランスネットワーク設計原理に関する参考文献
(1) 動的変化
(3) 故障
正常状態空間
ネットワーク分割構造自律構成
異常状態空間
リアルタイム自己組織化制御
(1) 角田良明, “アシュアランスネットワーク設計方法論,” 電子情報通信学会
2011年ソサイエティ大会ネットワークソフトウェア特別ポスターセッション
BS-8-7,pp.S134-S135, 2011年9月16日.
(2) Yoshiaki Kakuda, Tomoyuki Ohta and Miroslaw Malek, "Self-Organizing
Real-Time Services in Mobile Ad Hoc Networks," Distributed, Embedded and
Real-Time Organic Systems (Editors: M. Teresa Higuera-Toledano, Uwe
Brinkschulte, Achim Rettberg), Springer, 2012.
9
自律分散クラスタリング
• ネットワークを複数の小さなネットワーク(クラスタ)に分割
• 1つのクラスタには1つだけクラスタヘッド(CH)が存在
– CHがクラスタを管理
• MEP(MEmber Packet)とMAP(Member Ack Packet)と
呼ばれる制御パケットを使用
– クラスタ内の情報を取得
メンバ
CH
MEP
MAP
ツリー
クラスタ
定期的にMEPをブロードキャスト
10
自律分散クラスタリング
• ネットワークを複数の小さなネットワーク(クラスタ)に分割
• 1つのクラスタには1つだけクラスタヘッド(CH)が存在
– CHがクラスタを管理
• MEP(MEmber Packet)とMAP(Member Ack Packet)と
呼ばれる制御パケットを使用
– クラスタ内の情報を取得
メンバ
CH
MEP
MAP
ツリー
クラスタ
自身の情報をMAPに載せ、
CHに向けて送信
CHはMAPを元にクラスタメンバリスト
を作成・更新しクラスタを管理
CHを根とするツリーを形成・維持
11
概要(自律分散クラスタリングと新技術)
MANETの自律分散クラスタリング
ノードの移動
クラスタ
の分割
新技術(動的階層化方法)
急激なトラ
フィック流入
サブネット
ワークの分割
クラスタヘッド
メンバ
クラスタ
クラスタサイズの閾値
の上限U, 下限Lを
ノード数に設定
時間
管理ノード
メンバ
サブネットワーク
サブネットワークサイズ
の閾値の上限U, 下限L
をトラフィック量に設定
時間
12
階層化のイメージ
Subnetwork B
Subnetwork D
Subnetwork A
上位層
Subnetwork C
トラフィック量に応じて局所的
にサブネットワークを分割
Subnetwork B
下位層
D
S
仮想ノード
ツリー
Wireless link
SubNetwork
管理ノード
Gateway
メンバ
Subnetwork D
Subnetwork A
Subnetwork C
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トラフィック情報の収集と確認
管理ノードはMEP送信ごとに
サブネットワーク内トラフィックを確認
閾値の上限 Uを超えていればサブネットワークの分割,
閾値の下限 Lを下回っていれば隣接サブネットワークとの結合
14
サブネットワークの分割
– サブネットワークは管理ノードからの平均ホップ数が1/2のノードを
新管理ノード候補に指定しRNAP(Recommendation for New
Administrant-node Packet)を送信
– RNAPを受信したノードと管理ノードはCNAP(Candidacy for New
Administrant-node Packet)を送信
– サブネットワーク内の各メンバは早く受信した方のパケットに記載さ
れているノードIDを自分の管理ノードに設定
Subnetwork A
A
管理ノード
RNAP
B
15
サブネットワークの分割
– サブネットワークは管理ノードからの平均ホップ数が1/2のノードを
新管理ノード候補に指定しRNAP(Recommendation for New
Administrant-node Packet)を送信
– RNAPを受信したノードと管理ノードはCNAP(Candidacy for New
Administrant-node Packet)を送信
– サブネットワーク内の各メンバは早く受信した方のパケットに記載さ
れているノードIDを自分の管理ノードに設定
Subnetwork A
A
管理ノード
CNAP
B
Subnetwork B
16
サブネットワークの結合
– 自サブネットワーク内トラフィックと隣接サブネットワーク内トラ
フィックの和を確認
– トラフィックの和が閾値の上限を超えていない場合,最もトラフィッ
クが小さいサブネットワークを決定
– 指定したサブネットワークの管理ノードにMQPを送信
– 条件を満たしていればMQAPを送信して結合
Cluster A
サブネットワークAのラ
フィック 5
管理ノード
MQP
サブネットワークCの
トラフィック 7
A
サブネットワークBのト
ラフィック 2
B
C
Cluster B
Cluster C
17
サブネットワークの結合
– 自サブネットワーク内トラフィックと隣接サブネットワーク内トラ
フィックの和を確認
– トラフィックの和が閾値の上限を超えていない場合,最もトラフィッ
クが小さいサブネットワークを決定
– 指定したサブネットワークの管理ノードにMQPを送信
– 条件を満たしていればMQAPを送信して結合
Cluster A
A
管理ノード
MQP
B
Cluster B
Cluster C
18
シミュレーション実験による検証
• 実験内容
– 階層化された無線メッシュネットワークを想定
– 時間ごとに送受信ペア数を変化させ,トラフィック量を急激
に増減させる
• 実験目的
– 従来の階層構造が変化しないネットワーク(従来法)と新
技術の比較
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実験環境
シミュレータ
QualNet ver 5.0
フィールドサイズ [㎡]
3500×750,7000×750
ノード数
100,200
ノードの移動速度 [m/sec]
0
データパケットサイズ [byte]
512
データパケット送信間隔 [sec]
0.05~0.1
電波到達範囲 [m]
250
通信帯域 [Mbps]
54
シミュレーション時間 [sec]
40,70
提案法閾値上限 [Kbyte]
450,550
提案法閾値下限 [Kbyte]
10
パケット衝突による損失
なし
パケットの衝突によるパケット到達率低下を除外し,
ノードのパケットバッファあふれのみに着目するため
20
時間ごとのドロップパケット量
ドロップパケット量 [Kbyte]
全ノードの時間ごとのドロップパケット量
45
40
35
30
25
20
15
10
5
0
proposed
previous
0 3 6 9 1215182124273033363942454851545760636669
時間 [sec]
21
スループット
スループット [Kbps]
平均スループット
20
18
16
14
12
10
8
6
4
2
0
proposed
previous
100
200
ノード数
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まとめ
• 階層化された大規模ネットワークにおいて,急激なトラ
フィック変動があった場合,動的にサブネットワークを分割,
結合することで,サブネットワークの負荷を適切に保つ
• 有線ネットワーク,無線ネットワークの両方に適用可能
• 震災時の通信確保等に適用したい
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お問い合わせ先
• 広島市立大学
• 社会連携コーディネーター 野村 啓治
• TEL (082)830-1764
• FAX (082)830-1545
• e-mail [email protected]
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